JP3612999B2 - 画像形成方法、画像形成装置および画像形成制御装置 - Google Patents
画像形成方法、画像形成装置および画像形成制御装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の印字素子を備えたヘッドを有し、ヘッドを往復動させながら被記録材に画像を形成する画像形成方法、画像形成装置、および画像形成制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機、ファクシミリなど、画像情報に基づいて画像を被記録材に形成する機能を有する画像形成装置には、大きくシリアル方式とページ方式がある。図2は、シリアル方式の画像形成装置の一例の要部斜視図、図3は、シリアル方式の画像形成方法の一例の説明図である。図中、1は記録ヘッド、2はキャリッジ、3はインクタンク、4はキャリッジガイド、5はケーブル、6は被記録材、7はメンテナンスステーションである。この例では、シリアル方式の画像形成装置の一例としてインクジェット記録方式の画像形成装置を示している。
【0003】
キャリッジ2は、記録ヘッド1を搭載し、キャリッジガイド4を摺動して、図示矢印Hの主走査方向に往復移動する。キャリッジ2の移動は、図示しないキャリッジ駆動モータによって駆動される。記録ヘッド1は、この例では2個がキャリッジ2の移動方向に配列されている。
【0004】
記録ヘッド1には、ケーブル5が導入されており、記録ヘッド1内の印字素子への給電や、駆動回路への信号の伝送等を行なう。また、それぞれの記録ヘッド1にインクタンク3が取り付けられており、各色のインクが各記録ヘッド1に供給される。各記録ヘッド1には、複数の印字素子が配置されており、供給されたインクが吐出され、被記録材6に記録が行なわれる。被記録材6は、図示しない紙送りモータによって図示矢印Pの方向に駆動されて、副走査が行なわれる。副走査は、このように被記録材6が移動する方式の他、キャリッジ2が副走査方向に移動する方式、あるいは両者が相対的に移動する方式などもある。
【0005】
キャリッジ2の移動可能領域の端部にはメンテナンスステーション7が設けられている。画像の形成を行なわないときや、記録ヘッド1のメンテナンスを行なう際には記録ヘッド1をこのメンテナンスステーション7に移動し、記録ヘッド1の維持管理や各種のメンテナンス処理を行なう。
【0006】
このようなシリアル方式の画像形成装置において画像を形成する際には、被記録材6を所定の位置まで搬送した後、キャリッジガイド4に沿って移動するキャリッジ2上に搭載した記録ヘッド1によって、記録ヘッド1の記録幅分の帯状の画像を形成(主走査)する。1本の帯状の画像の形成を終了した後に所定の紙送り(副走査)を行ない、その後に次の帯状の画像の形成(主走査)を行なう。このような動作を繰り返すことにより、被記録材6の全域に画像を形成することができる。
【0007】
シリアル方式の画像形成装置に対する要求として、高画質化とともに高速化が挙げられる。高画質を維持するためには記録ヘッド1の移動方向が一定の方がよい。しかし、一定の方向のみで画像を形成する片方向印字を行なう場合、主走査による画像形成後に記録ヘッド1を戻す動作が必要となり、画像形成速度が低下する。そのため、例えば特開平7−25101号公報などに見られるように、両方向印字を行なうことによって高速化を図ることができる。また、片方向印字と両方向印字を適宜切り換えながら画像を形成することも行なわれている。
【0008】
図4は、シリアル方式の画像形成装置における記録ヘッドの速度変化の一例を示すグラフである。主走査を行なう際には、停止している記録ヘッド1を加速させ、定常の速度となった後に画像の形成を行なわせ、帯状の画像形成を行なった後には停止させるべく減速させる。このときの記録ヘッド1の速度の変化を図4に示している。まず、記録ヘッド1が停止している移動開始点から所定の加速度で所定速度に達するまで記録ヘッド1を加速する。所定速度に達した後も、多少の間は画像の形成が不安定になりやすいため、少しの間は画像の形成を行なわない。移動開始点から画像形成を開始するまでを加速領域と呼ぶことにする。所定速度で記録ヘッド1を移動させながら、画像の形成を行なう。画像データがなくなると、記録ヘッド1を所定の加速度で減速し、停止させる。この記録ヘッドの減速開始から停止するまでの区間を減速領域と呼ぶことにする。
【0009】
これらの加速領域および減速領域では画像形成を行なわない。そのため、被記録材の全幅で画像の形成を行なおうとすると、その両側に加速領域および減速領域を設ける必要がある。加速領域では記録ヘッド1の移動を安定させることが必要となるが、減速領域では記録ヘッド1を停止させればよく、両者の役割が異なることから、加速領域と減速領域の幅が異なることがある。このような場合、上述のような両方向印字が可能な構成とする際には、加速領域と減速領域のいずれか幅の広い方の領域を被記録材の両側に設けることが必要となる。このように加速領域、減速領域の幅の広い方に合わせて印字領域以外の領域を設けることは、装置を小型化する上での障害となる。
【0010】
さらに、シリアル方式の画像形成装置においては、カラー画像の形成や階調画像の形成を行なう場合には、記録色または記録濃度に応じて複数個の記録ヘッドを用いる場合がある。例えば図2、図3に示した例では、2個の記録ヘッド1を搭載した例を示している。このように複数の記録ヘッド1を搭載した場合、印字領域以外にさらに広い領域が必要となる。すなわち、例えば図3に示した例においては、被記録材6の右側には、左側の記録ヘッド1の加速領域または減速領域のいずれか幅の広い方の領域を確保する必要がある。このとき、右側の記録ヘッド1はさらに右側に移動することになる。そのため、被記録材6の右側に画像の形成を行なわない広い領域が必要となり、装置が大型化していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、被記録材に対する画像形成領域を確保しつつ、画像形成に要する時間を抑え、かつ装置を小型化することが可能な画像形成方法、画像形成装置、画像形成制御装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、1以上の印字素子を有するヘッドを往復動させながら被記録材に画像を形成する画像形成方法において、前記ヘッドを所定の速度に加速するために要する加速領域の幅と、前記ヘッドを所定の速度から停止させるために要する減速領域の幅が異なり、前記ヘッドの一方の移動方向における前記加速領域の幅と前記減速領域の幅のいずれか長い方の領域に前記被記録材が存在する場合に、前記ヘッドを他方の移動方向にのみ移動させて画像を形成することを特徴とするものである。
画像形成方法。
【0013】
請求項2に記載の発明は、1以上の印字素子を有するヘッドと、該ヘッドを往復動させながら前記印字素子を駆動して被記録材に画像を形成させる制御手段を有する画像形成装置において、前記制御手段は、前記ヘッドを所定の速度に加速するために要する加速領域の幅と、前記ヘッドを所定の速度から停止させるために要する減速領域の幅が異なり、前記ヘッドの一方の移動方向における前記加速領域の幅と前記減速領域の幅のいずれか長い方の領域に前記被記録材が存在すると判定した場合に、前記ヘッドを他方の移動方向にのみ移動させて画像を形成するように制御することを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、1以上の印字素子を有するヘッドを有し、該ヘッドを往復動させながら被記録材に画像を形成する画像形成装置であって、前記ヘッドを所定の速度に加速するために要する加速領域の幅と前記ヘッドを所定の速度から停止させるために要する減速領域の幅が異なる画像形成装置を制御する画像形成制御装置において、前記ヘッドの一方の移動方向における前記加速領域の幅と前記減速領域の幅のいずれか長い方の領域に前記被記録材が存在する場合に前記ヘッドを他方の移動方向にのみ移動させて画像を形成するように前記画像形成装置を制御する制御手段を有していることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態を示す概略構成図である。図中、11は画像形成装置、12はホスト装置、21は外部インタフェース、22はコントローラ部、23はヘッドコントローラ、24はヘッド、25は内部バスである。画像形成装置11はホスト装置12と直接、あるいはネットワークなどを介して間接的に接続されている。ここでは一例として、ホスト装置12から画像データが送られてくるものとする。この際、転送されてくる画像データは、コードデータやイメージデータなど、いずれの形式をとってもよい。
【0016】
外部インタフェース21は、ホスト装置12から送られてくる画像データを受け取る受信手段として機能する。また、画像データを受け取る際の通信制御なども行なう。
【0017】
制御手段としてコントローラ部22およびヘッドコントローラ23を有している。コントローラ部22は、外部インタフェース21で受け取った画像データを処理し、ヘッドコントローラ23を制御して実際に画像の形成を行なわせる。ヘッドコントローラ23は、コントローラ部22からの指示に従い、ヘッド24を制御し、画像形成時には画像データとともに駆動パルスをヘッド24へ送出して、ヘッド24の印字素子を駆動する。また、ヘッド24の移動制御を行なって主走査を行なう。このとき、後述するように加速領域あるいは減速領域のいずれか長いほうの領域に形成すべき画像があるか否かに応じて、移動方向あるいは加速度などを制御する。なお、図示しない送り手段によって被記録材とヘッド24との相対移動を行なって副走査を行なう。
【0018】
ヘッド24は、1以上の印字素子を有している。ヘッドコントローラ23による制御により印字素子が駆動され、被記録材上に画像を形成する。
【0019】
内部バス25は、外部インタフェース21、コントローラ部22、ヘッドコントローラ23などを接続しており、相互にデータの転送が可能なように構成されている。
【0020】
図1に示した例では、画像形成装置11を制御手段を内蔵した構成とした例を示しているが、本発明はこれに限らず、制御手段を画像形成制御装置としてホスト装置12側に有したシステムでもよい。この場合、例えばヘッド24の移動方向などを指定するコマンドも印刷データとともにホスト装置12から画像形成装置に送るようにすればよい。また、ホスト装置12と画像形成装置11が一体となった構成であってももちろんよい。ワープロ、ファクシミリ、コピーなど、種々の装置に適用可能である。
【0021】
次に、本発明の実施の一形態における動作の一例について説明する。まず、図示しない送り手段によって被記録材とヘッド24との副走査方向の相対移動が行なわれ、主走査位置が合わせられる。そして主走査が行なわれて被記録材に画像が形成される。
【0022】
図5は、本発明の実施の一形態における主走査の動作の一例を示すフローチャートである。S31において1回の主走査で形成する画像の画像データを調べ、その主走査方向における加速領域あるいは減速領域内に画像データが存在するか否かを判定する。そして、加速領域あるいは減速領域内に画像データが存在している場合には、S32からS33へ進み、主走査方向を逆向きに設定し、設定した逆の主走査方向によって画像を形成するように制御し、画像データの処理を行なう。また、加速領域および減速領域に画像データが存在しない場合には、S32からS34へ進み、この主走査における方向で画像を形成するように制御し、画像データの処理を行なう。その後、S35において、設定されている主走査方向に主走査を行ない、画像を形成する。これによってヘッド24の記録幅分の帯状の画像が形成される。
【0023】
このようにして1回の主走査が行なわれた後、副走査方向に被記録材とヘッド24とを相対移動させ、次の主走査を行なう。このときの主走査の方向は、直前の主走査の方向とは逆の方向とする。しかし、図5に示したフローチャートに従い、加速領域あるいは減速領域内に画像データが存在している場合には直前の主走査方向と同一の方向に主走査を行なうことになる。
【0024】
加速領域内あるいは減速領域内に画像データが存在している場合の別の解決方法として、例えば加速時あるいは減速時におけるヘッド24の加速度を変更して加速領域あるいは減速領域の幅を狭めるように制御することも可能である。この場合、主走査方向を逆向きに変更する必要はなくなり、高速に両方向印字を行なうことができる。
【0025】
次に、いくつかの例において、本発明の動作を具体的に説明する。図6は、本発明の実施の一形態における第1の具体的な動作例の説明図である。図中の符号は、図1,図3と同様である。この例では、図中左側にヘッド24が常駐するホームポジションが存在し、そのホームポジション側には十分な加減速が行なえる領域が確保されており、逆に図中右側には減速領域は確保されているが十分な加速領域が確保されていない例を示している。なお、減速領域の長さよりも加速領域の長さが長いものとしている。また、ホームポジションのある左から右への方向を順方向、右から左への方向を逆方向としている。
【0026】
この例においては、順方向の場合には図6(B)に示すように被記録材6の全幅において画像が加速領域および減速領域にかかることはない。そのため、主走査を順方向に行なう場合においては何等支障なく主走査によって画像を形成することができる。しかし逆方向の主走査では、図6(C)に示すように被記録材6の一部が加速領域にかかっている。この加速領域内に形成すべき画像データが存在しなければ、そのまま逆方向の主走査によって画像を形成することができる。この場合、両方向による画像の形成を行なうことができるため、高速な画像形成を実現することができる。
【0027】
逆方向の主走査において、加速領域内に形成すべき画像データが存在している場合には、そのままでは加速領域内の画像を形成できない。そのため、ヘッド24をホームポジションに戻し、図6(B)に示す順方向の主走査によって画像の形成を行なうように制御する。これによって逆方向の主走査では画像を形成できなかった被記録材6の右端部分にも画像を形成することができる。また、被記録材6の右側に十分な加速領域を設けなくてもよく、装置を小型化することができる。
【0028】
上述のように、例えば加速領域におけるヘッド24の加速度を大きくして画像形成開始までに正常速度に達するように制御し、加速領域を短縮することもできる。この場合、ヘッド24は図6(C)に破線で示したような速度変化となり、逆方向の主走査によって被記録材6の右端部分における画像の形成を行なうことができる。そのため、常に両方向による主走査が可能となり、高速に画像を形成することができる。この場合も、被記録材6の右側に十分な加速領域を設けなくてもよく、装置を小型化することができる。
【0029】
図7は、本発明の実施の一形態における第2の具体的な動作例の説明図である。図中の符号は、図6と同様である。この例においても図中左側にホームポジションが存在するが、ホームポジション側には十分な加速領域が確保されておらず、逆に図中右側には十分な加減速領域が確保されている例を示している。なお、図6と同様に、減速領域の長さよりも加速領域の長さが長いものとし、ホームポジションのある左から右への方向を順方向、右から左への方向を逆方向としている。
【0030】
この例においては、逆方向の場合には図7(C)に示すように被記録材6の全幅において画像が加速領域および減速領域にかかることはない。そのため、主走査を逆方向に行なう場合においては何等支障なく主走査によって画像を形成することができる。しかし順方向の主走査では、図7(B)に示すように被記録材6の一部が加速領域にかかっている。この加速領域内に形成すべき画像データが存在しなければ、そのまま順方向の主走査によって画像を形成することができる。この場合、両方向による画像の形成を行なうことができるため、高速な画像形成を実現することができる。
【0031】
順方向の主走査を行なう際に加速領域内に形成すべき画像データが存在している場合には、そのままでは加速領域内の画像を形成できない。そのため、ヘッド24をホームポジションとは逆の右端に移動し、図7(C)に示す逆方向の主走査によって画像の形成を行なうように制御する。これによって順方向の主走査では画像を形成できなかった被記録材6の左端部分にも画像を形成することができる。また、被記録材6の左側に十分な加速領域を設けなくてもよく、装置を小型化することができる。
【0032】
図6に示した例と同様に、例えば加速領域におけるヘッド24の加速度を大きくして加速領域を短縮することもできる。この場合、ヘッド24は図7(B)に破線で示したような速度変化となる。これによって、順方向の主走査によって被記録材6の左端部分における画像の形成を行なうことができるとともに、常に両方向による主走査が可能となり、高速に画像を形成することができる。この場合も、被記録材6の右側に十分な加速領域を設けなくてもよく、装置を小型化することができる。
【0033】
図8は、本発明の実施の一形態における第3の具体的な動作例の説明図である。図中の符号は、図6,図7と同様である。この例では、加速領域の長さよりも減速領域の長さが長い場合について示している。図中左側のホームポジション側には十分な加減速が行なえる領域が確保されているが、図中右側には十分な減速領域が確保されていない。この場合、逆方向の主走査では図8(C)に示すように被記録材6の全幅において画像が加速領域および減速領域にかかることはない。
【0034】
順方向の主走査を行なおうとすると、図8(B)に示すように被記録材6の一部が減速領域にかかってしまう。そのため、この減速領域にかかる被記録材6の右端部分の画像を形成することができない。この部分に形成すべき画像が存在しなければ、そのまま順方向の主走査によって画像を形成すればよい。減速領域にかかる被記録材6の右端部分に形成すべき画像が存在する場合には、ヘッド24をホームポジションとは逆の右端に移動し、図8(C)に示す逆方向の主走査によって画像の形成を行なうように制御する。これによって順方向の主走査では画像を形成できなかった被記録材6の右端部分にも画像を形成することができる。
【0035】
これにより、可能な限り両方向の主走査を行なって高速な画像形成を実現することができる。また、被記録材6の右側に十分な減速領域を設けなくてもよく、装置を小型化することができる。
【0036】
また、この例の場合にも減速領域における負の加速度の絶対値を大きくしてヘッド24を急停止させ、減速領域を短縮することもできる。これによって常に両方向による主走査を可能とし、高速に画像を形成することができる。この場合も、被記録材6の右側に十分な減速領域を設けなくてもよく、装置を小型化することができる。
【0037】
図9は、本発明の実施の一形態における第4の具体的な動作例の説明図である。図中の符号は、図8と同様である。この例においても加速領域の長さよりも減速領域の長さが長い場合について示している。図中左側のホームポジション側に十分な減速領域が確保されておらず、図中右側には十分な加減速を行なえる領域が確保されている。この場合、順方向の主走査では図9(B)に示すように被記録材6の全幅において画像が加速領域および減速領域にかかることはない。
【0038】
逆方向の主走査を行なおうとすると、図9(C)に示すように被記録材6の一部が減速領域にかかってしまう。そのため、この減速領域にかかる被記録材6の左端部分の画像を形成することができない。この部分に形成すべき画像が存在しなければ、そのまま逆方向の主走査によって画像を形成すればよい。減速領域にかかる被記録材6の左端部分に形成すべき画像が存在する場合には、ヘッド24をホームポジション側に移動し、図9(B)に示す順方向の主走査によって画像の形成を行なうように制御する。これによって逆方向の主走査では画像を形成できなかった被記録材6の左端部分にも画像を形成することができる。
【0039】
これにより、可能な限り両方向の主走査を行なって高速な画像形成を実現することができる。また、被記録材6の左側に十分な減速領域を設けなくてもよく、装置を小型化することができる。
【0040】
また、この例の場合にも減速領域における負の加速度の絶対値を大きくしてヘッド24を急停止させ、減速領域を短縮することもできる。これによって常に両方向による主走査を可能とし、高速に画像を形成することができる。この場合も、被記録材6の左側に十分な減速領域を設けなくてもよく、装置を小型化することができる。
【0041】
図10は、本発明の実施の一形態における第5の具体的な動作例の説明図である。図中の符号は、図6と同様である。この例では、図3に示したように2つのヘッド24が主走査方向に並べて配置されている例を示している。ここでは一例として、左側のヘッドがカラーヘッドであり、右側のヘッドがブラックヘッドであるものとする。複数のヘッド24が配置された構成では、それぞれのヘッドについて、加速領域、減速領域内に形成すべき画像があるか否かを判定する。ここでは上述の第1の実施の形態と同様に、減速領域の長さよりも加速領域の長さが長いものとする。また、ホームポジション側にはカラーヘッドおよびブラックヘッドとも十分な加減速領域が確保されているが、逆に図中右側にはブラックヘッドの減速領域は確保されているものの、ブラックヘッドの加速領域およびカラーヘッドの加速領域および減速領域が十分確保されていないものとする。
【0042】
まずブラックの画像については、順方向の主走査では図10(B)に示すように被記録材6の全幅において画像が加速領域および減速領域にかかることはない。そのため、主走査を順方向に行なう場合においては何等支障なく主走査によって画像を形成することができる。逆方向の主走査では、図10(D)に示すように被記録材6の一部が加速領域にかかっている。この加速領域内に形成すべき画像データが存在しなければ、そのまま逆方向の主走査によって画像を形成することができる。しかし、この加速領域内に形成すべき画像データが存在する場合、逆方向の主走査によってこの領域の画像を形成することはできない。
【0043】
また、ブラック以外のカラーの画像については、順方向の主走査において図10(C)に示すように被記録材6の一部が減速領域にかかっており、この部分は画像を形成することはできない。この部分は逆方向の主走査を行なっても画像を形成できない。逆方向の主走査では、図10(E)に示すように、加速領域が被記録材6の一部にかかり、画像を形成することができない。このとき、カラーヘッドはブラックヘッドの左側に配置されているので、ブラックヘッドよりも多くの領域について画像を形成できない。
【0044】
このように、各ヘッドによって画像を形成可能な領域が異なるため、各ヘッドごとに、加減速領域内に形成すべき画像が存在するか否かを判定することになる。この例では、逆方向の主走査を行なう場合、ブラックの画像がブラックヘッドの加速領域内に存在するか、また、ブラック以外のカラー画像がカラーヘッドの加速領域内に存在するかをそれぞれ判定する。そして、いずれかが存在する場合、ヘッド24をホームポジション側に戻し、順方向の主走査によって画像を形成すればよい。これにより、可能な限り両方向の主走査を行なって高速な画像形成を実現することができるとともに、被記録材6の左側に十分な減速領域を設けなくてもよく、装置を小型化することができる。
【0045】
図11は、本発明の実施の一形態における第5の具体的な動作例における画像形成例の説明図である。図11において、矩形で形成する画像領域を示し、矩形内が塗りつぶされた領域はブラックのみの画像を、矩形内にハッチングを施した領域はカラー画像を形成する領域を示している。なお、カラー画像領域にブラックの画像が含まれていても同様である。また、図中右側に主走査方向を示しており、上述の例に倣い、左から右への矢印の主走査を順方向、右から左への矢印の主走査を逆方向とする。
【0046】
初期状態として、ヘッド24はホームポジションに位置しているものとする。最初の主走査は順方向に行なう。(1)において、順方向の主走査によって画像の形成が行なわれる。その後、ヘッド24を図中の右端にて停止させる。
【0047】
次の(2)においては逆方向の主走査を行なうべく、形成すべき画像のデータを調べる。(2)ではブラックの画像のみであり、ブラックヘッドの加速領域内には画像が存在しないので、そのまま逆方向の主走査を行ない、ブラックの画像を形成する。
【0048】
(3)〜(5)においても同様であり、(3)、(5)において順方向の主走査、(4)において逆方向の主走査によって画像を形成することができる。このようにして両方向印字を行なうことによって、高速な画像の形成を行なうことができる。なお、(3)〜(5)に示すように形成する画像の領域が短い場合には、形成する画像がなくなった時点でヘッド24を停止させ、次の主走査の画像形成領域に応じて移動開始点にヘッド24を移動させるように制御することもできる。
【0049】
(5)における順方向の主走査後、(6)の主走査で形成すべき画像を調べる。今度はカラー画像であるので、カラーヘッドの逆方向の主走査における加速領域内に形成すべき画像が存在するか否かを調べる。この場合には、カラーヘッドおよびブラックヘッドのいずれの加速領域にも形成すべき画像は存在しないので、そのまま逆方向の主走査を行なって(6)の画像を形成する。
【0050】
同様にして(7)〜(9)における順方向、逆方向、順方向の主走査によってカラー画像が形成される。次の(10)において逆方向の主走査によってカラー画像を形成しようとすると、カラーヘッドの加速領域に形成すべき画像が存在する。(1)、(2)におけるブラックの画像と同じ長さのカラー画像ではあるが、カラーヘッドがブラックヘッドの左側にあるため、カラー画像の場合には(10)に示す長さの画像でも逆方向の主走査では形成することができない。そのため、ヘッド24をホームポジションに戻し、(10)は順方向の主走査によって形成する。
【0051】
次の(11)においては、逆方向の主走査で画像を形成可能か否かを調べる。(10)と形成する画像領域の長さは同じであるが、形成するのはブラックの画像である。そのため、ブラックヘッドの逆方向の主走査時の加速領域に形成すべき画像が存在するか否かを調べる。すると、加速領域内には形成すべき画像が存在しない。そのため、そのまま逆方向の主走査によって、ブラックヘッドで(11)の画像を形成することになる。
【0052】
(12)、(13)ではカラーヘッドにおける画像形成可能範囲を超えて形成すべき画像が存在するが、画像はブラック画像であるのでブラックヘッドによる画像形成は可能である。(12)では順方向の主走査で画像を形成する。次に(13)で逆方向の主走査で画像を形成することを考えると、加速領域に形成すべき画像が存在する。そのため、ヘッド24をホームポジションに戻し、順方向の主走査で(12)の画像を形成する。
【0053】
(14)で形成する画像はカラー画像である。この場合、(12)、(13)のブラックの画像よりも形成する領域の長さは短いが、カラーヘッドの逆方向走査時の加速領域内に形成すべき画像が存在する。そのため、(14)においてもヘッド24をホームポジションに戻し、順方向の主走査で(14)の画像を形成する。
【0054】
(15)は逆方向の主走査で画像を形成し、(16)では順方向の主走査で画像を形成する。(17)ではカラーヘッドの逆方向走査時の加速領域内に形成すべきカラー画像が存在するので、順方向に切り換えて主走査を行ない、画像を形成する。
【0055】
このようにして、可能な限り両方向印字を行なって画像形成速度を向上させるとともに、一方の側に十分な加速領域がなくても広い画像形成領域を確保することができ、装置を小型化することができる。
【0056】
なお、上述の例では被記録材6の一部にカラー画像が形成できない領域が発生しているが、図中の右側にもう少しヘッド24の移動可能な領域を設けることができれば、カラー画像についても被記録材6の全幅にわたって画像を形成することができる。逆にカラー画像の形成可能な領域を通常の画像形成領域とすれば、ブラックについてはさらに広い領域に対して画像を形成することができる。
【0057】
あるいは、減速領域の負の加速度の絶対値を大きくし、急停止させることによって、画像形成の不可能な領域を減らし、あるいはなくしてもよい。もちろん、逆方向の主走査時の加速領域において、加速度を大きくして加速領域を短くし、両方向印字可能な割合を増加させてもよい。
【0058】
ここでは図6に示した第1の具体例に対応させた2ヘッド構成の例を示したが、もちろん、上述の第2ないし第4の具体例で示したいずれの具体例においても同様である。また、2ヘッドでなくても、4ヘッドなど、複数ヘッドを有する構成について同様に制御することが可能である。
【0059】
このように、一方の端には加速領域と減速領域の幅のいずれか短い方の領域のみを設ければよいので、装置を小型化することができる。なお、加速領域と減速領域のいずれか長い方の領域に画像データが存在するか否かの判定は、ヘッドが複数存在する場合には、各ヘッドにおいて判定すればよい。また、この画像データの判定の代わりに、被記録材の幅の判定によって代用することもできる。なお、本発明における画像形成方式は、インクジェット式、ワイヤドット式、感熱式、熱転写式など、任意の方式を採用することができる。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、主走査方向の一方の側に十分な加減速領域が確保できなくても、なるべく両方向印字を行なって高速な画像形成を行ないつつ、広い画像形成領域を確保し、画像形成を行なうことができる。また、主走査方向の一方の側に十分な加減速領域が確保できなくても構成可能であるため、装置を小型化することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す概略構成図である。
【図2】シリアル方式の画像形成装置の一例の要部斜視図である。
【図3】シリアル方式の画像形成方法の一例の説明図である。
【図4】シリアル方式の画像形成装置における記録ヘッドの速度変化の一例を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の一形態における主走査の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の一形態における第1の具体的な動作例の説明図である。
【図7】本発明の実施の一形態における第2の具体的な動作例の説明図である。
【図8】本発明の実施の一形態における第3の具体的な動作例の説明図である。
【図9】本発明の実施の一形態における第4の具体的な動作例の説明図である。
【図10】本発明の実施の一形態における第5の具体的な動作例の説明図である。
【図11】本発明の実施の一形態における第5の具体的な動作例における画像形成例の説明図である。
【符号の説明】
1…記録ヘッド、2…キャリッジ、3…インクタンク、4…キャリッジガイド、5…ケーブル、6…被記録材、7…メンテナンスステーション、11…画像形成装置、12…ホスト装置、21…外部インタフェース、22…コントローラ部、23…ヘッドコントローラ、24…ヘッド、25…内部バス。
Claims (3)
- 1以上の印字素子を有するヘッドを往復動させながら被記録材に画像を形成する画像形成方法において、前記ヘッドを所定の速度に加速するために要する加速領域の幅と、前記ヘッドを所定の速度から停止させるために要する減速領域の幅が異なり、前記ヘッドの一方の移動方向における前記加速領域の幅と前記減速領域の幅のいずれか長い方の領域に前記被記録材が存在する場合に、前記ヘッドを他方の移動方向にのみ移動させて画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
- 1以上の印字素子を有するヘッドと、該ヘッドを往復動させながら前記印字素子を駆動して被記録材に画像を形成させる制御手段を有する画像形成装置において、前記制御手段は、前記ヘッドを所定の速度に加速するために要する加速領域の幅と、前記ヘッドを所定の速度から停止させるために要する減速領域の幅が異なり、前記ヘッドの一方の移動方向における前記加速領域の幅と前記減速領域の幅のいずれか長い方の領域に前記被記録材が存在すると判定した場合に、前記ヘッドを他方の移動方向にのみ移動させて画像を形成するように制御することを特徴とする画像形成装置。
- 1以上の印字素子を有するヘッドを有し、該ヘッドを往復動させながら被記録材に画像を形成する画像形成装置であって、前記ヘッドを所定の速度に加速するために要する加速領域の幅と前記ヘッドを所定の速度から停止させるために要する減速領域の幅が異なる画像形成装置を制御する画像形成制御装置において、前記ヘッドの一方の移動方向における前記加速領域の幅と前記減速領域の幅のいずれか長い方の領域に前記被記録材が存在する場合に前記ヘッドを他方の移動方向にのみ移動させて画像を形成するように前記画像形成装置を制御する制御手段を有していることを特徴とする画像形成制御装置。
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JP10425698A JP3612999B2 (ja) | 1998-04-15 | 1998-04-15 | 画像形成方法、画像形成装置および画像形成制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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- 1998-04-15 JP JP10425698A patent/JP3612999B2/ja not_active Expired - Fee Related
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