JP3616803B2 - 水田除草機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、苗の植付け等が済んだ水田における中耕除草作業を行うための水田除草機に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記水田除草機において、従来では、例えば、実開平3−48401号公報に開示されているように、電動モータや油圧モータ等によって横軸芯周りで回転駆動されて条間に作用する複数の条間除草ロータを並列配備した除草装置を乗用機体に昇降自在に連結したものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の水田作業機は、例えば歩行型の除草機にて作業するような場合に比べて、中耕除草作業を乗用機体に乗ったままで行えるようにして作業労力の軽減を図ることができるようにしたものである。
しかし、上記従来構成では、比較的厚めの板材を先端部側で略L形に屈曲させて剛性を高めて機械的な強度を確保するようになっているが、このように剛性を高める構成では、例えば、石や切株の塊等の異物に引っ掛かり円滑な回動操作が阻害されたような場合、電動モータ等の駆動源に対して過大な負荷が加わるおそれがあり、このようなときに操縦者は乗用機体の操縦に気を取られて、電動モータ等の駆動源や途中の伝動機構が損傷して、良好な除草作業を適正に継続できないものとなるおそれがある等の不利があった。
【0004】
ところで、田植機で植付けられた稲株は、所定の左右間隔(条間)と、所定の前後間隔(株間)をもって配列されるので、その条間と株間に雑草がはびこることになるが、上記従来構成では、前記複数の条間除草ロータが、横軸芯周りで回転駆動されて条間に作用する構成であり、条間における除草は行えるけれども、株間における除草は行えないものとなっていた。
尚、従来より利用されていた歩行型の除草機においては、左右の稲株条の間に作用する条間除草ロータと、前後の稲株の間に作用する株間除草ロータを装備したものも存在するが、乗用機体に装備される形式では条間除草ロータのみを装備した除草装置しか研究開発されておらず、除草効果が不十分なものとなっていた。
【0005】
尚、上記したような株間での除草を行う除草装置として、上記従来技術における前記各条間除草用ロータのような構成の除草ロータを用いて、電動モータや油圧モータ等にて各別に駆動する構成とし、例えば、横方向にスライド移動させたり、回転軸芯を前後向きに変更させる構成の新たな構造を採用して、株間除草を行うことが考えられるが、このような構成では、電動モータや油圧モータ等の高価な駆動機構部品の点数が多くなり構造が複雑でコスト高になる不利があるとともに、上記したような異物との干渉による損傷のおそれや、操縦者が乗用機体の操縦に気を取られて、株間に作用する除草ロータを誤って稲株に接触させてしまい稲株を傷つける等のおそれもあった。
【0006】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、乗用作業にて対応できるとともに、極力、良好な状態で中耕除草作業を行うことが可能となる水田除草機を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0012】
(構成)請求項1に係る発明の水田除草機は、乗用機体の後部に除草装置が昇降自在に連結され、前記除草装置は、横軸芯周りで回転駆動される複数の条間除草ロータを複数の条間に作用するように機体横方向に沿って並列配備してなる条間除草機構と、株間での除草を行う複数の株間除草用の除草操作具を複数の条列における夫々の株間に作用するように機体横方向に沿って並列配備してなる株間除草機構とを備えて構成され、
前記株間除草機構は、前記各除草操作具が、駆動支持部から下向きに延出するとともにその先端部を機体後方側に向う略水平姿勢になるように略L形に屈曲形成してなる棒体で構成され、且つ、その棒体で構成された除草操作具のうちの半数のものが横一側に移動するとき、他の半数の除草操作具がそれと反対方向へ移動するように前記棒体が並列配備された機体横方向での一つの鉛直面上で、左右方向での互いに逆方向に往復移動して株間での除草を行うように構成されている。
【0013】
(作用)上記構成によれば、乗用機体にて走行しながら、条間除草機構における横軸芯周りで回転駆動される条間除草ロータにより、複数の条間における除草作業を良好に行うことができる。
そして、株間除草機構においては、棒体を下向きに延出してその先端部が機体後方側に向う略水平姿勢になるように略L形に屈曲形成してなる除草操作具を、機体横方向に往復移動させることにより株間での除草を行うことになる。つまり、機体後方側に向い略水平姿勢になる棒体の先端部が、泥土内に入り込んだ状態で横方向に往復移動することで株間における雑草に対する根の掘り起こし作用を適正に発揮して株間での除草作業を適正に行うことができる。このように上下方向に延設される棒体を往復移動させる構成であるから乗用機体の走行に伴って作動させても株間に適正に作用できるとともに、棒体を片持ち状に延設する構成であるから、除草作業を有効に発揮できるようにしながらも、先端部側が稲株に接触しても傷つけないように退避しやすい構成とすることも可能となる。又、除草用の先端部が機体後方側に向うので乗用機体の走行に伴って夾雑物が引っ掛かり、作動を阻害される等のおそれも極力少ないものとなる。
【0014】
(効果)従って、回転駆動される条間除草ロータにより条間における除草を適正に行えるとともに、極力、稲株に損傷を与えたり、夾雑物が引っ掛かる等のおそれの少ない状態で適切に株間における除草作業を行うことが可能となり、乗用作業にて対応できるとともに極力適正な状態で中耕除草作業を行うことが可能となる水田除草機を提供できるに至った。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明に係る水田除草機の全体側面が例示されている。この水田除草機は、操向前車輪2と後車輪3を備えた四輪駆動型の乗用機体1の後部に、油圧シリンダ4で駆動される平行四連リンク構造の昇降リンク機構5を介して除草装置6が昇降自在に連結された構造となっており、この例の除草装置6は10条の除草作業を行う仕様に構成されている。
【0032】
前記乗用機体1は、乗用田植機の機体が利用されており、機体前部に搭載したエンジン7の出力が機体後部の静油圧式無段変速装置(HST)8に軸伝達されて変速された後、後部ミッションケース9に軸支した左右の後車輪3に伝達されるとともに、後車輪3への伝動系から分岐した変速動力が前車軸ケース10に伝達されて左右の前車輪2が駆動されるようになっている。ここで、図2に示すように、左右の前車輪2および後車輪3は、それぞれ4条の稲株Fを跨ぐトレッドに設定されている。
【0033】
前記除草装置6には、前記昇降リンク機構5の後端にレバー11の操作によって連結・解除されるフック式のヒッチ機構12を介して着脱自在に連結される連結フレーム6A(被連結部)と、その連結フレーム6Aに対して前後軸芯a周りでローリング自在に装置本体部6Bが支持されている。つまり、装置本体部6Bに横幅方向に長く延設された中抜き矩形枠状の主フレーム14が設けられ、図14に示すように、この主フレーム14に前方側に向けて突出するように固設された支点ピン14cが連結フレーム6Aに設けられた枢支ボス部6a内にベアリング支持され、この支点ピン14cの軸芯a周りでローリング自在に支持される構成となっている。
そして、図12に示すように、前記主フレーム14と連結フレーム6Aとに亘って左右一対のバランスバネ16が張設され、除草装置6のローリング作動に適度の弾性抵抗と水平姿勢への復帰付勢力が与えられ、連結フレーム6A側に設けた規制具17が主フレーム14に接当することで、ローリング作動の限界位置を規制して、必要以上にローリング作動することを防止する構成としている。
尚、前記主フレーム14は、図13に示すように、左右両側端に位置する端部フレーム部分14aが中央側フレーム部分14bに対してブラケット200を介して前後軸芯n周りで揺動して、機体内方側に引退格納できるように構成され、横向き一直線状となる使用状態ではコイルバネ19によって下方側に付勢して位置保持するようになっており、格納姿勢では、ブラケット200に連設される接当規制具201により接当規制されるとともにコイルバネ19による付勢力と連結具20にて左右の端部フレーム部分14a同士を連結することにより姿勢保持するようになっている。
尚、図中202は、除草装置6が昇降リンク機構5により大きく上昇される非作業時に、昇降リンク機構5に接当して除草装置6の自由ローリングを規制する接当規制具である。
【0034】
そして、図5に示すように、前記主フレーム14の中央側フレーム部分14bに固定された支持フレーム18にて支持される状態で条間除草機構J1と株間除草機構J2とが前後に並べて装備されている。
前記条間除草機構J1は、横軸芯b回りに回転する11個の条間除草ロータ21を、稲株Fの条間に位置するように条間ピッチPと同ピッチで並列配備して構成されたものであり、図7に示すように、前記支持フレーム18に連結支持された左右一対の支持アーム22R,22Lにて前記各条間除草機構J1が安定的に支持されている。そして、図6に示すように、各支持アーム22R,22Lのうちの一方22Lが伝動機構を兼用するチェーン伝動ケースに構成されており、それから伝動される回転動力で各条間除草ロータ21が回転駆動されるようになっている。又、他方の支持アーム22Rは支持フレーム18に対して着脱可能にボルト連結する構成となっており、後述するように各条間除草ロータ21を容易に取り外すことができるようにしている。
【0035】
ここで、前記各支持アーム22R,22Lが位置する条間に作用する条間除草ロータ21だけは、前記支持アーム22R,22Lの左右に分割されたものに構成せざるを得ず、このために支持アーム22R,22Lの横幅に相当する分だけ除草できない未処理域が形成されてしまうが、各支持アーム22R,22Lを後輪3の直後方に位置するよう配置して、前方田面を前輪2および後輪3が通過する際に、雑草を踏み込んで田面に埋没させてしまうので、条間除草ロータ21が左右に分割されて中間が空いていても、実際には未処理域なく条間除草が行われることになる。
【0036】
標準幅の条間除草ロータ21は、図11に示すように、一定間隔に配備された左右一対の円盤状ディスク25の外周部同士に亘り周方向に適宜ピッチをあけて架設されたステー25aに、機体横方向に沿って適宜間隔をあけて一体的に設けられた複数の除草爪26をボルト止めして構成され、この除草爪26は、回転方向に対して弾性的に後退変位自在に設けられている。つまり、各除草爪26は、板材を板金プレス加工によって平板状に製作され、小石等の異物が存在すると容易に後退変位して破損等の生じにくい構成としている。又、周方向に隣接するもの同士は、前記除草爪26の配置位置を互いに軸芯方向にずらせて(具体的には除草爪の個数を異ならせて)未処理域が生じないように構成している(図10参照)。
【0037】
前記条間除草ロータ21の支持構成について説明すると、図8、図9に示すように、前記各支持アーム22R,22Lの下端部に、少しだけ左右両側に突設するように短い回転軸23がベアリングにて回動自在に支持され、これらの回転軸23に対して各条間除草ロータ21の筒形の駆動軸24が一体回動すべく連動連結されている。前記左右の支持アーム22R,22Lの中間に位置する前記筒形の駆動軸24はそれが支持する各条間除草ロータ21と一体的に連結される構成となっており、この駆動軸24は前記各回転軸23に対して角形嵌合にて一体回動するように連結されている。そして、前記各支持アーム22R,22Lよりも左右両側外方に位置する駆動軸24は、各条間除草ロータ21毎に各々分割される構成となっており、図9、図11に示すように、横方向に長く延設されるとともに回転軸23に角形嵌合にて一体回動自在な中軸24' に、角形嵌合状態で外嵌支持され、中軸24' の中を挿通する長いボルト27により前記各回転軸23に締め付け連結されて駆動される構成としている。
従って、前記各ボルト27を外すことで、前記中軸24' にて支持される左右各4個づつの各条間除草ロータ21も取り外すことができるように構成されている。又、一方の支持アーム22Rを支持フレーム18からボルト連結を解除して取り外すことで、左右の支持アーム22R,22Lの中間に位置する前記駆動軸24とそれが支持する各条間除草ロータ21とを一体的に取り外すことができる(図7(B)参照)。
このように全ての各条間除草ロータ21を取り外すことにより、例えば清掃作業や取り替え作業等のメンテナンス作業を容易に行えるように構成している。又、車両への積み込みのときには、前記支持アーム22R,22Lの左右両側に位置する各条間除草ロータ21だけを取り外すことで横幅が小さくなり、積み込み作業等を行い易いものにできる。
【0038】
図6、図7に示すように、前記支持フレーム18の左右中央には機体側から動力を受ける入力ベベルケース29が設けられており、この入力ベベルケース29から左右に延出した出力軸30を介してチェーン伝動ケースを兼用する一方の支持アーム22Lに動力伝達され、支持アーム22Lに内装したチェーン伝動機構Tで回転軸23、即ち、駆動軸24が駆動されるようになっている。また、前記入力ベベルケース29の入力軸29aと、乗用機体1の後部ミッションケース9に備えられたPTO軸31とが伝動軸32で連動連結されている。ここで、PTO軸31は、苗植付け装置が連結された際に、これへの動力伝達に利用されるものであり、走行伝動系から分岐された動力が取り出されるとともに、株間を調整するための株間変速が可能となっている。従って、除草装置6を連結した場合にも、この株間変速を利用してPTO軸31を変速して、条間除草ロータ21を好適な速度で駆動することが可能となっている。
【0039】
前記主フレーム14に稲株Fが各条間除草ロータ21に接触するのを回避するためのカバー体としての分草体35が取付けられている。この分草体35は、全体として平面視で後ろ向き略コの字状に構成され、主フレーム14に支持ブラケット36を介して横軸芯c周りで回動自在に支持され、稲株に干渉するのを防止すべく条間除草ロータ21の前方側に近接する作用姿勢(図15(A)参照)と、前方上方側に回動して条間除草ロータ21から離間する非作用姿勢(図15(B)参照)との夫々に姿勢切り換え自在であって、且つ、トグルバネ37によって前記各姿勢夫々においてトグルバネ37の付勢力にて位置保持される構成となっている。つまり、分草体35と一体回動する係止ピン35aが前記支持ブラケット36の端縁にて接当規制される状態でトグルバネ37にて押し付け付勢して位置保持される構成となっている。
【0040】
前記条間除草機構J1には、前記各条間除草ロータ21夫々の上方側を覆う上部カバー38が設けられ、この上部カバー38における機体横方向端部側に位置する端部側カバー部分38aが、中央側カバー部分38bに対して着脱自在に設けられるとともに、それらに設けられた接続部同士を嵌合接続させることで連結作業可能な適正接続状態に位置決めされるように構成されている。詳述すると、図2、図3、図5に示すように、前記上部カバー38は、機体横幅方向の全長に連なる状態で且つ後述するようなフランジ部41a,41b同士にわたり架設される状態で中空パイプ状の3個の横杆39が設けられ、これらの横杆39に対して円弧状に屈曲成形された合成樹脂材からなる板体40を固定取り付けして構成されている。
そして、図16に示すように、機体横方向端部側に位置する端部側カバー部分38aを構成する前記各横杆39a、左右フランジ部41a及び板体40aとが一体的に固定されるとともに、機体中央側に位置する中央側カバー部分38bも同様に、各横杆39b、左右フランジ部41b及び板体40bとが一体的に固定されて構成され、端部側カバー部分38aにおける各横杆39aと、機体中央側に位置する中央側カバー部分38bにおける各横杆39bとが互いに差し込み嵌合可能なように径を異ならせて構成され、それらを差込嵌合させて適正接続状態に位置決めした状態で、端部側カバー部分38aと中央側カバー部分38bとの突き合わせ部分に設けられたフランジ部41a,41b同士をボルトで締結することによりそれらを連結する構成としている。つまり、中央側カバー部分38bにおける各横杆39bをフランジ部41bよりも横側外方側に突出させるとともに、端部側カバー部分38aにおける各横杆39aの対向する開口端部をフランジ部41aを挿通させて外方に露出させ、中央側カバー部分38bにおける各横杆39bを差し込み装着できるように構成されている。
このようにして、車両への積み込みのときには、端部側に位置する端部側カバー部分38aを取り外すことで、横幅が小さくなり積み込み作業等を行い易いものにできる。
【0041】
次に、前記株間除草機構J2の構成について説明する。
前記株間除草機構J2は、株間での除草を行う複数の株間除草用の除草操作具としての株間除草操作具42aを複数の条列における夫々の株間に作用するように機体横方向に沿って並列配備して構成されている。
図25及び図26に示すように、株間除草機構J2における各除草操作具42aが、駆動支持部43aから下向きに延出するとともにその先端部を機体後方側に向う略水平姿勢になるように略L形に屈曲形成してなる棒体で構成され、且つ、その棒体を機体横方向に往復移動して株間での除草を行うように構成されている。又、乗用機体1側から伝達される回転動力が往復移動力に変換された後、その往復移動力を、押引きリンクを介して一体的に往復移動すべく互いに連動連結された各除草操作具42aに伝達するように構成され、且つ、複数の除草操作具42aのうちの半数のものが横一側に移動するときに、他の半数の除草操作具42aはそれと反対方向に移動するように互いに逆方向に往復移動するように構成されている。
詳述すると、各除草操作具42aが、前記フレーム杆46に対して、各稲株列に対して左右両側に位置するように一対づつ設けられる状態で、下端部が泥土内に入り込んだ状態で各々が前後軸芯m周りで左右に揺動操作されるように枢支されており、この前後軸芯m周りでの揺動が、機体横方向での鉛直面に沿った左右方向での往復移動となって株間での除草を行うように構成されている。
そして、前記横向き出力軸66に伝えられる動力がベベルギア機構111により前後向き駆動軸112に伝えられ、この前後向き駆動軸112の回転動力が偏芯クランク113により縦向き押引きリンク114による往復押し引き運動に変換され、この縦向き押引きリンク114から振り分けリンク機構115を介して左右両側に振り分けて、押引きリンク116を介して前記各除草操作具42aの駆動支持部43aを連動連結して構成され、左右両側に位置する複数の各除草操作具42aが互いに逆方向に往復揺動するように連係されている。
尚、この除草操作具42aはボルトの締め付けを緩めて駆動支持部43aに対する上下取り付け位置(除草作業用深さ)を変更調節できるようになっている。
又、前記フレーム杆46における機体横方向両側端部に位置する端部側支持体部分46aが、中央側支持体部分46bと一直線状に連なり、株間除草操作具42a夫々が機体横方向に並ぶように位置する作業姿勢と、それが支持する株間除草操作具42aと一体的に機体内方側に引退する格納姿勢とに亘り、中央側支持体部分46bに対して回動自在に支持されており、この格納姿勢では図27に示すように、押引きリンク116が枢支点を中心に折れ曲がり、格納揺動を許容する構成としている。
【0042】
この株間除草機構J2には、除草幅全幅に亘る長尺の支持体としてのフレーム杆46が設けられ、前記各株間除草操作具42aはこのフレーム杆46にて支持される構成となっている。そして、条間除草機構J1を接地作用させた状態で株間除草操作具42aによる圃場に対する除草用の作用深さ並びに作用角度を夫々変更調節できるように、前記フレーム杆46の条間除草機構J1に対する相対姿勢を変更調節する姿勢調節手段Kが備えられている。
つまり、図2、図5、図25に示すように、前記条間除草機構J1を支持している支持フレーム18に対して、横軸芯e周りで揺動自在に枢支された左右一対の回動フレーム47が後方側に延設される状態で設けられ、且つ、前記フレーム杆46から一体的に連設された左右一対の縦向きアーム部48が前記回動フレーム47の後端部に夫々横軸芯f周りで回動自在に枢支されている。そして、前記支持フレーム18から立設した縦フレーム部分18aの上端側と、左右の回動フレーム47に固定のブラケット49にわたって架設された第1中間フレーム50とに亘って回動操作式のネジ式長さ調節機構51が連結されて、支持フレーム18と回動フレーム47との相対姿勢が前記横軸芯e周りで変更可能で且つ調節位置で規制されるように構成されている。又、左右の回動フレーム47に固定のブラケット49にわたって架設された第2中間フレーム52と、前記フレーム杆46との間にターンバックル機構53を設けて、それらの相対回動姿勢が変更可能で且つ調節位置で規制されるように構成されている。
従って、前記長さ調節機構51の調節により、各株間除草操作具42aが前記横軸芯e周りで上下揺動して株間除草操作具42aによる圃場に対する除草用の作用深さを変更でき、ターンバックル機構53の調節により、各株間除草操作具42aが前記横軸芯f周りで揺動して株間除草操作具42aによる圃場に対する除草用の作用角度を変更できることになる。つまり、長さ調節機構51とターンバックル機構53により姿勢調節手段Kが構成される。
【0043】
【0044】
次に株間除草機構J2に対する伝動構造について説明する。
図6に示すように、前記乗用機体1側からの動力が変速装置57を介して株間除草機構J2に供給されるように構成され、前記変速装置57は、互いに伝動比の異なる一対のベルト伝動装置58,59を選択的に入り切り操作して変速を行うように構成されている。尚、変速装置57は、各ベルト伝動装置58,59に対応する2個の操作具60,61を一体的に操作して変速できるように構成され、且つ、前記2つの操作具60,61を反対方向に操作することで変速中立状態になるように構成されている。
【0045】
詳述すると、図5、図17に示すように、前記出力軸30に設けられた大小に径の異なる一対の駆動プーリ62,63と、前記フレーム杆46から立設したブラケット64にて支持されるベベルギアケース65に設けられた横向き入力軸66に設けられた一対の同径の従動プーリ67,68とに亘って夫々伝動ベルト69,70が巻回されるとともに、それら伝動ベルト69,70夫々に対して、人為操作自在な操作具60,61を前後に揺動操作させて、テンションプーリ71,72による緊張力を付与して伝動入りにする状態と緊張力を解除して伝動切りにする状態とに切り換え自在に設けられている。前記操作具60、61は図20、図21に示すように、棒材を略L形に屈曲させて、それらの遊端部同士を対向させるように配置されており、通常の作業状態では、それらの遊端部同士を連結具73にて接続してそれらを一体的に回動操作するように構成されている。
【0046】
つまり、一方のベルト伝動装置(低速駆動用)58は、それに対応する操作具60を前方側に操作すると枢支連結されたリンク60aを介してテンションプーリ72が伝動切りに切り換わり、後方側に操作すると伝動入りに切り換わるように構成され、他方のベルト伝動装置(高速駆動用)59は、それに対応する操作具61を前方側に操作すると枢支連結されたリンク61aを介してテンションプーリ71が伝動入りに切り換わり、後方側に操作すると伝動切りに切り換わるように構成されている。従って、各操作具60,61を一体的に前方側に操作すると高速駆動状態となり(図17参照)、各操作具60,61を一体的に後方側に操作すると低速駆動状態となる(図18参照)。つまり、高低2段階に変速できる構成としている。尚、この変速装置75は、変速カバー75aにて外方側を覆う構成としている。
そして、非作業時に除草作動状態の調節等のメンテナンス作業において、駆動状態と非駆動状態とに容易に切り換える必要がある場合には、図21に示すように、位置保持用のベータピン205を外して前記連結具73による連結を解除して、前記操作具60,61を夫々互いに逆方向、つまり、伝動切り状態に操作することで変速中立状態に設定できる(図20参照)。
【0047】
【0048】
以上説明したように、前記除草装置6は、主フレーム14、条間除草機構J1だけでなく株間除草機構J2についても、機体横方向に沿う幅が作業用の所定幅に設定される作業状態と、前記幅が前記所定幅よりも小さい幅に設定される非作業状態とに切り換え自在に構成され、車両による運搬時等においては、幅狭の状態で荷台等への積み込みを行い易いものにできるようになっている。
【0049】
【0050】
次に、上記構成の除草装置6を昇降制御する構造について説明する。
前記主フレーム14の中央箇所には、除草装置6全体を昇降制御するための接地センサとして機能するセンサフロート80が装備されるとともに、ローリング支点aの左右両側の2か所にはそれぞれローリング規制用のフロート81が装備されている。
図22、図23に示すように、前記主フレーム14の中央に固着された支持金具82に、上リンク83、下リンク84、および、縦リンク85が平行四連リンク状に装着され、その下リンク84の後方延長端に前記接地センサ(センサフロート)80の後部が上下揺動自在に枢支連結されるとともに、支持金具82の前方延出部82aに、屈伸リンク86を介して前記接地センサ80の前部が上下動可能に支持され、上リンク83から延出したレバー83aを揺動して支持金具82に対してノブボルト87で調節固定して、接地センサ80の後部支点hを3段階に上下調節することができるようになっている。
【0051】
また、支持金具82の前部に固着したブラケット88の前面にも、上リンク89と下リンク90を介してセンサブラケット91が平行四連リンク状に上下動可能に支持されており、このセンサブラケット91の側面に取り付けた回転式のポテンショメータ92の作動レバー92aと前記接地センサ80とがセンサロッド93で連係され、接地センサ80の後部支点h周りの上下揺動量に応じた電圧の検出信号がポテンショメータ92から出力されるようになっている。そして、前記作動レバー92aから上方に枢支延出したロッド94がセンサブラケット91の上端屈曲辺91aに挿通されるとともに、このロッド94に外嵌装着したセンサバネ95によって作動レバー92aが下向きに押圧付勢されている。なお、センサロッド93には初期圧縮したストローク吸収用バネ96が外嵌装着されており、作動レバー92aが上方揺動限界に達した後、さらに接地センサ80が上方変位した際に、ストローク吸収用バネ96が圧縮変形してその過剰ストロークを吸収するようになっている。
【0052】
前記縦リンク85の上部から前方に突出したピン97が、上リンク89の延出部89aに係合されており、縦リンク85の上下変位に対してセンサブラケット91が逆方向に上下変位するようになっている。例えば、縦リンク85が上方に変位されて接地センサ80の後部支点hが下方に移動されると、この後部支点hがと同量だけセンサブラケット91が下方に変位され、接地センサ80の高さ調節にかかわらずポテンショメータ92と接地センサ80の相対位置関係に変化がもたらされないようになっている。
【0053】
前記ポテンショメータ92からの検出出力は制御装置98に入力され、予め設定されている基準値(不感帯を含む)と比較され、検出出力が基準値から外れると、その外れた方向およびその偏差に応じて前記油圧シリンダ4の電磁制御弁99が作動制御され、除草装置6が上昇あるいは下降されるようになっている。
【0054】
例えば、除草装置6が田面に対して設定高さにあり、接地センサ80に働く接地圧が設定範囲内にあると、ポテンショメータ72からの検出出力は基準値内にあり、電磁制御弁99は中立を保たれている。ここで、機体の沈下や後ろ下がり傾斜などの原因で除草装置6が田面に対して沈下しかかって、接地センサ80に働く接地圧が設定値より大きくなると、接地センサ80はセンサバネ95を圧縮変形させながら上方に揺動変位し、ポテンショメータ92の作動レバー92aが上方に作動して制御弁79が上昇側に切り換えられ、油圧シリンダ4が伸長駆動されて除草装置6が上昇される。この上昇によって接地センサ80に働く接地圧が減少し、元の設定範囲内に復帰すると、ポテンショメータ92の作動レバー92aも元の基準位置にまで復元し、制御弁99が中立に戻されて上昇制御が停止する。
【0055】
逆に、機体の上昇や前下がり傾斜などの原因で除草装置6が田面に対して浮上しかかって、接地センサ80に働く接地圧が設定値より小さくなると、接地センサ80はセンサバネ95の弾性力および自重により下方に揺動変位し、ポテンショメータ92の作動レバー92aが下方に作動して制御弁99が下降側に切り換えられ、油圧シリンダ4が短縮作動されて除草装置6が下降される。この下降によって接地センサ80に働く接地圧が上昇し、元の設定範囲内に復帰すると、ポテンショメータ92の作動レバー92aも元の基準位置にまで復元し、制御弁99が中立に戻されて下降制御が停止する。つまり、この昇降制御では、ポテンショメータ72の作動レバー72aの作動位置、換言すると接地センサ80の姿勢が設定姿勢に維持されるように油圧シリンダ4が作動制御されるのである。
【0056】
ここで、前記制御装置78には、ポテンショメータで構成された感度調整器100が接続されている。この感度調整器100は乗用機体1の運転部近くに配備されており、ダイヤル式に操作することでポテンショメータ92からの検出出力に対比させる前記基準値を調節することができるようになっている。例えば、感度調整器100を調節範囲の中間にセットした時の接地センサ80の設定姿勢が略水平であるとすると、感度調整器100を敏感側に調節すると接地センサ80の設定姿勢は前下がり側に変更されることになり、逆に鈍感側に調節すると接地センサ80の設定姿勢は前上がり側に変更されることになる。
【0057】
接地センサ80の設定姿勢が前下がり側に変更されると、接地センサ80自体が前方まで接地することになり接地圧を受けやすくなるとともに、制御中立上記におけるセンサバネ75が長くなり、センサバネ95による接地センサ80の下向き付勢荷重、つまりセンサ荷重が小さくなる。従って、感度調整器100を敏感側に調節すると、接地センサ80は小さい接地圧で制御中立状態となるので、田面に対して浅い目の沈下状態で安定し、その分、除草装置6の田面に対する作用深さが浅くなる。逆に、接地センサ80の設定姿勢が前上がり側に変更されると、接地センサ80自体の接地域が支点側に後退することになって接地圧を受けにくくなるとともに、制御中立時におけるセンサバネ95が短くなり、センサバネ95による接地センサ80の下向き付勢荷重、つまりセンサ荷重が大きくなる。従って、感度調整器80を鈍感側に調節すると、接地センサ80は大きい接地圧で制御中立状態となるので、田面に対して深い目の沈下状態で安定し、その分、除草装置6の田面に対する作用深さが深くなる。
【0058】
従って、この水田除草機では、操作レバー62aを調節して接地センサ80の高さを変更して、除草作用深さを大きく調節できるとともに、感度調整器100を用いて接地センサ80の基準姿勢を変更することでも、除草作用深さを微調節することが可能となっている。
【0059】
また、前記接地センサ80の上下高さ調節に応じて左右のフロート81も調節しておく必要があり、その調節構造が図24に示されている。つまり、前記主フレーム14に左右位置調節可能に締めつけ固定された支持金具101には、支点i周りに上下揺動可能なフロート支持アーム102が取付けられ、このフロート支持アーム102の後方延出端に前記フロート81が支点k周りに上下揺動可能に支持されている。また、支持金具101には支点j周りに上下揺動可能な補助アーム103が備えられるとともに、この補助アーム103の前端に設けた案内ピン104が、フロート81の上面から立設したガイド部材105の上下長孔106に挿通され、フロート81の上下動を許しながらフロート81の横振れを案内ピン104によって規制している。そして、前記フロート支持アーム102から延出した操作レバー102aを揺動して支持金具101に形成した連結孔107にピン108を選択挿入すること、フロート81の後部支点kを3段階に上下調節することができるようになっている。なお、前記補助アーム103はリンク109を介してフロート支持アーム102に連係されており、後部支点kの上下調節に連動して補助アーム103の案内ピン104を同方向に変位させることで、フロート81の高さ調節にかかわらず上下長孔106と案内ピン104との相対高さ関係を一定に保って、フロート81の後部支点k周りの揺動範囲を確保している。
【0060】
【0061】
〔別実施形態〕 本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0062】
【0063】
【0064】
(1)上記実施形態では、除草装置が10条分の稲株列の条間や株間に対する除草を行う構成としたが、本発明は10条に限らず、8条や6条あるいはそれ以外の条数の稲株列の条間や株間に対する除草を行うように構成してもよい。
【0065】
(2)各株間除草ロータ42を、前記PTO軸31の動力や、乗用機体1から取り出した他の定回転速度の動力で機械式に駆動することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】水田除草機を示す全体側面図
【図2】除草装置を示す平面図
【図3】除草装置を示す正面図
【図4】折り畳み状態の除草装置を示す正面図
【図5】除草装置の全体側面図
【図6】除草装置の伝動系を示す図
【図7】条間除草機構の支持構造を示す概略平面図
【図8】条間除草機構の支持構造を示す左側部縦断背面図
【図9】条間除草機構の支持構造を示す右側部縦断背面図
【図10】除草装置の除草作用状態を示す平面図
【図11】条間除草ロータの分解斜視図
【図12】ローリング支点部の正面図
【図13】主フレームの折り畳む構造を示す要部の正面図
【図14】ローリング支点部付近の縦断側面図
【図15】分草体の姿勢切り換え状態を示す側面図
【図16】上部カバーの接続状態を示す斜視図
【図17】低速状態の変速装置の側面図
【図18】高速状態の変速装置の側面図
【図19】中立状態の変速装置の側面図
【図20】変速装置の斜視図
【図21】操作具の連結・解除状態を示す図
【図22】昇降制御構造の概略と接地センサ部を示す側面図
【図23】接地センサ部の支持構造を示す正面図
【図24】サイドのフロートの支持構造を示す側面図
【図25】株間除草機構の要部を示す側面図
【図26】株間除草機構の一部背面図
【図27】株間除草機構の折り畳み構造を示す背面図
【符号の説明】
1 乗用機体
6 除草装置
21 条間除草ロータ
26 除草爪
42,42a 除草操作具
43,43a 駆動支持部
76,77 回動チェーン
78 フレキシブル回転軸
114,116 押引きリンク
J1 条間除草機構
J2 株間除草機構
F 稲株

Claims (1)

  1. 乗用機体の後部に除草装置が昇降自在に連結され、
    前記除草装置は、横軸芯周りで回転駆動される複数の条間除草ロータを複数の条間に作用するように機体横方向に沿って並列配備してなる条間除草機構と、株間での除草を行う複数の株間除草用の除草操作具を複数の条列における夫々の株間に作用するように機体横方向に沿って並列配備してなる株間除草機構とを備えて構成され、
    前記株間除草機構は、前記各除草操作具が、駆動支持部から下向きに延出するとともにその先端部を機体後方側に向う略水平姿勢になるように略L形に屈曲形成してなる棒体で構成され、且つ、その棒体で構成された除草操作具のうちの半数のものが横一側に移動するとき、他の半数の除草操作具がそれと反対方向へ移動するように前記棒体が並列配備された機体横方向での一つの鉛直面上で、左右方向での互いに逆方向に往復移動して株間での除草を行うように構成されている水田除草機。
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