JP3617552B2 - 吸収性物品の包装構造 - Google Patents

吸収性物品の包装構造 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、吸収性物品の包装構造に関し、特に、生理用ナプキンの包装構造において、包装材の剥離層と生理用ナプキンの粘着層との位相合わせが容易で、生産性に優れた、吸収性物品の包装構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
吸収性物品としては、生理用ナプキン等があり、該生理用ナプキンは、通常、該ナプキンをショーツに固定し且つその使用中におけるズレを防止するための粘着層を有し、該生理用ナプキンの保存時においては、該粘着層を保護するために、剥離紙を該粘着層に粘着させている。このような生理用ナプキンにおいては、その使用に際して、剥離紙を剥離・廃棄する必要があるため、剥離紙の廃棄処分が厄介であり、また、便器に廃棄した場合には便器を詰まらせるという問題がある。
【0003】
そこで、内面に剥離層が形成された包装材を用いることにより、剥離紙を用いずに生理用ナプキンの上記粘着層を保護する、生理用ナプキンの包装構造が提案されている(実開平4−111324号公報等)。また、該包装構造においては、剥離層が形成された部分はヒートシール性が悪いことから、シールする部分を除いて上記剥離層を形成すること、即ち、上記内面の一部に剥離層を形成することが一般的である。
【0004】
しかし、上記提案の生理用ナプキンの包装構造において上記剥離層を形成する剥離剤は、透明なシリコン系の剥離剤であるので、剥離層が形成されている部位を検知すること、ひいては上記剥離層と上記粘着層との位相合わせをすることが困難であり、生産性の点で問題がある。
また、蛍光X線装置等のシリコンを検出するための特殊な専門の装置を用いれば、上記の生理用ナプキンの包装構造において剥離層が形成されている部位と形成されていない部位とを識別することも可能であるが、このような装置を用いると、製造装置が大規模なものとなり、また、剥離処理した部位を検出し、その情報を製造ラインにフィードバックする場合も時間がかかるため、高速生産性に悪影響を及ぼすという問題もある。
【0005】
従って、本発明の目的は、剥離層が形成されている部位を容易に認識でき、剥離層と粘着層との位相合わせが容易で生産性に優れた、吸収性物品の包装構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、吸収性物品とこれを個装する長方形状の包装材とからなり、該吸収性物品は、その非肌当接面側に粘着層が設けられており、該包装材は、その内面の一部に該粘着層に対応するように剥離層が設けられており、該粘着層と該剥離層とを剥離自在に粘着させてなる吸収性物品の包装構造において、上記剥離層は、該剥離層を設けた部分と設けていない部分とが目視により識別できるように着色されていることを特徴とする吸収性物品の包装構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
【作用】
本発明の吸収性物品の包装構造は、包装材の剥離層に着色が施されているので、該剥離層が形成されている部位と形成されていない部位との認識を容易に行うことができる。
【0008】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の吸収性物品の包装構造である生理用ナプキンの包装構造の実施例について詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の生理用ナプキンの包装構造の1実施例を示す斜視図であり、図2は、生理用ナプキンの包装材による包装態様を示す概略斜視図であり、図3は、図1に示す包装構造における生理用ナプキンの底面を示す斜視図であり、図4は、図1に示す包装構造における包装材の内面を示す斜視図である。また、図5は、本発明の生理用ナプキンの包装構造の製造工程の要部(主として供給工程)を示す概略図である。
【0010】
図1に示す本実施例の生理用ナプキンの包装構造1は、吸収性物品としての生理用ナプキン10とこれを個装する長方形状の包装材20とからなり、該生理用ナプキン10は、その非肌当接面12側に粘着層16が設けられており、該包装材20は、その内面の一部に該粘着層16に対応するように剥離層21(図4参照)が設けられており、該粘着層16と該剥離層21とを剥離自在に粘着させてなる。
【0011】
更に詳細に説明すると、上記生理用ナプキンの包装構造1は、図1及び図2に示すように、生理用ナプキン10の非肌当接面12の全面に包装材20を当接させ、該包装材20が当接された該生理用ナプキン10を、該包装材20と一体に、該生理用ナプキン10の長手方向を前方部13、中央部14及び後方部15に略3等分する2つの折曲部17において、該後方部15、該前方部13の順序で、該中央部14の肌当接面11側に3つ折にし、上記包装材20の両側縁部22を及び端縁部23を止着してシール部2,2’を形成してなる。
そして、生理用ナプキン10の使用時には、該ツマミ部3を図1に示す矢印方向に引き上げ、シール部2’を剥離させて生理用ナプキンを取り出し、使用に供することができる。
【0012】
本発明の包装構造により包装される上記生理用ナプキン10は、図1〜図3に示すように、肌当接面11が液透過性の表面部により、また、非肌当接面12が液不透過性の裏面部により形成され、更に上記肌当接面11と非肌当接面12との間に液保持性の吸収体を有する、通常の生理用ナプキンである。
ここで、上記前方部13は、生理用ナプキンの使用時において、使用者の前面方向に位置する部位である。
そして、図3に示すように、上記生理用ナプキン10の非肌当接面12の全面(前方部、中央部及び後方部)に帯状の粘着層16が設けられており、該粘着層16は、その全面が包装材20の上記剥離層21に剥離自在に粘着されている。
【0013】
上記粘着層16は、上記非肌当接面12上に粘着剤を塗布するか、あるいは剥離処理した包装材20に塗布した後上記非肌当接面上12に転写する等して形成される。上記粘着層を形成する粘着剤としては、例えば、スチレン系ブロックポリマー、粘着付与剤及び軟化剤を主成分とし、スチレン相とゴム相との2相ブロック構造を保持しているものが用いられる。
【0014】
上記スチレン系ブロックポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)等が挙げられる。これらのスチレン系ブロックッポリマーは、スチレン部分の分子量が、好ましくは7000〜20000、ゴム部分の分子量が、好ましくは35000〜70000のブロック共重合体である。
【0015】
また、上記粘着付与剤としては、軟化点が80℃以上で、分子量が400〜2000であるC5 系石油樹脂、C9 系石油樹脂、C5 /C9 系石油樹脂、αピネン、βピネン又はジペンテンの共重合体であるポリテルペン樹脂、ロジン系樹脂、若しくはこれらの水添物等が挙げられる。
上記軟化剤としては、軟化点が10℃以下で平均分子量が200〜700のプロセスオイル、各種可塑剤、ポリブテン、液状樹脂等が挙げられる。
【0016】
上記粘着剤としては、特に下記組成のものが好ましい。
スチレン系ブロックポリマー 100重量部、
粘着付与剤 150〜200重量部、
軟化剤 30〜100重量部
【0017】
而して、本実施例の生理用ナプキンの包装構造1において、上記剥離層21は、着色されている。ここで、上記「着色」は、剥離層を設けた部分設けていない部分とが目視により識別できれば特に制限されない。
【0018】
このような着色された上記剥離層21は、上記包装剤20の内面に顔料や染料等の着色材を含有する剥離処理剤を塗布して上記剥離層21を形成する等して形成することができるが、該着色材としては、該染料はぬれた手で触れたときに手を汚染したり、着色の不要な部分に色移りしたりすることがあるため、顔料が特に好ましい。
【0019】
上記剥離処理剤としては、シリコーン樹脂系、フッソ樹脂系、又はオクタデシルイソシアネート系等の剥離剤成分を主成分とし、顔料を含有するものを好ましく用いることができる。
上記剥離処理剤に用いることができる上記顔料としては、例えば、酸化コバルト、二酸化チタン、チタンブラック、チタニウムイエロー等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機顔料等の他、蛍光顔料等を用いることができ、中でも、識別の容易性及び内容物(吸収性物品)の隠蔽性から蛍光顔料が特に好ましく用いられる。
上記蛍光顔料としては、カルシウム、バリウム、マグネシウム、カドミウム等の酸化物、硫化物、けい酸塩、リン酸塩、タングステン酸塩等を主成分とする顔料が挙げられる。
また、上記顔料の粒径などは特に制限されない。
【0020】
上記顔料は、上記剥離処理剤全体に対して、10重量%以下、好ましくは0.5〜3重量%配合するのが好ましい。
【0021】
本実施例の生理用ナプキンの包装構造においては、上述のように上記剥離層が着色されているので、該剥離層が形成されている部位と形成されていない部位との識別を特殊な装置を用いることなく、通常の二値化処理装置等を用いることにより容易に行なうことができ、生産時における該剥離層と上記粘着層との位相合わせが容易である。
【0022】
また、このような構成を採用していることにより、上記包装材を構成するフィルムに透明なものを用いたとしても内容物の隠蔽性に優れるという効果をも奏するものであり、従来の包装構造よりも低コストのものとすることが可能なものである。
即ち、一般に生理用ナプキン等の吸収性物品においては、内容物を隠す意味で包装材に白色等の着色が施されている。従来の包装構造においては、剥離層は透明であったため、包装材を形成するフィルム自体に着色を施しており、このように、フィルム自体に着色を施していたためコストが高くなっていた。本発明の生理用ナプキンの包装構造においては、上記剥離層が着色されているので、該剥離層により内容物を隠蔽することが可能であり、低コストの透明なフィルムを上記包装材の形成材料として用いても内容物を隠蔽することができる。
【0023】
上記包装材20の形成材料としては、その内面全面が剥離処理されており、剥離性を有するものであれば特に制限されないが、厚さ5〜50μmのポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、あるいは不織布や紙、及びこれらの複合材料等が好ましく挙げられる。
本発明において、上記剥離層を形成する方法としては、上記包装材の内面全面に、上記剥離処理剤を塗布して加熱乾燥するか、スプレーで吹きつけ薄い被膜を形成させる等するのが好ましい。
【0024】
尚、上述した図1〜4に示す実施例においては、上記粘着層を、生理用ナプキンの非肌当接面全面に設けた例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、該粘着層を該非肌当接面の前方部及び中央部に設けたものを用い、生理用ナプキンを後方部、前方部の順に中央部上に折り重ねて3つ折とした後、生理用ナプキン全体を包装材で個装したものとすることもできる。
即ち、粘着層の設置個数及び形状は特に制限されず、2ヵ所以上とすることもできる。
また、生理用ナプキンの形態も、羽付きのものとすることができる。
【0025】
次に、上記生理用ナプキンの包装構造1の好ましい製造方法について説明すると、本実施例の生理用ナプキンの包装構造1は、図5に示すように、粘着層16が形成されていない生理用ナプキン前駆体10’の非肌当接面12に、一面21’全面が剥離処理された包装材20の連続シート20’の該一面21’を当接させ、該連続シート20’を所定位置で切断する供給工程と、該生理用ナプキン前駆体10’を、その折曲部17において該包装材20と一体に折り重ねた後、該包装材20の所定箇所を止着する包装工程とを具備し、上記供給工程は、上記生理用ナプキン前駆体10’の非肌当接面12に上記連続シート20’を当接させる直前に、上記剥離層21の所定位置に、転写により生理用ナプキン10の粘着層16を形成する粘着剤16aを塗布する粘着剤塗布工程を有する製造方法に従って、容易に得ることができる。
【0026】
更に詳述すると、上記供給工程においては、図5に示すように、先ず、生理用ナプキン前駆体10’の連続シート10”をローラー50で圧縮した後、所望の形状に切断して生理用ナプキン前駆体(生理用ナプキン10において粘着層16が形成されていないもの)10’を得る。該所望の形状は、生理用ナプキンの用途(例えば、薄型、夜用等)に応じて適宜採用される。
次いで、連続シート20’をロールから引き出して、長手方向に向けて供給される上記生理用ナプキン前駆体10’の非肌当接面12に、ローラー51を介して当接させ、該連続シート20’を所定位置で切断する。ここで、上記連続シート20’を切断する該所定位置は、得られる包装材20が上記生理用ナプキン前駆体10’の非肌当接面12全面をカバーする大きさとなる位置(包装材20の長手方向両端縁が、それぞれ生理用ナプキン10の長手方向両端縁よりも外側となる位置)であれば、特に制限されない。
【0027】
また、上記包装工程においては、図2に示すように、上記生理用ナプキン前駆体10’を、その2つの折曲部17において、後方部15、前方部13の順に中央部14上に、包装材20と一体に折り重た後、該包装材20の両側縁22及び端縁23をそれぞれヒートシールして止着する。
【0028】
そして、上記供給工程は粘着剤塗布工程を有し、該粘着剤塗布工程においては、上記連続シート20’の剥離処理がなされている上記剥離層21の所定位置に、粘着剤16’を粘着剤塗布手段40により塗布する。
ここで、上記「所定位置」は、該粘着剤16aが生理用ナプキン前駆体10’に転写された際に、生理用ナプキンの所望の位置及び形状に粘着層16が形成されれば、特に制限されるものではなく、生理用ナプキンの用途、包装材の大きさ及び粘着層の形状等により任意であるが、本実施例においては、長方形状の粘着剤を一定間隔をおいて連続して塗布している。
【0029】
また、この際用いられる上記粘着材塗布手段40としては、例えば、接触式又は非接触式のコーティング方式等が用いられる。
また、上記粘着材16aの塗布は、上記連続シート20’と生理用ナプキン前駆体10’とを当接させる直前であり、該直前とは、具体的には、上記当接の前0.1〜2秒であるのが好ましく、この際の粘着剤の塗布温度は、用いる粘着剤の種類によるが、80〜150℃であるのが好ましい。
【0030】
尚、上記生理用ナプキンの包装構造の製造方法についても、上述した図5に示す製造方法には限定されず、例えば、上記粘着層の形成に際して、包装材の内表面には粘着剤を塗布せずに生理用ナプキンの非肌当接面に直接該粘着剤を塗布して、上記粘着層を形成することにより、上記生理用ナプキンの包装構造を製造することもできる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の生理用ナプキンの包装構造は、剥離層が形成されている部位を容易に認識でき、剥離層と粘着層との位相合わせが容易で生産性に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の生理用ナプキンの包装構造の1実施例を示す斜視図である。
【図2】図2は、生理用ナプキンを3つ折にする際の途中の形態を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す包装構造における生理用ナプキンの底面を示す斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す包装構造における包装材の斜視図である。
【図5】図5は、本発明の生理用ナプキンの包装構造の製造工程の要部(主として供給工程)を示す概略図である。
【符号の説明】
1 生理用ナプキンの包装構造
2,2’ シール部
3 ツマミ部
10 生理用ナプキン
11 肌当接面
12 非肌当接面
13 前方部
14 中央部
15 後方部
16 粘着層
17 折曲部
20 包装材
21 剥離層
22 側縁
23 端縁部

Claims (3)

  1. 吸収性物品とこれを個装する長方形状の包装材とからなり、該吸収性物品は、その非肌当接面側に粘着層が設けられており、該包装材は、その内面の一部に該粘着層に対応するように剥離層が設けられており、該粘着層と該剥離層とを剥離自在に粘着させてなる吸収性物品の包装構造において、
    上記剥離層は、該剥離層を設けた部分と設けていない部分とが目視により識別できるように着色されていることを特徴とする吸収性物品の包装構造。
  2. 上記剥離層は、顔料を含有する剥離処理剤により形成されて着色されていることを特徴とする請求項1記載の吸収性物品の包装構造。
  3. 上記顔料は、蛍光顔料であることを特徴とする請求項2記載の吸収性物品の包装構造。
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