JP3614951B2 - 酵素活性を測定する方法及び試薬 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、血清等の検体に存在する酵素活性を測定するための方法及び試薬に関する。さらに詳しくは、検体内のヘモグロビンの影響を回避可能な血清等の検体に存在する酵素活性を測定するための方法及び試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
生体試料等の検体中に存在する酵素活性の測定は、医学的診断や病態の解明を行う上で、さらに、種々の治療の経過を判定する上で重要な役割を果たしている。測定すべき酵素がγ−グルタミルトランスフェラーゼ(以下、γーGTPと記載することもある)、α−アミラーゼ等である場合、酵素活性測定用試薬と検体とを混合し、次いで、400 〜450 nmの波長域で、得られる混合物の吸光度変化を測定することにより、該検体中の酵素活性を測定する方法が、通常、用いられている。
【0003】
しかし、この場合、検体中にヘモグロビン及びその誘導体等が存在するときは、それらが測定干渉物質となり、検体中の酵素活性を正確に測定できないことがおきる。すなわち、酵素活性測定用試薬と検体とを混合すると、検体中のヘモグロビン等が光や熱により分解され、400 〜450 nmの波長域で経時的に混合物の吸光度の減少が起こり、その結果、酵素活性の測定値に負誤差を生じさせるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術における問題点に鑑み、400 〜450 nmの波長域で吸光度を測定して、検体中の酵素活性を測定するとき、発生する測定値の誤差を抑制し、より正確な測定値を得るための方法及び試薬を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酵素活性測定用試薬と検体とを混合し、次いで、400 〜450 nmの波長域で、得られる混合物の吸光度変化を測定することにより、該検体中の特定の酵素の活性を測定する方法において、該酵素活性測定用試薬がスルホキシ無機塩系還元剤を含むことを特徴とする該酵素活性を測定する方法である。
【0006】
すなわち、本発明は、検体中の特定の酵素活性を測定するために、400 〜450 nmの波長域で吸光度を測定する、酵素活性測定用試薬において、該試薬がスルホキシ無機塩系還元剤を含むことを特徴とする試薬を用いて実施することができる。
【0007】
本発明においては、酵素活性測定用試薬の調製並びにそれを用いて酵素活性を測定する方法は、試薬にスルホキシ無機塩系還元剤を含む以外は、慣用されている技術を、通常、そのまま、使用することができる。
【0008】
本発明においては、検体とは、生物体内由来の試料をいう。例えば、血漿、血清、尿、又はそれらの希釈液を例示できる。ヘモグロビンの影響を特に受けやすい検体、すなわち、血清に本発明は特に効果を有する。
【0009】
本発明は、酵素活性測定用試薬中に、スルホキシ無機塩系還元剤を含むことを特徴とする。本明細書において、スルホキシ無機塩系還元剤とは、スルホキシ化合物であり、かつ、無機塩である還元剤をいう。本発明において、スルホキシ無機塩系還元剤は、アスコルビン酸塩より大きな還元電位を持つ、還元力を有することが好ましい。還元電位が小さすぎると、ヘモグロビンの影響を排除しにくい。また、還元電位が大きすぎると、測定すべき酵素の活性を阻害することもあり好ましくない。スルホキシ無機塩系還元剤としては、適度な還元力と試薬安定性とから、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜二チオン酸塩が好ましく、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩がさらに好ましい。塩としては、溶解性からナトリウム塩、カリウム塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0010】
スルホキシ無機塩系還元剤の濃度は、還元剤の種類、検体の種類、測定方法、その他の要因により適宜、調整される。一般に、試薬中、0.01〜0.5 重量% が好ましい。濃度が大きすぎると、測定すべき酵素の活性を阻害することもあり好ましくない。濃度が小さすぎると、ヘモグロビンの影響を排除しにくい。例えば、二亜硫酸塩の場合、0.05〜0.2 重量% の濃度がさらに好ましい。
【0011】
本発明では、酵素活性測定用試薬としては、合成基質試薬を例示できる。この場合、例えば、合成基質試薬と検体とを混合することにより試薬中の合成基質と検体中の酵素とを反応させ、その結果、その合成基質を開裂させ、ついで、生成する色素に由来する、400 〜450 nmの波長域での吸光度変化を、測定する方法を用いる。なお、本明細書において、合成基質とは、色素と特定物質とが結合された化合物であって、かつ、その結合が特定の酵素の作用により開裂され、色素を生成させるものをいう。
【0012】
本発明において、特定の酵素は、検体と酵素活性測定用試薬とを混合した後、400 〜450 nmの波長域で吸光度変化を測定して該酵素活性を測定できるものであれば特に限定しない。そのような酵素としては、γ−グルタミルトランスフェラーゼ、α−アミラーゼを例示できる。γ−グルタミルトランスフェラーゼの場合、酵素活性測定用試薬中の合成基質試薬としては、4−ニトロアニリン、3−カルボキシ−4− ニトロアニリン等の400 〜450 nmに吸光度を有する色素と、グルタミン酸とを結合させた物質が用いられる。すなわち、式1に示すように、合成基質として、Glu−4−NA、Glu−CNA を使用できる。
【0013】
【式1】
【0014】
本発明において、酵素活性測定用試薬と検体とを混合するときは、検体に該試薬を加えても良いし、また、該試薬に検体を加えても良いが、混合することにより、混合物の400 〜450 nmでの波長域で吸光度の増減が起こる。例えば、酵素活性測定用試薬が合成基質試薬の場合、該試薬と検体とを混合することにより、検体中の特定の酵素が該試薬中の合成基質に作用して色素を生成させ、そのため、400 〜450 nmの波長域で吸光度の増加が起こる。その結果、吸光度測定により、経時的に測定することより、その際の単位時間あたりの吸光度の増加速度を求めることができる。そして、以下の式により、酵素活性(U/l )を求めることができる。
【0015】
【式2】
【0016】
試薬中の合成基質と検体中の酵素とを反応させるときの温度は、酵素の種類、安定性及び反応性により異なるが、通常、20〜40℃である。生化学自動分析装置を使用するときは、25〜38℃の温度で反応することが必要となるが、本発明では、この条件で用いても、ほとんど、溶血によるヘモグロビンの影響を受けずに、検体中の酵素活性を正確に測定できる。
【0017】
また、生化学自動分析装置を使用するときは、処理時間も1 〜15分で行うことが必要であるが、本発明では、この条件で、ほとんど、溶血によるヘモグロビンの影響を受けずに、検体中の酵素活性を正確に測定できる。
【0018】
【実施例】
酵素活性測定用試薬Glu−CNA 溶液と溶血血清とを混合し、その溶血血清中のγ− GTP活性を求めた。そのGlu−CNA 溶液中にスルホキシ無機塩系還元剤を含む場合、以下に示すように、正確に測定できることを確認した。
【0019】
(A)Glu−CNA 溶液の調製
グリシルグリシン 153.0 mM
Glu−CNA 6.12mM
アジ化ナトリウム 0.1 %
二亜硫酸ナトリウム 0.08%
(pH7.9 、30℃)
【0020】
(B)検体の調製
γ− GTP活性36U/l の血清H0 に、溶血血清を加え、ヘモグロビン濃度500 mg/dl で、かつ、γ− GTP活性36U/l の溶血血清H5 を調製した。さらに、H5 をH0 で希釈し、ヘモグロビン濃度が各々100 、200 、300 、400 mg/dl であり、かつ、γ− GTP活性36U/l の溶血血清を調製し、それぞれ、H1 、H2 、H3 、H4 検体とした。
【0021】
実施例1
前記のGlu−CNA溶液A3.5 mlに、検体H0を0.07 ml 混合し、得られる混合液の吸光度変化を求めた。吸光度変化は、37℃で波長415 nmにおける経時的な吸光度の1分間あたりの上昇度を測定することにより求めた。その1分間あたりの上昇度の値を次式に代入し、γ− GTP活性を求めた。
【0022】
【式3】
【0023】
実施例2〜10
検体H1 〜H5 を検体H0 の代わりに用いた以外は、実施例1と同様に操作した後、γ− GTP活性を計算し、それぞれ、実施例2〜6とした。
また、検体H1 又はH5 を検体H0 の代わりに用い、かつ、亜硫酸水素ナトリウム(実施例7)、亜硫酸ナトリウム(実施例8)、又は亜二チオン酸ナトリウム(実施例9,10)を二亜硫酸ナトリウムの代わりに用いた以外は、実施例1と同様に操作した後、γ− GTP活性を計算した。なお、亜二チオン酸ナトリウムを含むGlu−CNA 溶液は、試薬調製のときに着色しやすく、そのため、測定値に誤差を生じやすい。
実施例1〜10の結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
実施例11〜16
汎用の自動分析装置である日立7150を用い、実施例1〜6と同様、検体中のγ− GTP活性を測定した。実施例1〜6に用いたGlu−CNA 溶液A350 μl と、検体H0〜H5の7 μl とを37℃で混合し、その後、1.5 〜3.5 分経過の混合液の吸光度変化を求めた。すなわち、波長405 nmにおける経時的な吸光度の1分間あたりの上昇度を求めた。その1分間あたりの上昇度より、γ− GTP活性を求め、それぞれ、実施例11〜16とした。なお、自動分析装置の場合、これらの操作及び計算は、すべて、自動的に行われる。
【0026】
比較例1〜6
実施例1〜6で使用したGlu−CNA 溶液Aの代わりに、そのAの成分中から二亜硫酸ナトリウムのみを除いた組成からなる溶液(溶液A´)を用いた以外は、実施例1〜6と同様に操作してγ− GTP活性を求め、それぞれ、比較例1〜6とした。
また、検体H1 又はH5 を検体H0 の代わりに用い、かつ、還元型グルタチオンを二亜硫酸ナトリウムの代わりに用いた以外は、実施例1と同様に操作した後、γ− GTP活性を計算し、比較例7又は比較例8とした。
【0027】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、400 〜450 nmの波長域で吸光度変化を測定して、検体中の特定の酵素活性を測定する場合、検体内のヘモグロビン由来の測定誤差を回避できる。
【図面の簡単な説明】
図1は実施例1〜6及び比較例1〜6におけるヘモグロビンの影響を見た図であり、実施例は−○−で、比較例は−●−で示されている。縦軸にγ−GTP活性測定値(U/l )、横軸にヘモグロビン濃度(mg/dl )を示す。二亜硫酸ナトリウムを含む合成基質試薬を用いた場合(実施例1〜6)は、含まない場合(比較例1〜6)と比べ、γ− GTP活性を正確に測定できる。
Claims (6)
- 酵素活性測定用試薬と検体とを混合し、次いで、400〜450nmの波長域で、得られる混合物の吸光度変化を測定することにより、該検体中の特定の酵素の活性を測定する方法において、該酵素活性測定用試薬がスルホキシ無機塩系還元剤を含み、該スルホキシ無機塩系還元剤は二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩又は亜二チオン酸塩であることを特徴とする該酵素活性を測定する方法。
- 特定の酵素がγ−グルタミルトランスフェラーゼである請求項1記載の該酵素活性を測定する方法。
- スルホキシ無機塩系還元剤が二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩又は亜硫酸塩である請求項1又は2の該酵素活性を測定する方法。
- 検体中の特定の酵素活性を測定するために、400〜450nmの波長域で吸光度を測定する、酵素活性測定用試薬において、該試薬がスルホキシ無機塩系還元剤を含み、該スルホキシ無機塩系還元剤は二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩又は亜二チオン酸塩であることを特徴とする試薬。
- 特定の酵素がγ−グルタミルトランスフェラーゼである請求項4記載の試薬。
- スルホキシ無機塩系還元剤が二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩又は亜硫酸塩である請求項4又は5の試薬。
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US20050164330A1 (en) | 2004-01-27 | 2005-07-28 | Daiichi Pure Chemicals Co., Ltd. | Method for quantitatively determining a specific component in a biological specimen, and reagent for quantitative determination |
-
1995
- 1995-09-22 JP JP26795695A patent/JP3614951B2/ja not_active Expired - Lifetime
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