JP3611350B2 - 色見栄えに優れた丸編物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、丸編物に関する。さらに詳しくは、シルクの薄起毛加工布帛のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合を有しつつ、表面の白化が少ない色見栄えに優れた丸編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
シルクの薄起毛加工布帛に似た合繊の丸編物としては、例えば海島繊維や割繊糸等の特殊糸による0.1 デニ−ル程度の極細繊維を用いて製編し、かつ、起毛処理を施すことによって得られるが、極細用の特殊糸の製造及び製編、特に極細化工程や起毛工程といった複雑かつ高度な技術が要求されるため生産性が低く、かつコスト高のものである。しかも、起毛しても立毛性が少ないことから反撥感が減少し、ソフトな表面触感が減少する。また、丸編物を構成するヤ−ン中の単糸を切断するので強度が低下し、ラダリング等の欠点を生じ実用に耐えないものとなる。
【0003】
かかる問題を解決するために特開平5−163663号公報に特殊な風合を有する布帛が提案されているが、フィブリル化繊維で島状凸部を形成させた場合、非常に乱反射が強く表面が白化し、色見栄えに問題があった。
特に、再生セルロ−スをベ−スとした編物の起毛化は大変難しく、従来より殆ど開発が進展していないのが現状である。最近の特開平6−220769号公報に開示される技術も合繊糸ベ−スの織編物の加工に留まっており、デリケ−トなセルロ−ス系繊維に必然の白化欠点を防止するものではなかった。かかる課題の解決が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、極めて容易かつ低コストでシルクの薄起毛加工布帛のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合を有しつつ、表面の白化が少ない色見栄えに優れた丸編物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、水酸化ナトリウム20g/l以上80g/l以下の水溶液で処理された、ポリエステル長繊維またはポリアミド長繊維が5重量%以上35重量%以下含まれた再生セルロース長繊維の丸編物であって、該丸編物の表面の40%以上の面積を再生セルロース長繊維が占めており、かつ、該丸編物のループを形成する最外表面部の再生セルロース長繊維がフィブリル化され、更に、その切断数が最外表面部を構成する再生セルロース長繊維のフィラメント数の40%以下、かつ、ループを形成する糸束から外れた変形大ループの数が表面1cm2当たり80個以下であることを特徴とする色見映えに優れた丸編物、である。
【0006】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる再生セルロース長繊維とは、キュプラ、ビスコースレーヨンのフィラメント糸をいう。
【0007】
本発明の色見栄えに優れた丸編物は、特にスキン、コア構造をもたないキュプラ、ポリノジックレ−ヨン、リオセルのフィラメント糸が好ましい。
単糸デニ−ルは通常0.7 〜3デニ−ルのものが好ましく用いられるが、さらに好ましくは1〜2デニ−ルで、ト−タルデニ−ルは40〜200 デニ−ルが好ましく、さらに好ましくは75〜150 デニ−ルであり、ソフトタッチを得るのに優れている。
【0008】
本発明において再生セルロース長繊維は、必要に応じて撚糸したり仮撚加工を行ってもよい。また、他の再生セルロース長繊維やポリエステル長繊維またはポリアミド長繊維と混繊、交撚、カバ−リング等、糸の段階で混用してもよい。これらの混用した長繊維も必要に応じて撚糸したり仮撚加工を行ってもよい。
本発明の色見栄えに優れた丸編物は、表面の40%以上、好ましくは60%以上の面積が主に再生セルロース長繊維で構成され、再生セルロース長繊維とポリエステル長繊維またはポリアミド長繊維を混用、交編した丸編物である。
【0009】
また、本発明の色見栄えに優れた丸編物は、再生セルロース長繊維が該丸編物表面の40%以上、好ましくは60%以上の面積を占めていれば、ポリエステル長繊維またはポリアミド長繊維以外の他の素材と混用、交編されていてもよく、糸の段階で混用されていてもよい。
再生セルロース長繊維が丸編物表面の40%未満であると、ソフトタッチ、ヌメリ感は再生セルロ−ス長繊維のフィブリル化繊維によるので、これらの効果が得られ難い。
【0010】
混用、交編する素材としては、好ましくはポリエステル長繊維またはポリアミド長繊維であり、該繊維の重量比率が5%以上、35%以下であり、更に好ましくは7%以上、30%以下である。重量%(Y)は次式により算出される。
Y(%)=(丸編物中のポリエステル繊維またはポリアミド繊維の重量) ÷(丸編物の全重量)×100
本発明において、ポリエステル長繊維とは、分子鎖中にエチレンテレフタレ−ト繰り返し単位を好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含むポリエステルを溶融紡糸して得られる長繊維をいう。
【0011】
かかるポリエステル長繊維とは、ポリエチレンテレフタレ−トが好適であるが、15モル%未満の割合で他の共重合成分を含んでいても差し支えない。このような共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、シュウ酸、コハク酸、スルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、オキシ安息香酸、ジエチレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル等が挙げられる。
【0012】
また、これらのポリエステルには、通常添加される添加剤、例えば艶消剤、安定剤、静電剤、着色剤等を含んでいてもよい。
本発明に用いるポリエステル長繊維は、単糸デニ−ルが、通常0.1〜5デニ−ルのものが好ましく用いられるが、さらに好ましくは1〜3デニ−ルであり、ト−タルデニ−ルが10〜200 デニ−ルのマルチフィラメント糸が好ましく、更に好ましくは20〜75デニ−ルのものがソフト感に優れている。
【0013】
また、本発明に用いるポリエステル長繊維は、沸騰水に30分浸漬した場合の収縮率が7%以上のものが好ましく、更に好ましくは15%以上である。これは再生セルロ−ス長繊維と交編したり、混繊したりした場合、準備や染色等の処理中においてポリエステル長繊維が収縮し、再生セルロ−ス繊維が丸編物表面に出やすくなり、再生セルロ−ス長繊維のフィブリル化繊維によるソフトタッチに優れたものとなる。
【0014】
本発明に用いるポリアミド長繊維とは、ポリアミドポリマ−を溶融紡糸して得られる長繊維をいう。ポリアミドポリマ−としては、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸を重合させて得られるポリヘキサメチレンアジパミドを95重量%以上含むホモポリマ−、或いはε−カプロラクタムの重合から得られるポリカプラミドよりなるポリマ−を好ましく用いることができる。
【0015】
また、本発明におけるポリアミドポリマ−は、従来公知の重合方法で得られるものでよく、単独重合体あるいは共重合体のいづれをも用いることができるし、またこれた重合体の混合物であってもよい。更に、本発明に於けるポリアミドポリマ−の重合度は、ポリアミド繊維を形成し得るような範囲であれば特別に制限されるものではない。
【0016】
また、本発明に於けるポリアミドポリマ−は、通常添加される添加剤、例えば艶消剤、安定剤、静電剤等を含んでいてもよい。
また、本発明に用いるポリアミド長繊維は、単糸デニ−ルが、通常0.3 〜5デニ−ルのものが好ましく用いられるが、さらに好ましくは1〜3デニ−ルであり、ト−タルデニ−ルが10〜200 デニ−ルのマルチフィラメント糸が好ましく、更に好ましくは20〜75デニ−ルのものがソフト感に優れている。
【0017】
また、本発明に用いるポリアミド長繊維は、沸騰水に30分浸漬した場合の収縮率が7%以上のものが好ましく、更に好ましくは15%以上である。これは、再生セルロ−ス長繊維と交編したり、混繊したりした場合、準備や染色等の処理中に於いてポリアミド長繊維が収縮し、再生セルロ−ス長繊維が丸編物表面に出やすくなり、再生セルロ−ス長繊維のフィブリル化繊維によるソフトタッチに優れたものとなる。
【0018】
再生セルロ−ス長繊維を使用した丸編物は、再生セルロ−ス長繊維が水により容易に膨潤すること、また丸編物は織物や経編物に比べて組織がル−ズなため寸法安定性、形態安定性は元来良好ではなく、特に、吊り干し等を実施すると非常に伸びやすい傾向にある。更に、湿潤時では再生セルロ−ス長繊維の強度が低下するので取扱い上の損傷が起こりやすい傾向にある。かかる欠点を解消するにはポリエステル長繊維またはポリアミド長繊維との混用が効果的であるが、再生セルロース長繊維のフィブリル化繊維によるソフトタッチ、ヌメリ感を維持するにはその混用率が重要なファクタ−となる。
【0019】
本発明者らは鋭意検討の結果、ソフトタッチ、ヌメリ感を維持しつつ、寸法安定性、形態安定性、強度が良好なポリエステル長繊維またはポリアミド長繊維の混用率は、5%以上、35%以下であり、好ましくは7%以上、30%以下である。混用率が35%を越えると,寸法安定性、形態安定性、強度は良好となるが、ソフトタッチ、ヌメリ感が得られず、目的とする丸編物は得られない。また、5%未満になるとソフトタッチ、ヌメリ感は向上するが、寸法安定性、形態安定性、強度が低下する。
【0020】
本発明において、ル−プを形成する最外表面部の再生セルロース長繊維がフィブリル化されることが必要である。
ここでいうフィブリル化繊維とは、再生セルロース繊維の単繊維側面あるいは末端部が割れて超極細繊維になっているものであって、かつ、少なくとも一端は単繊維に接続しているものである。このフィブリル化繊維の立毛性によりソフトタッチやヌメリ感が得られるが、フィブリル化繊維が多すぎると生地表面で乱反射が生じ、表面が白く見え、色見栄えが悪くなる原因となる。
【0021】
本発明者らは、従来のものが風合的には非常に良好であるが商品価値が著しく減少する色見栄えの悪さに鑑み、鋭意検討の結果、フィブリルの発生状態を制御することで風合を損ねることなく、色見栄えの良好な丸編物を得ることができることを見出だした。
フィブリル化繊維で島状凸部を形成させた場合、ル−プ表面の再生セルロース長繊維の単糸が切断し、切断面から発生する多量のフィブリル化繊維が絡み合った状態となる。島状凸部がル−プ表面に散在することからル−プが隠れることと多量の発生したフィブリル化繊維の乱反射が強いものとなる。色見栄えが良好であるためには少なくともル−プが見える程度にフィブリル化繊維の発生を制御することが必要であることがわかった。更に、島状凸部の発生を制御するためには最外表面部を構成する再生セルロース長繊維のフィラメント数の40%以下、好ましくは20%以下に制御することが必要であることがわかった。
【0022】
また、乱反射の発生はフィブリル化繊維によるものだけではなく、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プも関係していることがわかった。ここでいう変形大ル−プとは、単糸の切断等によりル−プを形成する糸束から外れた繊維のことをいい、図1に規定されるル−プ径dの0.6 倍(0.6d)以上の長さをもつものである。この変形大ル−プが色見栄えに影響を及ぼすのは、変形大ル−プの数が表面1cm2 当り80個を越えた場合であり、80個以下、好ましくは50個以下に制御する必要がある。
【0023】
以下に本発明の丸編物の製造方法の一例を示すが、製造方法は特に限定されるものではない。
丸編物を作成するに当っては、20ゲ−ジ〜40ゲ−ジのものが好ましく、特に好ましくは24ゲ−ジ〜32ゲ−ジの丸編機を使用する。この範囲外では単糸切れによる変形大ル−プが増加し、色見栄えが悪くなる。
【0024】
丸編物の組織は特に限定されるものではないが、ダブル編機でダイヤル、シリンダ−側ともに天竺組織で編成し、それらをタック編で結節するダブル天竺組織はフラットでラダリングが発生しづらいので好ましい。特に、タック編をポリエステル長繊維またはポリアミド長繊維の高収縮糸、沸水収縮率7%以上を使用すると、ポリエステル長繊維またはポリアミド長繊維の収縮により再生セルロース長繊維のル−プが表面に浮くので表面が再生セルロ−ス繊維リッチになり、ソフトタッチ、ヌメリ感に優れたものとなる。
【0025】
また、ダブル丸編機によるスム−ス、モックロディ組織の場合、表糸を再生セルロース長繊維、裏糸を他の繊維で構成すればリバ−シブルの丸編物ができるので好ましい。
更に、タック糸を用いたシングルピケ、ダブルピケ組織では片面が鹿の子調になり、柄表現ができる。同様にシングルブリスタ、ダブルブリスタ組織で凹凸を出しても柄表現ができる。
【0026】
本発明において再生セルロース長繊維のフィブリル化繊維を形成させる方法としては、例えば、常圧ワッシャ−、連続リラックス機、液流染色機、ウィンス染色機、気流染色機中で湿潤状態に於いて揉布処理したり、スト−ンウォッシュ法により編物表面を摩擦する方法があるが、常圧ワッシャ−、連続リラックス機、液流染色機、ウィンス染色機、気流染色機中で湿潤状態に於いて揉布処理する方法が好ましい。これは、スト−ンウォッシュ法により編物表面を摩擦するとル−プを形成する単糸を切断しやすく、白化の原因である変形大ル−プを生じさせやすいためである。
【0027】
尚、再生セルロース繊維の膨潤剤として、例えば水酸化ナトリウム等の強アルカリ水溶液や液体アンモニア中で揉布処理を行うと繊維の強度低下を抑えてフィブリル化繊維を発生させることができるので好ましい。
色見栄えは再生セルロース繊維のフィブリルの発生状態で変化するので、これを制御することが必要である。制御の方法としては例えば、常圧ワッシャ−、連続リラックス機、液流染色機、ウィンス染色機、気流染色機中での揉布時間、処理温度、生地の回転速度、再生セルロース繊維の膨潤剤の濃度を制御する。
【0028】
例えば、液流染色機の場合、膨潤剤としての水酸化ナトリウムの濃度は10g/リットル以上100 g/リットル以下が好ましく、さらに好ましくは20g/リットル以上80g/リットル以下に制御し、揉布時間は、1時間以上12時間以下が好ましく、さらに好ましくは1.5 時間以上6時間以下に制御し、処理温度は、40℃以上100 ℃以が好ましく、さらに、好ましくは60℃以上、90℃以下に制御し、生地の回転速度は、100 m/分以上300 m/分以下が好ましく、さらに、好ましくは150 m/分以上、250 m/分以下に制御する。
【0029】
これらの条件の組み合わせにより、再生セルロース繊維のフィブリル化繊維が島状凸部を形成することなく、ソフト感、反発感が良好で、色見栄えが良好な丸編物が得られる。
また、揉布処理の前処理としてセルラ−ゼ酵素等で処理を行い、再生セルロース繊維の表面を荒れさせることも有効な手段である。
【0030】
更に、揉布処理の後処理としてセルラ−ゼ酵素等で処理を行い、再生セルロース繊維のフィブリル化繊維を若干脱落させることも有効な手段である。
本発明に用いられるセルラ−ゼとしては、例えばメイセラ−ゼ(明治製薬(株)製、菌体トリコデルマ属)、オノズカ3S(近畿ヤクルト(株)製、菌体トリコデルマ属 商品名)、セルラ−ゼA3(天野製薬(株)製、菌体アスペルギルス属 商品名)、セルラ−ゼT−AP4(天野製薬(株)製、菌体トリコデルマ属 商品名)、セルラ−ゼXP−425(長瀬産業(株)製、菌体トリコデルマ属 商品名)、セルソフト−L(ノボノルディスクジャパン(株)製 商品名)、エンチロンCM−40L(洛東化成(株)製 商品名)が例示される。これらのセルラ−ゼは通常0.01〜10.0重量%の水溶液として使用するのが好ましく、水溶液のpHは用いられるセルラ−ゼの種類によって随時選択される。
【0031】
特に、酢酸、酢酸塩等を用いてpHを3〜6に調整してセルラ−ゼ処理液とするのが好ましい。処理温度は30℃以上60℃以下が好ましく、さらに好ましくは40℃以上、50℃以下に設定する。
揉布処理の前処理としてセルラ−ゼ酵素処理を行う場合は下記に規定される減量率が0.1 %以上、5%以下が好ましく、さらに好ましくは0.5 %以上、3%以下であると再生セルロース繊維のフィブリル化繊維が発生しやすくなる。この範囲外、例えば減量率が0.1 %未満ではセルラ−ゼ酵素処理を行わないものと大差はなく、5%を越えると生地の強度が低下し、フィブリル化繊維の発生でも単糸切れが多発するので実用に耐えないことと表面が白化し、色見栄えが悪くなる。
【0032】
揉布処理の後処理としてセルラ−ゼ酵素処理を行う場合は、減量前(A)と減量後(B)の生地重量から下記の式で算出される減量率(X)を好ましくは0.01%以上、3%以下、さらに好ましくは0.1 %以上、2%以下に制御すると色見栄えが良好でソフトタッチ、ヌメリ感、反発感良好なものが得られる。減量率(X)が高すぎると、再生セルロース繊維のフィブリル化繊維が減量され過ぎて、色見栄えは良好となるが、ソフトタッチ、ヌメリ感、反発感が減少する。
【0033】
減量率(X)(%) =(A−B)/(A)×100
フィブリル化繊維を形成させた後、染色を行う。仕上加工としては、例えばペ−パ−カレンダ−処理やシリコン系柔軟剤、ウレタン系加工剤等によって柔軟仕上加工や、セルロ−ス用の樹脂加工剤、例えば、1,3−ジメチルグリオキザ−ルウレイン等を併用して仕上加工を行ってもよい。更に、仕上加工の前または後の工程でタンブラ−や気流乾燥機等で揉布処理を行ってもよい。
【0034】
また、本発明に於ける丸編物の密度は、35コ−ス以上、90コ−ス以下が好ましく、さらに好ましくは40コ−ス以上、70コ−ス以下であり、かつ、35ウェル以上、90ウェル以下が好ましく、さらに好ましくは40ウェル以上、70ウェル以下であり、かつ、コ−ス数をウェル数で除した数が0.7 以上、1.4 以下が好ましく、さらに好ましくは0.8 以上、1.3 以下である。
【0035】
コ−スとは丸編物の長さ方向1インチ当りのル−プの数であり、ウェルとは丸編物の幅方向1インチ当りのル−プの数である。
この範囲外では生地が透けることによって色見栄えが悪くなったり、ル−プ形態が変形して表面にいらつきが発生し、色見栄えが悪くなる。
本発明の丸編物は、特に外衣衣料として利用した場合、その表面の外観や風合により極めて高級感のあるものとなる。尚、外衣として用いる場合、必要に応じて適当な部位に芯地を用いてもよいが、芯地は極力薄くてソフトなものがよく、好ましくはいわゆるニット芯地がよい。また、接着芯地を用いる場合はドット状接着剤を2段に積層したいわゆるダブルドットタイプが好ましい。
【0036】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、物性の評価方法は下記の通りに行った。
(1)色見栄え
丸編物を水平板の上に編み終り方向を上に向けて置き、北窓自然光で水平板から45度の角度で北窓に向かって編物を見てJIS染色堅牢度用変退色用グレ−スケ−ルを用いて表面の白化の程度を3段階で評価した。
【0038】
◎:色見栄えが非常に良好(白化 小)
○:色見栄えが良好(白化 中)
×:色見栄えが不良(白化 大)
(2)再生セルロース繊維の面積比率
丸編物の表面1cm×1cmを写真に撮り、30倍に拡大して再生セルロース繊維、複合された合成繊維の部分を切り取り、その重量を測定した。再生セルロース繊維の部分の重量(A)、複合された合成繊維の重量(B)より再生セルロース繊維の面積比率(X)を次式により算出し、ランダムに100ケ所測定した平均値で求めた。
【0039】
再生セルロース繊維面積比率(X)(%) =A/(A+B)×100
(3)最外表面の再生セルロース繊維の糸数
丸編物の表面を写真に撮り、30倍に拡大して再生セルロース繊維のフィラメント数を数え、100ル−プの平均値を最外表面の再生セルロース繊維の糸数とした。
(4)フィブリル化繊維を形成する再生セルロース繊維の切断数
丸編物の表面を写真に撮り、30倍に拡大して再生セルロース繊維のフィラメントの切断している数を数え、100ル−プの平均値をフィブリル化繊維を形成する再生セルロース繊維の切断数とした。
(5)変形大ル−プの数
丸編物の表面1cm×1cmを写真に撮り、30倍に拡大して変形大ル−プ数を数え、ランダムに100か所測定した平均値で求めた。
(6)外観
丸編物を水平板の上に編み終り方向を上に向けて置き、北窓自然光で水平板から45度の角度で北窓に向かって編物を見て外観を評価した。
【0040】
◎:外観に問題なし
×:外観に問題あり(部分的なスレが発生、穴、ラダリングの発生等)
(7)風合
丸編物の風合を10人でヌメリ感、反発感、ソフト感について3段階にランクづけし、これらの平均により評価した。
【0041】
<ヌメリ感>
5:シルクの薄起毛布帛のようなヌメリ感がある
3:シルクの薄起毛布帛のようなヌメリ感が若干ある
1:シルクの薄起毛布帛のようなヌメリ感があまりない
<反撥感>
5:反撥感がある
3:反撥感が若干ある
1:反撥感があまりない
<ソフト感>
5:非常にソフト感がある
3:ソフト感が若干ある
1:ソフト感があまりなく、硬い
風合はヌメリ感、反撥感、ソフト感の評価の平均値で下記のごとく3段階にランクづけした。
【0042】
◎:ヌメリ感、反撥感、ソフト感の平均値が4以上
○:ヌメリ感、反撥感、ソフト感の平均値が3以上4未満
×:ヌメリ感、反撥感、ソフト感の平均値が3未満
(8)総合評価
総合評価は色見栄え、外観、風合の最も低いものを評価値とした。
【0043】
◎:非常に良好
○:良好
×:問題点がある
【0044】
【実施例1】
100d/70fのキュプラマルチフィラメント糸を表糸、裏糸に、30d/12fのポリエステルマルチフィラメント糸をタック糸の用いた28ゲ−ジのダブル天竺組織の丸編物を常法に従いリラックス精練後、液流染色機でNaOH、60g/リットル水溶液にて浴比1:10で60℃で5時間の揉布処理を行い、水洗、中和後、セルラ−ゼ酵素オノズカ3Sを0.1 重量%、酢酸と酢酸ナトリウムにてpH4.7 に調整した状態で50℃で1時間の処理を行った。この時の減量率は0.6 %であった。
【0045】
この後、分散染料にてポリエステルを、反応染料にてキュプラを一浴二段法にて染色し、ネット型乾燥機にて乾燥し、柔軟仕上加工を行った。この丸編物は密度が52コ−ス、44ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.2 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は86%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は77%であり、ポリエステルの混用率は14%であった。再生セルロ−ス繊維のフィブリル化繊維は該丸編物のル−プが見える程度にまばらに存在していた。
【0046】
フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均14本であり、切断数は平均7%であった。また、最大切断数は5本であり、40%以下を満足していた。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2 当り平均30個であり、最大でも65個であった。風合の評価値はヌメリ感が4.2 、反撥感が4.2 、ソフト感が4.0 であり、風合平均値は4.1 であった。
【0047】
【比較例1】
揉布処理時にNaOHを含まない液にて1時間揉布処理した以外は実施例1と同様にして丸編物を得た。この丸編物は密度が52コ−ス、44ウェルで、再生セルロ−ス繊維の重量比率は86%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は77%であり、ポリエステルの混用率は14%であった。この丸編物は部分的にスレが発生しており、再生セルロース長繊維の切断数、変形大ル−プ数は測定できなかった。風合の評価値はヌメリ感が2.6 、反撥感が3.0 、ソフト感が2.2 であり、風合平均値は2.6 であった。
【0048】
【比較例2】
揉布処理時間を15時間実施し、セルラ−ゼ処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして丸編物を得た。この丸編物は密度が52コ−ス、44ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.2 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は86%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は77%であり、ポリエステルの混用率は14%であった。再生セルロ−ス繊維のフィブリル化繊維は島状凸部を形成しており、該丸編物のル−プは見えない部分が存在していた。フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均14本であり、切断数は平均70%であった。
【0049】
また、最大切断数は14本であり、40%以下を満足していなかった。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2 当たり平均130 個であり、最大で200 個であった。更に、生地表面の再生セルロース長繊維がほとんど無く、穴が開き、ラダリングが若干発生していた。風合の評価値はヌメリ感が4.2 、反撥感が4.0 、ソフト感が4.4 であり、風合平均値は4.2 であった。
【0050】
色見栄えは丸編物を水平板の上に編み終り方向を上に向けて置き、北窓自然光で水平板から45度の角度で北窓に向かって編物を見てJIS染色堅牢度用変退色用グレ−スケ−ルを用いて白化の評価を行った。比較例1で得られた丸編物部分的にスレが発生していない部分を基準として実施例1で得られた丸編物と比較例2で得られた丸編物の穴及びラダリングの発生していない部分とを評価すると実施例1で得られた丸編物は4級、比較例2で得られた丸編物は3級であり比較例2に比べると色見栄えに優れていた。
【0051】
従って、実施例1で得られた丸編物はシルクの薄起毛加工品のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合を有しつつ、表面の白化が少ない色見栄えの優れた物であった。これに対して比較例1で得られた丸編物は色見栄えは良好であるが、表面に部分的にスレが発生し外観品位が悪く、風合はソフト感がなく、シルクの薄起毛加工品のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合とはほど遠い物であり、比較例2で得られた丸編物はシルクの薄起毛加工品のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合は有しつつも、表面の白化が強く色見栄えの全くしない物であった。さらに、穴及びラダリングの発生により、商品価値の全く無い物であった。
【0052】
【実施例2】
75d/45fのキュプラマルチフィラメント糸と30d/12fポリエステルフィラメント糸の混繊糸と100d/70fのキュプラマルチフィラメント糸を1:1 の比率で用いた28ゲ−ジのスム−ス組織の丸編物を実施例1と同様の処理を行い、風合仕上として、100 ℃、1時間の条件でタンブラ−処理を行った。この丸編物は密度が45コ−ス、43ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.0 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は85%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は85%であり、ポリエステルの混用率は15%であった。再生セルロ−ス繊維のフィブリル化繊維は該丸編物のル−プが見える程度にまばらに存在していた。
【0053】
フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均12本であり、切断数は平均17%であった。また、最大切断数は3本であり、40%以下を満足していた。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2 当り平均20個であり、最大でも42個であった。風合の評価値はヌメリ感が4.4 、反撥感が4.4 、ソフト感が4.4 であり、風合平均値は4.4 であった。
【0054】
【実施例3】
75d/45fのキュプラマルチフィラメント糸と30d/12fポリエステルフィラメント糸の混繊糸と100d/70fのキュプラマルチフィラメント糸を1:2 の比率で用いた28ゲ−ジのスム−ス組織の丸編物を用いた以外は実施例2と同様の処理を行った。この丸編物は密度が45コ−ス、43ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.0 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は90%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は90%であり、ポリエステルの混用率は10%であった。
【0055】
フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均14本であり、切断数は平均21%であった。また、最大切断数は5本であり、40%以下を満足していた。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2当り平均31個であり、最大で56個であった。風合の評価値はヌメリ感が4.2 、反撥感が4.6 、ソフト感が4.8 であり、風合平均値は4.5 であった。
【0056】
【比較例3】
75d/45fのキュプラマルチフィラメント糸と30d/12fポリエステルフィラメント糸の混繊糸と100d/70fのキュプラマルチフィラメント糸を1:1 の比率で用いた28ゲ−ジのスム−ス組織の丸編物を液流染色機でNaOH、60g/リットル水溶液にて浴比1:10で60℃で7時間の揉布処理を行った以外は実施例2と同様の処理を行った。この丸編物は密度が45コ−ス、43ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.0 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は85%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は85%であり、ポリエステルの混用率は15%であった。
【0057】
フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均12本であり、切断数は平均42%であった。また、最大切断数は8本であり、40%以下を満足できなかった。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2 当り平均58個であり、最大で76個であった。風合の評価値はヌメリ感が4.4 、反撥感が4.2 、ソフト感が4.4 であり、風合平均値は4.3 であった。
【0058】
【比較例4】
75d/45fのキュプラマルチフィラメント糸と30d/12fポリエステルフィラメント糸の混繊糸と100d/70fのキュプラマルチフィラメント糸を1:1 の比率で用いた28ゲ−ジのスム−ス組織の丸編物をワッシャ−染色機でNaOH、60g/リットル水溶液にて浴比1:20で60℃で4時間の揉布処理を行った以外は実施例2と同様の処理を行った。この丸編物は密度が45コ−ス、43ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.0 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は85%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は85%であり、ポリエステルの混用率は15%であった。
【0059】
フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均12本であり、切断数は平均29%であった。また、最大切断数は4本であり、40%以下を満足していた。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2 当り平均92個であり、最大で 124個であった。風合の評価値はヌメリ感が4.4 、反撥感が4.0 、ソフト感が4.4 であり、風合平均値は4.3 であった。
【0060】
色見栄えは実施例2が最も良好であり、実施例2を基準に実施例3、比較例3、比較例4を評価すると実施例3は4.5 級、比較例3は3級、比較例4は3.5 級であり、実施例2、3が色見栄えが優れていた。
従って、実施例2の丸編物はシルクの薄起毛加工品のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合を有しつつ、表面の白化が少ない色見栄えの優れた物であり、実施例3の丸編物はシルクの薄起毛加工品のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合は有しつつ、従来品に比べて表面の白化が少ない色見栄えの優れた物であった。これに対して比較例3の丸編物はシルクの薄起毛加工品のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合は有していたが、表面の白化が強く色見栄えには劣ったものであり、比較例4の丸編物は若干ざらついており、局部的にいらつき、表面の白化が強く色見栄えには劣ったものであった。
【0061】
【実施例4】
75d/45fのキュプラマルチフィラメント糸と30d/12fポリエステルフィラメント糸の混繊糸を用いた28ゲ−ジのスム−ス組織の丸編物を用いた以外は実施例2と同様の処理を行った。この丸編物は密度が45コ−ス、43ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.0 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は71%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は70%であり、ポリエステルの混用率は29%であった。フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均10本であり、切断数は平均10%であった。
【0062】
また、最大切断数は2本であり、40%以下を満足していた。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2 当り平均14個であり、最大で31個であった。風合の評価値はヌメリ感が4.0 、反撥感が4.6 、ソフト感が4.2 であり、風合平均値は4.3 であった。
色見栄えを実施例2の丸編物と比較すると実施例4の丸編物が0.5 級良好であり色見栄えに優れていた。
【0063】
従ってこの丸編物はシルクの薄起毛加工品のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合は有しつつ、表面の白化が少ない色見栄えの優れた物であった。
【0064】
【実施例5】
沸騰水に30分浸漬した場合の収縮率が6%の75d/45fのキュプラマルチフィラメント糸と沸騰水に30分浸漬した場合の収縮率が7%の30d/12fポリアミドフィラメント糸の混繊糸を用いた28ゲ−ジのスム−ス組織の丸編物を用い、常法に従いリラックス精練後、液流染色機でNaOH、60g/リットル水溶液にて浴比1:10で60℃で6時間の揉布処理を行い、水洗、中和後、セルラ−ゼ酵素オノズカ3Sを0.1 重量%、酢酸と酢酸ナトリウムにてpH4.7 に調整した状態で50℃で1時間の処理を行った。この時の減量率は0.6 %であった。
【0065】
この後、分散染料にてポリアミドを、反応染料にてキュプラを一浴二段法にて染色し、ネット型乾燥機にて乾燥し、柔軟仕上加工を行った。この丸編物は密度が52コ−ス、44ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.2 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は71%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は48%であり、ポリアミドの混用率は29%であった。再生セルロ−ス繊維のフィブリル化繊維は該丸編物のル−プが見える程度にまばらに存在していた。
【0066】
フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均9本であり、切断数は平均22%であった。また、最大切断数は3本であり、40%以下を満足していた。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2 当り平均36個であり、最大でも49個であった。風合の評価値はヌメリ感が4.0 、反撥感が3.6 、ソフト感が3.6 であり、風合平均値は3.7 であった。
【0067】
従ってこの丸編物はシルクの薄起毛加工品のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合は有しつつ、実施例2で得られた丸編物に比べると若干表面に白化が見られるが従来品と比べると格段に表面の白化が少なく色見栄えが優れており、十分に商品価値のある物であった。
【0068】
【実施例6】
75d/45fのキュプラマルチフィラメント糸と70d/34fポリアミドフィラメント糸を2:1 で交編した28ゲ−ジのスム−ス組織の丸編物を用い、実施例5と同様の方法で処理した。この丸編物は密度が52コ−ス、44ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.2 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は68%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は68%であり、ポリアミドの混用率は32%であった。再生セルロ−ス繊維のフィブリル化繊維は該丸編物のル−プが見える程度にまばらに存在していた。フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均16本であり、切断数は平均31%であった。また、最大切断数は6本であり、40%以下を満足していた。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2 当り平均56個であり、最大でも72個であった。風合の評価値はヌメリ感が4.6 、反撥感が4.2 、ソフト感が3.8 であり、風合平均値は4.2 であった。
【0069】
この丸編物はシルクの薄起毛加工品のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合は有しつつ、実施例2で得られた丸編物に比べると若干表面に白化が見られるが従来品と比べると格段に表面の白化が少なく色見栄えが優れており、十分に商品価値のある物であった。
【0070】
【比較例5】
沸騰水に30分浸漬した場合の収縮率が6%の75d/45fのキュプラマルチフィラメント糸と沸騰水に30分浸漬した場合の収縮率が2%の30d/12fポリエステルフィラメント糸の混繊糸を用いた28ゲ−ジのスム−ス組織の丸編物を常法に従いリラックス精練後、更にリラックス状態で 100℃で40分処理した以外は実施例2と同様の処理を行った。この丸編物は密度が45コ−ス、43ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.0 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は71%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は再生セルロ−ス繊維が収縮し、ポリエステル繊維が表面に出るため37%であり、ポリエステルの混用率は29%であった。った。
【0071】
フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均8本であり、切断数は平均13%であった。また、最大切断数は2本であり、40%以下を満足していた。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2 当り平均8個であり、最大でも26個であった。風合の評価値はヌメリ感が2.6 、反撥感が3.0 、ソフト感が1.2 であり、風合平均値は2.3 であった。この丸編物は再生セルロ−ス繊維のフィブリル化繊維から得られるヌメリ感、反撥感、ソフト感は感じられず、ポリエステル特有のドライ感が強く、かなり硬い風合であり、表面の白化が少ないものの商品価値の低いものであった。
【0072】
【比較例6】
40d/24fのキュプラマルチフィラメント糸と30d/12fポリエステルフィラメント糸の混繊糸を用いた28ゲ−ジのスム−ス組織の丸編物を用いた以外は実施例2と同様の処理を行った。この丸編物は密度が50コ−ス、48ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.0 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は57%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は67%であり、ポリエステルの混用率は43%であった。再生セルロ−ス繊維のフィブリル化繊維は該丸編物のル−プが見える程度にまばらに存在していた。フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均8本であり、切断数は平均25%であった。また、最大切断数は3本であり、40%以下を満足していた。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2 当り平均14個であり、最大でも33個であった。風合の評価値はヌメリ感が4.0 、反撥感が3.2 、ソフト感が1.4 であり、風合平均値は2.9 であった。
【0073】
この丸編物は再生セルロ−ス繊維のフィブリル化繊維から得られる反撥感は感じられず、ポリエステル特有の反撥感が強く、かなり硬い風合であり、表面の白化が少ないものの商品価値の低いものであった。
【0074】
【比較例7】
100d/70fのキュプラマルチフィラメント糸を用いた28ゲ−ジのスム−ス組織の丸編物を用いた以外は実施例2と同様の処理を行った。この丸編物は密度が45コ−ス、43ウェルでコ−ス数をウェル数で除した数は1.0 であった。再生セルロ−ス繊維の重量比率は 100%であり、表面の再生セルロ−ス繊維の面積比率は 100%であった。フィブリル化繊維を形成する最外表面部の再生セルロース長繊維は平均16本であり、切断数は平均31%であった。また、最大切断数は6本であり、40%以下を満足していた。また、ル−プを形成する糸束から外れた変形大ル−プの数は表面1cm2 当り平均42個であり、最大でも56個であった。
【0075】
しかし、部分的に穴の開いたところが存在し、ラダリングが発生していた。風合の評価値はヌメリ感が4.4 、反撥感が4.0 、ソフト感が4.6 であり、風合平均値は4.3 であった。 この丸編物はシルクの薄起毛加工品のようなヌメリ感、ソフトな風合はあるが、反撥感が少なく、表面の白化が少ないものの穴、及びラダリングの発生により商品価値の全くないものであった。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【発明の効果】
本発明の色見栄えに優れた丸編物は、シルクの薄起毛加工品のようなヌメリ感、反撥感、ソフトな風合を有しつつ、表面の白化が少ない色見栄えに優れた丸編物であり、極めて容易かつ低コストで得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ル−プ径dを模式的に示す説明図。
【図2】100d/70fのキュプラマルチフィラメント糸を表糸と裏糸に、30d /12fのポリエステルマルチフィラメント糸をタック糸に用いた28ゲ−ジのダブル天竺組織の丸編物の表面電子顕微鏡写真の一例。
【符号の説明】
d:ループ径
Claims (1)
- 水酸化ナトリウム20g/l以上80g/l以下の水溶液で処理された、ポリエステル長繊維またはポリアミド長繊維が5重量%以上35重量%以下含まれた再生セルロース長繊維の丸編物であって、該丸編物の表面の40%以上の面積を再生セルロース長繊維が占めており、かつ、該丸編物のループを形成する最外表面部の再生セルロース長繊維がフィブリル化され、更に、その切断数が最外表面部を構成する再生セルロース長繊維のフィラメント数の40%以下、かつ、ループを形成する糸束から外れた変形大ループの数が表面1cm2当り80個以下であることを特徴とする色見栄えに優れた丸編物。
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