JP3615898B2 - 真空処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理物の真空処理を実施するための複数の真空処理室を備えた真空処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造工程、液晶表示パネル製造工程、或いは光ディスク製造工程等の各種の工程において、シリコンウエハ等の被処理物の表面処理を行うために真空処理装置が使用されている。この真空処理装置は、真空空間内に配置された被処理物に対してスパッタリング、エッチング、ベーキング、或いはアッシング等の処理を行って、被処理物の表面に薄膜を形成したり、被処理物表面に形成された薄膜に微細加工を施したりするための装置である。
【0003】
また、真空処理装置においては、被処理物の表面処理の面内均一性を高めるために、被処理物を回転させながら処理を行う形式が採用されている。そして、この形式の真空処理装置の場合、被処理物を回転させるための駆動源を大気側に設置し、エラストマーガスケット、磁性流体等で真空シールされた回転導入軸を介して、駆動源の駆動力を大気側から真空槽内(真空側)に伝達するようにしている。そして、真空側に伝達された駆動力によって、被処理物を保持した回転保持台を回転させ、回転保持台と共に被処理物を回転させることによって処理の面内均一性を向上させる。
【0004】
図12は、駆動源の駆動力を大気側から真空側に伝達するため機構の一例を示しており、図12に示したように、真空容器の壁70の大気側の面に磁気シール71が設けられており、この磁気シール71を介してモータ72の駆動力が真空側の回転導入軸73に伝達されるようになっている。
【0005】
図13は、駆動源の駆動力を大気側から真空側に伝達するための機構の他の例を示しており、図13に示したように、真空容器の壁70を貫通するようにして回転導入軸74が設けられており、この回転導入軸74の貫通部はOリング75によって気密にシールされている。そして、回転導入軸74の大気側の端部はモータ(図示せず)に接続されており、この大気側のモータの駆動力が回転導入軸74を介して真空側に伝達される。
【0006】
また、真空処理装置として、真空槽内に複数の処理室を備え、これら複数の処理室に被処理物を順次シーケンシャルに移送して被処理物の表面処理を行うものが提案されている。このように被処理物を真空槽内で自動搬送するタイプの真空処理装置の場合には、図13に示した伝達機構を各処理室毎に各々配置し、さらに、図14に示した伝導継ぎ手76、77の一方の継ぎ手77を回転導入軸74の真空側の端部に接続し、また、被処理物の回転保持台には他方の継ぎ手76を接続する。そして、被処理物を各処理室の位置に移送した後、図14に示した伝導継ぎ手76、77を接続し、大気側の駆動源(モータ)の駆動力を真空側に伝達する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したように従来の真空処理装置においては、大気側に駆動源を設置し、この駆動源の駆動力を真空シールを介して真空側に伝達するように構成されているので、真空シール部における摩擦力等によって駆動力が減衰されてしまう。このため、真空側において所定の駆動力を得るためには、摩擦力等による減衰を考慮して、駆動源において大きな駆動力を発生させる必要があり、駆動源の大型化、消費電力の増大等の不都合を招いていた。
【0008】
また、従来の真空処理装置においては、回転部材である回転導入軸を真空シールする必要があるために、シール機構が複雑になり、しかも、シール部において真空漏れが発生しやすいという問題があり、さらに、シール用のエラストマーからガスが放出されて真空度を低下させるという問題があった。
【0009】
さらに、複数の処理室を備えた真空処理装置の場合には、伝導継ぎ手のような複雑な機構がさらに必要となるばかりでなく、伝導継ぎ手を円滑に接続することが必ずしも容易ではなかった。
【0010】
本発明は、上述した種々の問題点に鑑みて成されたものであり、被処理物を回転駆動するための構造を簡素化することができ、また、駆動源の消費電力の低減を図ることができる真空処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明による真空処理装置は、内部を真空排気可能な真空搬送室と、前記真空搬送室の外周に隣接して配置された複数の真空処理室と、前記各真空処理室の前記真空搬送室に面した側に形成された各開口部と、前記真空搬送室の内部に設けられ、前記開口部を閉塞可能な可動蓋と、前記可動蓋に回転可能に設けられ、被処理物を保持するための保持手段と、前記可動蓋に設けられ、前記保持手段を回転駆動するための駆動源と、前記可動蓋に設けられ、前記駆動源に接続された可動蓋側電気接点と、前記真空処理室の前記真空搬送室に面した側に設けられ、電源に接続された処理室側電気接点と、を備え、前記可動蓋が前記開口部を閉塞したときに、前記可動蓋側電気接点と前記処理室側電気接点とが接触し、前記電源から前記駆動源に給電できることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明による真空処理装置は、前記可動蓋に設けられ、前記被処理物の回転状態を検出するための回転検出器と、前記可動蓋に設けられ、前記回転検出器に接続された可動蓋側電気接点と、前記真空処理室の前記真空搬送室に面した側に設けられ、前記真空処理装置の制御部に接続された処理室側電気接点と、をさらに備え、前記可動蓋が前記開口部を閉塞したときに、前記可動蓋側電気接点と前記処理室側電気接点とが接触し、前記回転検出器から前記制御部に検出信号を伝送できることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明による真空処理装置は、前記回転検出器は、前記保持手段に対して光を発するように配置されたフォトインタラプタを有し、前記保持手段の受光部分に、光の反射状態の異なる複数の箇所を交互に形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明による真空処理装置は、前記光の反射状態の異なる複数の箇所は、前記保持手段の受光部分に交互に形成された平坦部及び凹部であることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明による真空処理装置は、前記可動蓋側電気接点は、前記処理室側電気接点に押し付けられた際に、その押し付け方向と反対の方向に変位し得ることを特徴とする。
【0016】
請求項6記載の発明による真空処理装置は、前記可動蓋側電気接点は、板バネ部材によって形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項7記載の発明による真空処理装置は、前記可動蓋側電気接点は、スプリングによって軸方向に付勢されたピン部材によって形成されていることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態による真空処理装置について図1乃至図10を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施形態による真空処理装置の平面図であり、平面形状がほぼ八角形のハウジング10の内側には、内部を真空排気可能な真空搬送室3が形成されている。この真空搬送室3の一辺には、真空搬送室3の内部に被処理物Wを搬入し又は搬出するためのロードロック室1が形成され、残りの7辺には7個の真空処理室2A、2B…2Gが等角度間隔で配置形成されている。そして、これらの真空処理室2A、2B…2Gの内部で、被処理物Wに対してスパッタリング、エッチング、ベーキング、或いはアッシング等の真空処理が実施される。
【0020】
ロードロック室1及び真空処理室2A、2B…2Gの真空搬送室3に面する側には、被処理物Wを出し入れするための同形同大の開口部1a、2aがそれぞれ形成されている。また、各真空処理室2には、ターボ分子ポンプ12(図2参照)が接続されて内部を真空排気できると共に、所定の真空処理を行うための加工装置14A、14B…14Gが設置されている。
【0021】
真空搬送室3の底部には、環状の回転テーブル15が回転可能に配置され、この回転テーブル15の外周には大歯車18が形成されている。この大歯車18には駆動小歯車19が噛み合っている。
【0022】
回転テーブル15の上面には8台のバルブ機構25が回転テーブル15の円周方向に沿って配設されており、これらのバルブ機構25はロードロック室1と7個の真空処理室2A、2B…2Gに対応するように配置されている。各バルブ機構25は、ロードロック室1及び真空処理室2A、2B…2Gのそれぞれの開口部1a、2aを閉塞可能なバルブ円板(可動蓋)26と、このバルブ円板26を開閉駆動するバルブ開閉機構27とを備えている。
【0023】
各バルブ円板26は、ロードロック室1及び真空処理室2A、2B…2Gの各開口部1a、2aを閉塞したときにロードロック室1及び真空処理室2A、2B…2Gの内部に面する内面26aを有し、この内面26aには、被処理物Wを保持するための保持手段である4個のディスクホルダ28が回転(自転)可能に設けられている。
【0024】
また、ロードロック室1の搬入側には、被処理物Wをロードロック室1内に搬入するための搬送装置29が設けられており、この搬送装置29によって、ロードロック室1の内部に4枚一組で被処理物Wが搬入され又は搬出される。
【0025】
図2及び図3は、バルブ円板26によって真空処理室2Aを閉塞した状態を示した側面図及び正面図である。図2及び図3に示したように、バルブ円板26の内面26aの下部には可動蓋側電気接続部30が取り付けられている。また、真空処理室2Aの真空搬送室3に面した側には、可動蓋側電気接続部30に対向する位置に処理室側電気接続部31が取り付けられている。
【0026】
これらの可動蓋側及び処理室側電気接続部30、31は、被処理物Wの処理中に膜付着等の汚損を受けないようにリフレクター36によって保護されている。また、処理室側電気接続部31は、電源32及び真空処理装置の制御部33に電気的に接続されている。
【0027】
そして、図2及び図3から分かるように、バルブ円板26が真空処理室2Aの開口部2aを閉塞した状態においては、可動蓋側電気接続部30と処理室側電気接続部31とが接触して電気的に接続されている。
【0028】
なお、図2及び図3は、真空処理室2A及び1つのバルブ円板26を例示して示したものであり、他の真空処理室2B、2C…2G及び他のバルブ円板26、26…26についても同様に、可動蓋側電気接続部30及び処理室側電気接続部31がそれぞれ取り付けられている。
【0029】
図4及び図5は、バルブ円板26の側面図及び正面図を示しており、図4及び図5から分かるように、ディスクホルダ28は、インナーマスク40及びアウターマスク41を備えている。また、バルブ円板26にはディスクホルダ28を回転駆動するための駆動源である真空モータ34が設けられており、この真空モータ34の回転軸35にディスクホルダ28が取り付けられている。そして、真空モータ34を駆動してその回転軸35を回転させることによって、ディスクホルダ28を被処理物Wと共に回転させることができる。
【0030】
また、図4に示したように、バルブ円板26の内面26aには、真空モータ34の回転軸35の傍らに、反射型フォトインタラプタを極めて小さなプリント板上に実装して構成された回転検出器60が設けられている。図6は、図4の6−6線に沿った断面図であり、図6から分かるように回転軸35には複数の凹部53が周方向に所定間隔で形成されている。すなわち、回転軸35の受光部分には、凹部53と平坦部54とが交互に形成されている。
【0031】
図7は、回転検出器60の具体的構成を示しており、図7に示したように、回転検出器60は、プリント板61に反射型フォトインタラプタ62を実装して構成されている。また、図8はフォトインタラプタ62の回路図を示している。図8から分かるようにこのフォトインタラプタ62は、発光ダイオード65及び受光素子(フォトトランジスタ)66を備えており、発光ダイオード65からの光を物体(回転軸35)に反射させ、この反射した光を受光素子66で受けるようにしたものである。
【0032】
図5に示したように可動蓋側電気接続部30は3つの可動蓋側電気接点30a、30b、30cを備えており、これらの可動蓋側電気接点30a、30b、30cは真空モータ34、回転検出器60に電線を介して接続されている。なお、接続用の電線と可動蓋側電気接点30a、30b、30cとの間は、圧着端子をねじ止めして接続されている。なお、圧着端子に代えてコネクタで連結することもできる。
【0033】
図9は、接触状態にある可動蓋側電気接続部30及び処理室側電気接続部31を示しており、図9から分かるように、可動蓋側電気接続部30の可動蓋側電気接点30a(30b、30c)は板バネ部材で形成されている。この板バネ部材は、その全体を金属材料で形成することもできるし、或いは、表面に導電性材料をコーティングした弾性材料で形成することもできる。
【0034】
各可動蓋側電気接点30a(30b、30c)には各電線38a(38b、38c)がそれぞれ接続されており、これらの電線38a(38b、38c)は真空モータ34及び回転検出器60(図4参照)に接続されている。
【0035】
図10は処理室側電気接続部31の正面図であり、図10に示したように処理室側電気接続部31は、プリント板(絶縁板)37の表面に金メッキを施して3つの処理室側電気接点(平板電極)31a、31b、31cを形成することによって構成されている。そして、図9に示した接触状態においては、可動蓋側電気接続部30の3つの可動蓋側電気接点30a、30b、30cと処理室側電気接続部31の3つの処理室側電気接点31a、31b、31cとがそれぞれ接触状態となる。
【0036】
図9に示したように、各処理室側電気接点31a(31b、31c)には各電線39a(39b、39c)がそれぞれ接続されており、これらの電線39a(39b、39c)は電源32及び制御部33(図2参照)に接続されている。
【0037】
次に、本実施形態による真空処理装置の作用について説明する。
【0038】
まず、搬送装置29によってロードロック室1内に4枚一組で被処理物Wを搬入し、ロードロック室1の内部を真空排気した後、ロードロック室1の開口部1aを閉塞しているバルブ円板26の各ディスクホルダ28に各被処理物Wを受け渡す。
【0039】
次に、バルブ円板26をバルブ開閉機構27によって開方向に駆動し、しかる後、駆動小歯車19を駆動して回転テーブル15を所定量だけ回転させ、4枚の被処理物Wを保持したバルブ円板26を例えば真空処理室2Aの位置まで移送する。
【0040】
次に、バルブ円板26をバルブ開閉機構27によって閉方向に駆動し、真空処理室2Aの開口部2aをバルブ円板26によって閉塞する。すると、図9及び図10に示したように、可動蓋側電気接点30a、30b、30cと処理室側電気接点31a、31b、31cとが接触して電気的に接続される。このとき、可動蓋側電気接点30a、30b、30cはバネ部材で形成されているので、処理室側電気接続部31に押し付けられた際に、その押し付け方向と反対の方向に変位することができ、これによって無理なく確実に良好な接触状態が達成される。
【0041】
上記の如く、被処理物Wが真空処理室2A内に搬入されると同時に、可動蓋側電気接続部30と処理室側電気接続部31とが接続され、両電気接点30、31を介して電源32(図2参照)から真空モータ34に電力が供給される。すると、真空モータ34が駆動されて回転軸35が回転し、ディスクホルダ28と共に被処理物Wが回転する。
【0042】
ここで、処理室側電気接続部31に対する電源32からの電力の供給は、可動蓋側電気接続部30と処理室側電気接続部31との接続が行われた後に制御部33から信号を出して給電を開始することもできるし、或いは、処理室側電気接続部31に常時給電しておいて、両電気接点30、31の接続と同時に真空モータ34に電力が供給されるようにすることもできる。
【0043】
被処理物Wの回転状態は回転検出器60(図4参照)によって検出され、その検出信号は両電気接点30、31を介して制御部33(図2参照)に伝送される。制御部33は、被処理物Wの回転状態が所望の値で安定したことを確認した後、加工装置14Aに起動信号を送って所定の真空処理を開始させる。
【0044】
ここで、回転検出器60による回転状態の検出は以下のようにして行われる。すなわち、図6に示したように真空モータ34の回転軸35には複数の凹部53が周方向に所定間隔で形成されているので、回転検出器60の反射型フォトインタラプタ62(図8参照)によって検出される信号は回転軸35の回転に応じて変化する。具体的には、凹部53と回転検出器60との相対的な位置関係が図6に示した(a)の位置にある場合と(b)の位置にある場合とで回転検出器60の検出信号が変化する。したがって、回転検出器60によって連続的に電気信号を取り出すことによって、この回転検出器60の検出信号の変化から被処理物Wの回転状態を検出することができる。
【0045】
また、被処理物Wの処理中において回転検出器60からの信号が回転異常を示した場合には、制御部33は回転異常を起こした被処理物Wを特定して記憶する。そして、回転異常を起こした不良の被処理物Wは、真空処理装置での処理を終えてロードロック室1から搬出された後に取り除かれる。このようにすれば、不良の被処理物Wに対して、真空処理装置での処理の後に行われる一連の処理を実施せずに済むので、最終製品における歩留まりを向上させることができるばかりでなく、無駄な処理を省略して全体の処理効率を向上させることができる。
【0046】
上記の如く、最初の真空処理室2Aにおいて所定の真空処理を実施した後、バルブ開閉機構27を駆動してバルブ円板26を開放する。このバルブ円板26の開放と同時に、可動蓋側電気接続部30と処理室側電気接続部31との接触状態が解除される。
【0047】
ここで、処理室側電気接続部31に対する電源32からの電力の供給は、バルブ円板26が開放される前に制御部33から信号を出して給電を停止することもできるし、或いは、処理室側電気接続部31に常時給電しておいて、両電気接点30、31の開放と同時に真空モータ34への給電を遮断するようにすることもできる。
【0048】
バルブ円板26を開放したら、回転テーブル15を回転させて次の真空処理室2Bに被処理物Wを移送して、上記と同様の手順によって所定の処理を行い、以後、同様にして他の真空処理室2C、2D…2Gにおいて順次所定の処理を実施する。なお、被処理物Wは、必ずしも真空処理室2Aから2Gまで順次搬送して処理を行う必要はなく、また、必ずしも複数の真空処理室2A、2B…2Gの全てにおいて処理を行う必要もない。要するに、所望の処理を実施できるような処理シーケンスを選択して所定の処理を実施すればよい。
【0049】
上述したように、複数の真空処理室2A、2B…2G間での被処理物Wの移送は、被処理物Wをバルブ円板26に保持させた状態で回転テーブル15を回転させることによって行うことができるので、真空処理室2A、2B…2G内、或いは真空搬送室3内において被処理物Wの受け渡し動作を行う必要がない。したがって、被処理物Wの受け渡しの失敗が無くなると共に、被処理物Wの移送に要する時間が大幅に短縮される。
【0050】
上記の手順によって被処理物Wに一連の真空処理を実施した後、回転テーブル15を駆動して、処理済の被処理物Wを保持したバルブ円板26をロードロック室1の前まで移動させる。次に、バルブ開閉機構27によってバルブ円板26を閉方向に駆動し、被処理物Wをロードロック室1内に搬入し、搬送装置29を駆動して被処理物Wをロードロック室1から搬出する。
【0051】
以上述べたように本実施形態による真空処理装置によれば、被処理物Wの搬送機構を兼ねているバルブ円板(可動蓋)26に真空モータ(駆動源)34を設け、可動蓋側電気接続部30と処理室側電気接続部31とを真空領域中で接続することによって真空モータ34に給電するようにしたので、従来の真空処理装置のように駆動力を伝達するための複雑な機構を設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができ、また、駆動源(真空モータ)の小型化、消費電力の低減を図ることができ、さらに、駆動力を伝達するためのシール部がないので真空漏れを起こすこともない。
【0052】
なお、上記の如く駆動源の消費電力を低減させることによって駆動源からの発熱量が小さくなるので、本実施形態のように駆動源を真空中に配置した場合であっても駆動源の過熱の問題は生じない。また、消費電力が小さいので可動蓋側電気接点30a、30b、30c及び処理室側電気接点31a、31b、31cとして小容量且つ小型のものを使用することができる。
【0053】
また、本実施形態による真空処理装置によれば、バルブ円板26に回転検出器60を設けて処理中の被処理物Wの回転状態を検出し、その検出信号を可動蓋側電気接続部30及び処理室側電気接続部31を介して制御部33に伝送するようにしたので、回転異常による不良の被処理物Wを特定して取り除くことができ、これによって歩留まり及び処理効率を向上させることができる。
【0054】
また、可動蓋側電気接点30a、30b、30cは板バネ部材で形成されているので、可動蓋側電気接続部30と処理室側電気接続部31とを接続する際には、無理なく確実に良好な接触状態が達成される。
【0055】
なお、本実施形態においては、可動蓋側電気接続部30及び処理室側電気接続部31には各3つの電気接点が設けられているが、この設置数は4個以上とすることもできるし、3個未満とすることもできる。
【0056】
変形例
次に、本実施形態の一変形例について図11を参照して説明する。本変形例は、可動蓋側電気接続部30の3つの可動蓋側電気接点30a、30b、30cの構造を変更したものである。
【0057】
図11に示したように本変形例においては、可動蓋側電気接続部30の可動蓋側電気接点30a(30b、30c)は、板バネ部材に代えて、スプリング42によって軸方向に付勢されたピン部材41によって構成されている。このピン部材41は、その全体を金属材料で形成することもできるし、或いは、表面に導電性材料をコーティングした各種部材で形成することもできる。
【0058】
このように、可動蓋側電気接点30a、30b、30cを、スプリング42で付勢されたピン部材41によって形成すれば、可動蓋側電気接続部30と処理室側電気接続部31とを接続する際に無理なく確実に良好な接触状態が達成されるばかりでなく、可動蓋側電気接点30a、30b、30cによって占有される面積が小さくなるので、可動蓋側電気接続部30を小さくすることができ、さらに、可動蓋側電気接点30a、30b、30cの設置数を容易に増やすことができる。
【0059】
【発明の効果】
以上述べたように本発明による真空処理装置によれば、被処理物の保持手段とこの保持手段を回転させる駆動源とを可動蓋に設け、可動蓋側電気接点と処理室側電気接点とを接続することによって駆動源に給電できるようにしたので、従来の真空処理装置のように駆動力を伝達するための複雑な機構を設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができ、また、駆動源の小型化及び消費電力の低減を図ることができ、さらに、駆動力を伝達するためのシール部がないので真空漏れの問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による真空処理装置の概略構成を示した平面図。
【図2】バルブ円板によって真空処理室を閉塞した状態を示した側面図。
【図3】バルブ円板によって真空処理室を閉塞した状態を示した正面図。
【図4】バルブ円板の側面図。
【図5】バルブ円板の正面図。
【図6】図4の6−6線に沿った断面図。
【図7】回転検出器の平面図。
【図8】フォトインタラプタの回路図。
【図9】接触状態にある可動蓋側電気接続部及び処理室側電気接続部を示した側面図。
【図10】処理室側電気接続部31の正面図。
【図11】本発明の実施形態の一変形例の主要部を示した側面図。
【図12】従来の真空処理装置における駆動力伝達機構の一例を示した図。
【図13】従来の真空処理装置における駆動力伝達機構の他の例を示した図。
【図14】従来の真空処理装置における駆動力伝達機構の伝導継ぎ手の一例を示した図。
【符号の説明】
1 ロードロック室
1a ロードロック室の開口部
2A、2B…2G 真空処理室
2a 真空処理室の開口部
3 真空搬送室
14 加工装置
26 バルブ円板(可動蓋)
27 バルブ開閉機構
28 ディスクホルダ(保持手段)
30 可動蓋側電気接続部
30a、30b、30c 可動蓋側電気接点
31 処理室側電気接続部
31a、31b、31c 処理室側電気接点
32 電源
33 制御部
34 真空モータ(駆動源)
60 回転検出器
62 反射型フォトインタラプタ
W 被処理物

Claims (7)

  1. 内部を真空排気可能な真空搬送室と、
    前記真空搬送室の外周に隣接して配置された複数の真空処理室と、
    前記各真空処理室の前記真空搬送室に面した側に形成された各開口部と、
    前記真空搬送室の内部に設けられ、前記開口部を閉塞可能な可動蓋と、
    前記可動蓋に回転可能に設けられ、被処理物を保持するための保持手段と、
    前記可動蓋に設けられ、前記保持手段を回転駆動するための駆動源と、
    前記可動蓋に設けられ、前記駆動源に接続された可動蓋側電気接点と、
    前記真空処理室の前記真空搬送室に面した側に設けられ、電源に接続された処理室側電気接点と、を備え、
    前記可動蓋が前記開口部を閉塞したときに、前記可動蓋側電気接点と前記処理室側電気接点とが接触し、前記電源から前記駆動源に給電できることを特徴とする真空処理装置。
  2. 前記可動蓋に設けられ、前記被処理物の回転状態を検出するための回転検出器と、
    前記可動蓋に設けられ、前記回転検出器に接続された可動蓋側電気接点と、
    前記真空処理室の前記真空搬送室に面した側に設けられ、前記真空処理装置の制御部に接続された処理室側電気接点と、をさらに備え、
    前記可動蓋が前記開口部を閉塞したときに、前記可動蓋側電気接点と前記処理室側電気接点とが接触し、前記回転検出器から前記制御部に検出信号を伝送できることを特徴とする請求項1記載の真空処理装置。
  3. 前記回転検出器は、前記保持手段に対して光を発するように配置されたフォトインタラプタを有し、
    前記保持手段の受光部分に、光の反射状態の異なる複数の箇所を交互に形成したことを特徴とする請求項2記載の真空処理装置。
  4. 前記光の反射状態の異なる複数の箇所は、前記保持手段の受光部分に交互に形成された平坦部及び凹部であることを特徴とする請求項3記載の真空処理装置。
  5. 前記可動蓋側電気接点は、前記処理室側電気接点に押し付けられた際に、その押し付け方向と反対の方向に変位し得ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の真空処理装置。
  6. 前記可動蓋側電気接点は、板バネ部材によって形成されていることを特徴とする請求項5記載の真空処理装置。
  7. 前記可動蓋側電気接点は、スプリングによって軸方向に付勢されたピン部材によって形成されていることを特徴とする請求項5記載の真空処理装置。
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