JP3617316B2 - ディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドル時においてディーゼルエンジンの回転数を、負荷に対応する目標回転数に制御するディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼルエンジンのアイドル回転数制御において、負荷の増大に対するアイドルアップを行う制御装置としては、例えば、特開平6−129292号公報の回転速度制御装置が提案されている。
【0003】
この従来技術では、アイドルアップする必要のないアイドル状態と、アイドルアップする必要のあるアイドル状態との各状態でそれぞれ目標回転数を定め、各目標回転数となるように燃料噴射量を補正するとともに、更に、アイドルアップ時に見込み補正量を燃料噴射量に足し込むために、予め実験的に求めた見込み補正量を定めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アイドルアップの対象となる負荷の種類は、空気調和装置(以下、エアコンと称する)の負荷ばかりでなく、自動変速機、ヘッドランプ等の電気負荷、パワーステアリング、冷間状態などがあり、その種類毎に目標回転数ばかりでなく、見込み補正量も備えなくてはならない。
【0005】
このため、これらの見込み補正量のデータを記憶しておくためのメモリが増大するという問題があった。
更に、アイドルアップ対象負荷が複数あることにより、これらの負荷が重なった場合には、ある特定の負荷に対するアイドルアップのみを優先してその見込み補正量のみをアイドル回転数制御に用いたり、あるいは負荷毎に算出された見込み補正量をすべて用いて加算して必要な見込み補正量を計算しているものが提案されている(特開平9−126021号公報)。
【0006】
しかし、このように特定の負荷に対するアイドルアップを優先した場合には他の負荷においてはアイドルアップ量が不足してしまい安定した回転が得られない場合があり、また、単純に加算したのでは、アイドルアップが高すぎて燃料消費を悪化させるおそれがあり、更に、加算における計算も複雑となり処理に負担がかかるおそれがあった。しかも、特開平9−126021号公報では、複数のアイドルアップ対象負荷が重なった場合における目標回転数についても、いかにして処理しているかは記載されておらず、適切な目標回転数の設定においては問題が存在した。
【0007】
本発明は、このような負荷毎の見込み補正量を記憶しておかなくても見込み補正量を使用できるディーゼルエンジンのアイドル回転数制御を実現すること、またこのようなアイドル回転数制御において負荷が重なった場合にも適切な目標回転数と見込み補正量とを迅速に得ることができるディーゼルエンジンのアイドル回転数制御の実現を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、アイドル時において、ディーゼルエンジンに対する制御量を調整することにより、ディーゼルエンジンの回転数を、ディーゼルエンジンへの負荷状態に対応する目標回転数に制御するディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置であって、前記ディーゼルエンジンに対する制御量が、ディーゼルエンジンに対するアイドル時の負荷状態に対応して設定された目標回転数とディーゼルエンジンの実回転数との差に応じて設定されたフィードバック制御量と、前記実回転数から、該回転数をパラメータとする標準制御量算出式に基づいて算出された負荷が発生していない標準の負荷状態での標準制御量と、負荷状態に対応して設定された現在の目標回転数と前記標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて算出された見込み補正量とに基づいて求められることを特徴とする。
【0009】
本ディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、各負荷状態に対応して記憶しておかなくてはならないデータは、負荷状態と目標回転数との対応データのみである。見込み補正量は、負荷状態に対応して設定された現在の目標回転数と負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて算出されている。これは、目標回転数の変化が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に計算することにより求めることができる。
【0010】
したがって、負荷状態の種類毎の見込み補正量を記憶しておかなくても、計算により求めた見込み補正量を使用してディーゼルエンジンのアイドル回転数制御を実現することができ、アイドル回転数制御装置のメモリを節約できる。
【0011】
請求項2記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、アイドル時において、ディーゼルエンジンに対する制御量を調整することにより、ディーゼルエンジンの回転数を、ディーゼルエンジンへの負荷状態に対応する目標回転数に制御するディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置であって、ディーゼルエンジンの実回転数を検出する回転数検出手段と、ディーゼルエンジンへの負荷状態を検出する負荷状態検出手段と、負荷状態と目標回転数との対応データに基づいて、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態に対応する目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数と前記回転数検出手段にて検出された実回転数との差に応じてフィードバック制御量を設定するフィードバック制御量設定手段と、前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数と、負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて、見込み補正量を算出する見込み補正量算出手段と、前記回転数検出手段にて検出された実回転数から、回転数をパラメータとする標準制御量算出式に基づいて前記標準の負荷状態での制御量である標準制御量を算出する標準制御量算出手段と、前記見込み補正量算出手段にて算出された見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから基本制御量を求める基本制御量算出手段と、前記フィードバック制御量設定手段にて設定されたフィードバック制御量および前記基本制御量算出手段にて算出された基本制御量から、ディーゼルエンジンに対する制御量を設定するディーゼルエンジン制御量設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
各負荷状態に対応したデータは、目標回転数設定手段における負荷状態と目標回転数との対応データのみである。見込み補正量算出手段は、目標回転数設定手段にて設定された目標回転数と、負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて、見込み補正量を算出している。これは、目標回転数の変化が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に、現在の負荷状態から求められた目標回転数と標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて計算することにより求めることができる。そして、基本制御量算出手段が、この見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから適切な基本制御量を求める。このことからディーゼルエンジン制御量設定手段にてもディーゼルエンジンに対する適切な制御量を設定することができる。
【0013】
したがって、請求項1と同じ作用効果を生じる。
請求項3記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2記載の構成に対して、前記見込み補正量算出手段は、次式に基づいて見込み補正量を算出することを特徴とする。
【0014】
【数4】
eqipnt = EQIPNP × (entrg − ENT)
ここで、eqipntは見込み補正量、EQIPNPは係数、entrgは前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数、ENTは標準の負荷状態での目標回転数である。
【0015】
具体的な例として、このような計算式により見込み補正量eqipntが、目標回転数設定手段にて設定された目標回転数entrgと、標準の負荷状態での目標回転数ENTとから求めることができ、前記請求項1に記載した作用効果を生じさせることができる。
【0016】
請求項4記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2または3記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置において、前記ディーゼルエンジン制御量設定手段は、前記基本制御量として、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態が複数種類存在する場合は、該負荷状態の種類毎に前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数の内、最大の目標回転数に基づいて得られた基本制御量を用いることを特徴とする。
【0017】
このように、ディーゼルエンジン制御量設定手段は、複数種類の負荷状態が発生した場合には、これらの負荷状態に応じて設定された複数の目標回転数の内で最大の目標回転数を選択し、この値を用いて各手段を経て最終的に基本制御量を求めている。このように、複数の負荷状態が重なっても、目標回転数の最大値を選択するという簡単な処理で適切な目標回転数と見込み補正量とを迅速に得ることができ、最終的に適切な基本制御量を迅速に得ることができる。こうして、請求項1の作用効果と共に、すべての負荷状態に対応できる必要かつ十分なアイドルアップを迅速に実現することができるという作用効果も生じる。
【0018】
請求項5記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、アイドル時において、ディーゼルエンジンに対する制御量を調整することにより、ディーゼルエンジンの回転数を、ディーゼルエンジンへの負荷状態に対応する目標回転数に制御するディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置であって、ディーゼルエンジンの実回転数を検出する回転数検出手段と、ディーゼルエンジンへの負荷状態を検出する負荷状態検出手段と、負荷状態と負荷が発生していない標準の負荷状態の目標回転数に対する差分回転数との対応データに基づいて、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態に対応して、差分回転数を設定する差分回転数設定手段と、前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数と前記標準の負荷状態の目標回転数との和と、前記回転数検出手段にて検出された実回転数との差に応じてフィードバック制御量を設定するフィードバック制御量設定手段と、前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数に応じて見込み補正量を算出する見込み補正量算出手段と、前記回転数検出手段にて検出された実回転数から、回転数をパラメータとする標準制御量算出式に基づいて前記標準の負荷状態での制御量である標準制御量を算出する標準制御量算出手段と、前記見込み補正量算出手段にて算出された見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから基本制御量を求める基本制御量算出手段と、前記フィードバック制御量設定手段にて設定されたフィードバック制御量および前記基本制御量算出手段にて算出された基本制御量から、ディーゼルエンジンに対する制御量を設定するディーゼルエンジン制御量設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
各負荷状態に対応したデータは、差分回転数設定手段における負荷状態と差分回転数との対応データのみである。見込み補正量算出手段は、差分回転数設定手段にて設定された差分回転数に応じて見込み補正量を算出している。これは、現在の目標回転数と負荷が発生していない標準の負荷状態の目標回転数との差が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に、差分回転数に応じて計算することにより求めることができる。そして、基本制御量算出手段が、この見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから適切な基本制御量を求める。このことからディーゼルエンジン制御量設定手段にてもディーゼルエンジンに対する適切な制御量を設定することができる。
【0020】
したがって、請求項1と同じ作用効果を生じる。
請求項6記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項5記載の構成に対して、前記見込み補正量算出手段は、次式に基づいて見込み補正量を算出することを特徴とする。
【0021】
【数5】
eqipnt = EQIPNP × dentrg
ここで、eqipntは見込み補正量、EQIPNPは係数、dentrgは前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数である。
【0022】
具体的な例として、このような計算式により見込み補正量eqipntが、差分回転数設定手段にて設定された差分回転数dentrgから求めることができ、前記請求項1に記載した作用効果を生じさせることができる。
【0023】
請求項7記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項5または6記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置において、前記ディーゼルエンジン制御量設定手段は、前記基本制御量として、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態が複数種類存在する場合は、該負荷状態の種類毎に前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数の内、最大の差分回転数に基づいて得られた基本制御量を用いることを特徴とする。
【0024】
このように、ディーゼルエンジン制御量設定手段は、複数種類の負荷状態が発生した場合には、これらの負荷状態に応じて設定された複数の差分回転数の内で最大の差分回転数を選択し、この値を用いて各手段を経て最終的に基本制御量を求めている。このように、複数の負荷状態が重なっても、差分回転数の最大値を選択するという簡単な処理で適切な目標回転数と見込み補正量とを迅速に得ることができ、最終的に適切な基本制御量を迅速に得ることができる。こうして、請求項1の作用効果と共に、すべての負荷状態に対応できる必要かつ十分なアイドルアップを迅速に実現することができるという作用効果も生じる。
【0025】
請求項8記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2〜7のいずれか記載の構成に対して、前記基本制御量算出手段は、ディーゼルエンジンへの負荷状態が前記負荷状態検出手段にて標準の負荷状態であると検出された場合には、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量により基本制御量を求めることを特徴とする。
【0026】
標準の負荷状態である場合には、見込み補正量は必要なく、標準制御量算出手段にて算出された標準制御量そのものが見込み値に該当し、この値により基本制御量を求めればよいからである。
【0027】
請求項9記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2〜8のいずれか記載の構成に対して、前記ディーゼルエンジン制御量設定手段において設定されるディーゼルエンジンに対する制御量は、燃料噴射量あるいは燃料噴射時間として設定されることを特徴とする。
【0028】
このように制御量としては直接的に燃料噴射量あるいは燃料噴射時間が用いられるが、この他に、制御量は、例えば、回転数などで表し、この回転数で標準制御量算出手段で用いられる実回転数を補正することにより、標準制御量の算出値を増減することで、ディーゼルエンジンの回転数制御を行わせることもできる。
【0029】
請求項10記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項1〜9のいずれか記載の構成に対して、前記標準制御量算出式は、回転数が高くなるほど標準制御量が減少する傾向に設定されていることを特徴とする。
【0030】
具体的な例として、このような傾向にすることにより、前記請求項1〜9に記載した作用効果を生じさせることができる。
請求項11記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項10記載の構成に対して、前記標準制御量算出式は、次式で表されることを特徴とする。
【0031】
【数6】
eqgovs = EQGV − ene×EMQGN
ここで、eqgovsは標準制御量、EQGVは正の定数、eneは回転数、EMQGNは正の係数である。
【0032】
具体的な例として、このような計算式により制御量eqgovsが、回転数eneから求めることができ、前記請求項10における作用効果を生じさせることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用されたディーゼルエンジン制御装置2の概略構成を表すブロック図である。
【0034】
ディーゼルエンジン4は自動車の駆動用として車両に搭載されている。このディーゼルエンジン4は、ターボチャージャー6を備えており、エアクリーナー8を介して吸気管10に導入された空気は、ターボチャージャー6によって過給され、インタークーラー12、ベンチュリー14を介して、シリンダー16内の燃焼室18に導かれる。
【0035】
燃焼室18内にて燃料噴射弁20から燃料が噴射され、燃焼した後の排気は、排気管22に排出され、ターボチャージャー6を駆動させて外部に排出される。
なお、ターボチャージャー6より上流側の排気管22と、ベンチュリー14よりも下流の吸気管10との間には、排気環流管24が設けられている。この排気環流管24には、電子制御ユニット(ECU)51の指示により電気式負圧調整弁(EVRV)74を介して開閉が調整されるEGRバルブ26が設けられている。排気環流管24は、EGRバルブ26が開状態の場合に、その開度に応じて排気を排気管22から吸気管10へ供給し、排気再循環を実現している。
【0036】
燃料噴射弁20へは、分配型燃料噴射ポンプ28から高圧燃料が、燃料噴射タイミングと燃料噴射量とが調整されて供給されている。この分配型燃料噴射ポンプ28にはタイミングコントロールバルブ30が設けられて、ECU51により駆動されて燃料噴射タイミングが調整される。更に、分配型燃料噴射ポンプ28には電磁スピル弁32が設けられ、ECU51により駆動されて燃料噴射量が調整される。
【0037】
また、ベンチュリー14内の第1絞り弁34はアクセルペダル36と連動して開閉すると共に、第1絞り弁34の回動軸にはアクセルセンサ38が設けられて、アクセル開度ACCP、すなわち、運転者によるアクセルペダル36の操作量を検出している。ベンチュリー14内に第1絞り弁34と並列に設けられた第2絞り弁40はダイヤフラム機構42と負圧切換弁72とを介して、ECU51により調整される。
【0038】
ECU51の電気的構成について、図2のブロック図に従って説明する。
ECU51は、中央処理制御装置(CPU)52、所定のプログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)53、CPU52の演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)54、予め記憶されたデータ等を保存するバックアップRAM55、およびタイマカウンタ56等を備えているとともに、入力インターフェース57および出力インターフェース58等を備えている。また、上記各部52〜56と入力インターフェース57および出力インターフェース58とは、バス59によって接続されている。
【0039】
前述したアクセルセンサ38、ベンチュリー14より下流の吸入空気の圧力を検出する吸気圧センサ62、ディーゼルエンジン4のエンジン冷却水温THWを検出する水温センサ64、分配型燃料噴射ポンプ28内で燃料の温度を検出する燃温センサ66、吸気管10に設けられて吸入空気の温度を検出する吸気温センサ67、その他のセンサは、それぞれバッファ、マルチプレクサ、A/D変換器(いずれも図示せず)を介して入力インターフェース57に接続されている。
【0040】
また、分配型燃料噴射ポンプ28の回転からディーゼルエンジン4のエンジン回転数NEを検出する回転数センサ68、ディーゼルエンジン4のクランクシャフトの基準角度位置を検出するクランクポジションセンサ70、車速センサ71、その他のセンサは、波形整形回路(図示せず)を介して入力インターフェース57に接続されている。さらに、更に、エアコン(図示せず)の作動状態を検出するエアコンスイッチ78、電気負荷の発生を示すランプスイッチ等の電気負荷スイッチ80等が設けられ、入力インターフェース57に直接接続されている。また、パワーステアリング制御用ECU81からのパワーステアリングが作動しているか否かの信号も入力されている。この他、図示していないがスタータスイッチ等も入力インターフェース57に直接接続されている。このことで、CPU52は、上記各センサの信号を読み込むことができる。
【0041】
また、前述した電磁スピル弁32、ダイヤフラム機構42の動作を前記バキュームポンプ27が発生する負圧と大気圧との供給状態にて調整することで第2絞り弁40の開度を調整する負圧切換弁72、EGRバルブ26の開度を前述したごとくバキュームポンプ27の負圧と大気圧との供給状態にて調整することで排気環流管24による排気の環流量を調整するEVRV74は、それぞれ駆動回路(図示せず)を介して出力インターフェース58に接続されている。
【0042】
したがって、CPU52は、前述のごとく入力インターフェース57を介して読み込んだセンサ類の検出値に基づき、出力インターフェース58を介して電磁スピル弁32、負圧切換弁72、EVRV74等を好適に調整し、ディーゼルエンジン4の駆動状態を適切に制御している。
【0043】
次に、本実施の形態1において、ECU51により実行される制御のうち、アイドル回転数制御について説明する。図3および図4はアイドル回転数制御処理のフローチャートを示す。この処理は、時間周期あるいは180゜クランク角毎(爆発行程毎)の割り込みで実行される。なお個々の処理に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
【0044】
処理が開始されると、まず、回転数センサ68にて検出されているディーゼルエンジン4の回転数eneをRAM54の作業領域に読み込み(S100)、アクセルセンサ38にて検出されているアクセル開度ACCPをRAM54の作業領域に読み込む(S105)。
【0045】
そして、ディーゼルエンジン4に対する負荷状態を検出する(S110)。この検出は、例えば、エアコンスイッチ78によるエアコンの作動状態、ランプスイッチ等の電気負荷スイッチ80による電気負荷の作動状態、パワーステアリング制御用ECU81からの信号によるパワーステアリングの作動状態等から、ディーゼルエンジン4に対して負荷となる状態を検出するものである。
【0046】
次に、ディーゼルエンジン4の運転状態がアイドル状態か否かを判定する(S120)。この判定は、例えば、ステップS100で読み込んだエンジン回転数eneがアイドル状態を示す範囲の回転速度(例えば、900[r.p.m.])以下で、かつアクセルセンサ38で検出されたアクセル開度ACCPが0であるか否かから判定する。
【0047】
アイドル状態でなければ(S120で「NO」)、次に、非アイドル時の燃料噴射量Qを設定する(S130)。例えば、アクセル開度ACCPとエンジン回転数eneとに基づいて、マップから燃料噴射量Qが求められる。
【0048】
アイドル状態であれば(S120で「YES」)、次にアイドルアップ制御実行条件が成立しているか否かを判定する(S140)。この判定は、前記ステップS110にてディーゼルエンジン4に対してアイドルアップが必要な負荷が発生しているか否かにより判定される。
【0049】
アイドルアップが必要な負荷が発生していないと判定されると(S140で「NO」)、目標回転数entrgとして、負荷が発生していない標準状態の目標回転数ENTが設定される(S144)。
【0050】
次に、基本燃料噴射量eqgovを次式1のごとく算出する(S146)。
【0051】
【数7】
eqgov ← EQGV − ene×EMQGN … [式1]
ここで、EQGVは正の定数、EMQGNは正の係数である。
【0052】
前記式1を燃料噴射量とエンジン回転数eneの座標に当てはめると図5に実線で示す右下がりの直線で表される。
一方、アイドルアップが必要な負荷が発生していると検出されていれば、ステップS140にてアイドルアップ制御実行条件が成立していると判定される(S140で「YES」)。
【0053】
次に、負荷に応じた目標回転数が、負荷と目標回転数との対応データとしてROM53上に記憶されている負荷−目標回転数テーブルからRAM54の作業領域に、目標回転数entrgとして読み込まれる(S150)。例えば、エアコンスイッチ78がオンであることによりエアコンの負荷が発生している場合には、エアコンオン用の値が目標回転数entrgに読み込まれる。
【0054】
次に、標準燃料噴射量eqgovsを次式2のごとく算出する(S160)。
【0055】
【数8】
eqgovs ← EQGV − ene×EMQGN … [式2]
ここで、式2は求める対象が異なるのみで、式自体は前記式1と全く同じである。
【0056】
次に、負荷に対するアイドルアップ分に対応する見込み補正量eqipntを次式3のごとく算出する(S170)。
【0057】
【数9】
eqipnt ← EQIPNP × (entrg − ENT)… [式3]
ここで、EQIPNPは係数、ENTは標準の負荷状態での目標回転数である。なお係数EQIPNPは、前記式1,2における係数EMQGNよりもわずかに大きい値が、たとえば10%前後大きい値が設定される。この式3を目標回転数entrgと見込み補正量eqipntの座標に当てはめると図6に示すグラフのごとくとなる。
【0058】
次に、次式4に示すごとく、標準燃料噴射量eqgovsを見込み補正量eqipntにて補正して、基本燃料噴射量eqgovを求める(S180)。
【0059】
【数10】
eqgov ← eqgovs + eqipnt … [式4]
ステップS146またはステップS180にて基本燃料噴射量eqgovを求めた後、目標回転数entrgとエンジン回転数eneとから次式5に示すごとく、回転数偏差deneを求める(S190)。
【0060】
【数11】
dene ← entrg − ene … [式5]
次に、この回転数偏差deneにより、フィードバック補正量テーブルあるいは計算式から積分補正量としてのフィードバック補正量dEQIIを求める(S200)。
【0061】
次に、今回のフィードバック制御量EQII(i)を次式6に示すごとく求める(S210)。
【0062】
【数12】
EQII(i) ← EQII(i−1) + dEQII … [式6]
ここで、EQII(i−1)は前回の制御サイクルのステップS210の処理にて求められたフィードバック制御量を表す。
【0063】
そして、次式7のごとく、基本燃料噴射量eqgovとフィードバック制御量EQII(i)とから燃料噴射量Qが求められる(S220)。
【0064】
【数13】
Q ← eqgov + EQII(i) … [式7]
そして、この燃料噴射量Qに応じて電磁スピル弁32の開弁タイミングが制御されて(S230)、燃料噴射量Q分の燃料量が燃料噴射弁20から燃焼室18内に噴射される。
【0065】
なお、ステップS130にて非アイドル時の燃料噴射量Qが設定された後もステップS230が実行されて、該当する燃料噴射量Q分の燃料噴射が実行される。
【0066】
ステップS230の終了後は一旦本処理を終了して、制御周期が来れば再度ステップS100から処理が繰り返される。
ここで、負荷が生じたタイミング以降の基本燃料噴射量eqgovの算出を、図5,6のグラフに基づいて説明する。
【0067】
最初、負荷のないアイドル状態(標準状態に相当する)であり、ステップS100、S105、S110、S120、S140、S144、S146、S190〜S230が繰り返されて、回転数eneがほぼ標準状態の目標回転数ENTに収束しているものとする。この時、基本燃料噴射量eqgovは、式1から図5に示すQaに設定されている。
【0068】
次に、エアコンスイッチ78がオンされたりして負荷が発生すると、処理がステップS140からステップS150〜S180側を実行するようになる。この負荷に応じて、ステップS150にて目標回転数entrgに値ENaが設定されたとすると、ステップS170の処理により見込み補正量eqipntとして図6に示すごとく、値QIaが設定される。
【0069】
このことにより、アイドルアップした直後であってエンジン回転数eneが変化していない時には、式2の関係から標準燃料噴射量eqgovs=Qaであることから、図5に示すごとく、基本燃料噴射量eqgovとしてはQp(=Qa+QIa)が設定される。この結果、燃料噴射量Qが大きく増加して、ディーゼルエンジン4の出力トルクが増加し、回転数eneが上昇する。
【0070】
回転数eneの上昇に伴い、標準燃料噴射量eqgovsには常に式2が用いられているので、標準燃料噴射量eqgovsは次第に減少し、同時に基本燃料噴射量eqgovも減少して行く。そして、エンジン回転数eneが目標回転数entrg(=ENa)に収束すると、標準燃料噴射量eqgovsはマイナスの値Qcとなり、基本燃料噴射量eqgovはアイドルアップする直前の、基本燃料噴射量Qaよりもわずかに高い基本燃料噴射量Qbに到達する。ただし、実際の燃料噴射量Qとしては、フィードバック制御量EQII(i)による補正がなされている。
【0071】
逆に、エアコンスイッチ78がオフされたりして負荷がなくなれば、目標回転数はENaからENTに戻るとともに、見込み補正量eqipnt(=QIa)の加算がなくなって、基本燃料噴射量eqgovとしては、式1にて算出された値Qcそのものが設定される。なお、図5に示した例では、基本燃料噴射量eqgov(=Qc)はマイナスであるが、このように最終的に求められる燃料噴射量Qがマイナスまたは0となった場合は、燃料噴射はなされない。
【0072】
このため、燃料噴射がなされなかったり、あるいは燃料噴射量が大きく減少するので、ディーゼルエンジン4の出力トルクが減少し、回転数eneが低下する。
【0073】
回転数eneの低下に伴い、基本燃料噴射量eqgovは常に式2と同じ式1が用いられているので、次第に増加して行く。そして、目標回転数entrg(=ENT)に収束すると、基本燃料噴射量eqgovはアイドルアップする前の、基本燃料噴射量Qaに到達する。ただし、この場合も実際の燃料噴射量Qとしては、フィードバック制御量EQII(i)の補正がなされている。
【0074】
上述した実施の形態1の内容と請求項との関係は、ステップS100が回転数検出手段としての処理に相当し、ステップS110が負荷状態検出手段としての処理に相当し、ステップS144,S150が目標回転数設定手段としての処理に相当し、ステップS190〜S210がフィードバック制御量設定手段としての処理に相当し、ステップS170が見込み補正量算出手段としての処理に相当し、ステップS146,S160が標準制御量算出手段としての処理に相当し、ステップS146,S180が基本制御量算出手段としての処理に相当し、ステップS220がディーゼルエンジン制御量設定手段としての処理に相当する関係にある。
【0075】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).ROM53に記憶されている各負荷に対応したデータは、ステップS150,S144で用いられる負荷状態と目標回転数entrgとの対応データのみである。見込み補正量eqipntについては、ステップS170にて、負荷状態に応じて設定された目標回転数entrgと、標準の負荷状態での目標回転数ENTとの差に応じて算出されている。これは、目標回転数entrgの変化が大きいほど、ディーゼルエンジン4に対する実際の燃料噴射量Qも大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため燃料噴射量Qの作成のための見込み補正量eqipntは、予め記憶しておかなくても必要時に式3のごとく計算することにより求めることができる。
【0076】
なお、負荷状態が標準状態である場合には、標準状態との差を考慮するための見込み補正量eqipntは不要となるので、基本燃料噴射量eqgovには標準燃料噴射量eqgovsの値のみが設定される(S146)。
【0077】
したがって、必要時に計算により求めた見込み補正量eqipntを使用してアイドル回転数制御を実現することができ、ECU51のメモリを節約できる。
[実施の形態2]
本実施の形態2は、前記実施の形態1の図3にて示した目標回転数entrgを設定する処理(S150)の代わりに、図7および図8に示す目標回転数算出処理が行われる点が異なる。この目標回転数算出処理に関する構成以外の構成は実施の形態1と同じである。次に、この目標回転数算出処理について説明する。
【0078】
図3に示したステップS140にてアイドルアップ制御実行条件が成立したと判定されると(S140で「YES」)、まず、図7,8の処理が開始され、現在が冷間時か否かが、水温センサ64にて検出されているディーゼルエンジン4の冷却水温に基づいて判定される(S300)。冷却水温が冷間時判定温度よりも低いことで、ディーゼルエンジン4が冷間時であると判定されれば(S300で「YES」)、次に、ROM53に記憶されている目標回転数アップ値(差分回転数に相当する)の内、冷間時用アップ値(>0)が冷間時アイドルアップ回転数entrcldに設定される(S310)。
【0079】
ここで、前記実施の形態1では、ROM53には負荷状態と目標回転数entrgとの対応データが記憶されていたが、本実施の形態2では、各負荷状態に対して、目標回転数アップ値が記憶されている。このアップ値とは、ディーゼルエンジン4に負荷が発生した場合の目標回転数と、標準状態(ここでは負荷がない状態)での目標回転数との差を表す値である。したがって、前記冷間時用アップ値は、標準状態の目標回転数からの冷間時における目標回転数へのアップの大きさを示している。以下、説明する他の負荷のアップ値もその意味は同じである。なお、ステップS310にて設定される冷間時用アップ値は冷却水温が低いほど大きな値(ただし上限は存在する)に設定される。
【0080】
また、ステップS300において、冷間時でなければ(S300で「NO」)、冷間時アイドルアップ回転数entrcldには0が設定される(S320)。
【0081】
次に、エアコンスイッチ78の状態からエアコンがオンされているか否かが判定される(S330)。エアコンスイッチ78がオンであれば(S330で「YES」)、ROM53に記憶されている目標回転数アップ値の内、エアコン用アップ値(>0)がエアコンアイドルアップ回転数entracに設定される(S340)。エアコンスイッチ78がオフであれば(S330で「NO」)、エアコンアイドルアップ回転数entracに0が設定される(S350)。
【0082】
次に、ランプスイッチ等の電気負荷スイッチ80の状態から電気負荷がオンされているか否かが判定される(S360)。電気負荷スイッチ80がオンであれば(S360で「YES」)、ROM53に記憶されている目標回転数アップ値の内、電気負荷用アップ値(>0)が電気負荷アイドルアップ回転数entraltに設定される(S370)。電気負荷スイッチ80がオフであれば(S360で「NO」)、電気負荷アイドルアップ回転数entraltに0が設定される(S380)。
【0083】
次に、パワーステアリング制御用ECU81からの信号に基づいてパワーステアリングが作動しているか否かが判定される(S390)。パワーステアリングが作動していれば(S390で「YES」)、ROM53に記憶されている目標回転数アップ値の内、パワーステアリング用アップ値(>0)がパワーステアリングアイドルアップ回転数entrpsに設定される(S400)。パワーステアリングが作動していなければ(S390で「NO」)、パワーステアリングアイドルアップ回転数entrpsに0が設定される(S410)。
【0084】
こうして、すべての負荷の種類毎にアイドルアップ回転数を設定すると、次に、次式7のごとく目標回転数entrgを計算する(S420)。
【0085】
【数14】
ここで、Max()は、()内の数値の内、最大値を選択する演算子である。
【0086】
すなわち、いずれのアイドルアップ回転数も設定されなかった場合には、entrcld=entrac=entralt=entrps=0であるので、Max(entrcld,entrac,entralt,entrps)=0となる。したがって、この場合、前記式7では、目標回転数entrgには標準状態の目標回転数ENTそのものが設定される。
【0087】
いずれか1つのアイドルアップ回転数(>0)が設定されていた場合には、Max(entrcld,entrac,entralt,entrps)はそのアイドルアップ回転数の値と同じとなり、目標回転数entrgには標準状態の目標回転数ENTに、該当するアイドルアップ回転数を加えた目標回転数が設定される。
【0088】
また、2つ以上のアイドルアップ回転数が設定されていた場合には、この内の最大のアイドルアップ回転数がMax(entrcld,entrac,entralt,entrps)の出力値となる。したがって、標準状態の目標回転数ENTに最大のアイドルアップ回転数を加えた目標回転数が設定される。すなわち、目標回転数entrgは、最も高い目標回転数を設定する負荷に対応した目標回転数となる。
【0089】
そして、以後、前記実施の形態1で述べた内容と同様に、上述したごとく設定された目標回転数entrgに実回転数eneが収束するように燃料噴射量Qの制御が行われる。
【0090】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)と同じ効果が得られる。
(ロ).ディーゼルエンジン4において、複数種類の負荷が発生した場合には、対応する複数の目標回転数の内で最大の目標回転数を用いて、最終的に燃料噴射量Qを求めている。このように、複数の負荷が重なっても最大値を選択するという簡単な処理で適切な燃料噴射量Qを迅速に得ることができ、すべての負荷に対して必要かつ十分なアイドルアップを迅速に実現することができる。
【0091】
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態に1おいては、前記実施の形態2におけるごとく、各負荷に目標回転数のアイドルアップ値を設定することで、式3における「目標回転数entrg−標準状態の目標回転数ENT」の代わりに、そのアイドルアップ値を用いてもよい。
【0092】
・前記実施の形態2では、負荷の種類毎に設定されるアイドルアップ値の内で最大値を抽出して標準状態の目標回転数に加えていたが、前記実施の形態1におけるごとく、直接、負荷の種類毎に目標回転数そのものを記憶しておき、直接目標回転数同士を比較して、その内の最大値を抽出して、目標回転数としても用いてもよい。
【0093】
・前記実施の形態2では、アイドルアップの対象として冷却水温、エアコン、電気負荷およびパワーステアリングであったが、これ以外の負荷もアイドル時の目標回転数に影響する限りアイドルアップの対象となる。例えば、ヒータ、冷凍機のコンプレッサ、パワーテイクオフ、自動変速機などがアイドルアップの対象となる。
【0094】
・前記実施の形態1の式3(S170)において用いられる係数EQIPNPは、前記式1,2における係数EMQGNよりもわずかに大きい値が設定されていたが、図5に示したごとく、標準状態の目標回転数における燃料噴射量Qaと負荷状態の目標回転数における燃料噴射量Qbとの差が極めて小さい場合は、フィードバック制御量EQII(i)の補正で迅速に調整することが可能であることから、係数EQIPNPは係数EMQGNと同じ値を用いてもよい。このようにすることにより、更にメモリの節約につながる。
【0095】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態には、特許請求の範囲に記載した技術的事項以外に次のような各種の技術的事項の実施形態を有するものであることを付記しておく。
【0096】
(1).請求項1〜11のいずれか記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置の各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0097】
【発明の効果】
請求項1記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、各負荷状態に対応して記憶しておかなくてはならないデータは、負荷状態と目標回転数との対応データのみである。見込み補正量は、負荷状態に対応して設定された現在の目標回転数と負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて算出されている。これは、目標回転数の変化が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に計算することにより求めることができる。したがって、負荷状態の種類毎の見込み補正量を記憶しておかなくても、計算により求めた見込み補正量を使用してディーゼルエンジンのアイドル回転数制御を実現することができ、アイドル回転数制御装置のメモリを節約できる。
【0098】
請求項2記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、各負荷状態に対応したデータは、目標回転数設定手段における負荷状態と目標回転数との対応データのみである。見込み補正量算出手段は、目標回転数設定手段にて設定された目標回転数と、負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて、見込み補正量を算出している。これは、目標回転数の変化が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に、現在の負荷状態から求められた目標回転数と標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて計算することにより求めることができる。そして、基本制御量算出手段が、この見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから適切な基本制御量を求める。このことからディーゼルエンジン制御量設定手段にてもディーゼルエンジンに対する適切な制御量を設定することができる。したがって、請求項1と同じ効果を生じる。
【0099】
請求項3記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2記載の構成に対して、前記見込み補正量算出手段は、次式に基づいて見込み補正量を算出している。
【0100】
【数15】
eqipnt = EQIPNP × (entrg − ENT)
ここで、eqipntは見込み補正量、EQIPNPは係数、entrgは前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数、ENTは標準の負荷状態での目標回転数である。このような計算式により見込み補正量eqipntが、目標回転数設定手段にて設定された目標回転数entrgと、標準の負荷状態での目標回転数ENTとから求めることができ、前記請求項1に記載した効果を生じさせることができる。
【0101】
請求項4記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、ディーゼルエンジン制御量設定手段は、複数種類の負荷状態が発生した場合には、これらの負荷状態に応じて設定された複数の目標回転数の内で最大の目標回転数を選択し、この値を用いて各手段を経て最終的に基本制御量を求めている。このように、複数の負荷状態が重なっても、目標回転数の最大値を選択するという簡単な処理で適切な目標回転数と見込み補正量とを迅速に得ることができ、最終的に適切な基本制御量を迅速に得ることができる。こうして、請求項1の効果と共に、すべての負荷状態に対応できる必要かつ十分なアイドルアップを迅速に実現することができるという効果も生じる。
【0102】
請求項5記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、各負荷状態に対応したデータは、差分回転数設定手段における負荷状態と差分回転数との対応データのみである。見込み補正量算出手段は、差分回転数設定手段にて設定された差分回転数に応じて見込み補正量を算出している。これは、現在の目標回転数と負荷が発生していない標準の負荷状態の目標回転数との差が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に、差分回転数に応じて計算することにより求めることができる。そして、基本制御量算出手段が、この見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから適切な基本制御量を求める。このことからディーゼルエンジン制御量設定手段にてもディーゼルエンジンに対する適切な制御量を設定することができる。したがって、請求項1と同じ効果を生じる。
【0103】
請求項6記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項5記載の構成に対して、前記見込み補正量算出手段は、次式に基づいて見込み補正量を算出している。
【0104】
【数16】
eqipnt = EQIPNP × dentrg
ここで、eqipntは見込み補正量、EQIPNPは係数、dentrgは前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数である。このような計算式により見込み補正量eqipntが、差分回転数設定手段にて設定された差分回転数dentrgから求めることができ、前記請求項1に記載した効果を生じさせることができる。
【0105】
請求項7記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、ディーゼルエンジン制御量設定手段は、複数種類の負荷状態が発生した場合には、これらの負荷状態に応じて設定された複数の差分回転数の内で最大の差分回転数を選択し、この値を用いて各手段を経て最終的に基本制御量を求めている。このように、複数の負荷状態が重なっても、差分回転数の最大値を選択するという簡単な処理で適切な目標回転数と見込み補正量とを迅速に得ることができ、最終的に適切な基本制御量を迅速に得ることができる。こうして、請求項1の効果と共に、すべての負荷状態に対応できる必要かつ十分なアイドルアップを迅速に実現することができるという効果も生じる。
【0106】
請求項8記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2〜7のいずれか記載の構成に対して、前記基本制御量算出手段は、ディーゼルエンジンへの負荷状態が前記負荷状態検出手段にて標準の負荷状態であると検出された場合には、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量により基本制御量を求めている。標準の負荷状態である場合には、見込み補正量は必要なく、標準制御量算出手段にて算出された標準制御量そのものが見込み値に該当し、この値により基本制御量を求めればよいからである。
【0107】
請求項9記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2〜8のいずれか記載の構成に対して、前記ディーゼルエンジン制御量設定手段において設定されるディーゼルエンジンに対する制御量は、燃料噴射量あるいは燃料噴射時間として設定されている。このように制御量としては直接的に燃料噴射量あるいは燃料噴射時間が用いることによっても前述した効果が得られるが、この他に、制御量は、例えば、回転数などで表し、この回転数で標準制御量算出手段で用いられる実回転数を補正することにより、標準制御量の算出値を増減することで、ディーゼルエンジンの回転数制御を行わせることもできる。
【0108】
請求項10記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項1〜9のいずれか記載の構成に対して、前記標準制御量算出式は、回転数が高くなるほど標準制御量が減少する傾向に設定されている。このような傾向にすることにより、前記請求項1〜9に記載した効果を生じさせることができる。
【0109】
請求項11記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項10記載の構成に対して、前記標準制御量算出式は、次式で表されている。
【0110】
【数17】
eqgovs = EQGV − ene×EMQGN
ここで、eqgovsは標準制御量、EQGVは正の定数、eneは回転数、EMQGNは正の係数である。このような計算式により制御量eqgovsが、回転数eneから求めることができ、前記請求項10における効果を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1としてのディーゼルエンジン制御装置の概略構成を表すブロック図。
【図2】実施の形態1で用いられるECUの電気的構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態1でECUにより実行される燃料噴射量制御処理を示すフローチャート。
【図4】実施の形態1でECUにより実行される燃料噴射量制御処理を示すフローチャート。
【図5】実施の形態1での燃料噴射量の設定処理を説明するグラフ。
【図6】実施の形態1における目標回転数と見込み補正量との関係を説明するグラフ。
【図7】実施の形態2でECUにより実行される目標回転数算出処理を示すフローチャート。
【図8】実施の形態2でECUにより実行される目標回転数算出処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
2…ディーゼルエンジン制御装置、4…ディーゼルエンジン、6…ターボチャージャー、8…エアクリーナー、10…吸気管、12…インタークーラー、14…ベンチュリー、16…シリンダー、18…燃焼室、20…燃料噴射弁、22…排気管、24…排気環流管、26…EGRバルブ、27…バキュームポンプ、28…分配型燃料噴射ポンプ、30…タイミングコントロールバルブ、32…電磁スピル弁、34…第1絞り弁、36…アクセルペダル、38…アクセルセンサ、40…第2絞り弁、42…ダイヤフラム機構、51…電子制御ユニット(ECU)、52…中央処理制御装置(CPU)、53…読出専用メモリ(ROM)、54…ランダムアクセスメモリ(RAM)、55…バックアップRAM、56…タイマカウンタ、57…入力インターフェース、58…出力インターフェース、59…バス、62…吸気圧センサ、64…水温センサ、66…燃温センサ、67…吸気温センサ、68…回転数センサ、70…クランクポジションセンサ、71…車速センサ、72…負圧切換弁、74…電気式負圧調整弁(EVRV)、78…エアコンスイッチ、80…電気負荷スイッチ、81…パワーステアリング制御用ECU。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイドル時においてディーゼルエンジンの回転数を、負荷に対応する目標回転数に制御するディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼルエンジンのアイドル回転数制御において、負荷の増大に対するアイドルアップを行う制御装置としては、例えば、特開平6−129292号公報の回転速度制御装置が提案されている。
【0003】
この従来技術では、アイドルアップする必要のないアイドル状態と、アイドルアップする必要のあるアイドル状態との各状態でそれぞれ目標回転数を定め、各目標回転数となるように燃料噴射量を補正するとともに、更に、アイドルアップ時に見込み補正量を燃料噴射量に足し込むために、予め実験的に求めた見込み補正量を定めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アイドルアップの対象となる負荷の種類は、空気調和装置(以下、エアコンと称する)の負荷ばかりでなく、自動変速機、ヘッドランプ等の電気負荷、パワーステアリング、冷間状態などがあり、その種類毎に目標回転数ばかりでなく、見込み補正量も備えなくてはならない。
【0005】
このため、これらの見込み補正量のデータを記憶しておくためのメモリが増大するという問題があった。
更に、アイドルアップ対象負荷が複数あることにより、これらの負荷が重なった場合には、ある特定の負荷に対するアイドルアップのみを優先してその見込み補正量のみをアイドル回転数制御に用いたり、あるいは負荷毎に算出された見込み補正量をすべて用いて加算して必要な見込み補正量を計算しているものが提案されている(特開平9−126021号公報)。
【0006】
しかし、このように特定の負荷に対するアイドルアップを優先した場合には他の負荷においてはアイドルアップ量が不足してしまい安定した回転が得られない場合があり、また、単純に加算したのでは、アイドルアップが高すぎて燃料消費を悪化させるおそれがあり、更に、加算における計算も複雑となり処理に負担がかかるおそれがあった。しかも、特開平9−126021号公報では、複数のアイドルアップ対象負荷が重なった場合における目標回転数についても、いかにして処理しているかは記載されておらず、適切な目標回転数の設定においては問題が存在した。
【0007】
本発明は、このような負荷毎の見込み補正量を記憶しておかなくても見込み補正量を使用できるディーゼルエンジンのアイドル回転数制御を実現すること、またこのようなアイドル回転数制御において負荷が重なった場合にも適切な目標回転数と見込み補正量とを迅速に得ることができるディーゼルエンジンのアイドル回転数制御の実現を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、アイドル時において、ディーゼルエンジンに対する制御量を調整することにより、ディーゼルエンジンの回転数を、ディーゼルエンジンへの負荷状態に対応する目標回転数に制御するディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置であって、前記ディーゼルエンジンに対する制御量が、ディーゼルエンジンに対するアイドル時の負荷状態に対応して設定された目標回転数とディーゼルエンジンの実回転数との差に応じて設定されたフィードバック制御量と、前記実回転数から、該回転数をパラメータとする標準制御量算出式に基づいて算出された負荷が発生していない標準の負荷状態での標準制御量と、負荷状態に対応して設定された現在の目標回転数と前記標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて算出された見込み補正量とに基づいて求められることを特徴とする。
【0009】
本ディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、各負荷状態に対応して記憶しておかなくてはならないデータは、負荷状態と目標回転数との対応データのみである。見込み補正量は、負荷状態に対応して設定された現在の目標回転数と負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて算出されている。これは、目標回転数の変化が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に計算することにより求めることができる。
【0010】
したがって、負荷状態の種類毎の見込み補正量を記憶しておかなくても、計算により求めた見込み補正量を使用してディーゼルエンジンのアイドル回転数制御を実現することができ、アイドル回転数制御装置のメモリを節約できる。
【0011】
請求項2記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、アイドル時において、ディーゼルエンジンに対する制御量を調整することにより、ディーゼルエンジンの回転数を、ディーゼルエンジンへの負荷状態に対応する目標回転数に制御するディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置であって、ディーゼルエンジンの実回転数を検出する回転数検出手段と、ディーゼルエンジンへの負荷状態を検出する負荷状態検出手段と、負荷状態と目標回転数との対応データに基づいて、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態に対応する目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数と前記回転数検出手段にて検出された実回転数との差に応じてフィードバック制御量を設定するフィードバック制御量設定手段と、前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数と、負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて、見込み補正量を算出する見込み補正量算出手段と、前記回転数検出手段にて検出された実回転数から、回転数をパラメータとする標準制御量算出式に基づいて前記標準の負荷状態での制御量である標準制御量を算出する標準制御量算出手段と、前記見込み補正量算出手段にて算出された見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから基本制御量を求める基本制御量算出手段と、前記フィードバック制御量設定手段にて設定されたフィードバック制御量および前記基本制御量算出手段にて算出された基本制御量から、ディーゼルエンジンに対する制御量を設定するディーゼルエンジン制御量設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
各負荷状態に対応したデータは、目標回転数設定手段における負荷状態と目標回転数との対応データのみである。見込み補正量算出手段は、目標回転数設定手段にて設定された目標回転数と、負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて、見込み補正量を算出している。これは、目標回転数の変化が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に、現在の負荷状態から求められた目標回転数と標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて計算することにより求めることができる。そして、基本制御量算出手段が、この見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから適切な基本制御量を求める。このことからディーゼルエンジン制御量設定手段にてもディーゼルエンジンに対する適切な制御量を設定することができる。
【0013】
したがって、請求項1と同じ作用効果を生じる。
請求項3記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2記載の構成に対して、前記見込み補正量算出手段は、次式に基づいて見込み補正量を算出することを特徴とする。
【0014】
【数4】
eqipnt = EQIPNP × (entrg − ENT)
ここで、eqipntは見込み補正量、EQIPNPは係数、entrgは前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数、ENTは標準の負荷状態での目標回転数である。
【0015】
具体的な例として、このような計算式により見込み補正量eqipntが、目標回転数設定手段にて設定された目標回転数entrgと、標準の負荷状態での目標回転数ENTとから求めることができ、前記請求項1に記載した作用効果を生じさせることができる。
【0016】
請求項4記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2または3記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置において、前記ディーゼルエンジン制御量設定手段は、前記基本制御量として、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態が複数種類存在する場合は、該負荷状態の種類毎に前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数の内、最大の目標回転数に基づいて得られた基本制御量を用いることを特徴とする。
【0017】
このように、ディーゼルエンジン制御量設定手段は、複数種類の負荷状態が発生した場合には、これらの負荷状態に応じて設定された複数の目標回転数の内で最大の目標回転数を選択し、この値を用いて各手段を経て最終的に基本制御量を求めている。このように、複数の負荷状態が重なっても、目標回転数の最大値を選択するという簡単な処理で適切な目標回転数と見込み補正量とを迅速に得ることができ、最終的に適切な基本制御量を迅速に得ることができる。こうして、請求項1の作用効果と共に、すべての負荷状態に対応できる必要かつ十分なアイドルアップを迅速に実現することができるという作用効果も生じる。
【0018】
請求項5記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、アイドル時において、ディーゼルエンジンに対する制御量を調整することにより、ディーゼルエンジンの回転数を、ディーゼルエンジンへの負荷状態に対応する目標回転数に制御するディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置であって、ディーゼルエンジンの実回転数を検出する回転数検出手段と、ディーゼルエンジンへの負荷状態を検出する負荷状態検出手段と、負荷状態と負荷が発生していない標準の負荷状態の目標回転数に対する差分回転数との対応データに基づいて、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態に対応して、差分回転数を設定する差分回転数設定手段と、前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数と前記標準の負荷状態の目標回転数との和と、前記回転数検出手段にて検出された実回転数との差に応じてフィードバック制御量を設定するフィードバック制御量設定手段と、前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数に応じて見込み補正量を算出する見込み補正量算出手段と、前記回転数検出手段にて検出された実回転数から、回転数をパラメータとする標準制御量算出式に基づいて前記標準の負荷状態での制御量である標準制御量を算出する標準制御量算出手段と、前記見込み補正量算出手段にて算出された見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから基本制御量を求める基本制御量算出手段と、前記フィードバック制御量設定手段にて設定されたフィードバック制御量および前記基本制御量算出手段にて算出された基本制御量から、ディーゼルエンジンに対する制御量を設定するディーゼルエンジン制御量設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
各負荷状態に対応したデータは、差分回転数設定手段における負荷状態と差分回転数との対応データのみである。見込み補正量算出手段は、差分回転数設定手段にて設定された差分回転数に応じて見込み補正量を算出している。これは、現在の目標回転数と負荷が発生していない標準の負荷状態の目標回転数との差が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に、差分回転数に応じて計算することにより求めることができる。そして、基本制御量算出手段が、この見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから適切な基本制御量を求める。このことからディーゼルエンジン制御量設定手段にてもディーゼルエンジンに対する適切な制御量を設定することができる。
【0020】
したがって、請求項1と同じ作用効果を生じる。
請求項6記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項5記載の構成に対して、前記見込み補正量算出手段は、次式に基づいて見込み補正量を算出することを特徴とする。
【0021】
【数5】
eqipnt = EQIPNP × dentrg
ここで、eqipntは見込み補正量、EQIPNPは係数、dentrgは前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数である。
【0022】
具体的な例として、このような計算式により見込み補正量eqipntが、差分回転数設定手段にて設定された差分回転数dentrgから求めることができ、前記請求項1に記載した作用効果を生じさせることができる。
【0023】
請求項7記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項5または6記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置において、前記ディーゼルエンジン制御量設定手段は、前記基本制御量として、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態が複数種類存在する場合は、該負荷状態の種類毎に前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数の内、最大の差分回転数に基づいて得られた基本制御量を用いることを特徴とする。
【0024】
このように、ディーゼルエンジン制御量設定手段は、複数種類の負荷状態が発生した場合には、これらの負荷状態に応じて設定された複数の差分回転数の内で最大の差分回転数を選択し、この値を用いて各手段を経て最終的に基本制御量を求めている。このように、複数の負荷状態が重なっても、差分回転数の最大値を選択するという簡単な処理で適切な目標回転数と見込み補正量とを迅速に得ることができ、最終的に適切な基本制御量を迅速に得ることができる。こうして、請求項1の作用効果と共に、すべての負荷状態に対応できる必要かつ十分なアイドルアップを迅速に実現することができるという作用効果も生じる。
【0025】
請求項8記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2〜7のいずれか記載の構成に対して、前記基本制御量算出手段は、ディーゼルエンジンへの負荷状態が前記負荷状態検出手段にて標準の負荷状態であると検出された場合には、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量により基本制御量を求めることを特徴とする。
【0026】
標準の負荷状態である場合には、見込み補正量は必要なく、標準制御量算出手段にて算出された標準制御量そのものが見込み値に該当し、この値により基本制御量を求めればよいからである。
【0027】
請求項9記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2〜8のいずれか記載の構成に対して、前記ディーゼルエンジン制御量設定手段において設定されるディーゼルエンジンに対する制御量は、燃料噴射量あるいは燃料噴射時間として設定されることを特徴とする。
【0028】
このように制御量としては直接的に燃料噴射量あるいは燃料噴射時間が用いられるが、この他に、制御量は、例えば、回転数などで表し、この回転数で標準制御量算出手段で用いられる実回転数を補正することにより、標準制御量の算出値を増減することで、ディーゼルエンジンの回転数制御を行わせることもできる。
【0029】
請求項10記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項1〜9のいずれか記載の構成に対して、前記標準制御量算出式は、回転数が高くなるほど標準制御量が減少する傾向に設定されていることを特徴とする。
【0030】
具体的な例として、このような傾向にすることにより、前記請求項1〜9に記載した作用効果を生じさせることができる。
請求項11記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項10記載の構成に対して、前記標準制御量算出式は、次式で表されることを特徴とする。
【0031】
【数6】
eqgovs = EQGV − ene×EMQGN
ここで、eqgovsは標準制御量、EQGVは正の定数、eneは回転数、EMQGNは正の係数である。
【0032】
具体的な例として、このような計算式により制御量eqgovsが、回転数eneから求めることができ、前記請求項10における作用効果を生じさせることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用されたディーゼルエンジン制御装置2の概略構成を表すブロック図である。
【0034】
ディーゼルエンジン4は自動車の駆動用として車両に搭載されている。このディーゼルエンジン4は、ターボチャージャー6を備えており、エアクリーナー8を介して吸気管10に導入された空気は、ターボチャージャー6によって過給され、インタークーラー12、ベンチュリー14を介して、シリンダー16内の燃焼室18に導かれる。
【0035】
燃焼室18内にて燃料噴射弁20から燃料が噴射され、燃焼した後の排気は、排気管22に排出され、ターボチャージャー6を駆動させて外部に排出される。
なお、ターボチャージャー6より上流側の排気管22と、ベンチュリー14よりも下流の吸気管10との間には、排気環流管24が設けられている。この排気環流管24には、電子制御ユニット(ECU)51の指示により電気式負圧調整弁(EVRV)74を介して開閉が調整されるEGRバルブ26が設けられている。排気環流管24は、EGRバルブ26が開状態の場合に、その開度に応じて排気を排気管22から吸気管10へ供給し、排気再循環を実現している。
【0036】
燃料噴射弁20へは、分配型燃料噴射ポンプ28から高圧燃料が、燃料噴射タイミングと燃料噴射量とが調整されて供給されている。この分配型燃料噴射ポンプ28にはタイミングコントロールバルブ30が設けられて、ECU51により駆動されて燃料噴射タイミングが調整される。更に、分配型燃料噴射ポンプ28には電磁スピル弁32が設けられ、ECU51により駆動されて燃料噴射量が調整される。
【0037】
また、ベンチュリー14内の第1絞り弁34はアクセルペダル36と連動して開閉すると共に、第1絞り弁34の回動軸にはアクセルセンサ38が設けられて、アクセル開度ACCP、すなわち、運転者によるアクセルペダル36の操作量を検出している。ベンチュリー14内に第1絞り弁34と並列に設けられた第2絞り弁40はダイヤフラム機構42と負圧切換弁72とを介して、ECU51により調整される。
【0038】
ECU51の電気的構成について、図2のブロック図に従って説明する。
ECU51は、中央処理制御装置(CPU)52、所定のプログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)53、CPU52の演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)54、予め記憶されたデータ等を保存するバックアップRAM55、およびタイマカウンタ56等を備えているとともに、入力インターフェース57および出力インターフェース58等を備えている。また、上記各部52〜56と入力インターフェース57および出力インターフェース58とは、バス59によって接続されている。
【0039】
前述したアクセルセンサ38、ベンチュリー14より下流の吸入空気の圧力を検出する吸気圧センサ62、ディーゼルエンジン4のエンジン冷却水温THWを検出する水温センサ64、分配型燃料噴射ポンプ28内で燃料の温度を検出する燃温センサ66、吸気管10に設けられて吸入空気の温度を検出する吸気温センサ67、その他のセンサは、それぞれバッファ、マルチプレクサ、A/D変換器(いずれも図示せず)を介して入力インターフェース57に接続されている。
【0040】
また、分配型燃料噴射ポンプ28の回転からディーゼルエンジン4のエンジン回転数NEを検出する回転数センサ68、ディーゼルエンジン4のクランクシャフトの基準角度位置を検出するクランクポジションセンサ70、車速センサ71、その他のセンサは、波形整形回路(図示せず)を介して入力インターフェース57に接続されている。さらに、更に、エアコン(図示せず)の作動状態を検出するエアコンスイッチ78、電気負荷の発生を示すランプスイッチ等の電気負荷スイッチ80等が設けられ、入力インターフェース57に直接接続されている。また、パワーステアリング制御用ECU81からのパワーステアリングが作動しているか否かの信号も入力されている。この他、図示していないがスタータスイッチ等も入力インターフェース57に直接接続されている。このことで、CPU52は、上記各センサの信号を読み込むことができる。
【0041】
また、前述した電磁スピル弁32、ダイヤフラム機構42の動作を前記バキュームポンプ27が発生する負圧と大気圧との供給状態にて調整することで第2絞り弁40の開度を調整する負圧切換弁72、EGRバルブ26の開度を前述したごとくバキュームポンプ27の負圧と大気圧との供給状態にて調整することで排気環流管24による排気の環流量を調整するEVRV74は、それぞれ駆動回路(図示せず)を介して出力インターフェース58に接続されている。
【0042】
したがって、CPU52は、前述のごとく入力インターフェース57を介して読み込んだセンサ類の検出値に基づき、出力インターフェース58を介して電磁スピル弁32、負圧切換弁72、EVRV74等を好適に調整し、ディーゼルエンジン4の駆動状態を適切に制御している。
【0043】
次に、本実施の形態1において、ECU51により実行される制御のうち、アイドル回転数制御について説明する。図3および図4はアイドル回転数制御処理のフローチャートを示す。この処理は、時間周期あるいは180゜クランク角毎(爆発行程毎)の割り込みで実行される。なお個々の処理に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
【0044】
処理が開始されると、まず、回転数センサ68にて検出されているディーゼルエンジン4の回転数eneをRAM54の作業領域に読み込み(S100)、アクセルセンサ38にて検出されているアクセル開度ACCPをRAM54の作業領域に読み込む(S105)。
【0045】
そして、ディーゼルエンジン4に対する負荷状態を検出する(S110)。この検出は、例えば、エアコンスイッチ78によるエアコンの作動状態、ランプスイッチ等の電気負荷スイッチ80による電気負荷の作動状態、パワーステアリング制御用ECU81からの信号によるパワーステアリングの作動状態等から、ディーゼルエンジン4に対して負荷となる状態を検出するものである。
【0046】
次に、ディーゼルエンジン4の運転状態がアイドル状態か否かを判定する(S120)。この判定は、例えば、ステップS100で読み込んだエンジン回転数eneがアイドル状態を示す範囲の回転速度(例えば、900[r.p.m.])以下で、かつアクセルセンサ38で検出されたアクセル開度ACCPが0であるか否かから判定する。
【0047】
アイドル状態でなければ(S120で「NO」)、次に、非アイドル時の燃料噴射量Qを設定する(S130)。例えば、アクセル開度ACCPとエンジン回転数eneとに基づいて、マップから燃料噴射量Qが求められる。
【0048】
アイドル状態であれば(S120で「YES」)、次にアイドルアップ制御実行条件が成立しているか否かを判定する(S140)。この判定は、前記ステップS110にてディーゼルエンジン4に対してアイドルアップが必要な負荷が発生しているか否かにより判定される。
【0049】
アイドルアップが必要な負荷が発生していないと判定されると(S140で「NO」)、目標回転数entrgとして、負荷が発生していない標準状態の目標回転数ENTが設定される(S144)。
【0050】
次に、基本燃料噴射量eqgovを次式1のごとく算出する(S146)。
【0051】
【数7】
eqgov ← EQGV − ene×EMQGN … [式1]
ここで、EQGVは正の定数、EMQGNは正の係数である。
【0052】
前記式1を燃料噴射量とエンジン回転数eneの座標に当てはめると図5に実線で示す右下がりの直線で表される。
一方、アイドルアップが必要な負荷が発生していると検出されていれば、ステップS140にてアイドルアップ制御実行条件が成立していると判定される(S140で「YES」)。
【0053】
次に、負荷に応じた目標回転数が、負荷と目標回転数との対応データとしてROM53上に記憶されている負荷−目標回転数テーブルからRAM54の作業領域に、目標回転数entrgとして読み込まれる(S150)。例えば、エアコンスイッチ78がオンであることによりエアコンの負荷が発生している場合には、エアコンオン用の値が目標回転数entrgに読み込まれる。
【0054】
次に、標準燃料噴射量eqgovsを次式2のごとく算出する(S160)。
【0055】
【数8】
eqgovs ← EQGV − ene×EMQGN … [式2]
ここで、式2は求める対象が異なるのみで、式自体は前記式1と全く同じである。
【0056】
次に、負荷に対するアイドルアップ分に対応する見込み補正量eqipntを次式3のごとく算出する(S170)。
【0057】
【数9】
eqipnt ← EQIPNP × (entrg − ENT)… [式3]
ここで、EQIPNPは係数、ENTは標準の負荷状態での目標回転数である。なお係数EQIPNPは、前記式1,2における係数EMQGNよりもわずかに大きい値が、たとえば10%前後大きい値が設定される。この式3を目標回転数entrgと見込み補正量eqipntの座標に当てはめると図6に示すグラフのごとくとなる。
【0058】
次に、次式4に示すごとく、標準燃料噴射量eqgovsを見込み補正量eqipntにて補正して、基本燃料噴射量eqgovを求める(S180)。
【0059】
【数10】
eqgov ← eqgovs + eqipnt … [式4]
ステップS146またはステップS180にて基本燃料噴射量eqgovを求めた後、目標回転数entrgとエンジン回転数eneとから次式5に示すごとく、回転数偏差deneを求める(S190)。
【0060】
【数11】
dene ← entrg − ene … [式5]
次に、この回転数偏差deneにより、フィードバック補正量テーブルあるいは計算式から積分補正量としてのフィードバック補正量dEQIIを求める(S200)。
【0061】
次に、今回のフィードバック制御量EQII(i)を次式6に示すごとく求める(S210)。
【0062】
【数12】
EQII(i) ← EQII(i−1) + dEQII … [式6]
ここで、EQII(i−1)は前回の制御サイクルのステップS210の処理にて求められたフィードバック制御量を表す。
【0063】
そして、次式7のごとく、基本燃料噴射量eqgovとフィードバック制御量EQII(i)とから燃料噴射量Qが求められる(S220)。
【0064】
【数13】
Q ← eqgov + EQII(i) … [式7]
そして、この燃料噴射量Qに応じて電磁スピル弁32の開弁タイミングが制御されて(S230)、燃料噴射量Q分の燃料量が燃料噴射弁20から燃焼室18内に噴射される。
【0065】
なお、ステップS130にて非アイドル時の燃料噴射量Qが設定された後もステップS230が実行されて、該当する燃料噴射量Q分の燃料噴射が実行される。
【0066】
ステップS230の終了後は一旦本処理を終了して、制御周期が来れば再度ステップS100から処理が繰り返される。
ここで、負荷が生じたタイミング以降の基本燃料噴射量eqgovの算出を、図5,6のグラフに基づいて説明する。
【0067】
最初、負荷のないアイドル状態(標準状態に相当する)であり、ステップS100、S105、S110、S120、S140、S144、S146、S190〜S230が繰り返されて、回転数eneがほぼ標準状態の目標回転数ENTに収束しているものとする。この時、基本燃料噴射量eqgovは、式1から図5に示すQaに設定されている。
【0068】
次に、エアコンスイッチ78がオンされたりして負荷が発生すると、処理がステップS140からステップS150〜S180側を実行するようになる。この負荷に応じて、ステップS150にて目標回転数entrgに値ENaが設定されたとすると、ステップS170の処理により見込み補正量eqipntとして図6に示すごとく、値QIaが設定される。
【0069】
このことにより、アイドルアップした直後であってエンジン回転数eneが変化していない時には、式2の関係から標準燃料噴射量eqgovs=Qaであることから、図5に示すごとく、基本燃料噴射量eqgovとしてはQp(=Qa+QIa)が設定される。この結果、燃料噴射量Qが大きく増加して、ディーゼルエンジン4の出力トルクが増加し、回転数eneが上昇する。
【0070】
回転数eneの上昇に伴い、標準燃料噴射量eqgovsには常に式2が用いられているので、標準燃料噴射量eqgovsは次第に減少し、同時に基本燃料噴射量eqgovも減少して行く。そして、エンジン回転数eneが目標回転数entrg(=ENa)に収束すると、標準燃料噴射量eqgovsはマイナスの値Qcとなり、基本燃料噴射量eqgovはアイドルアップする直前の、基本燃料噴射量Qaよりもわずかに高い基本燃料噴射量Qbに到達する。ただし、実際の燃料噴射量Qとしては、フィードバック制御量EQII(i)による補正がなされている。
【0071】
逆に、エアコンスイッチ78がオフされたりして負荷がなくなれば、目標回転数はENaからENTに戻るとともに、見込み補正量eqipnt(=QIa)の加算がなくなって、基本燃料噴射量eqgovとしては、式1にて算出された値Qcそのものが設定される。なお、図5に示した例では、基本燃料噴射量eqgov(=Qc)はマイナスであるが、このように最終的に求められる燃料噴射量Qがマイナスまたは0となった場合は、燃料噴射はなされない。
【0072】
このため、燃料噴射がなされなかったり、あるいは燃料噴射量が大きく減少するので、ディーゼルエンジン4の出力トルクが減少し、回転数eneが低下する。
【0073】
回転数eneの低下に伴い、基本燃料噴射量eqgovは常に式2と同じ式1が用いられているので、次第に増加して行く。そして、目標回転数entrg(=ENT)に収束すると、基本燃料噴射量eqgovはアイドルアップする前の、基本燃料噴射量Qaに到達する。ただし、この場合も実際の燃料噴射量Qとしては、フィードバック制御量EQII(i)の補正がなされている。
【0074】
上述した実施の形態1の内容と請求項との関係は、ステップS100が回転数検出手段としての処理に相当し、ステップS110が負荷状態検出手段としての処理に相当し、ステップS144,S150が目標回転数設定手段としての処理に相当し、ステップS190〜S210がフィードバック制御量設定手段としての処理に相当し、ステップS170が見込み補正量算出手段としての処理に相当し、ステップS146,S160が標準制御量算出手段としての処理に相当し、ステップS146,S180が基本制御量算出手段としての処理に相当し、ステップS220がディーゼルエンジン制御量設定手段としての処理に相当する関係にある。
【0075】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).ROM53に記憶されている各負荷に対応したデータは、ステップS150,S144で用いられる負荷状態と目標回転数entrgとの対応データのみである。見込み補正量eqipntについては、ステップS170にて、負荷状態に応じて設定された目標回転数entrgと、標準の負荷状態での目標回転数ENTとの差に応じて算出されている。これは、目標回転数entrgの変化が大きいほど、ディーゼルエンジン4に対する実際の燃料噴射量Qも大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため燃料噴射量Qの作成のための見込み補正量eqipntは、予め記憶しておかなくても必要時に式3のごとく計算することにより求めることができる。
【0076】
なお、負荷状態が標準状態である場合には、標準状態との差を考慮するための見込み補正量eqipntは不要となるので、基本燃料噴射量eqgovには標準燃料噴射量eqgovsの値のみが設定される(S146)。
【0077】
したがって、必要時に計算により求めた見込み補正量eqipntを使用してアイドル回転数制御を実現することができ、ECU51のメモリを節約できる。
[実施の形態2]
本実施の形態2は、前記実施の形態1の図3にて示した目標回転数entrgを設定する処理(S150)の代わりに、図7および図8に示す目標回転数算出処理が行われる点が異なる。この目標回転数算出処理に関する構成以外の構成は実施の形態1と同じである。次に、この目標回転数算出処理について説明する。
【0078】
図3に示したステップS140にてアイドルアップ制御実行条件が成立したと判定されると(S140で「YES」)、まず、図7,8の処理が開始され、現在が冷間時か否かが、水温センサ64にて検出されているディーゼルエンジン4の冷却水温に基づいて判定される(S300)。冷却水温が冷間時判定温度よりも低いことで、ディーゼルエンジン4が冷間時であると判定されれば(S300で「YES」)、次に、ROM53に記憶されている目標回転数アップ値(差分回転数に相当する)の内、冷間時用アップ値(>0)が冷間時アイドルアップ回転数entrcldに設定される(S310)。
【0079】
ここで、前記実施の形態1では、ROM53には負荷状態と目標回転数entrgとの対応データが記憶されていたが、本実施の形態2では、各負荷状態に対して、目標回転数アップ値が記憶されている。このアップ値とは、ディーゼルエンジン4に負荷が発生した場合の目標回転数と、標準状態(ここでは負荷がない状態)での目標回転数との差を表す値である。したがって、前記冷間時用アップ値は、標準状態の目標回転数からの冷間時における目標回転数へのアップの大きさを示している。以下、説明する他の負荷のアップ値もその意味は同じである。なお、ステップS310にて設定される冷間時用アップ値は冷却水温が低いほど大きな値(ただし上限は存在する)に設定される。
【0080】
また、ステップS300において、冷間時でなければ(S300で「NO」)、冷間時アイドルアップ回転数entrcldには0が設定される(S320)。
【0081】
次に、エアコンスイッチ78の状態からエアコンがオンされているか否かが判定される(S330)。エアコンスイッチ78がオンであれば(S330で「YES」)、ROM53に記憶されている目標回転数アップ値の内、エアコン用アップ値(>0)がエアコンアイドルアップ回転数entracに設定される(S340)。エアコンスイッチ78がオフであれば(S330で「NO」)、エアコンアイドルアップ回転数entracに0が設定される(S350)。
【0082】
次に、ランプスイッチ等の電気負荷スイッチ80の状態から電気負荷がオンされているか否かが判定される(S360)。電気負荷スイッチ80がオンであれば(S360で「YES」)、ROM53に記憶されている目標回転数アップ値の内、電気負荷用アップ値(>0)が電気負荷アイドルアップ回転数entraltに設定される(S370)。電気負荷スイッチ80がオフであれば(S360で「NO」)、電気負荷アイドルアップ回転数entraltに0が設定される(S380)。
【0083】
次に、パワーステアリング制御用ECU81からの信号に基づいてパワーステアリングが作動しているか否かが判定される(S390)。パワーステアリングが作動していれば(S390で「YES」)、ROM53に記憶されている目標回転数アップ値の内、パワーステアリング用アップ値(>0)がパワーステアリングアイドルアップ回転数entrpsに設定される(S400)。パワーステアリングが作動していなければ(S390で「NO」)、パワーステアリングアイドルアップ回転数entrpsに0が設定される(S410)。
【0084】
こうして、すべての負荷の種類毎にアイドルアップ回転数を設定すると、次に、次式7のごとく目標回転数entrgを計算する(S420)。
【0085】
【数14】
ここで、Max()は、()内の数値の内、最大値を選択する演算子である。
【0086】
すなわち、いずれのアイドルアップ回転数も設定されなかった場合には、entrcld=entrac=entralt=entrps=0であるので、Max(entrcld,entrac,entralt,entrps)=0となる。したがって、この場合、前記式7では、目標回転数entrgには標準状態の目標回転数ENTそのものが設定される。
【0087】
いずれか1つのアイドルアップ回転数(>0)が設定されていた場合には、Max(entrcld,entrac,entralt,entrps)はそのアイドルアップ回転数の値と同じとなり、目標回転数entrgには標準状態の目標回転数ENTに、該当するアイドルアップ回転数を加えた目標回転数が設定される。
【0088】
また、2つ以上のアイドルアップ回転数が設定されていた場合には、この内の最大のアイドルアップ回転数がMax(entrcld,entrac,entralt,entrps)の出力値となる。したがって、標準状態の目標回転数ENTに最大のアイドルアップ回転数を加えた目標回転数が設定される。すなわち、目標回転数entrgは、最も高い目標回転数を設定する負荷に対応した目標回転数となる。
【0089】
そして、以後、前記実施の形態1で述べた内容と同様に、上述したごとく設定された目標回転数entrgに実回転数eneが収束するように燃料噴射量Qの制御が行われる。
【0090】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態1の(イ)と同じ効果が得られる。
(ロ).ディーゼルエンジン4において、複数種類の負荷が発生した場合には、対応する複数の目標回転数の内で最大の目標回転数を用いて、最終的に燃料噴射量Qを求めている。このように、複数の負荷が重なっても最大値を選択するという簡単な処理で適切な燃料噴射量Qを迅速に得ることができ、すべての負荷に対して必要かつ十分なアイドルアップを迅速に実現することができる。
【0091】
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態に1おいては、前記実施の形態2におけるごとく、各負荷に目標回転数のアイドルアップ値を設定することで、式3における「目標回転数entrg−標準状態の目標回転数ENT」の代わりに、そのアイドルアップ値を用いてもよい。
【0092】
・前記実施の形態2では、負荷の種類毎に設定されるアイドルアップ値の内で最大値を抽出して標準状態の目標回転数に加えていたが、前記実施の形態1におけるごとく、直接、負荷の種類毎に目標回転数そのものを記憶しておき、直接目標回転数同士を比較して、その内の最大値を抽出して、目標回転数としても用いてもよい。
【0093】
・前記実施の形態2では、アイドルアップの対象として冷却水温、エアコン、電気負荷およびパワーステアリングであったが、これ以外の負荷もアイドル時の目標回転数に影響する限りアイドルアップの対象となる。例えば、ヒータ、冷凍機のコンプレッサ、パワーテイクオフ、自動変速機などがアイドルアップの対象となる。
【0094】
・前記実施の形態1の式3(S170)において用いられる係数EQIPNPは、前記式1,2における係数EMQGNよりもわずかに大きい値が設定されていたが、図5に示したごとく、標準状態の目標回転数における燃料噴射量Qaと負荷状態の目標回転数における燃料噴射量Qbとの差が極めて小さい場合は、フィードバック制御量EQII(i)の補正で迅速に調整することが可能であることから、係数EQIPNPは係数EMQGNと同じ値を用いてもよい。このようにすることにより、更にメモリの節約につながる。
【0095】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態には、特許請求の範囲に記載した技術的事項以外に次のような各種の技術的事項の実施形態を有するものであることを付記しておく。
【0096】
(1).請求項1〜11のいずれか記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置の各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0097】
【発明の効果】
請求項1記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、各負荷状態に対応して記憶しておかなくてはならないデータは、負荷状態と目標回転数との対応データのみである。見込み補正量は、負荷状態に対応して設定された現在の目標回転数と負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて算出されている。これは、目標回転数の変化が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に計算することにより求めることができる。したがって、負荷状態の種類毎の見込み補正量を記憶しておかなくても、計算により求めた見込み補正量を使用してディーゼルエンジンのアイドル回転数制御を実現することができ、アイドル回転数制御装置のメモリを節約できる。
【0098】
請求項2記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、各負荷状態に対応したデータは、目標回転数設定手段における負荷状態と目標回転数との対応データのみである。見込み補正量算出手段は、目標回転数設定手段にて設定された目標回転数と、負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて、見込み補正量を算出している。これは、目標回転数の変化が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に、現在の負荷状態から求められた目標回転数と標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて計算することにより求めることができる。そして、基本制御量算出手段が、この見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから適切な基本制御量を求める。このことからディーゼルエンジン制御量設定手段にてもディーゼルエンジンに対する適切な制御量を設定することができる。したがって、請求項1と同じ効果を生じる。
【0099】
請求項3記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2記載の構成に対して、前記見込み補正量算出手段は、次式に基づいて見込み補正量を算出している。
【0100】
【数15】
eqipnt = EQIPNP × (entrg − ENT)
ここで、eqipntは見込み補正量、EQIPNPは係数、entrgは前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数、ENTは標準の負荷状態での目標回転数である。このような計算式により見込み補正量eqipntが、目標回転数設定手段にて設定された目標回転数entrgと、標準の負荷状態での目標回転数ENTとから求めることができ、前記請求項1に記載した効果を生じさせることができる。
【0101】
請求項4記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、ディーゼルエンジン制御量設定手段は、複数種類の負荷状態が発生した場合には、これらの負荷状態に応じて設定された複数の目標回転数の内で最大の目標回転数を選択し、この値を用いて各手段を経て最終的に基本制御量を求めている。このように、複数の負荷状態が重なっても、目標回転数の最大値を選択するという簡単な処理で適切な目標回転数と見込み補正量とを迅速に得ることができ、最終的に適切な基本制御量を迅速に得ることができる。こうして、請求項1の効果と共に、すべての負荷状態に対応できる必要かつ十分なアイドルアップを迅速に実現することができるという効果も生じる。
【0102】
請求項5記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、各負荷状態に対応したデータは、差分回転数設定手段における負荷状態と差分回転数との対応データのみである。見込み補正量算出手段は、差分回転数設定手段にて設定された差分回転数に応じて見込み補正量を算出している。これは、現在の目標回転数と負荷が発生していない標準の負荷状態の目標回転数との差が大きいほど、ディーゼルエンジンに対する制御量の調整も大きくなるという一般的な傾向に対応させたものであり、このため制御量作成のための見込み補正量は、予め記憶しておかなくても必要時に、差分回転数に応じて計算することにより求めることができる。そして、基本制御量算出手段が、この見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから適切な基本制御量を求める。このことからディーゼルエンジン制御量設定手段にてもディーゼルエンジンに対する適切な制御量を設定することができる。したがって、請求項1と同じ効果を生じる。
【0103】
請求項6記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項5記載の構成に対して、前記見込み補正量算出手段は、次式に基づいて見込み補正量を算出している。
【0104】
【数16】
eqipnt = EQIPNP × dentrg
ここで、eqipntは見込み補正量、EQIPNPは係数、dentrgは前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数である。このような計算式により見込み補正量eqipntが、差分回転数設定手段にて設定された差分回転数dentrgから求めることができ、前記請求項1に記載した効果を生じさせることができる。
【0105】
請求項7記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置においては、ディーゼルエンジン制御量設定手段は、複数種類の負荷状態が発生した場合には、これらの負荷状態に応じて設定された複数の差分回転数の内で最大の差分回転数を選択し、この値を用いて各手段を経て最終的に基本制御量を求めている。このように、複数の負荷状態が重なっても、差分回転数の最大値を選択するという簡単な処理で適切な目標回転数と見込み補正量とを迅速に得ることができ、最終的に適切な基本制御量を迅速に得ることができる。こうして、請求項1の効果と共に、すべての負荷状態に対応できる必要かつ十分なアイドルアップを迅速に実現することができるという効果も生じる。
【0106】
請求項8記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2〜7のいずれか記載の構成に対して、前記基本制御量算出手段は、ディーゼルエンジンへの負荷状態が前記負荷状態検出手段にて標準の負荷状態であると検出された場合には、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量により基本制御量を求めている。標準の負荷状態である場合には、見込み補正量は必要なく、標準制御量算出手段にて算出された標準制御量そのものが見込み値に該当し、この値により基本制御量を求めればよいからである。
【0107】
請求項9記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項2〜8のいずれか記載の構成に対して、前記ディーゼルエンジン制御量設定手段において設定されるディーゼルエンジンに対する制御量は、燃料噴射量あるいは燃料噴射時間として設定されている。このように制御量としては直接的に燃料噴射量あるいは燃料噴射時間が用いることによっても前述した効果が得られるが、この他に、制御量は、例えば、回転数などで表し、この回転数で標準制御量算出手段で用いられる実回転数を補正することにより、標準制御量の算出値を増減することで、ディーゼルエンジンの回転数制御を行わせることもできる。
【0108】
請求項10記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項1〜9のいずれか記載の構成に対して、前記標準制御量算出式は、回転数が高くなるほど標準制御量が減少する傾向に設定されている。このような傾向にすることにより、前記請求項1〜9に記載した効果を生じさせることができる。
【0109】
請求項11記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置は、請求項10記載の構成に対して、前記標準制御量算出式は、次式で表されている。
【0110】
【数17】
eqgovs = EQGV − ene×EMQGN
ここで、eqgovsは標準制御量、EQGVは正の定数、eneは回転数、EMQGNは正の係数である。このような計算式により制御量eqgovsが、回転数eneから求めることができ、前記請求項10における効果を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1としてのディーゼルエンジン制御装置の概略構成を表すブロック図。
【図2】実施の形態1で用いられるECUの電気的構成を示すブロック図。
【図3】実施の形態1でECUにより実行される燃料噴射量制御処理を示すフローチャート。
【図4】実施の形態1でECUにより実行される燃料噴射量制御処理を示すフローチャート。
【図5】実施の形態1での燃料噴射量の設定処理を説明するグラフ。
【図6】実施の形態1における目標回転数と見込み補正量との関係を説明するグラフ。
【図7】実施の形態2でECUにより実行される目標回転数算出処理を示すフローチャート。
【図8】実施の形態2でECUにより実行される目標回転数算出処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
2…ディーゼルエンジン制御装置、4…ディーゼルエンジン、6…ターボチャージャー、8…エアクリーナー、10…吸気管、12…インタークーラー、14…ベンチュリー、16…シリンダー、18…燃焼室、20…燃料噴射弁、22…排気管、24…排気環流管、26…EGRバルブ、27…バキュームポンプ、28…分配型燃料噴射ポンプ、30…タイミングコントロールバルブ、32…電磁スピル弁、34…第1絞り弁、36…アクセルペダル、38…アクセルセンサ、40…第2絞り弁、42…ダイヤフラム機構、51…電子制御ユニット(ECU)、52…中央処理制御装置(CPU)、53…読出専用メモリ(ROM)、54…ランダムアクセスメモリ(RAM)、55…バックアップRAM、56…タイマカウンタ、57…入力インターフェース、58…出力インターフェース、59…バス、62…吸気圧センサ、64…水温センサ、66…燃温センサ、67…吸気温センサ、68…回転数センサ、70…クランクポジションセンサ、71…車速センサ、72…負圧切換弁、74…電気式負圧調整弁(EVRV)、78…エアコンスイッチ、80…電気負荷スイッチ、81…パワーステアリング制御用ECU。
Claims (11)
- アイドル時において、ディーゼルエンジンに対する制御量を調整することにより、ディーゼルエンジンの回転数を、ディーゼルエンジンへの負荷状態に対応する目標回転数に制御するディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置であって、
前記ディーゼルエンジンに対する制御量が、
ディーゼルエンジンに対するアイドル時の負荷状態に対応して設定された目標回転数とディーゼルエンジンの実回転数との差に応じて設定されたフィードバック制御量と、
前記実回転数から、該回転数をパラメータとする標準制御量算出式に基づいて算出された負荷が発生していない標準の負荷状態での標準制御量と、
負荷状態に対応して設定された現在の目標回転数と前記標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて算出された見込み補正量と、
に基づいて求められることを特徴とするディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置。 - アイドル時において、ディーゼルエンジンに対する制御量を調整することにより、ディーゼルエンジンの回転数を、ディーゼルエンジンへの負荷状態に対応する目標回転数に制御するディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置であって、
ディーゼルエンジンの実回転数を検出する回転数検出手段と、
ディーゼルエンジンへの負荷状態を検出する負荷状態検出手段と、
負荷状態と目標回転数との対応データに基づいて、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態に対応する目標回転数を設定する目標回転数設定手段と、
前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数と前記回転数検出手段にて検出された実回転数との差に応じてフィードバック制御量を設定するフィードバック制御量設定手段と、
前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数と、負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数との差に応じて、見込み補正量を算出する見込み補正量算出手段と、
前記回転数検出手段にて検出された実回転数から、回転数をパラメータとする標準制御量算出式に基づいて前記標準の負荷状態での制御量である標準制御量を算出する標準制御量算出手段と、
前記見込み補正量算出手段にて算出された見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから基本制御量を求める基本制御量算出手段と、
前記フィードバック制御量設定手段にて設定されたフィードバック制御量および前記基本制御量算出手段にて算出された基本制御量から、ディーゼルエンジンに対する制御量を設定するディーゼルエンジン制御量設定手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置。 - 請求項2または3記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置において、
前記ディーゼルエンジン制御量設定手段は、
前記基本制御量として、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態が複数種類存在する場合は、該負荷状態の種類毎に前記目標回転数設定手段にて設定された目標回転数の内、最大の目標回転数に基づいて得られた基本制御量を用いることを特徴とするディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置。 - アイドル時において、ディーゼルエンジンに対する制御量を調整することにより、ディーゼルエンジンの回転数を、ディーゼルエンジンへの負荷状態に対応する目標回転数に制御するディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置であって、
ディーゼルエンジンの実回転数を検出する回転数検出手段と、
ディーゼルエンジンへの負荷状態を検出する負荷状態検出手段と、
負荷状態と負荷が発生していない標準の負荷状態での目標回転数に対する差分回転数との対応データに基づいて、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態に対応して、差分回転数を設定する差分回転数設定手段と、
前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数と前記標準の負荷状態の目標回転数との和と、前記回転数検出手段にて検出された実回転数との差に応じてフィードバック制御量を設定するフィードバック制御量設定手段と、
前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数に応じて見込み補正量を算出する見込み補正量算出手段と、
前記回転数検出手段にて検出された実回転数から、回転数をパラメータとする標準制御量算出式に基づいて前記標準の負荷状態での制御量である標準制御量を算出する標準制御量算出手段と、
前記見込み補正量算出手段にて算出された見込み補正量と、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量とから基本制御量を求める基本制御量算出手段と、
前記フィードバック制御量設定手段にて設定されたフィードバック制御量および前記基本制御量算出手段にて算出された基本制御量から、ディーゼルエンジンに対する制御量を設定するディーゼルエンジン制御量設定手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置。 - 請求項5または6記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置において、
前記ディーゼルエンジン制御量設定手段は、
前記基本制御量として、前記負荷状態検出手段にて検出された負荷状態が複数種類存在する場合は、該負荷状態の種類毎に前記差分回転数設定手段にて設定された差分回転数の内、最大の差分回転数に基づいて得られた基本制御量を用いることを特徴とするディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置。 - 前記基本制御量算出手段は、
ディーゼルエンジンへの負荷状態が前記負荷状態検出手段にて標準の負荷状態であると検出された場合には、前記標準制御量算出手段にて算出された標準制御量により基本制御量を求めることを特徴とする請求項2〜7のいずれか記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置。 - 前記ディーゼルエンジン制御量設定手段において設定されるディーゼルエンジンに対する制御量は、燃料噴射量あるいは燃料噴射時間として設定されることを特徴とする請求項2〜8のいずれか記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置。
- 前記標準制御量算出式は、回転数が高くなるほど標準制御量が減少する傾向に設定されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載のディーゼルエンジンのアイドル回転数制御装置。
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