JP3614488B2 - 床置式空気調和機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は床置形空気調和機に関するもので、詳しくは熱交換器での風速分布の改善及び吹出口での水平風向変更板等への結露を防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(従来例1)
図17は従来の床置形空気調和機を示す縦断面図である。図において、1は空気調和機本体で、前面下部に設けられた本体吸込口2、前面上部に設けられた本体吹出口3、本体背面を形成するリアパネル4、本体前面のフロントパネル5等で構成されている。6はリアパネル4の下部に取り付けられたケーシングで、このケーシング6の内部に一端がリアパネル4で支持されたモータ7が収納されると共に、モータ7の他端、軸の先端にはファン8が装着されている。6aは本体吸込口2に対向するケーシング吸込口、6bは本体内上部に向かって開口するケーシング吹出口、9はケーシング6の上方にリアパネル4側に傾斜して配設された熱交換器である。
【0003】
次に動作を説明する。モータ7によりファン8が駆動されると、室内空気が本体吸込口2からケーシング吸込口6aに吸い込まれ、吸い込まれた空気はファン8によりケーシング吹出口6bから送出され、熱交換器9を通過することにより冷媒と熱交換した後本体吹出口3から室内へ吹き出される。この場合、本体吹出口3が本体前面上部に位置し、かつファンが本体背面のリアパネル4側に固着されているので熱交換器9を通過する空気の速度はリアパネル4に近い側、即ち熱交換器9の上部が速く、リアパネル4から離れた熱交換器9の下部では遅くなり風速分布が均一にならない。そのため熱交換器9の性能が最大限に活用されていない。
【0004】
熱交換器9の風速分布を改善する方法として、例えば図18に示すようにケーシング吹出口6bの上方に風を熱交換器9の中央側へ導く導風板10を設けることが提案されているが、固定方法が複雑で組立性が悪く価格が高くなり、強制的に風を偏向させているので風路圧力損失が大で音が大きくなるという問題点があり解決策として満足なものではない。
【0005】
(従来例2)
図19は他の従来の床置形空気調和機を示す縦断面図、図20は同要部斜視図である。図において、符号1〜3、8、9は従来例1と全く同一のものでありその説明は省略する。16は吹出口3の幅方向ほぼ全幅に設けられた吹出風の上下方向に風向を変更する水平風向変更板、17は吹出口3の縦方向ほぼ全長に設けられた左右方向に風向を変更する垂直風向変更板、18は垂直風向変更板17の下端部に設けられ、垂直風向変更板17を連結する連結アーム、19はこの連結アーム18の駆動モータで、垂直風向変更板17の軸受と共に吹出口3の下側のユニット内部流体案内壁20に収納されている。
【0006】
次に動作について説明する。本体1の前面下部に設けられた吸込口2よりファン(送風機)8により吸い込まれた空気は熱交換器9により冷媒と熱交換して吹出口3から室内へ吹き出される。この吹出口3に設けられた複数の水平風向変更板16により調和空気を上下に風向変換し、室内の空調条件によって吹出空気の上下の方向を調整する。また、吹出口3に設けられた複数の垂直風向変更板17が駆動モータ19により連結アーム18を介して左右に自動的に駆動され吹出空気を左右に拡散させる。空気調和機本体1の吹出口3真下の前面外壁と内壁20の間には、垂直風向変更板17の軸受部とその下に駆動モータ19が収納されているために、内壁20は吹出口3近くで内側にふくらむ形状となり、熱交換器9で熱交換された空気A(A1 ,A2 )、Bの中内壁20に沿って流れる空気A(A1 ,A2 )は吹出口3の上部に押し上げられるため吹出口3下部の風量は少なくなると共に、垂直風向変更板17の連結アーム18によって乱される。そのため、吹出口3周囲の高湿度の暖気Cが風量が少なく、かつ乱れた吹出口3下部から本体内部へ巻き込まれ水平風向変更板17及び内壁20に結露が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の床置形空気調和機は以上のように構成されているので、次のような問題点があった。
(従来例1の問題点)
(1)熱交換器9での風速分布が均一でないため、性能を最大限に活用できず熱交換器9を大形にしなければならなかった。
(2)また、熱交換器9での風速分布が均一でないため、風速が大の上部で圧力損失が生じ、騒音が大きくなる。
(3)吹出口3から室内へ吹き出される空気の風速分布も必然的に均一でなくなり、風の乱れによって冷房運転時に吹出口3に露付き(結露)が生じる。
(4)導風板10による改善案は固定方法が複雑で組立性が悪く価格高となる上に、強制的に風を偏向させるため風路圧力損失が大きく、騒音も大きくなる。
【0008】
(従来例2の問題点)
(1)吹出口3周囲の室内の高湿度の暖気Cは、風量が少なく、かつ乱れているため、吹出口下部から本体内部に巻き込まれ、水平風向変更板16及び内壁20に結露し、本体外部に露が流れ出る恐れがあった。
(2)結露防止のためには、水平風向変更板16及び内壁20等に植毛加工または断熱材等を貼付ける必要があるが価格が高く、吹出口3の清掃性が悪くなる。
【0009】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、構造が複雑で価格高な風の偏向装置を用いることなく、熱交換器を通過する空気の風速分布が均一な床置形空気調和機を提供すること。
吹出口の風速分布が均一で水平風向変更板及び内壁の結露を防止できると共に、万一結露した場合でも本体の内部に露を回収できる床置形空気調和機を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の床置式空気調和機は、本体前面下部に設けられた上流側の吸込口から本体前面上部に設けられた下流側の吹出口の間に、上流側から順に送風機、熱交換器を配設し、吹出口に水平風向変更板と垂直風向変更板を有する床置形空気調和機において、吹出口下部の本体前面壁に、熱交換器の上方の本体前面垂直壁を沿って流れる風を水平風向変更板と吹出口下部の間に導く流体案内壁を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2の床置式空気調和機は、請求項1記載のものにおいて、垂直風向変更板の上端部に設けられた連結アームと、本体天面壁前部に収納された垂直風向変更板を駆動する駆動モータと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項3の床置式空気調和機は、請求項2記載のものにおいて、流体案内壁の上面に立設され、風を吹出口から正面に吹き出すように整流するとともに垂直風向変更板の軸受けを兼ねる固定風向板を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項4の床置式空気調和機は、請求項1記載のものにおいて、流体案内壁は、吹出口下部前縁部近傍から本体前面垂直壁に向かって円弧状に形成されることを特徴とする。
【0016】
請求項5の床置式空気調和機は、請求項1記載のものにおいて、流体案内壁と垂直壁との接続部に設けられ、段差を形成する抵抗壁を備えたことを特徴とする。
【0019】
【作用】
請求項1の床置式空気調和機は、本体前面垂直壁を沿って流れる風が水平風向変更板と吹出口下部の間に導かれる。
【0020】
請求項2の床置式空気調和機は、連結アームと駆動モータ収納部を通過する空気の風速は大きい。
【0021】
請求項3の床置式空気調和機は、風が吹出口から正面に吹き出される。
【0022】
請求項4の床置式空気調和機は、円弧状の流体案内壁が本体前面垂直壁を沿って流れる風を水平風向変更板と吹出口下部の間に導く。
【0023】
請求項5の床置式空気調和機は、本体前面垂直壁を沿って流れる風の一部がジャンプして吹出口中央から吹き出される。
【0024】
【実施例】
実施例1.
(実施例1の概要)
従来の床置形空気調和機は、送風機がリアパネル下部に収納され、本体吹出口が本体前面上部に位置するので、必然的にリアパネルに沿って流れる空気の速度が最も大きくなり、熱交換器を通過する空気の風速分布を不均一にしていたが、この実施例はその風速が最も大きくなるリアパネルに沿う風路に本体内部に突出する三角形状のガイド(偏向手段)を設けることにより、リアパネルに沿って流れる空気を熱交換器側(本体中央部側)へ偏向させることにより、熱交換器を通過する空気の風速分布を均一化する。
【0025】
以下、この発明の実施例1を図について説明する。図1はこの発明の実施例1による床置形空気調和機の縦断面図である。図において、符号1〜9は従来の装置と全く同一のものであり、その説明は省略する。11はケーシング吹出口6bの上方でリアパネル4の内壁に設けられた本体内部に突出する三角形状(突起形状)のガイドである。
【0026】
次に動作について説明する。モータ7がファン8を駆動すると室内空気が本体吸込口2からケーシング吸込口6aに吸い込まれ、ファン8によりケーシング吹出口6bから熱交換器9へ向かって送り出される。最も風速の大きいリアパネル4に沿って上方へ流れる空気はリアパネル4に固着された三角形状のガイド11によって風向が変えられて、本体中央部の熱交換器9側へ偏向されるので、この風速の大きい熱交換器9側へ偏向された流れに空気全体が引っぱられて熱交換器9へ向かい、熱交換器9を通過する空気の風速分布が均一になる。
【0027】
この実施例によれば、送風機のケーシング吹出口6bの上方で、リアパネル4の内壁に三角形状のガイド(風の偏向手段)11を設けたので、最も風速の大きいリアパネル4に沿って流れる空気を熱交換器9側へ偏向させて、空気全体の流れを熱交換器9へ向かうようにしたので、熱交換器9を通過する空気の風速分布を均一にすることができ熱交換器9の性能を効率良く活用でき、容量を小さくする効果を奏すると共に、熱交換器9を通過する際の圧力損失が低減し、騒音が小さくなるという効果を奏する。さらに、風の偏向手段は三角形状のガイド11をリアパネル4の内壁に固着するだけの簡単な構造なので、組立性が良く安価である。
【0028】
実施例2.
実施例1では、リアパネル4の内壁に別部品である三角形状のガイド11を取り付けるものを示したが、図2に示すようにリアパネル4に一体に突起形状(三角形状)のガイドを形成しても良い。これにより、部品点数が減ると共に組立性が更に良くなり安価になる。
【0029】
実施例3.
実施例1、2では偏向手段が断面三角形状のものを示したが、図3に示すように断面舌形状(湾曲形)の滑らかなガイド11をリアパネル4に取り付けても良い。ガイド11が滑らかな湾曲形をしているため曲がり抵抗が小さく風量特性を低下させることなく熱交換器9を通過する空気の風速分布を均一化することができる。
【0030】
実施例4.
実施例1〜3では、偏向手段であるガイド11をリアパネル4に取り付けたものを示したがリアパネル4の他にフロントパネル5に取り付けても同様の効果を奏する。
図4はこの発明の実施例4を示す床置形空気調和機の縦断面図であり、図において、ガイド11はリアパネル4の他にフロントパネル5にも取り付けられている。上記実施例と同様ファンケーシング吹出口6bから送り出された空気はリアパネル4に取り付けられたガイド11によって偏向されて熱交換器9に向かうが、熱交換器9を通過した空気がフロントパネル5に取り付けられたガイド11により熱交換器9側へ曲げられ、より一層熱交換器9を通過する空気の風速分布を均一化できると共に、本体吹出口3を通過する空気の風速分布を改善することにより冷房運転時の本体吹出口3における露付き(結露)を防止できる。
【0031】
実施例5.
実施例1〜4ではリアパネル4にガイド11を1箇所取り付けたものを示したが、図5に示すようにリアパネル4の上下2箇所にガイド11を取り付けることによりさらに熱交換器9での風速分布を改善することができる。
以下、この発明の実施例5を図について説明する。図5はこの発明の実施例5による床置形空気調和機の縦断面図、図6は同外形斜視図、図7はガイド11の取り付け状態を示す透視図である。
【0032】
ガイド11が1箇所だけの場合は、リアパネル4の下側にガイド11を取り付けると熱交換器9の下側は風が流れ、風速分布が改善されるが、熱交換器9の中間付近に風が流れなくなる。反対にリアパネル4の上側にガイド11を取り付けると熱交換器9の中間付近は風が流れ、風速分布が改善されるが、熱交換器9の下側に風が流れなくなる。それに対し、図5に示すように、ガイド11を2箇所、リアパネル4の上側と下側に幅方向全幅に取り付けることにより熱交換器9の下側にも中間にも風が流れるため、熱交換器9全体の風速分布を改善することができる。ガイド11の大きさは大きければ大きいほど風を曲げる効果があるが、その分圧力損失が大きくなり、音が大きくなるという問題が生じるため、風量と風路の大きさにより適度の大きさが決まる。この実施例ではガイド11の高さは風路の幅に対し10%程度としており、圧力損失を抑え風速分布の改善を実現している。
【0033】
この実施例によれば、リアパネル4の上下2箇所にガイド11を幅方向全幅に取り付けることにより、熱交換器9の下部及び中間部にも空気が流れるので熱交換器9全体の風速分布を改善することができる。
【0034】
実施例6.
実施例5では、ガイド11をリアパネル4に上下2箇所幅方向全幅に取り付けたものを示したが、全幅ではなく中央部に取り付けることにより必要最小限の圧力損失増で最も効果的な熱交換器9の風速分布を改善することができる。
図8はこの発明の実施例6による床置形空気調和機のガイドの取り付け状態を示す透視図である。図に示すように、この実施例ではガイド11がリアパネル4の幅方向全幅ではなく中央部に設けられているので、熱交換が最も盛んに行なわれる熱交換器9の中央部の風速分布を改善することができ、必要最小限の圧力損失増で最も効果的な熱交換器9の風速分布の改善を行なうことができる。
【0035】
実施例7.
上記実施例では、ガイド11をリアパネル4の上、下に2箇所取り付けたものを示したが、図9のようにリアパネル4の左右、上下に複数箇所にガイド11を配置しても良く、送風機の仕様によりリアパネル4を流れる風速にばらつきがある場合、それに合わせ最適な位置にガイド11を取り付けることで効果的に熱交換器9の風速分布を改善することができる。
【0036】
実施例8.
上記実施例では、ガイド11をリアパネル4に水平に取り付けたものを示したが、図10に示すように水平ではなく傾斜をつけて取り付けても良く、特にケーシング吹出口6bから吹き出される風の主流方向が垂直でなく傾きを有する場合に有効である。
【0037】
実施例9.
上記実施例では、ガイド11がリアパネル4に固定されているものを示したが、図11に示すように風量に応じて、傾き、リアパネル4への取付位置を自動的に変更できるものである。
ガイド11の取付位置、大きさが固定されていると、ある風量に対しては熱交換器9を通過する風速の分布を最適に改善することができるが、風量が変化すると風の偏向の具合が変化するため分布が悪くなる。しかし、ガイドの傾き、取付位置が変わる機構にすれば、どのような風量に対しても風速分布を改善することができる。
【0038】
実施例10.
図12に示すように、ガイド11の形状を熱交換器9との隙間が上方に行くに従い徐々に狭くなるようにしたもので、突起形状のガイド11を取り付けた場合と同様の効果を奏する。
【0039】
実施例11.
(実施例11の概要)
従来の床置形空気調和機は、熱交換器で熱交換されて本体前面の内壁に沿って流れる空気が内壁のふくらみによって上部に押し上げられ、かつ垂直風向変更板の連結アームが流れが乱されるために、室内の暖気を本体内に吹出口下部から巻き込むために水平風向変更板や内壁に結露することがあったが、この実施例ではこの問題点を解決するために、垂直風向変更板の連結アームを吹出口の上部に配置すると共に、その駆動モータを吹出口真上の本体天面前部に移動し、かつ吹出口真下の本体内壁を円弧状の流体案内壁とすることにより吹出口下部から吹出される風量を従来のものより多くして、室内の暖気を本体内部へ巻き込むことを防止するものである。
【0040】
以下、この発明の実施例11を図について説明する。図13はこの発明の実施例11による床置形空気調和機の縦断面図、図14は同要部斜視図、図15は同空気の流れを示す正面図である。図において、符号1〜3、8、9、16〜19は従来の装置と全く同一のものでありその説明は省略する。但し垂直風向変更板17の連結アーム18は、該垂直風向変更板17の上端部に位置し、かつ駆動モータ19は本体天面前部に収納されている点が異なる。
21は本体(ユニット)前面内壁の中央付近に形成されたユニット内部垂直内壁、22は吹出口3の下辺前縁部からユニット内部垂直内壁21に設けられた円弧状の流体案内壁、24はこの円弧状の流体案内壁22に設けられた固定風向板である。
【0041】
次に動作について説明する。連結アーム18及び駆動モータ19は吹出口3の上部に位置するが、送風機(ファン)8からユニット背面に沿って上方に送り出される空気は風速が大きく、この風速の大きい空気(図13の太線矢印B)がユニット天面に当って吹出口3上部から室内に吹出されるので、連結アーム18及び駆動モータ19を収納するための本体天面前部のふくらみの影響による気流の乱れは少ない。
連結アーム18と駆動モータ19を吹出口3の上部に移動したことにより、吹出口3の下部前縁部から垂直内壁21にかけて円弧状の流体案内壁22を設けてここに従来の装置には無い新たな吹出口3下部に連結した風路が形成される。熱交換器9の下部を通過して垂直内壁21に沿って流れる風(図13の太線矢印A)は円弧状の流体案内壁22に案内されて吹出口3の下部から吹出されるので、吹出口3下部の風量が従来のものより増加し、吹出口3周囲の高湿度の室内暖気(図13の太線矢印C)をユニット内部に巻き込むことがなく、水平風向変更板16及び流体案内壁22への結露を防止することができる。
【0042】
そして、吹出口3周囲の空気条件が非常に悪く万一水平風向変更板16に結露した場合でも吹出口下部前縁部から円弧状に形成された流体案内壁22に落下した露は自然にユニット内部に回収され空気調和機本体1の外部に流れ出ることはない。
【0043】
図14に示すように、円弧状の流体案内壁22には、垂直に立設された固定風向板24が設けられていて、この固定風向板24は送風機(ファン)8の回転方向(空気調和機の右か左)に流れようとする風(図15)を正面に向って吹き出すように整流すると共に、垂直風向変更板17の軸受17aを兼ねている。
なお、円弧状の流体案内壁22及び固定風向板24は合成樹脂で一体に成形されている。
【0044】
この実施例では垂直風向変更板17の連結アーム18とその駆動モータ19を風速が大きく乱れを生じない吹出口3上部に配置し、吹出口3下部の本体内壁を円弧状の流体案内壁22とすることにより、吹出口3下部から吹出される空気の風量を従来のものより多くなるようにしたので、室内の暖気を本体内部へ巻き込むことがなく、水平風向変更板16や流体案内壁22に結露するのを防止できる。そして、吹出口3周囲の空気条件が悪く万一水平風向変更板16に結露した場合でも円弧状に形成された流体案内壁22に露が落下するので露は自然に本体内部に回収され、本体外部に流出することはない。
【0045】
実施例12.
(実施例12の概要)
実施例11で説明したように、吹出口の下部に円弧状の流体案内壁を設けると、吹出口下部の風量が増加して、機種によっては吹出口中央部の風量が低下して吹出口全体の風速分布が均一にならない場合がある。そこで、流体案内壁と垂直壁との接続部に段差となる抵抗壁を設け垂直内壁に沿って流れる風の一部を吹出口の中央にジャンプさせ吹出口全体の風速分布を均一化する。
【0046】
以下、この発明の実施例12を図について説明する。図16はこの発明の実施例12による床置形空気調和機の部分縦断面図である。図において、23は流体案内壁22と垂直壁21の接続部に設けられた段差である抵抗壁である。
【0047】
垂直壁21に沿って流れる風(図16の太線矢印A)の一部は、抵抗壁23によって一部がジャンプして吹出口3中央部から吹出されるので、吹出口3全体の風速が均一化すると共に、流体案内壁22の実施例11で説明した効果は損なわれない。
【0050】
【発明の効果】
請求項1の床置式空気調和機は、本体前面下部に設けられた上流側の吸込口から本体前面上部に設けられた下流側の吹出口の間に、上流側から順に送風機、熱交換器を配設し、吹出口に水平風向変更板と垂直風向変更板を有する床置形空気調和機において、吹出口下部の本体前面壁に、熱交換器の上方の本体前面垂直壁を沿って流れる風を水平風向変更板と吹出口下部の間に導く流体案内壁を備えた構成にしたので、吹出口下部の風量が増加し、室内の暖気を本体内部に巻き込むことがなく吹出口の露付きを防止できる。
【0051】
請求項2の床置式空気調和機は、請求項1記載のものにおいて、垂直風向変更板の上端部に設けられた連結アームと、本体天面壁前部に収納された垂直風向変更板を駆動する駆動モータとを備えた構成にしたので、連結アーム及び駆動モータ収納部を通過する空気は風速が大きいので乱れを生じることがなく、かつ吹出口下部に流体案内壁の形成を可能にする。
【0052】
請求項3の床置式空気調和機は、請求項2記載のものにおいて、流体案内壁の上面に立設され、風を吹出口から正面に吹き出すように整流するとともに垂直風向変更板の軸受けを兼ねる固定風向板を備えた構成にしたので、吹出口正面に風を吹き出すことができる。
【0053】
請求項4の床置式空気調和機は、請求項1記載のものにおいて、流体案内壁が吹出口下部前縁部近傍から本体前面垂直壁に向かって円弧状に形成された構成にしたので、吹出口下部の風量が増加し、室内の暖気を本体内部に巻き込むことがなく吹出口の露付きを防止でき、万一結露した場合でも露を本体内部に回収できる。
【0054】
請求項5の床置式空気調和機は、請求項1記載のものにおいて、流体案内壁と垂直壁との接続部に設けられ、段差を形成する抵抗壁を備えた構成にしたので、吹出口の風速分布を均一化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1による床置式空気調和機の縦断面図である。
【図2】この発明の実施例2による床置式空気調和機の部分縦断面図である。
【図3】この発明の実施例3による床置式空気調和機の部分縦断面図である。
【図4】この発明の実施例4による床置式空気調和機の縦断面図である。
【図5】この発明の実施例5による床置式空気調和機の縦断面図である。
【図6】この発明の実施例5による床置式空気調和機の外形斜視図である。
【図7】この発明の実施例5による床置式空気調和機のガイドの取り付け状態を示す透視図である。
【図8】この発明の実施例6による床置式空気調和機のガイドの取り付け状態を示す透視図である。
【図9】この発明の実施例7による床置式空気調和機のガイドの取り付け状態を示す透視図である。
【図10】この発明の実施例8による床置式空気調和機のガイドの取り付け状態を示す透視図である。
【図11】この発明の実施例9による床置式空気調和機のガイドの取り付け状態を示す透視図である。
【図12】この発明の実施例10による床置式空気調和機の縦断面図である。
【図13】この発明の実施例11による床置式空気調和機の縦断面図である。
【図14】この発明の実施例11による床置式空気調和機の要部斜視図である。
【図15】この発明の実施例11による床置式空気調和機の空気の流れを示す正面図である。
【図16】この発明の実施例12による床置式空気調和機の部分縦断面図である。
【図17】従来の床置式空気調和機(従来例1)の縦断面図である。
【図18】従来の床置式空気調和機(従来例1)の縦断面図である。
【図19】他の従来の床置式空気調和機(従来例2)の縦断面図である。
【図20】他の従来の床置式空気調和機(従来例2)の要部斜視図である。
【符号の説明】
1 本体、2 本体吸込口(吸込口)、3 本体吹出口(吹出口)、4 リアパネル、5 フロントパネル、6 ケーシング、8 ファン(送風機)、9 熱交換器、11 ガイド(偏向手段)、16 水平風向変更板、17 垂直風向変更板、18 連結アーム、19 駆動モータ、21 垂直壁、22 流体案内壁、23 抵抗壁、24 固定風向板。
Claims (5)
- 本体前面下部に設けられた上流側の吸込口から本体前面上部に設けられた下流側の吹出口の間に、上流側から順に送風機、熱交換器を配設し、前記吹出口に水平風向変更板と垂直風向変更板を有する床置形空気調和機において、前記吹出口下部の本体前面壁に、前記熱交換器の上方の本体前面垂直壁を沿って流れる風を前記水平風向変更板と吹出口下部の間に導く流体案内壁を備えたことを特徴とする床置式空気調和機。
- 垂直風向変更板の上端部に設けられた連結アームと、本体天面壁前部に収納された前記垂直風向変更板を駆動する駆動モータと、を備えたことを特徴とする請求項1記載の床置式空気調和機。
- 流体案内壁の上面に立設され、風を吹出口から正面に吹き出すように整流するとともに垂直風向変更板の軸受けを兼ねる固定風向板を備えたことを特徴とする請求項2記載の床置式空気調和機。
- 流体案内壁は、吹出口下部前縁部近傍から本体前面垂直壁に向かって円弧状に形成されることを特徴とする請求項1記載の床置式空気調和機。
- 流体案内壁と垂直壁との接続部に設けられ、段差を形成する抵抗壁を備えたことを特徴とする請求項1記載の床置式空気調和機。
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