JP3611623B2 - 液晶表示ガラス基板に付着した異物の除去方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶表示パネルの製造プロセスにおける洗浄工程に適用される、液晶表示ガラス基板に付着した異物の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネルの高密度化、大画面化が進むにつれて、ガラス基板に存在する塵埃などの異物(パ―テイクル)が画素不良発生の原因となつて、製品の歩留りや製品の信頼性に大きく影響するようになつてきている。
【0003】
たとえば、TFT液晶パネルの場合、その製造工程は、TFTアレイ基板の製造工程と、カラ―フイルタ―基板の製造工程とに大別され、両工程ともに素ガラス基板の洗浄から始まり、ガラス基板上への回路形成のため、成膜、レジスト塗布、露光、現像、エツチング、レジスト剥離などの工程が繰り返されるが、この繰り返し工程の度毎にガラス基板の洗浄が行われ、各工程で発生し付着した異物が除去される。さらに、TFTアレイ基板とカラ―フイルタ―基板とを組み合わせるセル組立工程前の洗浄、また同組立後の洗浄があり、液晶表示パネルの製造プロセス全体の約20%を洗浄工程が占めている。
【0004】
しかし、最近の液晶表示パネルの高密度化、大画面化に伴い、従来の洗浄方法の問題点が顕在化してきた。従来の洗浄方法としては、スクラブ洗浄と呼ばれるブラシ洗浄、ジエツト洗浄、超音波洗浄によるものが多く使われているが、これらの洗浄法はすべて洗浄剤(有機溶剤、超純水など)を用いたウエツト洗浄のため、洗浄により一旦除去された異物が再付着する問題があり、また洗浄後の乾燥工程で異物が付着する問題もあつた。
【0005】
このウエツト洗浄の短所を補う洗浄方法として、洗浄方法のドライ化(UVオゾン、O2 プラズマなど)が進んでおり、異物の再付着の低減、乾燥工程の省略などの利点を活かしているが、ドライ洗浄は異物に対して十分な除去能力を示さず、多量の汚染物の除去に適していないことがわかつてきた。
【0006】
別の試みとして、粘着テ―プを回転ロ―ラに貼り付け、これを液晶表示ガラス基板上で転動させて、この基板上の異物を粘着剤層面に吸着させて除去する方法が考えられている。この方法は、一種のドライ洗浄といえるため、ウエツト洗浄のような異物の再付着の問題や乾燥工程での汚染の問題はないが、回転ロ―ラに貼り付けた粘着テ―プがガラス基板面に対しわずか数秒ほど点接触ないし線接触するだけであるため、異物の吸着効果は低いものであつた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑み、ウエツト洗浄方式に比べて有用な粘着テ―プを用いたドライ洗浄方式により、液晶表示ガラス基板に付着した異物を高い除去率で除去する方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的に対し、鋭意検討した結果、粘着テ―プを回転ロ―ラに貼り付けて転動させるのではなく、液晶表示ガラス基板上にその全面にわたつて貼り付け、基板上の異物と粘着剤層面とをある程度の所要時間をもつて十分に馴染ませたうえで、剥離操作したときには、基板上の異物を高い除去率で吸着除去できることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0009】
本発明は、液晶表示ガラス基板の表面および/または裏面の全面に、支持フイルムと粘着剤層とからなる粘着テ―プを、粘着剤層面が上記表面および/または裏面の異物と十分に馴染むように貼り付けたのち、この粘着テ―プを剥離操作することにより、上記異物を粘着剤層面に吸着させて上記基板から除去することからなり、かつ上記の粘着テープとして、その粘着剤層が、下記(1),(2);
(1) アクリル系樹脂を主成分とする粘着剤であって、ガラス基板に対する粘着力とし て、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着力(常温、剥離 速度300 mm /分)が、30〜400g/20 mm 幅にあるもの
(2) 活性エネルギー源の供給により特性が変化する粘着剤であって、ガラス基板に対 する粘着力として、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着 力(常温、剥離速度300 mm /分)が、活性エネルギー源供給前で400〜1,800 g/20 mm 幅で、活性エネルギー源供給後で1〜400g/20 mm 幅となるもの
のいずれかである粘着テープを使用し、上記(2)の粘着テープでは剥離操作前に活性エネルギー源を供給することを特徴とする液晶表示ガラス基板に付着した異物の除去方法、とくに1μm以上の大きさの異物を70%以上の除去率で除去することを特徴とする液晶表示ガラス基板に付着した異物の除去方法に係るものである。
【0010】
【発明の構成・作用】
図1は、本発明に用いる粘着テ―プの一例を示したものである。1は粘着テ―プで、支持フイルム11上に粘着剤層12を設けた構成となつている。
【0011】
支持フイルム11は、ポリエステル、ポリカ―ボネ―ト、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレ―ト共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのプラスチツクからなる厚さが通常10〜1,000μmのフイルムである。
【0012】
粘着剤層12は、アクリル樹脂系、シリコ―ン樹脂系、フツ素樹脂系、ゴム系(天然ゴム、合成ゴム)などのポリマ―を主成分とした、常温下で感圧接着性を有するものであり、厚さは通常5〜100μmである。このような粘着剤層は、上記ポリマ―を主成分とした粘着剤を支持フイルム11上に塗着し、加熱などにより架橋処理することにより、また離型紙上に上記と同じ方法で形成した粘着剤層を支持フイルム11上に貼着することにより、形成できる。
【0013】
本発明では、粘着テ―プを液晶表示ガラス基板に貼り付けて、液晶表示ガラス基板上の異物を粘着剤層面によく馴染ませたのち、剥離操作して、上記異物を吸着除去することを基本とする。よつて、粘着剤層12は、▲1▼貼り付け時、▲2▼剥離操作時のそれぞれに適した特性を有している必要がある。しかし、現実には、▲1▼と▲2▼で要求される特性は、通常相反するものとなる。つまり、▲1▼の貼り付け時には、粘着剤は異物に馴染むように塑性変形しやすく、かつ高粘着力であることが必要であり、一方、▲2▼の剥離操作時には、異物を確実に固定するため、粘着剤は硬く強靭であり、かつ低粘着力であることが必要である。
【0014】
このような特性を実現させる第一の手段は、▲1▼,▲2▼の各段階でバランスよく適合する特性を持つた粘着剤を選択することである。この目的には、特性が比較的安定しているアクリル系樹脂を主成分としたものが好ましく用いられる。ガラス基板に対する粘着力としては、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着力(常温、剥離速度300mm/分)が、通常30〜400g/20mm幅にあるものが適している。
【0015】
また、第二の手段は、▲1▼,▲2▼の各段階で適合するように、段階ごとに特性を変化させることである。この目的には、活性エネルギ−源の供給により特性が変化する粘着剤が好ましく用いられる。ここで、活性エネルギ−源とは、たとえば、紫外線、赤外線(熱)、電子線、エツクス線などに代表される電磁波、超音波などに代表される弾性波のことである。
【0016】
上記特性が変化する粘着剤には、紫外線硬化性粘着剤、電子線硬化性粘着剤、熱硬化性粘着剤、熱可塑性粘着剤、熱発泡性粘着剤などがあり、それぞれ単独で用いてもよいし、複数種を同時に用いてもよい。ガラス基板に対する粘着力としては、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着力(常温、剥離速度300mm/分)が、活性エネルギ−源供給前(貼り付け時)で通常400〜1,800g/20mm幅で、活性エネルギ−源供給後(剥離操作時)で通常1〜400g/20mm幅となるものが適している。
【0017】
図2は、上記構成の粘着テ―プ1を用いて、液晶表示ガラス基板に付着した異物を除去する方法を示したものである。まず、液晶表示ガラス基板3の表面3a(および/または裏面3b)の全面に、粘着テ―プ1を貼り付けて、粘着剤層12面を上記表面3a上の異物2に対して十分に馴染ませる。これは、たとえば、粘着テ―プ1を上記表面3aにハンドロ―ラ(図示せず)により押圧したのち、数分程度放置するといつた方法で行えばよい。
【0018】
このように貼り付けたのち、図示のように、粘着テ―プ1の端部より引き剥がす、剥離操作を施すと、上記表面3aの異物2は粘着剤層12面に吸着されて、上記表面3aから除去される。その除去率は、従来のドライ洗浄はもちろんのこと、ウエツト洗浄や既提案の粘着テ―プを用いる方法に比べて、高い値となる。一般には、1μm以上の大きさの異物を70%以上、好ましくは80%以上除去できるほどの高い除去率が得られる。これは、液晶表示ガラス基板の表面全面にわたり粘着テ―プを貼り付けて、かつ異物と粘着剤層面とを十分に馴染ませるようにしたためであり、また粘着剤層として、前記特性を持つたものを使用することにより、剥離操作後に粘着剤がガラス基板の表面に付着して、ガラス基板を汚染するといつた問題を招くおそれも少ないためである。
【0019】
このように液晶表示ガラス基板上の異物を高い除去率で洗浄除去すると、回路形成時の露光不良、画素発生不良が低減し、最終的に作製される液晶表示パネルの歩留りや信頼性が大幅に向上する。たとえば、上記歩留りは、従来のウエツト洗浄を適用した場合よりも、5%以上確実に向上できる。また、地球環境保全の立場からみて、従来のウエツト洗浄やドライ洗浄のような純水、薬品、空気、電力などを大量に消費する洗浄方式を、上記本発明の方式に置き換えることで、地球環境保全に大きく寄与させることができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、粘着テ―プを用いるドライ洗浄方式により、液晶表示ガラス基板に付着した異物を高い除去率で除去できるから、液晶表示パネルの歩留りや信頼性の向上に大きく寄与させることができる。また、従来の他の洗浄方式などに比べて、地球環境保全の面での寄与効果も得られる。
【0021】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。
【0022】
実施例1
厚さ38μmのポリエステル支持フイルムのコロナ処理面に、アクリル系粘着剤の溶液を塗布し、120℃で3分間加熱架橋処理して、厚さ20μmの粘着剤層を有する粘着テ―プを作製した。ガラス基板に対する粘着力は、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着力(常温、剥離速度300mm/分)で180g/20mm幅であつた。
【0023】
1μm以上の大きさの異物が5,000〜7,000個(ガラス基板表面検査装置にて測定)であるTFTアレイ基板用の素ガラス基板(350mm×400mm□)を用意し、この素ガラス基板の全面に、前記方法で作製した粘着テ―プを、ハンドロ―ラを用いて貼り付け、3分間放置したのち、粘着テ―プを剥離操作して、洗浄した。この洗浄後、ガラス基板表面検査装置により、素ガラス基板に付着している1μm以上の大きさの異物の数をカウントした。洗浄後の異物数と、洗浄前の異物数とから、異物除去率を算出した。なお、上記の洗浄試験に際し、一連の作業は、クラス10のクリ―ンル―ム内(温度23℃、湿度60%)で行つた。結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0024】
実施例2
粘着剤としてアクリル系紫外線硬化性粘着剤を用いたほかは、実施例1に準じて厚さ20μmの粘着剤層を有する粘着テ―プを作製した。ガラス基板に対する粘着力は、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着力(常温、剥離速度300mm/分)で1,230g/20mm幅であつた。また、紫外線(波長365nm、1,000mj/cm2 )照射後の上記同様の180度引き剥がし粘着力は、6g/20mm幅であつた。この粘着テ―プを用い、剥離操作前に紫外線(波長365nm、1,000mj/cm2 )照射処理を施すようにした以外は、実施例1と同様にして、異物洗浄試験(異物除去率の測定)を行つた。結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0025】
比較例1
TFTアレイ基板用の素ガラス基板の洗浄方法として、超純水によるスクラブ洗浄装置(現行ウエツトブラシ洗浄)を用い、異物が付着したこの素ガラス基板を所定の条件にて洗浄した。乾燥後、ガラス基板表面検査装置により、素ガラス基板に付着している1μm以上の大きさの異物の数をカウントした。この洗浄後の異物数と、洗浄前に上記同様の装置を用いてカウントした1μm以上の大きさの異物の数とから、異物除去率を算出した。この試験結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0026】
比較例2
TFTアレイ基板用の素ガラス基板の洗浄方法として、UVオゾン洗浄(現行ドライ洗浄)を用いたほかは、比較例1に準じて異物洗浄試験を行い、異物除去率を算出した。この試験結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0027】
【表1】
【0028】
上記の表1の結果から、本発明によれば、液晶表示ガラス基板に付着した異物を70%以上の高い除去率で除去でき、とくに実施例2では、粘着剤の特性である粘着力や粘着剤の硬さを、貼り付け時と剥離操作時の各段階に適するように変化させた、つまり貼り付け時は高粘着力で柔らかく、剥離操作時は低粘着力で硬い特性を持つように設定したことにより、約80%もの高い除去率が得られることが明らかである。これに対し、比較例1,2では、異物除去率が低く、とくに比較例2では、付着した異物はほとんど除去されていない。
【0029】
なお、上記の実施例1,2および比較例1で示した洗浄方法を、所定の液晶表示パネルの製造工程に適用し、最終的に得られた液晶表示パネルの歩留りを集計した結果、実施例1および実施例2の方法では、比較例1の方法と比較して、歩留りがそれぞれ6%および8%高いことがわかつた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる粘着テ―プの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の異物の除去方法の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 粘着テ―プ
11 支持フイルム
12 粘着剤層
2 異物
3 液晶表示ガラス基板
3a 液晶表示ガラス基板の表面
3b 液晶表示ガラス基板の裏面
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶表示パネルの製造プロセスにおける洗浄工程に適用される、液晶表示ガラス基板に付着した異物の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネルの高密度化、大画面化が進むにつれて、ガラス基板に存在する塵埃などの異物(パ―テイクル)が画素不良発生の原因となつて、製品の歩留りや製品の信頼性に大きく影響するようになつてきている。
【0003】
たとえば、TFT液晶パネルの場合、その製造工程は、TFTアレイ基板の製造工程と、カラ―フイルタ―基板の製造工程とに大別され、両工程ともに素ガラス基板の洗浄から始まり、ガラス基板上への回路形成のため、成膜、レジスト塗布、露光、現像、エツチング、レジスト剥離などの工程が繰り返されるが、この繰り返し工程の度毎にガラス基板の洗浄が行われ、各工程で発生し付着した異物が除去される。さらに、TFTアレイ基板とカラ―フイルタ―基板とを組み合わせるセル組立工程前の洗浄、また同組立後の洗浄があり、液晶表示パネルの製造プロセス全体の約20%を洗浄工程が占めている。
【0004】
しかし、最近の液晶表示パネルの高密度化、大画面化に伴い、従来の洗浄方法の問題点が顕在化してきた。従来の洗浄方法としては、スクラブ洗浄と呼ばれるブラシ洗浄、ジエツト洗浄、超音波洗浄によるものが多く使われているが、これらの洗浄法はすべて洗浄剤(有機溶剤、超純水など)を用いたウエツト洗浄のため、洗浄により一旦除去された異物が再付着する問題があり、また洗浄後の乾燥工程で異物が付着する問題もあつた。
【0005】
このウエツト洗浄の短所を補う洗浄方法として、洗浄方法のドライ化(UVオゾン、O2 プラズマなど)が進んでおり、異物の再付着の低減、乾燥工程の省略などの利点を活かしているが、ドライ洗浄は異物に対して十分な除去能力を示さず、多量の汚染物の除去に適していないことがわかつてきた。
【0006】
別の試みとして、粘着テ―プを回転ロ―ラに貼り付け、これを液晶表示ガラス基板上で転動させて、この基板上の異物を粘着剤層面に吸着させて除去する方法が考えられている。この方法は、一種のドライ洗浄といえるため、ウエツト洗浄のような異物の再付着の問題や乾燥工程での汚染の問題はないが、回転ロ―ラに貼り付けた粘着テ―プがガラス基板面に対しわずか数秒ほど点接触ないし線接触するだけであるため、異物の吸着効果は低いものであつた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に鑑み、ウエツト洗浄方式に比べて有用な粘着テ―プを用いたドライ洗浄方式により、液晶表示ガラス基板に付着した異物を高い除去率で除去する方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的に対し、鋭意検討した結果、粘着テ―プを回転ロ―ラに貼り付けて転動させるのではなく、液晶表示ガラス基板上にその全面にわたつて貼り付け、基板上の異物と粘着剤層面とをある程度の所要時間をもつて十分に馴染ませたうえで、剥離操作したときには、基板上の異物を高い除去率で吸着除去できることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0009】
本発明は、液晶表示ガラス基板の表面および/または裏面の全面に、支持フイルムと粘着剤層とからなる粘着テ―プを、粘着剤層面が上記表面および/または裏面の異物と十分に馴染むように貼り付けたのち、この粘着テ―プを剥離操作することにより、上記異物を粘着剤層面に吸着させて上記基板から除去することからなり、かつ上記の粘着テープとして、その粘着剤層が、下記(1),(2);
(1) アクリル系樹脂を主成分とする粘着剤であって、ガラス基板に対する粘着力とし て、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着力(常温、剥離 速度300 mm /分)が、30〜400g/20 mm 幅にあるもの
(2) 活性エネルギー源の供給により特性が変化する粘着剤であって、ガラス基板に対 する粘着力として、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着 力(常温、剥離速度300 mm /分)が、活性エネルギー源供給前で400〜1,800 g/20 mm 幅で、活性エネルギー源供給後で1〜400g/20 mm 幅となるもの
のいずれかである粘着テープを使用し、上記(2)の粘着テープでは剥離操作前に活性エネルギー源を供給することを特徴とする液晶表示ガラス基板に付着した異物の除去方法、とくに1μm以上の大きさの異物を70%以上の除去率で除去することを特徴とする液晶表示ガラス基板に付着した異物の除去方法に係るものである。
【0010】
【発明の構成・作用】
図1は、本発明に用いる粘着テ―プの一例を示したものである。1は粘着テ―プで、支持フイルム11上に粘着剤層12を設けた構成となつている。
【0011】
支持フイルム11は、ポリエステル、ポリカ―ボネ―ト、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレ―ト共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのプラスチツクからなる厚さが通常10〜1,000μmのフイルムである。
【0012】
粘着剤層12は、アクリル樹脂系、シリコ―ン樹脂系、フツ素樹脂系、ゴム系(天然ゴム、合成ゴム)などのポリマ―を主成分とした、常温下で感圧接着性を有するものであり、厚さは通常5〜100μmである。このような粘着剤層は、上記ポリマ―を主成分とした粘着剤を支持フイルム11上に塗着し、加熱などにより架橋処理することにより、また離型紙上に上記と同じ方法で形成した粘着剤層を支持フイルム11上に貼着することにより、形成できる。
【0013】
本発明では、粘着テ―プを液晶表示ガラス基板に貼り付けて、液晶表示ガラス基板上の異物を粘着剤層面によく馴染ませたのち、剥離操作して、上記異物を吸着除去することを基本とする。よつて、粘着剤層12は、▲1▼貼り付け時、▲2▼剥離操作時のそれぞれに適した特性を有している必要がある。しかし、現実には、▲1▼と▲2▼で要求される特性は、通常相反するものとなる。つまり、▲1▼の貼り付け時には、粘着剤は異物に馴染むように塑性変形しやすく、かつ高粘着力であることが必要であり、一方、▲2▼の剥離操作時には、異物を確実に固定するため、粘着剤は硬く強靭であり、かつ低粘着力であることが必要である。
【0014】
このような特性を実現させる第一の手段は、▲1▼,▲2▼の各段階でバランスよく適合する特性を持つた粘着剤を選択することである。この目的には、特性が比較的安定しているアクリル系樹脂を主成分としたものが好ましく用いられる。ガラス基板に対する粘着力としては、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着力(常温、剥離速度300mm/分)が、通常30〜400g/20mm幅にあるものが適している。
【0015】
また、第二の手段は、▲1▼,▲2▼の各段階で適合するように、段階ごとに特性を変化させることである。この目的には、活性エネルギ−源の供給により特性が変化する粘着剤が好ましく用いられる。ここで、活性エネルギ−源とは、たとえば、紫外線、赤外線(熱)、電子線、エツクス線などに代表される電磁波、超音波などに代表される弾性波のことである。
【0016】
上記特性が変化する粘着剤には、紫外線硬化性粘着剤、電子線硬化性粘着剤、熱硬化性粘着剤、熱可塑性粘着剤、熱発泡性粘着剤などがあり、それぞれ単独で用いてもよいし、複数種を同時に用いてもよい。ガラス基板に対する粘着力としては、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着力(常温、剥離速度300mm/分)が、活性エネルギ−源供給前(貼り付け時)で通常400〜1,800g/20mm幅で、活性エネルギ−源供給後(剥離操作時)で通常1〜400g/20mm幅となるものが適している。
【0017】
図2は、上記構成の粘着テ―プ1を用いて、液晶表示ガラス基板に付着した異物を除去する方法を示したものである。まず、液晶表示ガラス基板3の表面3a(および/または裏面3b)の全面に、粘着テ―プ1を貼り付けて、粘着剤層12面を上記表面3a上の異物2に対して十分に馴染ませる。これは、たとえば、粘着テ―プ1を上記表面3aにハンドロ―ラ(図示せず)により押圧したのち、数分程度放置するといつた方法で行えばよい。
【0018】
このように貼り付けたのち、図示のように、粘着テ―プ1の端部より引き剥がす、剥離操作を施すと、上記表面3aの異物2は粘着剤層12面に吸着されて、上記表面3aから除去される。その除去率は、従来のドライ洗浄はもちろんのこと、ウエツト洗浄や既提案の粘着テ―プを用いる方法に比べて、高い値となる。一般には、1μm以上の大きさの異物を70%以上、好ましくは80%以上除去できるほどの高い除去率が得られる。これは、液晶表示ガラス基板の表面全面にわたり粘着テ―プを貼り付けて、かつ異物と粘着剤層面とを十分に馴染ませるようにしたためであり、また粘着剤層として、前記特性を持つたものを使用することにより、剥離操作後に粘着剤がガラス基板の表面に付着して、ガラス基板を汚染するといつた問題を招くおそれも少ないためである。
【0019】
このように液晶表示ガラス基板上の異物を高い除去率で洗浄除去すると、回路形成時の露光不良、画素発生不良が低減し、最終的に作製される液晶表示パネルの歩留りや信頼性が大幅に向上する。たとえば、上記歩留りは、従来のウエツト洗浄を適用した場合よりも、5%以上確実に向上できる。また、地球環境保全の立場からみて、従来のウエツト洗浄やドライ洗浄のような純水、薬品、空気、電力などを大量に消費する洗浄方式を、上記本発明の方式に置き換えることで、地球環境保全に大きく寄与させることができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、粘着テ―プを用いるドライ洗浄方式により、液晶表示ガラス基板に付着した異物を高い除去率で除去できるから、液晶表示パネルの歩留りや信頼性の向上に大きく寄与させることができる。また、従来の他の洗浄方式などに比べて、地球環境保全の面での寄与効果も得られる。
【0021】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。
【0022】
実施例1
厚さ38μmのポリエステル支持フイルムのコロナ処理面に、アクリル系粘着剤の溶液を塗布し、120℃で3分間加熱架橋処理して、厚さ20μmの粘着剤層を有する粘着テ―プを作製した。ガラス基板に対する粘着力は、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着力(常温、剥離速度300mm/分)で180g/20mm幅であつた。
【0023】
1μm以上の大きさの異物が5,000〜7,000個(ガラス基板表面検査装置にて測定)であるTFTアレイ基板用の素ガラス基板(350mm×400mm□)を用意し、この素ガラス基板の全面に、前記方法で作製した粘着テ―プを、ハンドロ―ラを用いて貼り付け、3分間放置したのち、粘着テ―プを剥離操作して、洗浄した。この洗浄後、ガラス基板表面検査装置により、素ガラス基板に付着している1μm以上の大きさの異物の数をカウントした。洗浄後の異物数と、洗浄前の異物数とから、異物除去率を算出した。なお、上記の洗浄試験に際し、一連の作業は、クラス10のクリ―ンル―ム内(温度23℃、湿度60%)で行つた。結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0024】
実施例2
粘着剤としてアクリル系紫外線硬化性粘着剤を用いたほかは、実施例1に準じて厚さ20μmの粘着剤層を有する粘着テ―プを作製した。ガラス基板に対する粘着力は、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着力(常温、剥離速度300mm/分)で1,230g/20mm幅であつた。また、紫外線(波長365nm、1,000mj/cm2 )照射後の上記同様の180度引き剥がし粘着力は、6g/20mm幅であつた。この粘着テ―プを用い、剥離操作前に紫外線(波長365nm、1,000mj/cm2 )照射処理を施すようにした以外は、実施例1と同様にして、異物洗浄試験(異物除去率の測定)を行つた。結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0025】
比較例1
TFTアレイ基板用の素ガラス基板の洗浄方法として、超純水によるスクラブ洗浄装置(現行ウエツトブラシ洗浄)を用い、異物が付着したこの素ガラス基板を所定の条件にて洗浄した。乾燥後、ガラス基板表面検査装置により、素ガラス基板に付着している1μm以上の大きさの異物の数をカウントした。この洗浄後の異物数と、洗浄前に上記同様の装置を用いてカウントした1μm以上の大きさの異物の数とから、異物除去率を算出した。この試験結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0026】
比較例2
TFTアレイ基板用の素ガラス基板の洗浄方法として、UVオゾン洗浄(現行ドライ洗浄)を用いたほかは、比較例1に準じて異物洗浄試験を行い、異物除去率を算出した。この試験結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0027】
【表1】
【0028】
上記の表1の結果から、本発明によれば、液晶表示ガラス基板に付着した異物を70%以上の高い除去率で除去でき、とくに実施例2では、粘着剤の特性である粘着力や粘着剤の硬さを、貼り付け時と剥離操作時の各段階に適するように変化させた、つまり貼り付け時は高粘着力で柔らかく、剥離操作時は低粘着力で硬い特性を持つように設定したことにより、約80%もの高い除去率が得られることが明らかである。これに対し、比較例1,2では、異物除去率が低く、とくに比較例2では、付着した異物はほとんど除去されていない。
【0029】
なお、上記の実施例1,2および比較例1で示した洗浄方法を、所定の液晶表示パネルの製造工程に適用し、最終的に得られた液晶表示パネルの歩留りを集計した結果、実施例1および実施例2の方法では、比較例1の方法と比較して、歩留りがそれぞれ6%および8%高いことがわかつた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる粘着テ―プの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の異物の除去方法の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 粘着テ―プ
11 支持フイルム
12 粘着剤層
2 異物
3 液晶表示ガラス基板
3a 液晶表示ガラス基板の表面
3b 液晶表示ガラス基板の裏面
Claims (2)
- 液晶表示ガラス基板の表面および/または裏面の全面に、支持フイルムと粘着剤層とからなる粘着テ―プを、粘着剤層面が上記表面および/または裏面の異物と十分に馴染むように貼り付けたのち、この粘着テ―プを剥離操作することにより、上記異物を粘着剤層面に吸着させて上記基板から除去することからなり、かつ上記の粘着テープとして、その粘着剤層が、下記(1),(2);
(1) アクリル系樹脂を主成分とする粘着剤であって、ガラス基板に対する粘着力とし て、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着力(常温、剥離 速度300 mm /分)が、30〜400g/20 mm 幅にあるもの
(2) 活性エネルギー源の供給により特性が変化する粘着剤であって、ガラス基板に対 する粘着力として、JIS Z−0237に準じて測定される180度引き剥がし粘着 力(常温、剥離速度300 mm /分)が、活性エネルギー源供給前で400〜1,800 g/20 mm 幅で、活性エネルギー源供給後で1〜400g/20 mm 幅となるもの
のいずれかである粘着テープを使用し、上記(2)の粘着テープでは剥離操作前に活性エネルギー源を供給することを特徴とする液晶表示ガラス基板に付着した異物の除去方法。 - 1μm以上の大きさの異物を70%以上の除去率で除去する請求項1に記載の液晶表示ガラス基板に付着した異物の除去方法。
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