JP3619097B2 - シート搬送用ローラ及びシート給送装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、各種プリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置において、シート材の搬送用として備えられるシート搬送用ローラ及びシート給送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置では、コピー用紙等のシート材に画像形成し、或いは原稿等のシート材の画像面をスキャナ等で読み込み、さらには、画像形成や読み込みの処理が終了したシート材を機外に排出するため、シート材の搬送用として種々のローラが備えられている。以下、画像形成装置に備えられる各種ローラをシート搬送用ローラと言う。
【0003】
また、画像形成装置では、シート材をトレイ等のシート積載手段に多数枚積み重ねて配置し、これを1枚ずつ分離して機器本体内の画像形成手段へ給送するための分離給送機構を備えたシート給送装置を有している。
【0004】
ここで、シート給送装置の分離給送機構としては、図11に示される分離ローラ方式や、図12に示される摩擦片分離方式や、さらには、図13に示される爪分離方式などが挙げられる。
【0005】
各方式について説明すると、分離ローラ方式では、図11に示すように、シート積載手段としての積載トレイ80に積載されたシート材のうち最上位のシート材Pにピックアップローラ92が当接して図11の時計回り方向に回転することによりこれをピックアップし、搬送ローラ90と、不図示のトルクリミッタを介してシート材の給送方向とは逆方向に回転トルクを付与された分離ローラ91と、によるローラ対の間(ニップ部)をシート材が通過することで、シート材の分離給送が行われる。すなわち、分離ローラ方式では、ピックアップローラ92によって矢印方向へ送り出されたシート材Pが複数枚の場合には、当該シート材が前記ニップ部を通過する際に、分離ローラ91が図11の時計回り方向に逆回転することにより、下位側のシート材が積載トレイ80側に戻され、最上位のシート材P1枚のみが搬送ローラ90によって給送される。
【0006】
また、図12の摩擦片分離方式では、摩擦片としての分離パッド93と、最上位のシート材Pに当接するピックアップローラ94とで分離給送を行うようになっている。すなわち、摩擦片分離方式では、不図示のシート積載手段に積載されたシート材が、所定の摩擦係数を有する分離パッド93と図12の時計回り方向に回転するピックアップローラ94との間を通過することにより、分離パッド93の摩擦力により下位のシート材が分離され、最上位のシート材P1枚のみがピックアップローラ94によって給送される。
【0007】
さらに、図12の爪分離方式では、シート積載手段としての積載トレイ95に積載されたシート材のうちの最上位のシート材Pに当接する断面略半月形のピックアップローラ97と、積載トレイ95の一端側に配された爪96とで分離給送を行うようになっている。すなわち、爪分離方式では、ピックアップローラ97が図13の時計回り方向に回転して最上位のシート材Pに当接すると、最上位のシート材P及びその下位のシート材が給送方向に押されるとともに、図13に示すように、爪96によって端部が引っ掛けられた最上位のシート材Pが撓み、この端部が跳ね上げられることによって、最上位のシート材Pのみが積載トレイ95から外に出され給送される。
【0008】
シート給送装置においては、このような各種分離給送機構に用いられる各種シート搬送用ローラ90〜92,94,97としては、シート材の搬送性能を向上させるために、図7及び図8に示すように、その外周面にシート搬送方向Lに対して直交するローラ幅方向に亘って、複数の溝61を設けた溝付きローラ60が用いられる場合がある。
【0009】
従来の溝付きローラ60は、ローラ軸62と同軸に設けられた筒状の樹脂製担持体63の周囲に被せられた筒状のゴムローラ64からなり、溝付近の断面形状が略矩形状とされていた。
【0010】
また、溝付きローラの特許出願としては、図9に示すように、外周65に溝61を設け、溝の幅Hと、溝の深さTと、溝同士の間隔P1とについて提案されている(特開平8−53251号公報)。
【0011】
さらには、図10に示すように、溝付近の断面詳細が山66と谷67で構成され、山と山のピッチP2が1mm以内、山先端部の幅が0.5mm以下に形成されるように提案され、山の高さDについては成型性から、実施例で1mm以下とされている(特開平4−89728号公報)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のシート搬送用ローラでは、図9の断面図に示すように、外周65に対するローラによるシート材の摩擦力発生方向側の端部63での接線Sと、または図10の断面図に示すように、山66の頂点を結んだ仮想円に対する山の頂点での接線Sと、溝付きローラによるシート材の摩擦力発生方向側の斜面とのなす角度θについて提案されているものはなく、角度θの値は大きいものであった。
【0013】
しかしながら、θの値が大きいと、図10に示すように、山66の先端部に、頂点からの深さMが0.1mm以内の部分に亀裂68が生じやすかった。そして、このような亀裂68が生じた溝付きローラ60によれば、シート材の搬送を行う際には、亀裂68よりも先端側の不安定な部分で搬送を行うために、搬送力が損なわれてしまうという問題があった。また、亀裂68が生じた場合には、亀裂部分が摩耗して消滅するまでは異常摩耗が生じ、ゴムカスが発生した。さらに、ゴムカスが発生すると、シート材とローラとの間でスリップが発生し、ローラの寿命が短くなるという問題が生じた。
【0014】
本発明の目的は、山の先端部での亀裂の発生を防止し、長期にわたって安定した搬送性能を維持することが可能なシート搬送用ローラ及びこれを備えたシート給送装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のシート搬送用ローラの第1の構成は、外周面に複数の突起部が設けられたシート搬送用ローラにおいて、各突起部は、シート搬送方向と直交するローラ幅方向に亘って、所定角度で傾斜する一対の斜面を有する筋山形状とされ、該筋山の頂点を結んだ仮想円に対する前記筋山の頂点での接線と、筋山の摩擦力発生方向側の斜面と、のなす角度θが、前記筋山の頂点から0.1mm以上の深さEの部分までは0゜<θ≦30゜を満たし、前記深さEよりも深い部分では30°より大きいことを特徴とする。
【0016】
本発明者は、実験により、各突起部において、筋山の頂点を結んだ仮想円に対する筋山の頂点での接線と、筋山の摩擦力発生方向側の斜面と、のなす角度θが、少なくとも筋山の頂点近傍で0゜<θ≦30゜とされた場合には、亀裂が発生せずに長期にわたって安定した搬送力を維持できるという知見を得た。
【0017】
本発明のシート搬送用ローラの第2の構成は、第1の構成において、各突起部は、一対の斜面が、相互に等しい角度で傾斜することを特徴とする。
【0018】
本発明のシート搬送用ローラの第3の構成は、第1の構成において、各突起部は、一対の斜面が、相互に異なる角度で傾斜することを特徴とする。
【0019】
本発明のシート搬送用ローラの第4の構成は、外周面に複数の突起部が設けられたシート搬送用ローラにおいて、各突起部は、ローラ幅方向に亘って、所定角度で傾斜する一対の斜面を有する筋山形状とされ、該筋山の頂点を結んだ仮想円に対する前記筋山の頂点での接線と、摩擦力発生方向側の筋山の斜面と、のなす角度θが、前記筋山の頂点から0.1mm以上の深さEの部分までは0゜<θ≦30゜を満たし、前記深さEよりも深い部分では30°より大きく、かつ、前記外周面の展開状態において、シート搬送方向と直交する方向と前記筋山の頂点とのなす角度をα、筋山のピッチをP3、前記シート搬送方向と直交する方向におけるローラの長さをWとしたときに、P3≦Wtanαの関係を満たすことを特徴とする。
【0021】
本発明のシート搬送用ローラの第5の構成は、第1乃至第4のいずれかの構成において、材質がエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)で、硬さがJIS−Aスケールで20〜40であることを特徴とする。
【0022】
本発明のシート給送装置の第1の構成は、シート材を積載するシート積載手段と、シート積載手段に積載されたシート材を1枚ずつ分離して搬送する分離搬送手段とを有するシート給送装置において、分離搬送手段は第1乃至第5のいずれかの構成のシート搬送用ローラを少なくとも1つ備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明のシート給送装置の第2の構成は、第1の構成において、分離搬送手段は、シート積載手段に積載された最上位のシート材に当接してこれをピックアップするピックアップローラを備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明のシート給送装置の第3の構成は、第1の構成において、分離搬送手段は、シート積載手段に積載された最上位のシート材に当接してこれをピックアップするピックアップローラと、ピックアップローラでピックアップされたシート材を1枚ずつ分離しながら搬送する分離ローラ及び搬送ローラによるローラ対と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、従来例や他の実施の形態と同様のものについては同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0026】
第1の前提技術
図1は第1の前提技術のシート搬送用の溝付きローラ(以下、単にローラという)10を示す要部断面図である。このローラ10は、外周面に形成された突起部(溝)の形状以外は従来と同様であり、図7及び図8に示すように、ローラ軸62と同軸に設けられた筒状の樹脂製担持体63の周囲に被せられた筒状のゴムローラ64からなる。
【0027】
ローラ10の外周面の各突起部は、シート搬送方向と直交するローラ幅方向に亘って形成されており(図8参照)、図1の要部断面図に示すように、所定角度で傾斜する一対の斜面13,13を有する筋山部11となっている。
【0028】
そして、ローラ10の筋山部11は、一対の斜面13,13が相互に等しい角度で傾斜した断面対称形状となっており、具体的には、筋山の頂点12を結んだ仮想円に対する筋山の頂点12での接線Sと、筋山の斜面13とのなす角度θが、0゜<θ≦30゜の関係式を満たすように設定されている。
【0029】
ローラ10では、角度θをこのように設定することにより、筋山部11の亀裂の発生を防止し、長期にわたって安定した搬送性能を維持でき、この効果については後述する試験によっても確認された。また、各筋山部11を断面対象形状とすることにより、ローラ10の使用時の回転方向の制約が無くなり、管理が容易となる。
【0030】
第2の前提技術
図2は第2の前提技術のローラ20a,20bを示す要部断面図である。これらローラ20a,20bは、外周面に形成された突起部(溝)の形状以外は従来と同様であり、図7及び図8に示すように、ローラ軸62と同軸に設けられた筒状の樹脂製担持体63の周囲に被せられた筒状のゴムローラ64からなる。
【0031】
ローラ20aとローラ20bとは互いに同一の外形を有しており、この前提技術では、上側のローラ20aが搬送ローラとして、下側のローラ20bが分離ローラとして互いに圧接して使用した例を示している(図11参照)。また、ローラ20a,20bにおける外周面の各突起部は、第1の前提技術のローラ10と同様に、シート搬送方向と直交するローラ幅方向に亘って形成されている(図8参照)。
【0032】
ローラ20a及びローラ20bの各突起部は、図2の要部断面図に示すように、所定角度で傾斜する一対の斜面23,24を有する筋山部21となっている。ここでは、斜面23が摩擦力発生方向側の斜面となり、搬送ローラとしてのローラ20aによるシート材の摩擦力発生方向は、シート材の搬送方向Lと同一方向となっており、一方、分離ローラとして使用したローラ20bによるシート材の摩擦力発生方向は、シート材の搬送方向Lと逆方向となっている。
【0033】
そして、ローラ20a,20bの筋山部21は、斜面23と斜面24とが相互に異なる角度で傾斜した断面非対称形状となっており、具体的には、筋山の頂点22を結んだ仮想円に対する筋山の頂点22での接線Sと、筋山の摩擦力発生方向側の斜面23とのなす角度θが、0゜<θ≦30゜の関係式を満たすように設定されている。一方、斜面24については、筋山の頂点22を結んだ仮想円に対する筋山の頂点22での接線Sに対する角度が30゜よりも大きな角度となっている。
【0034】
ローラ20a,20bでは、角度θをこのように設定することにより、筋山部21の亀裂の発生を防止し、長期にわたって安定した搬送性能を維持でき、この効果については後述する試験によっても確認された。
【0035】
第1の実施の形態
図3は第1の実施の形態のローラ30を示す要部断面図である。ローラ30は、外周面に形成された突起部(溝)の形状以外は従来と同様であり、図7及び図8に示すように、ローラ軸62と同軸に設けられた筒状の樹脂製担持体63の周囲に被せられた筒状のゴムローラ64からなる。
【0036】
ローラ30の外周面の各突起部は、シート搬送方向と直交するローラ幅方向に亘って形成されており(図8参照)、図3の要部断面図に示すように、所定角度で傾斜する一対の斜面33,33を有する筋山部31となっている。
【0037】
ローラ30の筋山部31は、一対の斜面33,33が相互に等しい角度で傾斜した断面対称形状となっており、具体的には、筋山の頂点32を結んだ仮想円に対する筋山の頂点32での接線Sと、筋山の斜面33とのなす角度θが、0゜<θ≦30゜の関係式を満たすように設定されている。
【0038】
但し、ローラ30では、0°<θ≦30゜を満たす部分は、筋山の斜面33の全体についてではなく、筋山の頂点32から所定の深さEまでについてであり、Eよりも深い部分については、接線Sとのなす角度θは30゜よりも大きな値に設定されている。
【0039】
ここで、筋山の頂点32からの深さEの値については、この実施の形態では、0.1mmに設定されている。なお、Eの値は、この値に限定されるものではなく、0.1mm以上の値であればよい。
【0040】
深さEを0.1mm以上とするのは、後述する比較例の試験結果より、亀裂が発生する位置が筋山部の頂点から0.1mm以内の部分であること、すなわち、図10に示す亀裂が発生する筋山部の頂点33からの深さMの値が0.1mmより小さいことによる。
【0041】
従って、ローラ30では、後述の実験でも確認されたように、筋山部31の亀裂の発生が防止され、長期にわたって安定した搬送性能を維持できる。また、この第1の実施の形態では、筋山部の頂点から0.1mmを越えた斜面33の深い部分における角度θの値を大きくすることにより、溝(筋山部31)の本数を増やす等、形状の自由度が増す。
【0042】
第2の実施の形態
図4は第2の実施の形態のローラ40を模式的に示した正面図である。このローラ40は、従来例の図8と比較して分かるように、外周面に形成された突起部(溝)の形状以外は従来と同様であり、不図示のローラ軸と同軸に設けられた筒状の樹脂製担持体42の周囲に被せられた筒状のゴムローラ43からなる。
【0043】
ローラ40の外周面の各突起部は、図4に示すように、ローラ幅方向に亘って形成されており、かつ、外周面の展開状態において、シート搬送方向と直交する方向と筋山の頂点41とのなす角度をα、筋山のピッチをP3、シート搬送方向と直交する方向におけるローラの長さ(幅)をWとしたときに、P3≦Wtanαの関係を満たすように設定されている。
【0044】
なお、図4では、見づらさを避けるため、筋山の頂点41を間引いて図示しており、ピッチP3が広くなっているが、実際には各筋山の頂点41は密に形成されており、ピッチP3は狭いものである。また、第2の実施の形態では、各突起部(筋山)の断面形状については、上述した第1の前提技術のローラ10と同様となっているが、これのみならず、第1の前提技術、第2の前提技術、乃至第1の実施の形態のうちのいずれの形状でもよい。
【0045】
図8のようなシート搬送方向と直交する方向に筋山部を形成した溝付きローラの場合には、これを回転させると、ローラの半径が、山(筋山の頂点)の部分では大きくなり、谷(溝)の部分では小さくなる。これに対して、第2の実施の形態のローラ40では、各突起部(筋山)が、シート搬送方向と直交する方向ではなく、P3≦Wtanαとなるような角度で形成されているので、搬送方向と直交する方向で少なくとも1箇所に筋山の頂点41が来ることになり、回転時において半径の変化が無いローラとなる。
【0046】
上述した各前提技術乃至実施の形態におけるローラの材質としては、例えばエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とし、硬さがJIS−Aスケールで20〜40の範囲において良好な特性が得られた。
【0047】
なお、いずれの前提技術乃至実施の形態のローラでも、その用途については、シート給送装置では、分離ローラ方式(図11)、摩擦片分離方式(図12)、及び爪分離方式(図13)のいずれのピックアップローラとして用いても良く、また、分離ローラ方式の搬送ローラ、分離ローラとして用いても良い。ピックアップローラとして用いる場合には、図13に示すように、例えば断面略半月状としても良く、この場合には上述の筋山部をシート材に接触する部分にのみ形成すれば足りる。
【0048】
さらには、各前提技術乃至実施の形態のローラは、シート材を搬送する用途であれば、例えば原稿のシート材の画像を読み取る原稿読取装置の原稿搬送用のローラとして、或いは画像形成手段や原稿読取手段により所定処理が行われたシート材を搬送してトレイ等に排出するための排出用のローラとして用いても良い。
【0049】
【実施例】
(試験)
本発明者は、以下の表1に示す仕様のシート搬送用ローラ(溝付きローラ)として、実施例1,2及び3、並びに比較例1,2及び3を作製し、以下に説明する通紙耐久試験機を用いて各ローラの耐久試験を行い、試験中の亀裂の確認と通紙時間を測定した。
【0050】
【表1】
Figure 0003619097
なお、各実施例及び各比較例のローラは、外周面に形成された突起部(溝)の形状以外は共通であり、外径が32mmで、内径が20mmで、幅が16mmであって、筋山の高さDが1mmである筒状で、硬さがJIS−Aスケールで23〜27の範囲のエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)からなるゴムローラ64を、筒状の樹脂製担持体63に被せて、シート材の搬送方向と直交する方向に2個配置して用いた。
【0051】
(試験方法)
図6に通紙耐久試験機の概略構成を示す。この通紙耐久試験機は、ピックアップローラ53によって送り出されたシート材Pを分離ローラ52と、搬送ローラ51との間に通過させて分離ローラ52の摩擦を用いて分離する分離ローラ方式のシート給送装置を備えた複写機を改造したものであり、シート搬送方向Lの下流側の2箇所に所定の間隔を置いて設けられたシート材先端が到達したことを検知する検知手段55,56と、各検知手段55,56の検知時間の差である通紙時間を計測する計測装置57を有している。
【0052】
前記搬送ローラ51には、表1に示す仕様の実施例1,2及び3、並びに比較例1,2及び3を、ピックアップローラ53と分離ローラ52には、表面を研磨加工した外径が32mmで、内径が20mmで、幅が16mmである筒状のEPDMゴムからなるゴムローラ64を筒状の樹脂製担持体63に被せたローラを搬送方向と直交する方向に2個配置して用いた。
【0053】
この通紙耐久試験機では、シート材の搬送速度を500mm/sとし、通紙時押圧荷重を330gfとし、分離ローラ52の空転トルクを400g・cmに設定した。試験時における環境条件としては、温度23℃で湿度50%とした。また、使用したシート材は、カンガス社製のA4サイズのものである。
【0054】
(試験結果)
通紙耐久試験機の計測装置57によって計測された通紙時間の通紙枚数による推移を図5に示す。縦軸の理想時間に対する比は、検知手段55と検知手段56の所定の距離を搬送速度500mm/sで送った場合に要する計算上の時間を理想時間とし、実際に計測装置57によって計測された通紙時間を100枚毎に平均値を求め、その値が理想時間に対して何%増しであったかを表す。例えば、0%の場合には、通紙時間は理想時間と等しく、30%の場合には、通紙時間は理想時間の1.3倍であったことを表す。
【0055】
一般には、シート材の搬送枚数が多くなるほどローラの摩耗が進んで搬送性能が低下し、これにつれて通紙時間は長くなる。そして、通紙時間が所定の時間以上になったときに、OA機器等ではJAMと判断され、ローラを交換する必要が生じる。よって、図5において、理想時間に対する比が大きくなるほど、ローラの搬送性能が低下したことを示す。
【0056】
図5に示されるように、実施例1のローラによれば、通紙枚数が5000枚に至るまで理想時間に対する比が約5%上昇し、その後安定する。実施例2のローラによれば、通紙枚数が2000枚に至るまで理想時間に対する比が約5%上昇し、その後安定する。実施例3のローラによれば、通紙枚数が5000枚に至るまで理想時間に対する比が約5%上昇し、その後2%下降する。
【0057】
これに対して、比較例1のローラによれば、通紙枚数が1000枚のあたりで筋山の頂点からの深さが0.07mmの位置に亀裂が発生し、通紙枚数2000枚のあたりまで亀裂が搬送方向に延びて行き、図5に示されるように、その間に理想時間に対する比が急激に約15%上昇し、その後は、筋山部の亀裂よりも先端側の部分やそれ以外の部分が摩耗するにつれて、理想時間に対する比が下降していった。
【0058】
比較例2のローラによれば、通紙枚数が500枚のあたりで筋山の頂点からの深さが0.05mmの位置に亀裂が発生し、1000枚のあたりまで亀裂が搬送方向に延びて行き、図5に示されるように、その間に理想時間に対する比が急激に約15%上昇し、その後筋山の亀裂箇所よりも先端の部分やそれ以外の部分が摩耗するにつれて、理想時間に対する比が下降していった。
【0059】
比較例3のローラでは、通紙枚数が4000枚までわずかに約1%上昇し、その後急激に理想時間に対する比が上昇した。なお、比較例3では、理想時間に対する比が30%を超えたところで不送りが頻発したため、この時点で試験を中止した。
【0060】
このように、試験を行った結果、本発明を適用した各実施例のローラは、従来の構成とされた各比較例のローラに対し、搬送性能、耐久性等の点で格段に優れていることが確認された。
【0061】
以上のような結果になったのは、下記の理由によるものと推察される。すなわち、比較例1及び2のローラでは、複数の筋山部の頂点を結んだ仮想円に対する筋山の頂点での接線と、ローラによるシート材の摩擦力発生方向側の筋山の斜面とのなす角度θが、それぞれ30゜より大きく、所定枚数の搬送により筋山の先端部に亀裂が発生し、この場合に、亀裂箇所より先端側の部分、すなわち筋山の基端側に不安定に支持された部分でシート材の搬送が行われているため、搬送性能が低下したものと推察される。さらに、亀裂が搬送方向へ延びるにつれて搬送性能がより一層低下して行くこと、及び、筋山の亀裂箇所より先端側の部分やそれ以外の部分が摩耗して、すなわち筋山の基端側に不安定に支持された部分が無くなって、その下の安定した部分でシート材の搬送が行われるようになると搬送性能が回復することからも、亀裂の発生と搬送性能の低下との因果関係が推察される。
【0062】
ゆえに、比較例1及び2に比べ実施例1,2及び3のローラの搬送性能が優れているのは、筋山の頂点を結んだ仮想円に対する筋山の頂点での接線と、ローラによるシート材の摩擦力発生方向側の筋山の斜面とのなす角度θが30゜以下になされることで、筋山の先端部に亀裂が発生することを回避することができたことによると推察される。
【0063】
さらに、試験を行った実施例1,2及び3のローラでは、図4で説明した第2の実施の形態の構成は適用しなかったが、この構成(P3≦Wtanαの関係を満たす筋山)を適用したローラとすることにより、ローラの回転時の半径の変化がなくなることから、バネ等でローラを加圧した場合に、シート材の搬送中においてローラにかかる圧力が均一化され、搬送性能及び耐久性能がさらに向上することが予想される。
【0064】
本発明は、上述した前提技術、実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、山の先端部での亀裂の発生を防止し、長期にわたって安定した搬送性能を維持することが可能なシート搬送用ローラ及びこれを備えたシート給送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の前提技術に係るシート搬送用ローラの要部断面図である。
【図2】本発明の第2の前提技術に係るシート搬送用ローラの要部断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るシート搬送用ローラの要部断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るシート搬送用ローラの正面図である。
【図5】試験結果である通紙時間の通紙枚数による推移を示すグラフである。
【図6】通紙耐久試験機の概略構成図である。
【図7】従来のシート搬送用ローラ(溝付きローラ)の側断面図である。
【図8】従来の溝付きローラの正面図である。
【図9】従来の溝付きローラの要部断面図である。
【図10】従来の溝付きローラの要部断面図である。
【図11】分離ローラ方式のシート給送装置の要部概略図である。
【図12】摩擦片分離方式のシート給送装置の要部概略図である。
【図13】爪分離方式のシート給送装置の要部概略図である。
【符号の説明】
10,20,30,40 ローラ
11,21,31 筋山部
12,22,32,41 筋山の頂点
13,23,24,33 筋山の斜面
51,90 搬送ローラ
52,91 分離ローラ
53,92,94,97 ピックアップローラ
S 接線
D 筋山の高さ
θ 接線と筋山の斜面とのなす角度
α 搬送方向と直交する方向に対して筋山の頂点がなす角度
L シート材の搬送方向

Claims (8)

  1. 外周面に複数の突起部が設けられたシート搬送用ローラにおいて、各突起部は、シート搬送方向と直交するローラ幅方向に亘って、所定角度で傾斜する一対の斜面を有する筋山形状とされ、該筋山の頂点を結んだ仮想円に対する前記筋山の頂点での接線と、筋山の摩擦力発生方向側の斜面と、のなす角度θが、前記筋山の頂点から0.1mm以上の深さEの部分までは0゜<θ≦30゜を満たし、前記深さEよりも深い部分では30°より大きいことを特徴とするシート搬送用ローラ。
  2. 前記各突起部は、前記一対の斜面が、相互に等しい角度で傾斜することを特徴とする請求項1記載のシート搬送用ローラ。
  3. 前記各突起部は、前記一対の斜面が、相互に異なる角度で傾斜することを特徴とする請求項1記載のシート搬送用ローラ。
  4. 外周面に複数の突起部が設けられたシート搬送用ローラにおいて、各突起部は、ローラ幅方向に亘って、所定角度で傾斜する一対の斜面を有する筋山形状とされ、該筋山の頂点を結んだ仮想円に対する前記筋山の頂点での接線と、摩擦力発生方向側の筋山の斜面と、のなす角度θが、前記筋山の頂点から0.1mm以上の深さEの部分までは0゜<θ≦30゜を満たし、前記深さEよりも深い部分では30°より大きく、かつ、前記外周面の展開状態において、シート搬送方向と直交する方向と前記筋山の頂点とのなす角度をα、筋山のピッチをP3、前記シート搬送方向と直交する方向におけるローラの長さをWとしたときに、P3≦Wtanαの関係を満たすことを特徴とするシート搬送用ローラ。
  5. 材質がエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)で、硬さがJIS−Aスケールで20〜40であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1に記載のシート搬送用ローラ。
  6. シート材を積載するシート積載手段と、前記シート積載手段に積載されたシート材を1枚ずつ分離して搬送する分離搬送手段とを有するシート給送装置において、前記分離搬送手段は、請求項1乃至のいずれか1に記載のシート搬送用ローラを少なくとも1つ備えたことを特徴とするシート給送装置。
  7. 前記分離搬送手段は、前記シート積載手段に積載された最上位のシート材に当接してこれをピックアップするピックアップローラを備えたことを特徴とする請求項記載のシート給送装置。
  8. 前記分離搬送手段は、前記シート積載手段に積載された最上位のシート材に当接してこれをピックアップするピックアップローラと、前記ピックアップローラでピックアップされたシート材を1枚ずつ分離しながら搬送する分離ローラ及び搬送ローラによるローラ対と、を備えたことを特徴とする請求項記載のシート給送装置。
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