JP3619308B2 - 液体封入式防振マウント装置 - Google Patents

液体封入式防振マウント装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半径方向内側に配置した内筒部材の外周面と半径方向外側に配置した外筒部材の内周面とを内部に液体を封入した弾性体で接続してなる防振マウント装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる防振マウント装置において、内筒部材をボルトでボディに固定するとともに、外筒部材の外周面をシャシに形成した被圧入部の内周面に圧入して固定するものが、実開昭62−13251号公報により既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の防振マウント装置は、外筒部材の外周面と被圧入部の内周面との間に泥水等が浸入すると、その泥水等を外部に排出する排水手段を持たないために、被圧入部や防振マウント自体が腐食し易いという問題があった。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、外筒部材の外周面と被圧入部の内周面との間への上記泥水等の浸入にる防振マウント及びその被圧入部の腐食を防止して耐久性の向上を図ること目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、振動源と支持体との間に設けられる液体封入式防振マウント装置であって、半径方向内側に配置した内筒部材の外周面と半径方向外側に配置した外筒部材の内周面とを内部に液体を封入した弾性体で接続し、内筒部材を振動源及び支持体の何れか一方に支持するとともに、外筒部材の外周面を振動源及び支持体の何れか他方に形成した被圧入部の内周面に圧入するものにおいて、外筒部材の外周面と被圧入部の内周面との間には、その間に浸入した水がそこに滞留するのを防止するための、軸方向に延びる排水溝を形成し、この排水溝を通して外筒部材の軸方向一端側から他端側へ排水することを特徴とする。
【0006】
また請求項2に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、外筒部材の外周面に被圧入部の内周面に圧入される弾性体よりなる環状リブを突設し、この環状リブの一部を除去することにより前記排水溝を形成したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0008】
図1〜図15は本発明の一実施例を示すもので、図1は自動車のフロントサブフレームの斜視図、図2は図1の2−2線拡大断面図、図3は防振マウントの縦断面図、図4は図2の4−4線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は防振マウントの一部破断斜視図、図7は図6の7方向矢視図、図8は図6の8方向矢視図、図9は水抜き通路の作用説明図、図10は第1組立工程を示す図、図11は図10の11A部及び11B部拡大図、図12は第2組立工程を示す図、図13は第3組立工程を示す図、図14は第2弾性体の圧縮による動バネ定数の変化を示すグラフ、図15は第2弾性体に高ダンピング材を使用したことによる動バネ定数の変化を示すグラフである。
【0009】
図1に示すように、自動車のフロントサブフレームSFは、車体左右方向に延びるフロントビーム1と、このフロントビーム1の左右両端から後方に延びる左サイドビーム2及び右サイドビーム2と、これら左右サイドビーム2,2の後端間を接続するリヤビーム3とを備えて概略枠状に形成される。図示せぬエンジンはリヤビーム3の左右両端に設けた左エンジンマウント4及び右エンジンマウント4にマウントブラケット5,5を介して支持され、更に前記エンジンはフロントビーム1の左右両端に設けたストッパ6,6(右側のストッパ6は図示せず)によって支持される。
【0010】
フロントサブフレームSFの左側部は、フロントビーム1の左端に形成したカップ状ホルダー7に嵌合する第1防振マウントMと、リヤビーム3の左端に形成した2個のカップ状ホルダー8,9に嵌合する第2、第3防振マウントM,Mとによって左サイドフレームFに支持される。即ち、第1、第2、第3防振マウントM,M,M及びカップ状ホルダー7,8,9は、それぞれボルト10…及びナット11…で左サイドフレームFの下面に共締めされる。このとき、第1、第3防振マウントM,Mとボルト10,10の頭部との間に挟持されたプレート12,13の先端が、それぞれボルト14,15で図示せぬ車体フレームに結合される。尚、第2防振マウントMとボルト10の頭部との間には、ワッシャ16が挟持される。
【0011】
フロントサブフレームSFの右側部は、前述した左側部と同様にして第1、第2、第3防振マウントM,M,M(図示せず)によって右サイドフレームFに支持される。前記6個の防振マウントM…は全て同一構造を備えているため、それらの代表として第2防振マウントMの構造を説明する。
【0012】
図2に示すように、下面が開口するカップ状ホルダー8の収納凹部8に嵌合する防振マウントMを左サイドフレームFに固定するボルト10は、ワッシャ16、防振マウントM、カップ状ホルダー8の開口部8、環状のシールラバー17、左サイドフレームFのボルト孔18、補強カラー19、左サイドフレームFのボルト孔18を貫通し、ナット11に螺合する。
【0013】
前記左サイドフレームFL は本発明の支持を構成し、前記フロントサブフレームSFは本発明の振動源を構成する。
【0014】
図3〜図8を併せて参照すると明らかなように、防振マウントMはボルト10が貫通するボルト孔21を有する段付円筒状のセンターパイプ21を備えており、そのセンターパイプ21の下部小径部21を除く上部小径部21及び大径部21の外周にラバー製の第1弾性体22の内周が焼き付けにより結合される。第1弾性体22には、下端が開放するとともに上端が閉塞された一対のオリフィス22,22が円周方向に180°の位相差をもって軸方向に形成され、また一対のオリフィス22,22の半径方向外側には、上端が開放するとともに下端が閉塞された一対の気室22,22が軸方向に形成される。オリフィス22,22及び気室22,22間に、半径方向に弾性変形可能な一対のダイヤフラム22,22が形成される。概略円筒状の第1カラー23の内周に第1弾性体22の外周が焼き付けにより結合される。
【0015】
ところで、複数部材の間隙によってオリフィスを構成する場合には、それら複数部材の相対位置のズレ等によりオリフィスの流路断面積に誤差が発生する可能性がある。しかしながら、前記オリフィス22,22は単一の第1弾性体22の壁面のみによって構成されているので、複数部材の相対位置のズレ等に起因する前記流路断面積の誤差が発生する虞がなく、防振マウントMの個体間に特性差が生じるのを防止することができる。
【0016】
概略円筒状の第2カラー24の下端と環状のブッシュ25とを接続するようにラバー製の第2弾性体26がインサート成形される。第2カラー24の内周には前記第1カラー23の外周が嵌合しており、第1カラー23の下端を第2カラー24の段部24に当接させた状態で該第2カラー24の上部を内向きにカシメるとともに上端を下向きにカシメることにより(カシメ部a,a参照)、第2カラー24と第1カラー23とが一体に結合される。前記段部24は、第2カラー24を製造する際に、絞り加工により形成することができる。またブッシュ25の内周は前記センターパイプ21の下部小径部21の外周に圧入により一体に結合される(圧入部b参照)。
【0017】
上述のようにして第2カラー24と第1カラー23とを一体に結合し、且つブッシュ25とセンターパイプ21とを一体に結合すると、第1弾性体22の下端と第2弾性体26の上端とが密着し、そこに環状の液室26が画成される。液室26と前記オリフィス22,22とは相互に連通しており、両者によって液体が封入された密閉空間が構成される。第2カラー24の下部とブッシュ25とを接続する第2弾性体26の主要部は、上下方向に変位可能なゴム部26を構成しており、このゴム部26は液室26の下壁を画成する。
【0018】
第1弾性体22及び第2弾性体26には損失係数の異なる異種材料が使用される。即ち、第1弾性体22には損失係数の小さい低ダンピング材(例えば、天然ゴムNR)が使用され、また第2弾性体26には損失係数の大きい高ダンピング材(例えば、ブチルゴムIIR)が使用される。
【0019】
前記センターパイプ21及びブッシュ25は本発明の内筒部材を構成し、前記第1カラー23及び第2カラー24は本発明の外筒部材を構成する。
【0020】
第2弾性体26の下面には中間部に環状突起26…を備えた3本の脚部26…が突設されており、これら脚部26…が前記カラー16に形成された3個の係止孔16…に嵌合する。防振マウントMにカラー16を組み付けるとき、脚部26…をカラー16の係止孔16…に嵌合させて環状突起26…で抜け止めすることより、防振マウントMとカラー16とを仮組みして作業性を向上させることができる。
【0021】
図2及び図3を比較すると明らかなように、第1弾性体22の上端にセンターパイプ21の上端よりも上方に延出するシールリップ22が突設されるとともに、第2弾性体26の下端にセンターパイプ21の下端よりも下方に延出するシールリップ26が突設される。図3に示す組付状態において、第1弾性体22のシールリップ22は左サイドフレームFの下面に弾性的に当接してシール効果を発揮し、また第2弾性体26のシールリップ26はワッシャ16の上面に弾性的に当接してシール効果を発揮する。
【0022】
左サイドフレームFの下面に当接する第1弾性体22のシールリップ22のシール作用と、ワッシャ16の上面に当接する第2弾性体26のシールリップ26のシール作用とにより、センターパイプ21のボルト孔21とボルト10との間に泥水等が浸入することが防止されて腐食に対する耐久性が向上するばかりか、圧縮されたシールリップ22,26が左サイドフレームF及びワッシャ16から受ける反力でセンターパイプ21及びブッシュ25が相互に圧入される方向に付勢されるため、前記圧入部bの緩みが防止される。しかも、シールリップ22,26を第1、第2弾性体22,26に一体に形成したことにより、特別のシール部材が不要になって部品点数が削減される。
【0023】
第2カラー24の外周を覆う第2弾性体26に、三角形の断面形状を有する6本の環状リブ26…が突設される。環状リブ26…は前記気室22,22の半径方向外側に対応する部分が欠如しており、そこに軸方向に延びる2本の排水溝26,26が形成される。環状リブ26…は、防振マウントMをカップ状ホルダー8の収納凹部8に圧入により嵌合させるとき、その摺動部の面積を減少させて圧入作業を容易化する機能を備える。
【0024】
図9に示すように、何らかの理由でシールラバー17を通過した泥水等が第2カラー24の外周とカップ状ホルダー8の内周との間に浸入しても、その泥水等は環状リブ26…の排水溝26,26を通って下方に流れ、第2弾性体26の下部上面に形成した3個の切欠26…を通って外部に排出される。これにより防振マウントMとカップ状ホルダー8との間に泥水等が溜まって錆が発生する不具合が回避される。
【0025】
次に、防振マウントMの組立工程を説明する。
【0026】
先ず、図10に示すように、センターパイプ21、第1弾性体22及び第1カラー23を一体化した第1サブアセンブリAと、第2カラー24、第2弾性体26及びブッシュ25を一体化した第2サブアセンブリAとを予め組み立てておく。そして、第2サブアセンブリAの下部を治具28で固定した状態で、第1サブアセンブリAを上方から矢印29…のように圧入することにより、第2サブアセンブリAに嵌合させる。
【0027】
尚、図10の11A部及び11B部を詳細に示す図11(A)、(B)から明らかなように、第2サブアセンブリAの第2弾性体26にはリップL,Lが突設されており、これらリップL,Lが上方から圧入される第1サブアセンブリAに当接して内部の液体が漏れないようにシールする。第1、第2サブアセンブリA,Aの嵌合工程は液体内で行われるが、リップLが第1サブアセンブリAに当接する前に、封入される液体のうちの余分なものが第1カラー23及び第2カラー24間の微小隙間を通って外部に排出される(図12の矢印30,30,30参照)。
【0028】
また、このとき第1カラー23の下端が第2カラー24の中間に形成した段部24に当接することにより、第1、第2カラー23の位置決めが行われる。前記段部24は、概略円筒状の第2カラー24を絞り成形する際に同時に加工することができるので、特別の加工工程が不要になって加工コストを削減することができる。
【0029】
続いて、図13に示すように第2カラー24の上部をカシメ部aにおいて半径方向内側にカシメ、且つカシメ部aにおいて下方にカシメることにより、第1、第2カラー23,24を一体に結合する。このとき、段部24により第1、第2カラー23,24の相対位置が確実に規制されているので、カシメ加工の荷重により第1、第2カラー23,24が位置ずれを起こす虞がなく、容易且つ精密な組み立てが可能となる。
【0030】
尚、第1、第2サブアセンブリA,Aの嵌合完了後は、ブッシュ25の上部がセンターパイプ21の下部小径部21の上部で固定されるので、第2カラー24とブッシュ25との上下方向の間隔は自然状態(図10のe参照)よりも短くなっている(図13のf参照)。これは、第2弾性体26のゴム部26に上下方向の与荷重を加えた状態でマウントMが組み上がっていることを示している。そのため、ゴム部26の上下方向の厚さが増加し、液室容積の増減に寄与するバネ定数が増加する。
【0031】
次に、前記構成を備えた防振マウントMの作用を説明する。
【0032】
防振マウントMのオリフィス振動系の特性に大きな影響を与えるのは、第1弾性体22に形成されたダイヤフラム22,22のバネと、第2弾性体26に形成されたゴム部26のバネ(液室膨らみ方向及び縮み方向のバネ)と、オリフィス22,22内の液体の質量である。第1弾性体22及び第2弾性体26により画成された液室26に注目すると、その上壁を構成する第1弾性体22は上下方向の厚さが極めて大きくて変形し難いために、液室26の容積変化に大きく寄与するのは液室26の下壁を構成する第2弾性体26のゴム部26の液室膨らみ方向及び縮み方向の変形である。従って、ゴム部26を構成する第2弾性体26の材質は極めて重要であり、この第2弾性体26に高ダンピング材を使用することにより共振時における防振マウントMの伝達力を減少させるとともに、ダイヤフラム22,22の耐久性を向上させることができる。
【0033】
これを図6を用いて更に詳述すると、サブフレームSFと左サイドフレームFとの相対移動により防振マウントMのセンターパイプ21に下向きの荷重Fが作用したとき、その荷重Fはダイヤフラム22,22を伝わる荷重fとして第2カラー24に伝達され、またゴム部26を伝わる荷重fとして第2カラー24に伝達される。ゴム部26の下方への変形に伴って液室26の容積が拡大し、且つオリフィス22,22内の液体が前記容積の拡大よりも僅かに遅れて下向きに移動するとき(即ち、共振周波数よりも僅かに低い入力周波数のとき)、液室26に負圧が発生して該液室26の上壁及び下壁に荷重f,fが作用する。而して、上向きの荷重fが下向きの荷重f,f,fを打ち消す作用をすることにより、センターパイプ21から第2カラー24への荷重Fの伝達が低減する。
【0034】
さて、液室26に効率的に負圧を発生させるには、液室26に対向するゴム部26が容易に上向きに撓んでしまうよりも、上向きに撓むことなくセンターパイプ21と共に下向きに移動することが望ましく、そのために第2弾性体26に液圧による変形が起こり難い高ダンピング材が使用される。これにより、動バネ定数が低減でき、振動が伝達され難い高性能な防振マウントMを得ることが可能となる。
【0035】
第1弾性体22及び第2弾性体26はその形状が異なるため、図14に示すように第1弾性体22は入力周波数が比較的に高い領域で、また第2弾性体26は入力周波数が比較的に低い領域でサージングを起こし、それらの領域で動バネ定数が急増して性能が低下する。そこで第2弾性体26に高ダンピング材を使用することにより、破線で示すように目的の周波数領域で動バネ定数の悪化を最小限に抑えることが可能となる。特に、半径方向厚さの大きい第2弾性体26のサージング周波数領域は車両において常用される領域であるため、当該領域における動バネ定数の悪化を抑えることによりノイズ・バイブレーション性能の向上に寄与することができる。
【0036】
尚、本実施例では第2弾性体26に高ダンピング材を使用しているが、これはダイヤフラム22,22のバネ定数に対してゴム部26の液室の容積変化に寄与するバネ定数が数倍大きいからである。
【0037】
またサブフレームSFと左サイドフレームFとの相対移動により防振マウントMのセンターパイプ21に上向きの荷重F′が作用した場合にも、第2弾性体26に変形が起こり難い高ダンピング材を使用したことにより、液室26に効率的に正圧を発生させて前記上向きの荷重F′の伝達をオリフィス効果で低減することができる。
【0038】
更に、液室26の容積が拡縮するとき、仮に第2弾性体26に変形の起こり易い低ダンピング材を使用していると、ゴム部26がオリフィス22,22内の液体を勢い良く押し出し、或いは引き込むため、肉厚の小さいダイヤフラム22,22の変形量が増加して耐久性を低下させる虞がある。しかしなが、第2弾性体26に高ダンピング材を使用したことにより、前記不具合も解消される。
【0039】
以上説明したように、第1弾性体22及び第2弾性体26に損失係数の異なる異種材料を使用することにより、目的とする入力周波数領域における動バネ定数を任意にチューニングすることが可能となる。
【0040】
次に、ブッシュ25をセンターパイプ21に圧入して第2弾性体26のゴム部26のバネ定数を増加させたことによる効果を説明する。
【0041】
防振マウントMのオリフィス部による共振周波数fは、オリフィス22,22内の液体質量をmとし、オリフィス22,22内の液体に作用する第1弾性体22及び第2弾性体26のトータルのバネ定数をkとすると、
f=(1/2π)×(k/m)1/2
で与えられる。従って、ブッシュ25の圧入に伴う第2弾性体26のゴム部26のバネ定数の増加により、前記トータルのバネ定数kが増加して共振周波数fが通常使用される入力周波数領域よりも高い側に移行するため、入力周波数領域中の防振域を拡大して乗り心地を高めることができる(図15参照)。しかも、特別にバネ定数の高い材料を使用することなく、組み付け前の第2弾性体26の形状を変えてブッシュ25圧入時の圧縮量を変化させるだけで容易にバネ定数を調整することができるので、極めて低コストである。
【0042】
また、圧縮された第2弾性体26が自由状態に復元しようとする弾発力でセンターパイプ21は下向きに付勢され、第1、第2カラー23,24は上向きに付勢されるため(図13の矢印A及び矢印B参照)、第1弾性体22のダイヤフラム22,22に圧縮方向の予荷重を与えることができる。その結果、ダイヤフラム22,22の拡張時における最大伸び量が抑えられることになり、該ダイヤフラム22,22の耐久性が向上する。
【0043】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0044】
例えば、実施例では防振マウントM側に排水溝26,26を形成しているが、これをカップ状ホルダー8側に形成することも可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、外筒部材の外周面と被圧入部の内周面との間には、その間に浸入した水がそこに滞留するのを防止するための、軸方向に延びる排水溝を形成し、この排水溝を通して外筒部材の軸方向一端側から他端側へ排水するので、外筒部材の外周面と被圧入部の内周面との間に滞留する泥水等に因る、防振マウント(特に外筒部材)及び被圧入部の腐食の発生を防止して耐久性の向上を図ることができる。
【0046】
また請求項2に記載された発明によれば、外筒部材の外周面に被圧入部の内周面に圧入される弾性体よりなる環状リブを突設し、この環状リブの一部を除去することにより前記排水溝を形成したので、弾性体よりなる環状リブにより圧入時の摩擦抵抗を減少させて作業性を向上させることが可能となるばかり、排水溝を極めて容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車のフロントサブフレームの斜視図
【図2】図1の2−2線拡大断面図
【図3】防振マウントの縦断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】図2の5−5線断面図
【図6】防振マウントの一部破断斜視図
【図7】図6の7方向矢視図
【図8】図6の8方向矢視図
【図9】水抜き通路の作用説明図
【図10】第1組立工程を示す図
【図11】図10の11A部及び11B部拡大図
【図12】第2組立工程を示す図
【図13】第3組立工程を示す図
【図14】第2弾性体の圧縮による動バネ定数の変化を示すグラフ
【図15】第2弾性体に高ダンピング材を使用したことによる動バネ定数の変化を示すグラフ
【符号の説明】
8 カップ状ホルダー(被圧入部)
21 センターパイプ(内筒部材)
22 第1弾性体(弾性体)
23 第1カラー(外筒部材)
24 第2カラー(外筒部材)
25 ブッシュ(内筒部材)
26 第2弾性体(弾性体)
26 環状リブ
26 排水溝
左サイドフレーム(支持体)
SF サブフレーム(振動源)

Claims (2)

  1. 振動源(SF)と支持体(F L )との間に設けられる液体封入式防振マウント装置であって、
    半径方向内側に配置した内筒部材(21,25)の外周面と半径方向外側に配置した外筒部材(23,24)の内周面とを内部に液体を封入した弾性体(22,26)で接続し、内筒部材(21,25)を振動源(SF)及び支持体(FL )の何れか一方に支持するとともに、外筒部材(23,24)の外周面を振動源(SF)及び支持体(FL )の何れか他方に形成した被圧入部(8)の内周面に圧入するものにおいて、
    外筒部材(23,24)の外周面と被圧入部(8)の内周面との間には、その間に浸入した水がそこに滞留するのを防止するための、軸方向に延びる排水溝(266 )を形成し、この排水溝(266 )を通して外筒部材(23,24)の軸方向一端側から他端側へ排水することを特徴とする液体封入式防振マウント装置。
  2. 外筒部材(23,24)の外周面に被圧入部(8)の内周面に圧入される弾性体よりなる環状リブ(265 )を突設し、この環状リブ(265 )の一部を除去することにより前記排水溝(266 )を形成したことを特徴とする、請求項1記載の液体封入式防振マウント装置。
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