JP3613779B2 - 発振回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、発振回路に関するものである。さらに詳しくは、2つのリングオシレータをクロスカップリングさせて動作を行う発振回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、リングオシレータを用いた発振回路としては、図7(a)に示すように、それぞれ奇数個のCMOSインバータ101a〜101cからなる2つのリングオシレータ102、103をインバータ104、105を用いてクロスカップリングさせて発振を行うものがある。この場合、CMOSインバータを用いてクロスカップリングさせているので、デューティ制御性が良い発振回路が実現できる。
【0003】
また、図8に示すような複数のカレントインバータ106よりなるリングオシレータもある。この場合、電流モードで信号の伝達を行うので、電流の積分である電圧モードで信号を伝達するCMOSインバータを用いたタイプに比べて高速化に向いている。また、カレントインバータは電源側またはグランド側のいずれかのトランジスタが定電流源になっているため、CMOSタイプよりスイッチングノイズが少ないという特徴を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者はCMOSインバータ101の拡大図である図7(b)に示したように、端子xより入力する制御バイアス入力により制御バイアスをかけるためのトランジスタ107を、電源−グランド間に設けられたPチャネルMOSトランジスタ108とNチャネルMOSトランジスタ109とからなるCMOSインバータ101に対して直列に挿入しなくてはならない。したがって、電源−グランド間にトランジスタが3個直列に接続することになり、電源電圧の低電圧化は困難となる。また、CMOSインバータを用いているので、スイッチングノイズの問題も有している。
【0005】
後者の場合、電源−グランド間に直列に接続されるPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタはすべて1個ずつとなるよう構成されているので、前者に比べて低電源電圧化に向いているが、CMOSインバータを用いていないのでデューティ制御性の点で前者に劣っている。
【0006】
そこで、後者のデューティ制御性を向上させるために、後者のリングオシレータを2つ用意し、それらをクロスカップリング用のカレントインバータを用いて前者のように反転出力を互いに生成・伝達し合うように図9(a)の如くクロスカップリングに接続しようとすると、その要部拡大図である図9(b)に示すようにセルフバイアスされた2つのトランジスタが1つの端子で接続されるため、動作不能に陥ってしまう。すなわち、前者のようにリングオシレータの互いの反転出力を供給し合うようにすると、動作しなくなってしまう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による発振回路は、定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を奇数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第1のリングオシレータと、定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を奇数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第2のリングオシレータと、上記第1のリングオシレータ内の一つの反転増幅回路の出力端子が、第2のリングオシレータ内の制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、上記第2のリングオシレータ内の一つの反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する第1の電流供給源と、第2のリングオシレータ内の上記一つの反転増幅回路の出力端子が、上記第1のリングオシレータ内の制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、第1のリングオシレータ内の上記一つの反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する第2の電流供給源とを備えることによって、すなわちそれぞれの第1および第2のカレントインバータ(定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路)の電流出力を反転せずに互いのカレントインバータの定電流源に流し込むことによって、カレントインバータからなるからなる2つのリングオシレータのクロスカップリングが実現できる。よって、低電源電圧化、高速動作化、低ノイズ化および良好なデューティ制御が同時に図れる。
【0008】
また、定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を奇数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第1のリングオシレータと、定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を、上記第1のリングオシレータ中の反転増幅回路にそれぞれ対応して、同数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第2のリングオシレータと、上記第1のリングオシレータ内の反転増幅回路の出力端子が、制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、上記第2のリングオシレータ内の対応する反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する複数の第1の電流供給源と、上記第2の反転増幅回路の出力端子が、制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、上記第1のリングオシレータ内の対応する反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する複数の第2の電流供給源とにより構成するようにしても良い。
【0009】
【発明の実施の形態】
本願の請求項1に係る発明は、定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を奇数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第1のリングオシレータと、定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を奇数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第2のリングオシレータと、上記第1のリングオシレータ内の一つの反転増幅回路の出力端子が、第2のリングオシレータ内の制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、上記第2のリングオシレータ内の一つの反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する第1の電流供給源と、第2のリングオシレータ内の上記一つの反転増幅回路の出力端子が、上記第1のリングオシレータ内の制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、第1のリングオシレータ内の上記一つの反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する第2の電流供給源とを備える発振回路である。
【0010】
本願の請求項2に係る発明は、定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を奇数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第1のリングオシレータと、定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を、上記第1のリングオシレータ中の反転増幅回路にそれぞれ対応して、同数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第2のリングオシレータと、上記第1のリングオシレータ内の反転増幅回路の出力端子が、制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、上記第2のリングオシレータ内の対応する反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する複数の第1の電流供給源と、上記第2の反転増幅回路の出力端子が、制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、上記第1のリングオシレータ内の対応する反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する複数の第2の電流供給源とを備える発振回路である。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
【0012】
図1において、1、2は第1、第2のリングオシレータである。第1のリングオシレータは、定電流源(T3)を有する3段のカレントインバータ(電流モードで動作する反転増幅回路)3a〜3c、及び第2の電流供給回路4a〜4cとからなり、カレントインバータ3a〜3cは、直列に接続され、最終段であるカレントインバータ3cの出力は最初の段であるカレントインバータ3aの入力に接続される。そして、第2のリングオシレータは、定電流源を有する3段のカレントインバータ(電流モードで動作する反転増幅回路)5a〜5c、及び第1の電流供給回路6a〜6cとからなり、カレントインバータ5a〜5cは、直列に接続され、最終段であるカレントインバータ5cの出力は最初の段であるカレントインバータ5aの入力に接続される。電流供給回路4a〜4cおよび6a〜6cはそれぞれカレントインバータ3a〜3cおよび5a〜5cに対応して設けてある。また、カレントインバータ3aと5aは1対1で対応しており、カレントインバータ3aは5bと、カレントインバータ3cは5cと1対1で対応している。なお、カレントインバータ3a〜3cおよび5a〜5cは同一構成なので、ここではカレントインバータ3の構成のみを説明し、その他の説明は省略する。
【0013】
カレントインバーター3aは、PチャネルMOSトランジスタT1、T2および定電流源を構成するNチャネルMOSトランジスタT3からなる。トランジスタT1、T2のソースは電源に接続してあり、それぞれのドレインはともに端子Aに接続してある。トランジスタT1のゲートは前段のカレントインバータ2の出力が入力するよう接続してある。トランジスタT2のゲートは、トランジスタT2のドレインと接続し、セルフバイアスしてある。トランジスタT3のソースはグランドに接続し、そのドレインは端子Aに接続してある。また、トランジスタT3のゲートには端子Yより入力する制御バイアス信号が入力する。
【0014】
電流供給回路4a〜4c、6a〜6cは、それぞれPチャネルMOSトランジスタで構成し、それらのソースは電源と接続し、それらのドレインはそれぞれ対応するカレントインバータ内の端子Aと接続してある。それらのゲートにはそれらが接続するカレントインバータと1対1で対応するカレントインバータの出力が入力する。
【0015】
次に、図2〜4を参照して動作原理を説明する。なお、図2〜4において、図1と同一番号のものは同一のものとするが、説明を簡単にするためにトランジスタT3を定電流源7として示してある。
【0016】
図2は、第1のリングオシレータ1内のカレントインバータ3aを示したものである。
【0017】
同図において、定電流源7を流れる定電流値をIcとすると、カレントインバータ3aは、入力側トランジスタT1の流す電流値IaをIcから除いた残りの電流値Ib=Ic−Iaに相当するカレントミラー電圧出力を出力側トランジスタT2において発生する。
【0018】
ここで、図3に示すように第2のリングオシレータ2を考え、カレントインバータ3aに対応するカレントインバータ5a内の定電流源7を流れる定電流値をIc’、入力側トランジスタT1の流す電流値をIa’とし、カレントインバータ5aの出力側トランジスタT2の出力電圧が電流値Ib’=Ic’−Ia’に相当するカレントミラー電圧出力である場合(Ic’=Ic)、これと同相の電流を対応するカレントインバータ3a内の定電流源7にそのまま流し込むと、カレントインバータ3a内の出力側トランジスタT2に流れる電流は、定電流値IcからIaとIb’を除いた残り、すなわちIb=Ic−Ia−Ib’となる。つまり、カレントインバータ3aの出力側トランジスタT2は、対応するカレントインバータ5aの出力側トランジスタT2とは逆相の電流変化を第2のリングオシレータ2によって促される。
【0019】
さらに、図4に示すようにカレントインバータ3aの出力をカレントインバータ5a内の定電流源7に流し込むことにより、クロスカップリングが実現する。すなわち、相手側と同相の出力を受けて逆相の変化を自己内部で生成することを利用して、カレントインバータを用いた2つのリングオシレータのクロスカップリングが実現される。なお、実際に、対応するカレントインバータ出力電流を定電流源7に流す場合、電流供給回路を構成するトランジスタのサイズを調整することで、その出力電流は定数倍される。
【0020】
このように、それぞれ複数のカレントインバータからなる2つのリングオシレータをクロスカップリングできるので、デューティ制御性が向上する。しかも、カレントインバータからなるリングオシレータが有している効果、すなわち低電源電圧化、高速動作性、低スイッチングノイズ化等を損なうことなくデューティ制御性を向上できる。
【0021】
さらに、クロスカップリングすることによって、コモンモード・ノイズ、例えば電源に載ってくるノイズを緩和できる。すなわち、上述したIbがIb+ΔI、Ib’がIb’+ΔIとなってしまうようなコモンモード・ノイズが生じても、クロスカップリングすることにより、ΔIとは逆相の電流が発生するので、ノイズΔIはキャンセル(緩和)される。
【0022】
次に他の実施例を図5を参照して説明する。
【0023】
図1では、すべてのカレントインバータの動作トランジスタをPチャネルMOSトランジスタとした例を示したが、図5ではPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタとをできる限り交互に動作するよう構成した例を示している。
【0024】
同図において、8、9はそれぞれ第1および第2のリングオシレータで、それぞれカレントインバータ10a〜10cおよび11a〜11cからなり、カレントインバータ10a、10c、11a、11cは図1に示したカレントインバータと極性が逆で、カレントインバータ10b、10bは図1のものと同一である。
【0025】
この場合、極性の異なるカレントインバータを用いているので、定電流源を構成するトランジスタもPチャネルMOSトランジスタとNチャネルMOSトランジスタの2種類となり、それぞれ端子P、Nから入力するPチャネル制御バイアス信号とNチャネル制御バイアス信号のいずれかが入力する。また、それぞれのリングオシレータにおいて隣接するカレントインバータ間には極性反転用回路12が設けてある。
【0026】
動作は図1で示した例とほぼ同様であり、図1の例と同様の効果を奏する。
【0027】
また、図6に示したように構成しても上記と同様の効果が得られる。なお、同図において、図1と同一番号のものは同一のものである。
【0028】
なお、図6は図1に示した回路の変形例であり、具体的には図1において第1のリングオシレータ1内に設けていた第2の電流供給回路4aと定電流回路T3との直列回路を第2のリングオシレータ2内に設け、第2のリングオシレータ2内に設けていた第1の電流供給回路6aと定電流回路T3との直列回路を第1のリングオシレータ1内に設けたものである。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、発振回路において低電源電圧化、高速動作化、低ノイズ化および良好なデューティ制御が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示した回路図。
【図2】図1の動作説明のための説明図。
【図3】図1の動作説明のための説明図。
【図4】図1の動作説明のための説明図。
【図5】本発明の他の実施例を示した回路図。
【図6】本発明の他の実施例を示した回路図。
【図7】従来の発振回路を示した説明図。
【図8】従来の発振回路を示した説明図。
【図9】図7、8の発振回路を単純に組み合わせた例を示した説明図。
【符号の説明】
1 第1のリングオシレータ
2 第2のリングオシレータ
3a〜3c カレントインバータ
4a〜4c 第2の電流供給回路
5a〜5c カレントインバータ
6a〜6c 第1の電流供給回路
8 第1のリングオシレータ
9 第2のリングオシレータ
10a〜10c カレントインバータ
11a〜11b カレントインバータ

Claims (2)

  1. 定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を奇数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第1のリングオシレータと、
    定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を奇数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第2のリングオシレータと、
    上記第1のリングオシレータ内の一つの反転増幅回路の出力端子が、第2のリングオシレータ内の制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、上記第2のリングオシレータ内の一つの反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する第1の電流供給源と、
    第2のリングオシレータ内の上記一つの反転増幅回路の出力端子が、上記第1のリングオシレータ内の制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、第1のリングオシレータ内の上記一つの反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する第2の電流供給源とを備えていることを特徴とする発振回路。
  2. 定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を奇数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第1のリングオシレータと、
    定電流源を有し電流モードで動作する反転増幅回路を、上記第1のリングオシレータ中の反転増幅回路にそれぞれ対応して、同数段直列に接続し、最終段の出力を最初の段の入力に接続した第2のリングオシレータと、
    上記第1のリングオシレータ内の反転増幅回路の出力端子が、制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、上記第2のリングオシレータ内の対応する反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する複数の第1の電流供給源と、
    上記第2の反転増幅回路の出力端子が、制御端子に接続され、該出力端子の電流に対応した電流を、上記第1のリングオシレータ内の対応する反転増幅回路の定電流源の電流路に供給する複数の第2の電流供給源とを備えていることを特徴とする発振回路。
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