JP3616842B2 - 感熱記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した感熱記録媒体に関し、特にフレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷及びシルクスクリーン印刷の製版用版下フイルム(画像形成用)シート、特に、捺染用スクリーン印刷の製版用版下フイルム(画像形成用)シートとして有用な版下用感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子供与性呈色化合物(以下、発色剤ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られている。近年においては、用途も拡大化しオーバーヘッドプロジェクタ用、ジアゾ感光材を用いた複写システムの第二原図用、又は設計図面用としての要求があり、さらには、グラビア印刷、オフセット印刷及びスクリーン印刷の製版用版下フイルムとしての要求もある。一般的に次のような特性が版下フイルムとして用いる場合に必要とされる。
(1)版下フィルムの紫外光を遮光すべき部分の紫外波長域における遮光性、および透過すべき部分の透過性。
(2)温度、湿度、光の影響下で、紫外波長域における遮光性および透過性が必要な時間のあいだ問題になるほど変化しない(保存性)。
(3)何枚かの版下フィルムを重ね合わせてズレやミスを検査するときの見やすさ(検図性)。
(4)寸法精度。
(5)解像性。
(6)繰り返し使用に耐える物理的強度。
【0003】
また、サーマルヘッドで直接記録することのできる透明感熱記録媒体としては、特願昭61−121875号明細書及び特開平1−99873号公報において提案されている。しかし、これらの透明感熱記録媒体を製造するには、発色剤をマイクロカプセル化し、更に水に難溶又は不溶の有機溶剤に溶解させた顕色剤とを乳化分散した乳化分散物からなる塗布液を透明支持体に塗布して作製するなどかなり複雑な工程が必要である等の製造上に問題があり、また、透明性が不十分という問題がある。
【0004】
これら以外の感熱記録媒体で透明性がよいものでは、熱エネルギーで画像形成した発色画像の画像安定性が悪いという問題がある。更に、前記印刷製版用版下フィルムとして用いた場合は、370nm〜450nmの波長域で発色画像部と非画像部とのコントラストが得られないため、370nm〜450nmのランプを使う感光製版用版下フィルムとしては使用できない。また、従来の透明感熱記録媒体においては、発色色調が殆んど黒色であり自動トレス等で画像形成した版下フィルムの検図作業で黒色画像の版下フィルムを2枚以上重ね合わせた場合、それらのトレースした画像のズレが判断しにくいという問題もある。
これは、発色画像部、特に肉眼で認識しやすい450〜600nmの吸収が強いため真黒に見え、画像部が重なっているかズレているかが判断しにくいためである。
こうした要求を満足させる版下用感熱記録媒体として、特開平8−118811号公報で提案されたものがある。しかし、更に前記印刷製版用版下フィルムの用途によっては、画像部の紫外部(360nm〜420nm)濃度が足りない問題が発生した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した感熱記録媒体において、従来から見られる問題点を解決し、特に画像部の紫外部(360nm〜420nm)濃度が高く、また、画像形成した版下フィルムは、版下フィルム同士の検図作業に有用な版下用感熱記録媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような課題は、本発明の(1)「透明支持体上に電子供与性呈色化合物、電子受容性化合物とバインダー樹脂を主成分とする感熱記録層が設けられ、更に該感熱記録層とほぼ同一の屈折率をもつ樹脂を主成分とするオーバー層が設けられてなる感熱記録媒体で、非画像部の光透過率が380nm〜620nm全波長域で35%以上であり、かつ、画像部における光透過率が380nm〜620nm全波長域で10%以下である版下用感熱記録媒体において、該電子供与性呈色化合物が下記一般式(I)、(II)、(III)であることを特徴とする版下用感熱記録媒体。
【0007】
【化6】
【0008】
【化7】
【0009】
【化8】
」及び(2)「該感熱記録層に含まれる電子受容性化合物が下記一般式(IV)又は(V)で表わされる有機リン酸化合物であり、さらに、バインダー樹脂が分子内に水酸基又はカルボキシル基を含有することを特徴とする前記(1)項記載の版下用感熱記録媒体。
【0010】
【化9】
【0011】
【化10】
」により達成される。
次に、本発明の感熱記録媒体について詳細に説明する。
【0012】
本発明に用いられる一般式(I)、(II)、(III)の電子供与性呈色性化合物は、それ自体無色或いは淡色の染料前駆体であり、具体例としては、例えば下記のような化合物が挙げられる。
【0013】
【表1−1】
【0014】
【表1−2】
【0015】
【表1−3】
【0016】
本発明において、前記発色剤を発色させる顕色剤としては、一般的な溶剤に対して不溶又は難溶性のフェノール性化合物及び有機リン酸化合物が好ましく、例えばフェノール性化合物の具体例としては、没食子酸化合物、プロトカテキュ酸化合物、ビス(ヒドロキシフェニル)酢酸等が挙げられ、また有機リン酸化合物の具体例としては、アルキルホスホン酸化合物、αーヒドロキシアルキルホスホン酸等が挙げられる。これらの内、有機リン酸化合物が地肌かぶり、熱感度の点で優れている。
【0017】
有機リン酸化合物の特に好ましいものとしては、下記一般式(VI)又は一般式(VII)で示されるホスホン酸が用いられる。
【0018】
【化11】
(式中、Rは炭素数16〜24の直鎖状アルキル基を表わす)
【0019】
【化12】
(式中、R’は炭素数13〜23の直鎖状アルキル基を表わす)
【0020】
前記一般式(VI)で表わされるホスホン酸の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸等がある。
前記一般式(VII)で表わされるホスホン酸の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
α−ヒドロキシテトラデシルホスホン酸、α−ヒドロキシルヘキサデシルホスホン酸、α−ヒドロキシオクタデシルホスホン酸、α−ヒドロキシエイコシルホスホン酸、α−ヒドロキシテトラコシルホスホン酸等がある。
本発明において、顕色剤は単独もしくは二種以上混合して適用される。また、発色剤についても同様に単独もしくは二種以上混合して適用することができる。
【0021】
本発明で用いられる顕色剤の平均粒子径については、10μm以下のものが好ましく、1μm以下でかつ1μmより大きい粒子径の粒子を含まないものが更に好ましく、感熱記録媒体の感熱度及び解像度を向上させることができる。
【0022】
感熱記録層に用いるバインダー樹脂としては、前記発色剤と前記顕色剤とが熱エネルギー等の力で発色反応が生じた場合、顕色剤プロトンがアタックして、開環発色させた染料発色体の回りをプロトンリッチにして発色体を安定に保ち、さらに発色体が消色しにくい環境を有する材料が好ましく、例えば、バインダー樹脂中に水酸基又はカルボン酸基を含有する化合物であり、また、更に好ましくは常温での屈折率が1.45〜1.60の範囲の化合物である。
【0023】
このようなバインダー樹脂としては、例えばポリビニルブチラール(1.48〜1.49)、ポリビニルアセタール(1.50)、エポキシ樹脂(1.55〜1.61)、エチルセルロース(1.46〜1.49)、セルロースアセテート(1.46〜1.50)、セルロースアセテートブチレート(1.46〜1.49)、セルロースアセテートプロピオネート(1.46〜1.49)、ニトロセルロース(1.49〜1.51)等が挙げられる。ここで、括弧内の数値は屈折率である。
【0024】
さらに、本発明の感熱記録媒体の耐光性向上は、光安定化剤を感熱記録層又は保護層中に含有させることにより達成される。本発明に使用される光安定化剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素の消光剤、スーパーオキシドアニオンの消光剤が用いられる。
【0025】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,1,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ヘプトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3,6−ジクロル−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3,6−ジクロル−4−エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メチルアクリルオキシ)プロポキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリーブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシ)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリーブチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−ターシャリーブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−エトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、フェニルサリシレート、pーオクチルフェニルサリシレート、pーターシャリーブチルフェニルサリシレート、カルボキシルフェニルサリシレート、メチルフェニルサリシレート、ドデシルフェニルサリシレートなどのサルチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤、あるいはpーメトキシベンジリデンマロン酸ジメチルエステル、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、3,5−ジターシャリーブチル−pーヒドロキシ安息香酸、紫外線により転位してベンゾフェノンとなるレゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジターシャリーブチルフェニル、3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等がある。
【0026】
酸化防止剤、老化防止剤としては例えば、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリターシャリーブチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリーブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、テトラキス−{メチレン(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)}メタン、p−ヒドロキシフェニル−3−ナフチルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、チオビス(βーナフトール)、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンズイミダゾール、アルドール−2−ナフチルアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピネート、トリス(4−ノニルフェノール)ホスファイト等がある。
【0027】
一重項酸素の消光剤としてはカロテン類、色素類、アミン類、フェノール類、ニッケル錯体類、スルフィド類等があるが、例えば、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、β−カロテン、1,3−シクロヘキサジエン、2−ジエチルアミノメチルフラン、2−フェニルアミノメチルフラン、9−ジエチルアミノメチルアントセラセン、5−ジエチルアミノメチル−6−フェニル−3,4−ジヒドロキシピラン、ニッケルジメチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−o−エチルホスホナート、ニッケル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−o−ブチルホスホナート、ニッケル{2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)}(n−ブチルアミン)、ニッケル{2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)}(2−エチルヘキシルアミン)、ニッケルビス(2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)}、ニッケルビス{2,2’−スルホンビス(4−オクチルフェノラート)}、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル−N−n−ブチルアルドイミン)、ニッケルビス(ジチオベンジル)、ニッケルビス(ジチオビアセチル)等がある。
【0028】
スーパーオキシアニオンの消光剤としては、スーパーオキシドジスムターゼとコバルト[III]及びニッケル[II]の錯体等があるが、これらの例が本発明を限定するものではない。これらは単独又は2種以上混合して使用される。
【0029】
本発明の感熱記録媒体の基体は透明支持体であり、常温での屈折率が1.45〜1.60の範囲のものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム或いは、これらを貼り合わせた透明支持体を使用するのが一般的である。
【0030】
感熱記録層との間には接着層を設けることが好ましい。接着層の材料としては、一般にアクリル樹脂、飽和ポリエステル樹脂等、及びこれらを硬化した樹脂が用いられる。
【0031】
保護層のない感熱記録媒体において、その感熱記録層は、微細な顕色剤がバインダー樹脂中に分散されているため、表面及び内部が不均一となり、この記録層の凹凸及び空隙に存在する空気と記録層の屈折率差で光散乱が生じ、不透明又は半透明である。しかし、本発明の感熱記録媒体の如く、この不透明又は半透明の記録層上に常温での屈折率が感熱記録層のバインダー樹脂のそれと同一範囲にある樹脂を均一に塗布、乾燥(硬化)することにより、記録層の空隙及び凹凸がなくなり平滑化され、光の散乱が減り透明な記録媒体が得られる。ここに形成された保護層は記録媒体の透明化に寄与するだけでなく、耐薬品性、耐水性、耐摩擦性、耐光性及びヘッドマッチング性の向上にも大きな効果を示し、高性能な透明感熱記録媒体の構成要素として不可欠である。
【0032】
本発明の保護層には、水溶性樹脂や疎水性樹脂を主体として形成された被膜や、紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂を主体として形成した被膜等が包含される。このような保護層の形成により、有機溶剤、可塑剤、油、汗、水等の接触によっても、実用上問題ない記録媒体を得ることができる。また、有機又は無機フィラー及び滑剤を含有させることにより、サーマルヘッド等との接触で生ずるスティッキング等の問題もなく、信頼性及びヘッドマッチング性に優れた感熱記録媒体を得ることができる。
【0033】
次に、本発明の保護層について詳述する。本発明の保護層を構成する樹脂としては、感熱記録層を構成するバインダー樹脂と同一の屈折率を有する樹脂を用いる。ここで屈折率が同一であるとは、実質的に同一であることを意味し、±5%程度相違する場合も含むものである。その屈折率は常温で1.45〜1.60の樹脂が好ましい。
【0034】
このような樹脂としては、水溶性樹脂の他、水性エマルジョン、疎水性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等が包含される。水溶性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体(メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。水性エマルジョン用の樹脂又は疎水性樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらは、単独若しくは混合して使用され、更に必要に応じては硬化剤を添加して樹脂を硬化させてもよい。
【0035】
次に、本発明の保護層として、もっとも好ましい紫外線硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂について詳細に説明する。
保護層の形成に用いられる紫外線硬化性樹脂としては紫外線照射により重合反応を起こし、硬化して樹脂となるモノマー又はオリゴマー(又はプレポリマー)であればその種類が制限されず、公知の種々のもの全て使用できる。このようなモノマー又はオリゴマーとしては(ポリ)エステルアクリレート、(ポリ)ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート等やメラミンアクリレートがある。(ポリ)エステルアクリレートは1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール(プロピレンオキサイドとして)、ジエチレングリコール等の多価アルコールとアジピン酸、無水フタル酸、トリメリット酸等の多塩基酸とアクリル酸とを反応させたものである。その構造例を(a)〜(c)に示す。
(a)アジピン酸/1,6−ヘキサンジオール/アクリル酸
【0036】
【化13】
(b)無水フタル酸/プロピレンオキサイド/アクリル酸
【0037】
【化14】
(c)トリメット酸/ジエチレングリコール/アクリル酸
【0038】
【化15】
【0039】
(ポリ)ウレタンアクリレートは、トリレンジイソシアネート(TDI)のようなイソシアネート基を持つ化合物に、ヒドロキシル基を持つアクリレートを反応させたものである。その構造例を(d)に示す。なお、HEAは2−ヒドロキシエチルアクリレート、HDOは1,6−ヘキサンジオール、ADAはアジピン酸の略である。
(d)HEA/TDI/HDO/ADA/HDO/TDI/HEA
【0040】
【化16】
【0041】
エポキシアクリレートは、構造から大別してビスフェノールA型、ノボラック型及び脂環型があり、これらエポキシ樹脂のエポキシ基をアクリル酸でエステル化し官能基をアクリロイル基としたものである。その構造例を(e)〜(g)に示す。
(e)ビスフェノールA−エピクロルヒドリン型/アクリル酸
【0042】
【化17】
(f)フェノールノボラック−エピクロルヒドリン型/アクリル酸
【0043】
【化18】
(g)脂環型/アクリル酸
【0044】
【化19】
【0045】
ポリブタジエンアクリレートは、末端OH基含有1,2ポリブタジエンにイソシアネートや1,2−メルカプトエタノール等を反応させてから、更にアクリル酸等を反応させたものである。その構造例を(h)に示す。
(h)
【0046】
【化20】
シリコーンアクリレートは、例えば、有機官能性トリメトキシシランとシラノール基含有ポリシロキサンとの縮合反応(脱メタノール反応)によりメタクリル変性したものであり、その構造例を(i)に示す。
(i)
【0047】
【化21】
【0048】
紫外線硬化性樹脂を使用するときは、溶剤を使用する場合があるが、この場合の溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン等の有機溶剤が挙げられる。また、これらの溶剤の代わりに、取扱いを容易にするため反応性希釈剤として光重合性モノマーを使用することができる。
【0049】
光重合性モノマーとしては、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート等が挙げられる。
【0050】
次いで、電子線硬化性樹脂について述べる。電子線硬化性樹脂も特に種類は制限されないが、特に好ましい電子線硬化性樹脂としては、ポリエステルを骨格とする5官能以上の分枝状分子構造を有する電子線硬化性樹脂(以降「電子線硬化性アクリル変性ポリウレタン樹脂」という。)及びシリコーン変性電子線硬化性樹脂を主成分としたものである。
【0051】
電子線硬化性アクリル変性ポリウレタン樹脂は、例えば次のようにして製造することができる。即ち、1,4−ブタンジオールとアジピン酸との反応生成物、或いはポリプロピレングリコールとアジピン酸との反応生成物(以上はポリエステル骨格部分に相当するもの等)のポリエステルジオールとポリエーテルトリオールとの混合物に、ジイソシアネートとアクリル系2重結合を有する化合物とを加えて反応させることにより製造することができる。ポリエステルジオールとポリエーテルトリオールとの混合物に代えて、例えば、ポリエーテルジオールとトリエーテルトリオールとの混合物、ポリエステルジオールとポリエステルトリオールとの混合物、ポリエーテルジオールとポリエステルトリオールとの混合物が用いられる。ここで、ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)等が、また、アクリル系2重結合を有する化合物としては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が例示できる。なお、ポリエステルジオールは例えば、アデカニューエースY4−30(旭電化工業社製)として、また、ポリエーテルトリオールは例えばサンニックスTP−400、サンニックスGP−3000(以上、三洋化成社製)等として入手しうる。
【0052】
この電子線硬化性アクリル変性ポリウレタン樹脂のポリエステル部分の分子量は、耐熱スリップ層に要求される柔軟性及び強靱をもたせるために、2000〜4000の範囲が好ましい。また、電子線硬化性アクリル変性ポリウレタン樹脂全体の分子量は、前記と同様な理由により、20000〜50000の範囲が好ましい。なお、この樹脂においては、官能基数を5個以上望ましくは7〜13個もたせることにより、硬化促進及び硬度向上等の効果をもたらすことができる。
【0053】
一方、シリコーン変性電子線硬化性樹脂は下記化学構造部分を有するものである。
【0054】
【化22】
(ただし、上記式中、Rは−(CH2)−n(n=0〜3)、TDIは2,4−トリレンジイソシアネート、HEMは2−ヒドロキシエチルアクリレートを示し、x=50〜100 y=3〜6である。)
このシリコーン変性電子線硬化性樹脂は被膜性に優れているため均一で薄い被膜を良好に形成することができ、また、シリコーン官能基を有しているためスベリ効果が優れている。
【0055】
電線硬化性アクリル変性ポリウレタン樹脂と電子線硬化性シリコーン変性樹脂とを併用する場合、その割合は電子線硬化性アクリル変性ポリウレタン樹脂100重量部に対し電子線硬化性シリコーン変性樹脂30重量部までの範囲で、好ましくは5〜20重量部の範囲で添加されることが望ましい。
【0056】
本発明の保護層においては、その形成過程にあって硬化を促進し、耐熱効果を向上させるために、多感能電子線硬化性モノマーを併用するのが望ましい。このモノマーは架橋促進剤として作用し、複雑で高密度の架橋構造を形成する上で有利である。
このようなモノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。
そして、このモノマーは電子線硬化性アクリル変性ポリウレタン樹脂100重量部に対し50重量部までの範囲で、好ましくは20〜50重量部の範囲で添加することが好ましい。50重量部より多いと、潤滑硬化が弱まりスベリ効果が低下する。
【0057】
また別の本発明におけるオーバー層はホスファゼン系樹脂であり下記化学式で示されるホスファゼン骨格を有する繰り返し単位を有するものであり、耐熱性において極めて優れている。
【化23】
−(P=N)−
具体的には、下記化学式で示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化24】
−[NP(A)a(B)b]n−
(式中、a,b;a>0,b≧0であり、かつa+b=2を満たす実数、Aはメタアクリロイルオキシエチル基等の重合硬化性基、Bは
【0058】
【化25】
ここでR1〜R5はそれぞれ水素原子、塩素原子、臭素原子或いは炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基を示し、Mは酸素原子、硫黄原子或いはイミノ基を示す。)
【0059】
上記化学式で表わされるホスファゼン系樹脂、例えばAがメタアクリロイルオキシエチル基で、b=0の樹脂は、下記化学式で示される化合物の開環重合により製造することができる。
【0060】
【化26】
【0061】
前記化学式で表わされるボスファンゼン系樹脂のように重合硬化性基を有する場合は、紫外線、電子線、加熱等で硬化することにより、更に機械的強度、硬度、耐熱性が向上する。
【0062】
本発明の保護層にも感熱記録層と同様に、耐光性向上のため、光安定化剤を含有させることができる。本発明で使用される光安定化剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素の消光剤、スーパーオキシドアニオンの消光剤であり、これらは前記感熱記録層に用いられるものと同一のものが用いられる。
【0063】
更に、本発明の感熱記録媒体のヘッドマッチング性向上は、保護層中に透明性を低下させない程度に有機又は無機フィラー及び滑性添加剤を含有させることにより達成される。本発明に使用される有機フィラーとしては、ポリオレフィン粒子、ポリスチレン粒子、尿素−ホルムアルデヒド樹脂粒子、又はプラスチック微小中空体粒子等が挙げられ、無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム、重質及び軽質炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、コロイダルシリカ(10〜50mμm)、アルミナゾル(10〜200mμm)、活性白土、タルク、クレーチタンホワイト、カオリナイト、焼成カオリナイト、ケイソウ土、合成カオリナイト、ジルコニウム化合物、ガラス微小中空球体等が挙げられ、特にフィラーの形状が球形であり、Si樹脂、フッ素樹脂のような滑性を有するものが望ましい。また、滑性添加剤としてはシリコーンオイル、界面活性剤、有機塩類、ワックス類等の滑剤や滑性フィラー等が挙げられる。シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、アルコール変性ポリシロキサン等が挙げられる。
【0064】
界面活性剤としては、通常市販されているカルボン酸、高級アルコールの硫酸エステル塩、スルホン酸塩、高級アルコールのリン酸エステル及びその塩を挙げることができる。これらの化合物の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、ミリスチルアルコール硫酸エステルナトリウム、セチルアルコール硫酸エステルナトリウム、ステアリルアルコール硫酸エステルナトリウム、オレイルアルコール硫酸エステルナトリウム、高級アルコールのエチレンオキサイド付加体の硫酸エステルナトリウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ノニルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸カリウム、N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム、テトラエトキシラウリルアルコール酸エステル、リン酸モノステアリルエステルナトリウム、リン酸ジステアリルエステルナトリウム等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
また、前記有機塩類としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、ヘキシルアンモニウムクロライド、スルホサリチル酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、安息香酸カリウム、アジピン酸カリウム等の塩類が挙げられる。
【0066】
更にワックスとしては、天然ワックスとして、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、みつろう、ラノリンワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックスとしてはポリエチレンワックス、硬化ひまし油又はその誘導体、脂肪酸アミド等が挙げられる。保護層中に占める滑剤の量は、0.001〜15.0重量%が適当である。これより多いと保護層の機械的強度が劣り、これより少ないと滑剤の効果がなくなってしまう。
【0067】
本発明の版下用感熱記録媒体は、顕色剤のみを有機溶剤中で均一に分散し、順次発色剤、バインダー樹脂を均一混合して感熱記録層塗布液を調整するか、有機溶剤にバインダー樹脂を溶解したバインダー樹脂溶液中で顕色剤を均一分散し、発色剤等を均一混合して感熱記録層塗布液を調整するか、或いは発色剤及び顕色剤をバインダー樹脂と共に有機溶剤中で均一に分散し、感熱記録層塗布液を調整するか、いずれかの方法で均一分散した塗布液を、透明支持体片面、或いは両面上に塗布乾燥して感熱記録層を設け、更にその上に樹脂を主成分とする保護層を設けることによって製造される。
【0068】
バインダー樹脂を溶解する有機溶媒としては、ジブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類があり、単独又は混合して用いられる。
【0069】
保護層の塗工方法、塗工量に特別な制限はないが、塗工量については、保護層としての性能及び経済性を考慮すると、記録媒体上に塗布厚が0.1〜20μmの範囲、更に望ましくは塗布厚が0.5〜10μmの範囲内が、保護層としての性能が充分発揮され、記録媒体の性能を落さない膜厚の範囲である。
【0070】
本発明の透明感熱記録媒体の記録画像の形成は、使用目的によって異なるが、熱ペン、サーマルヘッド、レーザー加熱、光を用いたサーマルエッチング等特に制限されない。しかし、実用上好ましくはサーマルヘッドによる画像形成が有用である。
【0071】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって、さらに詳細に説明する。なお、以下における部及び%はいずれも重量基準である。
実施例1
下記組成物を卓上型ボールミルで分散し、オクタデシルホスホン酸の平均粒子径が0.3μmまで分散して記録層塗布液とした。
【0072】
下記各A液、B液を約0.5μm程度に均一分散し、さらに、C液組成物と均一に混合し、オーバー層塗布液を調整した。
【0073】
[感熱記録媒体の作製]
75μmのメリネックス705ポリエステルフィルム(ICIジャパン社製)の片面に、帯電防止層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥して約0.3μm厚の帯電防止層を設けた。反対面に記録層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥して約13μm厚の感熱記録層を設け、更に記録層上にオーバー層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥後80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、約3.5μm厚のオーバー層を設け、実施例1の感熱記録媒体を作製した。
【0074】
実施例2
下記組成物を卓上型ボールミルで分散し、オクタデシルホスホン酸の平均粒子径が0.3μmまで分散し、さらに、東芝シリコーン製、トスパール145(体積平均粒子径4.5μm、吸油量58ml/100g)を5.5部加え均一に分散して記録層塗布液とした。
【0075】
下記各A液、B液を約0.5μm程度に均一分散し、さらに、C液組成物と均一に混合し、オーバー層塗布液を調整した。
【0076】
[感熱記録媒体の作製]
75μmのメリネックス705ポリエステルフィルム(ICIジャパン社製)の片面に、帯電防止層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥して約0.3μm厚の帯電防止層を設けた。反対面に記録層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥して約14μm厚の感熱記録層を設け、更に記録層上にオーバー層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥後80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、約3.5μm厚のオーバー層を設け、実施例2の感熱記録媒体を作製した。
【0077】
実施例3
下記組成物を卓上型ボールミルで分散し、オクタデシルホスホン酸の平均粒子径が0.3μmまで分散して記録層塗布液とした。
【0078】
下記各A液、B液を約0.5μm程度に均一分散し、さらに、C液組成物と均一に混合し、オーバー層塗布液を調整した。
【0079】
[感熱記録媒体の作製]
75μmのメリネックス705ポリエステルフィルム(ICIジャパン社製)の片面に、帯電防止層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥して約0.3μm厚の帯電防止層を設けた。反対面に記録層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥して約13μm厚の感熱記録層を設け、更に記録層上にオーバー層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥後80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、約3.5μm厚のオーバー層を設け、実施例3の感熱記録媒体を作製した。
【0080】
実施例4
下記組成物を卓上型ボールミルで分散し、オクタデシルホスホン酸の平均粒子径が0.3μmまで分散して記録層塗布液とした。
【0081】
下記各A液、B液を約0.5μm程度に均一分散し、さらに、C液組成物と均一に混合し、オーバー層塗布液を調整した。
【0082】
[感熱記録媒体の作製]
75μmのメリネックス705ポリエステルフィルム(ICIジャパン社製)の片面に、帯電防止層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥して約0.3μm厚の帯電防止層を設けた。反対面に記録層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥して約13μm厚の感熱記録層を設け、更に記録層上にオーバー層塗布液をワイヤーバーを用いて、塗布・乾燥後80W/cmの紫外線ランプで硬化させ、約3μm厚のオーバー層を設け、実施例4の感熱記録媒体を作製した。
【0083】
比較例1
実施例1の記録層塗布液に用いられた表1中の式(1)のフルオラン化合物の代わりに、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランを用いた以外は実施例1と同様にして比較例1の感熱記録媒体を作製した。
比較例2
実施例1の記録層塗布液に用いられた表1中の式(1)のフルオラン化合物の代わりに、2−(o−クロロフェニルアミノ)−6−エチルアミノ−7−メチルフルオランを用いた以外は実施例1と同様にして比較例2の感熱記録媒体を作製した。
【0084】
印字試験
上記のようにして作製した感熱記録媒体に、8dot/mmのサーマルヘッドを使用した印字装置で、印加電力0.7W/dot、印字パルス幅0.7msecの印加エネルギーを与え、発色画像を記録した。
発色色調
上記の試験で印字した発色画像サンプルの発色色調を目視で評価した。
透過濃度
印字した発色画像サンプルの画像濃度及び地肌(非画像部)濃度を、透過濃度計X−Rite309(X−RITE COMPANY製)UVモードで測定した。
分光透過率
感熱記録媒体の発色画像部及び非画像部の分光透過率を、島津製作所製の分光光度計UV−3100を用いて、分光波長380nm、440nmの透過率を測定した。
以上の結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明の版下用の感熱記録媒体は、380〜440nmの全波長域で発色画像部と非画像部との光線透過率差が35%以上を示すことから、特に画像部の紫外線濃度が高く、また、地肌部分の分光透過性に優れたものであり、特にフレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷及びシルクスクリーン印刷の製版用版下フィルム(画像形成用)として有用な感熱記録媒体である。
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