JP3613739B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、迅速処理安定性、製造ロット内の性能安定性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
沃臭化銀乳剤では平板状のハロゲン化銀粒子を使用する技術が知られており、高感度で高鮮鋭性なカラーネガフィルムなどで実用されてきた。また、最近では高濃度に塩化銀を含有するハロゲン化銀乳剤でも平板状のハロゲン化銀乳剤を調製する技術が多く知られている。
【0003】
このような高濃度に塩化銀を含有する平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法としては、アミノアザインデン、ピリミジン、アミノアジン、チオ尿素、キサンチノイド等の晶癖制御剤の存在下で粒子形成を行う方法が知られており、特公昭64−8326号、特開昭62−3046号、同62−218959号、同63−213836号、同63−281149号、特開平3−116133号、同4−335632号、同5−3735号、同5−204078号等に記載されている。また、例えば、米国特許5,178,997号公報には、アザインドール系化合物を用い、化学量論的な過剰塩化物イオン濃度が0.5M未満の条件下で塩化銀含有量50モル%以上、投影面積の50%以上がアスペクト比>8、厚さ<0.3μmのハロゲン化銀乳剤が得られる事を開示しているし、特開平5−204070号公報には2−ヒドロアミノアジン系化合物の存在下に調製し、これを除去するとともに2価のイオウ原子、セレン原子を含有する安定剤を吸着させる方法を開示している。
【0004】
また、特開平5−204073号公報には塩化銀含量50モル%以上、厚さ<0.3μm、主平面が(100)面であるハロゲン化銀乳剤、米国特許5,264,337号公報には、実質的に沃化銀を含有せず塩化銀含量50モル%以上、投影面積の50%以上がアスペクト比<7.5で平行な2枚の主平面が(100)である平板状ハロゲン化銀乳剤、米国特許5,275,930号明細書には、塩化銀含量50モル%以上、投影面積の30%以上がアスペクト比8以上、厚さ0.3μm以下で平行な2枚の主平面が(100)であり、塩化銀含量75モル%以下のエピタキシー部が化学増感されているハロゲン化銀乳剤が開示されており、これらにより高感度が得られる事が開示されている。
【0005】
特開平6−301131号には、塩化銀含有率50モル%以上、隣接エッジ比10未満、アスペクト比2以上の(100)主平面を有する平板状ハロゲン化銀乳剤において結晶格子の隣接カチオン位置に第8族第5〜6周期の少なくとも一対の金属イオンを平均して含有するハロゲン化銀乳剤を開示しておりこれにより高感度が得られると記載されている。この中に、核生成段階を前記金属化合物の存在化に行う例が記載されている。
【0006】
さらに特開平6−308648号には、全投影面積の10%以上が(100)主平面を有しアスペクト比が1.5以上の平板粒子であり、ハロゲン化銀粒子の中心部に不連続なハロゲン組成ギャップ面を少なくとも1つ有し、該ギャップが塩化物イオン含有率もしくは臭化物イオン含有率として10〜100モル%差、及び/または、ヨウ化物イオン含有率として5〜100モル%差であることを特徴とするハロゲン化銀乳剤が開示されている。このようなハロゲン組成ギャップ面を有することにより(100)主平面を有する平板状粒子が再現性よく調製できると記載されている。
【0007】
特開平6−337489号には、塩化銀含有率90モル%以上でありかつ表面の臭化物イオン含有量が全体の平均値に対して2倍以上である(100)主平面を有する平板状ハロゲン化銀乳剤に、特定のシアニン色素と含窒素複素環メルカプト化合物を含有させることにより塗布液の経時による感度変動の小さい、ひいては製造ロット間での感度の変動の小さいハロゲン化銀カラー写真感光材料が得られることを開示している。特開平6−337490号には、Fe、Ru、Re、Os、Rh、Irの金属錯体の少なくとも一種を含有する塩化銀含有率80モル%以上の(100)主平面を有する平板状ハロゲン化銀乳剤とメルカプト複素環化合物を含有するハロゲン化銀写真感光材料の被膜のpHを4.0〜6.5に調整することによって、経時保存されたハロゲン化銀写真感光材料を漂白定着液の混入した現像液で処理した際に起こるカブリの問題や圧力減感が改良されることを開示している。特開平6−337507号には塩化銀含有率80モル%以上の(100)主平面を有する平板状ハロゲン化銀乳剤を含有するハロゲン化銀写真感光材料を漂白能を有する処理液の補充量が感光材料1m2当たり150ml以下である脱銀工程で処理することを開示しており、脱銀性に優れていると記載している。これらの公報に記載の技術は、いずれも前述の特開平6−308648号に記載されているハロゲン組成ギャップ面を有することによりその効果が高められると記載されている。
【0008】
しかしこれらの平板状ハロゲン化銀乳剤は、感度、及び脱銀性等に有益であるが、製造時の安定性、特に感度の異なる乳剤を混合して塗布液を調液した場合、乳剤の分光増感色素の被覆率が大きく異なると、塗布液状態での経時で大きく性能が変動し、ひいてはロット内での性能の安定性が劣化することがわかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
迅速処理安定性、ロット内での性能の安定性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、支持体上の少なくとも1層において塩化銀含有率90%以上かつ投影面積の10%以上がアスペクト比3以上のハロゲン化銀平板状粒子を有し、該層内の感度の異なる少なくとも2種のハロゲン化銀乳剤が式(I)を満たすことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料によって達成される。
【0011】
式(I) 0.3 ≦ θC ≦ 2.0
θC=θa/θb
θa:該層内の高感度のハロゲン化銀乳剤の分光増感色素被覆率
θb:該層内の低感度のハロゲン化銀乳剤の分光増感色素被覆率
より好ましくは、式(II)を満たすのが好ましく、さらに好ましくは、式(III)を満たすのが好ましい。
【0012】
式(II) 0.5 ≦ θC ≦ 1.5
式(III) 0.9 ≦ θC ≦ 1.1
本発明での分光増感色素被覆率θa、θbは、JOURNAL OF IMAGING SCIENCE Volume 29、Number 5、September/October P.166〜P.170 1985に記述と同様の方法によって求めることができる。
【0013】
本発明で好ましいのは、ハロゲン化銀カラー感光材料の含有する全ハロゲン化銀粒子の投影面積の30%以上が(100)を主平面とするアスペクト比3以上の平板状粒子であり、70%以上が最も好ましい。
【0014】
またアスペクト比とは、ハロゲン化銀粒子の直径と厚みの比のことである。ハロゲン化銀粒子の直径とは、粒子の投影面積に等しい面積の円の直径をいう。
【0015】
また、ハロゲン化銀粒子の厚みとは、ハロゲン化銀粒子の表面を構成する最も間隔の狭い2つの平行な面の距離で表される。
【0016】
本発明の該層内のハロゲン化銀乳剤は、赤感性であることがより好ましく、本発明の効果が顕著に認められる。
【0017】
本発明での赤感性乳剤における分光増感色素被覆率θa,θbは、(0.1%)のエタノール溶解分光増感色素を用いて(JOURNAL OF IMAGING SCIENCE Volume 29、Number 5、September/October P.166〜P.170 1985)と同様に700nmでの飽和のポイントを求めこのときの(1−R∞)2/2R∞を100として求めた。
【0018】
本発明での緑感性乳剤及び青感性乳剤の分光増感色素被覆率は、それぞれ540nm,460nmにおいて飽和ポイントを求め、赤感性乳剤の場合と同様に求めた。
【0019】
本発明に係るハロゲン化銀写真乳剤の組成は、塩化銀を90モル%以上含有することを特徴とするがこの条件を満たせば塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよい。塩化銀を95モル%以上含有するのが好ましい。迅速処理性、処理安定性からは、好ましくは97モル%以上、より好ましくは98〜99.9モル%の塩化銀を含有するハロゲン化銀乳剤が好ましい。
【0020】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤を得るには、臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤が特に好ましく用いられる。この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀乳剤粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面の結晶粒子の頂点である事が特に好ましい。
【0021】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤を得るには重金属イオンを含有させるのが有利である。このような目的に用いることの出来る重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。
【0022】
これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することが出来る。
【0023】
前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子としてはシアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、硝酸イオン、カルボニル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。
【0024】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。前述の条件を満たすハロゲン化銀乳剤を得るには、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加する事ができる。
【0025】
前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10−9モル以上、1×10−2モル以下がより好ましく、特に1×10−8モル以上5×10−5モル以下が好ましい。
【0026】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の形状は任意の平板状粒子を用いることが出来る。好ましいのは、(100)面を主平面とする平板状粒子である。本発明に係るハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加する事が特に好ましい。
【0027】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は特に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他の写真性能などを考慮すると好ましくは、0.1〜1.6μmである。
【0028】
本発明のハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が 0.22 以下、更に好ましくは 0.15 以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加する事である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0029】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
平板状ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、特開平5−204073、同6−194768、同6−301129、同6−337507、同6−337490、同6−337489、米国特許第5,320,938等種々の方法を用いることができる。
【0030】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0031】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許2921164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0032】
更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0033】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることが出来る。
【0034】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることが出来るが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としてはチオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0035】
本発明に用いられるイオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変える事が好ましいが、ハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モルの範囲、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が好ましい。
【0036】
本発明に用いられる金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり 1×10−4モル〜1×10−8モルであることが好ましい。更に好ましくは 1×10−5モル〜1×10−8モルである。
【0037】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0038】
本発明にかかるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀写真感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることが出来る。こうした目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−5モル〜5×10−4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6モル〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5モル〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6モル〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5モル〜1×10−2モルがより好ましい。またハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10−9モル〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
【0039】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることが出来るが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号公報記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。好ましい化合物の具体例として、同公報3ページ左下欄〜5ページ左下欄に挙げられた例示化合物(1)〜(45)を挙げることができる。
【0040】
これらの染料を添加する量として、鮮鋭性を改良する目的には感光材料の未処理試料の680nmにおける分光反射濃度が0.7以上にする量が好ましくさらには0.8以上にする事がより好ましい。
【0041】
本発明に係わる感光材料中に、蛍光増白剤を添加する事が白地性を改良でき好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
【0042】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料をカラー写真感光材料として用いる場合には、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0043】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8ページに記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8〜9ページに記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号公報15〜17ページに記載の化合物S−1〜S−17を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0044】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。
【0045】
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
【0046】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0047】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、特開平4−114154号公報5ページ左下欄に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報5ページ右下欄〜6ページ左下欄にCC−1〜CC−9として記載されているものを挙げることができる。
【0048】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるマゼンタカプラーとしては、特開平4−114154号公報4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)、(M−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報4ページ左下欄〜5ページ右上欄にMC−1〜MC−11として記載されているものを挙げることができる。上記マゼンタカプラーのうちより好ましいのは、同号公報4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)で表されるカプラーであり、そのうち、上記一般式(M−I)のRMが3級アルキル基であるカプラーが耐光性に優れ特に好ましい。同公報5ページ上欄に記載されているMC−8〜MC−11は青から紫、赤に到る色の再現に優れ、さらにディテールの描写力にも優れており好ましい。
【0049】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるイエローカプラーとしては、特開平4−114154号公報3ページ右上欄に記載の一般式(Y−I)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報3ページ左下欄以降にYC−1〜YC−9として記載されているものを挙げることができる。中でも同公報の一般式〔Y−1〕のRY1がアルコキシ基であるカプラーまたは特開平6−67388号公報記載の一般式〔I〕で示されるカプラーは好ましい色調の黄色を再現でき好ましい。このうち特に好ましい化合物例としては特開平4−114154号公報4ページ左下欄に記載されているYC−8、YC−9、および特開平6ー67388号公報13〜14ページに記載のNo(1)〜(47)で示される化合物をあげることができる。さらに最も好ましい化合物は特開平4−81847号公報1ページおよび同公報11ページ〜17ページに記載の一般式〔Y−1〕で示される化合物である。
【0050】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃ 以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために用いることの出来る高沸点有機溶媒としては、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルフタレート等のリン酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0である事が好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0051】
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
【0052】
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号公報記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0053】
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物特開平64−90445号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号公報記載の一般式I’で示される化合物および特開平5−11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0054】
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報9ページ左下欄に記載の化合物(d−11)、同号公報10ページ左下欄に記載の化合物(A’−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許第4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることも出来る。
【0055】
本発明に係わるハロゲン化銀感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良する事が好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号公報記載の一般式IIで示される化合物であり、同公報13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0056】
本発明に係わる感光材料中には紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良する事が好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号公報記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0057】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0058】
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用する事が好ましい。特開昭61ー249054号、同61−245153号公報記載の化合物を使用する事が好ましい。また写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に特開平3−157646号公報記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加する事が好ましい。また感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報記載の滑り剤やマット剤を添加する事が好ましい。
【0059】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0060】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0061】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13重量%以上が好ましく、さらには15重量%が好ましい。
【0062】
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号公報に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0063】
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、さらには0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。また反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布された親水性コロイド層中に処理後の白地部の分光反射濃度バランスを調整し白色性を改良するため群青、油溶性染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加する事が好ましい。
【0064】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0065】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することの出来るエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0066】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料を用いて、写真画像を形成するには、ネガ上に記録された画像を、プリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に光学的に結像させて焼き付けてもよいし、画像を一旦デジタル情報に変換した後その画像をCRT(陰極線管)上に結像させ、この像をプリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に結像させて焼き付けてもよいし、デジタル情報に基づいてレーザー光の強度を変化させて走査することによって焼き付けてもよい。
【0067】
本発明は現像主薬を感光材料中に内蔵していない感光材料に適用することが好ましく、特に直接鑑賞用の画像を形成する感光材料に適用する事が好ましい。例えばカラーペーパー、カラー反転ペーパー、ポジ画像を形成する感光材料、ディスプレイ用感光材料、カラープルーフ用感光材料をあげる事ができる。特に反射支持体を有する感光材料に適用する事が好ましい。
【0068】
本発明において用いられる芳香族一級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
【0069】
CD−1) N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2) 2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3) 2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4) 4−(N−エチル−N−(βーヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−5) 2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−6) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル) −アニリン
CD−7) N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミドCD−8) N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γーヒドロキシプロピル)アニリン
本発明においては、上記は色現像液を任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0070】
本発明に係る発色現像の処理温度は、35℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃以上60℃以下で処理することが好ましい。
【0071】
発色現像時間は、従来一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、さらに25秒以内の範囲で行うことが好ましい。
【0072】
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することが出来る。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0073】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。本発明のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが通常だが、この際補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技法94−16935に記載の方法が最も好ましい。
【0074】
【実施例】
実施例1
(乳剤の調製)
〈青感性(100)平板状乳剤の調製〉
40℃に保温した3.5%ゼラチン水溶液(塩化ナトリウム0.654g、ヨウ化カリウム0.050gを含有)2リットル中に下記(A2液)及び(B2液)を30秒で同時添加し、10分間熟成した後、さらに下記(C2液)及び(D2液)をpCl=2.32に制御しつつ170分かけて同時添加した。
【0075】
添加終了後、常法により脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して再分散した。こうして、平均粒径1.53μm、平均厚さ0.11μm(アスペクト比13.9)の(100)面を主平面としてもち、アスペクト比3.0以上のハロゲン化銀粒子が投影面積で75%含まれる塩沃化銀乳剤(EM−1)を得た。
【0076】
上記EM−1に対し下記化合物を用いpH6.0、60℃にて最適に化学増感を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤EMR−1を得た。
【0077】
STAB−1: 1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール STAB−2: 1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール STAB−3: 1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール〈赤感性立方体高感度乳剤の調製〉
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ30分かけて同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ60分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0078】
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.50μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.9モル%の単分散立方体乳剤EM−2を得た。
【0079】
上記EM−2に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行いEMP−2Aを作成した。
【0080】
また赤感光性乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10−3添加した。
【0081】
〈赤感性立方体低感度乳剤の調整〉
添加する(C液)(D液)の添加量を減量する以外は、EM−2と同様に調製した乳剤をEM−3とした。EM−3は、立方体塩臭化銀乳剤(平均粒径 0.4μm、粒子サイズ分布の変動係数(粒径の標準偏差/平均粒径)0.07、塩化銀含有率 99.9モル%の乳剤)であった。またEM−3に対しても同様に最適に化学増感してEMP−3Aを作成した。この時の増感色素RS−1の添加量は、ハロゲン化銀粒子への被覆率が5%量になるようにした。
【0082】
〈赤感性高感度(100)平板状乳剤の調製〉
ハロゲン化銀乳剤EM−1の調製において、(A2液)、(B2液)の添加時間、(C2液)、(D2液)の添加時間を変更した以外同様にしてハロゲン化銀乳剤(EM−4)を調製した。EM−4は、平均粒径1.05μm、平均厚さ0.2μm(アスペクト比5.25)で(100)面を主平面として有する平板状ハロゲン化銀乳剤であった。また、アスペクト比3.0以上のハロゲン化銀粒子が投影面積の72%を占めていた。
【0083】
EM−4に対し、ハロゲン化銀粒子への被覆率がEMP−2Aと同じになるように、増感色素RS−1添加量を変更した以外EMP−2Aと同様に化学増感した乳剤をEMP−4Aとした。
【0084】
〈赤感性低感度(100)平板状乳剤の調製〉
ハロゲン化銀乳剤EM−4の調製において、(A2液)、(B2液)の添加時間、(C2液)、(D2液)の添加時間を変更した以外同様にしてハロゲン化銀乳剤(EM−5)を調製した。EM−5は、平均粒径0.62μm、平均厚さ0.18μm(アスペクト比3.44)で(100)面を主平面として有する平板状ハロゲン化銀乳剤であった。また、アスペクト比3.0以上のハロゲン化銀粒子が投影面積の74%を占めていた。
【0085】
EM−5に対し、ハロゲン化銀粒子への被覆率がEMP−3Aと同じになるように増感色素RS−1の添加量を変更した以外EMP−2Aと同様に化学増感した乳剤をEMP−5Aとした。
【0086】
なおEMP−2Aの増感色素RS−1の被覆率を5%、7%、12%、1%と変化させた以外EMP−2と同様に作成した乳剤をそれぞれEMP−2B、EMP−2C、EMP−2D、EMP−2Eとした。EMP−4Aの乳剤についてもEMP−2B〜Eと同じ被覆率の乳剤を作成しそれぞれをEMP−4B〜Eとした。
【0087】
〈緑感性(100)平板状乳剤の調製〉
EM−4に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤(EMO−1)を得た。
【0088】
【0089】
【化1】
【0090】
(試料1の作製)
坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレンをラミネートし、紙支持体を作製した。但し、乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンを15重量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体を作製した。この反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の各層を塗設し、ハロゲン化銀写真感光材料を作製した。塗布液は下記のごとく調製した。
【0091】
第1層塗布液
イエローカプラー(Y−1)23.4g、色素画像安定化剤(ST−1)3.34g、(ST−2)3.34g、(ST−5)3.34g、ステイン防止剤(HQ−1)0.34g、画像安定剤A5.0g、高沸点有機溶媒(DBP)3.33gおよび高沸点有機溶媒(DNP)1.67gに酢酸エチル60mlを加え溶解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)7mlを含有する10%ゼラチン水溶液220mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製した。この分散液を前記青感性ハロゲン化銀乳剤と混合し下記条件となるようにして第1層塗布液を調製した。
【0092】
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に表1および表2の塗布量になるように各塗布液を調製した。
【0093】
第5層の赤感性ハロゲン化銀乳剤EMP−2A,EMP−3Aは、それぞれ投影面積を1対1になるようにし総量が0.21g/m2になるように混合添加した。
【0094】
又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。また各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
DBP :ジブチルフタレート
DNP :ジノニルフタレート
DOP :ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
PVP :ポリビニルピロリドン
H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1 :2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2 :2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3 :2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4 :2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5 :2,5−ジ[(1、1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル]ハイドロキノン
画像安定剤A:P−t−オクチルフェノール
【0098】
【化2】
【0099】
【化3】
【0100】
【化4】
【0101】
【化5】
【0102】
【化6】
【0103】
試料1の第5層の赤感性乳剤EMP−2A及びEMP−3Aとハロゲン化銀粒子の投影面積が一定となるようにそれぞれ表3のように乳剤を変更して試料を作成した。それ以外は試料1からの変更はしなかった。
【0104】
【表3】
【0105】
この様に作成した試料を常法により光楔露光した後、下記現像処理工程により現像処理をおこなった。
【0106】
現像処理液の組成を下記に示す。
【0107】
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.10に、補充液はpH=10. 60に調整する。
【0108】
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に調整する。
【0109】
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0110】
<感度評価>
試料を白色光0.5秒でウエッジ露光した後、先述の処理方法で現像処理した。作成した処理済み試料の反射濃度でカブリ濃度より0.8高い濃度を与えるに必要な露光量の逆数で、感度を計算した。試料No.1の感度を100として各試料No.の感度を相対値で評価した。
【0111】
<塗布液停滞性>
表1の第5層に使用する塗布液を調液してから10分後に塗布した試料の感度を100として、調液から40℃の温度で10時間停滞した後、塗布した試料の相対感度を評価した。
【0112】
【表4】
【0113】
(100)を主平面とする平板状乳剤では塗布液停滞による感度の変動が大きいことがわかる。しかし本発明の試料においては、高感度の平板状乳剤を用いても立方体乳剤のみ使用の比較試料とほぼ同等まで塗布液停滞性が改良された。
【0114】
また、第5層内の(100)平板粒子の投影面積が50%を越えるように高感度乳剤、低感度乳剤共に(100)を主平面とする平板状乳剤を使用した場合、さらに本発明の効果が得られることがわかる。
【0115】
【発明の効果】
本発明の構成とすることにより、迅速処理安定性に優れ、製造ロット内の性能安定性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、迅速処理安定性、製造ロット内の性能安定性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
沃臭化銀乳剤では平板状のハロゲン化銀粒子を使用する技術が知られており、高感度で高鮮鋭性なカラーネガフィルムなどで実用されてきた。また、最近では高濃度に塩化銀を含有するハロゲン化銀乳剤でも平板状のハロゲン化銀乳剤を調製する技術が多く知られている。
【0003】
このような高濃度に塩化銀を含有する平板状ハロゲン化銀乳剤の製造方法としては、アミノアザインデン、ピリミジン、アミノアジン、チオ尿素、キサンチノイド等の晶癖制御剤の存在下で粒子形成を行う方法が知られており、特公昭64−8326号、特開昭62−3046号、同62−218959号、同63−213836号、同63−281149号、特開平3−116133号、同4−335632号、同5−3735号、同5−204078号等に記載されている。また、例えば、米国特許5,178,997号公報には、アザインドール系化合物を用い、化学量論的な過剰塩化物イオン濃度が0.5M未満の条件下で塩化銀含有量50モル%以上、投影面積の50%以上がアスペクト比>8、厚さ<0.3μmのハロゲン化銀乳剤が得られる事を開示しているし、特開平5−204070号公報には2−ヒドロアミノアジン系化合物の存在下に調製し、これを除去するとともに2価のイオウ原子、セレン原子を含有する安定剤を吸着させる方法を開示している。
【0004】
また、特開平5−204073号公報には塩化銀含量50モル%以上、厚さ<0.3μm、主平面が(100)面であるハロゲン化銀乳剤、米国特許5,264,337号公報には、実質的に沃化銀を含有せず塩化銀含量50モル%以上、投影面積の50%以上がアスペクト比<7.5で平行な2枚の主平面が(100)である平板状ハロゲン化銀乳剤、米国特許5,275,930号明細書には、塩化銀含量50モル%以上、投影面積の30%以上がアスペクト比8以上、厚さ0.3μm以下で平行な2枚の主平面が(100)であり、塩化銀含量75モル%以下のエピタキシー部が化学増感されているハロゲン化銀乳剤が開示されており、これらにより高感度が得られる事が開示されている。
【0005】
特開平6−301131号には、塩化銀含有率50モル%以上、隣接エッジ比10未満、アスペクト比2以上の(100)主平面を有する平板状ハロゲン化銀乳剤において結晶格子の隣接カチオン位置に第8族第5〜6周期の少なくとも一対の金属イオンを平均して含有するハロゲン化銀乳剤を開示しておりこれにより高感度が得られると記載されている。この中に、核生成段階を前記金属化合物の存在化に行う例が記載されている。
【0006】
さらに特開平6−308648号には、全投影面積の10%以上が(100)主平面を有しアスペクト比が1.5以上の平板粒子であり、ハロゲン化銀粒子の中心部に不連続なハロゲン組成ギャップ面を少なくとも1つ有し、該ギャップが塩化物イオン含有率もしくは臭化物イオン含有率として10〜100モル%差、及び/または、ヨウ化物イオン含有率として5〜100モル%差であることを特徴とするハロゲン化銀乳剤が開示されている。このようなハロゲン組成ギャップ面を有することにより(100)主平面を有する平板状粒子が再現性よく調製できると記載されている。
【0007】
特開平6−337489号には、塩化銀含有率90モル%以上でありかつ表面の臭化物イオン含有量が全体の平均値に対して2倍以上である(100)主平面を有する平板状ハロゲン化銀乳剤に、特定のシアニン色素と含窒素複素環メルカプト化合物を含有させることにより塗布液の経時による感度変動の小さい、ひいては製造ロット間での感度の変動の小さいハロゲン化銀カラー写真感光材料が得られることを開示している。特開平6−337490号には、Fe、Ru、Re、Os、Rh、Irの金属錯体の少なくとも一種を含有する塩化銀含有率80モル%以上の(100)主平面を有する平板状ハロゲン化銀乳剤とメルカプト複素環化合物を含有するハロゲン化銀写真感光材料の被膜のpHを4.0〜6.5に調整することによって、経時保存されたハロゲン化銀写真感光材料を漂白定着液の混入した現像液で処理した際に起こるカブリの問題や圧力減感が改良されることを開示している。特開平6−337507号には塩化銀含有率80モル%以上の(100)主平面を有する平板状ハロゲン化銀乳剤を含有するハロゲン化銀写真感光材料を漂白能を有する処理液の補充量が感光材料1m2当たり150ml以下である脱銀工程で処理することを開示しており、脱銀性に優れていると記載している。これらの公報に記載の技術は、いずれも前述の特開平6−308648号に記載されているハロゲン組成ギャップ面を有することによりその効果が高められると記載されている。
【0008】
しかしこれらの平板状ハロゲン化銀乳剤は、感度、及び脱銀性等に有益であるが、製造時の安定性、特に感度の異なる乳剤を混合して塗布液を調液した場合、乳剤の分光増感色素の被覆率が大きく異なると、塗布液状態での経時で大きく性能が変動し、ひいてはロット内での性能の安定性が劣化することがわかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
迅速処理安定性、ロット内での性能の安定性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、支持体上の少なくとも1層において塩化銀含有率90%以上かつ投影面積の10%以上がアスペクト比3以上のハロゲン化銀平板状粒子を有し、該層内の感度の異なる少なくとも2種のハロゲン化銀乳剤が式(I)を満たすことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料によって達成される。
【0011】
式(I) 0.3 ≦ θC ≦ 2.0
θC=θa/θb
θa:該層内の高感度のハロゲン化銀乳剤の分光増感色素被覆率
θb:該層内の低感度のハロゲン化銀乳剤の分光増感色素被覆率
より好ましくは、式(II)を満たすのが好ましく、さらに好ましくは、式(III)を満たすのが好ましい。
【0012】
式(II) 0.5 ≦ θC ≦ 1.5
式(III) 0.9 ≦ θC ≦ 1.1
本発明での分光増感色素被覆率θa、θbは、JOURNAL OF IMAGING SCIENCE Volume 29、Number 5、September/October P.166〜P.170 1985に記述と同様の方法によって求めることができる。
【0013】
本発明で好ましいのは、ハロゲン化銀カラー感光材料の含有する全ハロゲン化銀粒子の投影面積の30%以上が(100)を主平面とするアスペクト比3以上の平板状粒子であり、70%以上が最も好ましい。
【0014】
またアスペクト比とは、ハロゲン化銀粒子の直径と厚みの比のことである。ハロゲン化銀粒子の直径とは、粒子の投影面積に等しい面積の円の直径をいう。
【0015】
また、ハロゲン化銀粒子の厚みとは、ハロゲン化銀粒子の表面を構成する最も間隔の狭い2つの平行な面の距離で表される。
【0016】
本発明の該層内のハロゲン化銀乳剤は、赤感性であることがより好ましく、本発明の効果が顕著に認められる。
【0017】
本発明での赤感性乳剤における分光増感色素被覆率θa,θbは、(0.1%)のエタノール溶解分光増感色素を用いて(JOURNAL OF IMAGING SCIENCE Volume 29、Number 5、September/October P.166〜P.170 1985)と同様に700nmでの飽和のポイントを求めこのときの(1−R∞)2/2R∞を100として求めた。
【0018】
本発明での緑感性乳剤及び青感性乳剤の分光増感色素被覆率は、それぞれ540nm,460nmにおいて飽和ポイントを求め、赤感性乳剤の場合と同様に求めた。
【0019】
本発明に係るハロゲン化銀写真乳剤の組成は、塩化銀を90モル%以上含有することを特徴とするがこの条件を満たせば塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、塩沃化銀等任意のハロゲン組成を有するものであってもよい。塩化銀を95モル%以上含有するのが好ましい。迅速処理性、処理安定性からは、好ましくは97モル%以上、より好ましくは98〜99.9モル%の塩化銀を含有するハロゲン化銀乳剤が好ましい。
【0020】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤を得るには、臭化銀を高濃度に含有する部分を有するハロゲン化銀乳剤が特に好ましく用いられる。この場合、高濃度に臭化銀を含有する部分は、ハロゲン化銀乳剤粒子にエピタキシー接合していても、いわゆるコア・シェル乳剤であってもよいし、完全な層を形成せず単に部分的に組成の異なる領域が存在するだけであってもよい。また、組成は連続的に変化してもよいし不連続に変化してもよい。臭化銀が高濃度に存在する部分は、ハロゲン化銀粒子の表面の結晶粒子の頂点である事が特に好ましい。
【0021】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤を得るには重金属イオンを含有させるのが有利である。このような目的に用いることの出来る重金属イオンとしては、鉄、イリジウム、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、コバルト等の第8〜10族金属や、カドミウム、亜鉛、水銀などの第12族遷移金属や、鉛、レニウム、モリブデン、タングステン、ガリウム、クロムの各イオンを挙げることができる。中でも鉄、イリジウム、白金、ルテニウム、ガリウム、オスミウムの金属イオンが好ましい。
【0022】
これらの金属イオンは、塩や、錯塩の形でハロゲン化銀乳剤に添加することが出来る。
【0023】
前記重金属イオンが錯体を形成する場合には、その配位子としてはシアン化物イオン、チオシアン酸イオン、シアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、沃化物イオン、硝酸イオン、カルボニル、アンモニア等を挙げることができる。中でも、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソチオシアン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン等が好ましい。
【0024】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に重金属イオンを含有させるためには、該重金属化合物をハロゲン化銀粒子の形成前、ハロゲン化銀粒子の形成中、ハロゲン化銀粒子の形成後の物理熟成中の各工程の任意の場所で添加すればよい。前述の条件を満たすハロゲン化銀乳剤を得るには、重金属化合物をハロゲン化物塩と一緒に溶解して粒子形成工程の全体或いは一部にわたって連続的に添加する事ができる。
【0025】
前記重金属イオンをハロゲン化銀乳剤中に添加するときの量はハロゲン化銀1モル当り1×10−9モル以上、1×10−2モル以下がより好ましく、特に1×10−8モル以上5×10−5モル以下が好ましい。
【0026】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の形状は任意の平板状粒子を用いることが出来る。好ましいのは、(100)面を主平面とする平板状粒子である。本発明に係るハロゲン化銀粒子は、単一の形状からなる粒子が好ましく用いられるが、単分散のハロゲン化銀乳剤を二種以上同一層に添加する事が特に好ましい。
【0027】
本発明に係るハロゲン化銀粒子の粒径は特に制限はないが、迅速処理性及び、感度など、他の写真性能などを考慮すると好ましくは、0.1〜1.6μmである。
【0028】
本発明のハロゲン化銀粒子の粒径の分布は、好ましくは変動係数が 0.22 以下、更に好ましくは 0.15 以下の単分散ハロゲン化銀粒子であり、特に好ましくは変動係数0.15以下の単分散乳剤を2種以上同一層に添加する事である。ここで変動係数は、粒径分布の広さを表す係数であり、次式によって定義される。
【0029】
変動係数=S/R
(ここに、Sは粒径分布の標準偏差、Rは平均粒径を表す。)
平板状ハロゲン化銀乳剤の調製装置、方法としては、特開平5−204073、同6−194768、同6−301129、同6−337507、同6−337490、同6−337489、米国特許第5,320,938等種々の方法を用いることができる。
【0030】
また、可溶性銀塩と可溶性ハロゲン化物塩を反応させる形式としては、順混合法、逆混合法、同時混合法、それらの組合せなど、いずれでもよいが、同時混合法で得られたものが好ましい。更に同時混合法の一形式として特開昭54−48521号等に記載されているpAgコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。
【0031】
また、特開昭57−92523号、同57−92524号等に記載の反応母液中に配置された添加装置から水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を供給する装置、ドイツ公開特許2921164号等に記載された水溶性銀塩及び水溶性ハロゲン化物塩水溶液を連続的に濃度変化して添加する装置、特公昭56−501776号等に記載の反応器外に反応母液を取り出し、限外濾過法で濃縮することによりハロゲン化銀粒子間の距離を一定に保ちながら粒子形成を行なう装置などを用いてもよい。
【0032】
更に必要で有ればチオエーテル等のハロゲン化銀溶剤を用いてもよい。また、メルカプト基を有する化合物、含窒素ヘテロ環化合物または増感色素のような化合物をハロゲン化銀粒子の形成時、または、粒子形成終了の後に添加して用いてもよい。
【0033】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤は、金化合物を用いる増感法、カルコゲン増感剤を用いる増感法を組み合わせて用いることが出来る。
【0034】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に適用するカルコゲン増感剤としては、イオウ増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤などを用いることが出来るが、イオウ増感剤が好ましい。イオウ増感剤としてはチオ硫酸塩、アリルチオカルバミドチオ尿素、アリルイソチアシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン、無機イオウ等が挙げられる。
【0035】
本発明に用いられるイオウ増感剤の添加量としては、適用されるハロゲン化銀乳剤の種類や期待する効果の大きさなどにより変える事が好ましいが、ハロゲン化銀1モル当たり5×10−10〜5×10−5モルの範囲、好ましくは5×10−8〜3×10−5モルの範囲が好ましい。
【0036】
本発明に用いられる金増感剤としては、塩化金酸、硫化金等の他各種の金錯体として添加することができる。用いられる配位子化合物としては、ジメチルローダニン、チオシアン酸、メルカプトテトラゾール、メルカプトトリアゾール等を挙げることができる。金化合物の使用量は、ハロゲン化銀乳剤の種類、使用する化合物の種類、熟成条件などによって一様ではないが、通常はハロゲン化銀1モル当たり 1×10−4モル〜1×10−8モルであることが好ましい。更に好ましくは 1×10−5モル〜1×10−8モルである。
【0037】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤の化学増感法としては、還元増感法を用いてもよい。
【0038】
本発明にかかるハロゲン化銀乳剤には、ハロゲン化銀写真感光材料の調製工程中に生じるカブリを防止したり、保存中の性能変動を小さくしたり、現像時に生じるカブリを防止する目的で公知のカブリ防止剤、安定剤を用いることが出来る。こうした目的に用いることのできる好ましい化合物の例として、特開平2−146036号公報7ページ下欄に記載された一般式(II)で表される化合物を挙げることができ、さらに好ましい具体的な化合物としては、同公報の8ページに記載の(IIa−1)〜(IIa−8)、(IIb−1)〜(IIb−7)の化合物や、1−(3−メトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール等の化合物を挙げることができる。これらの化合物は、その目的に応じて、ハロゲン化銀乳剤粒子の調製工程、化学増感工程、化学増感工程の終了時、塗布液調製工程などの工程で添加される。これらの化合物の存在下に化学増感を行う場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−5モル〜5×10−4モル程度の量で好ましく用いられる。化学増感終了時に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6モル〜1×10−2モル程度の量が好ましく、1×10−5モル〜5×10−3モルがより好ましい。塗布液調製工程において、ハロゲン化銀乳剤層に添加する場合には、ハロゲン化銀1モル当り1×10−6モル〜1×10−1モル程度の量が好ましく、1×10−5モル〜1×10−2モルがより好ましい。またハロゲン化銀乳剤層以外の層に添加する場合には、塗布被膜中の量が、1m2当り1×10−9モル〜1×10−3モル程度の量が好ましい。
【0039】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料には、イラジエーション防止やハレーション防止の目的で種々の波長域に吸収を有する染料を用いることができる。この目的で、公知の化合物をいずれも用いることが出来るが、特に、可視域に吸収を有する染料としては、特開平3−251840号公報308ページに記載のAI−1〜11の染料および特開平6−3770号公報記載の染料が好ましく用いられ、赤外線吸収染料としては、特開平1−280750号公報の2ページ左下欄に記載の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物が好ましい分光特性を有し、ハロゲン化銀写真乳剤の写真特性への影響もなく、また残色による汚染もなく好ましい。好ましい化合物の具体例として、同公報3ページ左下欄〜5ページ左下欄に挙げられた例示化合物(1)〜(45)を挙げることができる。
【0040】
これらの染料を添加する量として、鮮鋭性を改良する目的には感光材料の未処理試料の680nmにおける分光反射濃度が0.7以上にする量が好ましくさらには0.8以上にする事がより好ましい。
【0041】
本発明に係わる感光材料中に、蛍光増白剤を添加する事が白地性を改良でき好ましい。好ましく用いられる化合物としては、特開平2−232652号公報記載の一般式IIで示される化合物が挙げられる。
【0042】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料をカラー写真感光材料として用いる場合には、イエローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに組み合わせて400〜900nmの波長域の特定領域に分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含む層を有する。該ハロゲン化銀乳剤は一種または、二種以上の増感色素を組み合わせて含有する。
【0043】
本発明に係るハロゲン化銀乳剤に用いる分光増感色素としては、公知の化合物をいずれも用いることができるが、青感光性増感色素としては、特開平3−251840号公報28ページに記載のBS−1〜8を単独でまたは組み合わせて好ましく用いることができる。緑感光性増感色素としては、同公報28ページに記載のGS−1〜5が好ましく用いられる。赤感光性増感色素としては同公報29ページに記載のRS−1〜8が好ましく用いられる。また、半導体レーザーを用いるなどして赤外光により画像露光を行う場合には、赤外感光性増感色素を用いる必要があるが、赤外感光性増感色素としては、特開平4−285950号公報6〜8ページに記載のIRS−1〜11の色素が好ましく用いられる。また、これらの赤外、赤、緑、青感光性増感色素に特開平4−285950号公報8〜9ページに記載の強色増感剤SS−1〜SS−9や特開平5−66515号公報15〜17ページに記載の化合物S−1〜S−17を組み合わせて用いるのが好ましい。
【0044】
これらの増感色素の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子形成から化学増感終了までの任意の時期でよい。
【0045】
増感色素の添加方法としては、メタノール、エタノール、フッ素化アルコール、アセトン、ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶媒や水に溶解して溶液として添加してもよいし、固体分散物として添加してもよい。
【0046】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いられるカプラーとしては、発色現像主薬の酸化体とカップリング反応して340nmより長波長域に分光吸収極大波長を有するカップリング生成物を形成し得るいかなる化合物をも用いることが出来るが、特に代表的な物としては、波長域350〜500nmに分光吸収極大波長を有するイエロー色素形成カプラー、波長域500〜600nmに分光吸収極大波長を有するマゼンタ色素形成カプラー、波長域600〜750nmに分光吸収極大波長を有するシアン色素形成カプラーとして知られているものが代表的である。
【0047】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるシアンカプラーとしては、特開平4−114154号公報5ページ左下欄に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報5ページ右下欄〜6ページ左下欄にCC−1〜CC−9として記載されているものを挙げることができる。
【0048】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるマゼンタカプラーとしては、特開平4−114154号公報4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)、(M−II)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報4ページ左下欄〜5ページ右上欄にMC−1〜MC−11として記載されているものを挙げることができる。上記マゼンタカプラーのうちより好ましいのは、同号公報4ページ右上欄に記載の一般式(M−I)で表されるカプラーであり、そのうち、上記一般式(M−I)のRMが3級アルキル基であるカプラーが耐光性に優れ特に好ましい。同公報5ページ上欄に記載されているMC−8〜MC−11は青から紫、赤に到る色の再現に優れ、さらにディテールの描写力にも優れており好ましい。
【0049】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に好ましく用いることのできるイエローカプラーとしては、特開平4−114154号公報3ページ右上欄に記載の一般式(Y−I)で表されるカプラーを挙げることができる。具体的な化合物は、同公報3ページ左下欄以降にYC−1〜YC−9として記載されているものを挙げることができる。中でも同公報の一般式〔Y−1〕のRY1がアルコキシ基であるカプラーまたは特開平6−67388号公報記載の一般式〔I〕で示されるカプラーは好ましい色調の黄色を再現でき好ましい。このうち特に好ましい化合物例としては特開平4−114154号公報4ページ左下欄に記載されているYC−8、YC−9、および特開平6ー67388号公報13〜14ページに記載のNo(1)〜(47)で示される化合物をあげることができる。さらに最も好ましい化合物は特開平4−81847号公報1ページおよび同公報11ページ〜17ページに記載の一般式〔Y−1〕で示される化合物である。
【0050】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いられるカプラーやその他の有機化合物を添加するのに水中油滴型乳化分散法を用いる場合には、通常、沸点150℃ 以上の水不溶性高沸点有機溶媒に、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒を併用して溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて乳化分散する。分散手段としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いることができる。分散後、または、分散と同時に低沸点有機溶媒を除去する工程を入れてもよい。カプラーを溶解して分散するために用いることの出来る高沸点有機溶媒としては、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリオクチルフタレート等のリン酸エステル類、が好ましく用いられる。また高沸点有機溶媒の誘電率としては3.5〜7.0である事が好ましい。また二種以上の高沸点有機溶媒を併用することもできる。
【0051】
また、高沸点有機溶媒を用いる方法に代えて、または高沸点有機溶媒と併用して、水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマー化合物を、必要に応じて低沸点及び/または水溶性有機溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性バインダー中に界面活性剤を用いて種々の分散手段により乳化分散する方法をとることもできる。この時用いられる水不溶性で有機溶媒可溶性のポリマーとしては、ポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)等を挙げることができる。
【0052】
写真用添加剤の分散や塗布時の表面張力調整のため用いられる界面活性剤として好ましい化合物としては、1分子中に炭素数8〜30の疎水性基とスルホン酸基またはその塩を含有するものが挙げられる。具体的には特開昭64−26854号公報記載のA−1〜A−11が挙げられる。またアルキル基に弗素原子を置換した界面活性剤も好ましく用いられる。これらの分散液は通常ハロゲン化銀乳剤を含有する塗布液に添加されるが、分散後塗布液に添加されるまでの時間、および塗布液に添加後塗布までの時間は短いほうがよく各々10時間以内が好ましく、3時間以内、20分以内がより好ましい。
【0053】
上記各カプラーには、形成された色素画像の光、熱、湿度等による褪色を防止するため褪色防止剤を併用することが好ましい。特に好ましい化合物としては、特開平2−66541号公報3ページ記載の一般式IおよびIIで示されるフェニルエーテル系化合物、特開平3−174150号公報記載の一般式IIIBで示されるフェノール系化合物特開平64−90445号公報記載の一般式Aで示されるアミン系化合物、特開昭62−182741号公報記載の一般式XII、XIII、XIV、XVで示される金属錯体が特にマゼンタ色素用として好ましい。また特開平1−196049号公報記載の一般式I’で示される化合物および特開平5−11417号公報記載の一般式IIで示される化合物が特にイエロー、シアン色素用として好ましい。
【0054】
発色色素の吸収波長をシフトさせる目的で、特開平4−114154号公報9ページ左下欄に記載の化合物(d−11)、同号公報10ページ左下欄に記載の化合物(A’−1)等の化合物を用いることができる。また、これ以外にも米国特許第4,774,187号に記載の蛍光色素放出化合物を用いることも出来る。
【0055】
本発明に係わるハロゲン化銀感光材料には、現像主薬酸化体と反応する化合物を感光層と感光層の間の層に添加して色濁りを防止したりまたハロゲン化銀乳剤層に添加してカブリ等を改良する事が好ましい。このための化合物としてはハイドロキノン誘導体が好ましく、さらに好ましくは2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノンのようなジアルキルハイドロキノンである。特に好ましい化合物は特開平4−133056号公報記載の一般式IIで示される化合物であり、同公報13〜14ページ記載の化合物II−1〜II−14および17ページ記載の化合物1が挙げられる。
【0056】
本発明に係わる感光材料中には紫外線吸収剤を添加してスタチックカブリを防止したり色素画像の耐光性を改良する事が好ましい。好ましい紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール類が挙げられ、特に好ましい化合物としては特開平1−250944号公報記載の一般式III−3で示される化合物、特開昭64−66646号公報記載の一般式IIIで示される化合物、特開昭63−187240号公報記載のUV−1L〜UV−27L、特開平4−1633号公報記載の一般式Iで示される化合物、特開平5−165144号公報記載の一般式(I)、(II)で示される化合物が挙げられる。
【0057】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料には、バインダーとしてゼラチンを用いることが有利であるが、必要に応じて他のゼラチン、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一あるいは共重合体のごとき合成親水性高分子物質等の親水性コロイドも用いることができる。
【0058】
これらバインダーの硬膜剤としてはビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独または併用して使用する事が好ましい。特開昭61ー249054号、同61−245153号公報記載の化合物を使用する事が好ましい。また写真性能や画像保存性に悪影響するカビや細菌の繁殖を防ぐためコロイド層中に特開平3−157646号公報記載のような防腐剤および抗カビ剤を添加する事が好ましい。また感光材料または処理後の試料の表面の物性を改良するため保護層に特開平6−118543号公報や特開平2−73250号公報記載の滑り剤やマット剤を添加する事が好ましい。
【0059】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料に用いる支持体としては、どのような材質を用いてもよく、ポリエチレンやポリエチレンテレフタレートで被覆した紙、天然パルプや合成パルプからなる紙支持体、塩化ビニルシート、白色顔料を含有してもよいポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート支持体、バライタ紙などを用いることができる。なかでも、原紙の両面に耐水性樹脂被覆層を有する支持体が好ましい。耐水性樹脂としてはポリエチレンやポリエチレンテレフタレートまたはそれらのコポリマーが好ましい。
【0060】
支持体に用いられる白色顔料としては、無機及び/または有機の白色顔料を用いることができ、好ましくは無機の白色顔料が用いられる。例えば硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。白色顔料は好ましくは硫酸バリウム、酸化チタンである。
【0061】
支持体の表面の耐水性樹脂層中に含有される白色顔料の量は、鮮鋭性を改良するうえで13重量%以上が好ましく、さらには15重量%が好ましい。
【0062】
本発明に係る紙支持体の耐水性樹脂層中の白色顔料の分散度は、特開平2−28640号公報に記載の方法で測定することができる。この方法で測定したときに、白色顔料の分散度が前記公報に記載の変動係数として0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。
【0063】
また支持体の中心面平均粗さ(SRa)の値が0.15μm以下、さらには0.12μm以下であるほうが光沢性がよいという効果が得られより好ましい。また反射支持体の白色顔料含有耐水性樹脂中や塗布された親水性コロイド層中に処理後の白地部の分光反射濃度バランスを調整し白色性を改良するため群青、油溶性染料等の微量の青味付剤や赤味付剤を添加する事が好ましい。
【0064】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料は、必要に応じて支持体表面にコロナ放電、紫外線照射、火炎処理等を施した後、直接または下塗層(支持体表面の接着性、帯電防止性、寸度安定性、耐摩擦性、硬さ、ハレーション防止性、摩擦特性及び/またはその他の特性を向上するための1または2以上の下塗層)を介して塗布されていてもよい。
【0065】
ハロゲン化銀乳剤を用いた写真感光材料の塗布に際して、塗布性を向上させるために増粘剤を用いてもよい。塗布法としては2種以上の層を同時に塗布することの出来るエクストルージョンコーティング及びカーテンコーティングが特に有用である。
【0066】
本発明に係るハロゲン化銀写真感光材料を用いて、写真画像を形成するには、ネガ上に記録された画像を、プリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に光学的に結像させて焼き付けてもよいし、画像を一旦デジタル情報に変換した後その画像をCRT(陰極線管)上に結像させ、この像をプリントしようとするハロゲン化銀写真感光材料上に結像させて焼き付けてもよいし、デジタル情報に基づいてレーザー光の強度を変化させて走査することによって焼き付けてもよい。
【0067】
本発明は現像主薬を感光材料中に内蔵していない感光材料に適用することが好ましく、特に直接鑑賞用の画像を形成する感光材料に適用する事が好ましい。例えばカラーペーパー、カラー反転ペーパー、ポジ画像を形成する感光材料、ディスプレイ用感光材料、カラープルーフ用感光材料をあげる事ができる。特に反射支持体を有する感光材料に適用する事が好ましい。
【0068】
本発明において用いられる芳香族一級アミン現像主薬としては、公知の化合物を用いることができる。これらの化合物の例として下記の化合物を挙げることができる。
【0069】
CD−1) N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン
CD−2) 2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン
CD−3) 2−アミノ−5−(N−エチル−N−ラウリルアミノ)トルエン
CD−4) 4−(N−エチル−N−(βーヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−5) 2−メチル−4−(N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ)アニリン
CD−6) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−(メタンスルホンアミド)エチル) −アニリン
CD−7) N−(2−アミノ−5−ジエチルアミノフェニルエチル)メタンスルホンアミドCD−8) N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン
CD−9) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキシエチルアニリン
CD−10) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−エトキシエチル)アニリン
CD−11) 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(γーヒドロキシプロピル)アニリン
本発明においては、上記は色現像液を任意のpH域で使用できるが、迅速処理の観点からpH9.5〜13.0であることが好ましく、より好ましくはpH9.8〜12.0の範囲で用いられる。
【0070】
本発明に係る発色現像の処理温度は、35℃以上、70℃以下が好ましい。温度が高いほど短時間の処理が可能であり好ましいが、処理液の安定性からはあまり高くない方が好ましく、37℃以上60℃以下で処理することが好ましい。
【0071】
発色現像時間は、従来一般には3分30秒程度で行われているが、本発明では40秒以内が好ましく、さらに25秒以内の範囲で行うことが好ましい。
【0072】
発色現像液には、前記の発色現像主薬に加えて、既知の現像液成分化合物を添加することが出来る。通常、pH緩衝作用を有するアルカリ剤、塩化物イオン、ベンゾトリアゾール類等の現像抑制剤、保恒剤、キレート剤などが用いられる。
【0073】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、発色現像後、漂白処理及び定着処理を施される。漂白処理は定着処理と同時に行なってもよい。定着処理の後は、通常は水洗処理が行なわれる。また、水洗処理の代替として、安定化処理を行なってもよい。本発明のハロゲン化銀写真感光材料の現像処理に用いる現像処理装置としては、処理槽に配置されたローラーに感光材料をはさんで搬送するローラートランスポートタイプであっても、ベルトに感光材料を固定して搬送するエンドレスベルト方式であってもよいが、処理槽をスリット状に形成して、この処理槽に処理液を供給するとともに感光材料を搬送する方式や処理液を噴霧状にするスプレー方式、処理液を含浸させた担体との接触によるウエッブ方式、粘性処理液による方式なども用いることができる。大量に処理する場合には、自動現像機を用いてランニング処理されるのが通常だが、この際補充液の補充量は少ない程好ましく、環境適性等より最も好ましい処理形態は、補充方法として錠剤の形態で処理剤を添加することであり、公開技法94−16935に記載の方法が最も好ましい。
【0074】
【実施例】
実施例1
(乳剤の調製)
〈青感性(100)平板状乳剤の調製〉
40℃に保温した3.5%ゼラチン水溶液(塩化ナトリウム0.654g、ヨウ化カリウム0.050gを含有)2リットル中に下記(A2液)及び(B2液)を30秒で同時添加し、10分間熟成した後、さらに下記(C2液)及び(D2液)をpCl=2.32に制御しつつ170分かけて同時添加した。
【0075】
添加終了後、常法により脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して再分散した。こうして、平均粒径1.53μm、平均厚さ0.11μm(アスペクト比13.9)の(100)面を主平面としてもち、アスペクト比3.0以上のハロゲン化銀粒子が投影面積で75%含まれる塩沃化銀乳剤(EM−1)を得た。
【0076】
上記EM−1に対し下記化合物を用いpH6.0、60℃にて最適に化学増感を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤EMR−1を得た。
【0077】
STAB−1: 1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール STAB−2: 1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール STAB−3: 1−(4−エトキシフェニル)−5−メルカプトテトラゾール〈赤感性立方体高感度乳剤の調製〉
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1リットル中に下記(A液)及び(B液)をpAg=7.3、pH=3.0に制御しつつ30分かけて同時添加し、更に下記(C液)及び(D液)をpAg=8.0、pH=5.5に制御しつつ60分かけて同時添加した。この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウム水溶液を用いて行った。
【0078】
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.50μm、粒径分布の変動係数0.07、塩化銀含有率99.9モル%の単分散立方体乳剤EM−2を得た。
【0079】
上記EM−2に対し、下記化合物を用い60℃にて最適に化学増感を行いEMP−2Aを作成した。
【0080】
また赤感光性乳剤には、SS−1をハロゲン化銀1モル当り2.0×10−3添加した。
【0081】
〈赤感性立方体低感度乳剤の調整〉
添加する(C液)(D液)の添加量を減量する以外は、EM−2と同様に調製した乳剤をEM−3とした。EM−3は、立方体塩臭化銀乳剤(平均粒径 0.4μm、粒子サイズ分布の変動係数(粒径の標準偏差/平均粒径)0.07、塩化銀含有率 99.9モル%の乳剤)であった。またEM−3に対しても同様に最適に化学増感してEMP−3Aを作成した。この時の増感色素RS−1の添加量は、ハロゲン化銀粒子への被覆率が5%量になるようにした。
【0082】
〈赤感性高感度(100)平板状乳剤の調製〉
ハロゲン化銀乳剤EM−1の調製において、(A2液)、(B2液)の添加時間、(C2液)、(D2液)の添加時間を変更した以外同様にしてハロゲン化銀乳剤(EM−4)を調製した。EM−4は、平均粒径1.05μm、平均厚さ0.2μm(アスペクト比5.25)で(100)面を主平面として有する平板状ハロゲン化銀乳剤であった。また、アスペクト比3.0以上のハロゲン化銀粒子が投影面積の72%を占めていた。
【0083】
EM−4に対し、ハロゲン化銀粒子への被覆率がEMP−2Aと同じになるように、増感色素RS−1添加量を変更した以外EMP−2Aと同様に化学増感した乳剤をEMP−4Aとした。
【0084】
〈赤感性低感度(100)平板状乳剤の調製〉
ハロゲン化銀乳剤EM−4の調製において、(A2液)、(B2液)の添加時間、(C2液)、(D2液)の添加時間を変更した以外同様にしてハロゲン化銀乳剤(EM−5)を調製した。EM−5は、平均粒径0.62μm、平均厚さ0.18μm(アスペクト比3.44)で(100)面を主平面として有する平板状ハロゲン化銀乳剤であった。また、アスペクト比3.0以上のハロゲン化銀粒子が投影面積の74%を占めていた。
【0085】
EM−5に対し、ハロゲン化銀粒子への被覆率がEMP−3Aと同じになるように増感色素RS−1の添加量を変更した以外EMP−2Aと同様に化学増感した乳剤をEMP−5Aとした。
【0086】
なおEMP−2Aの増感色素RS−1の被覆率を5%、7%、12%、1%と変化させた以外EMP−2と同様に作成した乳剤をそれぞれEMP−2B、EMP−2C、EMP−2D、EMP−2Eとした。EMP−4Aの乳剤についてもEMP−2B〜Eと同じ被覆率の乳剤を作成しそれぞれをEMP−4B〜Eとした。
【0087】
〈緑感性(100)平板状乳剤の調製〉
EM−4に対し、下記化合物を用い55℃にて最適に化学増感を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤(EMO−1)を得た。
【0088】
【0089】
【化1】
【0090】
(試料1の作製)
坪量180g/m2の紙パルプの両面に高密度ポリエチレンをラミネートし、紙支持体を作製した。但し、乳剤層を塗布する側には、表面処理を施したアナターゼ型酸化チタンを15重量%の含有量で分散して含む溶融ポリエチレンをラミネートし、反射支持体を作製した。この反射支持体をコロナ放電処理した後、ゼラチン下塗層を設け、さらに以下に示す構成の各層を塗設し、ハロゲン化銀写真感光材料を作製した。塗布液は下記のごとく調製した。
【0091】
第1層塗布液
イエローカプラー(Y−1)23.4g、色素画像安定化剤(ST−1)3.34g、(ST−2)3.34g、(ST−5)3.34g、ステイン防止剤(HQ−1)0.34g、画像安定剤A5.0g、高沸点有機溶媒(DBP)3.33gおよび高沸点有機溶媒(DNP)1.67gに酢酸エチル60mlを加え溶解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)7mlを含有する10%ゼラチン水溶液220mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製した。この分散液を前記青感性ハロゲン化銀乳剤と混合し下記条件となるようにして第1層塗布液を調製した。
【0092】
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に表1および表2の塗布量になるように各塗布液を調製した。
【0093】
第5層の赤感性ハロゲン化銀乳剤EMP−2A,EMP−3Aは、それぞれ投影面積を1対1になるようにし総量が0.21g/m2になるように混合添加した。
【0094】
又、硬膜剤として(H−1)、(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。また各層にF−1を全量が0.04g/m2となるように添加した。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
SU−1:トリ−i−プロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム
SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム塩
SU−3:スルホ琥珀酸ジ(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)・ナトリウム塩
DBP :ジブチルフタレート
DNP :ジノニルフタレート
DOP :ジオクチルフタレート
DIDP:ジ−i−デシルフタレート
PVP :ポリビニルピロリドン
H−1 :テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン
H−2 :2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム
HQ−1 :2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン
HQ−2 :2,5−ジ−sec−ドデシルハイドロキノン
HQ−3 :2,5−ジ−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−4 :2−sec−ドデシル−5−sec−テトラデシルハイドロキノン
HQ−5 :2,5−ジ[(1、1−ジメチル−4−ヘキシルオキシカルボニル)ブチル]ハイドロキノン
画像安定剤A:P−t−オクチルフェノール
【0098】
【化2】
【0099】
【化3】
【0100】
【化4】
【0101】
【化5】
【0102】
【化6】
【0103】
試料1の第5層の赤感性乳剤EMP−2A及びEMP−3Aとハロゲン化銀粒子の投影面積が一定となるようにそれぞれ表3のように乳剤を変更して試料を作成した。それ以外は試料1からの変更はしなかった。
【0104】
【表3】
【0105】
この様に作成した試料を常法により光楔露光した後、下記現像処理工程により現像処理をおこなった。
【0106】
現像処理液の組成を下記に示す。
【0107】
水を加えて全量を1リットルとし、タンク液はpH=10.10に、補充液はpH=10. 60に調整する。
【0108】
水を加えて全量を1リットルとし、炭酸カリウム又は氷酢酸でpH=5.0に調整する。
【0109】
水を加えて全量を1リットルとし、硫酸又はアンモニア水でpH=7.5に調整する。
【0110】
<感度評価>
試料を白色光0.5秒でウエッジ露光した後、先述の処理方法で現像処理した。作成した処理済み試料の反射濃度でカブリ濃度より0.8高い濃度を与えるに必要な露光量の逆数で、感度を計算した。試料No.1の感度を100として各試料No.の感度を相対値で評価した。
【0111】
<塗布液停滞性>
表1の第5層に使用する塗布液を調液してから10分後に塗布した試料の感度を100として、調液から40℃の温度で10時間停滞した後、塗布した試料の相対感度を評価した。
【0112】
【表4】
【0113】
(100)を主平面とする平板状乳剤では塗布液停滞による感度の変動が大きいことがわかる。しかし本発明の試料においては、高感度の平板状乳剤を用いても立方体乳剤のみ使用の比較試料とほぼ同等まで塗布液停滞性が改良された。
【0114】
また、第5層内の(100)平板粒子の投影面積が50%を越えるように高感度乳剤、低感度乳剤共に(100)を主平面とする平板状乳剤を使用した場合、さらに本発明の効果が得られることがわかる。
【0115】
【発明の効果】
本発明の構成とすることにより、迅速処理安定性に優れ、製造ロット内の性能安定性に優れたハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することができる。
Claims (3)
- 支持体上の少なくとも1層に、塩化銀含有率が90%以上で、かつ投影面積の10%以上がアスペクト比3以上のハロゲン化銀平板状粒子を含有し、該層内の感度の異なる少なくとも2種のハロゲン化銀乳剤が式(I)を満たすことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
式(I) 0.3 ≦ θC ≦ 2.0
θC=θa/θb
θa:該層内の高感度のハロゲン化銀乳剤の分光増感色素被覆率
θb:該層内の低感度のハロゲン化銀乳剤の分光増感色素被覆率 - 該層内のハロゲン化銀粒子の投影面積の30%以上が(100)を主平面とするアスペクト比3以上の平板状粒子であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 該層内のハロゲン化銀乳剤が赤感性であることを特徴とする請求項1または2記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
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