JP3611489B2 - 走行振動抑制装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばコンテナを運搬するフォークリフト等の荷役車両に用いられる走行振動抑制装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の走行振動抑制装置としては、例えば実開昭64−47854号に記載されたものが知られている。
当該走行振動抑制装置は、車輪を有する車両本体に作業用油圧シリンダを介して作業装置を昇降自在に支持してなる車両系建設機械において、上記油圧シリンダは方向制御弁を介して油圧源回路とタンクに切替自在に接続され、この油圧シリンダの負荷保持側油室に対し、振動抑制用アキュームレータがモード切替弁を介して連通状態と遮断状態に切替自在に接続され、上記油圧源回路に油圧源の圧力が設定圧以下の時にモード切替弁を連通状態に保持させると共に、設定圧を越えるとモード切替弁を遮断位置に切替える切替手段(圧力スイッチ)が設けられている。
而して、この様なものは、走行時には、モード切替弁が自動的に連通状態に切替えられ、適正な振動抑制効果が発揮されて乗り心地が大幅に改善されると共に、掘削等の作業時には、油圧源回路圧力が設定圧を越える事に依ってモード切替弁が自動的に遮断位置に切替えられ、高圧油が振動抑制回路のアキュームレータ側に流入する事が確実に防止されてアキュームレータ等の保護が為され、機械寿命が向上される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この様なものは、アキュームレータが単一であったので、扱物の荷重が大小様々で一定でない場合には、走行時の扱物及び車体の振動を充分に抑制する事ができなかった。
又、車両を低速走行させて扱物を取りに行く所謂荷取り作業を行なう場合は、アキュームレータが作動していると、荷役具の先端が上下に動く為に荷役具と扱物との位置合わせが行ない難かった。とりわけ、荷役車両がフォークリフトで扱物がコンテナの場合には、フォークの先端が上下に動く為にフォークをコンテナポケットに挿入し難かった。
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、扱物の荷重が一定でなくても走行時の振動を充分に抑制できると共に、荷取り作業が容易に行なえる様にした走行振動抑制装置を提供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の走行振動抑制装置は、基本的には、走行可能な車体に設けられて荷役具を昇降させる昇降シリンダと、昇降シリンダに接続されてこれを制御する方向制御弁と、昇降シリンダの上昇側室に接続される複数のアキュームレータと、車体の走行速度を検出する速度検出器と、昇降シリンダの上昇側室に接続されて圧力を検出する圧力検出器と、速度検出器からの速度に依り設定速度以下では全アキュームレータと昇降シリンダの上昇側室とを遮断状態にすると共に設定速度を越えると連通状態にする通断弁と、圧力検出器からの圧力に依りこれに比例した減衰圧力が得られる様にアキュームレータを昇降シリンダの上昇側室に接続する切換弁と、から構成した事に特徴が存する。
【0005】
方向制御弁が操作されると、昇降シリンダが昇降作動される。車体の走行速度が速度検出器に依り検出されて通断弁が制御されると共に、昇降シリンダの上昇側室の圧力が圧力検出器に依り検出されて切換弁が制御される。
車体の走行速度が設定速度以下の時には、速度検出器に依り通断弁が遮断状態にされ、全アキュームレータが昇降シリンダの上昇側室に対して遮断される。この為、アキュームレータが設けられていない通常の車両と同様の感覚で荷役作業が行なえ、車両を低速走行させて扱物を取りに行く所謂荷取り作業を容易に行なう事ができる。
車体の走行速度が設定速度を越えた時には、速度検出器に依り通断弁が連通状態にされ、全アキュームレータが昇降シリンダの上昇側室に対して連通される。
この時、昇降シリンダの上昇側室の圧力に依りこれに比例した減衰圧力が得られる様にアキュームレータが切換弁に依り昇降シリンダの上昇側室に連通される。
つまり、昇降シリンダの上昇側室の圧力が小さい時には、単一のアキュームレータが昇降シリンダの上昇側室に連通され、昇降シリンダの上昇側室の圧力が大きくなるに連れて、アキュームレータの数が増えて行って最後には全てのアキュームレータが昇降シリンダの上昇側室に連通される。
この為、扱物の荷重に呼応した適切な減衰効果が得られ、走行時の扱物及び車体の振動が充分に抑制される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の走行振動抑制装置の概要を示す回路図。図2は、荷取り作業状態を示す図1と同様図。図3は、無負荷走行状態を示す図1と同様図。図4は、負荷走行状態を示す図1と同様図である。
【0007】
走行振動抑制装置1は、昇降シリンダ2、方向制御弁3、アキュームレータ4、速度検出器5、圧力検出器6、通断弁7、切換弁8からその主要部が構成されて居り、フォークリフト等の荷役車両に適用される。
荷役車両は、図略しているが、走行可能な車体と、これの前側に前後傾可能に設けられたマストと、これに昇降可能に設けられた昇降体と、マストに対して昇降体を昇降させる昇降シリンダ2と、昇降体に設けられて扱物Aを持上げる為の荷役具9と、から構成されている。
【0008】
昇降シリンダ2は、走行可能な車体に対して荷役具9を昇降させるもので、この例では、フォークリフトのフォークを昇降させるリフトシリンダにしてあり、下室(テール室)が上昇側室10にしてある。荷役具9は、コンテナ等の扱物Aを持上げる為のフォークにしてある。
【0009】
方向制御弁3は、昇降シリンダ2に接続されてこれを制御するもので、この例では、手動切換弁にしてあり、一次側ポートがポンプ11及びタンク12に接続されていると共に、二次側ポートが流量制御弁13を介して昇降シリンダ2の上昇側室10に接続されている。
【0010】
アキュームレータ4は、昇降シリンダ2の上昇側室10に接続される複数のもので、この例では、減衰圧力が異なる低圧用アキュームレータ14と高圧用アキュームレータ15の二つにしてある。
【0011】
速度検出器5は、車体の走行速度を検出するもので、この例では、スピードメータ等に接続されるスピードセンサにしてあり、車体に設けられている。
【0012】
圧力検出器6は、昇降シリンダ2の上昇側室10の接続されて圧力を検出するもので、この例では、所定圧力になると作動する圧力スイッチにしてあり、流量制御弁13を介して昇降シリンダ2の上昇側室10に接続されている。
【0013】
通断弁7は、速度検出器5からの速度に依り設定速度以下では全アキュームレータ4と昇降シリンダ2の上昇側室10とを遮断状態にすると共に設定速度を越えると連通状態にするもので、この例では、二つのアキュームレータ14,15を昇降シリンダ2の上昇側室10に対して通断するものにしてあり、遮断位置(右側位置)と連通位置(左側位置)を備えた二位置型の電磁弁にしてある。而して、通断弁7は、一次側ポートが流量制御弁13を介して昇降シリンダ2の上昇側室10に接続されていると共に、二次側ポートが各アキュームレータ14,15に接続され、ソレノイドがコントローラ(ATCユニット)16を介して速度検出器5に接続され、車速が設定速度以下の時には遮断位置にされると共に設定速度を越えると連通位置される様になっている。
【0014】
切換弁8は、圧力検出器6からの圧力に依りこれに比例した減衰圧力が得られる様にアキュームレータ4を昇降シリンダ2の上昇側室10に接続するもので、この例では、通断弁7と高圧用アキュームレータ15との間に設けられて圧力検出器6からの圧力に依り設定圧力以下では遮断状態にされると共に設定圧力を超えると連通状態にされるものにしてあり、遮断位置(左側位置)と連通位置(右側位置)を備えた二位置型の電磁弁にしてある。而して、切換弁8は、一次側ポートが通断弁7の二次側ポートに接続されていると共に、二次側ポートが高圧用アキュームレータ15に接続され、ソレノイドが圧力検出器6に接続されている。
【0015】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
方向制御弁3が操作されると、昇降シリンダ2がポンプ11とタンク12に切換え接続されて昇降作動される。車体の走行速度が速度検出器5に依り検出されて通断弁7が制御されると共に、昇降シリンダ2の上昇側室10の圧力が圧力検出器6に依り検出されて切換弁8が制御される。
車体の走行速度が設定速度以下の時には、図2に示す如く、速度検出器5に依り通断弁7が遮断状態にされ、全アキュームレータ4(低圧用アキュームレータ14と高圧用アキュームレータ15)が昇降シリンダ2の上昇側室10に対して遮断される。この為、アキュームレータ4が設けられていない通常の車両と同様の感覚で荷役作業が行なえ、車両を低速走行させて扱物Aを取りに行く所謂荷取り作業を容易に行なう事ができる。とりわけ、荷役車両がフォークリフトで扱物Aがコンテナの場合には、フォークをコンテナポケットに容易に挿入する事ができる。
【0016】
車体の走行速度が設定速度を越えた時には、速度検出器5に依り通断弁7が連通状態にされ、全アキュームレータ4が昇降シリンダ2の上昇側室10に対して連通される。而して、昇降シリンダ2の上昇側室10の圧力に依りこれに比例した減衰圧力が得られる様にアキュームレータ4が切換弁8に依り昇降シリンダ2の上昇側室10に連通される。
【0017】
つまり、昇降シリンダ2の上昇側室10の圧力が設定圧力以下では、図3に示す如く、減衰圧力の小さい低圧用アキュームレータ14が昇降シリンダ2の上昇側室10に連通される。
【0018】
逆に、昇降シリンダ2の上昇側室10の圧力が設定圧力を越えると、図4に示す如く、減衰圧力の小さい低圧用アキュームレータ14が昇降シリンダ2の上昇側室10に連通された上に、切換弁8が連通状態にされて減衰圧力の大きい高圧用アキュームレータ15が昇降シリンダ2の上昇側室10に連通される。
従って、扱物Aの荷重に呼応した適切な減衰効果が得られ、走行時の扱物A及び車体の振動が充分に抑制される。とりわけ、荷役車両がフォークリフトで扱物Aがコンテナの場合には、コンテナ内の荷物の荷崩れを防止する事ができる。
【0019】
昇降シリンダ2がアキュームレータ4に繋がっていると、荷役具9がアキュームレータ4内の封入ガスに依って支えられている事になり、そのバネ作用に依り軽く上下に動く事ができる。この状態で走行すると、車体が路面の起伏に依って揺れようとするが、荷役具9が車体とは逆向きに動く為に車体の揺れが抑えられる。又、この時、昇降シリンダ2とアキュームレータ4との間では、油が出入りする様に流れるが、配管内を油が流れる時に生ずる油圧抵抗に依って直ぐにこの油の流れがなくなり、これに依って荷役具9の動きも減衰されて停止される。この様な一連の作用に依って走行時の車両のピッチングが防止されて荷崩れが防止される。
【0020】
尚、荷役車両は、先の例では、フォークリフトであったが、これに限らず、例えば実開昭64−47854号に記載されている様な建設車両等でも良い。
扱物Aは、先の例では、コンテナであったが、これに限らず、例えばこれ以外のものでも良い。
【0021】
【発明の効果】
以上、既述した如く、本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 昇降シリンダ、制御弁、アキュームレータ、速度検出器、圧力検出器、通断弁、切換弁とで構成し、とりわけ昇降シリンダの上昇側室に接続される複数のアキュームレータと、車体の走行速度を検出する速度検出器と、昇降シリンダの上昇側室に接続されて圧力を検出する圧力検出器と、速度検出器からの速度に依り設定速度以下では全アキュームレータと昇降シリンダの上昇側室とを遮断状態にすると共に設定速度を越えると連通状態にする通断弁と、圧力検出器からの圧力に依りこれに比例した減衰圧力が得られる様にアキュームレータを昇降シリンダの上昇側室に接続する切換弁とを設けたので、扱物の荷重が一定でなくても走行時の振動を充分に抑制できると共に、荷取り作業を容易に行なう事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の走行振動抑制装置の概要を示す回路図。
【図2】荷取り作業状態を示す図1と同様図。
【図3】無負荷走行状態を示す図1と同様図。
【図4】負荷走行状態を示す図1と同様図。
【符号の説明】
1…走行振動抑制装置、2…昇降シリンダ、3…制御弁、4…アキュームレータ、5…速度検出器、6…圧力検出器、7…通断弁、8…切換弁、9…荷役具、10…上昇側室、11…ポンプ、12…タンク、13…流量制御弁、14…低圧用アキュームレータ、15…高圧用アキュームレータ、16…コントローラ、A…扱物。
Claims (1)
- 走行可能な車体に設けられて荷役具を昇降させる昇降シリンダと、昇降シリンダに接続されてこれを制御する方向制御弁と、昇降シリンダの上昇側室に接続される低圧用と高圧用のアキュームレータと、車体の走行速度を検出する速度検出器と、昇降シリンダの上昇側室に接続されて圧力を検出する圧力検出器と、速度検出器からの速度に依り設定速度以下では低圧用と高圧用の二つのアキュームレータと昇降シリンダの上昇側室とを遮断状態にすると共に設定速度を越えると連通状態にする通断弁と、通断弁と高圧用アキュームレータとの間に設けられて圧力検出器からの圧力に依り設定圧力以下では遮断状態にされると共に設定圧力を超えると連通状態にされる切換弁と、から構成した事を特徴とする走行振動抑制装置。
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