JP3619534B2 - サブバンド分離及び結合方式 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、サブバンド分離(帯域分割)及び結合の分野に関するものである。もっと詳しくいえば、本発明は、画像データのアレイを2次元空間周波数分割帯域(サブバンド)に分離し、再びこれを結合する方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
2次元空間周波数サブバンド分離を用いる形式のデータ圧縮及び伸張方式は、英国公開特許出願GB−A−2252002号に記載されている。この方式では、分岐階層構成のローパス及びハイパスフィルタを用いて、画像データの2次元アレイを同じサイズの64個の空間周波数サブバンドに分割している。この分離を行うために、各サブバンドを構成するデータは、3段階の水平空間周波数分離と3段階の垂直空間周波数分離を受けている。
【0003】
もう1つのビデオデータ圧縮方式が、1991年6月発行「ビデオ技術のための回路及びシステムのIEEE会報」第1巻、第2号の174〜183頁におけるハミッド・ガラビによる論文「ビデオ機器HDTV会議テレビ電話のためのサブバンド符号化アルゴリズム」に記載されている。これには、上述のものと対照的に、データをサイズが不均一のサブバンド成分に分離するビデオ圧縮方式が開示されている。この形式の周波数分離は、対数(的)サブバンド符号化として知られており、これを添付の図1に示す。
【0004】
上述形式の周波数分離で起こる問題は、データが受けるフィルタリング(ろ波)の各段階でサブバンド・データの中にラウンディング(丸め)エラーが入り易く、これを防ぐには、各データ値を表すビットの数を増やさなければならないことである。したがって、8ビットデータ値を圧縮の際に6段階のろ波を行い、伸張の際に6段階のろ波を行った後に該データ値を精確に復元するには、サブバンドデータ内で12ビットのデータ値を用いる必要があるであろう。よって、サブバンド分離は、データを非相関化してデータを圧縮することを容易にし、画像を表すビット数を少なくできる反面、サブバンド分離の過程自体で生じるエラーが圧縮を改善したい希望とは逆に作用する。というのは、サブバンドデータ値を表すに必要なビット数が忠実度を保つために増えるからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、サブバンド内で各データ値を表すビット数を増す必要がないサブバンド分離方式を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、一面において、画像データのアレイを2次元空間周波数サブバンドに分離する装置を提供する。その装置は、
画像データのアレイを第1の低周波数サブバンドと第1の高周波数サブバンドに第1の方向における空間周波数フィルタリングを用いて分離する第1の分離段と、
各段で、その最低周波数サブバンドのみを更に低周波数サブバンドと高周波数サブバンドとに、上記第1方向とこれに直角の第2方向との間で交番する方向における空間周波数フィルタリングを用いて分離する1以上の後続の分離段とを具える。
【0007】
連続する各周波数分離段において、その時点で最低の周波数サブバンドを更に周波数分離する。こうすると、各サブバンドが受けるろ波作用の平均回数が減り、従ってサブバンドデータ値を表すに必要なビット数が減少するという有利な結果が得られる。ろ波作用の回数が減ると、データが種々の異なる空間周波数サブバンドに細かく分割されなくなるが、これは大した問題ではない。というのは、最も細かく周波数分離されるのはより低い空間周波数であり、画像の情報内容の大部分が正にこれらのサブバンドの中に含まれるからである。
【0008】
各段で行われる周波数分離には、色々な種類のフィルタ、例えば汎用直角ミラー(quadrature mirror )フィルタ(QMF)を使用できる。しかし、本発明では、各分離段は、入力データをデシメート(間引き)して低周波数サブバンドを分離する手段と、入力データをハイパス(高域通過)ろ波した後デシメートして高周波数サブバンドを分離する手段とを含む。
【0009】
各段で入力データをデシメートして低周波数サブバンドを分離すると、与えられデータ値を表すのに必要なビット数がかかるサブサンプリングによって変わらない利点がある。例えば、画像データが8ビット画像データのアレイである場合、これをサブサンプリングしてその低周波数内容を抽出しても依然8ビットデータ値である。サブバンドは、デシメーションによる分離を数段階にわたって受けるが、せいぜい1段階のハイパスろ波による分離を受けるにすぎない。こうして、サブバンドのデータ値に必要なビット数の増加を抑えることができる。
【0010】
上記画像データの各データ値のビット数がnである場合、上記デシメートする手段の各々はnビットデータ値の低周波数サブバンドを分離し、上記ハイパスろ波しデシメートする手段の各々はn+1ビットデータ値の高周波数サブバンドを分離するよう構成すれば、十分であることが分かった。
【0011】
適用する周波数分離段の数は、色々と変えることができる。しかし、複雑さの度合いと、達成される周波数分離度に対して必要なハードウェアの量との間の好適なバランスは、4つの分離段をもつ構成にあることが見出された。
【0012】
このような多段処理システムを使用すると、エッジ(端縁)効果が起こる可能性がある。この問題は、周波数ろ波を使用する装置において特に顕著である。というのは、かかる周波数フィルタは一般に、エッジ効果を起こす傾向が強いからである。本発明の好適な具体構成では、各分離段と上記最低周波数サブバンドを表すデータ値を読出す手段との間にバッファを設ける。このデータ値は、該バッファから後続の分離段に、この後続分離段がろ波を行う方向に上記最低周波数サブバンドの鏡像(対称)エッジ延長を行う順序で供給される。
【0013】
上述した周波数分離に対する相補的な処理は、あとで行わねばならない周波数結合である。したがって、本発明は、他の面からみて、2次元空間周波数サブバンドを結合して画像データのアレイを発生する装置を提供する。その装置は、
各段で、最低周波数サブバンドと次の最低(その次に最も低い)周波数サブバンドのみを、第1の方向とこれに直角の第2の方向との間で交番する方向における空間周波数補間を用いて結合する1以上の結合段と、
最終の低周波数サブバンドと最終の高周波数サブバンドとを上記画像データのアレイに結合する最終結合段とを具えており、
各結合段は、上記最低周波数サブバンドを補間してローパスろ波する手段からの出力を加算する加算器と、上記次の最低周波数サブバンドを補間する手段とを含んでおり、
各結合段における上記最低周波数サブバンドはnビットデータ値を有し、上記段における他のサブバンドはすべてn+1ビットデータ値を有し、上記画像データの各データ値のビット数はnである。
【0014】
本発明のサブバンド分離技法は、画像の周波数内容の又は画像データ処理装置の性能の分析のような種々の分野で使用できる。しかし、本発明のサブバンド分離技法は、特に画像データを圧縮及び(又は)伸張する装置に用いて有利である。かような装置は一般に、画像データ信号をサブバンド分離して非相関化してから、画像データ信号のエントロピーを増すために符号化している。
【0015】
本発明は、更に他の面からみて、画像データのアレイを2次元空間周波数サブバンドに分離する方法を提供する。その方法は、
第1分離段で、第1の方向における空間周波数フィルタリングを用いて、上記画像データのアレイを第1の低周波数サブバンド及び第1の高周波数サブバンドに分離するステップと、
後続の各分離段で、上記第1方向とこれに直角の第2方向との間で交番する方向における空間周波数フィルタリングを用いて、最低周波数サブバンドのみを更に低周波数サブバンドと高周波数サブバンドとに分離する1以上の後続ステップとを含んでおり、
各分離段での上記ステップは、低周波数サブバンドを分離するために入力データをデシメートするステップと、高周波数サブバンドを分離するために入力データをハイパスろ波してデシメートするステップとを含んでおり、
上記画像データの各データ値のビット数がnであり、上記デシメートするステップの各々では、nビットデータ値の低周波数サブバンドを分離し、上記ハイパスろ波しデシメートするステップの各々では、n+1ビットデータ値の高周波数サブバンドを分離する。
【0016】
本発明はまた、相補的な観点からみて、2次元空間周波数サブバンドを画像データのアレイに結合する方法を提供する。その方法は、
各結合段で、第1方向とこれに直角の第2方向との間で交番する方向における空間周波数補間を用いて、最低周波数サブバンドと次の最低周波数サブバンドのみを結合する1以上のステップと、
最終の低周波数サブバンドと最終の高周波数サブバンドとを上記画像データのアレイに結合する最終結合ステップとを含んでおり、
各結合段での上記ステップは、上記最低周波数サブバンドを補間してローパスろ波するステップと、上記次の最低周波数サブバンドを補間するステップと、上記ローパスろ波した信号と上記補間した信号とを加算するステップとを含んでおり、
各結合段における上記最低周波数サブバンドはnビットデータ値を有し、上記段における他のサブバンドはすべてn+1ビットデータ値を有し、上記画像データの各データ値のビット数はnである。
【0017】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明を具体的に説明する。
図1は、前述した公知の対数分離を示す説明図である。画像データの入力アレイ2はまず、A段において垂直フィルタリング(ろ波)を受け、データは低周波数サブバンド4と高周波数サブバンド6とに分割される。低周波数サブバンド4と高周波数サブバンド6はそれから、B段において水平ろ波作用を受ける。これにより、4つのサブバンドが生じる。この段における最低周波数サブバンドは、サブバンド8である。最低周波数サブバンド8はそれから、C段にて垂直ろ波を受ける。2つの最低周波数サブバンド10は、D段において水平ろ波を受ける。最終の周波数分離された画像データ12は、7つのサブバンド成分より成る。最低周波数の4つのサブバンドは、夫々4段階のフィルタリングを受けているのに対し、高周波数の3つのサブバンドは、2段階のフィルタリングしか受けていない。
【0018】
陰影を付けた区域は、直ぐ次の処理段でろ波されるデータ部分を示す。例えば、A及びB段では全データがろ波されるが、C段では最低周波数サブバンド8のみがろ波される。
【0019】
図2は、本発明に用いるハーフバンド分離を示す説明図である。各ろ波段においては、画像の最低空間周波数部分のみがろ波される。陰影区域が、直ぐ次の段でろ波される画像を表すデータ部分を示す。画像データの入力アレイ2はまず、A′段で垂直ろ波を受ける。B′段で、最低周波数サブバンド14が水平ろ波を受ける。対数分離とは対照的に、最高周波数サブバンド16は、第1ろ波段(A′段)のあとそれ以上ろ波されない。C′段にて、最低周波数サブバンド18のみ再びろ波され、今度は垂直ろ波を受ける。最後にD′段で、C′段からの最低周波数サブバンド20が更に水平ろ波処理を受ける。
【0020】
A′及びC′段は垂直ろ波を行うのに対し、B′及びD′段は水平ろ波を行う。即ち、フィルタリングの方向が、隣りのろ波段に移るときに、2つの直交する方向の間で交番する(交互に替わる。)。
【0021】
画像データの入力アレイ2から生じた最終画像データは、5つのサブバンド成分を含む。高い方の周波数サブバンドが、それより低い周波数サブバンドより大きく、受けるろ波段数が少ないことが看取されるであろう。よって、画像データ全体が受けるろ波作用の平均量が減少する。これは、ほぼ完全な復元を行うことにより忠実度を保つために各データ値に必要なビット数を減らすのに役立つ。
【0022】
図3は、ハーフバンド分離と相補的なハーフバンド結合を示す説明図である。複数の2次元空間周波数サブバンド24として表された入力画像は、ディスプレイに適した形式の画像データのアレイ26へと結合される。第1の結合段E′は、空間周波数補間を用いて最低周波数サブバンド28を次の最低周波数サブバンド30と結合する。この補間は、水平方向である。非陰影区域は、結合段E′によって変化しない。F′段で、上記2つの最低周波数サブバンド32,34が垂直補間によって結合される。更に2つの結合段G′及びH′で、水平及び垂直方向の結合が行われ、画像データのアレイ26が作り出される。
【0023】
各段で、最低周波数サブバンドと次の最低周波数サブバンドとが、隣接する処理段の間で交番する方向における空間周波数補間によって結合されることが分かるであろう。
【0024】
図4は、ハーフバンド分離及びハーフバンド結合を行う本発明サブバンド分離及び結合装置の例を示すブロック図である。図2の画像データアレイ2からの画像データは、水平方向にラスタ走査されて入力端36に加えられる。デシメータ38は、入力画像データを垂直方向にサブサンプリングして1つおきにラインを除くことにより、該データの実効的な垂直ローパスろ波を行う。入力画像データはまた、並列にハイパスフィルタ(HPF)40及びデシメータ42に供給され、高い垂直空間周波数のサブバンドが分離される。HPF40は、有限インパルス応答型のもので、ほぼ完全な復元を維持するために、各データ値を表すに必要なビット数をnからn+1に増加させる作用がある(丸めエラーなどにより精確さが損なわれる可能性があるので)。
【0025】
高周波数のサブバンドは、出力サブバンドとして用いられる。デシメータ38の出力は、第1ろ波段からの最低周波数サブバンドを構成し、デシメータ44とHPF46及びデシメータ48とに並列に供給され、更に処理される。デシメータ44は、データを水平方向にサブサンプリングすることにより、水平ローパスろ波作用を行う。HPF46は、水平ハイパスろ波作用を行い、その出力をデシメータ48に供給する。
【0026】
HPF46の水平ろ波作用は、タップ間にサンプル遅延素子を設けることにより達成される。これと対照的に、HPF40による垂直ろ波作用は、タップ間にライン遅延素子を設けることにより達成される。各々が異なるサブバンドを表し夫々のチャンネルから出力される各データの同期を保つために、その他の遅延素子(図示せず)を付加してもよい。
【0027】
デシメータ44からの出力は、第3のろ波段に送られ、そこで再び垂直デシメーションを受けて低周波数サブバンドを発生すると共に、ハイパスろ波を受けて高周波数サブバンドを発生する。3段のろ波を受けたあとの最低周波数サブバンドを構成するデータは、サブサンプリングのみを受けたものである。サブサンプリングは、高忠実度復元を確実にするためにデータを表すに必要なビット数の増加を要求するといったエラーを引起こすことは全くない。したがって、最終周波数サブバンドはnビットである。それより高い周波数のサブバンドはすべて、各々1段のみのハイパスろ波を受けるので、各データ値はn+1ビットである。図4の左側で行われるろ波作用は、図2の最初の3段階A′,B′及びC′に対応するものである。
【0028】
図4の右半分は、サブバンド結合装置である。最低周波数サブバンドは、補間器50に送られ、そこで空白の水平ラインを1ラインおきに挿入することにより垂直方向に補間される。この信号はそれから、分離段のHPF40,46と相補的なローパスフィルタ(LPF)52に送られる。次の最低周波数サブバンドは、補間器54に送られ、そこで垂直方向の補間を受ける。補間器54及びLPF52の出力は、加算器56により加算される。加算器56の出力は、これら2つの最低周波数サブバンドを周波数結合したものとなる。この処理は、図3のF′段に対応する。
【0029】
加算器56の出力は、ここで最低周波数サブバンドとなり、補間器58に供給され、そこで、水平ラスタ信号内の隣接データ値の間に0データ値を挿入することによる水平補間を受ける。次の最低周波数サブバンドは、補間器60に送られ、そこで同じく水平補間を受ける。LPF62は、補間器58の出力を処理したのち、それを補間器60の出力と一緒に加算器64に供給する。LPF62は、LPF52と同一である。加算器64の出力は、結合の第1段F′のあとに残った2つの最低周波数サブバンドを水平補間結合したものとなる。補間器58,60、LPF62及び加算器64の作用は、図3のG′段に対応する。
【0030】
加算器64の出力と未だ結合されない残りのサブバンドとは、最終結合段において垂直補間され、図3のH′段と同様に画像データアレイを生じる。
【0031】
図5は、有限インパルス応答型のHPFの例を示す図である。入力データ値は、入力端66に加えられ、一連の遅延素子68に沿って転送される。この遅延チェーンに沿う選択点にタップが取出され、これらは乗算器70に接続され、そこでデータ値に図示の係数が乗算される。乗算器70の出力は、7入力加算器72によって加算され、出力端74に出力を生じる。遅延素子68の遅延時間が1サンプル遅延であれば、このフィルタは一般にラスタ方向に沿う水平ろ波を行い、遅延素子68の遅延時間がライン遅延であれば、このフィルタは一般にラスタ方向と直角に垂直ろ波を行う。図5に示す係数は、ハイパスろ波作用を与えるものである。出力端74における出力は、データ値を再正規化するためにスケール(基準化)されねばならない。
【0032】
図6は、図5のものと相補的な特性のLPFを示す図である。このフィルタの構成及び作用は、図5のものに類似するが、乗算係数のみ異なる。
【0033】
図7は、本発明によるサブバンド分離及び結合装置の他の例を示すブロック図である。本例は、図4のものと比べ、分離側にLPF76が付加され、結合側にHPF78が付加される点が異なる。分離側において、図4のデシメータに頼るだけでなくLPF76を用いて各段で最低周波数サブバンドを作ると、各種サブバンド間のエイリアス(重複歪み)の量を減らす効果がある。しかし、そうすると、最後にほぼ完全な復元が達成されるよう各データ値に必要なビット数を増さねばならなくなる欠点が生じる。各データサンプルに必要なビット数と状況に応じて変化するエイリアスの問題との間には、一定のバランスがある。
図7の結合側では、HPF78はLPF76と逆の作用をする。
【0034】
図8は、鏡像(対称)エッジ延長を示す説明図である。有限インパルス応答フィルタを用いる場合、データストリーム内の各点に対するろ波(された)値は一般に、当該点からのデータ値が遅延チェーンの中央にあるとき、フィルタから出力されると考えられる。したがって、類似データがフィルタのチェーンに入り込むことによりエッジ効果が起こりそうであるが、該チェーンに残っている有効データからろ波値を読出したい場合、フィルタに何らかの方法で、ろ波開始の際に「プリロード」するか或いはろ波終了時に「ポストロード」しなければならないことが分かるであろう。
【0035】
この問題を軽減する1つの方法は、鏡像エッジ延長を行って、データストリームの始めと終わりのデータ値を対称的に延長することである。図8に示すように、データの始めでは0,1,2,3を3,2,1,0,1,2,3に延長し、データの終わりではN−3,N−2,N−1をN−3,N−2,N−1,N−2,N−3に延長するのである。
【0036】
図9は、このような鏡像エッジ延長を行うための回路を示すブロック図である。分離又は結合の各段間に、交替バッファ80を設ける。スイッチ82及び84の作用により、両バッファの一方が前段によって書込まれ、その間に他方が読出される。書込みアドレス発生器86は、前段からのデータをバッファのどこに記憶するかを制御する。読出しアドレス発生器88は、バッファのどこから読出してデジタルフィルタ90に供給するかを制御する。十分な空白(ブランク)時間があれば、データのエッジの周りに種々のデータ値を1回以上読出してデジタルフィルタ90に供給するための読出しアドレスを制御する時間はあるであろう。このようにして、図8に示したような鏡像エッジ延長を達成することができる。
【0037】
読出しアドレス発生器88のもう1つの機能として、デジタルフィルタ90の動作と不動作を制御するようにしてもよい。図2及び3から明らかなように、分離及び結合作用は、処理されているデータの選択部分(陰影部分)に適用されるだけである。残りのデータは、そのまま装置の中を通過させるだけでよい。そのために、読出しアドレス発生器88はまた、イネーブル信号「en」をデジタルフィルタ90に送り、分離又は結合されるべきでないデータ部分が通過するときにデジタルフィルタ90をバイパスさせる。
【0038】
図10は、本発明を使用しうる形式のデータ圧縮及び伸張装置を示すブロック図である。画像データは、上述したようなサブバンド分離装置92に入力される。サブバンドは、それから量子化器94によって量子化され、ランレングス及びハフマン符号化器96により、それらのエントロピーを増すためにランレングス及びハフマン符号化される。ランレングス及びハフマン符号化器96から出力されるデータは、空間周波数領域に変換され、量子化され、エントロピー符号化されたものである。
【0039】
伸張(圧縮復号)側では、データは、ハフマン及びランレングス復号器98によってハフマン及びランレングス復号され、次いで逆量子化器100によって逆量子化され、上述した形式のサブバンド結合ユニット102によってサブバンド結合される。この圧縮伸張装置で行われる量子化及びエントロピー符号化作用は、このサブバンド分離技法で発生されるサブバンドの特性に応じて調整される。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、サブバンド内で各データ値を表すビット数を増す必要がないサブバンド分離方式を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の対数分離法を示す説明図である。
【図2】本発明に用いるハーフバンド分離法を示す説明図である。
【図3】本発明に用いるハーフバンド結合法を示す説明図である。
【図4】本発明によるサブバンド分離及び結合装置の例を示すブロック図である。
【図5】図4の装置に用いるHPFの例を示すブロック図である。
【図6】図4の装置に用いるLPFの例を示すブロック図である。
【図7】本発明によるサブバンド分離及び結合装置の他の例を示すブロック図である。
【図8】本発明に用いる鏡像エッジ延長の例を示す説明図である。
【図9】鏡像エッジ延長を行うための回路の例を示すブロック図である。
【図10】本発明を用いるデータ圧縮伸張装置の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 画像データのアレイ
14 第1の低周波数サブバンド
16 第1の高周波数サブバンド
A′ 第1の分離段
14,18,20 最低周波数サブバンド
B′,C′,D′ 後続する分離段
38,42,44,48 デシメートする手段
40,46 HPF
80 バッファ
28,32 最低周波数サブバンド
30,34 次の最低周波数サブバンド
E′,F′,G′ 1以上の結合段
H′ 最終結合段
50,54,58,60 補間手段
56,64 加算器
52,62 LPF
Claims (10)
- 画像データのアレイを2次元空間周波数サブバンドに分離する装置であって、
第1の方向における空間周波数フィルタリングを用いて、上記画像データのアレイを第1の低周波数サブバンドと第1の高周波数サブバンドとに分離する第1の分離段と、
各段で、上記第1方向とこれに直角の第2方向との間で交番する方向における空間周波数フィルタリングを用いて、各段における最低周波数サブバンドのみを更に低周波数サブバンドと高周波数サブバンドとに分離する1以上の後続する分離段と
を具えており、
各分離段は、低周波数サブバンドを分離するために入力データをデシメートする手段と、高周波数サブバンドを分離するために入力データをハイパスろ波してデシメートする手段とを含んでおり、
上記画像データの各データ値のビット数がnであり、上記デシメートする手段の各々は、nビットデータ値の低周波数サブバンドを分離し、上記ハイパスろ波しデシメートする手段の各々は、n+1ビットデータ値の高周波数サブバンドを分離するサブバンド分離装置。 - 4以上の分離段を具える請求項1の分離装置。
- 各分離段と上記最低周波数サブバンドを表すデータ値を読出す手段との間にバッファを有し、該データ値は、後続の分離段に上記バッファから、該後続分離段がろ波を行う方向に上記最低周波数サブバンドの鏡像エッジ延長を行う順序で供給される請求項1又は2のいずれか1項の分離装置。
- 2次元空間周波数サブバンドを画像データのアレイに結合する装置であって、
各段で、第1の方向とこれに直角の第2の方向との間で交番する方向における空間周波数補間を用いて、各段における最低周波数サブバンドと次の最低周波数サブバンドのみを結合する1以上の結合段と、
最終の低周波数サブバンドと最終の高周波数サブバンドとを上記画像データのアレイに結合する最終結合段とを具えており、
各結合段は、上記最低周波数サブバンドを補間してローパスろ波する手段からの出力を加算する加算器と、上記次の最低周波数サブバンドを補間する手段とを含んでおり、
各結合段における上記最低周波数サブバンドはnビットデータ値を有し、上記段における他のサブバンドはすべてn+1ビットデータ値を有し、上記画像データの各データ値のビット数はnである結合装置。 - 4結合段を具える請求項4の結合装置。
- 各結合段と上記最低周波数サブバンドを表すデータ値を読出す手段との間にバッファを有し、該データ値は、後続の結合段に上記バッファから、該後続結合段がろ波を行う方向に上記最低周波数サブバンドの鏡像エッジ延長を行う順序で供給される請求項4又は5のいずれか1項の結合装置。
- 画像データのアレイを2次元空間周波数サブバンドに分離する請求項1,2又は3のいずれか1項の分離装置と、上記サブバンドを夫々符号化して、より高い信号エントロピーをもつ圧縮されたデータを発生する手段とを具えた画像データ圧縮装置。
- 画像データのアレイを2次元空間周波数サブバンドに分離する請求項1,2又は3のいずれか1項の分離装置と、
圧縮されたデータを復号して、より低い信号エントロピーの2次元空間周波数サブバンドデータを発生する手段と、
2次元空間周波数サブバンドを画像データのアレイに結合する請求項4,5又は6のいずれか1項の結合装置とを具えた画像データ伸張装置。 - 画像データのアレイを2次元空間周波数サブバンドに分離する方法であって、
第1の分離段で、第1の方向における空間周波数フィルタリングを用いて、上記画像デ ータのアレイを第1の低周波数サブバンドと第1の高周波数サブバンドとに分離するステップと、
後続の各分離段で、上記第1方向とこれに直角の第2方向との間で交番する方向における空間周波数フィルタリングを用いて、各段における最低周波数サブバンドのみを更に低周波数サブバンドと高周波数サブバンドとに分離する1以上の後続ステップと
を含んでおり、
各分離段での上記ステップは、低周波数サブバンドを分離するために入力データをデシメートするステップと、高周波数サブバンドを分離するために入力データをハイパスろ波してデシメートするステップとを含んでおり、
上記画像データの各データ値のビット数がnであり、上記デシメートするステップの各々では、nビットデータ値の低周波数サブバンドを分離し、上記ハイパスろ波しデシメートするステップの各々では、n+1ビットデータ値の高周波数サブバンドを分離するサブバンド分離方法。 - 2次元空間周波数サブバンドを画像データのアレイに結合する方法であって、
各結合段で、第1の方向とこれに直角の第2の方向との間で交番する方向における空間周波数補間を用いて、各段における最低周波数サブバンドと次の最低周波数サブバンドのみを結合する1以上のステップと、
最終の低周波数サブバンドと最終の高周波数サブバンドとを上記画像データのアレイに結合する最終結合ステップと
を含んでおり、
各結合段での上記ステップは、上記最低周波数サブバンドを補間してローパスろ波するステップと、上記次の最低周波数サブバンドを補間するステップと、上記ローパスろ波した信号と上記補間した信号とを加算するステップとを含んでおり、
各結合段における上記最低周波数サブバンドはnビットデータ値を有し、上記段における他のサブバンドはすべてn+1ビットデータ値を有し、上記画像データの各データ値のビット数はnであるサブバンド結合方法。
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