JP3610667B2 - モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報機器,映像,音響機器等に用いられている磁気ディスク,光ディスク等のディスク駆動装置に用いられる、ディスク駆動用のモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年は、情報機器,映像,音響機器等に用いられている磁気ディスク,光ディスク等のディスク駆動装置は、機器の高密度記録化に伴い回転精度が高いモータが要求されている。
【0003】
モータの回転精度を悪化させる要因としては、まず第一にコアとマグネットの吸引力の変化によるコギングトルクがある。コギングトルクが大きくなるとモータのジッターが悪化し、読み書きのエラーの原因となる。
【0004】
また第二に軸受に含油メタル軸受等の、シャフト,軸受間にクリアランスを有する軸受をもつモータの場合、シャフトと軸受間のクリアランス内でシャフトが振れ回るために、これはディスク上ではトラック方向の振動として現れ、トラッキングエラーの原因となる。
【0005】
従来、モータとしては第一にコギングトルクの対策としては、特開平4−304151号に記載されたものが知られている。
【0006】
図6に従来の第一の実施例のモータのコア形状を示す。図6においては、コア突極を360°を等分した位置から所定の角度ずつ変化させて構成している。突極の位置をずらすことにより、マグネットとコアの位置関係が同一になるものがなくなりコギングトルクが低減される。
【0007】
また第二にシャフトの振れ回りの対策としては、特開平1−152947号に記載されたものが知られている。
【0008】
図7に従来の第二の実施例のモータのコア形状を示す。図7においては、コアの半周ごとにコアの磁気的中心を上下に変位させて構成している。この構成により、マグネットにはシャフトを一定方向に傾ける力がかかるためシャフトの振れ回りを抑制できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法はコギングトルクの低減あるいは、シャフトの振れ回りの抑制それぞれの目的に関しては有効な効果があるものの、コギングトルクとシャフトの振れ回りの問題を同時に解決するものではない。
【0010】
本発明は、回転精度を悪化させる要因となるコギングトルクの低減と、シャフトの振れ回りの抑制とを、同時に実現するモータを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明は、等角度ピッチに配置された6n極の突極を有するコアと、等角度ピッチに配置された8n極の着磁を有してコアと磁気回路を構成するマグネットとを有するモータにおいて、コア突極の幅をコアの右半分と左半分とで15/n°の前後5%の範囲で変えたことを特徴としている。
【0012】
これにより、コアの右半分と、左半分により発生するコギングトルクの位相が180°異なるために、双方のコギングトルクが互いに打ち消し合い、コギングトルクが低減されると同時に、コア,マグネット間に働く吸引力は、左右で不均衡となり、ロータに固定されたマグネットにはシャフトを軸受のラジアル方向の一方向に押さえつける力が加わりシャフトの振れ回りが規制される。これら2つの作用の相乗効果により特別な部品を使わなくても回転精度が非常に高いモータが提供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、等角度ピッチに配置された6n極の突極を有するコアと、等角度ピッチに配置された8n極の着磁を有してコアと磁気回路を構成するマグネットとを有するモータにおいて、コア突極の幅をコアの右半分と左半分とで15/n°の前後5%の範囲で変えたもので、コアの片側半分と、反対側半分により発生するコギングトルクが位相が180°異なるためにコギングトルクが打ち消し合い、コギングトルクが低減されると同時に、マグネットにはシャフトを軸受の片側に押さえつける力が加わるためにモータにシャフトの振れ回りが抑制されるという作用を有する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、等角度ピッチに配置された6n極のスロットを有するコアと、等角度ピッチに配置された6n極の着磁を有してコアと磁気回路を構成するマグネットとを有するモータにおいて、コアのスロットの幅をコアの右半分と左半分とで15/n°の前後5%の範囲で変えたもので、請求項1と全く同様な効果がある。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図5を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態によるコアの形状を示す図、図2は本発明の第1の実施の形態によるコアの形状を分解して示した図である。図1においてコア1は、図2に示すようにコア1の左側半分はコア突極の角度がα°のコア1aの半分と、右側半分はコア突極の角度がβ°のコア1bの半分とを合わせた形状をしている。コア1aのマグネットとコアの関係は左右で全く等しいので、コギングトルクは片側半分ではコギングトルクも半分と考えられる。これはコア1bについても同様である。従って、コア1のコギングトルクは、コア1aとコア1bのコギングトルクの2分の1ずつを合成したものと考えられる。
【0016】
ここでコア1a(またはコア1b)単体でのコギングトルクについて考察する。図3(a)はコアの突極の幅(角度)とコギングトルクの関係を示した図、図3(b)はコアの突極の幅(角度)とコギングトルクによるロータの静止位置を示した図である。これを見るとコギングトルクと突極幅には、一定の法則性があることが分かる。その法則性とは、突極幅15°おきにほぼ同じ絶対値のコギングトルクが現出し、突極幅7.5°,22.5°,37.5°,52.5°付近でロータの静止位置が7.5°反転するというものである。ここで突極の幅が15°違う場合のコギングトルクを考えると、いずれの場合もコギングトルクの絶対値がほぼ等しく、ロータの静止位置が7.5°異なっている。この7.5°という角度は、コギングトルクの基本周期の2分の1に当たる。
【0017】
以上から、角度α−β=15°と設定した場合のコア1のコギングトルクは、絶対値が等しく180°位相が異なるコギングトルク2分の1ずつの合成となり、両者のコギングトルクが互いに打ち消し合いコギングトルクが低減される。
【0018】
さらに本実施の形態の場合、コア,マグネット間に働く吸引力は左右で不均衡となり、マグネットの取り付けられたロータは常にラジアル方向の一方向に押し付ける力が加わった状態となる。これによりシャフトは軸受の一方向に押さえつけられた形となり、シャフトの振れ回りが抑制できる。
【0019】
これら2つの相乗効果により、本実施の形態のコアを使用したモータは、単純な構成ながら非常に高い回転精度が得られる。
【0020】
また、上記実施の形態ではコア6極,マグネット8極の場合で説明したが、一般的に、コア6n極,マグネット8n極についても左右のコア突極の幅を15/n°変える事により全く同様の効果が得られる。
【0021】
なお、上記実施の形態では左右の角度差を15°としたが、実際のモータの場合はコアの磁気飽和等の影響があるためコギングトルクが最小となるポイントは、上記の角度から僅かにずれた位置に存在する場合が多く、このずれを考慮した設計を行うことでさらにコギングトルクが低減され、回転精度が高いモータを提供することができる。
【0022】
(実施の形態2)
図4は本発明の第2の実施の形態におけるコアの形状を示す図、図5は本発明の第2の実施の形態におけるコアの形状を分解して示した図である。図4においてコア1は、図5に示すようにコア1の左側半分はスロットの開口角度がα°のコア1aの半分と、右側半分はコアスロットの開口角度がβ°のコア1bの半分とを合わせた形状をしている。図4のコアの形状は、第1の実施の形態とは異なるが、実は全く同じ考えのもとに構成されたものである。図1のコアでは左右のコアのつなぎ目がスロット部にあるが、図4ではこの左右のつなぎ目を突極部に置き換えたものである。従って角度α−β=15°と設定することにより、全く同様の効果が得られる。さらに本実施の形態ではコア左側には開口角度の広いスロットが3つ均等に並んだ形になっており、ロータの位置検出のためのホール素子等を配置するのに最適なスペースとなる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、コアの形状のみでコギングトルクの低減とシャフトの振れ回りの抑制が同時に実現され、これら2つの相乗効果で極めて単純な構成ながら、回転精度が非常に高いモータが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるコアの形状を示す図
【図2】本発明の第1の実施の形態によるコアの形状を分解して示した図
【図3】(a)コアの突極の幅(角度)とコギングトルクの関係を示した図
(b)コアの突極の幅(角度)とコギングトルクによるロータの静止位置を示した図
【図4】本発明の第2の実施の形態によるコアの形状を示す図
【図5】本発明の第2の実施の形態によるコアの形状を分解して示した図
【図6】従来の第一の実施例のモータのコア形状を示す図
【図7】従来の第二の実施例のモータのコア形状を示す図
【符号の説明】
1 コア
1a,1b コア

Claims (2)

  1. 等角度ピッチに配置された6n極の突極を有するコアと、等角度ピッチに配置された8n極の着磁を有してコアと磁気回路を構成するマグネットとを有するモータにおいて、コアの右半分と左半分とでコア突極の幅を15/n°の前後5%の範囲で変えたことを特徴とするモータ。
  2. 等角度ピッチに配置された6n極のスロットを有するコアと、等角度ピッチに配置された6n極の着磁を有してコアと磁気回路を構成するマグネットとを有するモータにおいて、コアの右半分と左半分とでコアのスロットの幅を15/n°の前後5%の範囲で変えたことを特徴とするモータ。
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