JP3615908B2 - 蒸気タービンスケール除去装置及び除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は蒸気タービン、特に地熱タービンに適用され、タービンの第1段ノズルに付着するスケールの除去装置及び除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地熱発電においては地下からの蒸気を地熱タービンに導き、タービンを駆動して発電を行うが、地熱からの蒸気には地熱抗井特有の化学物質が含まれており、この地熱飽和蒸気がタービンの第1段目ノズル上で乾くことにより蒸気中に含まれる不純物が凝縮し、スケールとなって付着する。このようなスケールがノズルに付着すると、いずれはノズルを閉塞させ、エロージョンも生ずるので所定の時間運転後にはスケール除去を行なう必要がある。
【0003】
図2は従来の地熱タービンの配管系の概念図であり、タービン20には地熱蒸気を導く主蒸気管21と循環水管22とがあり、上記のスケール除去については、これらの配管系に特別なスケール除去手段は施されていないため、タービンを開放し、人手により1段目ノズル等に付着したスケールを除去していた。そのためにタービンの運転を停止し、スケール除去作業をせざるを得なかった。又、スケールの付着量も明確に監視する装置もないため、スケール除去のための注水量もどの程度主蒸気管21へ注入して良いか不明であり、そのための特別な注水手段もないのが現状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように従来の地熱タービンにおいては、スケールを除去する際にはタービンを停止させて開放し、人手により作業を行っており、又、スケール除去のために営業運転中に主蒸気管へ注水を行うための特別な手段も備えておらず、注水監視のための装置もなく、注水量が明確に定まらないために、このような注水ができなかった。従ってタービン内エロージョン量の判定もできず適宜、運転を停止し、タービン開放し、スケール付着状況を確認してスケール除去を行なわざるを得なかった。
【0005】
そこで本発明は、蒸気タービンのスケール除去を、従来のようにタービンを停止して開放し、人手により作業を行うようなことをせずに、タービンの主蒸気管に注水することによりタービンを開放せずに実施することのできるスケール除去装置及び除去方法を提供することを課題としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の課題を解決するために次の(1)乃至(4)の手段を提供する。
【0007】
(1)循環水系から循環水の一部を抽出し、主蒸気系へ注入する手段と、注入水余剰分を循環水系に戻すバイパスラインと、注入した水の循環水系への逆流防止手段とを設けたことを特徴とする蒸気タービンスケール除去装置。
【0008】
(2)上記(1)の装置において、循環水系から抽出された循環水の主蒸気系へ注入する流量、圧力、温度を計測する手段と、同抽出された循環水の所定量を主蒸気系へ注入する手段とを備えたことを特徴とする蒸気タービンスケール除去装置。
【0009】
(3)蒸気タービンの運転中に、循環水系から循環水の一部を抽出し、同抽出した循環水を、主蒸気流量に対して所定の流量比となるように主蒸気系に注入すると共に、主蒸気系からの蒸気の逆流の有無を温度の上昇により監視するようにしたことを特徴とする蒸気タービンスケール除去方法。
【0010】
(4)上記(3)の方法において、前記主蒸気系へ注入する循環水は、あらかじめ得られた蒸気タービンにおける運転データのノズル閉塞率に基づいて、所定のノズル閉塞率になると開始し、所定の時間継続するように注入又は注入停止が制御されることを特徴とする蒸気タービンスケール除去方法。
【0011】
本発明の(1)においては循環水系の循環水の一部が抽出され、主蒸気系へ注入されると共に、注入水余剰分は循環水系に戻され、注入した水の循環水系への逆流が防止されるので、タービンの蒸気比重量が高まり、蒸気中の水滴がタービンの第1段目ノズル等に付着したスケールに衝突し、これを取除くことができ、又本発明の(2)においては、更に、抽出した循環水の主蒸気系へ注入する流量、圧力、温度を計測する手段と循環水の所定量を主蒸気系へ注入する手段を有するので、適正な流量の循環水を供給し、効率良くスケールを除去することができる。これら循環水の抽出手段としてはバルブとポンプ、主蒸気系への注入手段としては注入水量調節弁が用いられる。
【0012】
本発明の(3)においては、上記装置を用いたスケールの除去方法であり、主蒸気の流量に対して適正な流量の循環水を抽出し、注入するのでスケールを効率良く除去することができると共に、主蒸気系からの蒸気の逆流の有無を温度の上昇により監視することができる。特に、本発明の(4)においては、更に、ノズル閉塞率(第一段ノズル入口圧力/タービン呑込蒸気流量)は、日常の運転データにて判断できるため、この運転データからスケールが形成され、ノズル閉塞率が20%前後となる時に主蒸気管に注水して蒸気比重量を高め、この蒸気によりスケールが除去される。
【0013】
上記(1),(2)の装置及び(3),(4)の方法によれば、主蒸気に水を注入するとその水滴がタービンの第1段目のノズル等に付着したスケールに衝突してスケールを落とす。また、水滴によりノズル上で蒸気が乾く事を抑制することによりスケール付着を抑制できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の蒸気タービンスケール除去装置の系統図である。図において20は地熱等の蒸気で作動するタービン、21は主蒸気管、22は循環水管であり、図2に示す従来例と同じ構成である。本発明は主蒸気管21と循環水管22との間に、循環水の一部を抽出し、主蒸気管21に流入させる抽出、注入手段を設けたものであり、以下に具体的に説明する。
【0015】
図1において、1,2はストップバルブであり、3は逆止弁であり、これら1〜3は注入水の流れを制御する。4は注入水量調節弁であり主蒸気管21への注入水量を調節する。5はオリフィスで注入する水圧を設定するもの、6はポンプ、7は差圧トランスミッタで、オリフィス5の前後の差圧を検出する。8は圧力トランスミッタで、注入する水の圧力を計測する。9は温度計であり、同じく注入する水の温度を計測するものである。
【0016】
上記構成の抽出手段としてはストップバルブ1、逆止弁3、ポンプ6が用いられ、循環水管22からの循環水の一部はストップバルブ1を通り、ポンプ6により注出され、注入水余剰分はバイパスライン11により逆止弁3とストップバルブ1を経由して循環水管へ戻り、注入水は逆止弁3を通りオリフィス5へと流れる。
【0017】
オリフィス5へ流れた循環水はオリフィス5前後の圧差を圧力計測用ストップバルブ2を介して接続された差圧トランスミッタ7にて検出される。検出した差圧の信号は図示省略のレコーダに入力される。
【0018】
循環水はその後、注入手段で主蒸気系へ注入されるが、注入手段としてはオリフィス5に接続した流入水量調節弁4が用いられ、循環水は注入水量調節弁4で適正な流入量に調節されて主蒸気管21へ注入される。注入水は主蒸気流の1〜2%程度注入し、ノズル閉塞率(第1段ノズル入口圧力/タービン呑込蒸気流量)が2〜3%になるまで数十時間連続注入する。
【0019】
注入水圧力計測用に圧力トランスミッタ8を設け、その出力をレコーダ(図示なし)に送り、記録する。更に、主蒸気管21からの高温の蒸気が逆流した場合に、その逆流を発見できるよう温度計9も設置し、その出力を同じく図示省略のレコーダに入力する。
【0020】
レコーダに入力された差圧トランスミッタ7、圧力トランスミッタ8、温度計9の各信号はそれぞれレコーダに記録され、それぞれ注入水の流量、圧力を監視し、又、温度の上昇により主蒸気管からの逆流の有無も監視され、正常な注水が所定時間行なわれ、スケールが除去されるように監視することができる。
【0021】
上記に説明の実施の形態によれば、循環水注入用のポンプ6を設け、圧力を高めると共に循環水戻りバイパスライン11を設け、一定期間ポンプ6を稼動可能として循環水管22より循環水の一部を抽出する。又逆止弁3を設置し、注入した水の循環水管22への逆流を防止する様にする。
【0022】
又、主蒸気管21からの蒸気の逆流状態が発見できる様に温度計9を、注入水圧力計測用に圧力トランスミッタ8を、更に流量計測用にオリフィス5、差圧トランスミッタ7をそれぞれ設置し、これらの検出信号をレコーダに入力し、監視に供することができる。
【0023】
更に、主蒸気管21への注入水入口には注入水量調節弁4を設け、注入水量の調節を行い、蒸気比重量を調整することができる。
【0024】
上記の特徴を有する実施の形態のスケール除去装置において、ノズル閉塞率(第1段ノズル入口圧力/タービン呑込蒸気流量)は日常の運転データで判断でき、スケールが形成されてノズル閉塞率が20%前後となる時期がこれら運転データよりわかる。このような時期に主蒸気管21に注水し、蒸気比重量を高めると、この蒸気によりスケールが除去される。
【0025】
即ち、水を注入すると、その水滴がノズルに付着したスケールに衝突してスケールを落すことができる。更に、この水滴によりノズル上で蒸気が乾くことが防止され、スケールの付着を抑制することができる。
【0026】
なお、本実施の形態では地熱蒸気で作動する地熱タービンのスケール除去装置として説明したが、本発明は地熱の蒸気のみならず火力による地熱タービンにも適用されることはもちろんである。
【0027】
【発明の効果】
本発明の(1)のスケール除去装置は、循環水系から循環水の一部を抽出し、主蒸気系へ注入する手段と、注入水余剰分を循環水系に戻すバイパスラインと、注入した水の循環水系への逆流防止手段とを設けたことを特徴とし、又(2)は上記(1)において、循環水系から抽出された循環水の主蒸気系へ注入する流量、圧力、温度を計測する手段と、同抽出された循環水の所定量を主蒸気系へ注入する手段とを備えたことを特徴としている。このようなスケール除去装置により、循環水の一部が主蒸気系へ注入され、タービンを開放することなく運転中においてもスケールを除去することができる。
【0028】
本発明の(3)のスケール除去方法は、蒸気タービンの運転中に、循環水系から循環水の一部を抽出し、同抽出した循環水を、主蒸気流量に対して所定の流量比となるように主蒸気系に注入すると共に、主蒸気系からの蒸気の逆流の有無を温度の上昇により監視するようにしたことを特徴としている。又、(4)の方法は、上記(3)において、前記主蒸気系へ注入する循環水は、あらかじめ得られた蒸気タービンにおける運転データのノズル閉塞率に基づいて、所定のノズル開閉率になると開始し、所定の時間継続するように注入又は注入停止が制御されることを特徴としている。このようなスケール除去方法では上記(1),(2)の装置を用いてタービンを開放することなく運転中においてもスケール除去を行うことができる。
【0029】
上記(1),(2)のスケール除去装置及び(3),(4)のスケール除去方法により、従来、ユニット停止状態でのタービン開放時に実施していた人手によるタービンスケールの除去作業が軽減される。本発明を営業運転中に実施した結果、主蒸気流量の2%までの注入水は特にタービンの運転に問題なかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る地熱タービンスケール除去装置の系統図である。
【図2】従来の地熱タービンの配管系の概念図である。
【符号の説明】
1,2 ストップバルブ
3 逆止弁
4 注入水量調節弁
5 オリフィス
6 ポンプ
7 圧差トランスミッタ
8 圧力トランスミッタ
9 温度計
11 バイパスライン
20 タービン
21 主蒸気管
22 循環水管
Claims (4)
- 循環水系から循環水の一部を抽出し、主蒸気系へ注入する手段と、注入水余剰分を循環水系に戻すバイパスラインと、注入した水の循環水系への逆流防止手段とを設けたことを特徴とする蒸気タービンスケール除去装置。
- 循環水系から抽出された循環水の主蒸気系へ注入する流量、圧力、温度を計測する手段と、同抽出された循環水の所定量を主蒸気系へ注入する手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の蒸気タービンスケール除去装置。
- 蒸気タービンの運転中に、循環水系から循環水の一部を抽出し、同抽出した循環水を、主蒸気流量に対して所定の流量比となるように主蒸気系に注入すると共に、主蒸気系からの蒸気の逆流の有無を温度の上昇により監視するようにしたことを特徴とする蒸気タービンスケール除去方法。
- 前記主蒸気系へ注入する循環水は、あらかじめ得られた蒸気タービンにおける運転データのノズル閉塞率に基づいて、所定のノズル開閉率になると開始し、所定の時間継続するように注入又は注入停止が制御されることを特徴とする請求項3記載の蒸気タービンスケール除去方法。
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JP16406997A JP3615908B2 (ja) | 1997-06-20 | 1997-06-20 | 蒸気タービンスケール除去装置及び除去方法 |
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1997
- 1997-06-20 JP JP16406997A patent/JP3615908B2/ja not_active Expired - Lifetime
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