JP3616354B2 - 唇用下地料および化粧方法並びに組み合わせ化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、口紅等の唇用化粧料の効果を高める機能を有する唇用下地料および唇の化粧効果の持続性を高める化粧方法、並びに組み合わせ化粧料に関するものである。更に詳しくは、小じわの隠蔽効果を有し、その上に口紅、リップグロスあるいはリップクリームを塗布したときに発色が良くなり、仕上り(均一性)、モイスチャー感、化粧持続性を向上させることができる唇用下地料およびその化粧方法並びに組み合わせ化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、特開平10−45536号公報にてシリコーンエラストマーとシリコーン油と場合によっては板状粉体とを混練または粉砕して得られるシリコーンペーストを配合した化粧下地料が、ファンデーション、白粉、アイシャドウ、口紅などの化粧料の持続性を大幅に向上させる効果を有していること、そして、長時間の使用でも肌のつっぱり感や肌への圧迫感が少ないことを見いだした。
【0003】
一方、同公報の技術は、シリコーン油の使用が前提であり、配合量も50%程度あり、化粧下地料へのシリコーン油の濃度は大変高濃度であった。そしてファンデーション、白粉、アイシャドウなど皮膚適用の化粧料についてはこの組成でも特に問題は発生しないが、口紅等のように粘膜に適用する唇用化粧料では、シリコーン油に由来する唇の違和感が発生することが問題となることが判った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、本発明の一つである、粘膜適用時にシリコーン油よりもより違和感の少ないエステル油、炭化水素油等と板状粉体を用いて唇用下地料を作製してみたところ、シリコーン油を中心に処方していた時とは異なり、より自然に粘膜に馴染む感触を得ることができた。そして、シリコーン油とシリコーンエラストマーとの混練ペーストを特に用いなくても唇の小じわを目立たなくすることができた。また、この唇用下地料を使用した後に口紅、リップクリームまたはリップグロスを上から塗布すると、モイスチャー感及び化粧効果の持続性を高める効果があることを見出した。
【0005】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1は、(A)一次粒子径0.1〜20μmの範囲にある球状粉末の凝集体からなるシリコーンエラストマー(A1)と、エステル油、炭化水素油、高級アルコール、植物油、動物油からなる群から選ばれる常温で液体の油性成分の1種、または2種以上(A2)とを、(A1)、(A2)の質量比率が、(A1):(A2)=1:10〜7:3の範囲で混練または粉砕して得られるペースト状物と、(B)平均粒子径1〜50μmの板状粉体に相当する板状硫酸バリウムと、(C)油性成分とを含有し、シリコーン油の配合量が唇用下地料の総量に対して20質量%以下であることを特徴とする唇用下地料である。
【0009】
本発明の請求項2は、シリコーンエラストマーがジメチルポリシロキサンを含有しているものであることを特徴とする請求項1に記載の唇用下地料である。
【0011】
本発明の請求項3は、請求項1〜2のいずれか1項に記載の唇用下地料を使用した後、口紅、リップグロスあるいはリップクリームを使用することを特徴とする唇の化粧方法である。
【0012】
本発明の請求項4は、請求項1〜2のいずれか1項に記載の唇用下地料と、口紅、リップグロスあるいはリップクリームが同一セット容器に収納されていることを特徴とする組み合わせ化粧料である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、発明の実施の形態を詳述する。
【0014】
本発明で用いるシリコーンエラストマーとは、3次元のメチルポリシロキサン骨格を有する弾性体であって、粉末状、ペースト状の形態を持つものが挙げられる。特に電子顕微鏡を用いた観察による一次粒子径が主として0.1〜20μmの範囲にある球状粉体の凝集体であって、シリコーンの3次元架橋構造を有し、粉体としてエラストマーの性質を有するものを用いる。シリコーンエラストマーの製造方法としては、例えば末端二重結合を有する変性シリコーンとメチルハイドロジェンポリシロキサンを塩化白金酸などの触媒下に反応させ、三次元架橋させる方法が挙げられる。粉末の形態を持つシリコーンエラストマーの例としては、例えば東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のトレフィルEシリーズ(特にトレフィルE−508が好ましい)、「化粧品種別配合成分規格」収載の架橋型シリコーン末等が挙げられる。また、ペースト状の形態を持つシリコーンエラストマーの例としては、信越化学工業製のKSGシリーズなどが挙げられる。これらの素材は、骨格中にシリコーンオイル、特にジメチルポリシロキサンを含有していてもいなくても構わない。本発明で用いるシリコーンエラストマー及びその粉砕物の配合量としては、唇用下地料の総量に対して、好ましくは0.5〜50質量%、より好ましくは1〜40質量%の範囲である。この範囲であれば唇の小じわを目立たなくしたり、上から塗布する各種唇用化粧料の持続性を向上させる効果が得られる。
【0015】
本発明ではシリコーンエラストマーを製剤に配合する方法として例えば下記の方法が挙げられる。(1)シリコーンエラストマーと、エステル油、炭化水素油、高級アルコール、植物油、動物油から群から選ばれる常温で液体の油性成分の1種、または2種以上とを混練または粉砕してペースト状物にして配合する方法が挙げられる。(1)の場合、シリコーンエラストマーと、エステル油、炭化水素油、高級アルコール、植物油、動物油から選ばれる1種以上の常温で液体の油性成分との混合質量比率は、それぞれ1:10〜7:3の範囲にする。(1)で用いる混練の手段としては、混練押し出し機やローラーミルを用いることが好ましい。例えば、シリコーンエラストマーと上記油性成分とを事前にミキサーにて粗混合し、これを混練押し出し機やローラーミルに投入し、ペースト化する方法が挙げられる。混練押し出し機を用いた場合では、例えば押し出し機出口に50メッシュ以上、好ましくは100メッシュ以上の網を設置し、ペーストをより均一化することも可能である。また、混練を加熱下に実施することも可能である。混練装置としては、例えば多軸型の連続式混練機(2軸エクストルーダー等)が最も好ましい。また、(1)で用いる粉砕の手段としては、媒体ミルを用いることが好ましい。媒体ミルの例としては、ビーズミル、サンドミル、ダイノーミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製)、ボールミル、マイクロス(株式会社奈良機械製作所製)等が挙げられる。この内、高粘性体が粉砕可能なマイクロス(ケーシングとその中で回転する主軸及び主軸回転により連動公転する副軸から構成されており、各副軸には僅かのギャップをもって多数のリング状粉砕媒体が取りつけられた装置であり、粉砕媒体の動きをもつリングは主軸の回転により、遠心力作用でケ
ーシング内壁面に押し付けながら自転・公転することによって粉砕する装置。)が好ましい。
【0016】
本発明の唇用下地料に配合される(A)成分のシリコーンエラストマーのペースト状物を得るために用いる、エステル油、炭化水素油、高級アルコール、植物油、動物油からなる群から選ばれる常温で液体の油性成分としては、例えば流動パラフィン、スクワラン、α−オレフィンオリゴマー等の炭化水素油、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール、オクタン酸セチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、トリイソステアリン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、リシノール酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、トリイソステアリン酸グリセリル等のエステル油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油等の植物油、液状ラノリン等の動物油が挙げられる。
【0017】
また、本発明で、(A)成分のシリコーンエラストマーのペースト状物とともに(C)成分として配合される油性成分としては、上記の特定の液状油性成分及び/又はそれ以外の液状、半固形、固形の油性成分が挙げられる。これら油性成分としては、例えばアボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等;炭化水素油として、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等;高級脂肪酸である、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等;高級アルコールである、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等;
【0018】
エステル油である、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等;シリコーン油である、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ビフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン(例えば、トリフルオロプロピル・ポリオキシエチレン共変性シリコーン)、アルキル変性オルガノポリシロキサン、アルキル・ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、糖変性シリコーン、グリセリル変性シリコーン、環状シリコーン、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等;その他の油性成分が挙げられる。
【0019】
本発明の唇用下地料における上記シリコーン油の含有量は、シリコーンエラストマーから由来する量も含めて、唇用下地料の総量に対して20質量%以下であることが必須である。シリコーン油、特に環状ジメチルポリシロキサンを多く配合した場合、唇に違和感が感じられる場合がある。
【0020】
本発明の唇用下地料では、上記の各種油性成分の内、固形乃至半固形油性成分の1種以上を配合していることが好ましい。固形乃至半固形油性成分の具体的な例としては、例えばワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー等の炭化水素、ラノリン、還元ラノリン、キャンデリラロウ、カルナバロウ等のロウ、オレイン酸フィトステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、イソステアリン酸フィトステリル等のエステル等が挙げられる。
【0021】
本発明の唇用下地料では、前記のエステル油、炭化水素油、高級アルコール、植物油、動物油から選ばれる常温で液体の油性成分の1種、2種以上の配合量、または(C)成分としての上記油性成分の配合量としては、唇用下地料の総量に対して1〜90質量%、より好ましくは20〜75質量%の範囲にあることが好ましい。
【0023】
本発明では、上記の各成分と共に平均粒子径1〜50μmの板状粉体を配合する。板状であるか否かの確認は電子顕微鏡観察により実施できる。平均粒子径が1〜50μmの範囲の板状粉体を配合することによってシリコーンエラストマーが塗布時によれるのを防止し、かつ光を適度に散乱させることで、本発明の唇用下地化粧料の上に塗布する唇用化粧料の色調(彩度)を向上させる効果がある。板状粉体の例としては、例えばタルク、マイカ、セリサイト、カオリン、窒化ホウ素、板状硫酸バリウム、板状無水ケイ酸、板状酸化チタン、板状酸化亜鉛、N−ラウロイル−L−リジン、金属石鹸顔料、パール剤、板状酸化鉄、フッ素金雲母、スメクタイト等が挙げられるが、特に光学的に唇の皺の隠蔽に寄与できる割合が高い板状硫酸バリウムを本発明では用いる。板状粉体は、事前にシリコーンエラストマーと共に混練または粉砕しても、後から添加しても構わない。
【0024】
本発明で用いる板状粉体は、親水性または撥水性の表面処理が行われた表面処理粉体を用いることが好ましい。親水性の表面処理としては、例えばデオキシリボ核酸およびその塩等の酸性ムコ多糖類を被覆したもの、アルギン酸およびその塩、寒天、カラギーナン、ジェランガム等の粘剤を被覆したものなどが挙げられる。親水性表面処理の量としては、板状粉体の総質量に対して、0.5〜15質量%の範囲で被覆処理されていることが好ましい。撥水性の表面処理としては、例えばN−ラウロイル−L−リジン、油剤、ワックス、脂肪酸、金属石鹸、オルガノポリシロキサン、シリコーン樹脂、フッ素化合物等による表面処理が挙げられるが特にN−ラウロイル−L−リジンによる表面処理が好ましい。撥水性表面処理の量としては、板状粉体の総量に対して0.3〜30質量%の範囲で被覆処理されていることが好ましい。
【0025】
本発明の唇用下地料における板状粉体の配合量としては、唇用下地料の総量に対して、0.1〜40質量%の範囲にあることが好ましい。
【0026】
本発明の唇用下地料では上記の各成分以外に、従来唇用化粧料に使用されてきた各種の成分を適宜配合することが可能である。例えば、本発明の必須成分以外の粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤(有機系、無機系を含む。UV−A、Bのいずれに対応していても構わない)、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤等の成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0027】
本発明の唇用下地料で適宜用いることができる紫外線吸収剤の例としては、例えばパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、グリセリルPABA、サリチル酸ホモメンチル、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン、4−イソプロピル ジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸 2−エチルヘキシルや、これらの高分子誘導体、シラン誘導体等が挙げられる。これらの有機系紫外線吸収剤の内、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンが特に好ましく用いられる。
【0028】
本発明の唇用下地料で適宜用いられる粉体、着色料の例としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、棒状、針状、不定形状、紡錘状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができ、例えば無機粉体、有機粉体、有色顔料、金属粉末顔料、天然色素等があげられ、具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ボロン、シリカ等;有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末等;有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等;微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム、微粒子二酸化ケイ素等の微粒子粉体;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等;タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、青色1号、青色2号、青色201号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等から選ばれる粉体で、これらの粉体も前記同様に本発明の効果を妨げない範囲で、粉体の複合化や一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができる。例えば、フッ素化合物処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理などによって事前に表面処理されていてもいなくてもかまわないし、必要に応じて1種、または2種以上の表面処理を併用することができる。本発明ではこれらの粉体の1種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
本発明の唇用下地料では生理活性成分を配合することが好ましいが、生理活性成分としては、例えば、抗炎症剤、老化防止剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。その中でも、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分等を特に好ましい。これらの成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0030】
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜等の生体高分子、グリシン、ヴァリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等のアミノ酸、エストラジオール、エテニルエストラジオールなどのホルモン、アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ等の保湿成分、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン、アラントイン、トラネキサム酸、アズレン等の抗炎症剤、ビタミンA,B2,B6,C,D,E,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等の抗酸化剤、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸等の細胞賦活剤、γ−オリザノール、ビタミンE誘導体等の血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、セファランチン、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、l−メントール、カンフル等の清涼剤等が挙げられる。
【0031】
本発明では、上記の各成分をローラーミル、ヘンシェルミキサー、混練押し出し機などの混合機を用いて混合した後、容器に充填して唇用下地料を得る。本発明では、唇用下地料を使用した後に口紅、リップクリームまたはリップグロスを使用することが好ましい。組み合わせて使用することで、口紅等の色が鮮やかになり、持続性が向上するなどの特徴が得られる。またこの際、この唇用下地料と口紅、リップクリームまたはリップグロスを同一セット容器に収納した形態の組み合わせ化粧料とすることで、消費者に唇用下地料の効果をより実感させやすい売り方が可能である。上記のセット容器としては、例えば箱形式の包装容器、ブリスター容器等が挙げられる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明を更に詳細に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。処方の配合量は質量%で示す。以下の実施例、比較例の唇用下地料の上に用いた口紅、リップグロス及びリップクリームの処方は表1〜表3に示した通りのものである。
【0033】
[口紅の処方]
【表1】
【0034】
製造方法
成分1〜16を均一に溶解・混合し、成分17〜19を加え、均一に分散、混練後、成分20〜21を加え、均一に分散、脱気後、冷却成型し、容器に装てんして口紅を得た。
【0035】
[リップグロスの処方]
【表2】
【0036】
製造方法
成分1〜7を均一に混合・溶解後、成分8〜10を加え均一に分散・混練後、成分11〜12を加え均一に分散、脱気後ボトル容器に充填してリップグロスを得た。
【0037】
[リップクリーム]
【表3】
【0038】
製造方法
成分1〜10を均一に混合・溶解後・脱気後、容器に流し込み、冷却固化してリップクリームを得た。
【0039】
下記表4に示す処方の唇用下地料を調製し、その唇用下地料の小じわ隠蔽効果を、さらにその上に口紅、リップグロスあるいはリップクリームを塗布したときの発色性、仕上り(均一性)、2時間経過後のモイスチャー感、化粧持続性について専門パネラー20名により下記評価基準で官能評価を行った。その結果を表4に併せて示す。尚、実施例中のシリコーンエラストマーとしては、東レ・ダウコーニング・シリコーン社のトレフィルE−508(ジメチルポリシロキサン含有)を使用した。また、板状粉体である、板状硫酸バリウムは平均粒子径が7.5μmのものを用い、N−ラウロイル−L−リジンは味の素製アミホープLL(平均粒子径12μm)を用い、マイカは平均粒子径が30μmのものを用いた。
【0040】
【0041】
【表4】
【0043】
実施例2の製造方法
シリコーンエラストマーと液状エステル油であるトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンとイソノナン酸イソトリデシルと液状の炭化水素油であるスクワランを混練押し出し機(2軸エクストルーダー)に投入し、混練されたペースト状物を得た。ペースト状物と粉体を除く残りの成分を混合した後、板状粉体(板状硫酸バリウム)を加えてローラーミルにて粉砕混合し、容器に充填して製品を得た。
【0045】
比較例1の製造方法(シリコーンエラストマーの粉砕または混練をしない場合)
均一に溶解した油性成分とシリコーンエラストマーをプロペラかくはん機を用いて混合し、容器に充填して製品を得た。
【0046】
比較例2の製造方法(シリコーンエラストマーとシリコーン油を混練したペースト状物を配合した場合)
シリコーンエラストマーとシリコーン油であるメチルポリシロキサンを混練押し出し機(2軸エクストルーダー)に投入し、混練されたペースト状物を得た。ペースト状物と粉体を除く残りの成分を混合した後、板状粉体を加えてローラーミルにて粉砕混合し、容器に充填して製品を得た。
【0047】
比較例3の製造方法(板状粉体を配合しない場合)
シリコーンエラストマーと液状エステル油であるトリ(カプリル・カプリン酸)グリセリンを混練押し出し機(2軸エクストルーダー)に投入し、混練されたペースト状物を得た。ペースト状物と残りの成分を混合した後、ローラーミルにて粉砕混合し、容器に充填して製品を得た。
【0048】
表4の結果から明らかなように、本発明の実施例は比較例と比べて全体として優れた性能を有していることが判った。また、リップクリームを使用した場合も同様な効果が得られた。
【0049】
【発明の効果】
以上のことから、本発明は、小じわ隠蔽効果を有し、さらにその上に口紅、リップグロスあるいはリップクリームを塗布したときに発色が良くなり、仕上り(均一性)、モイスチャー感、化粧持続性を向上させることができる唇用下地料およびその化粧方法を提供することは明らかである。
Claims (4)
- (A)一次粒子径0.1〜20μmの範囲にある球状粉末の凝集体からなるシリコーンエラストマー(A1)と、エステル油、炭化水素油、高級アルコール、植物油、動物油からなる群から選ばれる常温で液体の油性成分の1種、または2種以上(A2)とを、(A1)、(A2)の質量比率が、(A1):(A2)=1:10〜7:3の範囲で混練または粉砕して得られるペースト状物と、(B)平均粒子径1〜50μmの板状粉体に相当する板状硫酸バリウムと、(C)油性成分とを含有し、シリコーン油の配合量が唇用下地料の総量に対して20質量%以下であることを特徴とする唇用下地料。
- シリコーンエラストマーがジメチルポリシロキサンを含有しているものであることを特徴とする請求項1に記載の唇用下地料。
- 請求項1〜2のいずれか1項に記載の唇用下地料を使用した後、口紅、リップグロスあるいはリップクリームを使用することを特徴とする唇の化粧方法。
- 請求項1〜2のいずれか1項に記載の唇用下地料と、口紅、リップグロスあるいはリップクリームが同一のセット容器に収納されていることを特徴とする組み合わせ化粧料。
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