JP3612934B2 - プロジェクタ用の液冷型陰極線管 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロジェクタ用の液冷型陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
赤(R)、緑(G)及び青(B)の単色陰極線管をインラインに配置し、各単色陰極線管の前面に配した投射レンズによりスクリーン上に結像させるビデオプロジェクタが知られている。
【0003】
図6は、ビデオプロジェクタに用いられる代表的なプロジェクタ用の液冷型陰極線管を示す。
この液冷型陰極線管1は、単色陰極線管本体2のパネル前面2a側に冷却液封止部材であるカプラー3が固着され、このカプラー3のパネル前面2aと対向する開口部4に投射レンズ系の最終レンズ5が密着され、単色陰極線管本体2のパネル前面2aとカプラー3と最終レンズ5とで囲まれた空間内に冷却液6が注入されて構成される。
【0004】
カプラー3はパッキン7を介してパネル前面2aに密着した状態で固定ばね8によって陰極線管本体2に固定される。
最終レンズ5は、パッキン9を介してカプラー3に密着した状態でレンズ固定板10にてカプラー3に固定される。
カプラー3には、液注入口12が設けられ、この液注入口12を通じて冷却液6がカプラー3内に注入され充填される。
【0005】
液注入口12は、内面にネジ部(雌ネジ)14が形成され、液注入口12を通して冷却液6を注入した後、シール材であるOリングを介して封止用ネジ13にて封止される。
【0006】
一方、カプラー3の例えば前面側には、冷却液6の圧力を調整するための圧力調節弁、即ちベロフラム15が設けられる。このベロフラム15は、通常、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴムとシリコンとの配合材、或はブチルゴム(IIR)による膜で形成される。
このベロフラム15は、温度変化による冷却液の体積の状態によって、平衡状態、外気側に膨らんだ状態、冷却液側に凹んだ状態となる。これによって冷却液の圧力調節がなされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エチレンプロピレンゴム系(エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンゴムとシリコンとの配合等)のベロフラム15は、高温状態でのガス透過が悪く(いわゆるガスを透しやすい)、長時間の使用で冷却液が減少してしまうという問題がある。また、急激な温度変化において、外気から空気が冷却液内に流入してしまい、泡が発生し投射画像のコントラストが劣化するという問題も生じる。
【0008】
また、ブチルゴムのベロフラム15は、ガス透過性が良く(いわゆるガスを透しにくい)ので冷却液が減少しにくいが、その反面、長時間ベロフラムに曲げ応力等のストレスが加わった場合、外気側のオゾンと反応してベロフラム18にクラックが発生し、そこから冷却液が漏れる危険性がある。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、圧力調節弁の信頼性の向上を図ったプロジェクタ用の液冷型陰極線管を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るプロジェクタ用の液冷型陰極線管は、その冷却液の圧力調節弁がエチレンプロピレンゴム材とブチルゴム材とにより形成された構成とする。
【0011】
かかる構成においては、エチレンプロピレンゴムによって、対オゾン性が良くなり、ブチルゴムによりガス透過性が良くなる(ガスを透しにくくする)と共に、急激な温度変化においても外気側からの冷却液内への空気泡の侵入が防止される。従って圧力調節弁の信頼性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、陰極線管本体の前面に液冷部を有してなるプロジェクタ用の液冷型陰極線管において、液冷部に設けた冷却液の圧力調節弁がエチレンプロピレンゴム材とブチルゴム材とにより形成された構成とする。
【0013】
本発明は、上記プロジェクタ用の液冷型陰極線管において、圧力調節弁がエチレンプロピレンゴムとブチルゴムとを混合してなる膜により形成された構成とする。
【0014】
本発明は、上記プロジェクタ用の液冷型陰極線管において、圧力調節弁が、大気側をエチレンプロピレンゴム層とし、冷却液側をブチルゴム層とする積層構造膜で形成された構成とする。
【0015】
本発明は、上記プロジェクタ用の液冷型陰極線管において、圧力調節弁が、大気側をエチレンプロピレンゴム膜とし、冷却液側をブチルゴム膜とする複数枚構成の膜で形成された構成とする。
【0016】
以下、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の液冷型陰極線管の一例を示す。
この液冷型陰極線管21は、単色陰極線管本体22のパネル前面22a側に冷却液封止部材であるカプラー23が固着され、このカプラー23のパネル前面22aに対向する開口部24に投射レンズ系の最終レンズ25が密着され、単色陰極線管本体22のパネル前面22aとカプラー23と最終レンズ25とで囲まれた空間内に冷却液26が注入されて成る。
【0018】
カプラー23はパッキン27を介してパネル前面22aに密着した状態で固定ばね28によって陰極線管本体22に固定される。この場合、ファンネル部に係止段部22bが形成され、この係止段部22bに固定ばね28を当接し、パネル前面22aにカプラー23の段差部を当接し、固定ばね28とカプラー23の間で陰極線管本体22を挟持するようにして固定される。
【0019】
最終レンズ25は、パッキン29を介してカプラー23に密着した状態でレンズ固定板30にてカプラー23に固定される。カプラー23には、液注入口32が設けられ、この液注入口32を通じて冷却液26がカプラー23内に注入され充填される。33は、液注入口32に螺入されて冷却液26を封止するための封止用ネジである。
【0020】
カプラー23の前面側には、冷却液26の圧力を調節するための圧力調節弁、いわゆるベロフラム35が設けられる。
【0021】
このベロフラム35は、次のように動作する。室温ではベロフラムは図5Aに示すように、平衡状態であるが、図5Bに示すように液冷型陰極線管21が稼動し冷却液26の液温が上昇し、冷却液26の体積が増加すると、ベロフラム35もそれに合わせて上部が膨らんだような状態になる。
逆に氷点以下の保存状態では冷却液26の液温も下がり、冷却液26の体積が減少し、図5Cに示すように、ベロフラム35は液側に凹んだ状態になる。このようにベロフラム35は、常に冷却液の体積に合わせて変形を繰り返す動作をする。
【0022】
しかして、本発明においては、特に、上記のベロフラム35をエチレンプロピレンゴム(EPDM)材とブチルゴム(IIR)材とによって形成する。
本発明では、例えば図2に示すように、エチレンプロピレンゴムとブチルゴムを混合(即ち化学的に結合)させてなる1枚の膜にてベロフラム35を形成することができる。
【0023】
実際の長期動作状態(高温状態)では冷却液はベロフラムの膜から浸透して外気側に抜け続けている。この浸透量の材質による比較を表1に示す。ここでは、冷却液の浸透量をガス透過性に置き換えて説明する。比較する膜の材質は、本発明に係るエチレンプロピレンゴムとブチルゴムを混合させたゴム材(混合材)と、従来のエチレンプロピレンゴム材及びブチルゴム材の3種類である。
【0024】
【表1】
【0025】
表1では、20℃におけるブチルゴム材の透過性(透しにくさ)を1として評価した。数値が大きい程、透過量が多い。
【0026】
表1によれば、20℃のブチルゴム材の透過性を1とした場合、エチレンプロピレンゴム材では通常の液冷型陰極線管の稼動状態温度約60℃で25倍も透しやすくなっている。本発明の混合材は、エチレンプロピレンゴム材より改善されており、ブチルゴム材の約10倍程度に抑えられる。
【0027】
次に、ゴムのストレスによる上記同じ3種類の材質の劣化(オゾン劣化)について比較した結果を表2に示す。
評価の◎印は良、△印は劣る。
【0028】
【表2】
【0029】
本発明の混合材は、ブチルゴムを混合させているにも拘らずエチレンプロピレンゴムと同等の対オゾン性を維持している。
【0030】
更に、上記同じ3種類の材質について急激な温度変化(−40℃〜80℃のヒートサイクル試験)での外気から冷却液内への泡侵入の有無を評価した結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
表3から判るように、本発明の混合材によるベロフラムは急激な温度変化においても外気側からの冷却液内への空気泡の侵入を無くすことが可能になった。
【0033】
図3は、本発明に係るベロフラム35の他の例を示す。
このベロフラム35は、エチレンプロピレンゴム層36とブチルゴム層37を積層してなる2層構造膜にて形成される。このベロフラム35は、エチレンプロピレンゴム層36を外気側にし、ブチルゴム層37を冷却液26側にするようにしてカプラー23に取付けられる。
【0034】
この2層構造膜のベロフラム35によれば、外気側のエチレンプロピレンゴム層36によって対オゾン性が良くなり、冷却液26側のブチルゴム層37によって冷却液26が浸透しにくく且つ外気からの泡の侵入を防止することができる。
【0035】
尚、2層構造膜の他にも、例えばエチレンプロピレンゴム層36とブチルゴム層37を交互に、又は適宜に積層した積層構造膜とすることも可能である。
【0036】
図4は、本発明に係るベロフラム35のさらに他の例を示す。このベロフラム35は、エチレンプロピレンゴム膜38と、ブチルゴム膜39との2枚構造の膜にて形成される。このベロフラム35は、エチレンプロピレンゴム膜38を外気側に配し、ブチルゴム膜39を冷却液26側に配するようにしてカプラー23に取り付けられる。
【0037】
この2枚の膜38及び39から成るベロフラム35によれば、外気側のエチレンプロピレンゴム膜38によって対オゾン性が良くなり、冷却液26側のブチルゴム膜39によって冷却液が浸透しにくく且つ外気からの泡の侵入を防止することができる。
【0038】
尚、2枚構造の膜の他にも、例えばエチレンプロピレンゴム膜38とブチルゴム膜39を交互に、又は適宜に配した複数枚構造の膜とすることも可能である。
【0039】
上述の本発明によれば、そのベロフラム35をエチレンプロピレンゴム材とブチルゴム材とにより形成することにより、長時間動作での冷却液の減少を少なくすることができ、また急激な温度変化による外気側から冷却液内への泡の発生を無くすことができる。
さらに、このベロフラム35は、対オゾン性に優れるものである。即ち、ストレスが加わった場合にも外気側のオゾンと反応しにくく、クラックが発生しにくい。従って、クラックによる冷却液の漏れの危険性はない。
従って、信頼性の高い液冷型陰極線管21を提供できる。
【0040】
【発明の効果】
本発明に係るプロジェクタ用の液冷型陰極線管によれば、その冷却液の圧力調節弁をエチレンプロピレンゴム材とブチルゴム材とにより形成することにより、長時間動作での冷却液の減少を少なくすることができ、また急激な温度変化による外気側から冷却液内への泡の発生を無くすことができる。この圧力調節弁はストレスによるクラックが発生しにくく、対オゾン性に優れるものである。
【0041】
圧力調節弁をエチレンプロピレンゴムとブチルゴムが混合されてなる膜により形成するときは、対オゾン性を良くし、また冷却液の浸透をしにくくし、長時間動作での冷却液の減少を少なくすると共に、ストレスによるクラックの発生を抑え、急激な温度変化による外気側からの泡の発生を防止することができる。
【0042】
圧力調節弁を、大気側をエチレンプロピレンゴム層とし、冷却液側をブチルゴム層とする積層構造の膜で形成するときは、プロピレンゴム層によって対オゾン性を良くし、ブチルゴム層によって冷却液の浸透をしにくくし、長時間動作での冷却液の減少を少なくすると共に、急激な温度変化にも外気側から冷却液内への泡の侵入を防止することができる。
【0043】
圧力調節弁を、大気側をエチレンプロピレンゴム膜とし、冷却液側をブチルゴム膜とする複数枚構造の膜で形成するときは、エチレンプロピレン膜によって対オゾン性を良くし、ブチルゴム膜によって冷却液の浸透をしにくくし、長時間動作での冷却液の減少を少なくすると共に、急激な温度変化にも外気側から冷却液内への泡の侵入を防止することができる。
従って、圧力調節弁の信頼性が向上し、プロジェクタ用の液冷型陰極線管の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプロジェクタ用の液冷型陰極線管の構成図である。
【図2】本発明に係るベロフラムの部分を示す要部の断面図である。
【図3】本発明に係るベロフラムの部分を示す要部の断面図である。
【図4】本発明に係るベロフラムの部分を示す要部の断面図である。
【図5】A ベロフラムの動作説明図である。
B ベロフラムの動作説明図である。
C ベロフラムの動作説明図である。
【図6】従来のプロジェクタ用の液冷型陰極線管の構成図である。
【符号の説明】
21 プロジェクタ用の液冷型陰極線管、22 単色陰極線管本体、23 カプラー、24,27 パッキン、25 最終レンズ、26 冷却液、35 ベロフラム
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロジェクタ用の液冷型陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】
赤(R)、緑(G)及び青(B)の単色陰極線管をインラインに配置し、各単色陰極線管の前面に配した投射レンズによりスクリーン上に結像させるビデオプロジェクタが知られている。
【0003】
図6は、ビデオプロジェクタに用いられる代表的なプロジェクタ用の液冷型陰極線管を示す。
この液冷型陰極線管1は、単色陰極線管本体2のパネル前面2a側に冷却液封止部材であるカプラー3が固着され、このカプラー3のパネル前面2aと対向する開口部4に投射レンズ系の最終レンズ5が密着され、単色陰極線管本体2のパネル前面2aとカプラー3と最終レンズ5とで囲まれた空間内に冷却液6が注入されて構成される。
【0004】
カプラー3はパッキン7を介してパネル前面2aに密着した状態で固定ばね8によって陰極線管本体2に固定される。
最終レンズ5は、パッキン9を介してカプラー3に密着した状態でレンズ固定板10にてカプラー3に固定される。
カプラー3には、液注入口12が設けられ、この液注入口12を通じて冷却液6がカプラー3内に注入され充填される。
【0005】
液注入口12は、内面にネジ部(雌ネジ)14が形成され、液注入口12を通して冷却液6を注入した後、シール材であるOリングを介して封止用ネジ13にて封止される。
【0006】
一方、カプラー3の例えば前面側には、冷却液6の圧力を調整するための圧力調節弁、即ちベロフラム15が設けられる。このベロフラム15は、通常、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴムとシリコンとの配合材、或はブチルゴム(IIR)による膜で形成される。
このベロフラム15は、温度変化による冷却液の体積の状態によって、平衡状態、外気側に膨らんだ状態、冷却液側に凹んだ状態となる。これによって冷却液の圧力調節がなされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エチレンプロピレンゴム系(エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンゴムとシリコンとの配合等)のベロフラム15は、高温状態でのガス透過が悪く(いわゆるガスを透しやすい)、長時間の使用で冷却液が減少してしまうという問題がある。また、急激な温度変化において、外気から空気が冷却液内に流入してしまい、泡が発生し投射画像のコントラストが劣化するという問題も生じる。
【0008】
また、ブチルゴムのベロフラム15は、ガス透過性が良く(いわゆるガスを透しにくい)ので冷却液が減少しにくいが、その反面、長時間ベロフラムに曲げ応力等のストレスが加わった場合、外気側のオゾンと反応してベロフラム18にクラックが発生し、そこから冷却液が漏れる危険性がある。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、圧力調節弁の信頼性の向上を図ったプロジェクタ用の液冷型陰極線管を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るプロジェクタ用の液冷型陰極線管は、その冷却液の圧力調節弁がエチレンプロピレンゴム材とブチルゴム材とにより形成された構成とする。
【0011】
かかる構成においては、エチレンプロピレンゴムによって、対オゾン性が良くなり、ブチルゴムによりガス透過性が良くなる(ガスを透しにくくする)と共に、急激な温度変化においても外気側からの冷却液内への空気泡の侵入が防止される。従って圧力調節弁の信頼性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、陰極線管本体の前面に液冷部を有してなるプロジェクタ用の液冷型陰極線管において、液冷部に設けた冷却液の圧力調節弁がエチレンプロピレンゴム材とブチルゴム材とにより形成された構成とする。
【0013】
本発明は、上記プロジェクタ用の液冷型陰極線管において、圧力調節弁がエチレンプロピレンゴムとブチルゴムとを混合してなる膜により形成された構成とする。
【0014】
本発明は、上記プロジェクタ用の液冷型陰極線管において、圧力調節弁が、大気側をエチレンプロピレンゴム層とし、冷却液側をブチルゴム層とする積層構造膜で形成された構成とする。
【0015】
本発明は、上記プロジェクタ用の液冷型陰極線管において、圧力調節弁が、大気側をエチレンプロピレンゴム膜とし、冷却液側をブチルゴム膜とする複数枚構成の膜で形成された構成とする。
【0016】
以下、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の液冷型陰極線管の一例を示す。
この液冷型陰極線管21は、単色陰極線管本体22のパネル前面22a側に冷却液封止部材であるカプラー23が固着され、このカプラー23のパネル前面22aに対向する開口部24に投射レンズ系の最終レンズ25が密着され、単色陰極線管本体22のパネル前面22aとカプラー23と最終レンズ25とで囲まれた空間内に冷却液26が注入されて成る。
【0018】
カプラー23はパッキン27を介してパネル前面22aに密着した状態で固定ばね28によって陰極線管本体22に固定される。この場合、ファンネル部に係止段部22bが形成され、この係止段部22bに固定ばね28を当接し、パネル前面22aにカプラー23の段差部を当接し、固定ばね28とカプラー23の間で陰極線管本体22を挟持するようにして固定される。
【0019】
最終レンズ25は、パッキン29を介してカプラー23に密着した状態でレンズ固定板30にてカプラー23に固定される。カプラー23には、液注入口32が設けられ、この液注入口32を通じて冷却液26がカプラー23内に注入され充填される。33は、液注入口32に螺入されて冷却液26を封止するための封止用ネジである。
【0020】
カプラー23の前面側には、冷却液26の圧力を調節するための圧力調節弁、いわゆるベロフラム35が設けられる。
【0021】
このベロフラム35は、次のように動作する。室温ではベロフラムは図5Aに示すように、平衡状態であるが、図5Bに示すように液冷型陰極線管21が稼動し冷却液26の液温が上昇し、冷却液26の体積が増加すると、ベロフラム35もそれに合わせて上部が膨らんだような状態になる。
逆に氷点以下の保存状態では冷却液26の液温も下がり、冷却液26の体積が減少し、図5Cに示すように、ベロフラム35は液側に凹んだ状態になる。このようにベロフラム35は、常に冷却液の体積に合わせて変形を繰り返す動作をする。
【0022】
しかして、本発明においては、特に、上記のベロフラム35をエチレンプロピレンゴム(EPDM)材とブチルゴム(IIR)材とによって形成する。
本発明では、例えば図2に示すように、エチレンプロピレンゴムとブチルゴムを混合(即ち化学的に結合)させてなる1枚の膜にてベロフラム35を形成することができる。
【0023】
実際の長期動作状態(高温状態)では冷却液はベロフラムの膜から浸透して外気側に抜け続けている。この浸透量の材質による比較を表1に示す。ここでは、冷却液の浸透量をガス透過性に置き換えて説明する。比較する膜の材質は、本発明に係るエチレンプロピレンゴムとブチルゴムを混合させたゴム材(混合材)と、従来のエチレンプロピレンゴム材及びブチルゴム材の3種類である。
【0024】
【表1】
【0025】
表1では、20℃におけるブチルゴム材の透過性(透しにくさ)を1として評価した。数値が大きい程、透過量が多い。
【0026】
表1によれば、20℃のブチルゴム材の透過性を1とした場合、エチレンプロピレンゴム材では通常の液冷型陰極線管の稼動状態温度約60℃で25倍も透しやすくなっている。本発明の混合材は、エチレンプロピレンゴム材より改善されており、ブチルゴム材の約10倍程度に抑えられる。
【0027】
次に、ゴムのストレスによる上記同じ3種類の材質の劣化(オゾン劣化)について比較した結果を表2に示す。
評価の◎印は良、△印は劣る。
【0028】
【表2】
【0029】
本発明の混合材は、ブチルゴムを混合させているにも拘らずエチレンプロピレンゴムと同等の対オゾン性を維持している。
【0030】
更に、上記同じ3種類の材質について急激な温度変化(−40℃〜80℃のヒートサイクル試験)での外気から冷却液内への泡侵入の有無を評価した結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
表3から判るように、本発明の混合材によるベロフラムは急激な温度変化においても外気側からの冷却液内への空気泡の侵入を無くすことが可能になった。
【0033】
図3は、本発明に係るベロフラム35の他の例を示す。
このベロフラム35は、エチレンプロピレンゴム層36とブチルゴム層37を積層してなる2層構造膜にて形成される。このベロフラム35は、エチレンプロピレンゴム層36を外気側にし、ブチルゴム層37を冷却液26側にするようにしてカプラー23に取付けられる。
【0034】
この2層構造膜のベロフラム35によれば、外気側のエチレンプロピレンゴム層36によって対オゾン性が良くなり、冷却液26側のブチルゴム層37によって冷却液26が浸透しにくく且つ外気からの泡の侵入を防止することができる。
【0035】
尚、2層構造膜の他にも、例えばエチレンプロピレンゴム層36とブチルゴム層37を交互に、又は適宜に積層した積層構造膜とすることも可能である。
【0036】
図4は、本発明に係るベロフラム35のさらに他の例を示す。このベロフラム35は、エチレンプロピレンゴム膜38と、ブチルゴム膜39との2枚構造の膜にて形成される。このベロフラム35は、エチレンプロピレンゴム膜38を外気側に配し、ブチルゴム膜39を冷却液26側に配するようにしてカプラー23に取り付けられる。
【0037】
この2枚の膜38及び39から成るベロフラム35によれば、外気側のエチレンプロピレンゴム膜38によって対オゾン性が良くなり、冷却液26側のブチルゴム膜39によって冷却液が浸透しにくく且つ外気からの泡の侵入を防止することができる。
【0038】
尚、2枚構造の膜の他にも、例えばエチレンプロピレンゴム膜38とブチルゴム膜39を交互に、又は適宜に配した複数枚構造の膜とすることも可能である。
【0039】
上述の本発明によれば、そのベロフラム35をエチレンプロピレンゴム材とブチルゴム材とにより形成することにより、長時間動作での冷却液の減少を少なくすることができ、また急激な温度変化による外気側から冷却液内への泡の発生を無くすことができる。
さらに、このベロフラム35は、対オゾン性に優れるものである。即ち、ストレスが加わった場合にも外気側のオゾンと反応しにくく、クラックが発生しにくい。従って、クラックによる冷却液の漏れの危険性はない。
従って、信頼性の高い液冷型陰極線管21を提供できる。
【0040】
【発明の効果】
本発明に係るプロジェクタ用の液冷型陰極線管によれば、その冷却液の圧力調節弁をエチレンプロピレンゴム材とブチルゴム材とにより形成することにより、長時間動作での冷却液の減少を少なくすることができ、また急激な温度変化による外気側から冷却液内への泡の発生を無くすことができる。この圧力調節弁はストレスによるクラックが発生しにくく、対オゾン性に優れるものである。
【0041】
圧力調節弁をエチレンプロピレンゴムとブチルゴムが混合されてなる膜により形成するときは、対オゾン性を良くし、また冷却液の浸透をしにくくし、長時間動作での冷却液の減少を少なくすると共に、ストレスによるクラックの発生を抑え、急激な温度変化による外気側からの泡の発生を防止することができる。
【0042】
圧力調節弁を、大気側をエチレンプロピレンゴム層とし、冷却液側をブチルゴム層とする積層構造の膜で形成するときは、プロピレンゴム層によって対オゾン性を良くし、ブチルゴム層によって冷却液の浸透をしにくくし、長時間動作での冷却液の減少を少なくすると共に、急激な温度変化にも外気側から冷却液内への泡の侵入を防止することができる。
【0043】
圧力調節弁を、大気側をエチレンプロピレンゴム膜とし、冷却液側をブチルゴム膜とする複数枚構造の膜で形成するときは、エチレンプロピレン膜によって対オゾン性を良くし、ブチルゴム膜によって冷却液の浸透をしにくくし、長時間動作での冷却液の減少を少なくすると共に、急激な温度変化にも外気側から冷却液内への泡の侵入を防止することができる。
従って、圧力調節弁の信頼性が向上し、プロジェクタ用の液冷型陰極線管の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプロジェクタ用の液冷型陰極線管の構成図である。
【図2】本発明に係るベロフラムの部分を示す要部の断面図である。
【図3】本発明に係るベロフラムの部分を示す要部の断面図である。
【図4】本発明に係るベロフラムの部分を示す要部の断面図である。
【図5】A ベロフラムの動作説明図である。
B ベロフラムの動作説明図である。
C ベロフラムの動作説明図である。
【図6】従来のプロジェクタ用の液冷型陰極線管の構成図である。
【符号の説明】
21 プロジェクタ用の液冷型陰極線管、22 単色陰極線管本体、23 カプラー、24,27 パッキン、25 最終レンズ、26 冷却液、35 ベロフラム
Claims (4)
- 陰極線管本体の前面に液冷部を有してなるプロジェクタ用の液冷型陰極線管において、
前記液冷部に設けた冷却液の圧力調節弁が、エチレンプロピレンゴム材とブチルゴム材とにより形成されて成る
ことを特徴とするプロジェクタ用の液冷型陰極線管。 - 前記圧力調節弁がエチレンプロピレンゴムとブチルゴムとを混合してなる膜により形成されて成る
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ用の液冷型陰極線管。 - 前記圧力調節弁が、大気側をエチレンプロピレンゴム層とし、冷却液側をブチルゴム層とする積層構造膜で形成されて成る
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ用の液冷型陰極線管。 - 前記圧力調節弁が、大気側をエチレンプロピレンゴム膜とし、冷却液側をブチルゴム膜とする複数枚構成の膜で形成されて成る
ことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ用の液冷型陰極線管。
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|---|---|---|---|
| JP11117397A JP3612934B2 (ja) | 1997-04-28 | 1997-04-28 | プロジェクタ用の液冷型陰極線管 |
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|---|---|---|---|
| JP11117397A JP3612934B2 (ja) | 1997-04-28 | 1997-04-28 | プロジェクタ用の液冷型陰極線管 |
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|---|---|---|---|
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-
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