JP3615535B2 - キーレスエントリ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キーレスエントリ装置に関し、一層詳細には、車体と運転者の携帯用送信機が交信することによりドアロックの解錠を自動的に行うキーレスエントリ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のキーレスエントリ装置として特許文献1に記載のものがある。この装置では、図7に示すように、ドアハンドル2の近傍に設けられたリクエストスイッチ4をキー携帯者が押圧すると、アンテナ6からキー8にリクエスト信号が送信され、キー8からコード信号がアンテナ6に返信される。コントローラ10において前記コード信号が車両固有のコード信号と同一であることが確認されればドアロックアクチュエータ12が駆動されてドアロックが解錠される。
【0003】
このようにキーレスエントリ装置を構成することにとより、キーをキー用シリンダ錠に挿入しなくてもドアロックを解錠できる。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−23667号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなキーレスエントリ装置では、外部にリクエストスイッチ4が露呈しているために、子供等が前記リクエストスイッチ4を押圧してイタズラするおそれがある。しかも、そのようにしてリクエストスイッチ4が押圧されると、その度に車側からリクエスト信号が送信され、車両に搭載されたバッテリが浪費されるという不都合があった。
【0006】
また、前記特許文献1の場合、従来からの機械式キーや、ドアロックを解錠または施錠のための手動式スイッチを備えた周知のトランスミッタ(携帯送信機)を利用者がポケットや鞄から取り出して操作する手間を省くことができるが、リクエストスイッチ4を押す手間まで省くことはできない。したがって、例えば、夜間等の暗い状況下においては、リクエストスイッチ4の位置を正確に認識できないおそれがあり、例えば、ポケットからトランスミッタを取り出してその手動式スイッチを押すだけの操作で解錠するものよりも操作性が低下する問題がある。
【0007】
本発明は、この種の問題を解決するためになされたものであって、イタズラに対する防御性を高めるとともに、解錠の作業性が良好となるキーレスエントリ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、リクエスト信号を発信するリクエスト信号発信手段と、前記リクエスト信号に応答してキーから発信されたコード信号を車両側に記憶されたコード信号と照合する照合手段と、前記照合手段でコード信号が一致した場合にドアロックの解錠を行なうドアロック解錠手段とを備えるキーレスエントリ装置において、
センサ線がドアハンドルの内部に外部から遮蔽して配置され、前記ドアハンドルに人体の一部が接近したことによる静電容量の変化に基づいて人体の接近を検出する接近検出手段を設け、
前記ドアロック解錠手段は、前記照合手段におけるコード信号の一致と、前記接近検出手段における人体の接近とを条件にドアロックを解錠することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、接近検出手段を構成するセンサ線をドアハンドルの内部に外部から遮蔽して配置したので、前記センサ線が外部に露呈せず、その配置場所が分からないので、例えば、子供等からイタズラされにくくなり、また、外観品質が低下することがなく、防水性にも優れる。
【0010】
また、前記接近検出手段は、ドアハンドルに人体の一部、例えば、手等が接近したことによる静電容量の変化に基づいて人体の接近を検出するので、人がスイッチ等を意識的に操作する必要がないため、例えば、夜間等の暗い場所において、スイッチ等を探す手間が省かれる。すなわち、意識的な解錠操作を必要とせず、単にドアを開ける一連の動作の中でドアロックを自動的に解錠することができるので、駐車中の車両に乗車するときの操作性が一層向上する。
【0011】
また、前記接近検出手段は、前記センサ線が接続されるコンデンサを含むCR回路と、前記CR回路の一端側に接続される発振回路と、前記CR回路の他端側に接続されるコンパレータとを有し、前記コンパレータで前記CR回路の出力をスレッショルドレベルと比較して検出信号を出力するよう構成される。この場合、ドアハンドルに人体が接近することで人が有する浮遊容量によりセンサ線に接続されるコンデンサの静電容量が変化し、その変化に基づくCR回路の出力がコンパレータでスレッショルドレベルと比較されて、人体の接近を示す検出信号として出力される。故に、検出信号はオンオフ信号となりノイズの影響を受けないので検出精度が向上する。さらに、人の接近をオンオフ信号で判定できるので、判定方法も簡素なものとなる。
【0012】
この場合、前記センサ線が2本の平行なセンサ線で構成されてもよい。
【0013】
前記接近検出手段は、前記コンパレータのスレッショルドレベルを補正する温度補正手段を含むので、例えば、雨水等の水滴によりドアハンドル近傍の外気温度が変化しても一定の検出精度を維持することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係るキーレスエントリ装置について、好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0015】
図1は本実施の形態に係るキーレスエントリ装置の概略構成図、図2はキーレスエントリ装置の要部説明図、図3はキーレスエントリ装置の制御ブロック説明図、図4はドアハンドル接近センサの説明図、図5は制御を示すキーレスエントリ装置のフローチャートである。
【0016】
本実施の形態に係るキーレスエントリ装置20は、図1に示すように、運転者が携帯するキー22と車両に取り付けられた装置本体24とからなる。
【0017】
前記キー22は、装置本体24から後述するリクエスト信号を受信すると前記装置本体24に暗証コード信号を送信する構成になっている。
【0018】
前記装置本体24は、車体の天井にキー22に対してリクエスト信号を送信する送信アンテナ26を設けるとともに、車体の右側側面および左側側面に夫々受信アンテナ28a、28bを設けている。
【0019】
車体の内部には、ハンドル部分にキー判別センサ30が設けられている。前記キー判別センサ30は、キー22がイグニションスイッチに挿入されたか否かを判定するためのスイッチであって、キー22が挿入された状態でONとなる。
【0020】
また、ドア部分にはシルコンスイッチ32、ドアハンドル接近センサ34、ドアロック用アクチュエータ36、ドアホーン38が設けられている。
【0021】
前記シルコンスイッチ32は、ドアに設けられたシルコンノブ40が押圧された場合、すなわちドアロックが施錠された場合にONとなるように構成されている。
【0022】
ドアハンドル接近センサ34は静電容量センサであり、手等がドアハンドルに接近したことを検出する。前記ドアハンドル接近センサ34は、図2に示すように、ドアハンドル42の内部に二本の平行なセンサ線44を配設し、それを検出回路46のCR回路48(図4参照)のコンデンサに接続している。前記検出回路46では、図4に示すように、発振回路50が前記CR回路48の一端に接続されるとともに、他端に差動増幅回路52を介してコンパレータ54の一方の端子が接続されている。前記コンパレータ54の他方の端子には、温度補正用のサーミスタ56を含む回路からスレッショルドレベルが入力されている。
【0023】
したがって、前記検出回路46では手等がドアハンドル42に接近するとCR回路48の静電容量が変化して差動増幅回路52の出力が変化し、コンパレータ54によってスレッショルドレベルと比較されて検出信号を導出するか否かを決定している。この場合、前記差動増幅回路52の出力が外気温度によって変化するため、スレッショルドレベルもサーミスタ56によって前記出力に対応させて変化させている。したがって、外気温度によらず検出精度を一定に保つことができる。
【0024】
前記送信アンテナ26、受信アンテナ28a、28b、キー判別センサ30、シルコンスイッチ32、ドアハンドル接近センサ34、ドアロック用アクチュエータ36およびドアホーン38は、コントロールユニット60に電気的に接続されている。
【0025】
コントロールユニット60は、受信アンテナ28a、28bによって受信したキー22からの暗証コード信号を予め記憶されている固有のコード信号と照合する固有信号照合手段62と、前記固有信号照合手段62においてコード信号が一致した場合にドアロック用アクチュエータ36を駆動するドアロック用アクチュエータ駆動手段64と、前記固有信号照合手段62においてコード信号が一致しなかった回数が所定時間以内に所定回数を超えたことによりドアハンドル42等を第三者が故意にイタズラしていることを判別するイタズラ判定手段66と、ドアハンドル接近センサ34からの検出信号に基づいてリクエスト信号を送信する信号送信手段68とから構成されている。
【0026】
前記イタズラ判定手段66は、内部に固有信号照合手段62におけるコード信号の不一致の回数をカウントするカウンタを備えるとともに、ホーンリレー70を介してドアホーン38に接続されている。
【0027】
このように構成されるキーレスエントリ装置20の動作について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0028】
先ず、ドアハンドル接近センサ34からの出力の有無を確認する(ステップS1)。具体的には、前記センサ34において、手等がドアハンドル42近傍の所定範囲(図6参照)に侵入した場合に、検出回路46のCR回路48の静電容量が変化し、差動増幅回路52からの出力がスレッショルドレベルを超えてコンパレータ54から信号送信手段68に出力信号が導出されて手等の接近を確認する。
【0029】
次に、リクエスト信号送信禁止中であるか否かを確認する(ステップS2)。これは、キー22を車内に置き忘れたまま運転者が気付かずに車両から離れた場合、第三者がドアハンドル42を操作することによってキー22と装置本体24との間でリクエスト信号と暗証コード信号の交信が行われ、ドアロックが解錠されるおそれがあるからである。したがって、キー22の置き忘れが検出された場合には、リクエスト信号が送信禁止状態になる。結局、送信禁止中(ステップS2におけるYES)であれば、リクエスト信号と暗証コード信号の交信による、いわゆる、キーレスエントリはできないので、以下のキーレスエントリあるいはイタズラ検知のための制御を行わない。
【0030】
リクエスト信号送信禁止中でなければ、キー判別センサ30がONあるいはシルコンスイッチがOFFであるか否かを確認する(ステップS3)。これは、すでにいずれかのドアロックが解錠されているか否かを確認している。
【0031】
全てのドアロックが施錠されている場合には(ステップS3でNO)、リクエスト信号が信号送信手段68の送信アンテナ26を介してキー22に送信される(ステップS4)。
【0032】
前記リクエスト信号によりキー22から装置本体24に対して暗証コード信号が送信され、装置本体24では受信アンテナ28a(28b)を介して固有信号照合手段62に入力される。前記固有信号照合手段62では、前記暗証コード信号と予め装置本体24に記憶されている車両固有のコード信号を照合する(ステップS5)。コード信号が一致している場合には、運転者あるいはキー22を携帯している者と判定してドアロックの解錠動作を以下のように行う。
【0033】
先ず、前記暗証コード信号を左側の受信アンテナ28bで受信したか否かを判定する(ステップS6)。この車両は左ハンドルのため、左側にキー22の携帯者がいる場合には、運転者が運転席のドアを開けるものと判定して、ドアロック用アクチュエータ駆動手段64からドアロック用アクチュエータ36に駆動信号が伝達され、運転席のドアロックのみを解錠する(ステップS7)。一方、左側の受信アンテナ28bで受信しなかった場合には、どのドアを開こうとしているのかがわからないので全てのドアロックを解錠する(ステップS8)。
【0034】
ステップS5においてコード信号が不一致の場合には、イタズラ判定手段66のカウンタにおいて所定時間以内に不一致の回数が所定回数に達したか否かを判定する(ステップS9)。所定回数に到達した場合には、故意にイタズラしていると判定してイタズラ判定手段66からホーンリレー70に信号が導出され、ドアホーン38から警報音あるいは警告が発せられる(ステップS10)。これによって、故意にイタズラしている第三者の行為を停止させることができる。
【0035】
続いて、イタズラ判定手段66から信号送信手段68にリクエスト信号の30秒間送信禁止信号が導出され、リクエスト信号の発信が30秒間禁止される(ステップS11)。これは、警報音あるいは警告にも拘わらずドアハンドル42に接触し続けた場合、リクエスト信号の送信によりバッテリの消費が増大するのを阻止するためである。また、30秒後には、リクエスト信号が発信される状態に復帰するため、イタズラ後であってもキー22の携帯者はキーレスエントリに何ら不都合がない。
【0036】
これと同時に、前記イタズラ判定手段66からの信号により信号送信手段68から送信アンテナ26を介してキー22にイタズラ警告信号が発信される(ステップS12)。これにより、キー22において警報音が鳴る、あるいはディスプレイ等に警告メッセージが表示されることにより、キー22の携帯者に車両がイタズラされていることを通報する。
【0037】
なお、ステップS9において、所定時間以内に不一致の回数が所定回数以上になった場合にステップS10以下の処置を行ったが、不一致の時間が所定時間以上経過したか否かで判定してもよい。また、ステップS11において、リクエスト信号送信を30秒間停止させてその後復帰させるようにしたが、ドアのキー用シリンダ錠にキーの挿入があるまで停止させた状態を維持するように構成してもよい。
【0038】
このように、本実施の形態に係るキーレスエントリ装置20では、ドアハンドル42の内部にセンサ線44を配設したドアハンドル接近センサ34を採用しているため、子供等にスイッチの所在場所が分からずイタズラされにくくなる。
【0039】
さらに、ドアハンドル42の近傍で手の接近を検出するため、解錠動作の応答が早まり、ドアハンドル42を握る時には既にドアロックが解錠されている。したがって、単にドアを開ける一連の動作の中でドアロックを自動的に解錠することができる。さらに、図6に示すように、前記センサ34が手の接近を検出する範囲は、キー用シリンダ錠の位置まで及んでおり、キー用シリンダ錠に対するイタズラも検知することができる。しかも、前記センサ34は、外部に露呈されていないため、外観上も優れるとともに、防水性にも秀でている。
【0040】
また、イタズラされている場合には、所定時間内に所定回数を到達すれば、ドアホーン38から警報音あるいは警告を発することにより、故意にイタズラをする者の行為を中止させることができる。しかも、その際にリクエスト信号の発信を30秒間停止するため、車両側のバッテリの浪費を防ぐことができる。また、30秒後には、通常の状態(リクエスト信号発信可能)に復帰するため、キー22の携帯者がキーレスエントリを試みた際には支障がない。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係るキーレスエントリ装置によれば、以下の効果が得られる。
【0042】
すなわち、接近検出手段を構成するセンサ線をドアハンドルの内部に外部から遮蔽して配置したので、前記センサ線が外部に露呈せず、その配置場所が分からないので、例えば、子供等からイタズラされにくくなり、また、外観品質が低下することがなく、防水性にも優れる。
【0043】
また、前記接近検出手段は、ドアハンドルに人体の一部、例えば、手等が接近したことによる静電容量の変化に基づいて人体の接近を検出するので、人がスイッチ等を直接触る必要がないため、例えば、夜間等の暗い場所において、スイッチ等を探す手間が省かれる。すなわち、単にドアを開ける一連の動作の中でドアロックを自動的に解錠することができるので、操作性が一層向上する。
【0044】
また、前記接近検出手段は、ドアハンドルに人体が接近することで人が有する浮遊容量によりセンサ線に接続されるコンデンサの静電容量が変化し、その変化に基づく出力がコンパレータでスレッショルドレベルと比較されて、人体の接近を示す検出信号として出力されるので、検出信号はオンオフ信号となりノイズの影響を受けないので検出精度が向上する。さらに、人の接近をオンオフ信号で判定できるので、制御手段での判定方法も簡素なものとなる。
【0045】
さらに、前記接近検出手段は、前記コンパレータのスレッショルドレベルを補正する温度補正手段を含むので、例えば、雨水等の水滴によりドアハンドル近傍の外気温度が変化しても一定の検出精度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るキーレスエントリ装置の概略説明斜視図である。
【図2】本発明に係るキーレスエントリ装置の要部説明斜視図である。
【図3】本発明に係るキーレスエントリ装置のブロック構成図である。
【図4】本発明に係るキーレスエントリ装置のドアハンドル接近センサの説明図である。
【図5】本発明に係るキーレスエントリ装置の制御フローチャートである。
【図6】本発明に係るキーレスエントリ装置のドアハンドル接近センサの検出範囲説明図である。
【図7】従来例に係るキーレスエントリ装置の要部説明斜視図である。
【符号の説明】
20…キーレスエントリ装置 22…キー
24…装置本体 34…ドアハンドル接近センサ
66…イタズラ判定手段 68…信号送信手段

Claims (4)

  1. リクエスト信号を発信するリクエスト信号発信手段と、前記リクエスト信号に応答してキーから発信されたコード信号を車両側に記憶されたコード信号と照合する照合手段と、前記照合手段でコード信号が一致した場合にドアロックの解錠を行うドアロック解錠手段とを備えるキーレスエントリ装置において、
    センサ線がドアハンドルの内部に外部から遮蔽して配置され、前記ドアハンドルに人体の一部が接近したことによる静電容量の変化に基づいて人体の接近を検出する接近検出手段を設け、
    前記ドアロック解錠手段は、前記照合手段におけるコード信号の一致と、前記接近検出手段における人体の接近とを条件にドアロックを解錠することを特徴とするキーレスエントリ装置。
  2. 請求項1記載のキーレスエントリ装置において、
    前記接近検出手段は、前記センサ線が接続されるコンデンサを含むCR回路と、前記CR回路の一端側に接続される発振回路と、前記CR回路の他端側に接続されるコンパレータとを有し、前記コンパレータで前記CR回路の出力をスレッショルドレベルと比較して検出信号を出力することを特徴とするキーレスエントリ装置。
  3. 請求項1または2記載のキーレスエントリ装置において、
    前記センサ線が2本の平行なセンサ線で構成されることを特徴とするキーレスエントリ装置。
  4. 請求項2記載のキーレスエントリ装置において、
    前記接近検出手段は、前記コンパレータのスレッショルドレベルを補正する温度補正手段を含むことを特徴とするキーレスエントリ装置。
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