JPH0984598A - 酵素活性を測定する方法及び試薬 - Google Patents

酵素活性を測定する方法及び試薬

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JPH0984598A
JPH0984598A JP26795695A JP26795695A JPH0984598A JP H0984598 A JPH0984598 A JP H0984598A JP 26795695 A JP26795695 A JP 26795695A JP 26795695 A JP26795695 A JP 26795695A JP H0984598 A JPH0984598 A JP H0984598A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 400 〜450 nmの波長域で吸光度を測定して、
検体中の酵素活性を測定するとき、発生する測定値の誤
差を抑制し、より正確な測定値を得るための方法及び試
薬を提供する。 【解決手段】 二亜硫酸ナトリウムを含む合成基質試薬
と、検体とを混合し、次いで、400 〜450 nmの波長域
で、得られる混合物の吸光度変化を測定することによ
り、ヘモグロビンの影響を回避して、検体中のγ−グル
タミルトランスフェラーゼ活性を正確に測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血清等の検体に存在す
る酵素活性を測定するための方法及び試薬に関する。さ
らに詳しくは、検体内のヘモグロビンの影響を回避可能
な血清等の検体に存在する酵素活性を測定するための方
法及び試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】生体試料等の検体中に存在する酵素活性
の測定は、医学的診断や病態の解明を行う上で、さら
に、種々の治療の経過を判定する上で重要な役割を果た
している。測定すべき酵素がγ−グルタミルトランスフ
ェラーゼ(以下、γーGTPと記載することもある)、
α−アミラーゼ等である場合、酵素活性測定用試薬と検
体とを混合し、次いで、400 〜450 nmの波長域で、得ら
れる混合物の吸光度変化を測定することにより、該検体
中の酵素活性を測定する方法が、通常、用いられてい
る。
【0003】しかし、この場合、検体中にヘモグロビン
及びその誘導体等が存在するときは、それらが測定干渉
物質となり、検体中の酵素活性を正確に測定できないこ
とがおきる。すなわち、酵素活性測定用試薬と検体とを
混合すると、検体中のヘモグロビン等が光や熱により分
解され、400 〜450 nmの波長域で経時的に混合物の吸光
度の減少が起こり、その結果、酵素活性の測定値に負誤
差を生じさせるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来技術における問題点に鑑み、400 〜450 nmの波長
域で吸光度を測定して、検体中の酵素活性を測定すると
き、発生する測定値の誤差を抑制し、より正確な測定値
を得るための方法及び試薬を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、酵素活性測定
用試薬と検体とを混合し、次いで、400 〜450 nmの波長
域で、得られる混合物の吸光度変化を測定することによ
り、該検体中の特定の酵素の活性を測定する方法におい
て、該酵素活性測定用試薬がスルホキシ無機塩系還元剤
を含むことを特徴とする該酵素活性を測定する方法であ
る。
【0006】すなわち、本発明は、検体中の特定の酵素
活性を測定するために、400 〜450nmの波長域で吸光度
を測定する、酵素活性測定用試薬において、該試薬がス
ルホキシ無機塩系還元剤を含むことを特徴とする試薬を
用いて実施することができる。
【0007】本発明においては、酵素活性測定用試薬の
調製並びにそれを用いて酵素活性を測定する方法は、試
薬にスルホキシ無機塩系還元剤を含む以外は、慣用され
ている技術を、通常、そのまま、使用することができ
る。
【0008】本発明においては、検体とは、生物体内由
来の試料をいう。例えば、血漿、血清、尿、又はそれら
の希釈液を例示できる。ヘモグロビンの影響を特に受け
やすい検体、すなわち、血清に本発明は特に効果を有す
る。
【0009】本発明は、酵素活性測定用試薬中に、スル
ホキシ無機塩系還元剤を含むことを特徴とする。本明細
書において、スルホキシ無機塩系還元剤とは、スルホキ
シ化合物であり、かつ、無機塩である還元剤をいう。本
発明において、スルホキシ無機塩系還元剤は、アスコル
ビン酸塩より大きな還元電位を持つ、還元力を有するこ
とが好ましい。還元電位が小さすぎると、ヘモグロビン
の影響を排除しにくい。また、還元電位が大きすぎる
と、測定すべき酵素の活性を阻害することもあり好まし
くない。スルホキシ無機塩系還元剤としては、適度な還
元力と試薬安定性とから、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、
亜硫酸塩、亜二チオン酸塩が好ましく、二亜硫酸塩、亜
硫酸水素塩、亜硫酸塩がさらに好ましい。塩としては、
溶解性からナトリウム塩、カリウム塩が好ましく、ナト
リウム塩が特に好ましい。
【0010】スルホキシ無機塩系還元剤の濃度は、還元
剤の種類、検体の種類、測定方法、その他の要因により
適宜、調整される。一般に、試薬中、0.01〜0.5 重量%
が好ましい。濃度が大きすぎると、測定すべき酵素の活
性を阻害することもあり好ましくない。濃度が小さすぎ
ると、ヘモグロビンの影響を排除しにくい。例えば、二
亜硫酸塩の場合、0.05〜0.2 重量% の濃度がさらに好ま
しい。
【0011】本発明では、酵素活性測定用試薬として
は、合成基質試薬を例示できる。この場合、例えば、合
成基質試薬と検体とを混合することにより試薬中の合成
基質と検体中の酵素とを反応させ、その結果、その合成
基質を開裂させ、ついで、生成する色素に由来する、40
0 〜450 nmの波長域での吸光度変化を、測定する方法を
用いる。なお、本明細書において、合成基質とは、色素
と特定物質とが結合された化合物であって、かつ、その
結合が特定の酵素の作用により開裂され、色素を生成さ
せるものをいう。
【0012】本発明において、特定の酵素は、検体と酵
素活性測定用試薬とを混合した後、400 〜450 nmの波長
域で吸光度変化を測定して該酵素活性を測定できるもの
であれば特に限定しない。そのような酵素としては、γ
−グルタミルトランスフェラーゼ、α−アミラーゼを例
示できる。γ−グルタミルトランスフェラーゼの場合、
酵素活性測定用試薬中の合成基質試薬としては、4-ニト
ロアニリン、3-カルボキシ-4- ニトロアニリン等の400
〜450 nmに吸光度を有する色素と、グルタミン酸とを結
合させた物質が用いられる。すなわち、式1に示すよう
に、合成基質として、Glu-4-NA、Glu-CNA を使用でき
る。
【0013】
【式1】
【0014】本発明において、酵素活性測定用試薬と検
体とを混合するときは、検体に該試薬を加えても良い
し、また、該試薬に検体を加えても良いが、混合するこ
とにより、混合物の400 〜450 nmでの波長域で吸光度の
増減が起こる。例えば、酵素活性測定用試薬が合成基質
試薬の場合、該試薬と検体とを混合することにより、検
体中の特定の酵素が該試薬中の合成基質に作用して色素
を生成させ、そのため、400 〜450 nmの波長域で吸光度
の増加が起こる。その結果、吸光度測定により、経時的
に測定することより、その際の単位時間あたりの吸光度
の増加速度を求めることができる。そして、以下の式に
より、酵素活性(U/l )を求めることができる。
【0015】
【式2】
【0016】試薬中の合成基質と検体中の酵素とを反応
させるときの温度は、酵素の種類、安定性及び反応性に
より異なるが、通常、20〜40℃である。生化学自動分析
装置を使用するときは、25〜38℃の温度で反応すること
が必要となるが、本発明では、この条件で用いても、ほ
とんど、溶血によるヘモグロビンの影響を受けずに、検
体中の酵素活性を正確に測定できる。
【0017】また、生化学自動分析装置を使用するとき
は、処理時間も1 〜15分で行うことが必要であるが、本
発明では、この条件で、ほとんど、溶血によるヘモグロ
ビンの影響を受けずに、検体中の酵素活性を正確に測定
できる。
【0018】
【実施例】酵素活性測定用試薬Glu-CNA 溶液と溶血血清
とを混合し、その溶血血清中のγ- GTP活性を求め
た。そのGlu-CNA 溶液中にスルホキシ無機塩系還元剤を
含む場合、以下に示すように、正確に測定できることを
確認した。
【0019】(A)Glu-CNA 溶液の調製 グリシルグリシン 153.0 mM Glu-CNA 6.12mM アジ化ナトリウム 0.1 % 二亜硫酸ナトリウム 0.08% (pH7.9 、30℃)
【0020】(B)検体の調製 γ- GTP活性36U/l の血清H0 に、溶血血清を加え、
ヘモグロビン濃度500mg/dl で、かつ、γ- GTP活性3
6U/l の溶血血清H5 を調製した。さらに、H5 をH0
で希釈し、ヘモグロビン濃度が各々100 、200 、300 、
400 mg/dl であり、かつ、γ- GTP活性36U/l の溶血
血清を調製し、それぞれ、H1 、H2 、H3 、H4 検体
とした。
【0021】実施例1 前記のGlu−CNA溶液A3.5 mlに、検体H0を0.07 m
l 混合し、得られる混合液の吸光度変化を求めた。吸光
度変化は、37℃で波長415 nmにおける経時的な吸光度の
1分間あたりの上昇度を測定することにより求めた。そ
の1分間あたりの上昇度の値を次式に代入し、γ- GT
P活性を求めた。
【0022】
【式3】
【0023】実施例2〜10 検体H1 〜H5 を検体H0 の代わりに用いた以外は、実
施例1と同様に操作した後、γ- GTP活性を計算し、
それぞれ、実施例2〜6とした。また、検体H1 又はH
5 を検体H0 の代わりに用い、かつ、亜硫酸水素ナトリ
ウム(実施例7)、亜硫酸ナトリウム(実施例8)、又
は亜二チオン酸ナトリウム(実施例9,10)を二亜硫
酸ナトリウムの代わりに用いた以外は、実施例1と同様
に操作した後、γ- GTP活性を計算した。なお、亜二
チオン酸ナトリウムを含むGlu-CNA 溶液は、試薬調製の
ときに着色しやすく、そのため、測定値に誤差を生じや
すい。実施例1〜10の結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】実施例11〜16 汎用の自動分析装置である日立7150を用い、実施例1〜
6と同様、検体中のγ- GTP活性を測定した。実施例
1〜6に用いたGlu-CNA 溶液A350 μl と、検体H0〜H5
の7 μl とを37℃で混合し、その後、1.5 〜3.5 分経過
の混合液の吸光度変化を求めた。すなわち、波長405 nm
における経時的な吸光度の1分間あたりの上昇度を求め
た。その1分間あたりの上昇度より、γ- GTP活性を
求め、それぞれ、実施例11〜16とした。なお、自動
分析装置の場合、これらの操作及び計算は、すべて、自
動的に行われる。
【0026】比較例1〜6 実施例1〜6で使用したGlu-CNA 溶液Aの代わりに、そ
のAの成分中から二亜硫酸ナトリウムのみを除いた組成
からなる溶液(溶液A´)を用いた以外は、実施例1〜
6と同様に操作してγ- GTP活性を求め、それぞれ、
比較例1〜6とした。また、検体H1 又はH5 を検体H
0 の代わりに用い、かつ、還元型グルタチオンを二亜硫
酸ナトリウムの代わりに用いた以外は、実施例1と同様
に操作した後、γ- GTP活性を計算し、比較例7又は
比較例8とした。
【0027】
【発明の効果】本発明の方法によれば、400 〜450 nmの
波長域で吸光度変化を測定して、検体中の特定の酵素活
性を測定する場合、検体内のヘモグロビン由来の測定誤
差を回避できる。
【図面の簡単な説明】
図1は実施例1〜6及び比較例1〜6におけるヘモグロ
ビンの影響を見た図であり、実施例は−○−で、比較例
は−●−で示されている。縦軸にγ−GTP活性測定値
(U/l )、横軸にヘモグロビン濃度(mg/dl )を示す。
二亜硫酸ナトリウムを含む合成基質試薬を用いた場合
(実施例1〜6)は、含まない場合(比較例1〜6)と
比べ、γ- GTP活性を正確に測定できる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酵素活性測定用試薬と検体とを混合し、
    次いで、400 〜450nmの波長域で、得られる混合物の吸
    光度変化を測定することにより、該検体中の特定の酵素
    の活性を測定する方法において、該酵素活性測定用試薬
    がスルホキシ無機塩系還元剤を含むことを特徴とする該
    酵素活性を測定する方法。
  2. 【請求項2】 特定の酵素がγ−グルタミルトランスフ
    ェラーゼである請求項1記載の該酵素活性を測定する方
    法。
  3. 【請求項3】 スルホキシ無機塩系還元剤が二亜硫酸
    塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩又は亜二チオン酸塩である
    請求項1又は2の該酵素活性を測定する方法。
  4. 【請求項4】 スルホキシ無機塩系還元剤が二亜硫酸
    塩、亜硫酸水素塩又は亜硫酸塩である請求項1又は2の
    該酵素活性を測定する方法。
  5. 【請求項5】 検体中の特定の酵素活性を測定するため
    に、400 〜450 nmの波長域で吸光度を測定する、酵素活
    性測定用試薬において、該試薬がスルホキシ無機塩系還
    元剤を含むことを特徴とする試薬。
  6. 【請求項6】 特定の酵素がγ−グルタミルトランスフ
    ェラーゼである請求項4記載の試薬。
  7. 【請求項7】 スルホキシ無機塩系還元剤が二亜硫酸
    塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩又は亜二チオン酸塩である
    請求項4又は5記載の試薬。
  8. 【請求項8】 スルホキシ無機塩系還元剤が二亜硫酸
    塩、亜硫酸水素塩又は亜硫酸塩である請求項5又は6の
    試薬。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7407774B2 (en) 2004-01-27 2008-08-05 Sekisui Medical Co., Ltd. Method for reducing influence of hemoglobin with albumin in an assay

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7407774B2 (en) 2004-01-27 2008-08-05 Sekisui Medical Co., Ltd. Method for reducing influence of hemoglobin with albumin in an assay

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