JP3619739B2 - 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば浮上式磁気ヘッドなどに使用される記録用の薄膜磁気ヘッドに係り、特にサイドフリンジングを適切に低減させることができる薄膜磁気ヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図18は、従来における薄膜磁気ヘッド(インダクティブヘッド)の構造を示す部分斜視図である。
【0003】
図18に示す符号1は、パーマロイなどの磁性材料で形成された下部コア層である。
【0004】
図18に示すように、前記下部コア層1上には、ギャップ層4と上部磁極層5とがトラック幅Twで形成され、しかも記録媒体との対向面に露出形成されている。前記ギャップ層4及び上部磁極層5は、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)へ所定の長さ寸法L1で形成される。
【0005】
なお図示されていないが、前記ギャップ層4及び上部磁極層5のトラック幅方向(図示X方向)の両側及びハイト側(図示Y方向)には、無機絶縁材料等で形成された絶縁層が形成されている。
【0006】
また前記ハイト側に形成された絶縁層上には、コイル層13が螺旋状にパターン形成されていおり、さらに前記コイル層13は、有機絶縁材料で形成された絶縁層(図示しない)によって埋められている。
【0007】
図18に示すように、上部磁極層5上には、例えばフレームメッキ法で形成された上部コア層6が形成されている。前記上部コア層6は上部磁極層5と磁気的に接続されている。
【0008】
また前記上部コア層6は、前記コイル層13を覆う絶縁層(図示しない)上に延びて形成され、前記上部コア層6の基端部は下部コア層1に磁気的に接続され、下部コア層1−上部コア層6−上部磁極層5を経る閉磁路が形成される。
【0009】
図18に示すように、前記上部コア層6は、記録媒体との対向面に露出形成され、しかも前記上部コア層6のトラック幅方向(図示X方向)の幅寸法T1は、上部磁極層5の幅寸法(=トラック幅Tw)よりも大きくなっている。そして前記上部コア層6は、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)へ一定の幅寸法T1で形成された先端領域と、前記先端領域の基端からハイト方向へ徐々に幅寸法が広がる後端領域とで構成されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら図18に示す従来の薄膜磁気ヘッドの構成では以下のような問題点があった。
【0011】
すなわち上部コア層6の記録媒体との対向面に露出する先端面6aの幅寸法T1は、上部磁極層5の幅寸法(=トラック幅Tw)よりも大きいために、前記上部コア層6と上部磁極層5間でサイドフリンジングが発生しやすいといった問題があった。
【0012】
サイドフリンジングが発生すると、面記録密度を低下させ、今後の高記録密度化に適正に対応することができない。
【0013】
本発明は、上記従来の問題を解決するためのものであり、特にサイドフリンジングを適切に防止することができる薄膜磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明における薄膜磁気ヘッドは、下部コア層と、
前記下部コア層上に、下から下部磁極層、ギャップ層、及び上部磁極層の順に積層され、あるいは下からギャップ層及び上部磁極層の順に積層されて、記録媒体との対向面に露出する記録コアと、
前記記録コアのトラック幅方向の両側及びハイト側を覆う絶縁層と、
前記記録コアの前記上部磁極層の上に磁気的に接合される上部コア層と、
前記下部コア層、記録コア及び上部コア層に記録用の磁界を誘導するコイルとが設けられ、
前記上部コア層は、前記対向面よりもハイト方向奥側に位置する領域Aでの前記対向面と平行な断面の面積が、前記領域Aよりも前記対向面側に位置する領域での前記と同じ平行な断面の面積よりも小さいことを特徴とするものである。
【0015】
このように本発明では、上部コア層に、前記領域Aよりも前記対向面と平行な方向の断面積の小さい領域が、前記対向面側に形成されている。
【0016】
すなわち本発明では、前記領域Aよりも記録媒体との対向面側に位置する領域Cの方が、断面積は大きくなるために、断面積に反比例する磁束密度Bは、前記領域Aよりも領域Cの方が小さくなる。
【0017】
したがって上部コア層内をハイト側から記録媒体との対向面側に流れる記録磁界は、前記領域Aを通過した後、前記領域C内において小さくなり、よって上部コア層の先端面から上部磁極層間に発生する漏れ磁界が減少し、サイドフリンジングの発生を適切に抑制することが可能である。
【0018】
本発明では、前記上部コアは前記対向面側に先端面を有し、この先端面が前記対向面と平行な面である場合には、前記先端面の面積が前記領域Aでの前記断面の面積よりも大きく、前記先端面が前記対向面と平行な面でない場合には、前記先端面を前記対向面と平行な面に投影したときの面積が、前記領域Aでの前記断面の面積よりも大きいことが好ましい。
【0019】
また本発明では、前記領域Aでは、少なくとも前記上部コア層の下面においてトラック幅方向の幅寸法が他の部分よりも細く形成されていることが好ましい。
【0020】
具体的には、前記領域Aにおいて、前記上部コア層のトラック幅方向に対向する両側面に、上部コア層を上下に貫通する凹部が形成されていたり、あるいは前記領域Aにおいて、前記上部コア層のトラック幅方向に対向する両側部に、前記上部コア層の下面から前記上部コア層の高さ方向の途中まで延びる凹部が形成されていることが好ましい。これにより前記領域Aの断面積を、前記対向面側に位置する領域の断面積よりも小さくでき、サイドフリンジングの発生を適切に抑制することができる。
【0021】
上記の場合、前記領域Aでは、前記上部コア層の下面から上部コア層の高さ方向の途中まで盛り上がる曲面形状の表面を有する絶縁材料の盛り上げ層が形成されており、前記上部コア層は前記盛り上げ層の間から前記盛り上げ層の前記曲面上に渡って形成されていることが好ましい。
【0022】
また前記盛り上げ層は、前記上部コア層をメッキ成長させるためのメッキ下地層の上に形成されていることが好ましい。
【0023】
前記メッキ下地層は、上部コア層をメッキ成長させて形成するのに必要なものであるが、仮に前記盛り上げ層上にメッキ下地層が形成されると、上部コア層は、前記盛り上げ層上で良好なメッキ成長をし続け、前記盛り上げ層上での上部コア層の表面は、盛り上がってしまい、前記表面は平坦化されない。このため、前記上部コア層の領域Aの断面積を、前記対向面側の領域での断面積よりも適切に小さくすることができず、サイドフリンジングの適切な抑制を行うことが困難になる。
【0024】
そこで本発明では、上記したように、メッキ下地層の上に盛り上げ層を形成している。これにより、前記盛り上げ層上では、その周囲から成長するメッキにより上部コア層が形成されていき、これにより前記上部コア層の表面を平坦化することができ、前記上部コア層の領域Aの断面積を、前記対向面側に位置する領域の断面積よりもより適切に小さくすることができるのである。
【0025】
また本発明では、前記領域Aにおいて狭められた上部コア層の幅寸法の範囲内から、または前記範囲を前記対向面側へ延長させた領域内から、前記記録コアが外れないように、前記記録コアと前記上部コア層とのトラック幅方向での相対位置が決められていることが好ましい。これにより上部コア層から上部磁極層へ適切に記録磁界を流すことができ、しかもサイドフリンジングの発生を適切に抑制することが可能である。
【0026】
または本発明では、前記記録コアは、前記対向面からハイト方向奥側へ向けてトラック幅方向の幅寸法が一定である先端領域と、前記先端領域のハイト方向奥側を起点としてハイト方向奥側に向けてトラック幅方向の幅寸法が徐々に広がる後端領域とを有し、
前記領域Aにおいて狭められた上部コア層の幅寸法の範囲内から、または前記範囲を前記対向面側へ延長させた領域内から、前記後端領域が外れないように、前記記録コアと前記上部コア層とのトラック幅方向での相対位置が決められていることが好ましい。これにより上部コア層と上部磁極層との接触面積を大きくすることができ、また前記領域Aが、後端領域上に形成されると、前記領域Aの部分から後端領域に効率良く、記録磁界を流すことができ記録特性を向上させることができる。
【0027】
また本発明では、前記上部コア層の前記先端面は、トラック幅方向の両側に向かうにしたがって、ハイト方向へ徐々に後退する曲面形状であることが好ましい。これによりより適切にサイドフリンジングの発生を抑制することができる。
【0028】
また本発明における薄膜磁気ヘッドの製造方法は、
(a)下部コア層の上に、下から下部磁極層、ギャップ層及び上部磁極層の順に積層し、または下からギャップ層及び上部磁極層の順に積層して、記録媒体との対向面でトラック幅方向の幅寸法が決められる記録コアを形成する工程と、
(b)前記(a)の工程の前または後に、前記記録コアの周囲に絶縁層を形成し、さらに前記記録コアと前記絶縁層の上面を同一平面にする工程と、
(c)前記記録コアと前記絶縁層の上にレジスト層を形成する工程と、
(d)前記レジスト層に、上部コア層を形成するための抜きパターンを形成し、このとき、前記対向面からハイト方向奥側において前記パターンのトラック幅方向に対向する両側面に互いにパターン内に突き出る突出部を形成し、この突出部で狭められた幅寸法範囲内に前記記録コアを位置させ、または前記幅寸法範囲を前記対向面側へ延長させた領域内に前記記録コアを位置させる工程と、
(e)前記パターン内に磁性材料をメッキ形成し、前記レジスト層を除去することにより、前記突出部によってトラック幅方向の幅寸法が狭められた領域Aを有する上部コア層を形成する工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0029】
上記の製造方法により、前記上部コア層のトラック幅方向に対向する両側面に、上部コア層を上下に貫通する凹部を形成することができ、この部分が前記領域Aとなっている。前記領域Aでは、前記領域Aよりも前記対向面側に位置する領域の断面績よりも小さい断面積を有し、適切にサイドフリンジングの発生を抑制できる薄膜磁気ヘッドを再現性良く製造することができる。
【0030】
また上記の製造方法によれば、記録コア層を領域Aのトラック幅方向への幅寸法内から外れないように形成することができるので、上部コア層からの記録磁界を適切に上部磁極層へ流すことができ、しかもサイドフリンジングの発生を適正に抑制可能な薄膜磁気ヘッドの製造することが可能である。
【0031】
または本発明における薄膜磁気ヘッドの製造方法は、
(f)下部コア層の上に、下から下部磁極層、ギャップ層及び上部磁極層の順に積層し、または下からギャップ層及び上部磁極層の順に積層して、記録媒体との対向面でトラック幅方向の幅寸法が決められる記録コアを形成する工程と、
(g)前記(f)の工程の前または後に、前記記録コアの周囲に絶縁層を形成し、さらに前記記録コアと前記絶縁層の上面を同一平面にする工程と、
(h)前記対向面からハイト方向奥側において、前記絶縁層上にトラック幅方向に対向する突出部を形成し、このとき前記突出部が対向する部分の幅寸法範囲内に前記記録コアを位置させ、または前記幅寸法範囲を前記対向面側へ延長させた領域内に前記記録コアを位置させる工程と、
(i)前記記録コアと前記絶縁層の上に、レジスト層を形成する工程と、
(j)前記レジスト層に、上部コア層を形成するための抜きパターンを形成し、このとき、前記対向面からハイト方向奥側において前記パターンのトラック幅方向に対向する両側面から前記突出部をパターン内に突き出させる工程と、
(k)前記パターン内に磁性材料をメッキ形成し、前記レジスト層を除去することにより、前記突出部によってトラック幅方向の幅寸法が狭められた領域Aを有する上部コア層を形成する工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0032】
上記した製造方法によれば、前記上部コア層のトラック幅方向に対向する両側面に、上部コア層を上下に貫通する凹部を形成することができ、あるいは前記上部コア層のトラック幅方向に対向する両側面に、前記上部コア層の下面から前記上部コア層の高さ方向の途中まで延びる凹部を形成でき、この部分が前記領域Aとなっている。前記領域Aでは、前記領域Aよりも前記対向面側に位置する領域の断面績よりも小さい断面積を有し、適切にサイドフリンジングの発生を抑制できる薄膜磁気ヘッドを再現性良く製造することができる。
【0033】
また上記の製造方法によれば、記録コア層を領域Aのトラック幅方向への幅寸法内から外れないように形成することができるので、上部コア層からの記録磁界を適切に上部磁極層へ流すことができ、しかもサイドフリンジングの発生を適正に抑制可能な薄膜磁気ヘッドの製造することが可能である。
【0034】
また本発明では、前記(g)の工程の後に、前記絶縁層の上にメッキ下地層を形成し、前記(h)の工程では、前記突出部を前記メッキ下地層の上に形成し、前記(k)の工程では、前記レジスト層のパターン内で前記突出部以外の領域に現れる前記メッキ下地層の上にメッキを成長させることが好ましい。
【0035】
上記した製造方法によれば、前記絶縁層上にメッキ下地層を形成した後、前記メッキ下地層上に突起部を形成するので、前記突起部上では、その周囲からのメッキ成長により上部コア層が形成されていき、したがって前記突起部上の上部コア層表面が他の部分の上部コア層表面に比べて盛り上がる形状にはならず、前記上部コア層表面を適切に平坦化することができる。
【0036】
これにより、上部コア層の下面に凹部が形成された領域Aの断面積を、先端面の断面積よりも小さくすることができ、サイドフリンジングの発生を適切に防止できる薄膜磁気ヘッドを製造することが可能である。
【0037】
また本発明では、前記(h)の工程で形成される突出部を、後に形成される上部コア層の高さ寸法の途中までの高さを有する曲面状の表面を有する絶縁材料の盛り上げ層とし、前記(k)の工程では、前記曲面状の前記表面の上にメッキを成長させて、下面から高さ方向の途中まで延びる凹部を有する領域Aが設けられた上部コア層を形成することが好ましい。
【0038】
上記の製造方法によれば、前記上部コア層のトラック幅方向に対向する両側面に、前記上部コア層の下面から前記上部コア層の高さ方向の途中まで延びる凹部を形成できる。これによって適切にサイドフリンジングの発生を抑制可能な薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明における薄膜磁気ヘッドの構造を示す部分斜視図、図2は図1に示す薄膜磁気ヘッドの正面図、図3は図2に示す3−3線から切断し矢印方向から見た部分断面図、図4,5は、本発明における薄膜磁気ヘッドの部分平面図の一例である。
【0040】
図1に示す薄膜磁気ヘッドは、記録用のインダクティブヘッドであるが、本発明では、このインダクティブヘッドの下に、磁気抵抗効果を利用した再生用ヘッド(MRヘッド)が積層されていてもよい。
【0041】
図1及び図2に示す符号20は、例えばパーマロイなどの磁性材料で形成された下部コア層である。なお、前記下部コア層20の下側に再生用ヘッドが積層される場合、前記下部コア層20とは別個に、磁気抵抗効果素子をノイズから保護するシールド層を設けてもよいし、あるいは、前記シールド層を設けず、前記下部コア層20を、前記再生用ヘッドの上部シールド層として機能させてもよい。
【0042】
図1及び図2に示すように、後述する下部磁極層21の基端から延びる下部コア層20の上面20aはトラック幅方向(図示X方向)と平行な方向に延びて形成されていてもよく、あるいは、前記上部コア層26から離れる方向に傾斜する傾斜面20b,20bが形成されていてもよい。前記下部コア層10の上面に傾斜面20b,20bが形成されることで、サイドフリンジングの発生をより適切に低減させることができる。
【0043】
図1ないし3に示すように、前記下部コア層20上には、記録コア24が形成され、前記記録コア24は記録媒体との対向面に露出形成されている。この実施例において前記記録コア24はトラック幅Twで形成された、いわばトラック幅規制部である。前記トラック幅Twは、0.7μm以下で形成されることが好ましく、より好ましくは0.5μm以下である。
【0044】
図1ないし図3に示す実施例では、前記記録コア24は、下部磁極層21、ギャップ層22、および上部磁極層23の3層膜の積層構造で構成されている。以下、前記磁極層21、23およびギャップ層22について説明する。
【0045】
図1ないし図3に示すように、前記下部コア層20上には、記録コア24の最下層となる下部磁極層21がメッキ形成されている。前記下部磁極層21は、下部コア層20と磁気的に接続されており、前記下部磁極層21は、前記下部コア層20と同じ材質でも異なる材質で形成されていてもどちらでもよい。また単層膜でも多層膜で形成されていてもどちらでもよい。なお前記下部磁極層21の高さ寸法は、例えば0.3μm程度で形成される。
【0046】
また図1ないし図3に示すように、前記下部磁極層21上には、非磁性のギャップ層22が積層されている。
【0047】
本発明では、前記ギャップ層22は、非磁性金属材料で形成されて、下部磁極層21上にメッキ形成されることが好ましい。なお本発明では、前記非磁性金属材料として、NiP、NiPd、NiW、NiMo、NiRh、Au、Pt、Rh、Pd、Ru、Crのうち1種または2種以上を選択することが好ましく、前記ギャップ層22は、単層膜で形成されていても多層膜で形成されていてもどちらであってもよい。なお前記ギャップ層22の高さ寸法は、例えば0.2μm程度で形成される。
【0048】
次に前記ギャップ層22上には、後述する上部コア層26と磁気的に接続する上部磁極層23がメッキ形成されている。なお前記上部磁極層23は、上部コア層26と同じ材質で形成されていてもよいし、異なる材質で形成されていてもよい。また単層膜でも多層膜で形成されていてもどちらでもよい。なお前記上部磁極層23の高さ寸法は、例えば2.4μm〜2.7μm程度で形成されている。
【0049】
上記したようにギャップ層22が、非磁性金属材料で形成されていれば、下部磁極層21、ギャップ層22および上部磁極層23を連続してメッキ形成することが可能になる。
【0050】
なお本発明では前記記録コア24は、上記3層膜の積層構造に限らない。前記記録コア24は、ギャップ層22と上部磁極層23からなる2層膜で形成されていてもよい。
【0051】
また上記したように、記録コア24を構成する下部磁極層21および上部磁極層23は、それぞれの磁極層が磁気的に接続されるコア層と同じ材質でも異なる材質で形成されてもどちらでもよいが、記録密度を向上させるためには、ギャップ層22に対向する下部磁極層21および上部磁極層23は、それぞれの磁極層が磁気的に接続されるコア層の飽和磁束密度よりも高い飽和磁束密度を有していることが好ましい。このように下部磁極層21および上部磁極層23が高い飽和磁束密度を有していることにより、ギャップ近傍に記録磁界を集中させ、記録密度を向上させることが可能になる。
【0052】
なお図3に示すように、下部磁極層21と下部コア層20間には、メッキ下地層46が形成されている。
【0053】
前記記録コア24は、図1及び図3に示すように、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)にかけて長さ寸法L1で形成されている。
【0054】
図1及び図3に示すように、下部コア層20上には、例えばレジスト等で形成されたGd決め絶縁層27が形成されており、前記Gd決め絶縁層27の表面は、例えば曲面形状で形成されている。そして図3に示すように、前記曲面上に、上部磁極層23が延びて形成されている。
【0055】
前記Gd決め絶縁層27上に上部磁極層23を形成することで、前記上部磁極層23のハイト方向への長さ寸法L1を長く形成できるため、前記上部磁極層23のボリュームを稼ぐことができ、高記録密度化においても前記上部磁極層23の磁気飽和を低減でき、記録特性の向上を図ることができる。
【0056】
また図1及び図3に示すように、前記Gd決め絶縁層27の前面から記録媒体との対向面までの長さ寸法L2は、ギャップデプスGdとして規制されており、前記ギャップデプスGdは、薄膜磁気ヘッドの電気特性に多大な影響を与えることから、予め所定の長さに設定される。
【0057】
図1ないし3に示す実施例では、前記ギャップデプスGdは、下部コア層20上に形成されたGd決め絶縁層27の形成位置によって規制されることになる。
【0058】
図3に示すように、前記記録コア24のハイト方向(図示Y方向)の後方であって下部コア層20上には絶縁下地層28を介してコイル層29が螺旋状に巻回形成されている。前記絶縁下地層28は、例えば、AlO、Al2O3、SiO2、Ta2O5、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si3N4、NiO、WO、WO3、BN、CrN、SiONのうち少なくとも1種からなる絶縁材料で形成されていることが好ましい。
【0059】
さらに前記コイル層29の各導体部のピッチ間は、絶縁層30によって埋められている。前記絶縁層30は、AlO、Al2O3、SiO2、Ta2O5、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si3N4、NiO、WO、WO3、BN、CrN、SiONのうち少なくとも1種から選択されることが好ましい。
【0060】
前記絶縁層30は、図2に示すように、前記記録コア24のトラック幅方向(図示X方向)の両側に形成され、前記絶縁層30は記録媒体との対向面に露出形成されている。
【0061】
図3に示すように、前記絶縁層30上には、レジストやポリイミド等の有機絶縁料で形成された絶縁層31が形成され、前記絶縁層31上には、第2のコイル層33が螺旋状に巻回形成されている。
【0062】
図3に示すように、前記第2のコイル層33は、レジストやポリイミド等の有機材料で形成された絶縁層32によって覆われ、前記絶縁層32上には、NiFe合金等で形成された上部コア層26が例えばフレームメッキ法等によりパターン形成されている。
【0063】
図1ないし図3に示すように、前記上部コア層26の先端部26aは、前記上部磁極層23上に磁気的に接続されて形成され、前記上部コア層26の基端部26bは、下部コア層20上にNiFe合金等の磁性材料で形成された盛り上げ層36上に磁気的に接続されて形成されている。なお前記盛り上げ層36は形成されていなくても良く、この場合、前記上部コア層26の基端部26bは、下部コア層20上に直接接続されることになる。
【0064】
図1及び図3に示すように、前記上部コア層26の記録媒体との対向面側の先端面26fは、その幅寸法がT3であり、前記幅寸法T3はトラック幅Twよりも大きくなっている。
【0065】
なお図3に示す薄膜磁気ヘッドでは、コイル層が2層積層されているが、1層で形成されていてもよい。この場合、例えば前記下部コア層20上であって、記録コア24のハイト方向後方は絶縁層30によって埋められ、前記絶縁層30上にコイル層が形成されることになる。あるいは図2に示す第2のコイル層33が形成されず、絶縁層31上に沿って上部コア層26が形成されることになる。
【0066】
次に本発明における上部コア層26の形状について詳述する。
本発明では、図1に示すように、上部コア層26のトラック幅方向(図示X方向)の両側端面26c,26cに、その下面26dから上面26eにかけて貫通する凹部37,37が形成されている。
【0067】
このため図1に示すように、前記凹部37,37の形成された領域Aを、記録媒体との対向面と平行な方向から切断した任意の断面積S1は、前記領域Aよりも前記対向面側に位置する領域Cでの前記と同じ平行な断面の面積よりも小さくなっている。
【0068】
また図1に示すように本発明における上部コア層26は、記録媒体との対向面側に先端面26fを有している。この先端面26fが、前記対向面と平行な面である場合には、前記先端面26fの面積が前記領域Aでの前記断面の面積よりも大きくなっていることが好ましい。
【0069】
また前記先端面26fが、前記対向面と平行な面でない場合、例えば前記先端面26fが、下面から上面に向けて徐々にハイト方向(図示Y方向)に傾く傾斜面あるいは曲面で形成されている場合には、前記先端面26fを前記対向面と平行な面に投影したときの面積が、前記領域Aでの前記断面の面積よりも大きいことが好ましい。
【0070】
なお前記凹部37は、上部コア層26のトラック幅方向における両側側面26c,26cに形成されているが、片方の側面26cにのみ形成されていてもよい。
【0071】
また前記凹部37の形状は如何なる形状であってもよい。図4及び図5に示すように、前記凹部37は上から見ると半円形状で形成されているが、例えば上から見た場合に方形状等で形成されていてもかまわない。
【0072】
ただし図1に示すように、前記凹部37が前記上部コア層26の両側側面26c,26cに形成される場合、前記一対の凹部37,37は、トラック幅方向(図示X方向)にて左右対称な形状で形成されることが、上部コア層26から記録磁界を効率良く上部磁極層23に流すことができて好ましい。
【0073】
ところで前記領域Aにおいて狭められた上部コア層26の幅寸法の範囲内から、または前記範囲を前記対向面側へ延長させた領域内から、前記記録コア24が外れないように、前記記録コア24と前記上部コア層26とのトラック幅方向での相対位置が決められていることが好ましい。
【0074】
図4に示す実施例では、前記記録コア24は記録媒体との対向面からハイト方向へ長さ寸法L3で形成され、しかも一定の幅寸法(=トラック幅Tw)で形成されている。このように記録コア24が記録媒体との対向面から基端までトラック幅Twで形成されることにより、前記トラック幅Twを所定の寸法値内で形成しやすい。
【0075】
一方、図5に示す実施例では、前記記録コア24は、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)にトラック幅Twで形成された先端領域Dと前記先端領域のハイト方向奥側を起点としてハイト方向奥側に向けてトラック幅方向の幅寸法が徐々に広がる後端領域Eとで構成されている。この実施例では、トラック幅Twよりも幅寸法が広い後端領域Eが形成されていることで、上部コア層26が前記後端領域E上で接合されることにより、前記上部コア層26と記録コア24との接触面積をより大きくすることができ、上部コア層26からの記録磁界を効率良く上部磁極層23に流すことができる。
【0076】
ところで図5に示すように、記録コア24に幅寸法の広い後端領域Eが形成されている場合には、前記領域Aにおいて狭められた上部コア層の幅寸法の範囲内から、または前記範囲を前記対向面側へ延長させた領域内から、前記後端領域Eが外れないように、前記記録コア24と前記上部コア層26とのトラック幅方向での相対位置が決められていることが好ましい。
【0077】
すなわち本発明では図4及び図5に示すように、前記記録コア24と接合する上部コア層26の領域Aの下面の面積(斜線で示されている)は、前記領域Aと接合する部分の記録コア24の上面の面積よりも大きいことが好ましい。これにより上部コア層26からの記録磁界を効率良く上部磁極層23に流すことができる。
【0078】
また前記記録コア24は、前記領域Aのトラック幅方向(図示X方向)範囲内においてその中央に形成されることが好ましい。これにより前記上部コア層26からの記録磁界を効率良く上部磁極層23に流すことができ、サイドフリンジングの発生をより適切に防止することが可能である。
【0079】
このように本発明では、上部コア層26は、記録媒体との対向面よりもハイト方向奥側に位置する領域Aでの前記対向面と平行な断面積が、前記領域Aよりも前記対向面側に位置する領域Cでの前記と同じ平行な断面績よりも小さくなっている。これによって、サイドフリンジングの発生をより適正に防止することが可能である。
【0080】
次にサイドフリンジングの発生を適正に抑制できるその原理について説明する。磁束密度Bは、磁束φが一定であるならば、断面積に反比例する。すなわち前記磁束密度Bは、断面積が小さいほど大きくなり、前記断面積が大きいほど小さくなる。
【0081】
ここで本発明における上部コア層26内での磁束密度Bについて考察してみると、対向面側に位置する領域Cの断面積よりも小さい断面積を有する領域Aでは、磁束密度Bが大きくなり、一方、前記領域Cでは、前記磁束密度Bが低下する。
【0082】
すなわち記録磁界の領域Aから領域Cに流れる量は減少し、一方、前記上部コア層26の前記領域Aから上部磁極層23に前記記録磁界が流れ易くなる(図3の矢印参照)。
【0083】
このため記録媒体との対向面において、上部コア層26の先端面26fと上部磁極層23間での漏れ磁界が減り、サイドフリンジングの発生を適切に抑制することが可能になるのである。また前記領域Aから上部磁極層23に記録磁界が流れ易くなることにより、上記したように領域Aにおいて狭められた上部コア層26の幅寸法内から、前記記録コア24が外れないように、前記記録コア24と前記上部コア層26とのトラック幅方向での相対位置が決められる方が、記録特性を向上できて好ましい。
【0084】
なお本発明では、図1の点線で示すように、前記上部コア層26の先端面26fは、トラック幅方向(図示X方向)の両側に向かうにしたがって、ハイト方向(図示Y方向)へ徐々に後退する曲面形状で形成されていてもよい。これにより前記先端面26fは、記録媒体との対向面から一部のみが露出することになり、サイドフリンジングの発生をより適切に抑制することが可能である。
【0085】
また図3に示すように、前記上部コア層26の先端面26fが、記録媒体との対向面から点線Fの位置まで後退して形成され、前記先端面26fが前記対向面から完全に露出しない形状としてもよい。これによりさらにサイドフリンジングの発生を抑制することが可能である。
【0086】
図6は本発明における第2実施形態の薄膜磁気ヘッドの構造を示す部分斜視図、図7は図6に示す薄膜磁気ヘッドの部分縦断面図である。
【0087】
図6及び図7に示す薄膜磁気ヘッドの構造は、図1ないし図5に示す薄膜磁気ヘッドの構造と比較すると、上部コア層26の先端形状が異なるだけで他の層構造(形状)は全く同じである。
【0088】
すなわち、図7に示すように、下部コア層20上には、記録媒体との対向面からハイト方向に所定長さ寸法L1で形成された記録コア24が形成されており、前記記録コア24は、下から下部磁極層21、ギャップ層22、及び上部磁極層23の3層膜、あるいはギャップ層22、及び上部磁極層23の2層膜で構成されている。また前記下部コア層20と記録コア24との間には、Gd決め絶縁層27が形成され、記録媒体との対向面から前記Gd決め絶縁層27の前面までの長さ寸法L2がギャップデプス(Gd)として規制される。
【0089】
図7に示すように、下部コア層20上であって、記録コア24のハイト方向後方には、絶縁下地層28を介してコイル層29が螺旋状に巻回形成されている。さらに前記コイル層29の各導体部のピッチ間は無機絶縁材料等で形成された絶縁層30によって覆われ、前記絶縁層30は記録媒体との対向面に露出形成されている。
【0090】
また前記コイル層29上には、有機絶縁材料等で形成された絶縁層31が形成され、前記絶縁層31の上には第2のコイル層33が螺旋状に巻回形成されている。
【0091】
前記第2のコイル層33上は、有機絶縁材料等で形成された絶縁層32に覆われ、さらに前記絶縁層32上には上部コア層26が、例えばフレームメッキ法等によりパターン形成されている。前記上部コア層26の先端部26aは、上部磁極層23上に重ねられて形成され、前記上部コア層26と上部磁極層23とが磁気的に接続された状態にされる。また前記上部コア層26の基端部26は、下部コア層20上に形成された磁性材料製の盛り上げ層36上に磁気的に接続された状態にされている。
【0092】
図6及び7に示す実施例においても、図1ないし図5に示す実施例と同様に、上部コア層26は、記録媒体との対向面よりもハイト方向(図示Y方向)奥側に位置する領域Aでの前記対向面と平行な断面の面積が、前記領域Aよりも前記対向面側に位置する領域Cでの前記と同じ平行な断面の面積よりも小さくなっている。
【0093】
ただし前記領域Aの形成手段が図1に示す薄膜磁気ヘッドとでは異なっている。
【0094】
図6に示す実施例では、前記領域Aでは、前記上部コア層26の下面から上部コア層26の高さ方向(図示Z方向)の途中まで盛り上がる曲面形状の表面を有する絶縁材料の盛り上げ層40,40が形成されている。
【0095】
この盛り上げ層40は、トラック幅方向(図示X方向)の両側に形成された絶縁層30上に形成されている。
【0096】
そして前記上部コア層26の領域Aでは、前記盛り上げ層40,40間から前記盛り上げ層40の前記曲面上に渡って形成されている。
【0097】
このように、前記上部コア層26下には盛り上げ層40,40が形成されることにより、前記領域Aでは、前記上部コア層26の下面から上部コア層26のトラック幅方向に対向する両端部に、前記上部コア層26の下面から前記上部コア層26の高さ方向(図示Z方向)の途中まで延びる凹部41,41が形成される。
【0098】
したがって前記凹部41が形成されている箇所を記録媒体との対向面と平行に切断すると、その断面積は、前記領域Aよりも対向面側に位置する領域Cでの前記と同じ平行な断面積よりも小さくなっている。
【0099】
なお前記盛り上げ層41は、例えばAlO、Al2O3、SiO2、Ta2O5、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si3N4、NiO、WO、WO3、BN、CrN、SiON等の無機絶縁材料や、レジストやポリイミド等の有機絶縁材料で形成される。
【0100】
また図6に示す実施例では、前記盛り上げ層41は、2つ形成されているが一つでもかまわない。さらに図6に示すように盛り上げ層41が2つ形成される場合には、トラック幅方向(図示X方向)に左右対称な形状で形成されていることが好ましい。これにより、上部コア層26に形成される2つの凹部41,41もまた同一形状で形成でき、上部コア層26からの記録磁界を効率良く上部磁極層23に流すことができ、記録効率を高めることが可能である。
【0101】
また前記盛り上げ層41は図6に示すように表面が曲面形状となっているが、例えば矩形状で形成されていてもよい。
【0102】
また前記上部コア層26は、盛り上げ層41上の少なくとも一部分に重ねて形成されることが必要であるが、前記上部コア層26は、前記盛り上げ層41上に完全に重ねて形成されていてもかまわない。
【0103】
また本発明では、前記領域Aにおいて狭められた上部コア層26の幅寸法の範囲内から、または前記範囲を前記対向面側へ延長させた領域内から、前記記録コア24が外れないように、前記記録コア24と上部コア層26とのトラック幅方向での相対位置が決められていることが好ましい。
【0104】
本発明では、前記盛り上げ層41は、前記記録コア層24のトラック幅方向の両側に形成される絶縁層30上に形成される。これによって、前記記録コア24を上部コア層26の幅寸法の範囲内から、または前記範囲を前記対向面側へ延長させた領域内から、前記記録コア24が外れないように形成することができる。
【0105】
これにより前記上部コア層26からの記録磁界を効率良く上部磁極層23に流すことが可能である。
【0106】
また図5に示すように前記記録コア24が、記録媒体との対向面からハイト方向へトラック幅Twで延びる先端領域Dと、前記先端領域Dのハイト方向(図示Y方向)奥側を起点としてハイト方向奥側に向けてトラック幅方向の幅寸法が徐々に広がる後端領域Eとで構成される場合、前記上部コア層26の領域Aにおいて狭められた上部コア層26の幅寸法の範囲内から、または前記範囲を前記対向面側へ延長させた領域内から、前記後端領域Eが外れないように、前記記録コア24と前記上部コア層26とのトラック幅方向での相対位置が決められていることが好ましい。
【0107】
この構成を達成するには、前記記録コア24の後端領域Eのトラック幅方向(図示X方向)の両側に広がる絶縁層30上に盛り上げ層41が形成されると、前記領域Aを記録コア24の後端領域E上に、前記後端領域Eが外れないように重ねて形成することが可能である。
【0108】
また前記記録コア24は、上部コア層26の領域Aのトラック幅方向(図示X方向)の中央に形成されることが、上部コア層26からの記録磁界を効率良く上部磁極層23に流すことができて好ましい。
【0109】
また図6及び7に示す実施例のように、前記盛り上げ層31上に上部コア層26を重ねて形成する場合には、図7に示すように盛り上げ層40の下側に上部コア層26の形成に必要なメッキ下地層44を敷くことが好ましい。
【0110】
図7に示すように前記メッキ下地層44は、記録コア24上及び前記記録コア24の両側に形成されている絶縁層30上から前記第2のコイル層33上を覆う絶縁層32上にかけて形成されており、前記メッキ下地層44上に盛り上げ層40が形成されているのである。
【0111】
そして上部コア層26は、前記メッキ下地層44上からメッキ成長して形成されるが、上記したように盛り上げ層40上にはメッキ下地層44が形成されていないために、前記盛り上げ層40上では、その周囲からのメッキ成長により上部コア層26が形成されていき、したがって完成後の上部コア層26の上面26eは、平坦化されて形成される。
【0112】
一方、前記盛り上げ層40上にメッキ下地層44が形成された場合には、前記盛り上げ層40上においてもメッキ成長が活発化し、完成後の前記上部コア層26の上面26eは、盛り上げ層40が形成されている部分が盛り上がってしまい、実質的に領域Aの記録媒体との対向面と平行な方向への断面積を、先端面26fの面積より小さくすることができなくなる。
【0113】
よって本発明では、上記のようにメッキ下地層44を盛り上げ層40の下側に敷くこととしている。
【0114】
またこの実施例においても、図1ないし図5に示す実施例と同様に、前記上部コア層26の先端面26fが、トラック幅方向(図示X方向)の両側に向かうにしたがって、ハイト方向(図示Y方向)へ徐々に後退する曲面形状で形成されていてもよい。また図7に示すように先端面26fが、記録媒体との対向面から点線Fの位置まで後退して形成され、前記先端面26fが前記対向面から完全に露出しない形状としてもよい。
【0115】
図6、7に示す実施例では、磁束密度Bは、前記領域Aよりも領域Cの方が小さくなるため、記録磁界は、領域Aから領域Cに流れると低下し、前記先端面26fと上部磁極層23間での漏れ磁界は減少し、サイドフリンジングの発生を適切に抑制することが可能である。一方、磁束密度Bが高まった前記領域Aが、記録コア24上で接合されていると、前記領域Aから記録磁界が有効に上部磁極層23側に流れ(図7の矢印参照)、磁束効率を上げることができ、今後の高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することが可能である。
【0116】
なお図1及び図6に示す実施例では、上部コア層26の先端面26fよりも断面積の小さくなる領域Aが一個所だけ形成されているが、前記領域Aが複数形成されていてもかまわない。
【0117】
また本発明では、前記領域Aでは、少なくとも前記上部コア層26の下面においてトラック幅方向の幅寸法が他の部分よりも細く形成されていれば良く、図1ないし図7に示す実施形態に限定されるものではない。
【0118】
また本発明では、前記領域Aでは、高さ方向(図示Z方向)の厚みが、前記領域Aよりも対向面側に位置する領域Cの前記厚みよりも薄く形成されていても良く、これによってもサイドフリンジングの発生を適正に抑制することが可能になっている。
【0119】
図8及び図9は、図1に示す薄膜磁気ヘッド(実施例)と、図18に示す薄膜磁気ヘッド(比較例)を用いて信号を記録媒体に記録した後、再生ヘッド(MRヘッド)を用いて、前記信号を再生した際のトラック幅Tw中央からトラック幅方向(図示X方向)への位置と、その位置での再生出力(TAA)との関係を示すグラフである。なお実験では、再生ヘッド(MRヘッド)に同じ形状のものを使用している。またグラフに示す横軸の0点は、再生ヘッドにおけるトラック幅Twの中央位置を示している。
【0120】
図8に示すように、0点すなわちトラック幅Twの中央部分では再生出力が最も大きくなり、前記中央部分からトラック幅方向(図示X方向)へ離れるほど再生出力(μV)は低下していき、トラック幅Tw中央から±1μm程度離れた位置では、再生出力は0μVとなる。
【0121】
図8に示すように、実施例の薄膜磁気ヘッドでは、サイドフリンジングの発生が無いことが理解できる。
【0122】
一方、図9に示す比較例の薄膜磁気ヘッドを用いた場合、図8と同様に、0点すなわちトラック幅Twの中央部分からトラック幅方向(図示X方向)に離れるにしたがって再生出力(μV)は低下していくものの、前記中央部分から約±1.1ないし1.3μm離れた位置で再び再生出力が向上することがわかる。すなわち図9に示すグラフでは、再生出力が盛り上がる山が3つ存在し、中央部分から約±1.1ないし1.3μm離れた位置で上昇する再生出力はサイドフリンジングとして出力される。このように図9に示すように、比較例の薄膜磁気ヘッドでは、サイドフリンジングが発生しやすいことがわかる。
【0123】
このように実施例の薄膜磁気ヘッドを使用した場合、サイドフリンジングが発生しにくいのは、上記したように、上部コア層26は、記録媒体との対向面よりもハイト方向奥側に位置する領域Aでの前記対向面と平行な断面の面積が、前記領域Aよりも前記対向面側に位置する領域Cでの前記と同じ平行な断面の面積よりも小さくなっているからであり、前記領域Aの存在により、前記領域Aよりも対向面側に位置する領域Cに流れる記録磁界は低下し、サイドフリンジングの発生を適切に抑制することが可能になっている。
【0124】
次に本発明における薄膜磁気ヘッドの製造方法について以下に説明する。図10ないし図14に示す薄膜磁気ヘッドは図1に示す薄膜磁気ヘッドの製造工程図である。また図10ないし13までが薄膜磁気ヘッドの部分縦断面図、図14が部分平面図で示されている。
【0125】
図10に示すようにまず下部コア層20上に、Gd決めレジスト層27を形成した後、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)へ所定の長さ寸法にて、記録コア24を形成する。前記記録コア24は、下から下部磁極層21、ギャップ層22、及び上部磁極層23の順に積層される。なお前記記録コア24はギャップ層22と上部磁極層23の2層で構成されていてもよい。
【0126】
なお前記ギャップ層22を、メッキ形成可能な非磁性金属材料で形成することが好ましい。具体的には、前記非磁性金属材料を、NiP、NiPd、NiW、NiMo、Au、Pt、Rh、Pd、Ru、Crのうち1種または2種以上から選択することが好ましい。これにより前記記録コア24を連続メッキにより形成することが可能である。
【0127】
また前記記録コア24のトラック幅方向(図示X方向)への幅寸法は、0.7μm以下、好ましくは0.5μm以下である。前記記録コア24のトラック幅方向への幅寸法はトラック幅Twとして規制されるので、できる限り小さく形成されることが好ましい。また下部磁極層21の高さ寸法は、0.3μm程度で形成され、ギャップ層22の高さ寸法は、0.2μm程度で形成され、また上部磁極層23の高さ寸法は、3.0μm〜3.3μm程度で形成される。
【0128】
次に図11に示すように、下部コア層20上、さらには記録コア24上を絶縁層30によって埋める。前記絶縁層30を形成する絶縁材料としては、無機絶縁材料であることが好ましい。具体的には、AlO、Al2O3、SiO2、Ta2O5、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si3N4、NiO、WO、WO3、BN、CrN、SiONのうち少なくとも1種から選択されることが好ましい。
【0129】
このように前記絶縁層30を無機絶縁材料で形成する理由は、次に行なわれるCMP技術によって前記絶縁層30の表面を研磨加工し易くするためである。
【0130】
図11に示すように前記絶縁層30をH−H線から、CMP技術を用いて研磨加工する。これによって前記絶縁層30の表面は平坦化され、また前記絶縁層30の表面からは上部磁極層23の表面が露出する。
【0131】
次に図12工程では、前記記録コア24よりもハイト側(図示Y方向)に埋められた絶縁層30上に、コイル層45を螺旋状にパターン形成し、さらに前記コイル層45上を有機絶縁材料からなる絶縁層32によって覆う。
【0132】
次に図13に示す工程では、前記記録コア24上から前記絶縁層32上にかけてNiFe系合金等からなるメッキ下地層44を形成する。
【0133】
次に図14に示す工程では、前記メッキ下地層44上にレジスト層42を塗布した後、前記レジスト層42に上部コア層26の抜きパターン42aを露光現像によって形成する。
【0134】
前記パターン42aは図14に示すように、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)にほぼ一定の幅寸法で形成された先端領域Fと前記先端領域Fのハイト方向奥側を起点としてハイト方向奥側に向けてトラック幅方向の幅寸法が広がる後端領域Gとで構成される。図14に示すように前記先端領域Fの下側には、記録コア24が形成されている。
【0135】
本発明では、前記パターン42aを形成するとき前記パターン42aの両側端面に前記パターン42a内に突き出る突起部42b,42bを形成する。前記突起部42b,42bは、トラック幅方向(図示X方向)と平行な方向に形成され、さらに前記トラック幅方向に左右対称な形状で形成されることが好ましい。
【0136】
また前記突起部42b,42bで狭められた幅寸法範囲内に前記記録コア24を位置させ、または前記幅寸法範囲を記録媒体との対向面側へ延長させた領域内に前記記録コア24を位置させる。
【0137】
また前記記録コア24が記録媒体との対向面からハイト方向へトラック幅Twで延びる先端領域Dと、前記先端領域Dの両側終端からハイト方向(図示Y方向)へ幅寸法が徐々に広がる後端領域Eで構成される場合、前記突起部42b,42bで狭められた幅寸法範囲内に前記記録コア24の後端領域Eを位置させ、または前記幅寸法範囲を記録媒体との対向面側へ延長させた領域内に前記記録コア24の後端領域Eを位置させる。
【0138】
そして前記パターン42b内に、磁性材料をメッキ形成し、残された前記レジスト層42を除去すると、図1に示す、前記突出部によってトラック幅方向の幅寸法が狭められた領域Aを有する上部コア層26を形成することができる。
【0139】
すなわち上記した本発明における製造方法によれば、前記上部コア層26の両側端面26c,26cに凹部37,37を形成することができる。前記凹部37,37の形成された領域Aでの前記対向面と平行な断面の面積は、前記領域Aよりも前記対向面側に位置する領域Cでの前記と同じ平行な断面の面積よりも小さくなり、したがってサイドフリンジングの発生を適切に抑制可能な薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0140】
また上記した製造方法によれば、レジスト層42を露光現像によってパターン形成するだけで、メッキ形成により完成した上部コア層26の両側端面26c,26cにサイドフリンジングの発生の抑制可能な凹部37,37を容易にしかも精度良く形成することが可能である。
【0141】
次に図15ないし図17に示す工程図を用いて、図6に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。なお図15及び図17は薄膜磁気ヘッドを部分縦断面図で、図16は薄膜磁気ヘッドを部分平面図で示している。
【0142】
まず図10ないし図13に示す工程を終えた後、図15及び図16に示すように、メッキ下地層44上に盛り上げ層40,40を形成する。前記盛り上げ層40は、例えばAlO、Al2O3、SiO2、Ta2O5、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si3N4、NiO、WO、WO3、BN、CrN、SiON等の無機絶縁材料や、レジストやポリイミド等の有機絶縁材料で形成される。
【0143】
また前記盛り上げ層40の形成される位置は、図15に示す位置に限らないが、前記盛り上げ層40,40が対向する部分の幅寸法内に記録コア24を位置させ、または前記幅寸法範囲を前記対向面側へ延長させた領域内に前記記録コア24を位置させる必要がある。
【0144】
また前記盛り上げ層40、40は、図16に示すように記録コア24のトラック幅方向(図示X方向)の両側に形成されている絶縁層30上にメッキ下地層44を介して形成され、また一対の盛り上げ層40,40はトラック幅方向に平行な方向で形成されていることが好ましい。さらに前記一対の盛り上げ層40,40は、同じ形状で形成され、しかも前記記録コア24の中央からトラック幅方向へ同じ距離だけ離れた位置に形成されることが好ましい。
【0145】
そして図16に示すように前記メッキ下地層41及び盛り上げ層40上にレジスト層43を塗布し、前記レジスト層43を露光現像して上部コア層26の抜きパターン43aを形成する。
【0146】
前記パターン43aの形成の際、図16に示すように、前記対向面からハイト方向奥側において前記パターン43aのトラック幅方向に対向する両側面から前記盛り上げ層40を前記パターン43a内に突き出させる。
【0147】
そして前記パターン43a内に磁性材料をメッキ形成し、残されたレジスト層43を除去すると、前記盛り上げ層40によってトラック幅方向の幅寸法が狭められた領域Aを有する上部コア層26が完成する。
【0148】
前記上部コア層26には、図6に示すように、その下面から高さ方向の途中まで延びる凹部41,41が形成され、この前記凹部41が形成された部分が領域Aとなっている。
【0149】
また上記した製造方法によれば、盛り上げ層40の形成のみで、前記上部コア層26の下面の両側端部にサイドフリンジングの発生の抑制可能な凹部41,41を容易にしかも精度良く形成することが可能である。
【0150】
また本発明の製造方法によれば図15に示すように、上部コア層26をメッキ成長で形成する際に必要なメッキ下地層44を形成した後、その上に盛り上げ層40を形成している。
【0151】
すなわち前記盛り上げ層40上にはメッキ下地層44が形成されていないから前記盛り上げ層40上でメッキ成長はされず、前記メッキ下地層44が形成されている部分からのメッキ成長により、徐々に盛り上げ層40上もメッキされ、図17に示すように、上部コア層26の上面は平坦化されて形成される。
【0152】
一方、盛り上げ層40上にメッキ下地層44が形成されていると、前記盛り上げ層40上でもメッキ成長していくために、上部コア層26の上面には点線で示す盛り上がった部分が形成されてしまい、領域Aの記録媒体との対向面と平行な方向からの断面積を、上部コア層26の先端面26fの面積よりも有効に小さくすることができず好ましくない。よって本発明では、まずメッキした地層41を形成した後、前記メッキ下地層44上に盛り上げ層40を形成しているのである。
【0153】
なお本発明では上記した製造方法に限られない。例えば前記盛り上げ層40に代えて図1に示す凹部37と同様の形状を有する円柱状の突出部を絶縁層30上に形成しておき、レジストによるパターン形成により、図1に示す形状の上部コア層26(下面から上面へ貫通する凹部37を有する)を形成することも可能である。なおこの場合、前記上部コア層26をメッキ成長させるために必要なメッキ下地層44を形成した後、前記メッキ下地層上に前記突出部の下側に形成する必要がある。
【0154】
また上記した製造方法では、上部コア層20上に記録コア24を形成した後、前記記録コア24のトラック幅方向の両側及びハイト側を絶縁層30によって埋めているが、まず先に下部コア層20上に絶縁層30を形成した後、前記絶縁層30に記録コア24形成のための溝を形成し、前記溝内に記録コアを連続メッキしてもよい。
【0155】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した本発明によれば、上部コア層は、前記対向面よりもハイト方向奥側に位置する領域Aでの前記対向面と平行な断面の面積が、前記領域Aよりも前記対向面側に位置する領域での前記と同じ平行な断面の面積よりも小さくなっており、これによりサイドフリンジングの発生を適正に抑制することができる。
【0156】
本発明では、前記領域Aの形成手段として、例えば上部コア層のトラック幅方向に対向する両端部に、前記上部コア層の下面から前記上部コア層の高さ方向の途中まで延びる凹部を形成したり、あるいは上部コア層の下面から上部コア層の高さ方向の途中まで延びる凹部を形成している。これらの形成は、レジスト層を使用したパターン形成や、絶縁材料製の盛り上げ層上に上部コア層を重ねて形成することで達成することができ、サイドフリンジングの発生の抑制可能な上部コア層の形状を容易にしかも再現性良く形成することができる。
【0157】
また本発明では前記領域Aにおいて狭められた上部コア層の幅寸法の範囲内から、または前記範囲を前記対向面側へ延長させた領域内から、前記記録コアが外れないように、前記記録コアと前記上部コア層とのトラック幅方向での相対位置が決められていることが好ましく、これによりサイドフリンジングの発生を抑制できると同時に、前記領域Aからの記録磁界を効率良く上部磁極層に流すことができ、今後の高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1実施形態の薄膜磁気ヘッドの構造を示す部分斜視図、
【図2】図1に示す薄膜磁気ヘッドの部分正面図、
【図3】図2に示す薄膜磁気ヘッドを3−3線から切断した部分断面図、
【図4】本発明における薄膜磁気ヘッドの部分平面図、
【図5】他の形状を示す薄膜磁気ヘッドの部分平面図、
【図6】本発明における第2実施形態の薄膜磁気ヘッドの構造を示す部分斜視図、
【図7】図6に示す薄膜磁気ヘッドの部分縦断面図、
【図8】実施例の薄膜磁気ヘッドを使用して信号を記録し、再生ヘッドで再生した際におけるトラック幅Tw中央からの位置と再生出力との関係を示すグラフ、
【図9】比較例の薄膜磁気ヘッドを使用して信号を記録し、再生ヘッドで再生した際におけるトラック幅Tw中央からの位置と再生出力との関係を示すグラフ、
【図10】本発明における薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す部分断面図、
【図11】図10工程の次に行なわれる工程を示す部分断面図、
【図12】図11工程の次に行なわれる工程を示す部分断面図、
【図13】図12工程の次に行なわれる工程を示す部分断面図、
【図14】図13工程の次に行なわれる工程を示す部分平面図、
【図15】本発明の別の製造方法を示す薄膜磁気ヘッドの部分断面図、
【図16】図15工程の次に行なわれる工程を示す部分平面図、
【図17】図16工程の次に行なわれる工程を示す部分断面図、
【図18】従来における薄膜磁気ヘッドの構造を示す部分斜視図、
【符号の説明】
20 下部コア層
21 下部磁極層
22 ギャップ層
23 上部磁極層
24 記録コア
26 上部コア層
26f 先端面
30 絶縁層
37 凹部
40 盛り上げ層
41 凹部
42、43 レジスト層
44 メッキ下地層
A、C 領域
Claims (14)
- 下部コア層と、
前記下部コア層上に、下から下部磁極層、ギャップ層、及び上部磁極層の順に積層され、あるいは下からギャップ層及び上部磁極層の順に積層されて、記録媒体との対向面に露出する記録コアと、
前記記録コアのトラック幅方向の両側及びハイト側を覆う絶縁層と、
前記記録コアの前記上部磁極層の上に磁気的に接合される上部コア層と、
前記下部コア層、記録コア及び上部コア層に記録用の磁界を誘導するコイルとが設けられ、
前記上部コア層は、前記対向面よりもハイト方向奥側に位置する領域Aでの前記対向面と平行な断面の面積が、前記領域Aよりも前記対向面側に位置する領域での前記と同じ平行な断面の面積よりも小さいことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 前記上部コアは前記対向面側に先端面を有し、この先端面が前記対向面と平行な面である場合には、前記先端面の面積が前記領域Aでの前記断面の面積よりも大きく、前記先端面が前記対向面と平行な面でない場合には、前記先端面を前記対向面と平行な面に投影したときの面積が、前記領域Aでの前記断面の面積よりも大きい請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記領域Aでは、少なくとも前記上部コア層の下面においてトラック幅方向の幅寸法が他の部分よりも細く形成されている請求項1または2記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記領域Aにおいて、前記上部コア層のトラック幅方向に対向する両側面に、上部コア層を上下に貫通する凹部が形成されている請求項3記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記領域Aにおいて、前記上部コア層のトラック幅方向に対向する両側部に、前記上部コア層の下面から前記上部コア層の高さ方向の途中まで延びる凹部が形成されている請求項3記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記領域Aでは、前記上部コア層の下面から上部コア層の高さ方向の途中まで盛り上がる曲面形状の表面を有する絶縁材料の盛り上げ層が形成されており、前記上部コア層は前記盛り上げ層の間から前記盛り上げ層の前記曲面上に渡って形成されている請求項5記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記盛り上げ層は、前記上部コア層をメッキ成長させるためのメッキ下地層の上に形成されている請求項6記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記領域Aにおいて狭められた上部コア層の幅寸法の範囲内から、または前記範囲を前記対向面側へ延長させた領域内から、前記記録コアが外れないように、前記記録コアと前記上部コア層とのトラック幅方向での相対位置が決められている請求項3ないし7のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
- 前記記録コアは、前記対向面からハイト方向奥側へ向けてトラック幅方向の幅寸法が一定である先端領域と、前記先端領域のハイト方向奥側を起点としてハイト方向奥側に向けてトラック幅方向の幅寸法が徐々に広がる後端領域とを有し、
前記領域Aにおいて狭められた上部コア層の幅寸法の範囲内から、または前記範囲を前記対向面側へ延長させた領域内から、前記後端領域が外れないように、前記記録コアと前記上部コア層とのトラック幅方向での相対位置が決められている請求項3ないし7のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。 - 前記上部コア層の前記先端面は、トラック幅方向の両側に向かうにしたがって、ハイト方向へ徐々に後退する曲面形状である請求項1ないし9のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
- (a)下部コア層の上に、下から下部磁極層、ギャップ層及び上部磁極層の順に積層し、または下からギャップ層及び上部磁極層の順に積層して、記録媒体との対向面でトラック幅方向の幅寸法が決められる記録コアを形成する工程と、
(b)前記(a)の工程の前または後に、前記記録コアの周囲に絶縁層を形成し、さらに前記記録コアと前記絶縁層の上面を同一平面にする工程と、
(c)前記記録コアと前記絶縁層の上にレジスト層を形成する工程と、
(d)前記レジスト層に、上部コア層を形成するための抜きパターンを形成し、このとき、前記対向面からハイト方向奥側において前記パターンのトラック幅方向に対向する両側面に互いにパターン内に突き出る突出部を形成し、この突出部で狭められた幅寸法範囲内に前記記録コアを位置させ、または前記幅寸法範囲を前記対向面側へ延長させた領域内に前記記録コアを位置させる工程と、
(e)前記パターン内に磁性材料をメッキ形成し、前記レジスト層を除去することにより、前記突出部によってトラック幅方向の幅寸法が狭められた領域Aを有する上部コア層を形成する工程と、
を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - (f)下部コア層の上に、下から下部磁極層、ギャップ層及び上部磁極層の順に積層し、または下からギャップ層及び上部磁極層の順に積層して、記録媒体との対向面でトラック幅方向の幅寸法が決められる記録コアを形成する工程と、
(g)前記(f)の工程の前または後に、前記記録コアの周囲に絶縁層を形成し、さらに前記記録コアと前記絶縁層の上面を同一平面にする工程と、
(h)前記対向面からハイト方向奥側において、前記絶縁層上にトラック幅方向に対向する突出部を形成し、このとき前記突出部が対向する部分の幅寸法範囲内に前記記録コアを位置させ、または前記幅寸法範囲を前記対向面側へ延長させた領域内に前記記録コアを位置させる工程と、
(i)前記記録コアと前記絶縁層の上に、レジスト層を形成する工程と、
(j)前記レジスト層に、上部コア層を形成するための抜きパターンを形成し、このとき、前記対向面からハイト方向奥側において前記パターンのトラック幅方向に対向する両側面から前記突出部をパターン内に突き出させる工程と、
(k)前記パターン内に磁性材料をメッキ形成し、前記レジスト層を除去することにより、前記突出部によってトラック幅方向の幅寸法が狭められた領域Aを有する上部コア層を形成する工程と、
を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。 - 前記(g)の工程の後に、前記絶縁層の上にメッキ下地層を形成し、前記(h)の工程では、前記突出部を前記メッキ下地層の上に形成し、前記(k)の工程では、前記レジスト層のパターン内で前記突出部以外の領域に現れる前記メッキ下地層の上にメッキを成長させる請求項12記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
- 前記(h)の工程で形成される突出部を、後に形成される上部コア層の高さ寸法の途中までの高さを有する曲面状の表面を有する絶縁材料の盛り上げ層とし、前記(k)の工程では、前記曲面状の前記表面の上にメッキを成長させて、下面から高さ方向の途中まで延びる凹部を有する領域Aが設けられた上部コア層を形成する請求項12または13記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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