JP3612845B2 - 含フッ素シリコーン化合物の製造方法 - Google Patents
含フッ素シリコーン化合物の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素シリコーン化合物の製造方法に関する。本発明における含フッ素シリコーン化合物は、工業用素材またはその原料として有用な化合物であり、特に、優れた撥水・撥油性、防汚性、離型性等の性能を要求される種々の工業用素材およびその原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
Rf CH2 CH=CH2 で表されるような二重結合とフルオロアルキル基の間に1個以上の炭化水素基を有する含フッ素不飽和化合物と、ケイ素原子に結合した水素原子を1個以上有するハイドロシリコーン化合物とを反応させて、ケイ素原子にRf CH2 CH2 CH2 −基を直接結合させた含フッ素シリコーンオイルとする製造方法が知られている(特開平7−53719)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
含フッ素シリコーンオイルは、優れた撥水・撥油性、防汚性、離型性等の性能を要求される種々の工業用素材およびその原料として用いられる有用な化合物であるが、上記の特定の方法で得られた含フッ素シリコーンオイルは、用いる環境が高温条件である場合に、ゲル化を起こす問題が認められた。
【0004】
この原因は、含フッ素シリコーンオイルがケイ素原子に結合した水素原子を含むと、ケイ素原子に結合した水素原子同志が結合し、ゲル化を起こすためと考えられた。また、ゲル化は、この反応生成物を高温条件で用いた場合に、顕著に起こる傾向があり、用途が限定される問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特定のハイドロシリレーション反応において得られたシリコーン化合物にさらに末端不飽和化合物を反応させることによる新規な含フッ素シリコーン化合物の製造方法を提供する。本発明方法で得られた含フッ素シリコーン化合物は、ゲル化をほとんど起こさないという優れた効果を奏する。
【0006】
すなわち本発明は、式1で表される含フッ素不飽和化合物とケイ素原子に結合した水素原子を1個以上有するハイドロシリコーン化合物とを反応させて、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合した水素原子とを有する含フッ素ハイドロシリコーン化合物を含む反応生成物を得て、つぎに、該反応生成物に式2で表される末端不飽和化合物を反応させて、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合したCH2 R6 CH2 −基を有し、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を実質的に含まない含フッ素シリコーン化合物とすることを特徴とする含フッ素シリコーン化合物の製造方法を提供する。
【0007】
【化3】
Rf −Q−CR1 R2 CR3 =CR4 R5 ・・・式1
CH2 =CHR6 ・・・式2
【0008】
ただし、式1および式2において、Rf 、Q、R1 〜R6 は、下記の意味を示す。
Rf :1価の含フッ素有機基。
Q:単結合または2価の有機基。
R1 〜R5 :それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基。
R6 :水素原子、または、炭素数1〜6の有機基。
【0009】
本発明における、「有機基」としては、炭化水素基が好ましい。「炭化水素基」は炭素原子と水素原子からなる有機基であるが、本発明における、炭化水素基は、酸素原子や硫黄原子を含んでいてもよい。炭化水素基は、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基のいずれでもよく、脂肪族炭化水素基が好ましく、特に、アルキル基が好ましい。また、炭化水素基は、炭素原子の1個以上が、エーテル性の酸素原子またはチオエーテル性の硫黄原子に置換された基でもよい。
【0010】
本発明における含フッ素不飽和化合物は、式1で表される化合物である[以下、含フッ素不飽和化合物(1)とも記す]。
含フッ素不飽和化合物(1)において、Rf は、1価の含フッ素有機基を示す。本発明の「含フッ素有機基」は、フッ素原子を1個以上含む有機基を意味する。含フッ素有機基としては、炭化水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基である「含フッ素炭化水素基」が好ましい。
【0011】
さらに、含フッ素炭化水素基は、芳香族炭化水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された「含フッ素芳香族炭化水素基」、または、脂肪族炭化水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された「含フッ素脂肪族炭化水素基」のいずれでもよく、含フッ素脂肪族炭化水素基が好ましい。含フッ素脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜18程度が好ましく、特に、1〜12が好ましい。また、含フッ素芳香族炭化水素基の炭素数は6〜12程度が好ましく、特に6〜8が好ましい。
【0012】
また、本発明において、含フッ素炭化水素基は、上記の含フッ素脂肪族炭化水素基の炭素原子の1個以上がエーテル性の酸素原子、またはチオエーテル性の硫黄原子に置換されていてもよい。
【0013】
Rf が1価の含フッ素脂肪族炭化水素基である場合、アルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された「含フッ素アルキル基」が好ましく、特にアルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された「ポリフルオロアルキル基」が好ましい。
【0014】
ポリフルオロアルキル基の炭素数は、1〜18程度が好ましく、特に、1〜12が好ましく、さらに6〜12が好ましい。また、該ポリフルオロアルキル基は、アルキル基の炭素原子の1個以上がエーテル性の酸素原子、またはチオエーテル性の硫黄原子に置換されていてもよく、また炭素−炭素結合間に−NH−が挿入されていてもよい。
【0015】
Rf がポリフルオロアルキル基である場合、ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわち、(ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子数)/(ポリフルオロアルキル基に対応する同一炭素数のアルキル基の水素原子数)は60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましく、さらに実質的に100%である場合が好ましい。
【0016】
ポリフルオロアルキル基は、直鎖の構造でも分岐の構造でもよく、直鎖の構造が好ましい。分岐の構造である場合には、分岐部分が炭素数1〜3程度の短鎖である場合が好ましい。また、ポリフルオロアルキル基は、炭素数の異なる基の2種以上が存在していてもよい。
【0017】
また、Rf が1価の含フッ素芳香族炭化水素基である場合、フェニル基、ベンジル基、またはこれらの基に低級アルキル基が置換した基、における水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基が好ましい。
【0018】
Rf の具体例としては、以下の構造が挙げられるがこれらに限定されない。なお、以下の例においては同一分子式を有する構造の異なる基である構造異性の基を含むものとする。
【0019】
CF3 CF2 −、C3 F7 −[CF3 (CF2 )2 −、および(CF3 )2 CF−の両者を含む。]、C4 F9 −[CF3 (CF2 )3 −、(CF3 )2 CFCF2 −、(CF3 )3 C−、CF3 CF2 CF(CF3 )−を含む]、C5 F11−[CF3 (CF2 )4 −、(CF3 )2 CF(CF2 )2 −、(CF3 )3 CCF2 −、CF3 CF2 CF(CF3 )CF2 −等の構造異性の基を含む]、C6 F13−[CF3 (CF2 )2 C(CF3 )2 −等の構造異性の基を含む]、C8 F17−、C10F21−、C12F25−、C15F31−、HCt F2t−(ここで、tは1〜18の整数である。)、[CF2 H(CF2 )t−1 −等の構造異性の基を含む]、(CF3 )2 CFCs F2s−(ここで、sは1〜15の整数である。)等。
【0020】
CF3 (CF2 )4 OCF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )CF2 CF2 −、F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )−、F(CF2 CF2 CF2 O)v CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 O)w CF2 CF2 −(uは1〜10の整数、vは1〜11の整数、wは1〜11の整数である。)、C6 F5 −、C6 F5 CF=CF−、CH2 =CHC6 F12−等。
【0021】
また、式1において、Qは単結合または2価の有機基を示し、単結合が好ましい。Qが単結合である場合Rf とCR1 R2 は直接結合していることを意味する。
【0022】
Qが2価の有機基である場合、炭素数1〜8の2価の炭化水素基、また、ヘテロ原子を含む2価の炭化水素基が好ましい。さらにQは、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、特に炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。また、アルキレン基は、直鎖のアルキレン基、または分岐を有するアルキレン基のいずれでもよく、直鎖のアルキレン基が好ましく、分岐部分を有する場合には、炭素数が1〜3程度の短鎖である場合が好ましい。また、Qがヘテロ原子を含む2価の炭化水素基である場合、エーテル性の酸素原子またはチオエーテル性の硫黄原子を含む2価の炭化水素基が好ましい。例えば、−(CH2 )2 O(CH2 )3 −、−CH2 O(CH2 )3 −、−(CH2 )2 S(CH2 )3 −等が挙げられる。
【0023】
また、含フッ素不飽和化合物(1)のR1 〜R5 は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を示し、ハイドロシリコーンとの反応性の点からいずれかが水素原子である場合が好ましく、特に全てが水素原子である場合が好ましい。R1 〜R5 が1価の有機基である場合には、炭化水素基が好ましく、立体的に嵩高い基であると反応性が低下するため、立体的に小さい基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基等が好ましい。
【0024】
含フッ素不飽和化合物(1)としては、以下の例が挙げられるがこれらに限定されない。ただし、下式におけるuは、1〜10の整数を示す。
【0025】
CF3 (CF2 )5 CH2 CH=CH2 、
CF3 (CF2 )6 CH2 CH=CH2 、
CF3 (CF2 )7 CH2 CH=CH2 、
CF3 (CF2 )7 CH2 CH2 CH=CH2 、
(CF3 )2 CF(CF2 )4 CH2 CH=CH2 、
(CF3 )2 CF(CF2 )6 CH2 CH=CH2 、
CF3 (CF2 )5 CH2 C(CH3 )=CH2 、
CF3 (CF2 )6 CH2 C(CH3 )=CH2 、
CF3 (CF2 )7 CH2 C(CH3 )=CH2 、
CF3 (CF2 )7 CH2 CH2 =CH(CH3 )、
F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )CF2 OCF2 CF2 CH2 CH=CH2 、
F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )CF2 OCF2 CF2 CH2 CH2 CH=CH2 等。
【0026】
一方、本発明における、ケイ素原子に直接結合した水素原子を2個以上有するハイドロシリコーン化合物としては、シリコーン化合物の分子中の部分構造として、Si−H部分を2個以上有する公知ないしは周知の化合物が採用されうる。該ハイドロシリコーン化合物は、シリコーン化合物の構成単位として、Ra HSiO2/2 単位、(Rb )2 HSiO1/2 単位、HSiO3/2 単位等のハイドロシロキサン単位を含むシリコーン化合物が好ましい。ここで、Ra およびRb は、1価の炭化水素基を示し、炭素数1〜3のアルキル基、C6 H5 −、またはC6 H5 CH2 CH2 −が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0027】
また、ハイドロシリコーン化合物が、ハイドロシロキサン単位以外のシロキサン単位を含む場合、(Rc )3 SiO1/2 単位、(Rd )2 SiO2/2 単位、Re SiO3/2 単位を含むのが好ましい。ここで、Rc 〜Re は、1価の炭化水素基を示し、特に、炭素数1〜3のアルキル基、C6 H5 −、またはC6 H5 CH2 CH2 −が好ましく、さらにメチル基が好ましい。
【0028】
ハイドロシリコーン化合物は、環状、線状(直鎖状または分岐状)、樹脂状のいずれの構造であってもよく、環状または線状(直鎖状または分岐状)であるのが好ましい。
【0029】
本発明におけるハイドロシリコーン化合物としては、式3の平均組成式を有するハイドロシリコーン化合物が好ましい。
【0030】
【化4】
(R7 )m (H)n SiO(4−m−n)/2 ・・・式3
【0031】
ただし、式3において、mは0<m<4であり、nは0<n<4であり、0<m+n≦4である。また、R7 は1価の有機基を示し、1価の炭化水素基が好ましく、特に、炭素数1〜3のアルキル基、C6 H5 −、またはC6 H5 CH2 CH2 −が好ましく、さらにメチル基が好ましい。
【0032】
式3で表される平均組成式を有するハイドロシリコーン化合物としては、式4で表されるハイドロシリコーン化合物、H(CH3 )3 Si、(CH3 )2 HSiO(CH2 )p SiO(CH3 )2 H(ここでpは、1以上の整数を示す。)等のハイドロシリコーン化合物等が挙げられ、式4で表されるハイドロシリコーン化合物が好ましい。
【0033】
【化5】
(R7)3SiO・[Si(R7)2O]q・[SiH(R7)O]r・Si(R7)3 ・・・式4
【0034】
ただし、式4において、R7 は、上記と同じ意味を示し、メチル基が好ましい。qは0以上の整数を示し、rは2以上の整数を示す。式4に記載される化合物はブロック重合体、ランダム重合体のいずれの場合も含むものとする。以下の表現においても同様である。
【0035】
本発明においては、上記の含フッ素不飽和化合物(1)と、ケイ素原子に直接結合した水素原子を2個以上有するハイドロシリコーン化合物とを反応させる。
【0036】
ハイドロシリコーン化合物と、含フッ素不飽和化合物(1)との反応(以下、ハイドロシリレーションと記す)においては、ケイ素原子に直接結合する水素原子のRf −Q−CR1 R2 CR3 =CR2 R3 への付加が起こり、ケイ素原子に直接結合するRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR2 R3 −基を有するシリコーン化合物が生成する。
【0037】
ハイドロシリコーン化合物と含フッ素不飽和化合物(1)とのハイドロシリレーションにおいては、含フッ素不飽和化合物(1)が、Rf 基と不飽和基[−CR3 =CR4 R5 ]の間に結合基(−Q−CR1 R2 −)を有する化合物であることが重要である。結合基が存在しない化合物、例えば、C8 F17CH=CH2 のような化合物においては、ハイドロシリコーン化合物への付加反応はきわめて進行しにくい欠点がある。
【0038】
上記のハイドロシリコーン化合物と、含フッ素不飽和化合物(1)との反応においては、触媒を存在させるのが好ましい。触媒としては、遷移金属を含む触媒が好ましく、白金、ロジウム、コバルトを含む触媒が特に好ましい。反応温度は、通常の場合、0〜100℃程度が好ましく、反応時間は0.5〜10時間程度が好ましい。触媒の量は、通常反応系中に1〜100ppm程度が好ましい。
【0039】
ハイドロシリコーン化合物と含フッ素不飽和化合物(1)との反応では、通常の場合、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合した水素原子とを有する含フッ素ハイドロシリコーン化合物を含む反応生成物が生成する。また、この含フッ素ハイドロシリコーン化合物は、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基を有するが、ケイ素原子に結合した水素原子を実質的に含まないシリコーン化合物との混合物であってもよい。
【0040】
なお、以下において、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合した水素原子とを有するシリコーン化合物をまとめて「含フッ素ハイドロシリコーン化合物」と記す。
【0041】
本発明における含フッ素ハイドロシリコーン化合物としては、含フッ素不飽和化合物(1)と式4で表されるハイドロシリコーン化合物とを反応させて得られる式5で表される含フッ素ハイドロシリコーン化合物が好ましい。
【0042】
ただし、式5におけるRf 、Q、R1 〜R7 、q、およびrは、上記と同じ意味を示し、sは、下記の意味を示す。
s:r>sであり、かつ、1以上の整数。
【0043】
【化6】
【0044】
ハイドロシリコーン化合物と含フッ素不飽和化合物(1)の反応における両化合物の比は、目的とする化合物に応じて適宜変更すればよく、特に限定されない。なぜなら、仮に、ハイドロシリコーン化合物のシリコーン原子に結合した水素原子の実質的に全てをRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とするために、ハイドロシリコーン化合物中のケイ素原子に結合した水素原子量に対して、式1の化合物の量を等当量以上として反応させた場合ても、ケイ素原子に結合する水素原子は残る傾向がある。
【0045】
ケイ素原子に結合する水素原子が残存する現象は、含フッ素不飽和化合物(1)が嵩高い化合物であったり、ハイドロシリコーン化合物の分子量が大きくなると顕著であり、全てをRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基にしようとすると、反応時間が異常に長時間となったり、含フッ素不飽和化合物(1)の量を理論量よりも極端に多くする必要がある等、実際の製造方法としては採用できない反応条件となる。
【0046】
したがって、本発明においては、ハイドロシリコーン化合物に対する含フッ素不飽和化合物(1)の量は特に限定されず、通常は、ハイドロシリコーン化合物中のケイ素原子に結合した水素原子量に対して含フッ素不飽和化合物(1)の量は1当量以上が好ましいが、多すぎると反応生成物中から除去するのに手間がかかる問題があるため、特に1.1〜2当量が好ましい。また、反応時間は、原料の種類等に応じて適宜や変更されうるが、通常は3〜5時間が好ましい。反応圧力は、常圧または加圧のいずれかが好ましい。
【0047】
本発明においては、上記のハイドロシリレーションで得られた含フッ素ハイドロシリコーン化合物に式2で表される末端不飽和化合物[以下、末端不飽和化合物(2)とも記す。]を反応させる。
【0048】
末端不飽和化合物(2)におけるR6 は、水素原子または炭素数1〜6の有機基である。末端不飽和化合物(2)としては、ケイ素原子に結合する水素原子との反応性が高い化合物であること、取扱いが容易な化合物であることが好ましく、R6 は、水素原子が好ましい。すなわち、末端不飽和化合物(2)がエチレンである場合が好ましい。エチレンは、反応性が非常に高く、反応生成物中に微量残存するH−Siと効率よく反応する。また、エチレンはガスであるため、過剰に反応に用いても反応終了後に反応系からの除去が容易である利点も有する。
【0049】
また、R6 が炭素数1〜6の炭化水素基である場合には、反応性の点から直鎖の炭化水素基が好ましく、特に炭素原子と水素原子のみからなる炭化水素基が好ましい。また、R6 が炭素数1〜6の炭化水素基である場合の末端不飽和化合物(2)は、取扱いがしやすく反応性に優れることから、プロピレン、1−ブテン、または、1−ヘキセンが好ましく、常温で気体のプロピレン、1−ブテンが好ましい。
【0050】
末端不飽和化合物(2)は、ケイ素原子に結合した水素原子へのハイドロシリレーションが含フッ素不飽和化合物(1)に比較してはるかに起こりやすいため、その量は、H−Siの量に対して等当量以上であればよい。通常の場合には、H−Siが存在しなくなる程度の過剰量を反応させ、H−Siが存在しないことを確認した後に、過剰の末端不飽和化合物(2)を反応系から取り除くのが好ましい。
【0051】
末端不飽和化合物(2)が気体である場合には、反応生成物の系内に吹き込むことによって反応させてもよく、末端不飽和化合物(2)を0.2〜2気圧(ゲージ圧)の微加圧条件にして反応させてもよい。
【0052】
反応生成物と末端不飽和化合物(2)との反応温度は、通常の場合70〜120℃が好ましく、特に、80〜100℃が好ましい。反応時間は、1〜2時間程度である。
【0053】
本発明の製造方法では、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合したCH2 R6 CH2 −基を有し、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を実質的に含まない含フッ素シリコーン化合物が得られる。ここで、「実質的に含まない」とは、ケイ素原子に結合した水素原子の量が、該水素原子に起因するゲル化が起こるおそれのない量であることを意味する。通常はケイ素原子に結合した水素原子がまったく存在しないか、または、存在したとしてもその量が当初の存在量に対して1%以下であることを意味する。
【0054】
この含フッ素シリコーン化合物としては、前記の式5で表される化合物に末端不飽和化合物(2)を反応させた式6で表される化合物が好ましい。
ただし、式6におけるRf 、Q、R1 〜R7 、およびq〜sは、上記と同じ意味を示す。
【0055】
【化7】
【0056】
ハイドロシリコーン化合物と含フッ素不飽和化合物(1)との反応生成物は、実質的には含フッ素ハイドロシリコーン化合物を含む反応生成物であるため、種々の用途で使用する際の使用条件が高温である場合に、ゲル化がおこる問題があり、このゲル化は、ケイ素原子に結合する水素原子量が当初の存在量に対して2〜5%残存していても起こるおそれがあったが、本発明の方法で製造される末端不飽和化合物(2)を反応させた含フッ素シリコーン化合物は、通常の精製条件においてもゲル化を起こす心配がなく、用途も限定されない利点がある。
【0057】
本発明方法によって得られた含フッ素シリコーン化合物は、機能性油として有用である。特に高温条件で用いる用途においては、従来の方法で得られたものよりもはるかに優れた耐熱性を有する。具体的な用途としては、コピー機や印刷機等の加熱定着ロール表面にコートすることによって、定着ロール表面に防汚性を付与できる。これは、特に、コピー機や印刷機におけるオフセット現象を防止するのに優れた方法である。
【0058】
たとえば、得られた含フッ素シリコーン化合物を機能性油として用いる場合、分子量は103 〜106 の範囲であるのが好ましく、特に5×103 〜15×103 である場合が好ましい。通常5≦q+r≦1400、好ましくは20≦q+r≦400程度である。さらにフッ素原子に由来する撥水撥油、防汚性等の機能を期待したい場合、フッ素原子の含有量が15〜90重量%、好ましくは15〜70重量%の範囲となるようにするのが好ましい。
【0059】
さらに本発明の含フッ素シリコーン化合物は、冷凍機油・真空ポンプ油等の各種潤滑油、トランクション油・ブレーキ油・カップリング油等の各種作動油、自動車や航空機の計器類・プレイヤーのピックアップなどの防振油、ダッシュポットやショックアブソーバなどのダンパ油、感熱転写記録受像体、磁気記録媒体・磁気ヘッド・含浸軸受け等の潤滑剤、剥離剤、離型剤、複写機、プリンターのロール組成物またはその表面コート剤、シャンプー・リンス・各種メーキャップ化粧料等への配合剤、各種粉体の処理剤、撥水撥油剤、深色加工剤、繊維への潤滑付与剤、変圧器油・コンデンサー油・ケーブル油等の絶縁油、レベリング剤・ブロッキング防止剤・色むら防止剤・ゆず肌防止剤等としてのプラスチック・塗料などへのポリマー材料への添加剤、ゴム・樹脂の可塑剤・改質剤、消泡剤、グリース・コンパウンドの基油、整泡剤、ワックスへの配合油、トナー処理剤、オイルシール剤、防錆剤、帯電防止剤、曇止め剤、医薬品への添加剤、つや出し剤等として有用な化合物である。
【0060】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されない。
【0061】
[実施例]
撹拌器、温度計を備えた200ccの4つ口フラスコに、式7の化合物を100gと塩化白金酸のイソプロパノール1%溶液2μlを仕込んだ。80℃に昇温した後、CF3 (CF2 )7 CH2 CH=CH2 273g(1.05当量)を滴下した。反応の進行とともに、内温の10℃程度の上昇が観察された。4時間後にCF3 (CF2 )7 CH2 CH=CH2 が0.07当量程度残存していることを確認した。反応生成物のIRにより、2150cm−1にH−Siのピークを認め、式8の化合物が生成していることを確認した。また、式7のH−Siピーク強度に対する式8の化合物のH−Siの強度は、5%であった。
【0062】
この時点で系中から10gの式8の化合物を含む反応生成物を一部サンプリングし、活性炭0.02gを入れ室温で1時間撹拌後、濾過し、透明なオイルを得た。つぎに、ゴム風船をエチレンで膨らませたものを4つ口フラスコに付けたコックに付け1時間撹拌したところ、H−Siのピークが完全に消失していることを認め、反応を停止した。活性炭0.5gを入れ室温で1時間撹拌後、濾過し、透明なオイルを得た。得られた生成物はNMR、IRにより式9で示される構造であることが確認された。粘度は150cPであった。得られた生成物を180℃に5時間加熱したところ、粘度の変化は認められなかった。
【0063】
IR:1255cm−1(Si−CH3),1110 〜1000cm−1(Si−O),1100 〜1340cm−1(C−F).
1HNMR σ (ppm):0.4−0.7(m,Si−CH2−C),1.7−2.7(m,Si−C−CH2CH2−).
【0064】
【化8】
【0065】
[比較例]
実施例1の反応途中で一部サンプリングした式8の化合物を含む反応生成物を一部サンプリングし、活性炭0.02gを入れ室温で1時間撹拌後、濾過し、透明なオイルを得た。つぎにこれを、同様に180℃で5時間加熱したところゲル化した。
【0066】
【発明の効果】
本発明方法によれば、入手容易なハイドロシリコーン化合物から、容易な反応で得た含フッ素シリコーン化合物を製造する際に、Si−Hに対する反応性の低い含フッ素不飽和化合物をまず反応させて、つぎに、反応性の高い末端不飽和化合物を反応させることによって、ハイドロシリコーン中の実質的にすべての水素原子にハイドロシリレーションさせうる。そして、この方法によって得られた含フッ素シリコーン化合物は、残留するSi−Hに由来すると考えられるゲル化をおこすおそれのない、優れた物性の化合物である。
【0067】
本発明の方法によれば、特殊な試薬や高価な試薬を用いる必要なく、効率的に含フッ素シリコーン化合物を得ることができる。また、本方法は、工業的スケールでの反応で得られた含フッ素シリコーン化合物に対しても容易に適用できる有用な方法である。得られた含フッ素シリコーン化合物においては、高温条件で使用される場合にもゲル化が防止されるため、種々の用途に使用できる。たとえば、得られた含フッ素シリコーン化合物は、加熱定着ロール用の防汚オイル等の高温での用途に使用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素シリコーン化合物の製造方法に関する。本発明における含フッ素シリコーン化合物は、工業用素材またはその原料として有用な化合物であり、特に、優れた撥水・撥油性、防汚性、離型性等の性能を要求される種々の工業用素材およびその原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
Rf CH2 CH=CH2 で表されるような二重結合とフルオロアルキル基の間に1個以上の炭化水素基を有する含フッ素不飽和化合物と、ケイ素原子に結合した水素原子を1個以上有するハイドロシリコーン化合物とを反応させて、ケイ素原子にRf CH2 CH2 CH2 −基を直接結合させた含フッ素シリコーンオイルとする製造方法が知られている(特開平7−53719)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
含フッ素シリコーンオイルは、優れた撥水・撥油性、防汚性、離型性等の性能を要求される種々の工業用素材およびその原料として用いられる有用な化合物であるが、上記の特定の方法で得られた含フッ素シリコーンオイルは、用いる環境が高温条件である場合に、ゲル化を起こす問題が認められた。
【0004】
この原因は、含フッ素シリコーンオイルがケイ素原子に結合した水素原子を含むと、ケイ素原子に結合した水素原子同志が結合し、ゲル化を起こすためと考えられた。また、ゲル化は、この反応生成物を高温条件で用いた場合に、顕著に起こる傾向があり、用途が限定される問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特定のハイドロシリレーション反応において得られたシリコーン化合物にさらに末端不飽和化合物を反応させることによる新規な含フッ素シリコーン化合物の製造方法を提供する。本発明方法で得られた含フッ素シリコーン化合物は、ゲル化をほとんど起こさないという優れた効果を奏する。
【0006】
すなわち本発明は、式1で表される含フッ素不飽和化合物とケイ素原子に結合した水素原子を1個以上有するハイドロシリコーン化合物とを反応させて、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合した水素原子とを有する含フッ素ハイドロシリコーン化合物を含む反応生成物を得て、つぎに、該反応生成物に式2で表される末端不飽和化合物を反応させて、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合したCH2 R6 CH2 −基を有し、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を実質的に含まない含フッ素シリコーン化合物とすることを特徴とする含フッ素シリコーン化合物の製造方法を提供する。
【0007】
【化3】
Rf −Q−CR1 R2 CR3 =CR4 R5 ・・・式1
CH2 =CHR6 ・・・式2
【0008】
ただし、式1および式2において、Rf 、Q、R1 〜R6 は、下記の意味を示す。
Rf :1価の含フッ素有機基。
Q:単結合または2価の有機基。
R1 〜R5 :それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基。
R6 :水素原子、または、炭素数1〜6の有機基。
【0009】
本発明における、「有機基」としては、炭化水素基が好ましい。「炭化水素基」は炭素原子と水素原子からなる有機基であるが、本発明における、炭化水素基は、酸素原子や硫黄原子を含んでいてもよい。炭化水素基は、芳香族炭化水素基または脂肪族炭化水素基のいずれでもよく、脂肪族炭化水素基が好ましく、特に、アルキル基が好ましい。また、炭化水素基は、炭素原子の1個以上が、エーテル性の酸素原子またはチオエーテル性の硫黄原子に置換された基でもよい。
【0010】
本発明における含フッ素不飽和化合物は、式1で表される化合物である[以下、含フッ素不飽和化合物(1)とも記す]。
含フッ素不飽和化合物(1)において、Rf は、1価の含フッ素有機基を示す。本発明の「含フッ素有機基」は、フッ素原子を1個以上含む有機基を意味する。含フッ素有機基としては、炭化水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基である「含フッ素炭化水素基」が好ましい。
【0011】
さらに、含フッ素炭化水素基は、芳香族炭化水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された「含フッ素芳香族炭化水素基」、または、脂肪族炭化水素基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された「含フッ素脂肪族炭化水素基」のいずれでもよく、含フッ素脂肪族炭化水素基が好ましい。含フッ素脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜18程度が好ましく、特に、1〜12が好ましい。また、含フッ素芳香族炭化水素基の炭素数は6〜12程度が好ましく、特に6〜8が好ましい。
【0012】
また、本発明において、含フッ素炭化水素基は、上記の含フッ素脂肪族炭化水素基の炭素原子の1個以上がエーテル性の酸素原子、またはチオエーテル性の硫黄原子に置換されていてもよい。
【0013】
Rf が1価の含フッ素脂肪族炭化水素基である場合、アルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された「含フッ素アルキル基」が好ましく、特にアルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された「ポリフルオロアルキル基」が好ましい。
【0014】
ポリフルオロアルキル基の炭素数は、1〜18程度が好ましく、特に、1〜12が好ましく、さらに6〜12が好ましい。また、該ポリフルオロアルキル基は、アルキル基の炭素原子の1個以上がエーテル性の酸素原子、またはチオエーテル性の硫黄原子に置換されていてもよく、また炭素−炭素結合間に−NH−が挿入されていてもよい。
【0015】
Rf がポリフルオロアルキル基である場合、ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわち、(ポリフルオロアルキル基中のフッ素原子数)/(ポリフルオロアルキル基に対応する同一炭素数のアルキル基の水素原子数)は60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましく、さらに実質的に100%である場合が好ましい。
【0016】
ポリフルオロアルキル基は、直鎖の構造でも分岐の構造でもよく、直鎖の構造が好ましい。分岐の構造である場合には、分岐部分が炭素数1〜3程度の短鎖である場合が好ましい。また、ポリフルオロアルキル基は、炭素数の異なる基の2種以上が存在していてもよい。
【0017】
また、Rf が1価の含フッ素芳香族炭化水素基である場合、フェニル基、ベンジル基、またはこれらの基に低級アルキル基が置換した基、における水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基が好ましい。
【0018】
Rf の具体例としては、以下の構造が挙げられるがこれらに限定されない。なお、以下の例においては同一分子式を有する構造の異なる基である構造異性の基を含むものとする。
【0019】
CF3 CF2 −、C3 F7 −[CF3 (CF2 )2 −、および(CF3 )2 CF−の両者を含む。]、C4 F9 −[CF3 (CF2 )3 −、(CF3 )2 CFCF2 −、(CF3 )3 C−、CF3 CF2 CF(CF3 )−を含む]、C5 F11−[CF3 (CF2 )4 −、(CF3 )2 CF(CF2 )2 −、(CF3 )3 CCF2 −、CF3 CF2 CF(CF3 )CF2 −等の構造異性の基を含む]、C6 F13−[CF3 (CF2 )2 C(CF3 )2 −等の構造異性の基を含む]、C8 F17−、C10F21−、C12F25−、C15F31−、HCt F2t−(ここで、tは1〜18の整数である。)、[CF2 H(CF2 )t−1 −等の構造異性の基を含む]、(CF3 )2 CFCs F2s−(ここで、sは1〜15の整数である。)等。
【0020】
CF3 (CF2 )4 OCF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )CF2 CF2 −、F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )−、F(CF2 CF2 CF2 O)v CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 O)w CF2 CF2 −(uは1〜10の整数、vは1〜11の整数、wは1〜11の整数である。)、C6 F5 −、C6 F5 CF=CF−、CH2 =CHC6 F12−等。
【0021】
また、式1において、Qは単結合または2価の有機基を示し、単結合が好ましい。Qが単結合である場合Rf とCR1 R2 は直接結合していることを意味する。
【0022】
Qが2価の有機基である場合、炭素数1〜8の2価の炭化水素基、また、ヘテロ原子を含む2価の炭化水素基が好ましい。さらにQは、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、特に炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。また、アルキレン基は、直鎖のアルキレン基、または分岐を有するアルキレン基のいずれでもよく、直鎖のアルキレン基が好ましく、分岐部分を有する場合には、炭素数が1〜3程度の短鎖である場合が好ましい。また、Qがヘテロ原子を含む2価の炭化水素基である場合、エーテル性の酸素原子またはチオエーテル性の硫黄原子を含む2価の炭化水素基が好ましい。例えば、−(CH2 )2 O(CH2 )3 −、−CH2 O(CH2 )3 −、−(CH2 )2 S(CH2 )3 −等が挙げられる。
【0023】
また、含フッ素不飽和化合物(1)のR1 〜R5 は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を示し、ハイドロシリコーンとの反応性の点からいずれかが水素原子である場合が好ましく、特に全てが水素原子である場合が好ましい。R1 〜R5 が1価の有機基である場合には、炭化水素基が好ましく、立体的に嵩高い基であると反応性が低下するため、立体的に小さい基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基等が好ましい。
【0024】
含フッ素不飽和化合物(1)としては、以下の例が挙げられるがこれらに限定されない。ただし、下式におけるuは、1〜10の整数を示す。
【0025】
CF3 (CF2 )5 CH2 CH=CH2 、
CF3 (CF2 )6 CH2 CH=CH2 、
CF3 (CF2 )7 CH2 CH=CH2 、
CF3 (CF2 )7 CH2 CH2 CH=CH2 、
(CF3 )2 CF(CF2 )4 CH2 CH=CH2 、
(CF3 )2 CF(CF2 )6 CH2 CH=CH2 、
CF3 (CF2 )5 CH2 C(CH3 )=CH2 、
CF3 (CF2 )6 CH2 C(CH3 )=CH2 、
CF3 (CF2 )7 CH2 C(CH3 )=CH2 、
CF3 (CF2 )7 CH2 CH2 =CH(CH3 )、
F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )CF2 OCF2 CF2 CH2 CH=CH2 、
F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )CF2 OCF2 CF2 CH2 CH2 CH=CH2 等。
【0026】
一方、本発明における、ケイ素原子に直接結合した水素原子を2個以上有するハイドロシリコーン化合物としては、シリコーン化合物の分子中の部分構造として、Si−H部分を2個以上有する公知ないしは周知の化合物が採用されうる。該ハイドロシリコーン化合物は、シリコーン化合物の構成単位として、Ra HSiO2/2 単位、(Rb )2 HSiO1/2 単位、HSiO3/2 単位等のハイドロシロキサン単位を含むシリコーン化合物が好ましい。ここで、Ra およびRb は、1価の炭化水素基を示し、炭素数1〜3のアルキル基、C6 H5 −、またはC6 H5 CH2 CH2 −が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0027】
また、ハイドロシリコーン化合物が、ハイドロシロキサン単位以外のシロキサン単位を含む場合、(Rc )3 SiO1/2 単位、(Rd )2 SiO2/2 単位、Re SiO3/2 単位を含むのが好ましい。ここで、Rc 〜Re は、1価の炭化水素基を示し、特に、炭素数1〜3のアルキル基、C6 H5 −、またはC6 H5 CH2 CH2 −が好ましく、さらにメチル基が好ましい。
【0028】
ハイドロシリコーン化合物は、環状、線状(直鎖状または分岐状)、樹脂状のいずれの構造であってもよく、環状または線状(直鎖状または分岐状)であるのが好ましい。
【0029】
本発明におけるハイドロシリコーン化合物としては、式3の平均組成式を有するハイドロシリコーン化合物が好ましい。
【0030】
【化4】
(R7 )m (H)n SiO(4−m−n)/2 ・・・式3
【0031】
ただし、式3において、mは0<m<4であり、nは0<n<4であり、0<m+n≦4である。また、R7 は1価の有機基を示し、1価の炭化水素基が好ましく、特に、炭素数1〜3のアルキル基、C6 H5 −、またはC6 H5 CH2 CH2 −が好ましく、さらにメチル基が好ましい。
【0032】
式3で表される平均組成式を有するハイドロシリコーン化合物としては、式4で表されるハイドロシリコーン化合物、H(CH3 )3 Si、(CH3 )2 HSiO(CH2 )p SiO(CH3 )2 H(ここでpは、1以上の整数を示す。)等のハイドロシリコーン化合物等が挙げられ、式4で表されるハイドロシリコーン化合物が好ましい。
【0033】
【化5】
(R7)3SiO・[Si(R7)2O]q・[SiH(R7)O]r・Si(R7)3 ・・・式4
【0034】
ただし、式4において、R7 は、上記と同じ意味を示し、メチル基が好ましい。qは0以上の整数を示し、rは2以上の整数を示す。式4に記載される化合物はブロック重合体、ランダム重合体のいずれの場合も含むものとする。以下の表現においても同様である。
【0035】
本発明においては、上記の含フッ素不飽和化合物(1)と、ケイ素原子に直接結合した水素原子を2個以上有するハイドロシリコーン化合物とを反応させる。
【0036】
ハイドロシリコーン化合物と、含フッ素不飽和化合物(1)との反応(以下、ハイドロシリレーションと記す)においては、ケイ素原子に直接結合する水素原子のRf −Q−CR1 R2 CR3 =CR2 R3 への付加が起こり、ケイ素原子に直接結合するRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR2 R3 −基を有するシリコーン化合物が生成する。
【0037】
ハイドロシリコーン化合物と含フッ素不飽和化合物(1)とのハイドロシリレーションにおいては、含フッ素不飽和化合物(1)が、Rf 基と不飽和基[−CR3 =CR4 R5 ]の間に結合基(−Q−CR1 R2 −)を有する化合物であることが重要である。結合基が存在しない化合物、例えば、C8 F17CH=CH2 のような化合物においては、ハイドロシリコーン化合物への付加反応はきわめて進行しにくい欠点がある。
【0038】
上記のハイドロシリコーン化合物と、含フッ素不飽和化合物(1)との反応においては、触媒を存在させるのが好ましい。触媒としては、遷移金属を含む触媒が好ましく、白金、ロジウム、コバルトを含む触媒が特に好ましい。反応温度は、通常の場合、0〜100℃程度が好ましく、反応時間は0.5〜10時間程度が好ましい。触媒の量は、通常反応系中に1〜100ppm程度が好ましい。
【0039】
ハイドロシリコーン化合物と含フッ素不飽和化合物(1)との反応では、通常の場合、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合した水素原子とを有する含フッ素ハイドロシリコーン化合物を含む反応生成物が生成する。また、この含フッ素ハイドロシリコーン化合物は、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基を有するが、ケイ素原子に結合した水素原子を実質的に含まないシリコーン化合物との混合物であってもよい。
【0040】
なお、以下において、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合した水素原子とを有するシリコーン化合物をまとめて「含フッ素ハイドロシリコーン化合物」と記す。
【0041】
本発明における含フッ素ハイドロシリコーン化合物としては、含フッ素不飽和化合物(1)と式4で表されるハイドロシリコーン化合物とを反応させて得られる式5で表される含フッ素ハイドロシリコーン化合物が好ましい。
【0042】
ただし、式5におけるRf 、Q、R1 〜R7 、q、およびrは、上記と同じ意味を示し、sは、下記の意味を示す。
s:r>sであり、かつ、1以上の整数。
【0043】
【化6】
【0044】
ハイドロシリコーン化合物と含フッ素不飽和化合物(1)の反応における両化合物の比は、目的とする化合物に応じて適宜変更すればよく、特に限定されない。なぜなら、仮に、ハイドロシリコーン化合物のシリコーン原子に結合した水素原子の実質的に全てをRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とするために、ハイドロシリコーン化合物中のケイ素原子に結合した水素原子量に対して、式1の化合物の量を等当量以上として反応させた場合ても、ケイ素原子に結合する水素原子は残る傾向がある。
【0045】
ケイ素原子に結合する水素原子が残存する現象は、含フッ素不飽和化合物(1)が嵩高い化合物であったり、ハイドロシリコーン化合物の分子量が大きくなると顕著であり、全てをRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基にしようとすると、反応時間が異常に長時間となったり、含フッ素不飽和化合物(1)の量を理論量よりも極端に多くする必要がある等、実際の製造方法としては採用できない反応条件となる。
【0046】
したがって、本発明においては、ハイドロシリコーン化合物に対する含フッ素不飽和化合物(1)の量は特に限定されず、通常は、ハイドロシリコーン化合物中のケイ素原子に結合した水素原子量に対して含フッ素不飽和化合物(1)の量は1当量以上が好ましいが、多すぎると反応生成物中から除去するのに手間がかかる問題があるため、特に1.1〜2当量が好ましい。また、反応時間は、原料の種類等に応じて適宜や変更されうるが、通常は3〜5時間が好ましい。反応圧力は、常圧または加圧のいずれかが好ましい。
【0047】
本発明においては、上記のハイドロシリレーションで得られた含フッ素ハイドロシリコーン化合物に式2で表される末端不飽和化合物[以下、末端不飽和化合物(2)とも記す。]を反応させる。
【0048】
末端不飽和化合物(2)におけるR6 は、水素原子または炭素数1〜6の有機基である。末端不飽和化合物(2)としては、ケイ素原子に結合する水素原子との反応性が高い化合物であること、取扱いが容易な化合物であることが好ましく、R6 は、水素原子が好ましい。すなわち、末端不飽和化合物(2)がエチレンである場合が好ましい。エチレンは、反応性が非常に高く、反応生成物中に微量残存するH−Siと効率よく反応する。また、エチレンはガスであるため、過剰に反応に用いても反応終了後に反応系からの除去が容易である利点も有する。
【0049】
また、R6 が炭素数1〜6の炭化水素基である場合には、反応性の点から直鎖の炭化水素基が好ましく、特に炭素原子と水素原子のみからなる炭化水素基が好ましい。また、R6 が炭素数1〜6の炭化水素基である場合の末端不飽和化合物(2)は、取扱いがしやすく反応性に優れることから、プロピレン、1−ブテン、または、1−ヘキセンが好ましく、常温で気体のプロピレン、1−ブテンが好ましい。
【0050】
末端不飽和化合物(2)は、ケイ素原子に結合した水素原子へのハイドロシリレーションが含フッ素不飽和化合物(1)に比較してはるかに起こりやすいため、その量は、H−Siの量に対して等当量以上であればよい。通常の場合には、H−Siが存在しなくなる程度の過剰量を反応させ、H−Siが存在しないことを確認した後に、過剰の末端不飽和化合物(2)を反応系から取り除くのが好ましい。
【0051】
末端不飽和化合物(2)が気体である場合には、反応生成物の系内に吹き込むことによって反応させてもよく、末端不飽和化合物(2)を0.2〜2気圧(ゲージ圧)の微加圧条件にして反応させてもよい。
【0052】
反応生成物と末端不飽和化合物(2)との反応温度は、通常の場合70〜120℃が好ましく、特に、80〜100℃が好ましい。反応時間は、1〜2時間程度である。
【0053】
本発明の製造方法では、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合したCH2 R6 CH2 −基を有し、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を実質的に含まない含フッ素シリコーン化合物が得られる。ここで、「実質的に含まない」とは、ケイ素原子に結合した水素原子の量が、該水素原子に起因するゲル化が起こるおそれのない量であることを意味する。通常はケイ素原子に結合した水素原子がまったく存在しないか、または、存在したとしてもその量が当初の存在量に対して1%以下であることを意味する。
【0054】
この含フッ素シリコーン化合物としては、前記の式5で表される化合物に末端不飽和化合物(2)を反応させた式6で表される化合物が好ましい。
ただし、式6におけるRf 、Q、R1 〜R7 、およびq〜sは、上記と同じ意味を示す。
【0055】
【化7】
【0056】
ハイドロシリコーン化合物と含フッ素不飽和化合物(1)との反応生成物は、実質的には含フッ素ハイドロシリコーン化合物を含む反応生成物であるため、種々の用途で使用する際の使用条件が高温である場合に、ゲル化がおこる問題があり、このゲル化は、ケイ素原子に結合する水素原子量が当初の存在量に対して2〜5%残存していても起こるおそれがあったが、本発明の方法で製造される末端不飽和化合物(2)を反応させた含フッ素シリコーン化合物は、通常の精製条件においてもゲル化を起こす心配がなく、用途も限定されない利点がある。
【0057】
本発明方法によって得られた含フッ素シリコーン化合物は、機能性油として有用である。特に高温条件で用いる用途においては、従来の方法で得られたものよりもはるかに優れた耐熱性を有する。具体的な用途としては、コピー機や印刷機等の加熱定着ロール表面にコートすることによって、定着ロール表面に防汚性を付与できる。これは、特に、コピー機や印刷機におけるオフセット現象を防止するのに優れた方法である。
【0058】
たとえば、得られた含フッ素シリコーン化合物を機能性油として用いる場合、分子量は103 〜106 の範囲であるのが好ましく、特に5×103 〜15×103 である場合が好ましい。通常5≦q+r≦1400、好ましくは20≦q+r≦400程度である。さらにフッ素原子に由来する撥水撥油、防汚性等の機能を期待したい場合、フッ素原子の含有量が15〜90重量%、好ましくは15〜70重量%の範囲となるようにするのが好ましい。
【0059】
さらに本発明の含フッ素シリコーン化合物は、冷凍機油・真空ポンプ油等の各種潤滑油、トランクション油・ブレーキ油・カップリング油等の各種作動油、自動車や航空機の計器類・プレイヤーのピックアップなどの防振油、ダッシュポットやショックアブソーバなどのダンパ油、感熱転写記録受像体、磁気記録媒体・磁気ヘッド・含浸軸受け等の潤滑剤、剥離剤、離型剤、複写機、プリンターのロール組成物またはその表面コート剤、シャンプー・リンス・各種メーキャップ化粧料等への配合剤、各種粉体の処理剤、撥水撥油剤、深色加工剤、繊維への潤滑付与剤、変圧器油・コンデンサー油・ケーブル油等の絶縁油、レベリング剤・ブロッキング防止剤・色むら防止剤・ゆず肌防止剤等としてのプラスチック・塗料などへのポリマー材料への添加剤、ゴム・樹脂の可塑剤・改質剤、消泡剤、グリース・コンパウンドの基油、整泡剤、ワックスへの配合油、トナー処理剤、オイルシール剤、防錆剤、帯電防止剤、曇止め剤、医薬品への添加剤、つや出し剤等として有用な化合物である。
【0060】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されない。
【0061】
[実施例]
撹拌器、温度計を備えた200ccの4つ口フラスコに、式7の化合物を100gと塩化白金酸のイソプロパノール1%溶液2μlを仕込んだ。80℃に昇温した後、CF3 (CF2 )7 CH2 CH=CH2 273g(1.05当量)を滴下した。反応の進行とともに、内温の10℃程度の上昇が観察された。4時間後にCF3 (CF2 )7 CH2 CH=CH2 が0.07当量程度残存していることを確認した。反応生成物のIRにより、2150cm−1にH−Siのピークを認め、式8の化合物が生成していることを確認した。また、式7のH−Siピーク強度に対する式8の化合物のH−Siの強度は、5%であった。
【0062】
この時点で系中から10gの式8の化合物を含む反応生成物を一部サンプリングし、活性炭0.02gを入れ室温で1時間撹拌後、濾過し、透明なオイルを得た。つぎに、ゴム風船をエチレンで膨らませたものを4つ口フラスコに付けたコックに付け1時間撹拌したところ、H−Siのピークが完全に消失していることを認め、反応を停止した。活性炭0.5gを入れ室温で1時間撹拌後、濾過し、透明なオイルを得た。得られた生成物はNMR、IRにより式9で示される構造であることが確認された。粘度は150cPであった。得られた生成物を180℃に5時間加熱したところ、粘度の変化は認められなかった。
【0063】
IR:1255cm−1(Si−CH3),1110 〜1000cm−1(Si−O),1100 〜1340cm−1(C−F).
1HNMR σ (ppm):0.4−0.7(m,Si−CH2−C),1.7−2.7(m,Si−C−CH2CH2−).
【0064】
【化8】
【0065】
[比較例]
実施例1の反応途中で一部サンプリングした式8の化合物を含む反応生成物を一部サンプリングし、活性炭0.02gを入れ室温で1時間撹拌後、濾過し、透明なオイルを得た。つぎにこれを、同様に180℃で5時間加熱したところゲル化した。
【0066】
【発明の効果】
本発明方法によれば、入手容易なハイドロシリコーン化合物から、容易な反応で得た含フッ素シリコーン化合物を製造する際に、Si−Hに対する反応性の低い含フッ素不飽和化合物をまず反応させて、つぎに、反応性の高い末端不飽和化合物を反応させることによって、ハイドロシリコーン中の実質的にすべての水素原子にハイドロシリレーションさせうる。そして、この方法によって得られた含フッ素シリコーン化合物は、残留するSi−Hに由来すると考えられるゲル化をおこすおそれのない、優れた物性の化合物である。
【0067】
本発明の方法によれば、特殊な試薬や高価な試薬を用いる必要なく、効率的に含フッ素シリコーン化合物を得ることができる。また、本方法は、工業的スケールでの反応で得られた含フッ素シリコーン化合物に対しても容易に適用できる有用な方法である。得られた含フッ素シリコーン化合物においては、高温条件で使用される場合にもゲル化が防止されるため、種々の用途に使用できる。たとえば、得られた含フッ素シリコーン化合物は、加熱定着ロール用の防汚オイル等の高温での用途に使用できる。
Claims (3)
- 式1で表される含フッ素不飽和化合物とケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するハイドロシリコーン化合物とを反応させて、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合した水素原子とを有する含フッ素ハイドロシリコーン化合物を含む反応生成物を得て、つぎに、該反応生成物に式2で表される末端不飽和化合物を反応させて、ケイ素原子に結合したRf −Q−CR1 R2 CR3 HCR4 R5 −基とケイ素原子に結合したCH2 R6 CH2 −基を有し、かつ、ケイ素原子に結合した水素原子を実質的に含まない含フッ素シリコーン化合物とすることを特徴とする含フッ素シリコーン化合物の製造方法。
Rf :1価の含フッ素有機基。
Q:単結合または2価の有機基。
R1 〜R5 :それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基。
R6 :水素原子、または、炭素数1〜6の有機基。 - 式1で表される含フッ素不飽和化合物と式4で表されるハイドロシリコーン化合物とを反応させて式5で表される含フッ素ハイドロシリコーン化合物を含む反応生成物を得て、つぎに、該反応生成物に式2で表される末端不飽和化合物を反応させて式6で表される含フッ素シリコーン化合物とすることを特徴とする含フッ素シリコーン化合物の製造方法。
Rf :1価の含フッ素有機基。
Q:単結合または2価の有機基。
R1 〜R5 :それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基。
R6 :水素原子、または、炭素数1〜6の炭化水素基。
R7 :1価の有機基。
q:0以上の整数。
r:2以上の整数。
s:r>sであり、かつ、1以上の整数。 - 式2で表される末端不飽和化合物が、エチレンである請求項1または2に記載の製造方法。
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