JP3618954B2 - 複合螺旋スロープ立体駐車場 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自走式の複合螺旋スロープ立体駐車場に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自走式立体駐車場のスロープ車路は、半回りで1フロアー、1回りで2フロアーを昇降する一重螺旋式のランプを、IN、OUTの2箇所設けるタイプか、IN、OUTの双方を複合させた二重螺旋式のランプを1箇所設けるタイプがほとんどであり、他には、これらと同様のことを、各階フロアーの脇にそれぞれ中二階のフロアーを設けることにより、半回りで中二階フロアー、1回りで1フロアーを昇降するようにしたものなどがある(特公昭57‐35348号公報、特公平5‐53914 号公報、特公平7‐122346号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらのものでは次のような問題点がある。
▲1▼ 各階フロアーの入口、出口又は登り口、降り口がそれぞれ1箇所となるため、大規模化すればするほど出入庫の効率が悪くなる。
▲2▼ 出入庫の効率を上げるためにランプを複数箇所に設ければ、駐車スペースが少なくなり、敷地の利用率が悪くなる。
▲3▼ 出入庫の効率を上げるために2ウェイ方式にすれば、安全走行及び入出庫の円滑化に支障を来すこととなる。
かかる支障を解決するために幅員を拡張すれば、ランプが大きくなって、駐車スペースが少なくなり、敷地の利用率が悪くなる。また、ランプが構造耐力上から大掛かりなものになり、コストが嵩むこととなる。
▲4▼ 1ウェイ方式では、往路・復路2レーンに止まるために、往路・復路の変更使用に自在性を欠き、駐車動向に応じた柔軟な対応ができない。
そこで、本発明は、少なくとも1回りで4フロアーを昇降する往路・復路都合4レーン以上の複合多重螺旋式ランプ設けることで、これらの問題点を解決しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、請求項1の発明は、多層階の駐車場躯体1の1階フロアーから最上階乃至屋上である末端階のフロアーまで螺旋式ランプを設けた立体駐車場において、
少なくとも1回りで4フロアーを昇降する往路の適数重螺旋スロープ3a,3b,…と復路の適数重螺旋スロープ4a,4b,…を複合させ、かつ、
入場ゲート9及び退場ゲート10を設けた1階フロアーには、当該階のフロアーから各往路螺旋スロープ3a,3b,…への登り口7と、各復路螺旋スロープ4a,4b,…から当該階のフロアーへの降り口8とだけを、
又、末端階のフロアーには、各往路螺旋スロープ3a,3b,…から当該階のフロアーへの入口5と、当該階のフロアーから各復路螺旋スロープ4a,4b,…への出口6とだけを、
更に、1階及び末端階を除く各途中階のフロアーには、当該各階のフロアーから往路螺旋スロープ3a,3b,…への登り口7及び復路螺旋スロープ4a,4b,…から当該各階のフロアーへの降り口8と、各往路螺旋スロープ3a,3b,…から当該各階のフロアーへの入口5及び当該各階のフロアーから各復路螺旋スロープ4a,4b,…への出口6との双方を、
それぞれ配備させることで多重螺旋式ランプ2を構築したことを特徴とする。
なお、ここに、往路、復路の螺旋スロープにつき適数重というのは、次の内容を意味するものである。
(a) 1回りで4フロアーを昇降する場合、往路、復路各二重、都合四重をいう。
(b) 1回りで6フロアーを昇降する場合、往路、復路各三重、都合六重をいう。
(c) 1回りで8フロアーを昇降する場合、往路、復路各四重、都合八重をいう。
以下、同様にして順次に増量するものとする。いずれを採用するかは、設計上の任意な選択事項である。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1の複合螺旋スロープ立体駐車場にあって、上記複合螺旋式ランプ2を平面形状長円形とするとともに、上記入口5及び登り口7を、各往路螺旋スロープ3a,3b,…のコーナー部と中間部とに、かつ上記出口6及び降り口8を各復路螺旋スロープ4a,4b,…のコーナー部と中間部とにそれぞれ配して成る。
【0007】
【発明の実施の形態】
図面は、請求項1乃至請求項2の発明に係る自走式の複合螺旋スロープ立体駐車場、特に、1回りで4フロアーを昇降する往路の二重螺旋スロープと復路の二重螺旋スロープを複合させ、都合四重とした場合についての実施の形態を示している。図示のものは、地上8階建てで各階フロアー1F〜8Fに加えて屋上RFにも駐車エリアを設けた駐車場躯体1に、1回りで4フロアーを昇降する往路の二重螺旋スロープ3a,3bと復路の二重螺旋スロープ4a,4bを複合させて成る一の多重螺旋式ランプ2を構築している。この多重螺旋式ランプ2は、平面形状長円形とするとともに、上記各螺旋スロープ3a,3b,4a,4bをそれぞれ1階フロアー1Fから屋上RFまでに形成して、各螺旋スロープ3a,3b,4a,4bには、各コーナー部と中間部とを各階フロアーに対応させて入口5及び出口6と登り口7及び降り口8のいずれか一方乃至双方を配備させており、1階フロアー1Fに対しては、図3に示すように、2箇所の登り口7と2箇所の降り口8の都合4つを、屋上RFに対しては、図11に示すように、2箇所の入口5と2箇所の出口6の都合4つを、また、途中階の各階フロアー2F〜8Fに対しては、図4乃至図10に示すように、2箇所の入口5と2箇所の出口及び各1箇所の登り口7と降り口8の都合6つをそれぞれ配備させている。
【0008】
多重螺旋式ランプ2の内側すなわち各螺旋スロープ3a,3b,4a,4bの囲成内部は、扁平で狭い吹き抜けに形成し、各階フロアー1F〜8F及び屋上RFの駐車エリアは、その多重螺旋式ランプ2の外側に設けている。したがって、それらの入口5、出口6、登り口7及び降り口8は、その多重螺旋式ランプ2の外側に開口させている。
なお、多重螺旋式ランプ2の内側を広くして、その内側に各階フロアー1F〜8F及び屋上RFの駐車エリアを設けることも可能であり、その際には、その多重螺旋式ランプ2の外側にそれらの入口5、出口6、登り口7及び降り口8を設ければよい。勿論、多重螺旋式ランプ2の外側と内側の双方又は内側だけにそれらの駐車エリアを設けることができる。
また、図示のものでは、多重螺旋式ランプ2を平面形状長円形としているが、楕円形、三角形、四角形、五角形その他の多角形、台形、菱形、或いは、これらの変形形状等、現場の状況に合わせて適宜形状にすることができる。
図3の1階フロアー1Fにおいて、9は入場ゲート、10は退場ゲートであり、各2箇所の登り口7、降り口8に対応させて各々2箇所に設けている。
【0009】
如上の構成であり、駐車のために一方又は他方の入場ゲート9から進入した車両は、各階フロアー1F〜8F、屋上RFのいずれかの駐車エリアに駐車することとなるが、2階フロアー以上の駐車エリアに駐車する場合には、場内案内に従い該当する登り口7から往路の螺旋スロープ3a又は3bに入って、上方へと自走し、駐車予定階の入口5から当階フロアーに進入して、当階駐車エリアに駐車することとなる。
当階フロアーに誤って進入した場合や当階フロアーが満車で駐車できない場合には、上層階乃至屋上へ又は下層階へと移動することとなるが、上層階乃至屋上への移動の際は、当階フロアーの一の登り口7から再び往路の螺旋スロープ3a又は3bに入って、上方へと自走し、上層階フロアー乃至屋上のいずれかへと入口5から進入すればよく、また、下層階への移動の際は、当階フロアーのいずれか一方の出口6から復路の螺旋スロープ4a又は4bに入って、下方へと自走し、下層階フロアーのいずれかへと一の降り口8から進入すればよい。なお、コンピュータによる集中管理等の管理態勢が十分であれば、このようなことはほとんど生じない。
次に、駐車した車両が退場するときは、当階フロアーのいずれか一方の出口6から復路の螺旋スロープ4a又は4bに入って、下方へと自走し、1階フロアー1Fの降り口8から1階フロアー1Fへ降り、対応する退場ゲート10を経て場外へと出ればよい。また、1階フロアー1Fに駐車した車両は直接に退場ゲート10を通ればよいことは言うまでもない。
以上の説明で明らかなように、多重螺旋式ランプ2は、往路の二重螺旋スロープ3a,3bと復路の二重螺旋スロープ4a,4bとで4レーンを形成しているが、往路、復路は限定的なものではない。したがって、駐車動向等に応じて任意に変更できることは勿論である。
【0010】
上述の実施の形態では、多重螺旋式ランプ2につき、1回りで4フロアーを昇降する螺旋スロープであって、往路、復路各二重、都合四重のものを示しているが、1回りで6フロアーを昇降し、往路、復路各三重、都合六重としたものでも、1回りで8フロアーを昇降し、往路、復路各四重、都合八重としたものでも、或いは、それ以上のものでもよい。これらの場合には、各螺旋スロープの中途部において、途中階フロアーに対応させて数段に入口、出口等を配すればよい。
【0011】
【発明の効果】
請求項1、請求項2の発明によれば、既述構成であるから、次の効果を奏する。
(1) 一の多重螺旋式ランプ2を、少なくとも往路2レーン、復路2レーンの都合4レーンすることができ、これに相応させて、少なくとも入場・退場階のフロアーでは各2箇所の登り口7と降り口8を、最上階フロアー、屋上等の末端階のフロアーでは各2箇所の入口5と出口6を、途中階の各フロアーでは各2箇所の入口5と出口6及び各1箇所の登り口7と降り口8を設けることができて、出入庫の効率を向上させることができ、大規模化に適合させることができる。
(2) 出入庫の効率を上げるためにランプを複数箇所に設ける必要はなく、したがって、駐車スペースが少なくならず、敷地の利用率を向上させることができる。
(3) 1ウェイ方式で足り、安全走行及び入出庫の円滑化に支障を来すことはない。また、2ウェイのために幅員を拡張させる必要がないから、ランプが格別大きくなることも、これによって駐車スペースが少なくなることも、敷地の利用率が悪くなることもなく、勿論、ランプが構造耐力上から大掛かりなものになることはないから、これによるコスト高を招くこともない。
(4) 1ウェイ方式でも往路・復路各2レーン都合4レーンとすることができるので、往路・復路の変更使用に自在性が生じ、駐車動向に応じて柔軟な対応ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1乃至請求項3の発明に係る複合二重螺旋スロープ立体駐車場の実施の形態を示す説明正面図である。
【図2】同実施の形態における説明平面図である。
【図3】同実施の形態における1階フロアーの截断平面図である。
【図4】同実施の形態における2階フロアーの截断平面図である。
【図5】同実施の形態における3階フロアーの截断平面図である。
【図6】同実施の形態における4階フロアーの截断平面図である。
【図7】同実施の形態における5階フロアーの截断平面図である。
【図8】同実施の形態における6階フロアーの截断平面図である。
【図9】同実施の形態における7階フロアーの截断平面図である。
【図10】同実施の形態における8階フロアーの截断平面図である。
【図11】同実施の形態における屋上の平面図である。
【図12】同実施の形態における図11A−A線の断面図である。
【図13】同実施の形態における図11B−B線の断面図である。
【図14】同実施の形態における図11C−C線の断面図である。
【図15】同実施の形態における図11D−D線の断面図である。
【符号の説明】
1…駐車場躯体 2…多重螺旋式ランプ
3a,3b…往路の二重螺旋スロープ 4a,4b…復路の二重螺旋スロープ
5…入口 6…出口
7…登り口 8…降り口
9…入場ゲート 10…退場ゲート
1F…1階フロアー 2F…2階フロアー
3F…3階フロアー 4F…4階フロアー
5F…5階フロアー 6F…6階フロアー
7F…7階フロアー 8F…8階フロアー
RF…屋上
Claims (2)
- 多層階の駐車場躯体1の1階フロアーから最上階乃至屋上である末端階のフロアーまで螺旋式ランプを設けた立体駐車場において、
少なくとも1回りで4フロアーを昇降する往路の適数重螺旋スロープ3a,3b,…と復路の適数重螺旋スロープ4a,4b,…を複合させ、かつ、
入場ゲート9及び退場ゲート10を設けた1階フロアーには、当該階のフロアーから各往路螺旋スロープ3a,3b,…への登り口7と、各復路螺旋スロープ4a,4b,…から当該階のフロアーへの降り口8とだけを、
又、末端階のフロアーには、各往路螺旋スロープ3a,3b,…から当該階のフロアーへの入口5と、当該階のフロアーから各復路螺旋スロープ4a,4b,…への出口6とだけを、
更に、1階及び末端階を除く各途中階のフロアーには、当該各階のフロアーから往路螺旋スロープ3a,3b,…への登り口7及び復路螺旋スロープ4a,4b,…から当該各階のフロアーへの降り口8と、各往路螺旋スロープ3a,3b,…から当該各階のフロアーへの入口5及び当該各階のフロアーから各復路螺旋スロープ4a,4b,…への出口6との双方を、
それぞれ配備させることで多重螺旋式ランプ2を構築したことを特徴とする、複合螺旋式スロープ立体駐車場。 - 上記複合螺旋式ランプ2を平面形状長円形とするとともに、上記入口5及び登り口7を、各往路螺旋スロープ3a,3b,…のコーナー部と中間部とに、かつ上記出口6及び降り口8を各復路螺旋スロープ4a,4b,…のコーナー部と中間部とにそれぞれ配した請求項1記載の複合螺旋スロープ立体駐車場。
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