JP3613200B2 - 光モジュール - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられる光モジュール、特に気密性が高く、伝送する光の偏光面の崩れのない光モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年発達の著しい光通信の分野では、光信号を確実に伝達するために、光モジュールの気密性が重要視されている。それは、光モジュール内部が高温高湿状態となると、その内部に配置された光半導体素子の電極部が劣化することと、内部に侵入した水分が結露して光半導体素子の光学特性が劣化し、10年以上の光半導体素子の寿命を保証できなくなることによる。
【0003】
ところで、光モジュールは、内部の光半導体素子と外部の光ファイバーを、レンズを使用して光学的に結合する役割がある。光モジュールの気密性を確保したままこの光学系を維持するために、光半導体気密封止容器には、光透過型の窓構造を採用している。
【0004】
光モジュール用の筐体(気密封止容器)の窓材には、透光性に優れており、かつ、強度も高いことから、サファイアがよく使用されている。特開平8−148594号では、光透過型の窓にサファイアを使用した光モジュール用の筐体の基本構造と製造方法について開示されている。この筐体の窓構造について、特開平8−148594号では、光軸とサファイアのC軸との関係が述べられている。ここでは、スネルの法則に従って屈折する光軸と窓板のC軸とを一致させて、光の複屈折を生じさせない、即ち光の偏光面が回転しないような窓構造が提案されている。
【0005】
特開平11−54642号では、窓板に硼珪酸ガラスを使用した光モジュールの窓構造が提案されている。硼珪酸ガラスは、安価であり、かつ、透光性についてはサファイアよりも優れている。さらに、硼珪酸ガラスは等方的材料であって光の複屈折を生じない材料である。しかし、硼珪酸ガラスは熱等の応力によって弾性歪みが生じるために透過する光の偏光面が崩れるという問題点があった。しかし、特開平11−54642号に開示されているように、ガラスに均一に応力をかけることで光の偏光面の崩れは小さくでき、その際は、光の偏光面の崩れの指標となる、後述する偏光消光比が−40dB程度と小さくなって実使用上問題にならないことが分かった。
【0006】
ここで、光の偏光面の崩れは、次のような偏光消光比で表されるのが一般的である。クロスニコルの実験系において、光射出側の偏光子を光入射側に対して90度回転させたとき、最大となる光強度をImax、最小の光強度をIminとすると、偏光消光比は10×log10(Imin/Imax)で定義される。したがって、偏光消光比が小さいほど光の偏光面の崩れが小さいことを示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、光通信における高密度波長多重技術と高速化技術の高度化に伴い、伝送する光の偏光面を維持することと、その波長の均一性を確保することが大きな課題となっている。このうち、後者を解決するには、光ファイバーグレーティング等の、気密封止容器の外に光ファイバーを介した外部共振器構造を形成することが望ましいが、この場合にも光の偏光面の維持が必要となる。このとき必要となる偏光面の維持程度は、上述した偏光消光比で−30dB、すなわちImaxがIminの1000倍を上回る程度であり、上記の従来技術では達成できない厳しい条件となっていた。
【0008】
さらに、窓板にサファイアを用いた上記の従来技術では、光軸とサファイアのC軸との好ましい関係を成立させるために次のような方法を用いなければならない。すなわち、C軸に対し垂直に切り出したサファイア板を用いて、光軸に対しそのサファイア板を垂直に配置して光軸とC軸を一致させるか、そうでない場合には、わざわざC軸に対して特定の角度を有するサファイア板を研磨して作製し、さらに光軸に対してそのサファイア板のC軸位置を厳密に位置合わせすることが必要であった。前者の場合には、入射側に反射戻り光が発生し、光モジュールには適さない。後者の場合には、厳密な位置合わせが難しく、角度を正確に固定して窓部分を製造することは困難であった。
【0009】
また、窓板に硼珪酸ガラスを用いた場合でも、硼珪酸ガラスは強度が弱いという欠点がある。したがって、硼珪酸ガラスの窓板は、より過酷な条件下で使用するには適しておらず、実使用において不十分な材料であった。実際、海底ケーブル用の超高信頼性が要求される分野での使用はいまだ避けられているのが現状である。
【0010】
そこで、本発明では、製造が容易で、機械的強度があり、偏光消光比が小さくて偏光面の崩れのない窓構造を有する光モジュールを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、筐体と、
上記筐体に固定された、サファイア板を用いた光透過型窓構造を有する接合部とを有し、光軸から見てサファイアのC軸と直線偏光である光の偏光面とのなす角度ψと、サファイアのC軸と光軸とのなす角度θとの間に、次の関係式(1)〜(4)が成立することを特徴とする光モジュールが提供される。
(1)n=ωε/√(ω2cos2θ+ε2sin2θ)
(2)δ=2πd(ω−n)/λ
【数2】
(4)−30≧+20log(tanβ)
ただし、
ω:サファイアの主屈折率
ε:サファイアの副屈折率
λ:透過光の波長
d:サファイア板の厚さ
【0012】
さらに本発明によれば、上記の光モジュールであって、サファイアの板厚が0.28mmのときに、Nを整数としたとき、上記の
角度ψと上記の角度θとの間に次の(5)〜(7)のいずれか一つの関係式が成立していることを特徴とする光モジュールが提供される。
(5)6度≦θ≦10度 かつ (90N−9)度≦ψ≦(90N+9)度
(6)2度≦θ<6度 かつ (90N−32)度≦ψ≦(90N+32)度
(7)10度<θ≦14度 かつ (90N−5)度≦ψ≦(90N+5)度
【0013】
まず、サファイアのC軸と光の偏光面とのなす角度ψ、及び、サファイアのC軸と光軸とのなす角度θを図2を用いて説明する。図2(A)において、実線の矢印は光軸を表し、その矢印の方向は光の進行方向である。図2(A)の中央の長方形は、サファイア板の断面であり、破線の矢印はサファイア結晶のC軸を表している。サファイア板は、C軸に垂直になるよう切り出され研磨されている。この図に示すように、光軸とサファイアのC軸とのなす角がθである。図2(B)は、(A)を入射光側から見た図であり、円形のサファイア板が示され、光軸は紙面に垂直となっている。図2(B)の実線の両矢印は、入射光の偏光方向を示している。図2(B)の破線の矢印はサファイア結晶のC軸の紙面(光軸に対して垂直な面)への投影を示しており、実際のC軸はθ分だけ紙面から斜め上方に向かっている。図2(B)に示すように、このC軸の投影と光の偏光方向とのなす角がψである。
【0014】
サファイアのように一軸性の結晶では、光軸と結晶のC軸を一致させると複屈折は起きなくなり、入射光の偏光面が回転することなく維持される。しかし、前述のように反射戻り光の影響があったり、製造上の困難があったりする。一方で、本発明者らは、実験により、入射光が直線偏光であれば、入射光の光軸とサファイアのC軸とを一致させずとも、入射光の偏光面とC軸のなす角度を0とし、両者を同一面とすることで複屈折は生じなくなることを確認した。加えて、光通信の分野で必要な十分条件である偏光消光比−30dBを確保するには、やはり光の偏光面とC軸を同一面とすればよいことが分かった。ところが、この光の偏光面とサファイアのC軸を厳密に同一面とすることは、筐体を製造する上で大変困難である。
【0015】
そこで、本発明者らは研究の結果、入射光の光軸とサファイアのC軸とのなす角度θ、入射光の偏光面とサファイアのC軸とのなす角度ψ、サファイアの主屈折率ω、サファイアの副屈折率ε、透過光の波長λ及びサファイア板の厚さdを用いて、直線偏光のみを扱う場合に、透過光の偏光消光比を確度を高く記述できる近似式を得ることに成功した。それが前述の(1)〜(3)及び(4)の右辺の式である。図4〜6のグラフはそれぞれ、dを変えたときの偏光消光比の実測値及び計算値のθ及びψに対する依存性を示している。これらのグラフから、実測値と近似式を用いた計算値がよく一致していることが分かる。
【0016】
さらに、試作実験の結果、本発明者らは望ましい偏光消光比を得られる最適な範囲を見出した。上記(4)の不等式、及びdが0.28mmのときの(5)〜(7)の関係式がその最適範囲である。すなわち、入射光の光軸とサファイアのC軸とが一致していなくとも、その光の偏光面とC軸とのなす角度を小さく抑えることにより、偏光消光比−30dB以下の条件を満足することができる。逆に、入射光の偏光面とサファイアのC軸の角度を大きくとって製造しやすくしても、入射光の光軸とC軸との角度を小さく抑えることにより、−30dB以下の条件を満足することができる。(4)が成立するとき、サファイア板の厚さdは、0.3mm以下が好ましい。後述する実施例では、厚さ0.28mmのサファイア板を用いた。
【0017】
また、半導体レーザを使用して、本発明の光モジュールの接合部の外側に偏光保持(PANDA)ファイバーを接続することによって、直線偏光の偏光面をさらに正確に、高度に保ったまま光を伝送することができる。この場合には、光ファイバーアンプに必要な複数の励起光を偏波合成して、効率よく光ファイバーアンプを使用することができる。したがって、伝送する光信号の効率的な増幅が可能である。また、本発明の光モジュールとともに光通信に用いられるアイソレータの構造を簡略化することが可能で、低コスト化も可能となる。
【0018】
また、本発明の光モジュールを用い、異方性光学材料であるLNで作製した変調器では、窓の偏光消光比が小さいために、LN変調器内部で生じる複屈折を抑制することが可能で、S/N比のよい光信号を得ることができる。
【0019】
また、本発明の光モジュールの筐体内部に半導体レーザを装着して用いると、窓の外に接続するアイソレータでの光損失を抑制することができる。
【0020】
さらに、本発明の光モジュールは、サファイア板の外側に、四分の一波長板(λ/4板)を備えていてもよい。従来、半導体光増幅器では、増幅特性に偏波依存性が生じることが問題であった。しかし、光モジュールへの入射光をλ/4板によって直線偏光とした後で、本発明の光モジュールを用いた半導体光増幅器を用いれば、偏波依存性がなく増幅特性を向上させることができる。λ/4板の挿入によって直線偏光を得た後、偏光面をサファイアのC軸に対して位置合わせして、さらにλ/4板をYAG溶接すると、半導体光増幅器の増幅特性はさらに向上させることができる。したがって、その半導体光増幅器を利用した波長変換素子や高速動作可能な光−光スイッチング素子のインサーションロスを低減させ、S/N比のよい光信号を得ることができる。
【0021】
さらにまた、本発明の光モジュールの接合部の外側に、選択的に特定の波長を反射する反射機構、例えば光ファイバーグレーティングを設けることにより、光モジュール内部の光素子と共振させることができる。このときに窓の複屈折によって生じる光信号の発振モードの乱れを抑制することが可能となり、さらに光信号のロスも小さくできるので、信号の光強度が増す。
【0022】
上記の関係式(5)〜(7)において、Nを0又は偶数にすると、光をサファイア板に入射した際、サファイアの分極による吸収が生じなくなる。そのため、サファイア板の透過率がよくなり、光信号を損失することなく伝送できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
【実施例】
1)光半導体気密封止容器の作製
本実施例では、サファイアのC軸と光の偏光面とのなす角度ψと、光軸とC軸のなす角度θとの間に次の関係式が成り立つように、本発明の光モジュールの一形態として、光半導体気密封止容器を以下のように作製した。Nは、0とした。
6度≦θ≦10度 かつ (90N−9)度≦ψ≦(90N+9)度
【0024】
作製した光半導体気密封止容器の窓部の概略構成を図1に示す。気密封止容器1は、底板5と、容器側壁2とで全体が構成される。容器側壁2には筒状部3が設けられ、その中に円形のサファイア板4がはめ込まれている。サファイア板4に対応する容器側壁2部分は、円形に切り取られており、筒状部3とサファイア板4は光透過型の窓を構成している。
【0025】
光半導体気密封止容器1は、底板5をコバール、容器側壁2をコバール、光透過型の窓の筒状部3のパイプにもコバールを用いて、銀鑞付けにより作製した。これに、端子部はコバールのピンを低融点ガラスにて封止した構造のものに、ニッケル金メッキを施して用いた。容器側壁2には、サファイア板4をはめ込むために、筒状部3として側壁に対してθの角度面を有するパイプを、θの角度面が入射光の偏光面に対してψだけ傾くように銀鑞付けした。実際には、容器側壁2に円筒形の穴をあけて、円柱形のパイプをはめ込み、カーボン治具で位置合わせした。用いたサファイア板の厚さは0.28mmであり、そのサファイアの屈折率はC軸に沿って1.7679、C軸に垂直な面では1.7596であった。サファイア板4の表面は、C軸に垂直であるものを使用した。実際にはC軸に角度ずれがあるために、カーボン治具はθとψが小さく取れるように設計した。サファイアには、MgFのARコートを施した。ここで、コーティングは、MgF以外に、TiOとSiOの多層膜を用いてもよい。θがブリュースター角である場合には、ψを小さく、0度に近づければ、サファイア板にARコートを施さなくてもよい。サファイア板上のメタライズは、サファイア側からTi/Pt/Auであった。サファイア板は、AuSn鑞材で、気密封止容器1に封止接合した。
【0026】
2)偏光消光比の測定
上記のように作製した光半導体気密封止容器について、θとψをパラメータとし、光信号がサファイア板の窓を通過した後の偏光消光比を求めた。ここで、LD光はλが1.48μm(0.00148mm)の光を使用した。その結果を図6のグラフに示す。このグラフから、実測値と近似式を用いた計算値がよく一致していることが分かる。さらに、ψとθの範囲を明確に示すために、図3のグラフを示した。図3において、横軸はψ、縦軸はθ、グレーの濃淡の領域は偏光消光比を示している。偏光消光比は、ψに対して90度の周期性があり、最大点及び最小点は90度ごとに繰り返されている。グレーの濃淡で示した各領域のうち、ψが45度のときは、偏光消光比はどの角度のθにおいても最大値をとり、ψが0度及び90度のときは、偏光消光比はどの角度のθにおいても最小値をとることが分かった。ψを、0度から半周期である45度ずつずらしてゆくと、偏光消光比の最大と最小は入れ替わる。偏光消光比が最大となる、ψが0度及び90度の付近では、θが大きくなっても偏光消光比はあまり変動しない。しかし、偏光消光比が最小となるψが45度及び135度付近では、θの変動によって偏光消光比が大きく変動する。光通信に要求される偏光消光比−30dB以下となるθ及びψの範囲は、次のとおりであった。
6度≦θ≦10度 かつ (90N−9)度≦ψ≦(90N+9)度
2度≦θ<6度 かつ (90N−32)度≦ψ≦(90N+32)度
10度<θ≦14度 かつ (90N−5)度≦ψ≦(90N+5)度
(Nは整数)
【0027】
また、ψが0度と90度のときの窓を透過する光の強度を比較したところ、ψが0度のときの方が0.2dB光強度が大きくなった。したがって、本実施例で光半導体気密封止容器を作製する際、Nを0としたことによって、サファイア窓の透過率が向上したことが分かった。
【0028】
3)PANDAを接合した光モジュール
上述のように作製した光半導体封止容器の外部に、偏光保持ファイバー(PANDA)を一本YAG接合させて、光モジュールを作製した。本発明の光モジュールを用いることにより、直線偏光を高度に保ったまま光信号を伝送することができた。さらに、光ファイバーアンプに必要な複数の励起光を偏波合成して、効率よく光ファイバーアンプを使用することができた。同時に、アイソレータの構造を簡略化することができた。
【0029】
4)半導体レーザ素子を装着した光モジュール
上述のように作製した光半導体封止容器に半導体レーザ素子をハイブリッド集積した。本発明の光半導体封止容器を使用したことにより、窓の外に接続したアイソレータでの光損失を抑制できた。
【0030】
5)異方性光学材料を用いた光導波路素子を装着した光モジュール
上述のように作製した光半導体封止容器を用いて、マッハテンダー型の素子を装着し、異方性光学材料であるLNを用いた変調器を作製した。本発明の光半導体封止容器を用いたことにより、LN変調器内部で生じる複屈折を抑制でき、S/N比のよい光信号を得ることができた。
【0031】
6)半導体光増幅素子を装着した光モジュール
上述のように作製した光半導体封止容器に半導体光増幅素子をハイブリッド集積し、半導体光増幅器を作製した。この半導体光増幅器のサファイア板の窓の外側には、さらに、λ/4板を装着した。光ファイバーからの入射光をλ/4板を通して直線偏光とし、この半導体光増幅器を用いて光信号を増幅すると、偏波依存性を生じることなく増幅特性を向上させることができた。この半導体光増幅器を利用した波長変換素子及び高速動作可能な光−光スイッチング素子では、インサーションロスが低減でき、S/N比のよい信号光が得られた。また、λ/4板を通して直線偏光を得た後、偏光面を位置合わせしてYAG溶接し、半導体光増幅器を作製した。すると、この場合にはさらに光増幅特性を向上させることができた。
【0032】
7)反射機構を備えた光モジュール
上述のように作製した光モジュールの外側に、選択的に特定の波長を反射する反射機構である、光ファイバーグレーティングを設けた。このときに、入射光の発振モードの乱れを抑制することができ、波長選択性に優れた光モジュールが作製できた。さらに、光信号のロスも小さくなり、光強度が増した。
【0033】
【発明の効果】
本発明の光モジュールは、製造が容易で、機械的強度があり、光信号の偏光面の崩れを生じない。さらに、本発明の光モジュールは、偏光消光比が−30dB以下と小さく、光通信に好適に用いられる。また、本発明の光モジュールは、射出する光強度が大きく、射出光のモード安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】気密封止容器窓部の概略構成図である。
【図2】角度ψ及びθの説明図である。
【図3】角度ψ、θ、及び偏光消光比の関係を示す図である。
【図4】dが1.0mm、λが1.48μm(0.00148mm)のときの、角度ψ、θ、及び偏光消光比の関係を示すグラフである。
【図5】dが0.5mm、λが1.48μm(0.00148mm)のときの、角度ψ、θ、及び偏光消光比の関係を示すグラフである。
【図6】dが0.28mm、λが1.48μm(0.00148mm)のときの、角度ψ、θ、及び偏光消光比の関係を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられる光モジュール、特に気密性が高く、伝送する光の偏光面の崩れのない光モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年発達の著しい光通信の分野では、光信号を確実に伝達するために、光モジュールの気密性が重要視されている。それは、光モジュール内部が高温高湿状態となると、その内部に配置された光半導体素子の電極部が劣化することと、内部に侵入した水分が結露して光半導体素子の光学特性が劣化し、10年以上の光半導体素子の寿命を保証できなくなることによる。
【0003】
ところで、光モジュールは、内部の光半導体素子と外部の光ファイバーを、レンズを使用して光学的に結合する役割がある。光モジュールの気密性を確保したままこの光学系を維持するために、光半導体気密封止容器には、光透過型の窓構造を採用している。
【0004】
光モジュール用の筐体(気密封止容器)の窓材には、透光性に優れており、かつ、強度も高いことから、サファイアがよく使用されている。特開平8−148594号では、光透過型の窓にサファイアを使用した光モジュール用の筐体の基本構造と製造方法について開示されている。この筐体の窓構造について、特開平8−148594号では、光軸とサファイアのC軸との関係が述べられている。ここでは、スネルの法則に従って屈折する光軸と窓板のC軸とを一致させて、光の複屈折を生じさせない、即ち光の偏光面が回転しないような窓構造が提案されている。
【0005】
特開平11−54642号では、窓板に硼珪酸ガラスを使用した光モジュールの窓構造が提案されている。硼珪酸ガラスは、安価であり、かつ、透光性についてはサファイアよりも優れている。さらに、硼珪酸ガラスは等方的材料であって光の複屈折を生じない材料である。しかし、硼珪酸ガラスは熱等の応力によって弾性歪みが生じるために透過する光の偏光面が崩れるという問題点があった。しかし、特開平11−54642号に開示されているように、ガラスに均一に応力をかけることで光の偏光面の崩れは小さくでき、その際は、光の偏光面の崩れの指標となる、後述する偏光消光比が−40dB程度と小さくなって実使用上問題にならないことが分かった。
【0006】
ここで、光の偏光面の崩れは、次のような偏光消光比で表されるのが一般的である。クロスニコルの実験系において、光射出側の偏光子を光入射側に対して90度回転させたとき、最大となる光強度をImax、最小の光強度をIminとすると、偏光消光比は10×log10(Imin/Imax)で定義される。したがって、偏光消光比が小さいほど光の偏光面の崩れが小さいことを示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、光通信における高密度波長多重技術と高速化技術の高度化に伴い、伝送する光の偏光面を維持することと、その波長の均一性を確保することが大きな課題となっている。このうち、後者を解決するには、光ファイバーグレーティング等の、気密封止容器の外に光ファイバーを介した外部共振器構造を形成することが望ましいが、この場合にも光の偏光面の維持が必要となる。このとき必要となる偏光面の維持程度は、上述した偏光消光比で−30dB、すなわちImaxがIminの1000倍を上回る程度であり、上記の従来技術では達成できない厳しい条件となっていた。
【0008】
さらに、窓板にサファイアを用いた上記の従来技術では、光軸とサファイアのC軸との好ましい関係を成立させるために次のような方法を用いなければならない。すなわち、C軸に対し垂直に切り出したサファイア板を用いて、光軸に対しそのサファイア板を垂直に配置して光軸とC軸を一致させるか、そうでない場合には、わざわざC軸に対して特定の角度を有するサファイア板を研磨して作製し、さらに光軸に対してそのサファイア板のC軸位置を厳密に位置合わせすることが必要であった。前者の場合には、入射側に反射戻り光が発生し、光モジュールには適さない。後者の場合には、厳密な位置合わせが難しく、角度を正確に固定して窓部分を製造することは困難であった。
【0009】
また、窓板に硼珪酸ガラスを用いた場合でも、硼珪酸ガラスは強度が弱いという欠点がある。したがって、硼珪酸ガラスの窓板は、より過酷な条件下で使用するには適しておらず、実使用において不十分な材料であった。実際、海底ケーブル用の超高信頼性が要求される分野での使用はいまだ避けられているのが現状である。
【0010】
そこで、本発明では、製造が容易で、機械的強度があり、偏光消光比が小さくて偏光面の崩れのない窓構造を有する光モジュールを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、筐体と、
上記筐体に固定された、サファイア板を用いた光透過型窓構造を有する接合部とを有し、光軸から見てサファイアのC軸と直線偏光である光の偏光面とのなす角度ψと、サファイアのC軸と光軸とのなす角度θとの間に、次の関係式(1)〜(4)が成立することを特徴とする光モジュールが提供される。
(1)n=ωε/√(ω2cos2θ+ε2sin2θ)
(2)δ=2πd(ω−n)/λ
【数2】
(4)−30≧+20log(tanβ)
ただし、
ω:サファイアの主屈折率
ε:サファイアの副屈折率
λ:透過光の波長
d:サファイア板の厚さ
【0012】
さらに本発明によれば、上記の光モジュールであって、サファイアの板厚が0.28mmのときに、Nを整数としたとき、上記の
角度ψと上記の角度θとの間に次の(5)〜(7)のいずれか一つの関係式が成立していることを特徴とする光モジュールが提供される。
(5)6度≦θ≦10度 かつ (90N−9)度≦ψ≦(90N+9)度
(6)2度≦θ<6度 かつ (90N−32)度≦ψ≦(90N+32)度
(7)10度<θ≦14度 かつ (90N−5)度≦ψ≦(90N+5)度
【0013】
まず、サファイアのC軸と光の偏光面とのなす角度ψ、及び、サファイアのC軸と光軸とのなす角度θを図2を用いて説明する。図2(A)において、実線の矢印は光軸を表し、その矢印の方向は光の進行方向である。図2(A)の中央の長方形は、サファイア板の断面であり、破線の矢印はサファイア結晶のC軸を表している。サファイア板は、C軸に垂直になるよう切り出され研磨されている。この図に示すように、光軸とサファイアのC軸とのなす角がθである。図2(B)は、(A)を入射光側から見た図であり、円形のサファイア板が示され、光軸は紙面に垂直となっている。図2(B)の実線の両矢印は、入射光の偏光方向を示している。図2(B)の破線の矢印はサファイア結晶のC軸の紙面(光軸に対して垂直な面)への投影を示しており、実際のC軸はθ分だけ紙面から斜め上方に向かっている。図2(B)に示すように、このC軸の投影と光の偏光方向とのなす角がψである。
【0014】
サファイアのように一軸性の結晶では、光軸と結晶のC軸を一致させると複屈折は起きなくなり、入射光の偏光面が回転することなく維持される。しかし、前述のように反射戻り光の影響があったり、製造上の困難があったりする。一方で、本発明者らは、実験により、入射光が直線偏光であれば、入射光の光軸とサファイアのC軸とを一致させずとも、入射光の偏光面とC軸のなす角度を0とし、両者を同一面とすることで複屈折は生じなくなることを確認した。加えて、光通信の分野で必要な十分条件である偏光消光比−30dBを確保するには、やはり光の偏光面とC軸を同一面とすればよいことが分かった。ところが、この光の偏光面とサファイアのC軸を厳密に同一面とすることは、筐体を製造する上で大変困難である。
【0015】
そこで、本発明者らは研究の結果、入射光の光軸とサファイアのC軸とのなす角度θ、入射光の偏光面とサファイアのC軸とのなす角度ψ、サファイアの主屈折率ω、サファイアの副屈折率ε、透過光の波長λ及びサファイア板の厚さdを用いて、直線偏光のみを扱う場合に、透過光の偏光消光比を確度を高く記述できる近似式を得ることに成功した。それが前述の(1)〜(3)及び(4)の右辺の式である。図4〜6のグラフはそれぞれ、dを変えたときの偏光消光比の実測値及び計算値のθ及びψに対する依存性を示している。これらのグラフから、実測値と近似式を用いた計算値がよく一致していることが分かる。
【0016】
さらに、試作実験の結果、本発明者らは望ましい偏光消光比を得られる最適な範囲を見出した。上記(4)の不等式、及びdが0.28mmのときの(5)〜(7)の関係式がその最適範囲である。すなわち、入射光の光軸とサファイアのC軸とが一致していなくとも、その光の偏光面とC軸とのなす角度を小さく抑えることにより、偏光消光比−30dB以下の条件を満足することができる。逆に、入射光の偏光面とサファイアのC軸の角度を大きくとって製造しやすくしても、入射光の光軸とC軸との角度を小さく抑えることにより、−30dB以下の条件を満足することができる。(4)が成立するとき、サファイア板の厚さdは、0.3mm以下が好ましい。後述する実施例では、厚さ0.28mmのサファイア板を用いた。
【0017】
また、半導体レーザを使用して、本発明の光モジュールの接合部の外側に偏光保持(PANDA)ファイバーを接続することによって、直線偏光の偏光面をさらに正確に、高度に保ったまま光を伝送することができる。この場合には、光ファイバーアンプに必要な複数の励起光を偏波合成して、効率よく光ファイバーアンプを使用することができる。したがって、伝送する光信号の効率的な増幅が可能である。また、本発明の光モジュールとともに光通信に用いられるアイソレータの構造を簡略化することが可能で、低コスト化も可能となる。
【0018】
また、本発明の光モジュールを用い、異方性光学材料であるLNで作製した変調器では、窓の偏光消光比が小さいために、LN変調器内部で生じる複屈折を抑制することが可能で、S/N比のよい光信号を得ることができる。
【0019】
また、本発明の光モジュールの筐体内部に半導体レーザを装着して用いると、窓の外に接続するアイソレータでの光損失を抑制することができる。
【0020】
さらに、本発明の光モジュールは、サファイア板の外側に、四分の一波長板(λ/4板)を備えていてもよい。従来、半導体光増幅器では、増幅特性に偏波依存性が生じることが問題であった。しかし、光モジュールへの入射光をλ/4板によって直線偏光とした後で、本発明の光モジュールを用いた半導体光増幅器を用いれば、偏波依存性がなく増幅特性を向上させることができる。λ/4板の挿入によって直線偏光を得た後、偏光面をサファイアのC軸に対して位置合わせして、さらにλ/4板をYAG溶接すると、半導体光増幅器の増幅特性はさらに向上させることができる。したがって、その半導体光増幅器を利用した波長変換素子や高速動作可能な光−光スイッチング素子のインサーションロスを低減させ、S/N比のよい光信号を得ることができる。
【0021】
さらにまた、本発明の光モジュールの接合部の外側に、選択的に特定の波長を反射する反射機構、例えば光ファイバーグレーティングを設けることにより、光モジュール内部の光素子と共振させることができる。このときに窓の複屈折によって生じる光信号の発振モードの乱れを抑制することが可能となり、さらに光信号のロスも小さくできるので、信号の光強度が増す。
【0022】
上記の関係式(5)〜(7)において、Nを0又は偶数にすると、光をサファイア板に入射した際、サファイアの分極による吸収が生じなくなる。そのため、サファイア板の透過率がよくなり、光信号を損失することなく伝送できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
【実施例】
1)光半導体気密封止容器の作製
本実施例では、サファイアのC軸と光の偏光面とのなす角度ψと、光軸とC軸のなす角度θとの間に次の関係式が成り立つように、本発明の光モジュールの一形態として、光半導体気密封止容器を以下のように作製した。Nは、0とした。
6度≦θ≦10度 かつ (90N−9)度≦ψ≦(90N+9)度
【0024】
作製した光半導体気密封止容器の窓部の概略構成を図1に示す。気密封止容器1は、底板5と、容器側壁2とで全体が構成される。容器側壁2には筒状部3が設けられ、その中に円形のサファイア板4がはめ込まれている。サファイア板4に対応する容器側壁2部分は、円形に切り取られており、筒状部3とサファイア板4は光透過型の窓を構成している。
【0025】
光半導体気密封止容器1は、底板5をコバール、容器側壁2をコバール、光透過型の窓の筒状部3のパイプにもコバールを用いて、銀鑞付けにより作製した。これに、端子部はコバールのピンを低融点ガラスにて封止した構造のものに、ニッケル金メッキを施して用いた。容器側壁2には、サファイア板4をはめ込むために、筒状部3として側壁に対してθの角度面を有するパイプを、θの角度面が入射光の偏光面に対してψだけ傾くように銀鑞付けした。実際には、容器側壁2に円筒形の穴をあけて、円柱形のパイプをはめ込み、カーボン治具で位置合わせした。用いたサファイア板の厚さは0.28mmであり、そのサファイアの屈折率はC軸に沿って1.7679、C軸に垂直な面では1.7596であった。サファイア板4の表面は、C軸に垂直であるものを使用した。実際にはC軸に角度ずれがあるために、カーボン治具はθとψが小さく取れるように設計した。サファイアには、MgFのARコートを施した。ここで、コーティングは、MgF以外に、TiOとSiOの多層膜を用いてもよい。θがブリュースター角である場合には、ψを小さく、0度に近づければ、サファイア板にARコートを施さなくてもよい。サファイア板上のメタライズは、サファイア側からTi/Pt/Auであった。サファイア板は、AuSn鑞材で、気密封止容器1に封止接合した。
【0026】
2)偏光消光比の測定
上記のように作製した光半導体気密封止容器について、θとψをパラメータとし、光信号がサファイア板の窓を通過した後の偏光消光比を求めた。ここで、LD光はλが1.48μm(0.00148mm)の光を使用した。その結果を図6のグラフに示す。このグラフから、実測値と近似式を用いた計算値がよく一致していることが分かる。さらに、ψとθの範囲を明確に示すために、図3のグラフを示した。図3において、横軸はψ、縦軸はθ、グレーの濃淡の領域は偏光消光比を示している。偏光消光比は、ψに対して90度の周期性があり、最大点及び最小点は90度ごとに繰り返されている。グレーの濃淡で示した各領域のうち、ψが45度のときは、偏光消光比はどの角度のθにおいても最大値をとり、ψが0度及び90度のときは、偏光消光比はどの角度のθにおいても最小値をとることが分かった。ψを、0度から半周期である45度ずつずらしてゆくと、偏光消光比の最大と最小は入れ替わる。偏光消光比が最大となる、ψが0度及び90度の付近では、θが大きくなっても偏光消光比はあまり変動しない。しかし、偏光消光比が最小となるψが45度及び135度付近では、θの変動によって偏光消光比が大きく変動する。光通信に要求される偏光消光比−30dB以下となるθ及びψの範囲は、次のとおりであった。
6度≦θ≦10度 かつ (90N−9)度≦ψ≦(90N+9)度
2度≦θ<6度 かつ (90N−32)度≦ψ≦(90N+32)度
10度<θ≦14度 かつ (90N−5)度≦ψ≦(90N+5)度
(Nは整数)
【0027】
また、ψが0度と90度のときの窓を透過する光の強度を比較したところ、ψが0度のときの方が0.2dB光強度が大きくなった。したがって、本実施例で光半導体気密封止容器を作製する際、Nを0としたことによって、サファイア窓の透過率が向上したことが分かった。
【0028】
3)PANDAを接合した光モジュール
上述のように作製した光半導体封止容器の外部に、偏光保持ファイバー(PANDA)を一本YAG接合させて、光モジュールを作製した。本発明の光モジュールを用いることにより、直線偏光を高度に保ったまま光信号を伝送することができた。さらに、光ファイバーアンプに必要な複数の励起光を偏波合成して、効率よく光ファイバーアンプを使用することができた。同時に、アイソレータの構造を簡略化することができた。
【0029】
4)半導体レーザ素子を装着した光モジュール
上述のように作製した光半導体封止容器に半導体レーザ素子をハイブリッド集積した。本発明の光半導体封止容器を使用したことにより、窓の外に接続したアイソレータでの光損失を抑制できた。
【0030】
5)異方性光学材料を用いた光導波路素子を装着した光モジュール
上述のように作製した光半導体封止容器を用いて、マッハテンダー型の素子を装着し、異方性光学材料であるLNを用いた変調器を作製した。本発明の光半導体封止容器を用いたことにより、LN変調器内部で生じる複屈折を抑制でき、S/N比のよい光信号を得ることができた。
【0031】
6)半導体光増幅素子を装着した光モジュール
上述のように作製した光半導体封止容器に半導体光増幅素子をハイブリッド集積し、半導体光増幅器を作製した。この半導体光増幅器のサファイア板の窓の外側には、さらに、λ/4板を装着した。光ファイバーからの入射光をλ/4板を通して直線偏光とし、この半導体光増幅器を用いて光信号を増幅すると、偏波依存性を生じることなく増幅特性を向上させることができた。この半導体光増幅器を利用した波長変換素子及び高速動作可能な光−光スイッチング素子では、インサーションロスが低減でき、S/N比のよい信号光が得られた。また、λ/4板を通して直線偏光を得た後、偏光面を位置合わせしてYAG溶接し、半導体光増幅器を作製した。すると、この場合にはさらに光増幅特性を向上させることができた。
【0032】
7)反射機構を備えた光モジュール
上述のように作製した光モジュールの外側に、選択的に特定の波長を反射する反射機構である、光ファイバーグレーティングを設けた。このときに、入射光の発振モードの乱れを抑制することができ、波長選択性に優れた光モジュールが作製できた。さらに、光信号のロスも小さくなり、光強度が増した。
【0033】
【発明の効果】
本発明の光モジュールは、製造が容易で、機械的強度があり、光信号の偏光面の崩れを生じない。さらに、本発明の光モジュールは、偏光消光比が−30dB以下と小さく、光通信に好適に用いられる。また、本発明の光モジュールは、射出する光強度が大きく、射出光のモード安定性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】気密封止容器窓部の概略構成図である。
【図2】角度ψ及びθの説明図である。
【図3】角度ψ、θ、及び偏光消光比の関係を示す図である。
【図4】dが1.0mm、λが1.48μm(0.00148mm)のときの、角度ψ、θ、及び偏光消光比の関係を示すグラフである。
【図5】dが0.5mm、λが1.48μm(0.00148mm)のときの、角度ψ、θ、及び偏光消光比の関係を示すグラフである。
【図6】dが0.28mm、λが1.48μm(0.00148mm)のときの、角度ψ、θ、及び偏光消光比の関係を示すグラフである。
Claims (7)
- 上記サファイア板の厚さdが0.28mmであり、Nを整数としたとき、上記角度ψと、上記角度θとの間に、次の(5)〜(7)のいずれか一つの関係式が成立することを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
(5)6度≦θ≦10度 かつ (90N−9)度≦ψ≦(90N+9)度
(6)2度≦θ<6度 かつ (90N−32)度≦ψ≦(90N+32)度
(7)10度<θ≦14度 かつ (90N−5)度≦ψ≦(90N+5)度 - さらに、上記接合部の外側に偏光保持ファイバーを少なくとも1本設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の光モジュール。
- さらに、上記筐体内に、半導体レーザ素子、半導体光増幅素子及び異方性光学材料を用いた光導波路素子のいずれか一つを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光モジュール。
- さらに、上記サファイア板の外側に、四分の一波長板を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光モジュール。
- 上記接合部の外側に、特定の波長の光を反射する反射機構を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光モジュール。
- 上記Nが0又は偶数であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか一項に記載の光モジュール。
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