JP3614683B2 - 数値制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、工作機械やロボットなどの制御を行う数値制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自由曲面の金型加工を行う際には、従来より、CAD/CAMシステムを使用してNCデータを作成した後、数値制御工作機械にそのデータをかけて切削加工することが行われていた。図13はそのような自由曲面の金型加工のための従来の数値制御システムを示すブロック図である。図において、1は上記CAD/CAMシステムであり、2はこのCAD/CAMシステム1にて作成されたNCデータ、3aはこのCAD/CAMシステム1がNCデータ2の作成に用いる曲面データ、3bは同じく工具データ、3cは同じく加工条件データである。4はCAD/CAMシステム1の作成したNCデータ2によって数値制御工作機械を制御する数値制御装置である。
【0003】
次に動作について説明する。
CAD/CAMシステム1は曲面データ3a、工具データ3b、および加工条件データ3cを用いて、微小線分による曲面加工用の大量のNCデータ2を生成する。生成されたNCデータ2は数値制御装置4に入力され、数値制御装置4はそのNCデータ2に基づいて数値制御工作機械を制御する。ここで、一般に数値制御によって曲面加工を行う場合、CAD/CAMシステム1にて作成される微小線分によるNCデータ2の量は膨大なものとなる。特に、最近の高速切削による加工では、加工ピックフィードをなるべく小さくして鏡面に近い面を実現し、その後の磨き作業を削減する方法が採られるようになっているため、そのような加工ではCAD/CAMシステム1によるNCデータ2の作成量はさらに莫大なものとなる。
【0004】
また、現場では工具摩耗や工具交換によって工具径の補正を必要とすることがある。しかしながら、三次元曲面加工においては、ボールエンドミルで切削することが多く、オフセット量を修正することが難しいため、CAD/CAMシステム1を使って莫大な量のNCデータ2を再度計算し直すことが必要であった。
【0005】
なお、このような数値制御システムに関連する記載のある文献としては、例えば特開平5−216727号公報などがある。なお、この特開平5−216727号公報に示されたものは、スプライン曲線の始点および終点での加減速制御を考慮した速度制御が行え、スプライン曲線上で工具をなめらかに駆動することができるようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の数値制御システムは以上のように構成されているので、曲面加工を行う場合に、CAD/CAMシステム1の作成する微小線分によるNCデータ2の量は膨大なものとなり、CAD/CAMシステム1でNCデータ2を作成する時間と、そのNCデータ2を用いて自由曲面の金型加工をする時間の両方に長時間を要することとなり、また、加工ピックフィードをなるべく小さくして鏡面に近い面を得るような加工では、CAD/CAMシステム1にて生成されるNCデータ2のデータ量が莫大なものであるため、その作成には長時間を要し、金型の加工にもそれと同等の長い時間を必要とするなどの課題があった。
【0007】
また、工具摩耗や工具交換により工具径補正が必要となった場合、CAD/CAMシステム1を使って膨大なNCデータ2を再度計算し直すことが必要となるため、作業効率が大きく低下するという課題もあった。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、NCデータの作成と、そのNCデータを用いた加工という二つのプロセスにかかる時間を短縮して、金型などの作成のための全体時間を短縮することができる数値制御システムを得ることを目的とする。
【0009】
また、この発明は、現場での工具変更などにも即座に対応できる数値制御システムを得ることを目的する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る数値制御システムは、加工対象の三次元の曲面データ、工具データ、工具を移動させるための軌道データを含む数値制御加工に必要なデータの入力を受けるデータ入力手段と、データ入力手段より入力されたデータに基づいて、軌道データ上の工具の速度指令を生成する工具移動速度指令生成部と、工具移動速度指令生成部の生成した速度指令に基づく速度とサンプリングタイムから、工具の次の位置までの距離を算出する距離計算手段と、工具の進行方向に距離計算手段の算出した距離分だけ離れた次の工具位置を、加工対象の三次元の曲面と工具の干渉を回避して算出する工具位置計算手段と、現在の工具位置と工具位置計算手段の算出した次の工具位置から得られるX,Y,Z軸変化量をサーボ制御系に渡すデータ出力手段とを備えたものである。
【0011】
この発明に係る数値制御システムは、工具移動速度指令生成部が、工具位置計算手段が算出した現在の工具位置と軌道データ上の目標位置に対する工具位置とを常に監視し、工具の現在位置が目標位置に近づいたときは減速した速度指令を生成するものである。
【0012】
この発明に係る数値制御システムは、加工対象の三次元の曲面データ、工具データ、工具を移動させるための軌道データを含む数値制御加工に必要なデータの入力を受けるデータ入力手段と、データ入力手段より入力されたデータに基づいて、軌道データ上の工具の速度指令を生成する工具移動速度指令生成部と、工具移動速度指令生成部の生成した速度指令に基づく速度とサンプリングタイムから、工具の次の位置までの距離を算出する距離計算手段と、工具の進行方向に距離計算手段の算出した距離分だけ離れた次の工具位置を、加工対象の三次元の曲面と工具の干渉を回避して算出する工具位置計算手段と、加工対象の三次元の曲面の形状を評価して、工具の速度を減速すべき領域をあらかじめ求めておく曲面評価手段と、曲面評価手段の求めた減速すべき領域と工具位置との距離に基づいて、減速すべき領域に工具位置が近づいたと判定したときは、工具移動速度指令生成部に減速した速度指令の生成を指示する速度指示手段と、現在の工具位置と工具位置計算手段の算出した次の工具位置から得られるX,Y,Z軸変化量をサーボ制御系に渡すデータ出力手段とを備えたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による数値制御システムを示すブロック図である。図において、10は曲面加工において必要な加工モードより、工具をどのように移動させるかを示す軌道データを生成する軌道データ生成部である。また、11はこの軌道データ、および三次元の曲面データ、工具データ、加工条件データとしての送り速度データなどの数値制御加工に必要な入力データを入力する、データ入力手段としての指令データ入力部である。ここで、上記曲面データとしてはNURBS(Non Uniformed Rational B−Spline;有理化Bスプライン)などの曲面である。ここで、このNURBS曲面の場合には、曲面データとして、階数・ノットベクトル・制御点・重みを入力するが、この発明はこのNURBS曲面にのみ限定したものではなく、他の任意の曲面を入力データとしてもよい。
【0016】
また、軌道データは工具をどのように移動させるかを示したデータで、ここでは、軌道データ生成部10が曲面を加工するために設定された加工モードより生成している。この軌道データはXY平面上でジグザクに定義したものや渦巻き状に定義したものなどの軌道データであり、工具はこの軌道データに沿って移動することになる。工具データとしては、ボールエンドミルやフラットエンドミルなどの工具の種類と、当該工具の工具径などのデータを入力する。送り速度データは工具の送り速度情報である。
【0017】
12は現在の指令位置から、指令データ入力部11にて取り込まれた軌道データの終点位置までの距離を計算する終点距離計算部である。前述の軌道データは複数の移動指令として当該数値制御システムの中で扱われる。一般に、この軌道データが不連続の部分は終点として扱われる。13は工具が上記終点距離計算部12で求めた現在の指令位置から終点位置までの距離Leを移動して停止できるように、工具の送り速度Vcomを制御し、速度指令Voutとして後述する加減速制御部に出力する速度指令出力部である。14はこの速度指令出力部13より受けた速度指令Voutに対して、なめらかな加減速制御を実施するための上記加減速制御部である。
【0018】
なお、この加減速制御部14による加減速制御としては、例えば特開平1−237806号公報に記載された、加速度ΔFを指定してその指令加速度ΔFで加速・減速を行い、指令速度になるまで加減速制御を行う台形加減速制御方法、あるいは、従来から一般的に用いられている指数関数加減速制御方法などの公知の方法を使用することができる。
【0019】
15は上記加減速制御部14で制御された速度指令Fを入力し、曲面上に工具を配置するように次の補間点を算出する補間点計算部であり、この場合、加減速制御部14からの速度指令に基づく速度とサンプリングタイムによって決定される距離を算出する距離計算手段、および現在の工具位置と後述する工具位置計算手段の算出した次の工具位置から得られる、X,Y,Z軸変化量をサーボ制御系に出力するデータ出力手段として機能している。ここで、サンプリングタイムをΔTとすると、速度指令Fより移動すべき距離はFΔTであり、補間点計算部15は次の工具位置を距離FΔTだけ離れた点に求める。
【0020】
16は工具と与えられた曲面との干渉チェックを行い、工具の進行方向に、補間点計算部15の算出した距離FΔT分だけ離れた次の工具位置を、曲面と工具の干渉を回避して算出する工具位置計算手段としての工具干渉計算部である。この工具干渉計算部16では、指令データ入力部11にて取り込まれた三次元の曲面データおよび工具データを受け取り、与えられたXY座標値に対して工具が曲面と干渉せず、ちょうど曲面上に配置されるようにZ座標値を計算する。このように計算されたX,Y,Zの移動指令分は補間点計算部15に渡され、補間点計算部15より各軸の分配パルスデータとして、各軸を制御するサーボ制御系に送られる。
【0021】
17は上記終点距離計算部12、速度指令出力部13、および加減速制御部14を備えて、指令データ入力部11の取り込んだ曲面データ、軌道データ、工具データ、および送り速度データより速度指令Fを生成して補間点計算部15に出力する速度パターン生成部(工具移動速度指令生成部)である。
【0022】
次に動作について説明する。
ここで、図2はこの実施の形態1による数値制御システムにおける動作の手順を示すフローチャートである。処理がスタートすると、まずステップST1において、軌道データ生成部10が入力された加工モードより軌道データを求めて指令データ入力部11に送る。なお、曲面加工において曲面を加工するためには、この加工モードを設定しておく必要があり、ステップST1ではこの設定された加工モードより軌道データが生成される。
【0023】
図3はそのような加工モードを示す説明図であり、同図(a)にはXY平面上でジグザクに定義した軌道データによるジグザグ加工モードが、同図(b)にはXY平面上で渦巻き状に定義した軌道データによる渦巻き加工モードがそれぞれ示されている。いずれにしても、ピッチなどのデータを与えて加工モードを設定すれば工具を移動させるための軌道が決まり、所定速度で加工すべき軌道データが点OP1から点OP2、点OP2から点OP3、点OP3から点OP4、・・・・というように、XY平面上の軌道として求められる。このように、ステップST1では、与えられた加工モードに応じて分割された軌道データを軌道データ生成部10にて計算し、算出されたそれぞれの軌道データを指令データ入力部11より読み込む。
【0024】
なお、上記図3の例では、軌道データが複数の直線によるものである場合についてに示したが、円弧やスプライン曲線を軌道データとしてもよいことはいうまでもない。
【0025】
次に、ステップST2において、現在の工具位置指令点から終点位置までの距離を速度パターン生成部17の終点距離計算部12にて計算する。ここで、図4は現在指令位置から終点位置までの距離計算の概念を示す説明図である。この図4において、点OP1から点OP2までの軌道データTRJが求められているものとする。そのとき、この軌跡データTRJを曲面S上に投影したものが曲線CVであり、その始点をSP、終点をEPとする。
【0026】
ここで、XY座標値を与えて曲面CV上の点を求めることは容易である。工具Tは点OP1に対応する始点SPから、点OP2に対応する終点EPまでの曲線CV上を走行することになる。したがって、この工具Tの工具中心位置TPのXY座標値は、点OP1から点OP2までの軌道データTRJ上、すなわち始点SPから終点EPまでの曲線CV上にあり、曲面Sと接するように配置される点である。なお、工具Tを曲線CVの終点EP上に配置した時の工具中心位置をTEPとする。図2のステップST2では、これら工具中心位置TPとTEPとの間の距離Leを計算する。
【0027】
次に、ステップST3からST5において、速度指令出力部13にて工具が終点に正確に停止できるように工具Tの送り速度Vcomを制御し、速度指令Voutを出力するまでの処理を行う。ここでは、ステップST3において、まず減速すべきか否かを、現在の速度指令VcomとサンプリングタイムΔTから、次の式(1)を用いて判定する。
Vcom * ΔT < Le (1)
【0028】
判定の結果、上記式(1)を満たしていなければステップST4に分岐し、満たしていればステップST5に分岐する。ステップST4では、終点までの距離Leに応じて、次の式(2)を用いて速度指令Voutを算出し、加減速制御部14に出力した後、ステップST6に進む。
Vout = Le/ΔT (2)
【0029】
また、ステップST5においては、与えられた送り速度Vcomをそのまま速度指令Voutとして加減速制御部14に出力した後、ステップST6に進む。
【0030】
ステップST6では、加減速制御部14がこの速度指令出力部13より受けた速度指令Voutの加減速制御を行い、速度指令Vsを計算して補間点計算部15に出力する。なお、この加減速制御としては、例えば台形加減速方式が用いられる。この台形加減速方式は、始点より工具Tの速度を順次上げてゆき、所定の速度Fに達するとその速度Fを保持して、工具Tの位置が終点に近くなると順次速度を落としてゆく、図5に示すような速度変化を制御するものである。すなわち、加減速制御部14は工具Tの位置と目標位置である終点の位置とを常に監視しておき、工具Tが終点に近付いたときには工具Tの移動速度を減速させる。
【0031】
次に、ステップST7において、速度指令VsとサンプリングタイムΔTの積Vs*ΔTに相当する距離だけ離れた次の工具位置座標値を、補間点計算部15にて算出する。図6はこの補間点計算部15および工具干渉計算部16による補間点算出処理の手順を示すフローチャートである。当該補間点算出処理が開始されると、補間点計算部15が、まずステップST10において、速度指令VsとサンプリングタイムΔTから距離ΔLを計算する。次いでステップST11において、XY平面上の軌道データTRJの上で現在位置点よりその距離ΔLだけ離れた点を求める。
【0032】
ここで、図7はこの距離ΔLだけ離れた点を求めるための処理の概念を示す説明図であり、同図(a)はYZ平面、同図(b)はXY平面について示したものである。この図7において、現在、工具はXY平面上で点tp0に配置されており、そのときの曲面S上における工具中心座標値をTP0とする。したがって、このステップST11にて求まる点は、点tp0より距離ΔLだけ離れた点tp1である。
【0033】
次にステップST12に進み、曲面S上の上記ステップST11で求めた点tp1のXY座標値に、工具Tを上方より配置する。なお、そのとき工具干渉計算部16によって、後述する方法による干渉チェックを行ってからこの工具Tの配置が行われる。このようにして工具Tを配置した時の工具中心座標値をTP1とする。次にステップST13において、現在の工具位置と次の工具侯補位置との距離ΔLtを求める。次にステップST14において、このステップST13で求めた距離ΔLtとステップST10で求めた距離ΔLとの差と、あらかじめ定められた所定の微小量εとの比較を行う。その結果、距離ΔLtとΔLの差が微小量εよりも小さければステップST15に進み、微小量ε以上であればステップST16に進む。
【0034】
ステップST15では、次の工具侯補位置を次の補間点として出力し、この補間点算出処理を終了する。一方、ステップST16では、XY平面の軌道データTRJ上において次の候補点を再度計算する。このステップST16が終了すると処理をステップST12に戻し、それ以降の一連の処理を繰り返す。なお、XY平面の軌道データTRJ上において次の候補点を求めるには、例えば二分法を用ればよい。この繰り返し計算によって、距離ΔLにもっとも近い位置が次の工具侯補位置として得られる。
【0035】
ここで、図8は図1に示した工具干渉計算部16による、図6に示したステップST12における工具干渉回避の一般的な方法の概念を示す説明図である。この図8では、XY平面上でtp0 ≧ tp1 ≧ tp2 ≧ ・・・・ ≧ tpnとなり、工具中心座標値はTP0 ≧ TP1 ≧ TP2 ≧ ・・・・ ≧ TPnとなるため、最終的な補間点としてはTPnが採用される。この干渉回避の問題は、XY座標値を与えて工具TをそのXY座標に曲面Sの上方に配置し、徐々に曲面Sに向かって工具を下ろしていったときに、最初に曲面Sに接触するZ座標値を求める問題である。図8(a)は工具Tを対象曲面Sに投影して、干渉する曲面S上の多数のサンプル点と工具Tとの干渉をチェックし、工具Tが曲面Sと接する工具中心座標値TP0を求める方法である。また、同図(b)は曲面Sのオフセット曲面Sofstを求めておき、工具Tの工具中心座標値TP0をこのオフセット曲面Sofstから得る方法である。この発明ではどちらの干渉回避方法を使用してもよい。
【0036】
以上のようにして、図2に示したステップST7における補間点算出の処理が終了すると、次にステップST8に進んで、補間点計算部15より出力された次の工具位置座標値と現在の工具位置座標値の差から、X,Y,Zそれぞれの軸方向におけるパルス数ΔX,ΔY,ΔZを計算し、サーボ制御系にそのデータを渡す。次にステップST9において、終点まで到達したか否かの判断を行う。このステップST9における終点到達の判断は、上記ステップST2で求めた終点までの距離Leがゼロならば終点に到達したと判断して一連の処理を終了し、そうでなければステップST2に処理を戻す。
【0037】
このようにして、この実施の形態1の数値制御システムによれば、図4に示すように、始点SPから終点EPまで、干渉回避された工具軌跡を生成することができる。
【0038】
以上のように、この実施の形態1によれば、所定のサンプリングタイムΔT毎に実時間で、曲面Sとの干渉が回避された補間点が得られ、その変化量が直接サーボ制御系に、X,Y,Zの各軸のパルスデータとして供給されるので、従来の加工方法のように、あらかじめCAD/CAMシステムでNCデータを作成する必要がなくなり、能率のよい曲面加工を実現することができるとともに、現場での工具変更などにも即座に対応することが可能になるという効果が得られる。
【0039】
実施の形態2.
図9はこの発明の実施の形態2による数値制御システムを示すブロック図である。図において、10は軌道データ生成部、11はデータ入力手段としての指令データ入力部、12は終点距離計算部、13は速度指令出力部、14は加減速制御部、15は距離計算手段およびデータ出力手段としての補間点計算部、16は工具位置計算手段としての工具干渉計算部、17は速度パターン生成部で、図1に同一符号を付して示した各部に相当するものである。
【0040】
また、18は工具の現在位置と曲面データから設定すべき速度指令を計算して速度指令出力部13を制御する周辺曲面状態監視部であり、曲面形状の評価を行って減速すべき領域をあらかじめ求めておく曲面評価手段、および工具位置がその減速すべき領域に近づいたときに、速度パターン生成部17の速度指令出力部13に対して減速した速度指令の生成を指示する速度指示手段として機能している。なお、この実施の形態2における上記速度指令出力部13は、実施の形態1のそれと同様に、終点からの距離に応じて速度指令値を制御するが、周辺曲面状態監視部18からの速度指令を優先して出力する。
【0041】
次に動作について説明する。
なお、基本的な動作は実施の形態1の場合と同様であるため、ここでは周辺曲面状態監視部18による曲面状態監視処理を中心に説明する。図10はその曲面状態監視処理の手順を示すフローチャートである。周辺曲面状態監視部18は、まずステップST20において、与えられた曲面データからあらかじめ減速すべき部分を特定しておく。次にステップST21に進み、特定しておいた減速すべき部分において曲面の曲率を計算し、その計算結果を保持しておく。以上がこの周辺曲面状態監視部18が初期状態において行う処理である。
【0042】
ここで、図11は上記ステップST20にて特定された減速すべき部分を示す説明図であり、曲面S上で減速すべき部分を求めた結果、領域A1から領域A6が減速すべき領域と判断されて特定されたことを意味している。なお、図中のTRJは渦巻き状に定義された軌道データである。また、図12は上記特定された減速すべき部分の具体的な形状の例を示した説明図である。図中の部分A11〜A14がその減速すべき部分であり、図12(a)に示した部分A11,A12は曲面S1の曲率が大きい部分、同図(b)に示した部分A13は曲面S1が不連続な部分、同図(c)に示した部分A14は立ち壁の部分である。このような部分A11〜A14では工具の移動を減速させるべきであり、周辺曲面状態監視部18はステップST20において、あらかじめこの部分A11〜A14を認識して、減速すべき部分として特定しておく。
【0043】
周辺曲面状態監視部18は上記初期状態において行う処理が終了すると、以下に説明するステップST22からST25までの処理を繰り返し実行する。すなわち、ステップST22では現在の工具座標値を入力する。次にステップST23にて減速すべき部分と工具位置との距離を求める。このとき、すべての減速領域との計算は行わず、工具に近い減速領域だけを対象として計算すれば計算に要する時間を短縮できる。次にステップST24に進み、ステップST23で求めた減速すべき部分と工具位置との距離より、工具が減速領域に近いか否かを判定する。判定の結果、近くなければそのままステップST22に処理を戻す。一方、減速領域に近ければステップST25に分岐して、ステップST21で保持しておいた曲率データに応じた速度指令を速度指令出力部13に送出した後、ステップST22に処理を戻す。
【0044】
このように、この実施の形態2によれば、実施の形態1の場合と同様に、能率のよい曲面加工を行うことができ、現場での工具変更などにも即座に対応することが可能になるとともに、曲面の減速すべき部分に応じて工具の移動速度を減速させることができるので、精度のよい曲面加工を行うことができるという効果が得られる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、所定のサンプリングタイム毎に工具の現在位置から次に配置すべき位置までの補間点が、曲面との干渉が回避されて実時間で得られ、その変化量が直接サーボ制御系に、X,Y,Zの各軸のパルスデータとして供給されるため、従来の加工方法のように、あらかじめCAD/CAMシステムでNCデータを作成しておく必要がなくなって、NCデータの作成と、そのNCデータを用いた曲面の加工という二つのプロセスにかかる時間が短縮されて、全体として能率のよい曲面加工を行うことができる数値制御システムが得られるとともに、現場での工具変更などにも即座に対応できる効果がある。
【0046】
また、この発明によれば、減速すべき領域を特定しておき、工具位置がその領域に近づくと、減速した速度指令を生成するようにしているので、曲面の減速すべき部分に応じて工具の移動速度を減速させることが可能となり、より精度の高い曲面加工を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による数値制御システムを示すブロック図である。
【図2】実施の形態1における全体動作の手順を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1における加工モードを示す説明図である。
【図4】実施の形態1における現在指令位置から終点位置までの距離計算の概念を示す説明図である。
【図5】実施の形態1における加減速制御を説明するための説明図である。
【図6】実施の形態1における補間点算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1における、距離ΔLだけ離れた点を求めるための処理の概念を示す説明図である。
【図8】実施の形態1における工具干渉回避の一般的な方法の概念を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態2による数値制御システムを示すブロック図である。
【図10】実施の形態2における曲面状態監視処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】実施の形態2における特定された減速すべき部分を示す説明図である。
【図12】実施の形態2における特定された減速すべき部分の具体的な形状の例を示す説明図である。
【図13】従来の数値制御システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
11 指令データ入力部(データ入力手段)、15 補間点計算部(距離計算手段,データ出力手段)、16 工具干渉計算部(工具位置計算手段)、17速度パターン生成部(工具移動速度指令生成部)、18 周辺曲面状態監視部(曲面評価手段,速度指示手段)。
Claims (3)
- 加工対象の三次元の曲面データ、工具データ、工具を移動させるための軌道データを含む数値制御加工に必要なデータの入力を受けるデータ入力手段と、
前記データ入力手段より入力されたデータに基づいて、前記軌道データ上の工具の速度指令を生成する工具移動速度指令生成部と、
前記工具移動速度指令生成部の生成した速度指令に基づく速度とサンプリングタイムから、前記工具の次の位置までの距離を算出する距離計算手段と、
前記工具の進行方向に前記距離計算手段の算出した距離分だけ離れた次の工具位置を、加工対象の三次元の曲面と工具の干渉を回避して算出する工具位置計算手段と、
現在の工具位置と前記工具位置計算手段の算出した次の工具位置から得られるX,Y,Z軸変化量をサーボ制御系に渡すデータ出力手段とを備えた数値制御システム。 - 工具移動速度指令生成部は、工具位置計算手段が算出した現在の工具位置と軌道データ上の目標位置に対する工具位置とを常に監視し、工具の現在位置が目標位置に近づいたときは減速した速度指令を生成することを特徴とする請求項1記載の数値制御システム。
- 加工対象の三次元の曲面データ、工具データ、工具を移動させるための軌道データを含む数値制御加工に必要なデータの入力を受けるデータ入力手段と、
前記データ入力手段より入力されたデータに基づいて、前記軌道データ上の工具の速度指令を生成する工具移動速度指令生成部と、
前記工具移動速度指令生成部の生成した速度指令に基づく速度とサンプリングタイムから、前記工具の次の位置までの距離を算出する距離計算手段と、
前記工具の進行方向に前記距離計算手段の算出した距離分だけ離れた次の工具位置を、加工対象の三次元の曲面と工具の干渉を回避して算出する工具位置計算手段と、
前記加工対象の三次元の曲面の形状を評価して、前記工具の速度を減速すべき領域をあらかじめ求めておく曲面評価手段と、
前記曲面評価手段の求めた減速すべき領域と工具位置との距離に基づいて、減速すべき領域に工具位置が近づいたと判定したときは、前記工具移動速度指令生成部に減速した速度指令の生成を指示する速度指示手段と、
現在の工具位置と前記工具位置計算手段の算出した次の工具位置から得られるX,Y,Z軸変化量をサーボ制御系に渡すデータ出力手段とを備えた数値制御システム。
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