JP3613606B2 - ローラ式粉砕装置およびその運転方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はローラ式粉砕装置に係り、特に粉砕時の異常な振動の発生を防止するのに好適なローラ式粉砕装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のローラ式粉砕装置は、円環状の凹部を上面に有して水平方向へ自在に回転する粉砕台をハウジング内に設け、この円環状の凹部に回転方向に沿って複数の粉砕用ローラを所定間隔で配置し、この粉砕用ローラのそれぞれをブラケットを介してほぼ水平な1個の加圧フレームにより支持し、この加圧フレームによって粉砕用ローラへ加圧力を与えることにより、粉砕台上の凹部の被粉砕物、例えば石炭を圧接し、その圧壊作用により粉砕するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来装置は、振動防止に対する配慮がされておらず、粉砕時に粉砕用ローラと被粉砕物がスリップし、これに伴って粉砕用ローラが被粉砕物上でジャンプするスティックスリップ現象による激しい自励振動が発生するという問題点があった。
【0004】
本発明の目的は、ローラと被粉砕物のスリップを未然に防止し、スティックスリップ現象によるローラ式粉砕装置の激しい自励振動を防止することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、ほぼ水平な加圧フレームに取り付けた複数のローラを、水平方向へ回転自在な粉砕台上に配置し、前記加圧フレームによって前記ローラへ与える加圧力により、前記ローラと前記粉砕台との間で被粉砕物を圧接して粉砕するローラ式粉砕装置の運転方法において、前記加圧フレームの少なくとも3箇所に、油圧シリンダにより鉛直方向に移動可能なロッドを取り付け、各ロッド又は各ロットが取り付けられた前記加圧フレームの部位における鉛直方向の変位量を検出し、この検出値に基づいて、加圧フレームを粉砕台上面に対してほぼ平行に保持するように、各油圧シリンダの油圧を制御することにより達成される。
【0006】
【作用】
上記構成によれば、粉砕台上の石炭などの被粉砕物を粉砕するとき、加圧フレームの鉛直方向変位を測定し、その変位量を調節することにより、加圧フレームの粉砕台上面に対する傾きを規定することができる。そのため、加圧フレームに取り付けた複数のローラを、粉砕台上の被粉砕物に対して常に一定の位置で接触させることができ、被粉砕物に対するローラの接触位置を規制することが可能となるので、ローラと被粉砕物とのスリップが発生しなくなり、スティックスリップ現象による、ローラ式粉砕装置の自励振動の発生を防止することができる。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する前に、ローラ式粉砕装置の全体構造を、図6を用いて説明する。なお、以下の各図において、同一構造部分には同一符号を付してある。
ヨーク1は減速機2の出力軸上に回転可能なように取り付けられており、このヨーク1上には環状の粉砕リング3が固定されている。粉砕リング3上のくぼみ部には、ローラブラケット4にローラ軸及びベアリングにより回転可能に固定されたローラ5が等間隔で3組設置されている。ローラブラケット4の上部及び加圧フレーム6の下面にはピボットピン7が入る溝が加工されており、ローラブラケット4及びローラ5はピボットピン7を介して加圧フレーム6により粉砕リング3上に押しつけられ、ローラ5が転倒しないようになっている。加圧フレーム6にはピボットアーム8が取り付けられており、このピボットアーム8のもう一方の端は、加圧シリンダ9に固定されたローディングロッド10とつながっている。
【0008】
モーターにより減速機2の入力軸を回転させると、減速機2の出力軸に取り付けられたヨーク1、及びヨーク1に固定された粉砕リング3が回転する。このとき、加圧シリンダ9はローディングロッド10を引張っており、この引張り力はピボットアーム8を介して加圧フレーム6を下方向に押し付けており、この加圧フレーム6はピボットピン7、ローラブラケット4を介してローラ5を粉砕リング3に押し付けている。被粉砕物(例えば、石炭)は中央上部の供給管11から投下され、ローラ5と粉砕リング3にはさまれ、圧壊作用により粉砕される。粉砕された被粉砕物(例えば、微粉炭)は熱風に吹き上げられ、分級器12を通り、所定の粒度のものは出口管13へ、それより粒度の大きいものは粉砕部へ落下し、再び粉砕される構造となっている。
【0009】
次に、本発明になるローラ式粉砕装置およびその運転方法の実施例を、図面を参照して説明する。
(1)本実施例におけるローラ式粉砕装置の全体構成
図1に、本実施例におけるローラ式粉砕装置を示す。三角形状の加圧フレーム6の各辺の下面には、ピボットピン7を介してローラブラケット4が粉砕リング3の半径方向に振り子運動のみできるように取け付けられており、このローラブラケット4には軸14によりローラ5が回転可能に固定され、このローラ5は粉砕リング3のくぼみ部に設置されている。三角形状の加圧フレーム6の各頂点部には、ピボットアーム8が取り付けられており、このピボットアーム8の他端にはローディングロッド10が取り付けられ、このローディングロッド10を加圧シリンダ9で鉛直下方に加圧することにより、ローラ5を粉砕リング3上に圧接できるようになっている。
【0010】
本装置においては、加圧シリンダ9とローディングロッド10との間に、変位計15が設けられており、ローディングロッド10の鉛直方向の変位、すなわち加圧フレーム6の三角形頂点部の鉛直方向変位量が計測できるようになっている。変位計15によって計測された加圧フレーム6の各頂点部の鉛直方向の変位量は、制御装置16に送られ、制御装置16は三角形状の加圧フレーム6の各頂点部の鉛直方向変位量が等しくなるように、すなわち加圧フレーム6が粉砕リング3に対して常に平行となるように、各加圧シリンダ9の油圧を制御するようになっている。
【0011】
(2)本実施例におけるローラ式粉砕装置の各構成部品の相互関係及び作用
本実施例におけるローラ式粉砕装置では、三角形状の加圧フレーム6の各頂点部分の鉛直方向の変位量を変位計15によって計測し、粉砕時、加圧フレーム6の各頂点の変位量が等しくなるように各加圧シリンダ9の油圧を制御することによって、加圧フレーム6は粉砕リング3に対して常に平行を保つことが可能となる。
【0012】
図2は、本実施例におけるローラ式粉砕装置およびその運転方法における加圧シリンダ9の加圧力の制御方法について示したものである。粉砕時、変位計15によって計測された加圧フレーム6の各頂点の変位量が等しい場合、すなわち加圧フレーム6が粉砕リング3に対して平行である場合は、各加圧シリンダ9の加圧力を変える必要はない。各頂点の変化が等しくない場合、すなわち加圧フレーム6が粉砕リング3に対して傾いている場合は、各加圧シリンダ9の油圧をそれぞれ増減させることにより、加圧フレーム6の各頂点部の変位量を等しく、すなわち加圧フレーム6を粉砕リング3に対して平行にすることが可能である。
本装置は、加圧フレーム6を粉砕リング3に対して常に平行とすることが可能であり、これによりローラ5と被粉砕物18のスリップを防止し、スティックスリップ現象による自励振動を防止することができる。
【0013】
ここで、図3を用いて、従来のローラ式粉砕装置において加圧フレーム6が粉砕リング3に対して傾いた場合、スティックスリップ現象によって自励振動が発生する理由について説明する。
図3は、加圧フレーム6が粉砕リング3に対して傾いた場合の側面図である。従来のローラ式粉砕装置では、各ローラ5の位置における被粉砕物18の層厚が同じではないこと、及び三角形状の加圧フレーム6の各頂点部を加圧するための加圧シリンダ9の油圧の大きさが等しいことなどにより、粉砕時に、図3に示すように、加圧フレーム6が粉砕リング3に対して傾く場合があり、これに伴いローラ5と被粉砕物17にスリップが発生し、スティックスリップ現象による激しい自励振動が発生する。図3において、加圧フレーム6が粉砕リング3に対して傾くと、ローラ5と被粉砕物17の接点は正規の位置AからA1 の位置にずれることになる。
【0014】
図4に、ローラ5と被粉砕物17の接触位置がずれた場合のローラ5が被粉砕物17から受ける力を示す。ローラ5がA点すなわち正規の位置にある場合は、ローラ5の半径方向と粉砕リング3の回転接線方向は一致し、ローラ5は力FAを受けるだけであり、ローラ5を粉砕リング3の半径方向へ移動させようとする力は生じない。これに対して、加圧フレーム6が粉砕リング3に対して傾き、ローラ5と被粉砕物17の接触点がB点となった場合、ローラ5はB点における粉砕リング3の回転接線方向の力FBを受ける。この力FBは、図4に示すように、ローラ5の半径方向の成分FB1とこれに垂直な成分FB2に分かれ、成分FB2はローラ5を粉砕リング3の半径方向の外側方向、すなわちC点の方向に移動させることになる。粉砕リング3は環状であり、回転半径が外側ほど大きくなり周速度が速くなるため、C点における粉砕リング3の周速度は、B点における周速度よりも速くなるが、ローラ5の重量は重く、急に回転数を変えることができず、ローラ5と被粉砕物17との間にスリップが生じることになる。このとき、スティックスリップ現象によりローラ5は鉛直方向にジャンプし、これにより粉砕装置に激しい自励振動が発生する。
【0015】
本実施例におけるローラ式粉砕装置においては、加圧フレーム6の各頂点の変位量が等しくなるように、加圧フレーム6を加圧するための加圧シリンダ9の油圧を制御することにより、加圧フレーム6は粉砕リング3に対して常に平行を保つため、ローラ5と粉砕リング3上の被粉砕物17との接触点は、常に図4のA点となり、ローラ5は被粉砕物17から粉砕リング3の半径方向への力がかかることはない。そのため、ローラ5と粉砕リング3上の被粉砕物17の周速度が異なってしまうことがなく、ローラ5と被粉砕物17のスリップが発生しなくなり、スティックスリップ現象による、ローラ式粉砕装置の自励振動の発生を防止することができる。
以上のように、本実施例によれば、ローラと被粉砕物のスリップを未然に防止し、スティックスリップ現象によるローラ式粉砕装置の激しい自励振動を防止することができる。
【0016】
次に、本発明の他の実施例を図5に示す。本実施例は、三角形状の加圧フレーム6の各頂点部の鉛直方向の変位量を測定するための変位計18をハウジング19に固定したものである。この実施例では、変位計18として非接触型変位計が用いられており、加圧フレーム6の鉛直方向変位量はピボットアーム8と非接触型変位計18との距離により計測される。本実施例もその作用効果は図1の実施例と全く同様であり、スティックスリップ現象による自励振動を防止することができる。
【0017】
【発明の効果】
上述のとおり本発明によれば、ローラと被粉砕物のスリップを未然に防止し、スティックスリップ現象によるローラ式粉砕装置の激しい自励振動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるローラ式粉砕装置の一実施例を示す側面図である。
【図2】本発明におけるローラ式粉砕装置の加圧シリンダの油圧制御方法を示す図である。
【図3】ローラ式粉砕装置において加圧フレームが粉砕リングに対して傾いた場合のローラと被粉砕物の接触点のずれを示す側面図である。
【図4】ローラ式粉砕装置においてローラと被粉砕物の接触点がずれた場合のローラが受ける力を示す平面図である。
【図5】本発明におけるローラ式粉砕装置の他の実施例を示す側面図である。
【図6】ローラ式粉砕装置の全体構造を示す参考例の側面図である。
【符号の説明】
1 ヨーク
2 減速機
3 粉砕リング
4 ローラブラケット
5 ローラ
6 加圧フレーム
7 ピボットピン
8 ピボットアーム
9 加圧シリンダ
10 ローディングロッド
11 供給管
12 分級器
13 出口管
14 軸
15 変位計
16 制御装置
17 被粉砕物
18 変位計
19 ハウジング
Claims (2)
- ほぼ水平な加圧フレームに取り付けた複数のローラを、水平方向へ回転自在な粉砕台上に配置し、前記加圧フレームによって前記ローラへ与える加圧力により、前記ローラと前記粉砕台との間で被粉砕物を圧接して粉砕するローラ式粉砕装置の運転方法において、前記加圧フレームの少なくとも3箇所に、油圧シリンダにより鉛直方向に移動可能なロッドを取り付け、該ロッド又は該ロッドが取り付けられた前記加圧フレームの部位における鉛直方向の変位量を検出し、該検出値に基づいて、前記加圧フレームを前記粉砕台上面に対してほぼ平行に保持するように、前記油圧シリンダの油圧を制御することを特徴とするローラ式粉砕装置の運転方法。
- ハウジング内に、円環状の凹部を上面に有して水平方向へ回転する粉砕台と、該粉砕台の円環状の凹部上に前記回転方向に沿って所定間隔で配置された3個のローラと、ブラケットを介して前記ローラを支持する三角形状の加圧フレームと、該三角形状の加圧フレームの各頂点部にピポットアームとを設け、さらに前記ハウジング外に、前記ピポットアームの他端に接続されたローディングロッドを介して前記加圧フレームに鉛直方向の加圧を加えるための加圧シリンダを設けたローラ式粉砕装置において、前記加圧シリンダと前記ローディングロッドとの間にそれぞれ変位計を設け、該各変位計によって計測された変位量が等しくなるように前記加圧シリンダの油圧を制御して前記加圧フレームを前記粉砕台上面に対してほぼ平行に保持する制御装置を設けたことを特徴とするローラ式粉砕装置。
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JP03240894A JP3613606B2 (ja) | 1994-03-02 | 1994-03-02 | ローラ式粉砕装置およびその運転方法 |
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JPH07241486A JPH07241486A (ja) | 1995-09-19 |
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