JP3611975B2 - 故障判定機能を備えた光ct - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、故障判定機能を備えた光CTに関し、特に、電力機器や電力設備に適用される故障判定機能を備えた光CTに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
変電所などに設置されている変圧器等の電力機器ないしは電力設備には、異常が発生した際に、これらの機器や設備を保護し、事故の拡大を防止するために、これらの作動を停止させる保護継電システムが設置されている。
【0003】
図6には、この種の保護継電システムの代表的な例を示している。同図に示した保護継電システムは、電力設備1の機器本体に付設された変成器2と、変成器2の出力側に接続された変換器3と、変換器3の出力側に接続された保護継電器4とを備えている。
【0004】
変成器2は、保護対象である電力設備の電流,電圧を測定する。変換器3は、変成器2の検出信号のレベルを変換して、保護継電器4に出力する。保護継電器4は、変換器3の出力信号を受けて、必要な演算処理をし、その結果から電力設備1の異常を判断する。
【0005】
保護継電器4で電力設備1に異常が発生していると判断されると、トリップ信号を送出して、遮断器などを作動させて、電力設備1の作動を停止させる。しかしながら、このような従来の電力設備1の保護継電システムには、以下に説明する課題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、従来の保護継電システムは、保護継電器4の演算回路などに多数の電子部品を使用しているので、非常に高価になる。また、変成器2の電流,電圧の検出は、巻線型のものが外部磁界などの外乱を受け易く、保護継電システムに対するサージ対策が難しい。
【0007】
さらに、電力設備1の電流,電圧が大きいので、これらを検出する変成器2が大型,大重量となり、システム全体の小型,軽量化が要請されていた。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、安価でかつサージ対策が簡略化でき、その上、システムの小型,軽量化が達成できる故障判定機能を備えたCTを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、電力設備に接続された複数の導体の外周に周回設置され、各導体の入出力電流を個別に測定する複数の光ファイバセンサと、光源,光電変換器,信号処理部および故障判定部とを有する電子回路部とを備え、前記光源と前記光ファイバセンサとの間,前記光ファイバセンサ同士の間および前記光ファイバセンサと前記光電変換器との間をそれぞれ直列接続する光ファイバ伝送路を設け、前記信号処理部で前記光ファイバセンサで測定された電流値の総和を求め、この電流値の総和から前記故障判定部で前記電力設備の異常を判断する故障判定機能を備えた光CTにおいて、前記光ファイバセンサの入出力端に、当該光ファイバセンサ内を伝播させる光の偏波モードを円偏波に変更させるとともに、前記光ファイバ伝送路内を伝播させる光の偏波モードを直線偏波に変更させる偏波モード変換素子をそれぞれ設け、前記光ファイバセンサを鉛ガラスファイバで構成するとともに、前記光ファイバ伝送路を偏波面保持ファイバで構成し、これらの光ファイバセンサと光ファイバ伝送路内に、進行方向が相互に逆になる光を伝播させるようにした。
このように構成した故障判定機能を備えた光CTによれば、電力設備に接続された複数の導体の外周に、光ファイバセンサを周回設置し、各導体の入出力電流を個別に測定する。
光ファイバセンサによる電流測定は、光ファイバセンサ中を伝播する光の偏波が、電流磁界の大きさに応じて回転するファラデー回転角を測定するため、事故時の直流分を含む大電流が流れた場合にも、鉄心の磁気飽和に起因する出力歪が生じない。
また、電流測定を光ファイバセンサで行い、光ファイバ伝送路で、光源と光ファイバセンサとの間,光ファイバセンサ同士の間および光ファイバセンサと光電変換器との間をそれぞれ直列接続するので、システム全体の小型,軽量化が達成されるとともに、サージ対策を簡略化することができる。
さらに、本発明では、キルヒホッフの第1法則に基づいて、信号処理部で光ファイバセンサで測定された電流値の総和を求め、この電流値の総和から故障判定部で電力設備の異常を判断するので、演算処理も簡単になる。
この場合、本発明では、ファラデー回転角を全部加算した後に、光電変換器で光量変化に変換するので、大電流集中に対する演算精度も確保することができる。
また、本発明では、前記光ファイバセンサの入出力端に、当該光ファイバセンサ内を伝播させる光の偏波モードを円偏波に変更させるとともに、前記光ファイバ伝送路内を伝播させる光の偏波モードを直線偏波に変更させる偏波モード変換素子をそれぞれ設け、前記光ファイバセンサを鉛ガラスファイバで構成するとともに、前記光ファイバ伝送路を偏波面保持ファイバで構成し、これらの光ファイバセンサと光ファイバ伝送路内に、進行方向が相互に逆になる光を伝播させる。
この構成によれば、光ファイバセンサを鉛ガラスファイバで構成しているので、磁界の外乱だけでなく、振動や温度に対する外乱も排除することができる。
また、光ファイバ伝送路を石英ガラスを材料とする偏波面保持ファイバで構成しているので、伝送路の損失を低減することができる。
さらに、上記構成の偏波モード変換素子を設置すると、伝送路を構成している偏波面保持ファイバの偏波モードの位相変動が、光ファイバ伝送路内に進行方向が相互に逆になる光を伝播させることで相殺される。
本発明の故障判定機能を備えた光CTにおいては、最後部の前記光ファイバセンサの出力端に設けられた前記偏波モード変換素子の後部側に反射ミラーを設置することができる。
この構成によれば、光ファイバセンサと光ファイバ伝送路内に、進行方向が相互に逆になる光を伝播させる場合よりも構成が簡単になる。
また、本発明では、前記光源は、コヒーレンス長の短い光を発するようにすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明にかかる故障判定機能を備えた光CTの基本的な構成の概要を示している。
【0011】
同図に示した故障判定機能を備えた光CTは、複数の光ファイバセンサ101〜4と、光ファイバ伝送路12と、電子回路部14とを有している。光ファイバセンサ101〜4は、保護対象となる電力設備16に接続された複数の導体18の外周をそれぞれ周回するように設置されている。
【0012】
各光ファイバセンサ101〜4は、導体18の入出力電流値I1〜4をそれぞれ測定する。この光ファイバセンサ101〜4の電流値I1〜4の測定原理は、導体18の外周に周回設置された光ファイバセンサ101〜4中に光を伝播させると、伝播する光の偏波が、電流磁界の大きさに応じて回転するので、このファラデー回転角を測定して、各導体18に流れている電流値I1〜4を求める。
【0013】
電子回路部14は、光源14aと、光電変換器14bと、信号処理部14cと、故障判定部14dとを有している。光ファイバ伝送路12は、光源14aと第1番目の光ファイバセンサ101との間,第2番目以後の光ファイバセンサ102〜4同士の間,および最後部の光ファイバセンサ104と光電変換器14bとの間をそれぞれ直列接続するように設けられている。
【0014】
信号処理部14cでは、光電変換器14bの出力信号を受けて、各光ファイバセンサ101〜4で測定された電流値I1〜4に対するファラデー回転角の総和を求める。
【0015】
故障判定部14dでは、信号処理部14cの出力信号を受けて、キルヒホッフの第1法則に基づいて、電力設備16の故障を判断する。すなわち、キルヒホッフの第1法則によれば、電力設備16に流入,流出する電流値I1〜4の総和S=k(I1+I2+I3+I4)は、異常がなければ零になる。
【0016】
そこで、故障判定部14dでは、電流値I1〜4の総和が零以外になったときに、異常があると判断して、外部にその旨の信号を送出し、この送出信号に基づいて電力設備16を停止させる。
【0017】
さて、以上のように構成された故障判断機能を備えた光CTによれば、光ファイバセンサ101〜4中を伝播する光の偏波が、電流磁界の大きさに応じて回転するファラデー回転角を測定して電流値I1〜4を求めるので、事故時の直流分を含む大電流が流れた場合にも、鉄心の磁気飽和に起因する出力歪を生じない。
【0018】
また、電流測定を光ファイバセンサ101〜4で行い、光ファイバ伝送路12で、光源14aと第1番目の光ファイバセンサ101との間,第2番目以後の光ファイバセンサ102〜4同士の間,および最後の光ファイバセンサ104と光電変換器14bとの間を直列接続するので、電力設備16に敷設する部分が全て光ファイバで構成され、システム全体の小型,軽量化が達成されるとともに、サージ対策を簡略化することができる。
【0019】
さらに、本発明では、キルヒホッフの第1法則に基づいて、信号処理部14cで光ファイバセンサ101〜4で測定された電流値I1〜4の総和を求め、この電流値I1〜4の総和から故障判定部14dで電力設備16の異常を判断するので、演算処理も簡単になる。
【0020】
この場合、本発明では、ファラデー回転角を全部加算した後に、光電変換器14bで光量変化に変換するので、大電流集中に対する演算精度も確保することができる。
【0021】
ところで、本発明者らは、光ファイバセンサを用いる電流の測定方法を、例えば、特開平7−280850号公報などで、既に提案している。また、技術文献、電気学会技術報告II部第149号、pp.58−60,1983には、2個ファラデー素子を用いた電流差動継電器の構成が発表されている。
【0022】
さらに、技術文献、第45回応物関係連合講演会予稿集,1998には、光ファイバ干渉計を応用して、光ファイバをファラデー素子に用いた電流の検出方法が発表されている。
【0023】
このような公知文献から本発明の基本的な技術思想に想到することができたとしても、このような公知文献を単に組合せただけでは、以下の問題がある。
【0024】
すなわち、電流の検出と光の伝送とを1本の光ファイバで行うと、例えば、石英ファイバを用いると、光ファイバの偏波が光弾性の影響を受けて、振動や温度に対して、非常に敏感になりすぎて、実用的なシステムの実現が困難になる。
【0025】
また、石英ファイバに代えて鉛ガラスファイバを用いても、伝送損失が大きく、長距離の伝送や複数の電流に対して差動演算機能を持たせることができない。
【0026】
一方、特開平7−280850号公報に開示されているような光ファイバセンサで、検出部毎にファラテー効果を光量の変化に変換すると、検出部毎に3dB程度の損失が生じ、多数本の電流に対する差動演算機能を持たせられないし、大電流が1本の導体に集中した場合に、差動演算の精度が悪くなり、外部事故を内部事故と誤って判断する恐れがある。
【0027】
そこで、本発明者らは、このような公知技術を考慮して、このような問題を解決できる光CTを案出した。図2に示した光CTがその一例である。なお、以下の説明では、上記基本構成と同一もしくは相当する部分に同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0028】
同図に示した故障判定機能を備えた光CTは、図1と同様に、複数の光ファイバセンサ101−nと、光ファイバ伝送路120と、電子回路部14とを有している。
【0029】
各光ファイバセンサ101−nは、導体181−nの電流値I1−nをそれぞれ測定するものであって、この実施例の場合には、鉛ガラスファイバから構成されている。
【0030】
電子回路部14は、光源14aと、光電変換器14bと、信号処理部14cと、図示省略の故障判定部とを有している。光ファイバ伝送路120は、光源14aと第1番目の光ファイバセンサ101との間,第2番目以後の光ファイバセンサ102〜n同士の間,および最後の光ファイバセンサ10nと光電変換器14bとの間をそれぞれ直列接続するように設けられている。
【0031】
本実施例の場合には、光ファイバ伝送路120は、石英製の偏波面保持ファイバPMFで構成されている。各光ファイバセンサ101−nの入出力端には、偏波モード変換素子(具体的には、λ/4波長板)λ/4がそれぞれ設けられている。
【0032】
この偏波モード変換素子λ/4は、光ファイバセンサ101−n内を伝播させる光の偏波モードを円偏波に変更させるとともに、光ファイバ伝送路120内を伝播させる光の偏波モードを直線偏波に変更させる。
【0033】
第1番目の偏波モード変換素子λ/4に光を導く偏波面保持ファイバPMFと、最後部の偏波モード変換素子λ/4に光を導く偏波面保持ファイバPMFとの前には、それぞれファラテー回転子18,20が設置されている。
【0034】
また、これらのファラテー回転子18,20の前には、偏光ビームスプリッタPBSが設置されるとともに、光源14aとビームスプリッタPBSとの間には、偏光子22が設置されている。
【0035】
さらに、ビームスプリッタPBSの出射端側には、偏波モード変換素子λ/4と検光子24が設けられている。光電変換器14bは、本実施例の場合には、一対のホトダイオードPD1,PD2から構成されている。
【0036】
また、信号処理部14cは、バンドパスフィルタBPF,ローパスフィルタLPF,除算器÷,減算器を有している。
【0037】
次に、上記構成の光CTの作動について説明する。図2に示した実施例では、、単一モードファイバPMF用いるので、空間コヒーレンスのよい光源14aを用いる必要がある。そこで、半導体レーザを用いることを前提に以下の説明を行う。
【0038】
ここで、まず、ビームスプリッタPBSの膜へのp偏波入射の方位を0degとし、その方向の直線座標軸をx軸とする。また、同様に、s偏波入射の方位を90degとし、その方向の座標軸をy軸とする。
【0039】
光源14aの光を方位45degに設定した偏光子22に導く。偏光子22を通過した方位45degの直線偏波は、偏光ビームスプリッタPBSに導かれ、2本のビームに分離される。
【0040】
この場合、p偏波入射となる成分は、ビームスプリッタPBSを通過し、方位0degの直線偏波光となる。s偏波入射となる成分は、ビームスプリッタPBSで反射し、方位90degの直線偏波光となる。
【0041】
このとき、ビームスプリッタPBSへの入射光の方位が45degであるので、分離された2つの光の強度は等しくなる。
【0042】
ビームスプリッタPBSを通過した光は、回転角45degのファラデー回転子18に入射し、45degの偏波面の回転を受けた後、偏波面保持ファイバPMFに入射し、偏波面保持ファイバPMFで構成したファイバループを時計回りに進む光となる。
【0043】
この時、偏波面保持ファイバPMFの固有偏波方位は45deg傾けておき、同ファイバPMFに入射する偏波の方位と同ファイバの2つの固有偏波方位のうちの一方を一致させておく。その結果、入射光は、偏波面保持ファイバPMFの固有偏波モードとなる。
【0044】
次に、偏波面保持ファイバPMFを伝搬した光は、2つの1/4波長板(以下波長板と記す。)λ/4と、鉛ガラスファイバで構成される第1番目の光ファイバセンサ101に入射する。
【0045】
ここで、まず、偏波面保持ファイバPMFを出射した直線偏波は、手前の波長板λ/4に入射する。波長板λ/4の方位は、偏波面保持ファイバPMFの固有偏波方位に対して45deg傾けておく。
【0046】
こうすると、波長板λ/4を通過した光は、光ファイバセンサ101内では、90degの直線複屈折を受け、右回り円偏波モードとなる。第1番目の光ファイバセンサ101を通過した光は、第2の波長板λ/4に入射し、さらに90degの直線複屈折を受けて直線偏波となる。
【0047】
次に、光は、再び偏波面保持ファイバPMFに入射する。この時、同偏波面保持ファイバPMFの固有偏波方位を、第2の波長板λ/4の固有偏波方位に対して45deg傾けておく。
【0048】
その結果、光は、偏波面保持ファイバPMFの固有偏波モードとなる。さらに、この偏波面保持ファイバPMFを通過した光は、第2番目の光ファイバセンサ102に入射する。光ファイバセンサ102の構成は、第1番目と同じであり、その中での偏波のふるまいも同じである。
【0049】
以下同様に、第n番目の光ファイバセンサ10nを通過した後、光は、最後のn+1番目の偏波面保持ファイバPMFを通過し、ファラデー回転子20に入射する。
【0050】
次にこの光は、ファラデー回転子20で45degの偏波面の回転を受けた後、ビームスプリッタPBSに入射する。その際、入射光が、PBSの膜に対してp偏波入射となるように、n+1番目の偏波面保持ファイバPMFの固有偏波方位を調節しておく。そのようにすると、光は、ビームスプリッタPBSを通過し、検光子24に入射する。
【0051】
一方、光源12aを発して偏光子22を通過し、ビームスプリッタPBSに入射する光のうち、PBSの膜に対してs偏波入射となる成分は、膜で反射してファラデー回転子20に入射し、ファイバループを前記とは逆に、反時計回りに進む光となる。
【0052】
ファラデー回転子20を通過した光は、45degのファラデー回転を受け、n+1番目の偏波面保持ファイバPMFに入射する。その際、光は、同ファイバを時計回りに伝搬してくる光と同一の方位の偏波モードとなる。
【0053】
次に、偏波面保持ファイバPMFを通過した光は、まず、手前の波長板λ/4に入射し、円偏波に変換された後、第n番目の光ファイバセンサ10nに入射する。
【0054】
その際、円偏波の回転方向は、光の進行する方向を基準に取った場合、ファイバループを反対側から進んでくる時計回り光と同一となる。第n番目の光ファイバセンサ10nを通過した光は、再び波長板λ/4に入射し、直線偏波に変換され、第n本目の偏波面保持ファイバPMFに入射する。この際、ファイバを伝わる偏波は、同ファイバを反対側から伝搬してくる時計回り光と同一のモードとなる。
【0055】
以上の過程を繰り返し、最後に第1番目の光ファイバセンサ101と波長板λ/4を通過した後、光は、第1番目の偏波面保持ファイバPMFを通過し、ファラデー回転子18に入射する。
【0056】
ファラデー回転子18で、光は、再び45degの偏波面の回転を受け、ビームスプリッタPBSに入射する。その際、光は、PBSに対してs偏波入射となり、PBSの膜面で反射し、検光子24に入射する。
【0057】
以上の結果、時計回り光は、方位0degの直線偏波となって検光子24に入射し、反時計回り光は、方位90degの直線偏波となって検光子24に入射する。
【0058】
ここで、最終出力と光ファイバセンサ101−nに流れる電流I1−nの関係を求めるため、検光子24を通過した光の強度を求める。まず、時計回り光の成分を添字cwで表し、反時計回り成分を添字ccwで表す。
【0059】
いま、第i番目の光ファイバセンサ10iに電流Iiが流れている場合には、時計回り光と反時計回り光が、光ファイバセンサ10i中を通過する際に、ファラデー効果によって受ける位相は、次式で表される。ただし、光ファイバセンサ10iの巻数は1とする。
(φi)cw=θi … (1.1a)
(φi)ccw=−θi … (1.1b)
θi=VIi … (1.1c)
【0060】
ただし、
φi;光ファイバセンサを円偏波が通過する際のファラデー効果により発生する位相
θi;光ファイバセンサを光が通過する際に発生するファラデー回転角
V;ベデル定数
Ii;電流
【0061】
ここで、検光子24への入射場所における時計回り光Ecwと、反時計回り光Eccwは、次の通りとなる。なお、両者の振幅は、等しくなるように調整して有るものとする。
Ecw=a・exp{i(ωt+Ψcw)} … (1.2a)
Eccw=a・exp{i(ωt+Ψccw)} … (1.2b)
Ψcw=(θ1+θ2+…+θn)
+δPMF+δFGF+δSPC−(π/4) … (1.2c)
Ψccw=−(θ1+θ2+…+θn)
+δPMF+δFGF+δSPC+(π/4) … (1.2c)
【0062】
ここに、
a;振幅
Ψcw;時計回りの光に発生する位相の総量
Ψccw;反時計回りの光に発生する位相の総量
δPMF;n+1本の偏波面保持ファイバPMFの中で共通に発生する位相の総量
δFGF;n本の光ファイバセンサ10の中で共通に発生する位相の総量
δSPC;光が空間を伝播する間に共通に発生する位相の総量
【0063】
検光子24は、偏光分離機能を有するものとし、その方位は45degである。この場合、検光子24を通過する2つの光の電界成分EAとEBは、次式に示す通りとなる。
EA=(ECW+ECCW)/√2 … (1.3a)
EB=(ECW−ECCW)/√2 … (1.3b)
【0064】
また、それらの強度PAとPBは、次の通りとなる。
PA=|EA|2=P0{1−cos(Ψcw−Ψccw)} … (1.4a)
PB=|EB|2=P0{1+cos(Ψcw−Ψccw)} … (1.4b)
P0=a2/2 … (1.4c)
【0065】
(1.4)式に、(1.2c)式と(1.2d)式を代入すると、次式が得られ
る。
PA=P0[1+sin{2(θ1+θ2+…+θn)}] … (1.5a)
PB=P0[1−sin{2(θ1+θ2+…+θn)}] … (1.5b)
【0066】
ここで、θ1+θ2+…+θnが小さいと近似できる範囲で、次式が成立する。
PA=P0[1+2(θ1+θ2+…+θn)] … (1.5c)
PB=P0[1−2(θ1+θ2+…+θn)] … (1.5d)
【0067】
ここで、電流を交流とすると、次の信号A、BおよびSは次式の通りとなる。
A=2(θ1+θ2+…+θn) … (1.6a)
B=−2(θ1+θ2+…+θn) … (1.6b)
S=(A−B)/2
=2(θ1+θ2+…+θn) … (1.6c)
(1.6c)式に(1.1b)式を代入すると、次式が得られる。
S=4V(I1+I2+…+In) … (1.6d)
この式から、本実施例では、各光ファイバセンサ101−nに流れる電流I1−nの総和に等しい出力Sが得られることが分る。
【0068】
ここで、上記(1.1)〜(1.6)式を見ると、時計回り光Ecwと反時計回り光Eccwの干渉の結果、ファイバループを光が進行する間に発生する位相のうち、光ファイバセンサ101−n内部のファラデー効果以外のものは、補償されて信号に現れなくなることが分る。
【0069】
このことは、光の伝送に用いる偏波面保持ファイバPMFに振動や温度の変動などの外乱が加わり、同ファイバ中を光が通過する際に発生する位相が変化しても、システムの特性は、影響を受けないことを示している。
【0070】
従ってシステムの特性は安定である。この特性が得られる理由は、図3に示すように、時計回り光Ecwと反時計回り光Eccwが偏波面保持ファイバPMFの内部で共通の偏波モードとなるように、システムを構成したことによる。
【0071】
図4は、本発明にかかる故障判断機能を備えた光CTの他の実施例を示しており、上記実施例と同一もしくは相当する部分には、同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0072】
同図に示した実施例では、図2示した実施例がループ型であったのに対して、反射型になっている。この実施例の場合には、図2の実施例の偏光ビームスプリッタPBSに代えて、ハーフミラーHMを設置し、一対のファラデー回転子18,20を除去し、最後部の光ファイバセンサ10nの出射端側に設けた波長板λ/4の後方に反射ミラーMを設置している。
【0073】
この実施例の作動は、以下のようになる。作動説明に当たって、偏波に関する方位を次の通りに定める。ハーフミラーHMへのp偏波入射の方位を0degとし、その方向の直線座標軸をx軸とする。また、s偏波入射の方位を90degとし、その方向の座標軸をy軸とする。
【0074】
光源14aの光を偏光子22(polarizer)に導き、さらにハーフミラーHMを通過させる。偏光子22の方位は、次式が成立するように設定する。
【0075】
τprs=τsrp … (2.1)
ここに、
τp;p偏波振幅透過率、rp;p偏波振幅反射率
τs;s偏波振幅透過率、rs;s偏波振幅反射率
【0076】
ハーフミラーHMを通過した光は、第1番目の偏波面保持ファイバPMFに入射する。その際、偏波面保持ファイバPMFの2つの固有偏波方位は、ハーフミラーHMを通過した光のp偏波成分とs偏波成分の方位に一致させておく。こうすると、入射光の2つの偏波成分は、それぞれ互いに方位が直交する偏波面保持ファイバPMFの固有偏波モードとなる。
【0077】
はじめに、光の進行に伴うp偏波成分の変化を説明する。p偏波成分は、第1の偏波面保持ファイバPMFを直線偏波状態で通過し、2つの波長板λ/4と光ファイバセンサ101とで構成される第1番目の電流検出部に入射する。
【0078】
このとき、まず光は、偏波面保持ファイバPMFの固有偏波方位に対して方位を45deg傾けた手前の波長板λ/4に入射する。その結果、波長板λ/4を通過した光は、90degの直線複屈折を受け、右回り円偏波となる。
【0079】
次に、光は、光ファイバセンサ101に入射し、同ファイバの右回り円偏波モードとなる。光ファイバセンサ101を通過した光は、第2の波長板PMFに入射する。
【0080】
第2の波長板λ/4を通過した光は、さらに90degの直線複屈折を受け、直線偏波となる。その後光は、第2の偏波面保持ファイバPMFに入射する。この時、第2の偏波面保持ファイバPMFの固有偏波方位を、第2の波長板λ/4の固有偏波方位に対して45deg傾けておく。その結果、光は、第2の偏波面保持ファイバPMFの固有偏波モードとなる。
【0081】
さらに、第2の偏波面保持ファイバPMFを通過した光は、第2番目の電流検出部に入射する。第2番目の電流検出部の構成は、第1番目の電流検出部と同一であり、その中での偏波のふるまいも同じである。
【0082】
以下同様に、偏波の変換を繰り返し、光は最後の第n番目の電流検出部に入射する。第n番目の電流検出部の光ファイバセンサ10nの終端には、ミラーMが設けられている。
【0083】
その結果、光は、ミラーMで反射されて、光路を逆に進む円偏波光となる。その際、反射後の円偏波の回転方向は、光の進行方向を基準に取った場合、反射前とは逆になる。ここで、反射される前の光を「前進光」と称し、反射後の光を「戻り光」と称することにする。
【0084】
第n番目の電流検出部の光ファイバセンサ10nを通過した戻り光は、波長板λ/4に入射し、直線偏波に変換され、第n番目の偏波面保持ファイバPMFに再び入射する。以下同様に、偏波の変換を繰り返し、光は、第1番目の偏波面保持ファイバPMFから再度出射する。
【0085】
ここで、偏波の変換を繰り返しながら進む前進光と戻り光の偏波モードには、各光ファイバセンサ101−nと各偏波面保持ファイバPMFの中で、次の関係がある。
【0086】
光ファイバセンサ101−n中においては、前進光と戻り光は、互いに回転方向(光の進行方向を基準に取る)が逆の円偏波モードとなる。
【0087】
偏波面保持ファイバPMF中においては、前進光と戻り光は、互いに方位が直交した直線偏波モードとなる。
【0088】
従って、第1番目の偏波面保持ファイバPMFを出射した戻り光は、ハーフミラーHMにs偏波となって入射する。ハーフミラーHMで反射した成分は、波長板λ/4を通過した後、検光子24に入射する。その際、波長板の方位は0deg、検光子24の方位は45degに設定しておく。
【0089】
次に、光源を発して偏光子22を通過した光のうち、ハーフミラーHMにs偏波出入射し、これを通過した成分について説明する。s偏波入射成分は、p偏波入射成分に対して直角の方位をもって、第1の偏波面保持ファイバPMFに入射し、偏波面保持ファイバPMFの固有偏波モードとなる。
【0090】
その後、光は、p偏波入射成分と同様に、偏波の変換を繰り返しながら伝搬し、第n番目の光ファイバセンサ10nに到達する。さらに、光は、ミラーMで反射し、戻り光となって伝搬し、第1の偏波面保持ファイバPMFの入射端から直線偏波となって再度出射し、ハーフミラーHMに入射する。
【0091】
その際、各光ファイバセンサ101−nと各偏波面保持ファイバPMFの中での、前進光と戻り光の偏波モードの関係も、p偏波入射した成分の場合と同じである。従って、偏波の方位は、ハーフミラーHMに対してp偏波となる。
【0092】
ハーフミラーHMに入射した戻り光のうち、反射した成分は、やはり波長板λ/4を通過した後、検光子24に入射する。
【0093】
ここで、システムの検光子24の通過光の強度を求める。まず、光源14aを
発し、偏光子22を通過後、ハーフミラーHMにp偏波入射する偏波成分を添字
Hで表し、s偏波入射する成分を添字Vで表す。
【0094】
いま、第i番目の検出部に電流が流れている場合に、偏波の電界成分EHとEVが、光ファイバセンサ101−nを一回通過する際に、ファラデー効果により受ける位相は、次式で表すことができる。ただし、光ファイバセンサ101−nの巻数は1とする。
(φi)H=θi … (2.2a)
(φi)V=−θi … (2.2b)
θi=VIi … (2.2c)
【0095】
ただし、
φi;光ファイバセンサを円偏波が通過する際のファラデー効果により発生する位相
θi;光ファイバセンサを光が通過する際に発生するファラデー回転角
V;ベデル定数
Ii;電流
【0096】
ここで、検光子24への入射場所における偏波成分EHとEVは、光が光路を往復していることを考慮すると、次の通りとなる。なお、(2.1)式が成立するように偏光子22の方位を調整してあることから、両者の振幅は等しい。
EH=a・exp{i(ωt+ΨH)} … (2.3a)
EV=a・exp{i(ωt+ΨV)} … (2.3b)
ΨH=2(θ1+θ2+…+θn)
+2δPMF+2δFGF+2δSPC−(π/4) … (2.3c)
ΨV=−2(θ1+θ2+…+θn)
+2δPMF+2δFGF+2δSPC+(π/4) … (2.3d)
【0097】
ここに、
a;振幅
ΨH;偏波成分Hに発生する位相の総量
ΨV;偏波成分Vに発生する位相の総量
δPMF;n+1本の偏波面保持ファイバPMFの中で共通に発生する位相の総量
δFGF;n本の光ファイバセンサ10の中で共通に発生する位相の総量
δSPC;光が空間を伝播する間に共通に発生する位相の総量
【0098】
検光子24は、偏光分離機能を有するものとし、その方位は45degである。この場合、検光子24を通過する2つの光の電界成分EAとEBは、次式に示す通りとなる。
EA=(EH+EV)/√2 … (2.4a)
EB=(EH−EV)/√2 … (2.4b)
【0099】
また、それらの強度PAとPBは、次の通りとなる。
PA=|EA|2=P0{1−cos(ΨH−ΨV)} … (2.5a)
PB=|EB|2=P0{1+cos(ΨH−ΨV)} … (2.5b)
P0=a2/2 … (2.5c)
(2.4)式に、(2.2c)式と(2.2d)式を代入すると、次式が得られる。
【0100】
PA=P0[1+sin{2(θ1+θ2+…+θn)}] … (2.6a)
PB=P0[1−sin{2(θ1+θ2+…+θn)}] … (2.6b)
ここで、θ1+θ2+…+θnが小さいと近似できる範囲で、次式が成立する。
PA=P0[1+2(θ1+θ2+…+θn)] … (2.6c)
PB=P0[1−2(θ1+θ2+…+θn)] … (2.6d)
【0101】
ここで、電流を交流とすると、次の信号A、BおよびSは次式の通りとなる。
A=2(θ1+θ2+…+θn) … (2.7a)
B=−2(θ1+θ2+…+θn) … (2.7b)
S=(A−B)/2
=2(θ1+θ2+…+θn) … (2.7c)
(2.7c)式に(2.2c)式を代入すると、次式が得られる。
S=4V(I1+I2+…+In) … (2.6d)
【0102】
この式から、本実施例では、各光ファイバセンサ101−nに流れる電流I1−nの総和に等しい出力Sが得られることが分る。以上のように構成された光CTによれば、図2および図3に示した実施例の作用効果に加えて、構成がより簡単になる。
【0103】
図5は、本発明にかかる故障判定機能を備えた光CTのさらに別の実施例を示しており、上記実施例と同一もしくは相当する部分には、同一符号を付してその説明を省略するとともに、以下にその特徴点についてのみ説明する。
【0104】
上記実施例の説明に於いては、光学部品の偏波特性と配置が完全であるとして説明を行った。しかし、図2及び図4の構成において、それらは多少なりとも不完全であると考える必要がある。
【0105】
この場合には、偏波のクロストーク(以下「クロストーク」と記す)が発生する。クロストークがあると、最終的に検光子24に入射する光の偏波成分に、上記の説明で行ったものと異なる偏波モードの経路を通過した成分が混入する。その結果、システムの出力が(1.6d)式および(2.7d)式に示したものと異なったものとなる。
【0106】
そこで、以下に、この問題に対する対策を提案する。提案する対策は、図2(ループ型)または図4(反射型)のシステムに、次の2つを組み合わせて適用することである。
A.時間コヒーレンスの低い光源の使用
B.信号処理方式の変更(偏波面変調法)
以下に、反射型のシステムについて対策を施す場合について説明する。
(1)時間コヒーレンスの低い光源の使用
図4において、いずれかの場所でクロストークが発生すると、最終出力が式に示したものと異なることになる。その原因は、検光子24に入射する光の偏波成分に、上記の説明で行ったものと異なる偏波モードの経路を通過した成分が混入し、それらの成分と図4で説明した理論通りの成分(以下「主成分」)との干渉、およびクロストークによって発生した成分(以下「クロストーク成分」)同志の干渉により、検光子24を通過した光の強度が変化するからである。
【0107】
この問題を解決する第1の対策として、高い空間コヒーレンスをもちながら、時間コヒーレンスの低い光を発する光源、すなわちコヒーレンス長の短い光を発する光源を使用することがある。
【0108】
このような光源のうち、実用的なものとして、スーパルミネセントダイオードがある。時間コヒーレンスの低い光源を用いると、クロストーク成分は、他の成分(主成分および他のクロストーク成分)と異なる偏波モードの経路を通過するため、光源から検光子24に至る光路に、光のコヒーレンス長を超える長さの差(光路長差)が発生し、干渉しなくなる。
【0109】
一方、主成分同士に発生する光路長差は、光ファイバセンサ10の中で発生するファラデー効果に起因するもののみであるため、コヒーレンス長より光路長差が極短いので、干渉する。
【0110】
しかし、以下の理由から、対策は、これでは不十分である。図4における信号処理回路では、ホトダイオードPD1,PD2の出力信号を帯域通過フィルタBPFと低域通過フィルタLPFに導き、両者を通過した信号の比を割り算回路によって求めている。
【0111】
このような処理を行う目的は、ホトダイオードPD1,PD2に入射する光量の変動を補償するためである。図4のシステムで、コヒーレンス長の短い光源を用いた場合、電気信号にクロストーク成分の強度に相当するものが追加されることになるからである。
【0112】
この問題を解決するための信号処理の方法を以下に説明する。
(2)信号処理方式の変更(偏波面変調法)
図5に示した実施例では、光源14aに、前述した時間コヒーレンスの低いものを用いる。偏光子22,ハーフミラーHM,偏波面保持ファイバPMF、および光ファイバセンサ101−nを主構成部品とする電流検出部については、図4と同じである。
【0113】
異なっているのは、ハーフミラーHMで反射した後に、光が通過する光学系と、信号処理回路である。図5において、ハーフミラーHMで反射した光は、ポッケルス素子30と検光子32を通過する。
【0114】
ポッケルス素子30は、光の変調を行うために設けてあり、電圧印加によって発生する複屈折主軸は0degに設定する。検光子32の方位は−45deg(135degと等価)とする。ポッケルス素子32には、商用電源34と増幅器36とを介して、交流電圧を印加して、偏波の変調を行う。
【0115】
受光素子PDの出力(検光子32を通過する光の強度に比例)と、図に示す通り、ポッケルス素子32に印加する交流電圧を参照信号とする同期検波回路38に導く。
【0116】
また同時に、中心周波数を変調角周波数の2倍の角周波数に設定した帯域通過フィルタ40に導き、さらにその出力を平滑回路42に導く。次に、同期検波回路38と平滑回路40の出力を割り算回路46に導き、両者の比を最終出力として得る。
【0117】
このようにすると、ファラデー回転角の総量に比例した最終出力が得られることを以下に示す。受光素子PDの出力Pは、ファラデー回転角の総量(θ1+θ2+…+θn)とポッケスル効果による位相変調角が小さい範囲で、次式で表される。
P=P1+P2(sinδ)2
=P1+P2δ2 … (3.1)
δ=δP+ δF … (3.2)
【0118】
ここに、
P1;偏波のクロストーク成分の強度に比例する量
P2;偏波の主成分の強度に比例する量
δ;ファラデー効果による光波位相の変調
δP;ポケッスル効果による光波位相の変調
δF;ファラデー効果による光波位相の変調の総量4(θ1+θ2+…+θn)
【0119】
また、ポッケルス素子30には、高周波の正弦波交流電圧を印加する。そのため、δPは、次式で表される変調を受ける。
δP=b・cos(ωmt) … (3.3)
【0120】
ここに、
b;位相変調角の振幅、ωm;変調角周波数、t;時刻
(3.2)式と(3.3)式を(3.1)式に代入すると、次式が得られる。
P=P1+P2δ2
=P1+P2δF 2+(1/2)P2b2 (直流成分)
+2P2bδFcos(ωmt) (基本波成分)
+(1/2)P2b2cos(2ωmt) (第2高調波成分)…(3.4)
【0121】
同期検波回路38により(3.4)式の基本波成分を取り出すことができ、また帯域通過フィルタ40と平滑回路42を組みあわせた回路により同式の第2高調波成分を取り出すことができる。
【0122】
従って同期検波回路の出力Vωおよび平滑回路の出力V2ωは、次式で表される。
Vω=2P2bδF (基本波成分) …(3.5)
V2ω=(1/2)P2b2 (第2高調波成分)…(3.6)
【0123】
最後に、割り算回路によって(3.5)式と(3.6)式の比を求めると、最終出力Sが求まる。
S=Vω/V2ω
=(4/b)δF …(3.7)
(3.7)式を見ると、最終出力Sは、ファラデー効果による光波位相の変調の総量δFに比例することが判る。また、最終出力Sは、偏波のクロストーク成分の強度に比例量P1および偏波の主成分の強度に比例する量P2に無関係になり、安定した検出が可能になる。
【0124】
また、(3.7)式から、本実施例の場合には、交流電流のみならず、直流電流の正確な検出が可能になり、直流の電力設備の故障判定にも適用することができる。
【0125】
【発明の効果】
以上実施例で詳細に説明したように、本発明にかかる故障判定機能を備えた光CTによれば、安価でかつサージ対策が簡略化でき、その上、システムの小型,軽量化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる故障判定機能を備えた光CTの一実施例を示す説明図である。
【図2】本発明にかかる故障判定機能を備えた光CTの他の実施例を示す全体構成図である。
【図3】図2の光CTの光ファイバセンサと偏波面保持ファイバ内の偏波モードの説明図である。
【図4】本発明にかかる故障判定機能を備えた光CTの他の実施例を示す全体構成図である。
【図5】本発明にかかる故障判定機能を備えた光CTの他の実施例を示す全体構成図である。
【図6】従来の保護継電システムの説明図である。
【符号の説明】
10 光ファイバセンサ
12 光ファイバ伝送路
14 電子回路部
14a 光源
14b 光電変換器
14c 信号処理部
14d 判定部
16 電力設備
Claims (3)
- 電力設備に接続された複数の導体の外周に周回設置され、各導体の入出力電流を個別に測定する複数の光ファイバセンサと、光源,光電変換器,信号処理部および故障判定部とを有する電子回路部とを備え、前記光源と前記光ファイバセンサとの間,前記光ファイバセンサ同士の間および前記光ファイバセンサと前記光電変換器との間をそれぞれ直列接続する光ファイバ伝送路を設け、前記信号処理部で前記光ファイバセンサで測定された電流値の総和を求め、この電流値の総和から前記故障判定部で前記電力設備の異常を判断する故障判定機能を備えた光CTにおいて、
前記光ファイバセンサの入出力端に、当該光ファイバセンサ内を伝播させる光の偏波モードを円偏波に変更させるとともに、前記光ファイバ伝送路内を伝播させる光の偏波モードを直線偏波に変更させる偏波モード変換素子をそれぞれ設け、
前記光ファイバセンサを鉛ガラスファイバで構成するとともに、前記光ファイバ伝送路を偏波面保持ファイバで構成し、これらの光ファイバセンサと光ファイバ伝送路内に、進行方向が相互に逆になる光を伝播させることを特徴とする故障判定機能を備えた光CT。 - 請求項1記載の故障判定機能を備えた光CTにおいて、
最後部の前記光ファイバセンサの出力端に設けられた前記偏波モード変換素子の後部側に反射ミラーを設置したことを特徴とする故障判定機能を備えた光CT。 - 前記光源は、コヒーレンス長の短い光を発することを特徴とする請求項1または2記載の故障判定機能を備えた光CT。
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