JP2001210594A - 薄膜堆積装置および薄膜堆積方法 - Google Patents

薄膜堆積装置および薄膜堆積方法

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JP2001210594A
JP2001210594A JP2000016772A JP2000016772A JP2001210594A JP 2001210594 A JP2001210594 A JP 2001210594A JP 2000016772 A JP2000016772 A JP 2000016772A JP 2000016772 A JP2000016772 A JP 2000016772A JP 2001210594 A JP2001210594 A JP 2001210594A
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Japan
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thin film
gas
plasma
film deposition
temperature
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JP2000016772A
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English (en)
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Shinji Goto
真志 後藤
Mikihiko Nishitani
幹彦 西谷
Hideo Sugai
秀郎 菅井
Hirotaka Toyoda
浩孝 豊田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体薄膜素子に用いられるシリコン薄膜に
おいて、品質に優れた膜を低温で生産性よく形成する薄
膜堆積装置および薄膜堆積方法を提供することを目的と
する。 【解決手段】 原料ガスを分解して基板上に薄膜を堆積
する際、プラズマ中の電子エネルギー分布や壁との相互
作用を制御することによって、プラズマ中の粒子組成を
制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜堆積装置およ
び薄膜堆積方法に関する。特にCVD法による薄膜堆積
装置および薄膜堆積方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイに応用されている薄膜
トランジスタや薄膜太陽電池の性能を決定づける機能性
薄膜にアモルファスシリコン膜や多結晶シリコン膜とい
ったシリコン薄膜があげられる。
【0003】このシリコン薄膜をガラス基板等の低融点
基板上に形成する場合には、従来より主にプラズマCV
D法が用いられている。シリコン薄膜の膜成長はプラズ
マ中で原料ガスであるSiH4が分解されSiH3ラジカ
ルとなり、これが堆積することによって起こると理解さ
れている。
【0004】ただし、プラズマ中にはSiH3ラジカル
の他にもSiH2、SiHといった中性ラジカルやイオ
ン、また水素原子も存在している。プラズマ中のSiH
x(x=0〜2)ラジカルは表面付着確率が高く、これ
らが膜中に取り込まれると欠陥等を生成するため、その
密度は低いほどよいと考えられている。
【0005】また、微結晶・多結晶シリコンといった結
晶性シリコン薄膜の形成には、水素原子が重要な役割を
果たしていると考えられ、高度に水素希釈されたSiH
4が原料ガスとして用いられている。
【0006】アモルファスシリコン膜の形成方法として
は、一般的に平行平板型の容量結合プラズマ装置によっ
て、SiH4を原料ガスとして電子密度の低いプラズマ
を生成し、SiH3ラジカルを優先的に基板表面に供給
することによって膜形成が行われる。
【0007】一方、結晶性シリコン薄膜の形成方法とし
ては、以下のような技術が提案されている。
【0008】触媒をSiの溶融温度以上に加熱し、原料
ガスを加熱した触媒に接触させて分解し、CVDによる
成膜と基板上での結晶成長を行う、触媒CVD法による
シリコン薄膜の形成について、特開平8−250438
号公報に記載されている。この方法では、飛来する種の
一部は大変な高温になり、基板表面があたかも高温であ
るかのように振る舞い、多結晶シリコンが低い基板温度
で生成されるとされている。
【0009】実際には、原料ガスはSiH4ガスと他の
物質の混合ガスであり、触媒は供給される電力により加
熱され、シリコン薄膜を生成する反応室の圧力を低圧と
する圧力条件,および原料ガスにおける他の物質ガスの
SiH4ガスに対する割合を大きくする原料ガスの混合
比の条件、および該触媒に供給する電力を触媒体温度が
シリコン溶融温度以上に高いものとする触媒に対する供
給電力の条件を、堆積種により生成されるシリコン薄膜
が多結晶性の薄膜となる程度のものとすることで、低温
度の基板に多結晶性のシリコン薄膜を生成する。
【0010】高周波誘導結合プラズマ(ICP:Ind
uctive Coupled Plasma)を用い
たプラズマ分解によって分解し、分解された原料ガスを
用いた化学気相成長プロセスによる結晶性シリコン膜の
製造については、特開平10−265212号公報,及
び特開平11−74204号公報に記載されている。こ
の方法では、例えば、ICPを発生するための電極(ア
ンテナ)(文献:管井秀朗:応用物理,Vol.63,
No.6,1994年,pp.559〜567)によ
り、高周波電力を投入にして原料ガスの高密度プラズマ
を発生させ、原料ガスを分解・高励起にして成膜を行う
ものである。特開平10−265212号公報では、高
周波電力を800W以上とすることで、導電率が一桁以
上高い多結晶シリコン薄膜が得られ、圧力が50mTo
rrよりも高いと、膜の導電率は激減し、微結晶あるい
は多結晶シリコン薄膜は得られなかったことが示されて
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法を採用した場合、ガラス基板が適用できる温
度でシリコン薄膜を製造することは可能と考えられる
が、それぞれの技術について、以下のような課題があっ
た。
【0012】平行平板型の容量結合プラズマ装置による
アモルファスシリコン膜の形成方法については、プラズ
マ中の電子密度を上昇されると、膜質の低下を招くSi
x(x=0〜2)ラジカルの生成量が増加したり、ラ
ジカルと分子の重合反応により微粒子が発生するため、
放電電力を下げ電子密度すなわちプラズマ密度が低い条
件で形成されている。したがって、高品質のアモルファ
スシリコン膜を得るための条件は、プラズマの密度が低
いため膜形成に寄与するラジカルの密度も低く、成膜速
度が遅いという課題がある。
【0013】結晶性シリコン薄膜を形成するための触媒
CVD法(特開平8−250438号公報)について
は、気相中の熱分解で生じたラジカルのみで、成膜を行
う。記載されているように、基板温度を高くせずに結晶
性のシリコン膜を形成するために、分解だけでなく一部
のラジカルの温度(運動エネルギー)を十分に大きくさ
せることを、熱触媒に接触させることで行っている。こ
のような効果を得るため、熱触媒を1700〜1800
℃と極めて高い温度になるように、熱触媒に電力を投入
して加熱しなければならないという課題がある。この課
題は、液晶ディスプレイのような大面積の基板に形成す
る場合、より顕著になる。さらに、この様な高温の熱触
媒から発生する輻射に対して、装置の構造物や安価なガ
ラスなどの基板が、耐えうる温度以下となるようにしな
ければならない、という課題がある。
【0014】ICPを用いたプラズマCVDにより結晶
性シリコン膜を形成する方法(特開平10−26521
2号公報,特開平11−74204号公報)は、高周波
の誘導結合による原料ガスの高密度プラズマを発生させ
ることで、従来の平行平板高周波PCVDよりも原料ガ
スの分解・励起を活発に行い、結晶性のシリコン膜を形
成するものである。しかし得られた膜について、ラマン
分光法で確認されたものは、微結晶であり(特開平10
−265212号公報)、電気特性で確認されたものは
光導電性が大きい(特開平11−74204号公報)
等、結晶性や膜質として十分なものが得られていないと
いう課題があった。
【0015】これらの課題は、いずれの技術も原料ガス
の高分解・高励起を主眼とした技術であり、結晶化促進
のためのプラズマ中の組成制御手段が不足していること
に起因するものと考えられる。
【0016】また、ICPのような誘電体を通して供給
される電磁界によって生成されるプラズマによって原料
ガスを分解し基板上にシリコン薄膜を製造する方法にお
いては、堆積性の原料ガスを用いているため、電磁界を
供給するための誘電体表面に薄膜が堆積してしまう。こ
の誘電体表面の薄膜、特に導電性薄膜は、プラズマの安
定性や再現性を低下させてしまうといった課題がある。
【0017】本発明は、以上のような従来技術の課題を
解決し、品質の優れたシリコン膜を低温で再現性よく形
成する装置および方法を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る薄膜堆積装置および薄膜堆積方法は、
原料ガスをプラズマ分解して基板上に薄膜を製造する方
法において、プラズマ中の電子エネルギー分布はピーク
エネルギーが低エネルギー側にある非マックスウェル分
布であることを特徴としている。これによりSiH4
ラズマにおいて解離エネルギーの低いSiH3ラジカル
を優先的に生成することができ、高品質な膜を高速に形
成することが可能となる。さらにSiHx(x=0−
2)ラジカルの生成エネルギーは約4〜6eVであるの
で、電子温度が4eV以下であるという望ましい状況に
おいては、SiH3ラジカルの選択的な生成が可能であ
ると同時に、プラズマ電位も低くなり、膜へのイオン衝
撃ダメージが低減されるため望ましい。
【0019】また、本願の他の発明に係る薄膜堆積装置
および薄膜堆積方法は、原料ガスを分解して基板上に薄
膜を製造する方法において、薄膜堆積装置内に内壁の温
度調節手段を具備することを特徴としている。これによ
り結晶性シリコン薄膜の形成に重要な役割を果たすプラ
ズマ中の水素原子密度を制御することが可能となり、水
素原子密度が高くなる条件に薄膜堆積装置内壁の温度を
調整することにより、結晶性の高い多結晶シリコン薄膜
が形成できる。
【0020】また、本願の更に他の発明に係る薄膜堆積
装置および薄膜堆積方法は、誘電体を通して供給される
電磁界によって生成されるプラズマによって原料ガスを
分解し基板上にシリコン薄膜を製造する方法において、
原料ガスに少なくとも水素ガスおよびシリコン化合物ガ
スを含み、水素ガスはシリコン化合物ガスよりも誘電体
に近い位置より薄膜堆積装置内に導入されることを特徴
とする。これにより、電磁界を供給するための誘電体に
シリコン膜が堆積することを防止し、プラズマを安定し
て再現性よく生成することが可能となる。
【0021】本発明に係る装置又は本発明に係る方法に
おいて、形成される膜がアモルファスシリコン膜、微結
晶シリコン膜、多結晶シリコン膜のいずれかであること
は、薄膜トランジスタ、薄膜太陽電池、光センサー等の
電子デバイスを製造する上で望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、実施例を用いて本発明をさ
らに具体的に説明する。
【0023】図2は本発明における薄膜堆積装置の第1
実施例の概略図である。
【0024】具体的には、真空に排気するための排気系
2とガス導入系3に接続された処理容器1には、基板4
を加熱および支持するためのサセプタ5および導波管7
に設けたスロットアンテナ8より電磁界を供給するため
の誘電体9が設置されている。
【0025】膜形成のための原料ガスはガス導入系3よ
り処理容器1内に供給される。原料ガスはスロットアン
テナ8から誘電体9を通して供給されたマイクロ波によ
って生成された表面波プラズマにより、イオンおよびラ
ジカルにプラズマ分解され、加熱された基板4に堆積す
ることによって膜形成が行われる。
【0026】本発明の薄膜堆積装置の第1実施例におけ
る構成では、圧力によって決まるプラズマ中の電子衝突
周波数(電子の1秒間あたりの衝突頻度)よりも放電周
波数が高いため、これに電子が追従できなくなり、電子
へのエネルギー供給効率が減少する。このため大部分の
電子は低エネルギーを維持されるが、一部の電子は原子
分子と衝突して軌道が散乱されるため電界によって加速
され、高エネルギー電子となる。
【0027】このようなプラズマ中においては、電子の
エネルギー分布は通常のマックスウェル分布から外れ、
低エネルギーと高エネルギーの2電子温度の電子分布と
なる。この電子エネルギー分布を従来のRFプラズマと
比較したグラフを図1に示す。
【0028】従来のRFプラズマの電子エネルギー分布
がマックスウェル分布をしているのに対して、本発明の
第1実施例の薄膜堆積装置によるプラズマは2電子温度
の電子分布を示し、非マックスウェル分布となる。ま
た、高エネルギー電子に関しては両者ともほぼ同様の分
布をしているが、低エネルギー電子については、その存
在確率が最大となるエネルギーが本発明によるプラズマ
の方がより低くなる。
【0029】以下、本発明の第1実施例の薄膜堆積装置
を用いた薄膜の堆積方法の具体的な実施の形態を示す。
【0030】(実施の形態1)本実施の形態は、本発明
の第1実施例に示す薄膜堆積装置を用いたアモルファス
シリコンの薄膜堆積方法に関する。
【0031】本実施の形態では、図2に示す薄膜堆積装
置において、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)お
よび水素(H2)ガスを用い、これらの混合原料ガスを
ガス導入系3より処理容器1内に導入し容器内圧力を2
Torrとする。
【0032】そしてマイクロ波発振器6より2.45G
Hz、100Wの電力を処理容器1内に供給することに
よってプラズマを生成する。このプラズマによって原料
分子であるSiH4分子がSiH3ラジカルに分解され、
サセプタ5に内蔵されたヒータによって250℃に加熱
された基板4上に堆積することによってアモルファスシ
リコン膜が形成される。
【0033】本実施の形態では、プラズマ中の電子エネ
ルギー分布が非マックスウェル分布であり、低エネルギ
ー電子がエネルギーのより低い領域に偏った分布をして
いるため、解離エネルギーの低いSiH3ラジカルが優
先的に生成される。また、プラズマの高密度化に必要な
高エネルギー電子は従来とほぼ同等であるため、高密度
プラズマの生成が可能である。この結果、SiH3ラジ
カルの密度が高く、解離エネルギーが比較的高いSiH
x(x=0〜2)ラジカル密度の低いプラズマの生成が
可能であるため、高品質なアモルファスシリコン膜を高
速堆積することができる。
【0034】なお、本実施の形態では、プラズマの励起
に2.45GHzのマイクロ波を用いたが、励起周波数
としては、プラズマの電子衝突周波数よりも高い周波
数、例えば300MHzから8GHzの中から選択すれ
ば良い。また、その他の成膜条件も本実施の形態に限定
されるものではない。
【0035】なお、SiH4プラズマ中でSiH3ラジカ
ルを選択的に生成するには、SiH 4からSiH3ラジカ
ル、SiH2ラジカルへの解離エネルギーがそれぞれ約
4eV、約5eVであるため、プラズマの電子温度が5
eV以下であることが望まれる。
【0036】図3は本発明における薄膜堆積装置の第2
実施例の概略図である。
【0037】具体的には、真空に排気するための排気系
2とガス導入系3に接続された処理容器1には、基板4
を加熱および支持するためのサセプタ5および導波管7
に設けたスロットアンテナ8より電磁界を供給するため
の誘電体9が設置されている。
【0038】膜形成のための原料ガスはガス導入系3よ
り処理容器1内に供給される。原料ガスはスロットアン
テナ8から誘電体9を通して供給されたマイクロ波によ
って生成された表面波プラズマにより、イオンおよびラ
ジカルにプラズマ分解され、加熱された基板4に堆積す
ることによって膜形成が行われる。また、処理容器内に
は温度制御が可能なライナー10が設置されている。
【0039】プラズマ中の粒子組成は気相および内壁等
の表面での生成・消滅過程のバランスで決定されてい
る。
【0040】本発明の薄膜堆積装置の第2実施例におけ
る構成では、内壁表面での生成・消滅過程を、壁温によ
って制御することにより、プラズマの組成を変化させる
ことが可能となる。例えば、SiH4プラズマ中の水素
原子密度はライナー10の温度を高くすることによって
増加する。図4は発光分光法によってプラズマ中におけ
る水素原子の発光の内壁温度による変化を示している。
内壁の温度上昇にともない、水素原子の発光が増加して
いることがわかる。この理由としては、内壁の温度上昇
によって、水素原子の表面における消滅確率が低下した
ためであると考えられる。
【0041】以下、本発明の第2実施例の薄膜堆積装置
を用いた薄膜の堆積方法の具体的な実施の形態を示す。
【0042】(実施の形態2)本実施の形態は、本発明
の第2実施例に示す薄膜堆積装置を用いた多結晶シリコ
ンの薄膜堆積方法に関する。
【0043】本実施の形態では、図3に示す薄膜堆積装
置において、原料ガスとしてモノシラン(SiH4)お
よび水素(H2)ガスを用い、H2:SiH4=99:1
の混合ガスをガス導入系3より処理容器1内に導入し容
器内圧力を2Torrとする。そしてマイクロ波発振器6よ
り2.45GHz、300Wの電力を処理容器1内に供
給することによってプラズマを生成する。このプラズマ
によって原料分子であるSiH4分子がSiH3ラジカル
に分解され、サセプタ5に内蔵されたヒータによって3
00℃に加熱された基板4上に堆積することによって多
結晶シリコン膜が形成される。このとき、ライナー10
は200℃に加熱されており、水素原子のライナー表面
での消滅確率が減少するため、プラズマ中の水素原子密
度はライナーがない、もしくはライナーの温度が低い場
合に比べて増加している。この水素原子密度の増加によ
って、結晶性の高い多結晶シリコン膜が形成可能とな
る。
【0044】なお、本実施の形態においては、マイクロ
波励起プラズマの例を示したが、本発明は他のプラズマ
源、さらにはプラズマを用いない触媒加熱によるCVD
法を用いても同様の効果が得られる。
【0045】また、内壁(本実施の形態ではライナー1
0)の温度も200℃に限ることなく、室温(20℃)
以上であれば良い。ただし、内壁温度が基板温度以上に
なると、壁からの不純物放出などが問題となるため、内
壁の温度は基板温度以下に調整されることが望ましい。
【0046】図5は本発明における薄膜堆積装置の第3
実施例の概略図である。
【0047】具体的には、真空に排気するための排気系
2と二つのガス導入系(第1のガス導入系11と第2の
ガス導入系12)に接続された処理容器1には、基板4
を加熱および支持するためのサセプタ5およびスロット
アンテナ8より電磁界を供給するための誘電体9が設置
されている。
【0048】膜形成のための原料ガスはSiH4ガスお
よびH2ガスを用い、誘電体9の近くに設けられた第1
のガス導入系11よりH2ガスが、前記第1のガス導入
系11に比べ誘電体9から遠い位置に設けられた第2の
ガス導入系12よりSiH4ガスが処理容器1内に導入
される。
【0049】本実施例においては、スロットアンテナ8
内に第1のガス導入系11を設けている。スロットアン
テナ8から供給されたマイクロ波によってプラズマが生
成され、これにより原料ガスがイオンおよびラジカルに
分解され、加熱された基板4に堆積することによって膜
形成が行われる。
【0050】この時、誘電体9付近では基板4付近より
も、第2のガス導入系12より導入されたSiH4ガス
の密度が低く、第1のガス導入系11より導入されたH
2ガスの密度が高いため、水素ラジカルによるエッチン
グ効果が強くなり、誘電体9表面への膜堆積を防止する
ことができる。
【0051】この水素ラジカルによるシリコン膜のエッ
チングはエッチング表面の温度が低いほどエッチング速
度が速くなるため望ましい。これは、第1のガス導入系
11より導入されたガスを誘電体表面に吹き付けること
によって実現できる。このため、第1のガス導入系11
より熱伝導性の高いH2ガスを導入することは誘電体9
表面の温度を下げる効果も期待できる。
【0052】(実施の形態3)本実施の形態は、本発明
の第3実施例に示す薄膜堆積装置を用いた多結晶シリコ
ンの薄膜堆積方法に関する。
【0053】本実施の形態では、図5に示す薄膜堆積装
置において、原料ガスとしてSiH 4ガスおよびH2ガス
を用い、第1のガス導入系よりH2ガスを、第2のガス
導入系よりSiH4ガスをH2:SiH4=99:1とな
るように処理容器1内に導入し容器内圧力を2Torr
とする。そしてマイクロ波発振器6より2.45GH
z、350Wの電力を処理容器1内に供給することによ
ってプラズマを生成する。
【0054】このプラズマによって第2のガス導入系1
2より導入されたSiH4がSiH3ラジカルに分解さ
れ、サセプタ5に内蔵されたヒータによって350℃に
加熱された基板4上に堆積することによって多結晶シリ
コン膜が形成される。
【0055】なお本実施の形態では、誘電体9表面にお
いて、シリコン膜の堆積よりも水素ラジカルによるエッ
チングが優位にあるため、誘電体への膜堆積は起こらな
かった。
【0056】なお本実施の形態においては、第1のガス
導入系よりH2ガスを、第2のガス導入系よりSiH4
スを導入したが、この組み合わせに限らず、第1のガス
導入系からは少なくとも水素ガスを含み、シリコン化合
物ガスを含まないガスを導入し、第2のガス導入系から
は少なくともシリコン化合物ガスを含むガスを導入すれ
ば、本発明の効果は得られる。また、ガス導入系の数は
2つに限らず2つ以上あれば良い。
【0057】また、本実施の形態においては、マイクロ
波励起のプラズマにおける例をしめしたが、これに限ら
ず、誘電体を通して供給される電磁界によって生成され
るプラズマであればよい。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の構成によ
れば、低温で品質に優れたシリコン薄膜を生産性・再現
性よく製造することができる。従って、アクティブマト
リックス方式の液晶ディスプレイ等のように大面積のガ
ラス基板に薄膜トランジスタを作製する場合において
も、特性、信頼性の優れた薄膜トランジスタを生産性よ
く安定して作製することが可能となる。
【0059】また、本発明の構成において、半導体薄膜
が多結晶シリコン薄膜であるというより好ましい構成に
よれば、アモルファスシリコンTFTと比較して電界効
果移動度の高い多結晶シリコンTFTを低コストで再現
性よく作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ中の電子のエネルギー分布図
【図2】本発明の第1実施例における薄膜堆積装置の概
略図
【図3】本発明の第2実施例における薄膜堆積装置の概
略図
【図4】SiH4プラズマ中の水素発光強度の内壁温度
依存性を示す図
【図5】本発明の第3実施例における薄膜堆積装置の概
略図
【符号の説明】
1 処理容器 2 排気系 3 ガス導入系 4 基板 5 サセプタ 6 マイクロ波発振器 7 導波管 8 スロットアンテナ 9 誘電体 10 ライナー 11 第1のガス導入系 12 第2のガス導入系
フロントページの続き (72)発明者 豊田 浩孝 愛知県名古屋市北区中杉町3−20−4 Fターム(参考) 4K030 AA06 AA17 BA29 BA30 BB03 BB04 CA06 EA06 FA01 FA04 FA17 JA07 JA10 JA18 KA08 KA17 KA23 LA01 LA04 LA15 LA16 5F045 AA09 AA16 AB03 AB04 AC01 AD06 AD07 AE21 AF07 BB07 BB08 CA13 CA15 EC02 EC05 EE12 EF04 EF08 EH02 EH05 EH16 EH19 EK01 EK07

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料ガスのプラズマ分解により、基板上に
    薄膜を形成する薄膜堆積装置であって、前記プラズマの
    電子エネルギー分布が非マックスウェル分布であり、存
    在確率が最大となるエネルギーがマックスウェル分布に
    比べ低エネルギー側にあることを特徴とする薄膜堆積装
    置。
  2. 【請求項2】ガス導入系と排気系を具備した処理容器内
    にて、加熱された基板上に、原料ガスの分解により薄膜
    を形成する薄膜堆積装置であって、前記基板の温度を制
    御する手段と、少なくとも内壁の一部の温度を制御する
    手段を具備することを特徴とする薄膜堆積装置。
  3. 【請求項3】排気系と複数のガス導入系を具備した処理
    容器内に誘電体を通して供給される電磁界によって生成
    されるプラズマによって原料ガスを分解し、基板上に薄
    膜を形成する薄膜堆積装置であって、原料ガスに少なく
    とも水素ガスおよびシリコン化合物ガスを含み、少なく
    とも水素ガスを含みシリコン化合物ガスを含まない第1
    のガスが、少なくともシリコン化合物を含む第2のガス
    よりも前記誘電体に近い位置より処理容器内に導入され
    ることを特徴とする薄膜堆積装置。
  4. 【請求項4】原料ガスのプラズマ分解により、基板上に
    薄膜を形成する薄膜堆積方法であって、電子エネルギー
    分布が非マックスウェル分布であり、存在確率が最大と
    なるエネルギーがマックスウェル分布に比べ低エネルギ
    ー側にあるプラズマを用いて解離エネルギーの低いラジ
    カルを選択的に生成することを特徴とする薄膜堆積方
    法。
  5. 【請求項5】ガス導入系と排気系を具備した処理容器内
    にて、加熱された基板上に、原料ガスの分解により薄膜
    を形成する薄膜堆積方法であって、前記処理容器内壁の
    少なくとも一部の温度を調整することによって前記処理
    容器内の水素原子密度を制御することを特徴とする薄膜
    堆積方法。
  6. 【請求項6】排気系と複数のガス導入系を具備した処理
    容器内に誘電体を通して供給される電磁界によって生成
    されるプラズマによって原料ガスを分解し、基板上に薄
    膜を形成する薄膜堆積方法であって、原料ガスに少なく
    とも水素ガスおよびシリコン化合物ガスを含み、少なく
    とも水素ガスを含みシリコン化合物ガスを含まない第1
    のガスが、少なくともシリコン化合物を含む第2のガス
    よりも前記誘電体に近い位置より処理容器内に導入さ
    れ、前記誘電体にシリコン薄膜が付着しないことを特徴
    とする薄膜堆積方法。
  7. 【請求項7】薄膜がアモルファスシリコン膜、微結晶シ
    リコン膜、多結晶シリコン膜のいずれかであることを特
    徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の薄膜
    堆積装置。
  8. 【請求項8】プラズマの放電周波数が電子衝突周波数よ
    りも高いことを特徴とする請求項1に記載の薄膜堆積装
    置。
  9. 【請求項9】プラズマ中の電子温度が4eV以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜堆積装置。
  10. 【請求項10】処理容器内壁の少なくとも一部の温度が
    20℃以上、基板温度以下であることを特徴とする請求
    項2に記載の薄膜堆積装置。
  11. 【請求項11】少なくとも水素ガスを含みシリコン化合
    物ガスを含まない第1のガスが電磁界の導入位置に向け
    て導入されることを特徴とする請求項3に記載の薄膜堆
    積装置。
  12. 【請求項12】少なくとも水素ガスを含みシリコン化合
    物ガスを含まない第1のガスがスロットアンテナから処
    理容器内に導入され、電磁界がマイクロ波であることを
    特徴とする請求項3または請求項11に記載の薄膜堆積
    装置。
  13. 【請求項13】薄膜がアモルファスシリコン膜、微結晶
    シリコン膜、多結晶シリコン膜のいずれかであることを
    特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載の薄
    膜堆積方法。
  14. 【請求項14】プラズマの放電周波数が電子衝突周波数
    よりも高いことを特徴とする請求項4に記載の薄膜堆積
    方法。
  15. 【請求項15】プラズマ中の電子温度が4eV以下であ
    ることを特徴とする請求項4に記載の薄膜堆積方法。
  16. 【請求項16】処理容器内壁の少なくとも一部の温度が
    20℃以上、基板温度以下であることを特徴とする請求
    項5に記載の薄膜堆積方法。
  17. 【請求項17】少なくとも水素ガスを含みシリコン化合
    物ガスを含まない第1のガスが電磁界の導入位置に向け
    て導入されることを特徴とする請求項6に記載の薄膜堆
    積方法。
  18. 【請求項18】少なくとも水素ガスを含みシリコン化合
    物ガスを含まない第1のガスがスロットアンテナから処
    理容器内に導入され、電磁界がマイクロ波であることを
    特徴とする請求項6または請求項17に記載の薄膜堆積
    方法。
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