JP3610332B2 - 堆積膜形成装置および堆積膜形成方法 - Google Patents

堆積膜形成装置および堆積膜形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波放電を利用した堆積膜形成装置および堆積膜形成方法であって、主にシリコン系の非結晶、及び結晶系半導体の製造に用いられるプラズマCVD装置や、プラズマエッチング装置等の堆積膜形成装置および堆積膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマを用いた堆積膜形成装置において、一般的に13.56MHzの高周波プラズマが用いられ、大面積の反応空間が実現されている。
たとえば、高周波プラズマを用いた堆積膜形成装置によって、シリコン系の非結晶薄膜、結晶系薄膜の大面積高速成膜が試みられているが、プラズマ周波数に13.56MHzを用いた堆積膜形成装置では、1m角の反応空間が実現されるに至っている。しかし、このような大面積の堆積膜形成装置において非結晶系薄膜、結晶系薄膜の堆積速度は、その全域において良質な堆積膜を得るには数Å/sec程度又はそれ以下である。
高い成膜速度を得るためには、主として、プラズマの密度を高めることが必要で、そのためにはVHF帯以上の高周波による大電力プラズマを実現することが重要であると考えられる。
【0003】
従来型の装置構成では、大電力を投入しようとした場合、反応空間外でのプラズマの生起、誘電損の発生等で電力ロスが生じ、さらには高周波電力の給電部の過熱や破損が発生する等の問題があった。
また、シリコン系の非結晶薄膜、結晶系薄膜等の半導体を用いたディスプレイや太陽電池と言った大面積製品の生産性を改善するためには、これまで以上の良好なシリコン系の非結晶薄膜、結晶系薄膜等の半導体を大面積で高速に成膜する事が必要であり、堆積速度の増大化を図るためマイクロ波やVHF帯を用いた高速成膜化の研究が試みられている。しかし、マイクロ波やVHF帯の高周波プラズマを用いた堆積膜形成装置では、高い成膜速度を得た報告がなされているが、良質の薄膜を大面積に堆積形成するには至っていない。
少なくともVHF帯の高周波プラズマを用いた大面積の高速成膜を実現するためには、反応空間を除く高周波電極の浮遊容量を減少させ、さらに反応空間以外で生起する放電及び誘電損を防止することが必要である。
【0004】
このようなことから、本発明者らは、これまで、特公平5−10818号公報に記載の電極組立て体を改良して、高周波電極の浮遊容量を低減して、VHF帯の高周波プラズマの生起、及び広がり具合を良好にし、4000cm以上の大面積にアモルファスシリコン薄膜を20Å/sec以上の堆積速度で形成するに至った。
さらに、本発明者らは、非結晶系薄膜、結晶系薄膜の堆積速度の高速化と膜特性分布の改善を目指し、高圧、大電力プラズマの実現に向け研究を行った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プラズマの濃度を高め高い成膜速度を得るため、VHF帯の高周波電力を用い、成膜圧力を665Paから1330Paと高圧にすると、プラズマ分布が十分とは言えず、プラズマの局在化やプラズマの生じない部分が発生し、あるいはプラズマのフラッシング等の現象を生じ、さらには、堆積速度分布が悪化したり、成膜の副生成物であるポリシラン粉が発生するなどの問題を生じた。
また、印加する高周波電力が2KWを超える大電力を供給すると、高周波電極の給電部での異常放電が生じる等の問題や、高周波電力給電部での誘電損の発生等で電力ロスが生じ、過熱や破損が発生する問題を生じることが明らかになった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決し、高周波電極の誘電損失を減少させ、反応空間外の異常放電を防止し、さらに高周波電極の浮遊容量及び高周波電力の給電部の抵抗を減少させ、大電力の高周波プラズマによって大面積で均一な高速成膜が可能となる堆積膜形成装置および堆積膜形成方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、プラズマCVD法やスパッタリング法、エッチング法などを用いた堆積膜形成装置においても大面積プラズマを実現し欠陥のない推積膜処理が可能となる堆積膜形成装置および堆積膜形成方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するために、次の(1)〜(10)のように構成した堆積膜形成装置および堆積膜形成方法を提供するものである。
(1)真空容器内に、高周波電力を供給する平板状の高周波電極と前記高周波電極に対向する接地電極を備え、前記高周波電極と前記接地電極の間に反応空間を構成し、該反応空間で高周波プラズマにより堆積膜を形成する堆積膜形成装置において、
前記高周波電極の前記反応空間に面する側とは反対側の空間に、前記高周波電極及び前記接地電極に対して直流電位的に絶縁された導電体プレートを有し、該導電体プレートはその高周波電極に面する面とは反対側の面が大気に接するようにして配置されると共に、少なくとも絶縁体からなる部材を介して、前記真空容器に設置固定されていることを特徴とする堆積膜形成装置。
(2)前記導電体プレートを前記真空容器に設置固定するための部材が、すべて絶縁体によって構成されていることを特徴とする上記(1)に記載の堆積膜形成装置。
(3)前記導電体プレートを前記真空容器に設置固定するための部材が、絶縁体と前記導電体プレートを前記接地電極に対して直流電位的に絶縁することが可能な部分に用いられる導体によって構成されていることを特徴とする上記(1)に記載の堆積膜形成装置。
(4)前記導電体プレートは、該高周波電極と接地電位の真空容器を構成する導体部に対し、前記絶縁体を介して異常放電、誘電損失が生じないように間隔を空けて設置固定されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の堆積膜形成装置。
(5)前記高周波プラズマは、30MHzから150MHzの周波数の高周波電力によることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の堆積膜形成装置。
(6)真空容器内に、高周波電力を供給する平板状の高周波電極と接地電極を対向させ、該高周波電極と該接地電極の間に形成された反応空間で高周波プラズマにより堆積膜を形成する堆積膜形成方法において、
前記高周波電極の前記反応空間に面する側とは反対側の空間に、前記高周波電極及び前記接地電極に対して直流電位的に絶縁された導電体プレートを形成し、該導電体プレートをその高周波電極に面する面とは反対側の面が大気に接するようにして配置すると共に、少なくとも絶縁体からなる部材を介して前記真空容器に設置固定し、堆積膜を形成することを特徴とする堆積膜形成方法。
(7)前記導電体プレートを前記真空容器に設置固定するための部材を、すべて絶縁体によって形成することを特徴とする上記(6)に記載の堆積膜形成方法。
(8)前記導電体プレートを前記真空容器に設置固定するための部材を、絶縁体と前記導電体プレートを前記接地電極に対して直流電位的に絶縁することが可能な部分に用いられる導体によって形成することを特徴とする上記(6)に記載の堆積膜形成方法。
(9)前記導電体プレートを、該高周波電極と接地電位の真空容器を構成する導体部に対し、前記絶縁体を介して異常放電、誘電損失が生じないように間隔を空けて設置固定し、堆積膜を形成することを特徴とする上記(6)〜(8)のいずれかに記載の堆積膜形成方法。
(10)前記高周波プラズマは、30MHzから150MHzの周波数の高周波電力によることを特徴とする上記(6)〜(9)のいずれかに記載の堆積膜形成方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
上記構成を適用して、高周波電極の反応空間とは反対の高周波電極側に、高周波電極及び接地電極と直流電位的に絶縁された導電体プレートを配置し、その導電体プレートの裏面を大気に開放し、さらに導電体プレートと接地電位の真空容器を構成する導体に対して間隔を空けることで、異常放電を防止し、誘電損失を低減させると共に、高周波電極の浮遊容量を減少させることが可能となる。
さらに、高周波電極の給電部の長さを短くし、給電部のインダクタンス成分を減少させるように構成することで、大面積の反応空間に高圧力でプラズマ分布の良い安定放電を得られるようになる。
【0009】
このような構成を用いることによって、VHF帯の高周波電力により、大面積反応空間で成膜速度を高速化することができる。さらに、これまで以上の良好な非結晶、及び結晶質のシリコン膜を形成することが可能になる。
また、上記構成においては、高周波プラズマを用いる堆積膜形成方法に有効であるが、特に30MHzから150MHzの周波数においてその効果は、絶大である。
【0010】
これらは、本発明者らが鋭意研究した結果によるつぎのような知見に基づくものである。
本発明者らは、まず、図5の従来型の堆積膜形成装置を用い、500×850mmの平行平板型高周波電極を用いプラズマの生起、及びプラズマの広がりや安定性について検証を行った。
プラズマの濃度を高め高い成膜速度を得るため、高周波電力の周波数を60MHz、成膜圧力を1064Pa、高周波電力を2KWの条件で堆積膜形成を行ったところ、プラズマが十分反応空間に広がらず、プラズマの局在化やプラズマの生じない部分の発生、プラズマのフラッシング等の現象を生じ、さらに、堆積速度分布が悪化し、成膜の副生成物であるポリシラン粉が発生した。
さらに、成膜圧力を266Paに下げて、2時間の連続放電を行ったところ、高周波電力の給電部が過熱、さらに2時間後、給電部が破損した。また、給電部の一部で異常放電の痕跡が確認された。
【0011】
そこで高周波電極の反応空間とは反対の高周波電極裏面に配置された、高周波電極及び接地電極と直流電位的に絶縁された導電体プレートの裏面を、大気に開放し、さらに導電体プレートが接地電位の真空容器を構成する導体部品に対して異常放電、誘電損失の生じない間隔をおくように、導電体プレートと接地電位の真空容器を構成する導体部品間に絶縁体を挿入した。そして、高周波電極の浮遊容量を減少させると共に、さらに高周波電極の給電部の長さを短くし、給電部のインダクタンス成分を減少させると、プラズマは1330Pa付近の高圧力まで生起し、かつ安定放電を得られるようになるという事実を発見した。
【0012】
本発明は、本発明者らのこのような、単に高周波電極の浮遊容量を減少させるのみでは、高周波電極及び給電部の異常放電の防止、及び誘電損失の低減が不十分であるという知見に基づいて完成に至ったものである。
それは、より具体的には、反応空間側とは反対の高周波電極裏面に設置された高周波電極及び接地電極と絶縁された導電体プレートを包囲していた真空容器内のシールドケース底板を取り除き、そして、導電体プレートの裏面を大気に接するように構成し、前記導電体プレートが、少なくとも絶縁体を介して、前記真空容器に設置固定される様に構成することにより、特に、導電体プレートが接地電位の真空容器を構成する導体に対して異常放電、誘電損失の生じない間隔を空けるように構成することで、高周波電極の浮遊容量を減少させることができる。また、それは高周波電極の給電部の長さを短くし、給電部の抵抗成分を低減する構造を備えるように構成することで、VHF帯のプラズマ励起周波数において133Paから1330Paの圧力範囲についても安定したプラズマを得る事が可能となる。
【0013】
つぎに、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
図1から図4は本発明の堆積膜処理装置の一例の概念図である。また、図5は従来型の堆積膜処理装置の一例の慨念図である。
図1から図4に示した装置では、材料ガスを高周波電極の上面から供給し、反応空間で高周波グロー放電による堆積膜形成処理を行う。
【0014】
この反応空間は、高周波電極の裏面に、直流電気的に絶縁された導電体プレートを1枚設け、高周波電極とその直下の導電体プレートの間に、材質を石英とする絶縁体を配し、材料ガスのカソード下部への流れを抑制すると共にプラズマの生起、異常放電を抑制する。そして導電体プレートの裏面は、大部分の面が大気に接する用に構成され、接地されたプレートによりシールドされている。また、高周波電極上面には、接地電極を高周波電極にほぼ平行に設置し反応空間を構成する。
【0015】
これにより、高周波電極に供給する高周波電力を効率よくプラズマに供給でき、高周波電極の給電部等の異常放電や過熱、破壊等のない極めて生産性の高い堆積膜形成装置を提供できる。
そして、高周波電極に供給する高周波電力の周波数、反応空間圧力、電極間隔、材料ガスを適切に調整することにより、大面積の高速成膜が可能となり、高品質の堆積膜を形成する事ができる。
【0016】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
本発明の実施例1を図1に基づいて説明する。
図1において、堆積膜形成装置の真空容器1のフランジにベース枠5を取り付け、前記ベース枠5上に高周波電極の電位とも接地電位とも絶縁された導電体プレート10を第1の絶縁体6の枠を挟んで設置し、第2の絶縁体7のブロックで、前記導電体プレートを前記ベース枠に固定し、前記導電体プレート及び前記高周波電極全周を接地されたサイドプレートにより包囲し、前記導電体プレートとほぼ平行に前記高周波電極を配置し、さらに前記高周波電極上面に接地電極を配置している。そして、前記導電体プレート10により大気と真空を分離し、前記導電体プレート10は、大気側をほぼ全面シールドケース9で覆っている。さらに、前記第1の絶縁体6と前記導電体プレート10、及びベース枠5の真空シールをOリング8で行い、前記第1の絶縁体6と前記導電体プレート10の真空シール用Oリング8は200℃以上の耐熱用を用いている。また、導電体プレート10の加熱温度が160℃程度以下と低温での堆積膜形成を行う場合は、Oリング8の材質をバイトンとすることが可能である。また、導電体プレート10のOリングシール面に冷却機構を設けても良い。
【0017】
前記反応空間とは反対の前記導電体プレート10裏面を大気にし、前記導電体プレート10と前記高周波電極3は石英の板を挿入した。さらに前記導電体プレート10裏面と前記シールドケース9との距離を十分とる事で、高周波電極3裏面及び前記導電体プレート10での放電を無くし、さらに前記高周波電極3裏面に発生する浮遊容量を大きく減少させた。また、前記導電体プレート10を第2の絶縁体7のブロックで固定することにより、前記高周波電極3及び前記導電体プレート10と前記導電体プレート10の周辺の接地電位の前記フランジ、又は前記ベース枠5、又は金属部材との間で発生する浮遊容量を極力低減し、前記高周波電極3の浮遊容量を800pF以下まで低減した。さらに給電部の長さを20cm、第1の絶縁体6の厚さを4cmにした。
この堆積膜形成装置を用いて、プラズマの生起、及び広がりについて確認した。
【0018】
プラズマ反応空間は、540mm×890mm、高周波電極サイズは、500mm×850mm、電極間隔を8mmとした。プラズマ反応空間には、Hガス4000sccmをフローした。
【0019】
そして、VHF60MHzの1KWから5KWの高周波電力を高周波電極に印加し、反応空間圧力を133から1330Paに変えながら、放電生起と放電の広がりを確認した。
プラズマ放電は、反応空間の圧力が1330Paまでムラの少ない安定放電が得られた。
【0020】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2を図2に基づいて説明する。
本実施例では、図1に示した構成の本発明のプラズマCVD法による堆積膜の形成装置において、ベース枠5を用いないで、真空容器1のフランジに第1の絶縁体6を配置し、その上に導電体プレート10を配置し、第2の絶縁体7により高周波電極3を真空容器1のフランジに固定した形態であり、給電部の長さを25cm、第1の絶縁体6の厚さを2cmにした。
【0021】
この堆積膜の形成装置を用いて、プラズマの生起、及び広がりについて確認した。
プラズマ反応空間は、540mm×890mm、高周波電極サイズは、500mm×850mm、電極間隔を8mmとした。プラズマ反応空間には、Hガス4000sccmをフローした。
【0022】
そして、VHF60MHzの1KWから5KWの高周波電力を高周波電極に印加し、反応空間圧力を133から1330Paに変えながら、放電生起と放電の広がりを確認した。
プラズマ放電は、反応空間の圧力が1330Paまでムラの少ない安定放電が得られた。
【0023】
[実施例3]
次に、本発明の実施例3を図3に基づいて説明する。
本実施例では、図1に示した構成の本発明のプラズマCVD法による堆積膜の形成装置において、ベース枠5を第1の絶縁体6で構成し、導電体プレート10を第2の絶縁体7で固定し、真空容器1のフランジに固定した形態である。この形態においても、真空容器1のフランジと導電体プレート10の間隔を広げるほど高周波電極の容量が低減でき、その間隔を2cmとした。
この堆積膜形成装置を用いて、プラズマの生起、及び広がりについて確認した。
【0024】
プラズマ反応空間は、540mm×890mm、高周波電極サイズは、500mm×850mm、電極間隔を10mmとした。プラズマ反応空間には、Hガス4000sccmをフローした。
【0025】
そして、VHF60MHz1KWから5KWの高周波電力を高周波電極に印加し、反応空間圧力を133から1330Paに変えながら、放電生起と放電の広がりを確認した。
プラズマ放電は、反応空間の圧力が1330Paまでムラの少ない安定放電が得られた。
【0026】
[実施例4]
次に、本発明の実施例4を図4に基づいて説明する。
本実施例では、図1に示した構成の本発明のプラズマCVD法による堆積膜の形成装置において、ベース枠5に導電体プレート10を直接取り付け、第1の絶縁体6を真空容器1のフランジとベース枠5の間に挿入して、第1の絶縁体6を真空容器1のフランジに固定した形態である。この形態において、真空容器1のフランジとベース枠5の間隔を3cmとなるように第1の絶縁体6を挿入した。
【0027】
この堆積膜形成装置を用いて、プラズマの生起、及び広がりについて確認した。
プラズマ反応空間は、540mm×890mm、高周波電極サイズは、500mm×850mm、電極間隔を10mmとした。プラズマ反応空間には、Hガス4000sccmをフローした。
【0028】
そして、VHF60MHzの高周波電力を高周波電極に印加し、反応空間圧力を133から1330Paに変えながら、放電生起と放電の広がりを確認した。プラズマ放電は、反応空間の圧力が1330Paまでムラの少ない安定放電が得られた。
【0029】
[実施例5〕
本発明の実施例5においては、図1の堆積膜形成装置を用い、反応空間を、540mm×890mm、高周波電極サイズは500mm×850mm、電極間隔を10mmとした。
【0030】
成膜処理は、次の手順で進めた。まず、真空容器1を排気手段により1.3Pa以下に真空排気した。引き続きアルゴンガスを100sccm導入し反応室の内圧を13Paに維持した。
次に、基板ヒータに電力を供給し、この状態で2時間放置しプラズマCVD室の温度が安定した後、アルゴンガスを止め、ガス供給手段よりSiFガス400sccm、SiHガス200sccm、Hガス6000sccmをフローした。
【0031】
次に、プラズマ反応空間の圧力を665Paに制御し、VHF60MHz3.5KWの高周波電力を高周波電極に印加し10分間成膜し、微結晶シリコン膜をコーニング#7059ガラス基板上に堆積させた。
その後、VHF帯の高周波電力の供給を停止し、次に原料及び希釈ガス、ヒータ電力の供給を停止した。次に真空容器内、排気手段をパージし装置をNガスで大気圧にした。
その結果、成膜速度分布は、±19%、成膜速度は、13Å/secという良好な結果を得た。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、高周波電極の反応空間とは反対の高周波電極裏面に配置された、高周波電極及び接地電極と直流電位的に絶縁された導電体プレートの裏面を、大気に開放し、特に導電体プレートと接地電位の真空容器を構成する導体に対して間隔を空けるように構成することで、異常放電を防止し、誘電損失を低減させると共に、高周波電極の浮遊容量を減少させることができる。
また、本発明によれば、高周波電極の給電部の長さを短くし、給電部の抵抗成分を減少させるように構成することで、大面積の反応空間に高圧力でプラズマ分布の良い安定放電を得ることが可能となる。
これによって、VHF帯の高周波電力により、大面積反応空間で成膜速度を高速化することができ、これまで以上の良好な非結晶、及び結晶質のシリコン膜を形成することが可能になる。さらには、スパッタ装置及びエッチング装置への展開も可能であり、大面積の高速堆積膜形成装置を実現することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態および実施例1、実施例5に係る堆積膜処理装置の模式的断面図である。
【図2】本発明の実施の形態および実施例2に係る堆積膜処理装置の模式的断面図である。
【図3】本発明の実施の形態および実施例3に係る堆積膜処理装置の模式的断面図である。
【図4】本発明の実施の形態および実施例4に係る堆積膜処理装置の模式的断面図である。
【図5】本発明を検討する際に用いた従来型の堆積膜処理装置の模式的断面図である。
【符号の説明】
1:真空容器
2:接地電極(基板ホルダー)
3:高周波電極
4:基板加熱ヒーター
5:ベース枠
6:第1の絶縁体
7:第2の絶縁体
8:耐熱用Oリング
9:シールドケース
10:導電体プレート
11:高周波電源
12:反応空間
13:排気手段

Claims (10)

  1. 真空容器内に、高周波電力を供給する平板状の高周波電極と前記高周波電極に対向する接地電極を備え、前記高周波電極と前記接地電極の間に反応空間を構成し、該反応空間で高周波プラズマにより堆積膜を形成する堆積膜形成装置において、
    前記高周波電極の前記反応空間に面する側とは反対側の空間に、前記高周波電極及び前記接地電極に対して直流電位的に絶縁された導電体プレートを有し、該導電体プレートはその高周波電極に面する面とは反対側の面が大気に接するようにして配置されると共に、少なくとも絶縁体からなる部材を介して、前記真空容器に設置固定されていることを特徴とする堆積膜形成装置。
  2. 前記導電体プレートを前記真空容器に設置固定するための部材が、すべて絶縁体によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の堆積膜形成装置。
  3. 前記導電体プレートを前記真空容器に設置固定するための部材が、絶縁体と前記導電体プレートを前記接地電極に対して直流電位的に絶縁することが可能な部分に用いられる導体によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の堆積膜形成装置。
  4. 前記導電体プレートは、該高周波電極と接地電位の真空容器を構成する導体部に対し、前記絶縁体を介して異常放電、誘電損失が生じないように間隔を空けて設置固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の堆積膜形成装置。
  5. 前記高周波プラズマは、30MHzから150MHzの周波数の高周波電力によることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の堆積膜形成装置。
  6. 真空容器内に、高周波電力を供給する平板状の高周波電極と接地電極を対向させ、該高周波電極と該接地電極の間に形成された反応空間で高周波プラズマにより堆積膜を形成する堆積膜形成方法において、
    前記高周波電極の前記反応空間に面する側とは反対側の空間に、前記高周波電極及び前記接地電極に対して直流電位的に絶縁された導電体プレートを形成し、該導電体プレートをその高周波電極に面する面とは反対側の面が大気に接するようにして配置すると共に、少なくとも絶縁体からなる部材を介して前記真空容器に設置固定し、堆積膜を形成することを特徴とする堆積膜形成方法。
  7. 前記導電体プレートを前記真空容器に設置固定するための部材を、すべて絶縁体によって形成することを特徴とする請求項6に記載の堆積膜形成方法。
  8. 前記導電体プレートを前記真空容器に設置固定するための部材を、絶縁体と前記導電体プレートを前記接地電極に対して直流電位的に絶縁することが可能な部分に用いられる導体によって形成することを特徴とする請求項6に記載の堆積膜形成方法。
  9. 前記導電体プレートを、該高周波電極と接地電位の真空容器を構成する導体部に対し、前記絶縁体を介して異常放電、誘電損失が生じないように間隔を空けて設置固定し、堆積膜を形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の堆積膜形成方法。
  10. 前記高周波プラズマは、30MHzから150MHzの周波数の高周波電力によることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の堆積膜形成方法。
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