JP3619860B2 - 液面検知装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、液面検知装置に関する。この液面検知装置は、採血管、採尿管等の検液容器内の液面を検知し、その液面から分析に必要な所定量の検液を採取する場合に好適に利用される。
【0002】
【従来の技術】
血液、尿等の液体を化学分析するためには、液体を定量的に採取する必要がある。その一般的な採取方法は、検液の入った試験管に吸引ノズルを浸漬し、吸引ポンプで吸引するというものである。この際、ノズルが液面よりあまり深く浸漬すると、ノズルの外周面に付着した液体の量が許容誤差を超え、分析精度の低下を招くこととなる。従って、上記化学分析を自動的且つ高精度に行うには、液面を自動的に検知してノズルの移動距離及び速度を制御するシステムが不可欠である。
【0003】
従来、この液面検知システムとして、吸引ノズルを兼ねる信号電極及び接地電極からなる一対の検知針を検液容器内に挿入し、検液の導電性による接液時の検知針間の導通をもって液面検知情報とする二本針方式がよく知られている。また、発振器に接続された発信電極を検液容器の下部に配置し、吸引ノズルを兼ねる受信電極を検液容器内に挿入し、発信電極より誘導される信号を受信して、その信号電圧をコンパレータの基準電圧と比較し、信号電圧が基準電圧を超えたときに検知信号を出力する一本針方式も提案されている。
【0004】
二本針方式は、検知針を試験管等の検液容器に挿入する前に、試験管に詰められたゴム栓等のキャップを検査技術者が予め手で開けた後、搬送ラックにセットするという工程を経るので、キャップを開ける際に感染の危険性のある検体が飛び散って、医療従事者が感染するという事故を非常に多く誘発していた。かといって、二本針では、キャップを付けたまま、それを突き刺して検知針を容器内に挿入することは不可能である。これに対して、一本針方式は、ゴム栓等のキャップを突き刺して検知針を容器内に挿入する(通称、「キャップピアス」という。)ので、医療従事者が検液に触れることがなく、感染の危険性から守られるという重要な点で非常に優れている。
【0005】
ただし、液面接触に基づく信号電圧をコンパレータの基準電圧と比較する1本針方式においても、他の物体の存在、検液容器と発信電極との距離等の周囲の状況の変化によって液面接触時の信号電圧が異なる。従って、基準電圧を一定とすれば、液面接触の時期と検知信号の出力時期とが一致しないことがあり、ノズルの移動及び吸引を制御する制御回路に誤信号が伝達されることとなる。
【0006】
そこで、これを改善するために、特開平6−174531号公報において、増幅された信号を時定数の異なる2つの回路を介してコンパレータに接続し、時定数が大の回路には所定のバイアス電圧をかけてバイアス分だけ時定数が小の回路よりも出力を高めておき、ノズルの液面接触に伴って、2つの回路の出力の大小関係が入れ替わるようにし、これを検知情報とする技術が提案された。すなわち、同公報記載の技術は、時定数が大の回路の出力を時定数が小の回路の出力に対して基準電圧として機能させるものであるが、液面接触時までは、バイアス分の差を除いて両回路がほぼ同じ出力値を示すので、あたかも基準電圧が周囲の状況に応じて自動的に変化するように作用する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開平6−174531号公報に記載の技術は、回路が複雑であるので、実装部品点数が多くて信頼性が低下し、また装置全体が大型化する。また、現実には信号出力に影響する周囲の状況は、限られている。
それ故、この発明の目的は、より簡単な機械的構成及び電気回路で、液面を高精度に検知することのできる液面検知装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
その目的を達成するために、この発明の液面検知装置は、
容器内の液体の液面レベルを検知する装置であって、発振器と、発振器に接続した発信電極と、発信電極より誘導される信号を受信する受信電極と、受信電極からの信号を増幅し、その増幅された信号電圧を基準電圧と比較して出力信号を得る検知回路とを備え、前記受信電極が液面に対して往復動可能で、発信電極が容器外で鉛直方向に固定された面状をなし且つ鉛直方向に配列した複数個からなり、発信部位を鉛直方向に切り換え可能となっていることを特徴とし、上記従来の一本針方式において固定電極が容器の下部に位置するのと構造的に相違する。
【0009】
【作用】
液面検知装置を用いて多数の検液容器内の液面を検知する場合、例えば搬送ラックに配列された容器は、次々と搬送される間に電極と対向する位置で一時停止して液面が検知されるとともに、その中の液体が一定量採取される。一方、容器は、採血管である場合とサンプルカップである場合とで、大きさが変わることがあるが、直径はほぼ一定である。
【0010】
そこで、この発明のように、発信電極を容器外で鉛直方向に固定された面状とすることにより、その面状電極と容器の外周面との距離はほぼ一定となり、容器の大きさが変わっても信号に及ぼす影響は変化しない。信号に影響する周囲の状況の中で、最も大きく影響するのは、検液容器の大きさに基づく容器と固定電極との距離であるから、上記構成により、検出精度が格段に向上する。また、容器を搬送する手段は通常容器の下部に存在するが、固定電極(発信電極)が鉛直方向に固定されているので、搬送の妨げとならない。
【0011】
往復動可能な電極を、液面から所定量の液体を採取するノズルを兼ねた受信電極とすると、ノズルと受信電極とを合わせて1本のプローブとなるので、測定前に容器のキャップを取り外すことなく、ゴム栓等のキャップを付けたまま、そのプローブでキャップを突き刺して検液を一定量採取することが可能となる。
【0012】
また、固定電極(発信電極)が面状をなしていることから、容器が深い割に容器内の液量が少ない場合、往復動可能な受信電極が液面に到達する以前に受信電極が誘導信号を受信する可能性もあるが、これに対しては固定電極(発信電極)を、鉛直方向に複数個配列例えば容器の鉛直方向の大小に応じて発信部位を鉛直方向に切り換え可能とされている。こうすることにより、容器の底部に対応する発信部位を適宜選択することができる。従って、容器の種類に関わらず、受信電極が液面に到達した時のみ信号を受信することとなり、誤信号の伝達が防止される。
【0013】
【実施例】
−実施例1−
この発明の第一の実施例に係る液面検知装置を図面とともに説明する。図1は、実施例の液面検知装置を示す構成図である。
【0014】
液面検知装置1は、採血管等の容器2に入れられた液体の液面レベルを検知するとともに、その液面から定量的に少量の液体を採取して分析に供するもので、発振器3と、発振器3に接続した発信電極4と、液体を採取するノズルを兼ねる受信電極5と、検知回路6とを備えている。
【0015】
容器2は、ゴム製のキャップ21で栓をされた採血管で、図面の前後方向に多数本配列して搬送ラック22に収納されて、コンベア23を稼動させることにより、搬送ラック22とともに1本ずつ間欠的に前後方向に移動する。
【0016】
発信電極4は、面状をなし、容器2のすぐ近くに鉛直方向に固定されている。そして、発振器3の作動により、容器2内の液体に到達する程度の低い周波数の電波が発信電極4から発信されるようになっている。
【0017】
受信電極5は、ステンレス等の導体からなり、図略の駆動手段により液面に対して往復動可能に装置本体に固定されており、その内部に液体が流れる通路(図略)を有する。この通路は、サンプリング用チューブ51を介してサンプリングポンプ52に連結され、サンプリングポンプ52の駆動によって、受信電極5の先端から液体を吸入若しくは吐出できるようになっている。また、この通路は、途中で分岐して洗浄用チューブ53とも連結している。
【0018】
検知回路6は、受信電極5と電気的に接続し、受信電極5からの信号を増幅するアンプ61、増幅された信号のうち発振周波数と近似する周波数範囲の波形のみ帯域制限して通過させるバンドパスフィルタ62、それを通過した信号を整流するダイオード63、その整流された信号電圧を増幅するDCアンプ66、増幅された信号電圧を一定の基準電圧と比較し、信号電圧が基準電圧より大きいときのみ検知信号として図略の制御系に伝達するコンパレータ64からなる。アンプ61の入力端子は、固定コンデンサ65を介して接地されている。この固定コンデンサ65の容量は、洗浄用チューブ53によって変動する分布容量よりもはるかに大きい。
【0019】
コンパレータ64の基準電圧は、次のようにして設定される。先ず、発振器3より発信された信号を発信電極4に送信しておく。容器2を液無し状態で搬送ラック22に固定し、そこに受信電極5を容器2の底に当たる直前まで降下させる。そのときのコンパレータ64への入力レベル、すなわちオフセットレベルを適当な値にアンプ66のボリュームで調整する。そして、基準電圧をそのオフセットレベルよりも若干高い値に設定する。このように設定することにより、受信電極5が液体と接触していないときは、コンパレータ64への入力レベルは基準電圧よりも低いので、コンパレータ64は検知情報を伝達せず、他方、受信電極5が液体と接触した瞬間にコンパレータ64への入力レベルが基準電圧を超えるので、コンパレータ64の出力が反転して検知情報を制御系に伝達する。
【0020】
液面検知装置1を用いて多数の検液容器内の液面を検知する場合、搬送ラック22に配列された容器2は、次々と搬送される間に発信電極4と対向する位置で一時停止する。そして、受信電極5が下降してゴム製キャップ21を突き刺して容器2の中に入り、受信電極5が液面と接触した瞬間に、発信電極4より誘導される信号を受信電極5が受信する。信号は、アンプ61、バンドパスフィルタ62、ダイオード63及びDCアンプ66を経てコンパレータ64に入力される。同時にコンパレータ64が検知信号を出力して制御系に伝達する。制御系からの指示によって、受信電極5は下降を停止するとともに、サンプリングポンプ52が駆動し、所定量の液体を吸い上げる。その後、受信電極5は上昇し、図略の分析装置に向かって移動する。並行して搬送ラック22が移動し、液面検知装置1は、次の容器内の液体を採取する作業を開始する。
【0021】
この発明の液面検知装置1によれば、発信電極4が面状であって、鉛直方向に固定されているので、容器2が採血管であろうと(図2(a))サンプルカップであろうと(図2(b))、発信電極4と容器2の外周面との距離は、ほぼ一定である。厳密にいえば、サンプルカップの直径の方が採血管の直径よりも小さく、その分だけ発信電極との距離が遠くなるものの、受信電極5が液体と接触したときの信号電圧は、サンプルカップの場合であってもオフセットレベルに比べて充分大きい。従って、オフセットレベルの最大値を一定にしておき、コンパレータ64の基準電圧をそれより若干高く設定することで、容器2の種類を変更しても、コンパレータ64の基準電圧を変える必要がない。よって、容器の大小に関わらず、液面を検知し、同時に検液を採取することができる。
【0022】
−実施例2−
この例は、発信電極4を鉛直方向に複数個配列させたものである。すなわち、実施例1のように、発信電極4を1つにすると、容器2が深い割に液量が少ない場合、図3に示すように受信電極5が液面に到達する以前に誘導信号を受信する可能性もある。
【0023】
そこで、図4(a)(b)に示すように、発信電極4を鉛直方向に2個配列し、発信部位をスイッチ(図示省略)で上下に切り換え可能としておく。そして、搬送ラック22の底に向けて、その位置の容器の有無を検知する光センサ7を取り付け、前記スイッチがこの光センサ7と連動するように配線しておく。例えば、受信電極5の下に搬送されてきた容器2が採血管であるときは、光センサ7が採血管の存在を検知して、その情報をスイッチに伝達し、上位の発信電極41をOFF、下位の発信電極42をONとする(図4(a))。従って、受信電極5が液面に到達する以前に誘導信号を受信することはない。
【0024】
他方、受信電極5の下に搬送されてきた容器2がサンプルカップであるときは、スイッチが切り替わり、上位の発信電極41がON、下位の発信電極42がOFFに戻る(図4(b))。既述の通り、コンパレータ64の基準電圧を変更することなく、そのまま液面を検知することができる。このように容器2の底部に対応して発信部位を適宜選択するので、容器2内の液量の多少に関わらず、受信電極5が液面に到達した時のみ信号を受信することとなり、誤信号の伝達が防止される。
【0025】
【発明の効果】
以上の通り、この発明の液面検知装置によれば、固定電極を鉛直方向の面状にするという簡単な機械的構成及び電気回路で、容器の大小及び容器内の液量に関わらず液面を高精度に検知することができる。また、往復動可能な電極をノズルと兼ねることで、プローブが1本化し、キャップピアスが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の液面検知装置を示す構成図である。
【図2】上記液面検知装置の作用を説明する図である。
【図3】上記液面検知装置において、液量が少ないために起こる望ましくない作用を説明する図である。
【図4】他の実施例の液面検知装置の要部を示す構成図である。
【符号の説明】
1 液面検知装置
2 容器
21 ゴム製キャップ
22 搬送ラック
23 コンベア
3 発振器
4 発信電極
5 受信電極
51 サンプリング用チューブ
52 サンプリングポンプ
53 洗浄用チューブ
6 検知回路
61 アンプ
62 バンドパスフィルタ
63 ダイオード
64 コンパレータ
65 固定コンデンサ
66 DCアンプ
7 光センサ

Claims (3)

  1. 容器内の液体の液面レベルを検知する装置であって、発振器と、発振器に接続した発信電極と、発信電極より誘導される信号を受信する受信電極と、受信電極からの信号を増幅し、その増幅された信号電圧を基準電圧と比較して出力信号を得る検知回路とを備え、前記受信電極が液面に対して往復動可能で、発信電極が容器外で鉛直方向に固定された面状をなし且つ鉛直方向に配列した複数個からなり、発信部位を鉛直方向に切り換え可能となっていることを特徴とする液面検知装置。
  2. 往復動可能な電極が、液面から所定量の液体を採取するノズルを兼ねた受信電極である請求項1に記載の液面検知装置。
  3. 発信部位の切り換えが、容器の鉛直方向の大小に応じて可能となっている請求項に記載の液面検知装置。
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