JP3617701B2 - フレネルレンズ用紫外線硬化性樹脂組成物および透過型スクリーン - Google Patents

フレネルレンズ用紫外線硬化性樹脂組成物および透過型スクリーン Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フレネルレンズなどの光学部品の製造に適した帯電防止性を有した紫外線硬化性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、メチルメタクリレート重合物またはメチルメタクリレートと他の(メタ)アクリレートとの共重合物(以下、「メチルメタクリレート系(共)重合物」という。)を主成分とする基板との密着性に優れ、帯電防止能を有する紫外線硬化性樹脂組成物および、該紫外線硬化性樹脂組成物からなるフレネルレンズが設けられているフレネルレンズシートを有する透過型スクリーンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フレネルレンズシートは、金型と透明樹脂基板との間に紫外線硬化性樹脂組成物を流し込み、紫外線を照射し、樹脂を硬化させる方法により製造されている。最近、プロジェクションテレビの薄型化のニーズにともない、高屈折率の樹脂が要求されるようになってきており、種々の提案がなされている(特開平5−65318号公報、特開平5−155944号公報、特開平5−247156号公報、特開平5−287037号公報等)。しかし、これらの紫外線硬化性樹脂組成物から得られるレンズは、帯電による静電気で周囲のごみ等が付着する問題があり、これを解決するため硬化物が帯電防止性を有する紫外線硬化性樹脂組成物が提案されている(特開平1−302201号公報、特開平3−157412号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら組成物では、メチルメタクリレート系(共)重合物を主成分とする基板との密着性が悪く、密着性を上げるために基板側にプライマーを使用する必要がある等、要求される密着性、屈折率、耐傷性、帯電防止性を兼ね備えたレンズを得ることができなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの問題点に鑑み、鋭意検討した結果、特定のモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートおよびリン酸エステルからなる樹脂組成物が、上記性能を満足することを見いだし本発明に到達した。
すなわち本発明は、メチルメタクリレート重合物またはメチルメタクリレートと他の(メタ)アクリレートとの共重合物を主成分とする基板上にフレネルレンズを形成させるための紫外線硬化性樹脂組成物において、下記(A)〜(E)を必須成分として含有することを特徴とするフレネルレンズ用紫外線硬化性樹脂組成物;
(A):水酸基含有(メタ)アクリレート
(B):下記一般式(1)で示されるジオール(b)を必須構成成分とするウレタン(メタ)アクリレート
【0005】
【化3】
Figure 0003617701
【0006】
[式中、R 、R およびR はそれぞれ水素原子またはメチル基を表し、mおよびnはそれぞれ1〜15の整数、(m+n)は2〜20の整数を表す。]
(C):フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、並びにフェノール、ノニルフェノールおよびドデシルフェノールのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる芳香環含有単官能(メタ)アクリレート
(D):下記一般式(2)で示されるリン酸エステル
【0007】
【化4】
Figure 0003617701
【0008】
[式中、Rは炭素数5〜16のアルキル基を表し、nは1〜4の整数、mは1または2を表す。]
(E):光重合開始剤
ならびに、該組成物を硬化させた樹脂からなるフレネルレンズが設けられているフレネルレンズシートを有することを特徴とする透過型スクリーンである。
【0009】
本発明において水酸基および芳香環含有(メタ)アクリレート(A)としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(2’−、3’−および4’−メチルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレート、フタル酸[(メタ)アクリロイルオキシエチル−(メタ)アクロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル]エステル、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート付加物、等が挙げられる。これらの内好ましいものは、粘度の低い2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシ−3−(2’−、3’−または4’−メチルフェノキシ)プロピル(メタ)アクリレートである。
【0010】
本発明においてウレタンアクリレート(B)は、前記一般式(1)で示されるジオール(b)および/または該(b)とジカルボン酸とからなるポリエステルジオールと有機ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物である。該一般式(1)におけるmおよびnはそれぞれ1〜15の整数、好ましくは1〜7の整数であり、かつ(m+n)は2〜20の整数、好ましくは2〜10の整数である。(m+n)が2未満では組成物を硬化して得られるレンズが帯電防止性を発揮せず、20を超えると硬化物の屈折率が低くなる。
【0011】
上記(b)は、ビスフェノール類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物である。ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等が挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、EOとPOの併用(ランダム付加物およびブロック付加物)等が挙げられる。ビスフェノール類にアルキレンオキサイドを付加させる方法としては公知の方法、例えばEOおよび/またはPOをアルカリ触媒の存在下でビスフェノール類に付加させる方法が例示できる。
【0012】
上記ポリエステルジオールは、(b)とジカルボン酸とから公知のエステル化の条件で製造できる。ポリエステルジオールを製造するときの(水酸基/カルボキシル基)の当量比は、通常2.0〜1.05、好ましくは2.0〜1.5である。
【0013】
ポリエステルジオールを構成するジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、こはく酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等及びこれらの酸無水物が挙げられる。これらのうち好ましいものはマレイン酸、フマル酸、こはく酸およびアジピン酸である。
【0014】
(B)を構成するジオールとして、(b)および/または該(b)とジカルボン酸とからなるポリエステルジオールとともに必要によりその他のジオールを併用することができる。該その他のジオールは、分子量が400以下であることが好ましい。分子量が400を超えるジオールを使用すると、屈折率を著しく低下させるので好ましくない。該その他のジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール(重合度2〜9)、ポリプロピレングリコール(重合度2〜6)、ポリカプロラクトンジオール(重合度2または3)等が挙げられる。併用する場合の該その他ジオールの使用量は(B)中に含まれる(b)の重量に対して、通常30重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
【0015】
(B)を構成する有機ポリイソシアネートは、、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、これらの変性物(カーボジイミド、ウレトジオン、ビューレット、イソシアヌレート等の各変性物)およびこれらの混合物である。これらのうち特に好ましいものは、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよびこれらの2種以上の混合物である。
【0016】
(B)を構成する水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである。
【0017】
(B)の製法は特に限定されないが、例えば(b)および/または(b)とジカルボン酸からなるポリエステルジオールと有機ポリイソシアネートを通常のウレタン化反応に用いられる公知の方法で反応させ、次に水酸基含有(メタ)アクリレートと反応させる方法が例示できる。
【0018】
(B)の数平均分子量は、通常2,000〜10,000、好ましくは、3,000〜8,000である。数平均分子量が2,000未満では十分な可撓性が得られず、10,000を超えると樹脂組成物の粘度が高くなり、成形物中に泡が残りレンズ機能を損なうので好ましくない。(B)の屈折率(25℃)は、通常1.52以上、好ましくは1.53以上である。
【0019】
本発明において、芳香環含有単官能(メタ)アクリレート(C)としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールのEOおよび/またはPO付加物(EOおよび/またはPOの付加モル数は1〜6)の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEOおよび/またはPO付加物(EOおよび/またはPOの付加モル数は1〜6)の(メタ)アクリレート、ドデシルフェノールのEOおよび/またはPO付加物(EOおよび/またはPOの付加モル数は1〜6)の(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、フェノールのEOおよび/またはPO付加物(EOおよび/またはPOの付加モル数は1〜6)の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEOおよび/またはPO付加物(EOおよび/またはPOの付加モル数は1〜6)の(メタ)アクリレートおよびこれらの混合物である。
【0020】
本発明において、(A):(B):(C)の重量比は、通常(20〜60):(10〜50):(5〜50)、好ましくは(30〜50):(20〜40):(10〜40)である。(A)の比率が20未満では、基板への密着性が悪く、60を超えると粘度が低くなり、成形時に泡を巻き込みレンズ機能を損なうことになり好ましくない。(B)の比率が10未満では、硬化物に可撓性が発現されず、耐傷性が悪くなり、50を超えると樹脂組成物の粘度が高くなり、成形物中に泡が残りレンズ機能を損なう。(C)の比率が5未満では粘度が高くなり、50を超えると基板への密着性が悪くなる。
【0021】
本発明において、リン酸エステル(D)は、前記一般式(2)で示される化合物である。該一般式(2)におけるRは炭素数5〜16のアルキル基であり、nは1〜4の整数であり、mは1または2である。Rの炭素数がこの範囲外では、十分な帯電防止性が発現されない。nが0では本発明の組成物中に溶解しないか、または溶解しても保存中に(D)が析出し、5以上では十分な帯電防止性が発現しない。mが0では(D)は本発明の組成物に溶解せず、3では帯電防止性が全く発現しない。
【0022】
(D)は、脂肪族アルコール(炭素数5〜16)に公知の方法でEOを付加し、さらにリン酸もしくはその誘導体(5酸化2リン等)と反応させることにより製造される。
【0023】
上記アルコールは、炭素数5〜16の直鎖または分岐のモノアルコールである。これらのうち好ましいものは、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルへキシルアルコールおよびn−ラウリルアルコールである。
【0024】
本発明において(D)の使用量は、樹脂組成物の合計重量に基づいて通常0.1〜2.0重量%、好ましくは0.3〜1.5重量%である。使用量が0.1重量%未満では、帯電防止性が不十分であり、2.0重量%を超えると基板への密着性が低下する。
【0025】
本発明の組成物において、(B)および(D)成分はそれぞれ単独でも帯電防止性を有するが、(B)単独では帯電防止性が不十分であり、(D)単独で十分な帯電防止性を得るには配合量が多くなり、結果として密着性を損なうことになる。(B)および(D)を併用することで帯電防止性が向上し、本発明の目標とする性能を得ることができる。(D)は、さらに硬化物の耐傷性を良くする成分としても機能する。
【0026】
本発明において(A)、(B)および(C)と共に必要により他の(メタ)アクリレートモノマーを併用することができる。併用する場合の該他の(メタ)アクリレートの配合量は、(A)、(B)および(C)の合計重量に対し通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
【0027】
上記他の(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、テトラヒドルフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−および、1,3−プロピレンジアクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)およびこれらのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
本発明において光重合開始剤(E)としては、例えばベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート、イソプロピルチオキサントンおよびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0029】
(E)の使用量は、樹脂組成物の合計重量に基づいて通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜6重量%である。
【0030】
また、本発明の組成物には、必要により熱重合禁止剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を添加することができる。
【0031】
本発明の組成物の粘度は、塗工時の温度において、通常500〜5,000cpsである。塗工時における粘度がこの範囲外では、成形物に泡が残りレンズ機能を損なうことになる。
【0032】
また、本発明の組成物の硬化物の屈折率(25℃)は、通常1.54以上、好ましくは1.55以上である。また、該硬化物の表面抵抗値は、通常1013Ω以下、好ましくは1012Ω以下である。このように本発明の組成物は硬化物の屈折率を1.54、好ましくは1.55とすることができるので、フレネルレンズシートを作製した場合には十分な短焦点化が可能となる。また、帯電防止性能が付与されているため、レンズシートのアセンブリ時に静電気が発生しないため、ほこり等の付着がなく、取り扱い作業性も向上する。
【0033】
本発明の組成物は、紫外線を照射することにより硬化させることができる。紫外線照射装置は特に限定されないが、例えば高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0034】
図1は、本発明の透過型スクリーンの一例を示す断面図である。図1に示すように本発明の透過型スクリーンは、基板6の出光面に上記のフレネルレンズ用紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られたフレネルレンズ5を有するフレネルレンズシート2と、入光面と出光面の両方にレンチキュラーレンズが配置され、入光面のレンチキュラーレンズにより投射光が集光されることによって出光面に形成される非集光部(非出光部)に光吸収層4を有するレンチキュラーレンズシート3とが、フレネルレンズシート2のフレネルレンズ5と、レンチキュラーレンズシート3の入光面側のレンチキュラーレンズを対向するようにして組み合わせて配置されている。
ここでフレネルレンズシート2は、基板6上にプライマー層等の密着性付与成分層を設けず、直接フレネルレンズ5を上記樹脂組成物により形成している。
本発明の透過型スクリーン1は、上記紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させて得られたフレネルレンズ5が設けられたフレネルレンズシート2を有していることが特徴であり、図1に示すレンチキュラーレンズシート3と組み合わせる以外にも、目的に応じて、他のスクリーン用レンズシートと任意に組み合わせて構成することができる。
【0035】
なお、上記フレネルレンズシートを構成するメチルメタクリレート系(共)重合物を主成分とする基板6は、メチルメタクリレートの単独重合物またはメチルメタクリレートと他のアルキル(メタ)アクリレート(アルキルの炭素数1〜18)との共重合物を主成分とするものである。該基板中のメチルメタクリレート成分の含有量は通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上である。メチルメタクリレート成分の含有量が70重量%未満では、本発明の組成物の硬化物との密着性が悪くなり好ましくない。
【0036】
また、上記メチルメタクリレート系(共)重合物を主成分とする基板6としては、上記重合物を射出成形、押し出し成形、注型成形など公知の方法で厚さ0.5〜5mmの板状にしたものが用いられる。
【0037】
本発明においてフレネルレンズシート2を製造するには、本発明の組成物を、フレネルレンズ用成形型に塗工し、基板6を上記塗工した樹脂の上から空気が入らないように加圧積層し、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させた後にシートを金型から剥離して行う。
【0038】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例中の「部」は重量部を示す。
【0039】
合成例1および2
表1に示す(b)、(B1)、(B2)、(B3)およびその配合比(重量比)に従って下記合成法にて本発明のウレタンアクリレート(U−1およびU−2)を得た。得られたウレタンアクリレートの屈折率(25℃)をアッベ屈折率計(アタゴ社製)を用い測定した。結果を表1に示す。
【0040】
(合成法)
攪拌機、冷却管および温度計を備えた四つ口フラスコに、規定量のジオール(b)と規定量のジカルボン酸(B1)およびジブチルチンオキサイド0.025部を取り、10mmHg、200℃の条件で8時間、脱水エステル化反応を行った。得られたポリエステルに有機ポリイソシアネート(B2)を規定量加え80〜90℃で2時間反応させ、その後ヒドロキシエチルアクリレート(B3)を規定量加え、80〜90℃で3時間反応させてウレタンアクリレートを得た。
【0041】
合成例3
攪拌機、冷却管および温度計を備えたオートクレーブに、ラウリルアルコールを558部とり50℃にてエチレンオキサイド264部を注入した後、200℃で2時間反応を行った。得られたアルコール822部に5酸化2リン137部加え80〜90℃で2時間反応させてリン酸エステル(D−1)を得た。
【0042】
合成例4
合成例3と同様の装置にオクチルアルコール520部とり50℃にてエチレンオキサイド176部を反応させた後、5酸化2リン280部を反応させてリン酸エステル(D−2)を得た。
【0043】
比較合成例1
攪拌機、冷却管および温度計を備えた四つ口フラスコに、ラウリン酸400部とり、室温にてトリエタノールアミン300部を加え、室温にて2時間反応させてラウリン酸とトリエタノールアミンの塩(D−3)を得た。
【0044】
【表1】
Figure 0003617701
【0045】
実施例1〜5
表2に示す配合比(重量比)に従って配合し、本発明の樹脂組成物(実施例1〜5)を得た。それぞれの35℃での粘度をBL型粘度計(東京計器社製)にて測定した。また、50μの膜を調整し、紫外線を1000mJ/cm 照射し硬化物を得た後、25℃での屈折率を測定した。それぞれの35℃での粘度と硬化物の屈折率を表3に示す。
【0046】
比較例1〜3
表2に示す配合比(重量比)に従って配合し比較の樹脂組成物(比較例1〜3)を得た。それぞれの35℃での粘度と硬化物の屈折率を表3に示す。
【0047】
試験例
実施例1〜5および比較例1〜3の各樹脂組成物を下記試験法に従いフレネルレンズを作製し、基板との密着性、金型からの離型性、耐傷性、帯電防止性の試験を行った。結果を表3に示す。
【0048】
(試験法)
表2の樹脂組成物を35℃に温度調節し、予めクロムメッキを施したフレネルレンズの金型(50cm×50cm)にディスペンサーを用いて50〜150μmに塗工し、メチルメタクリレート系共重合物からなる厚さ2mmの基板(住友化学製、「スミペックスHT」)を、上記金型に充填した樹脂の上から空気が入らないように加圧積層し、高圧水銀灯を用いて紫外線を1,000mJ/cm 照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させた後に、金型を剥離しフレネルレンズシートを得た。
離型時の離型性および得られたフレネルレンズの性能を次の方法で評価した。▲1▼離型性:フレネルレンズ作製時の金型からの離型の難易度
Figure 0003617701
▲2▼泡かみ:フレネルレンズ中の気泡の有無
Figure 0003617701
▲3▼密着性:硬化した紫外線硬化性樹脂組成物と基板との密着性
ナイフで1mm幅に碁盤目(10×10)を入れ、セロハンテープを貼り付け90度剥離。この時基板からの硬化した樹脂の剥離を観察した。
Figure 0003617701
▲4▼耐傷性:フレネルレンズの傷のつき易さ
Figure 0003617701
▲5▼帯電防止性
温度25℃、湿度60%に調整し、ULTRA HIGH RESISTANCE METER(アドバンテスト社製)にて表面抵抗値を測定した。
【0049】
【表2】
Figure 0003617701
Figure 0003617701
【0050】
【表3】
Figure 0003617701
【0051】
【発明の効果】
本発明のフレネルレンズ用紫外線硬化性樹脂組成物は、下記の効果を有する。
(1)メチルメタクリレート重合物、または、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリレートとの共重合物を主成分とする基板との密着性に優れる。
(2)フレネルレンズなどの光学部品の成形が容易である。
(3)硬化後の樹脂は、屈折率が1.54以上と高く、耐薬品性、強靱性、耐熱性および耐冷性が優れる。(4)硬化後の樹脂は、帯電防止性が優れている。
上記効果を奏することから本発明の組成物はとくにフレネルレンズ用材料として極めて有用である。
本発明の透過型スクリーンは、上記フレネルレンズ用紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させて得たフレネルレンズシートを有するため、表面の耐傷性に優れたフレネルレンズ面を有し、透過型スクリーンの輸送中やアセンブリ時に他のレンズシートと接触しても傷付くことがなく、フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとの間にシリコンオイル等を塗布する等の表面処理を施す必要がない。
また、本発明の透過型スクリーンは、帯電防止性能に優れたフレネルレンズ面を有し、透過型スクリーンのアセンブリ時にほこり等の付着がなく、作業者の取り扱い作業性も向上する。
さらに、本発明の透過型スクリーンは、屈折率が1.54以上と高いため、短焦点のフレネルレンズを形成して透過型スクリーンと投射光源間の距離を短くできるため、特に大型画面サイズのプロジェクションテレビの薄型化、小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透過型スクリーンの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 透過型スクリーン
2 フレネルレンズシート
3 レンチキュラーレンズ
5 フレネルレンズ
6 基板

Claims (3)

  1. メチルメタクリレート重合物またはメチルメタクリレートと他の(メタ)アクリレートとの共重合物を主成分とする基板上にフレネルレンズを形成させるための紫外線硬化性樹脂組成物において、下記(A)〜(E)を必須成分として含有することを特徴とするフレネルレンズ用紫外線硬化性樹脂組成物。
    (A):水酸基および芳香環含有(メタ)アクリレート
    (B):下記一般式(1)で示されるジオール(b)を必須構成成分とするウレタン(メタ)アクリレート
    Figure 0003617701
    [式中、R 、R およびR はそれぞれ水素原子またはメチル基を表し、mおよびnはそれぞれ1〜15の整数、(m+n)は2〜20の整数を表す。]
    (C):フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、並びにフェノール、ノニルフェノールおよびドデシルフェノールのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる芳香環含有単官能(メタ)アクリレート
    (D):下記一般式(2)で示されるリン酸エステル
    Figure 0003617701
    [式中、Rは炭素数5〜16のアルキル基を表し、nは1〜4の整数、mは1または2を表す。]
    (E):光重合開始剤
  2. (A):(B):(C)の重量比が、(20〜60):(10〜50):(5〜50)である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. メチルメタクリレート重合物またはメチルメタクリレートと他の(メタ)アクリレートとの共重合物を主成分とする基板上に請求項1または2記載の組成物を硬化させた樹脂からなるフレネルレンズが設けられているフレネルレンズシートを有することを特徴とする透過型スクリーン。
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