JP3609399B2 - 平坦面成形用型枠材 - Google Patents

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Description

本発明は、多層建築物のコンクリート製スラブやコンクリート製垂直壁体等のように、表面が平坦な構造物の施工に好適な平坦面成形用型枠材に関する。
従来、多層建築物の床や天井等として機能するコンクリート製スラブを建築現場で施工するためには、既設下層階の床面に多数の支柱を立てて上層階高さにまで届く架台を組み上げると共に、この架台の上に多数の木製合板を水平に敷きつめてコンクリート流し込み用の仮設床面を形成し、この仮設床面上にコンクリートを所定厚さに流し込んで固化させることにより、隣接する梁間を繋ぐコンクリート製スラブを完成すると言ったスラブ施工方法が採用されていた。しかし、この木製合板を使用するスラブ施工方法にあっては、木製合板の現場加工や架台組み上げ等のために多大な手間がかかること、架台解体後に回収される木製合板は精々数回程度しか再使用できないため、大量の廃棄物が発生してその焼却費用がかさむこと、等の問題点がある。
木製合板を使用しない従来例としては、デッキプレートと称される断面連続台形状の鋼製薄板をスラブ形成予定領域に敷きつめ、その上にコンクリートを流し込むと言うスラブ施工方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このデッキプレートを使用するスラブ施工方法にあっては、デッキプレート表面の窪みにコンクリートが満たされることで余分な量のコンクリートが必要となり、コンクリートの使用量が多くなること、デッキプレート表面の凸部が梁高さ内より突出することから階高が必要以上に高くなること、等の問題点がある。
木製合板を使用しないさらに他の従来例としては、ハイデッキと称される表面が平坦で裏面側には長手方向に沿って補強用突条部を有する鋼製薄板を使用するスラブ施工方法が知られている。このハイデッキを使用したスラブ施工方法の説明図が図33に示されている。
同図(a)には、型枠組み上げ完了後にコンクリートを打設した状態が示されている。同図において、501は左側の梁成形用型枠、502は右側の梁成形用型枠である。左側の梁成形用型枠501は、型枠左側板501aと型枠右側板501bと型枠底板501cとを有する。左側の梁成形用型枠501は、梁受け基台503の上に2本の枕木504,504と2本の単管(パイプ材)505,505を介して支持されている。型枠左側板501aは、上部桟木507と下部桟木508とにより垂直な姿勢で支持されている。型枠右側板501bは、上部桟木509と下部桟木510とにより垂直な姿勢で支持されている。梁受け基台503は、既設下層階の床面上に立設された支柱(サポート)506,506により水平に支持されている。
同様にして、右側の梁成形用型枠502は、型枠左側板502aと型枠右側板502bと型枠底板502cとを有する。右側の梁成形用型枠502は、梁受け基台511の上に2本の枕木512,512と2本の単管(パイプ材)513,513を介して載置されている。型枠左側板502aは、上部桟木514と下部桟木515とにより垂直な姿勢で支持されている。型枠右側板502bは、上部桟木516と下部桟木517とにより垂直な姿勢で支持されている。梁受け基台511は、既設下層階の床面上に立設された支柱(サポート)518,518により水平に支持されている。
左側の梁成形用型枠501と右側の梁成用型枠502との間には、細長い長方形状を有するハイデッキ519が紙面と直交する方向へと多数隣接して水平に架け渡され、それによりコンクリート流し込み用の床面が形成される。ハイデッキ519は、長手方向の略中間部をバタ角(枕木用角材)521を介して支柱520により下から支持される。ハイデッキ519の表面519aは平坦であり、かつ裏面側には長手方向へと延びる補強用突条部519bが複数並列に設けられている。ハイデッキ519を敷きつめてなる床面には、厚さDだけコンクリートが流し込まれ、同時に、左右の梁用型枠501,502の内部空所501d,502dにもコンクリートが流し込まれることにより、左右の梁522,523とそれらの梁を繋ぐスラブ524とが一体的に成形される。
ところで、ハイデッキ519は、梁間の間隔に合わせて工場にて裁断された状態で現場に搬入される。勿論、ハイデッキは鋼製薄板であるから材質的には何度でも再利用することは可能である。しかし、この種の多層建築物における隣接する梁間の距離は、現場ごと乃至物件ごとに異なることが普通であるから、ある現場で使用後回収されたハイデッキを別の現場で再利用することは現実には極めて困難であり、再利用のために現場からハイデッキを回収すれば、その保管場所に苦慮する結果となる。そのため、この種のハイデッキを使用したスラブ施工方法にあっては、現場からの回収の必要を回避するために、ハイデッキを施工完了後も梁間に架け渡したままの状態に残す(所謂「はめ殺し」状態とする)と言う手法が採用される。
具体的には、図33(a)に示されるように、ハイデッキ519を左右の梁成形用型枠501,502間に架け渡すときに、ハイデッキ519の図中左側端部の先端519cについては、型枠右側板501bの内面よりもΔLだけ突出させると共に、図中右側端部の先端519dについても、型枠左側板502aの内面よりもΔLだけ突出させるのである。こうすると、スラブ施工完了後にあっては、ハイデッキ519の両端部がコンクリート製梁522,523の内部に食い込むこととなって、ハイデッキ519とスラブ524とが一体となり、ハイデッキ519は所謂はめ殺し状態となるのである。
図33(b)には、型枠除去後のハイデッキ519のはめ殺し状態が示されている。図から明らかなように、左右の梁成形用型枠501,502が解体されると、左右の梁522,523及びスラブ524が剥き出し状態となる。加えて、図中符号525が付された円内に示されるように、ハイデッキ519の端部先端519cは梁522内に突出した状態となる。同様に、反対側の端部先端519dについても、梁523内に突出した状態となる。そのため、ハイデッキ519はその両端部を梁522,523に食い込ませた状態で、スラブ524の下面にはめ殺し状態で残される。
実開平5−67716号公報(第1頁、第2頁、図1)
上述のハイデッキを使用したスラブ施工方法にあっては、ハイデッキの表面は平坦であるから、デッキプレートを使用したスラブ施工方法に比べて、コンクリートの使用量を軽減できると共に、デッキプレートを使用した場合のように、表面の凸部が梁高さ内より突出することがないから、階高が必要以上に高くなることもない、等の利点がある。
しかし、ハイデッキを使用したスラブ施工方法にあっては、工事完成後にハイデッキを回収したとしても、梁間隔の相違から他の現場での再利用が困難である理由から、ハイデッキははめ殺し状態とされることが多く、その結果、次のような問題点が生じている。
第1には、断面欠損による梁の強度低下の問題である。すなわち、先に図33(a),(b)を参照して説明したように、ハイデッキをはめ殺しとするためには、ハイデッキ519の両端部先端519a,519bを梁522,523の基部に長さΔLだけ食い込ませる必要がある。これは、見方を変えると、梁522,523の基部に、ハイデッキが食い込んだ分だけ、断面欠損が生じていることを意味する。そのため、断面欠損が生じた分だけ、梁522,523の強度は低下せざるを得ない。断面欠損による梁の強度低下を考慮して、設計段階から梁の太さを余分に太くしておくことも考えられる。しかし、そのためにはコンクリート使用量がその分だけ増加してコストアップが招来されるため、そのような策は現実には採用しがたい。実際、そのような施工時の理由(断面欠損)により、梁の強度低下が生じていることを知っている設計者は少ないのが現状である。そのため、現実には、多くの多層階建築物において、ハイデッキのはめ殺しに起因して、断面欠損による梁の強度低下が生じているものと推定され、事態はかなり深刻である。
第2には、スラブ下面に露出するハイデッキに生ずる結露の問題である。すなわち、ハイデッキは金属製であるため、これが大気に露出すると表面に結露が生じ易い。これを回避するためには、結露対策として石綿等を塗布する工事が必要となり、コストアップが招来される。
第3には、スラブに貫通口を明ける後工事の際の問題である。すなわち、スラブに開口部を形成する場合には、ハイデッキがハメ殺し状態であるため、スラブの開口部に対応してハイデッキに切断機等で孔を開けなければならず、スラブ施工後の工事に手間がかかる。
本発明は、上述のような従来の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、スラブ施工のための型枠構築に利用した場合、デッキプレートを使用したスラブ施工方法に比べて、コンクリートの使用量を軽減することができ、デッキプレートを使用した場合のように、表面の凸部が梁高さ内より突出することにより、階高が必要以上に高くなることもなく、施工完了後に回収して再利用することができる、平坦面成形用型枠材を提供することにある。
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、以下の明細書の記載を参照することにより、当業者であれば容易に理解される筈である。
本発明の平坦面成形用型枠材は、成形面となる平坦な表面を有する平板部と、平板部の裏面側に突出しかつ平板部の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部と、を有する第1の型枠部材と、成形面となる平坦な表面を有する平板部と、平板部の裏面側に突出しかつ平板部の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部と、を有する第2の型枠部材と、を含んでいる。ここで、補強用突条部は、平板部を裏側へとプレス加工で突出させたものでもよいし、平板部の裏側に突条部品を取り付けたものでもよい。
第1の型枠部材後端側における補強用突条部の所定長さ部分の断面形状と、第2の型枠部材前端側における補強用突条部の所定長さ部分の断面形状とは、両者のスライド嵌合を許容する相補関係をなしている。ここで、相補関係にはサイズの異なる相似関係も含まれる。
また、第1の型枠部材後端側の所定長さ部分又は第2の型枠部材前端側の所定長さ部分には、両型枠部材を互いの平板部同士が重なり合いかつ補強用突条部同士が嵌合する状態でスライドさせた際に、相手方型枠部材の一部を受け入れるスライド許容スリットが形成されている。
また、第1の型枠部材前端側における平板部の所定長さ部分、及び第2の型枠部材後端部の所定長さ部分は載架代とされている。
さらに、第1の型枠部材と第2の型枠部材とは、平板部同士を互いに重ね合わせ、かつ補強用突条部同士を嵌合させた状態でスライド自在に結合されることにより、前後方向へと所定範囲で長さ調整可能とされる。
このような型枠材は、適宜離間された2本の梁の間隔に合わせて長さ調整したのち、前端側載架代及び後端側載架代を介してそれらの梁間にほぼ水平に架け渡され、かつ隣接するもの同士が相互に一部を重ね合わされることにより、スラブ成形用型枠を構築可能とされる。
本発明の平坦面成形用型枠材は、以上の如く構成されているため、デッキプレートを使用したスラブ施工方法に比べて、コンクリートの使用量を軽減することができ、またデッキプレートを使用した場合のように、表面の凸部が梁高さ内より突出して、階高が必要以上に高くなることもない。
また、本発明の平坦面成形用型枠材は、ハイデッキとは異なり長さ調整が可能であるから、建築現場ごとに梁同士の間隔が異なる場合であっも、どの建築現場にも容易に適合させることができ、そのため、ある現場で使用された型枠材を施工完了後に回収して他の現場で再使用すると言った型枠材の繰り返し再利用が可能となり、この種のスラブ施工工事の費用を著しく節減することができる。
また、本発明の平坦面成形用型枠材は、繰り返し再利用可能であるため、現場にはめ殺しにする必要もなくなり、現場はめ殺しに起因して従来問題視されていた、断面欠損による梁の強度低下の問題、結露生成回避工事の問題、及びスラブを貫通する開口工事の際の問題を一挙に解決することができる。
本発明において、スライド許容スリットとしては、下側に位置する型枠部材の平板部を、その前端縁から後方へと左右に分離するようにして、所定長さ直線状に切り込み形成されたものを採用してもよい。このような構造のスライド許容スリットは、上側に位置する型枠部材の平板部と補強用突条部とを上下に繋ぐ連結部を受け入れる。そのため、第1の型枠部材と第2の型枠部材とはスライド許容スリットを介して左右方向への動きを規制されることとなる。
本発明において、スライド許容スリットとしては、上側に位置する型枠部材の平板部と補強用突条部とを、その前端縁から後方へと上下に分離するようにして、所定長さ直線状に切り込み形成されたものを採用してもよい。このような構造のスライド許容スリットは、下側に位置する型枠部材の平板部を受け入れる。そのため、第1の型枠部材と第2の型枠部材とはスライド許容スリットを介して上下方向への動きを規制されることとなる。
本発明において、スライド許容スリットの間隔は、対象となる平板部をスムーズに受け入れることができるように、スライドスリットの奥部から入口部までほぼ一定間隔が保持される、ようにしてもよい。このような構成によれば、長さ調整する際における第1の型枠部材と第2の型枠部材とのスライドがスムーズなものとなり、現場作業員の労力を軽減することができる。
本発明において、第1の型枠部材後端側における補強用突条部の先端、及び/又は、第2の型枠部材前端側における補強用突条部の先端を、対応する平板部の先端よりも適宜距離だけ突出させるようにしてもよい。このような構成によれば、第1の型枠部材と第2の型枠部材との結合に際して、平板部先端同士の干渉を受けることなく、補強用突条部同士を突き合わせ嵌合可能となる。そのため、分離状態にある第1の型枠部材と第2の型枠部材とを結合一体化する際の作業性が良好なものとなる。
本発明において、第1の型枠部材の補強用突条部の断面形状と第2の型枠部材の補強用突条部の断面形状とを互いに相似の関係とし、かつそれら2つの補強用突条部の一方を大径部分と小径部分とに長手方向へ分割された段付構造のものとし、かつ小径部分は他方の補強用突条部に対して挿入可能とし、さらに段付構造を有する側の補強用突条部の小径部分を絞り加工により形成するようにしてもよい。このような構成によれば、第1の型枠部材と第2の型枠部材との結合は、一方の部材の補強用突条部の小径部が他方の部材の補強用突条部の大径部に挿入されて両者が嵌合することで実現される。そのため、第1の型枠部材と第2の型枠部材とのスライド結合は非常にスムーズなものとなる。加えて、補強用突条部を段付き構造とするために絞り加工を採用したため、大径部分と小径部分とを一体的かつ低工数で製作することができる。また、第1の型枠部材と第2の型枠部材とで同一太さの突条材料を使用し、そのうちいずれかの型枠部材に使用するものだけを絞り加工するだけですみ、材料の共通化によるコストダウンを図ることもてきる。さらに、段付き構造を実現するために絞り加工を採用したため、大径部分と小径部分とを別部品として溶接等で両者を結合する場合に比べて強度が向上する。このとき、補強用突条部の断面形状をV字状とすれば、曲げ強度が高い断面三角形構造となると共に材料使用料も最小で済み、その分だけ軽量化を図ることもできる。
なお、平板部の素材としては、再使用可能なものを適宜に選択すればよく、強度並びに価格の点からは金属製薄板材(例えば、鋼板、アルミ板等)を使用すればよい。また、平板部の厚みについては、要求される強度と価格と重量とを考慮して決定すればよく、この実施形態では厚さ0.6mm〜1.6mm、好ましくは0.8mm〜1.0mm程度の鋼板が使用されている。
以上説明した通り、本発明に係るスラブ対応の平坦面成形用型枠材によれば、デッキプレートを使用したスラブ施工方法に比べて、コンクリートの使用量を軽減することができ、またデッキプレートを使用した場合のように、表面の凸部が梁高さ内より突出して、階高が必要以上に高くなることもない。また、本発明の平坦面成形用型枠材は、ハイデッキとは異なり長さ調整が可能であるから、建築現場ごとに梁同士の間隔が異なる場合であっも、どの建築現場にも容易に適合させることができ、そのため、ある現場で使用された型枠材を施工完了後に回収して他の現場で再使用すると言った型枠材の繰り返し再利用が可能となり、この種のスラブ施工工事の費用を著しく節減することができる。さらに、本発明の平坦面成形用型枠材は、繰り返し再利用可能であるため、現場にはめ殺しにする必要もなくなり、現場はめ殺しに起因して従来問題視されていた、断面欠損による梁の強度低下の問題、結露生成回避工事の問題、及びスラブを貫通する開口工事の問題を一挙に解決することができる。
以下に、本発明の好適な実施の一形態を添附図面にしたがって詳細に説明する。なお、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲によってのみ特定されるものであり、以下の実施の形態は本発明の一例を示すものに過ぎない。
図1には、本発明者により開発された新規な平坦面成形用型枠材(床用)の表面を上に向けた状態の側面図(第1実施形態)が示されいる。同図に示されるように、この平坦面成形用型枠材1は、成形面(コンクリート等の成形材料と接する面)となる平坦な表面101sを全長に亘り有する平板部101と、平板部101の裏面側(図中、下面側)に突出しかつ平板部101の前後方向(図中左右方向)へと直線状に延びる補強用突条部102と、を有する第1の型枠部材100と、成形面となる平坦な表面151sを全長に亘り有する平板部151と、平板部151の裏面側(図中、下面側)に突出しかつ平板部151の前後方向(図中左右方向)へと直線状に延びる補強用突条部152と、を有する第2の型枠部材150と、を含んでいる。
後に詳細に説明するように、第1の型枠部材100と第2の型枠部材150とは、平板部101,151同士を互いに重ね合わせ、かつ補強用突条部同士102,152を嵌合させた状態でスライド自在に結合されており、これにより前後方向へと所定範囲で長さ調整が可能となされている。
図2には、同型枠材(床用)のA−A線端面図及び平面図(第1実施形態)が示されている。図1及び図2(b)においては、作図の都合上、前後方向の長さを縮めて描かれているが、第1の型枠部材100の平板部101及び第2の型枠部材150の平板部151は何れも前後方向に細長い長方形状に形成されている。その材質としては、この例にあっては、0.6〜1.6mm、好ましくは0.8〜1.0mm程度の厚さの薄肉鋼板が採用され軽量化が図られている。型枠材1の幅及び前後方向の長さは、対象となる建築現場の標準的な建築規格に合わせて適宜設定すればよい。この例にあっては、平板部101及び平板部151の幅W1は630mmとされている。又、型枠材1の前後方向の全長L1は、8種類の規格が用意されている。それぞれの規格における長さ調整範囲は、1400〜1900mm,1900〜2400mm,2400〜2900mm,2900〜3400mm,3400〜3900mm,3900〜4400mm,4400〜4900mm,4900〜5400mmとされている。この例から明らかなように、第1の型枠部材の平板部101(下側)と第2の型枠部材の平板部151(上側)とが重ね合わされた重合部190のスライドストロークL2は500mmとされている。
図3には、第1の型枠部材の接続側端面斜視図(第1実施形態)が、図4には第2の型枠部材の接続側端面斜視図(第1実施形態)がそれぞれ示されている。図3に示されるように、第1の型枠部材100の平板部101には、裏面側(図では下面側)に突出し、かつ平板部101の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部102が設けられている。図では、3本の補強用突条部102が互いに平行に等間隔で設けられている。補強用突条部同士の間隔は、平板部101として使用される鋼板の強度と成形材料であるコンクリートの重量を考慮して決定すればよい。補強用突条部102は、図に示されるように、直線状断面を有する細条部102aと中空三角形状断面を有する太条部102bとを有する。このような断面形状を有する補強用突条部102は、平板部101を構成する薄肉鋼板をプレス加工で折り曲げて形成される。特に、細条部102aについては、対向密接する2枚の鋼板が開かないように、その長手方向適宜箇所においてスポット溶接で接合される。平板部101の図中左側の側縁部には、平板部101を構成する鋼板を裏面側へと直角に折り曲げてなる連結用突片104が設けられている。この連結用突片104は、複数枚の型枠材1を並列に配置する場合において、隣接する型枠材1の連結用スリット106(図2(b)参照)に差し込まれる。尚、図では平板部101を構成する鋼板をプレス加工で折り曲げることにより補強用突条部102を形成しているが、平板部101と補強用突条部102とを別部品で構成し、両者を溶接で接合しても同様な構造を得ることができる。
図4に示されるように、第2の型枠部材150の平板部151には、裏面側に突出しかつ平板部151の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部152が設けられている。図から明らかなように、補強用突条部152は、平行2直線状断面を有する細条部152aと中空三角形状断面を有する太条部152bとを有する。このような補強用突条部152は、同様にして、平板部151を構成する薄肉鋼板をプレス加工により折り曲げて形成される。尚、図では、細条部152aにおいては、対向する2枚の鋼板が大きく開かれて描かれている。これはスライド許容スリット157を明瞭に描くために、実際よりも幾分誇張されたものである。
このように、スライド許容スリット157は、図2(b)に示されるように、下側に位置する型枠部材150の平板部151を、その前端縁(図では後端107)から後方(図では前方)へと左右に分離するようにして、所定長さ(L2)だけ直線状に切り込み形成されており、このスライド許容スリット157によって、上側に位置する型枠部材100の平板部101と補強用突条部102とを上下に繋ぐ細条部102aが受け入れられる。より具体的には、平板部101の表面に生ずる前後方向へ延びる裂け目のうちで、接合領域101pに相当する部分はスポット溶接により閉じられており、非接合領域101qに相当する部分はスポット溶接が存在しない開いたままの状態とされ、この非接合領域101qがスライド許容スリット157として機能する。
図1及び図2(b)に戻って、第1の型枠部材100の前端105の所定長さ部分には鋼板を裏当てする等により薄肉のままで補強された平坦な載架代103が設けられており、同様にして、第2の型枠部材150の後端156の所定長さ部分にも、鋼板を裏当てする等により薄肉のままで補強された平坦な載架代153が設けられている。これらの載架代103,153は、後に図5を参照して説明するように、型枠材1を隣接する梁成形用型枠125,126の間に掛け渡す際に、上部桟木133及び上部桟木138にそれぞれ載架される。
以上説明したように、この平坦面成形用型枠材1は、第1の型枠部材100と第2の型枠部材150とを有する。第1の型枠部材100には、成形面となる平坦な表面101sを有する平板部101と、平板部101の裏面側に突出しかつ平板部101の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部102を有する。同様にして、第2の型枠部材150には、成形面となる平坦な表面151sを有する平板部151と、平板部151の裏面側に突出しかつ平板部151の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部152とを有する。第1の型枠部材100の後端107側における補強用突条部102の所定長さ(L2)部分の断面形状(細条部102a,太条部102b)と、第2の型枠部材150の前端155側における補強用突条部152の所定長さ(L2)部分の断面形状(細条部152a,太条部152b)とは、両者のスライド嵌合を許容する相補関係(この例では、相似関係)をなしている。第1の型枠部材100の後端107側の所定長さ部分(L2)には、両型枠部材100,150を互いの平板部同士101,151が重なり合いかつ補強用突条部同士102,152が嵌合する状態でスライドさせた際に、相手方型枠部材(この例では、第1の型枠部材100)の一部(細条部102a)を受け入れるスライド許容スリット157が形成されている。第1の型枠部材100の前端105側における平板部101の所定長さ部分は薄肉のままで補強された載架代103とされており、また第2の型枠部材150の後端部156側の所定長さ部分も薄肉のままで補強された載架代153とされている。そして、第1の型枠部材100と第2の型枠部材150とは、重合部190において平板部同士101,151を互いに重ね合わせ(平板部101が上側、平板部151が下側)、かつ補強用突条部同士を嵌合(補強用突条部102が内側に、補強用突条部152が外側に)させた状態でスライド自在に結合されることにより、型枠材1は前後方向へと所定範囲(L2)で長さ調整可能とされる。このようにして得られた平坦面成形用型枠材1は、適宜離間された2本の梁の間隔に合わせて長さ調整された後、前端側載架代103及び後端側載架代153を介してそれらの梁間にほぼ水平に掛け渡されかつ隣接するもの同士が相互に一部を重ね合わされることにより、スラブ成形用型枠を構築することができる。
次に、上述の構成を有する平坦面成形用型枠材1を用いたスラブ施工方法を、図5〜図8を参照しながら詳細に説明する。図5には、型枠材1を用いた型枠組み上げ状態が示されている。
本発明のスラブ施工方法は、第1のステップ〜第4のステップからなる4つのステップから構成される。第1のステップでは、成形面となる平坦な表面を有しかつ成形材料の重量に耐えうるように補強された2枚の平板を、一方の平板の後端部と他方の平板の前端部とが重なり合う状態で前後方向へとスライド自在に結合してなる長さ調整可能な平坦面成形用型枠材を所要枚数だけ用意する。ここで言う『平坦面成形用型枠材』としては、先に図1〜図4を参照して詳細に説明した平坦面成形用型枠材1を使用することができる。
続く第2のステップでは、第1のステップで用意された平坦面成形用型枠材1を、水平方向へと離間された2つの梁成形用型枠125,126の対向する上縁部(上部桟木133)と上縁部(上部桟木138)との間に、各平坦面成形用型枠材1の先端(平坦部101の前端105,平坦部151の後端156)が梁成形用型枠125,126の成形材料充填空所145,146にはみ出さないように長さ調整した上で、所要枚数だけ隣接して掛け渡すことにより成形材料流し込み用の床面を構築する。
すなわち、図5において、125は左側の梁成形用型枠、126は右側の梁成形用型枠である。左側の梁成形用型枠125は、型枠左側板125aと型枠右側板125bと型枠底板125cとを有する。左側の梁成形用型枠125は、梁受け基台127の上に2本の枕木128,128と2本の管材(単管)129,129を介して支持されている。型枠左側板125aは、上部桟木131と下部桟木132とにより垂直な姿勢で支持されている。同様に、型枠右側板125bは、上部桟木133と下部桟木134とにより垂直な姿勢で支持されている。梁受け基台127は、既設下層階の床面147上に立設された上部受け台付きの支柱(サポート)130,130により水平に支持されている。
同様にして、右側の梁成形用型枠126は、型枠左側板126aと型枠右側板126bと型枠底板126cとを有する。右側の梁成形用型枠126は、梁受け基台135の上に2本の枕木136,136と2本の管材(単管)137,137を介して支持されている。型枠左側板126aは、上部桟木138と下部桟木139とにより垂直な姿勢で支持されている。型枠右側板126bは、上部桟木140と下部桟木141とにより垂直な姿勢で支持されている。梁受け基台135は、既設下層階の床面上に立設された上部受け台付き支柱(サポート)142,142により水平に支持されている。
このようにして、架台の組み上げ及び左右の梁成形用型枠125,126のくみ上げが完了したならば、次に左側の梁成形用型枠125と右側の梁成形用型枠126との間に、本発明の型枠材1を紙面と直交する方向へ多数隣接して水平に掛け渡す。これにより、コンクリート流し込み用の床面が形成される。型枠材1は、重合部190の部分を、バタ角(枕木用角材)144を介して、支柱143により下から支持される。第1の型枠部材100及び第2の型枠部材150はそれぞれ補強用突条部102,152を介してその全長にわたり補強されているから、それらが重なり合って存在する重合部190の下面をバタ角144を介して支柱143で支持するだけで、成形材料であるコンクリートの重量に十分に耐えることができる。それ以上の余分なサポートは基本的には不要であるから、架台組み上げ工数を削減することができる。
もっとも、この第2のステップにおいては、平坦面成形用型枠材の先端(第1の型枠部材100の前端105,第2の型枠部材150の後端156)が梁成形用型枠125,126の成形材料充填空所145,146にはみ出さないように長さ調整しなければならない。
図6には、本発明と従来例とで型枠材の端部支持方法が比較して示されている。同図(b)に示されるように、従来の端部支持方法にあっては、先に図31を参照して説明したように、ハイデッキ519をはめ殺しとするためには、ハイデッキ519の先端519dを、型枠左側板502aの内面よりもΔLだけ空所523内へと突出させる。これに対して、本発明の端部支持方法にあっては、図中水平方向両矢印に示されるように伸縮させつつ、型枠材1を長さ調整して、型枠材1の先端156が空所146内に突出しないようにして、載架部153を上部桟木138の上に載架させるのである。図6は右側の梁成形用型枠126について説明するが、左側の梁成形用型枠125における端部支持方法についても、先端105が空所145内へと突出しないように調整しながら、載架部103を上部桟木133の上に載架することは同様である。
続く第3のステップでは、第2のステップで構築された成形材料流し込み用の床面に成形材料であるコンクリートを流し込む。図7には、型枠組み上げ後のコンクリート打設状態が示されている。同図に示されるように、型枠材1を複数並列に掛け渡してなる床面上にコンクリートを流し込むと、流し込まれたコンクリートは左側の梁成形用型枠125の空所145及び右側の梁成形用型枠126の空所146のそれぞれに流れ込む。その結果、図7に示されるように、厚さDにコンクリートを流し込むことによって、左右の梁123,124と床となるべきスラブ148とを一体的に成形することができる。
続く第4のステップでは、第3のステップで流し込まれた成形材料であるコンクリートが固化するのを待って、梁成形用型枠125,126を解体すると共に、各平坦面成形用型枠1を成形体であるスラブ148から分離回収する。平坦面成形用型枠材の除去前状態が図8(a)に示されている。この例にあっては、左右の梁成形用型枠125,126は既に解体されている。このとき重要な点は、型枠材1の先端105及び後端156は何れも梁123,124にくい込んでいないという点である。続いて、コンクリートスラブの完成状態が図8(b)に示されている。支柱143及びバタ角144は除去され、これにより型枠材1が撤去されると、符号aが付された円内に示されるように、断面欠損が全く存在しない梁123,124が得られる。
図1〜図4に示された型枠材1において、第1の型枠部材100と第2の型枠部材150との嵌合構造はそれ以外にも種々なものが考えられる。図9及び図10にはその他の嵌合構造が示されている。図9(a)に示される嵌合構造は、第1の型枠部材の平板部101Aが上側に、第2の型枠部材の平板部151Aが下側に位置するようにして両者を重ね合わせ、かつ第1の型枠部材の突条部102A及び第2の型枠部材の突条部152Aを何れも断面二等辺三角形状としたものである。この場合、スライドスリット157Aは、下側に位置する型枠部材の平板部151Aを、その前端縁から後方へと左右に分離するようにして、所定長さ直線状に切り込み形成される。このスライド許容スリット157Aによって、上側に位置する型枠部材の平板部101Aと補強用突条部102Aとを上下に繋ぐくびれ部が受け入れられる。
図9(b)に示される嵌合構造は、第1の型枠部材の平板部101Bを上側に、第2の型枠部材の平板部151Bを下側にして両者を重ね合わせると共に、第1の型枠部材の突条部102B及び第2の型枠部材の突条部152Bを何れも断面逆T字形状としたものである。この場合、スライド許容スリット157Bは、下側に位置する型枠部材の平板部151Bを、その前端縁から後方へと左右に分離するようにして、所定長さ直線状に切り込み形成される。このスライド許容スリット157Bによって、上側に位置する型枠部材の平板部101Bと補強用突条部102Bとを上下に繋ぐ連結部が受け入れられる。
図10に示される嵌合構造は1枚の薄板鋼板をプレス加工により折り曲げて突条部を形成するのではなく、平板部と補強用突条部とを別部品として、両者を溶接により固定するようにしたものである。さらにこの例にあっては、図1〜図9の例とは異なり、第2の型枠部材の突条部の周囲を第1の型枠部材の突条部が取り囲むものではない。すなわち、図10(a)に示されるように、第1の型枠部材の結合部にあっては、平板部101Cとその裏面側に溶接固定された断面L字状の突条部102Cとを有している。また、同図(b)に示されるように、第2の型枠部材の結合部については、スライド許容スリット157Cを有する平板部151Cと、その裏面側に溶接固定されたL字状突条部152Cとを有している。つまり、スライド許容スリット157Cは、下側に位置する型枠部材の平板部151Cを、その前端縁から後方へと左右に分離するようにして、所定長さ直線状に切り込み形成されている。このスライド許容スリット157Cによって、図10(c)に示されるように、上側に位置する型枠部材の平板部101Cと補強用突条部102Cとを上下に繋ぐ連結部が受け入れられる。
このように、第1の型枠部材と第2の型枠部材とを、平板部同士を互いに重ね合わせ、かつ補強用突条部同士を嵌合させた状態でスライド自在に結合するための嵌合構造としては、様々な構造のものを採用することができる。従って、第1の型枠部材後端側における補強用突条部の所定長さ部分の断面形状と、第2の型枠部材前端側における補強用突条部の所定長さ部分の断面形状とは、両者のスライド嵌合を許容する相補関係をなすものであればよいことが理解されるであろう。加えて、第1の型枠部材後端側の所定長さ部分又は第2の型枠部材前端側の所定長さ部分には、両型枠部材を互いの平板部同士が重なり合いかつ補強用突条部同士が嵌合する状態でスライドさせた際に、相手方型枠部材の一部を受け入れるスライド許容スリット157A〜157Cが形成されることが重要であることも理解されるであろう。
次に、図11には、平坦面成形用型枠材(床用)の分離状態を示す底面斜視図(第2実施形態)が示されている。この第2実施形態に係る平坦面成形用型枠材(床用)の特徴は、(1)平板部と補強用突条部とを別部品として、両者を溶接で接合したこと、(2)スライド許容スリットが、上側に位置する型枠部材の平板部と補強用突条部とを、その前端縁から後方へと上下に分離するようにして所定長さ直線状に切り込み形成されたものとすると共に、このスライド許容スリットによって、下側に位置する型枠部材の平板部が受け入れられるようにしたこと、(3)第1の型枠部材側又は第2の型枠部材側の突条部を、小径部分と大径部分とに二分された段付き構造としたこと、(4)スライド許容スリットの間隔を、対象となる平板部をスムーズに受け入れることができるように、スライドスリットの奥部から入口までほぼ一定間隔が保持されるようにしたこと、(5)第1の型枠部材後端側における補強用突条部の先端、及び/又は、第2の型枠部材前端側における補強用突条部の先端を、対応する平板部の先端よりも適宜距離だけ突出させ、それにより第1の型枠部材と第2の型枠部材との結合に際して、平板部先端同士の干渉を回避するようにしたこと等にある。
図11に示されるように、この平坦面成形用型枠材2は、第1の型枠部材200と第2の型枠部材250とを有する。第1の型枠部材200は、成形面となる平坦な表面201s(図13参照)をその全長に亘り有する平板部201と、平板部201の裏面側に突出しかつ平板部201の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部202とを有する。この例にあっては、補強用突条部202は、小径部分202aと大径部分202bとを有する段付き構造となっている。小径部分202a及び大径部分202bの詳細については後に触れることとする。一方、第2の型枠部材250は、成形面となる平坦な表面251s(図14参照)をその全長に亘り有する平板部251と、平板部251の裏面側に突出しかつ平板部251の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部252とを有する。第2の型枠部材250側の補強用突条部252はその全長にわたり径ないし太さが一定とされている。
図12には、第1の型枠部材の構成図(第2実施形態)が、図13には第1の型枠部材の破断端面図(第2実施形態)がそれぞれ示されている。それらの図から明らかなように、この例にあっては、補強用突条部202を構成する小径部分202aは、金属製管材である小径鋼管203が用いられ、また大径部分202bは同様に金属製管材である大径鋼管204が用いられている。小径鋼管203の基部は大径鋼管204内に挿入された後、適宜な結合手段でしっかりと固定されている。結合手段としては、溶接、圧入嵌合、ネジ止め等の適宜な手法を採用することができる。大径鋼管204は、左右のL字金具205,206を介して、第1の型枠部材の平板部201の裏面側にスポット溶接で固定される。より具体的には、スポット溶接箇所は、左右のL字金具205,206と平板部201の裏面との間、及び左右のL字金具205,206と大径鋼管204の両側面との間に設定される。小径鋼管203の外径と大径鋼管204の内径とはほぼ同一とされる。そのため、図12(b)及び図13(b)に示されるように、第1の型枠部材の平板部201と小径鋼管203との間には、その全長にわたりほぼ一定の間隔dが保たれたスライド許容スリット208が形成されることとなる。換言すれば、スライド許容スリット208は、上側に位置する型枠部材の平板部201と補強用突条部203との連結部を、その前端縁から後方へと上下に分離するようにして、所定長さ直線状に切り込み形成されたものとなる。図12に示されるように、小径部分202aを構成する小径鋼管203の先端209は、平板部201の端縁208よりも距離L3だけ突出した状態となっている。また、平板部201の端縁208と反対側の端縁には鋼板を裏当てする等により薄肉のままで補強された載架代207が設けられている。
図14には、第2の型枠部材の構成図(第2実施形態)が示されている。同図に示されるように、第2の型枠部材側の突条部252は、その全長にわたって太さないし径が一定とされており、同様にして金属製管材である鋼管253が用いられている。鋼管253は、左右のL字金具254,255を介して、平板部251の裏面側にスポット溶接で固定される。より具体的には、スポット溶接箇所としては、左右のL字金具254,255と平板部251との間、並びに、左右のL字金具254,255と鋼管253の左右側面との間に設定される。尚、256は載架代である。第2の型枠部材側の鋼管253と第1の型枠部材側の大径鋼管204とは同一のものが用いられる。そのため、鋼管253の内径は第1の型枠部材側の小径鋼管203の外径とほぼ同一とされる。
図15には、平坦面成形用型枠材(床用)の結合途中状態の底面図(第2実施形態)が示されている。同図に示されるように、第1の型枠部材200と第2の型枠部材250とは、平板部同士201,251を互いに一部重ね合わせ、かつ補強用突条部同士(第1の型枠部材側の小径鋼管203と第2の型枠部材側の鋼管253)を嵌合させた状態でスライド自在に結合され、これにより前後方向へと所定範囲で長さ調整可能とされる。
より具体的には、第1の型枠部材200と第2の型枠部材250とを互いに突き合わせ状態で接近させていくと、まず最初に、第1の型枠部材側の小径鋼管203の先端209が、第2の型枠部材側の鋼管253の入口開口内に差し込まれ、続いて第1の型枠部材200をさらに第2の型枠部材250へと接近させれば、下側に位置する第2の型枠部材の平板部251がスライド許容スリット208内へと受け入れられることによって、両者は所定のストローク範囲でスライド自在に結合されることとなる。この時、スライド許容スリット208の間隔dはその全長にわたり一定に保持されているから、第2の型枠部材の平板部251はスライド許容スリット208内へとスムーズに差し込まれていき、作業員は軽い力でスライド操作を行うことができる。
尚、適当なスライド位置でスライドを固定するためには、両平板部201,251の重なり部分に適宜なピンを差し込んだり、ネジ止めを行うなどにより、適切な長さで固定することができる。
図16には、平坦面成形用型枠材(床用)の結合状態の構成図(第2実施形態)が示されている。同図に示されるように、両型枠部材200,250が結合されると、特に同図(b)に示されるように、第1の型枠部材の平板部200が上側、第2の型枠部材の平板部250が下側として、両平板部同士が重ね合わされる。また、第2の型枠部材側の鋼管253の内部には、第1の型枠部材側の小径鋼管203が挿入された状態となる。図から明らかなように、両鋼管203,253の形状は何れも円形(相似形状)であるから、両鋼管203,253の嵌合は確実なものでありかつスムーズにスライド可能となる。
このように、この第2実施形態に係る平坦面成形用型枠材2によれば、平板部201,251と補強用突条部202,252とを別部品とし、両者を溶接で結合するという構造としたたため、プレス加工を用いた第1実施形態のものに比べ、製造工数が低減されコストダウンが可能となる。また、この第2実施形態のものにあっては、第1の型枠部材側の補強用突条部202の構成として段付き構造を採用したため、スライド許容スリット208の間隔dが、その全長にわたりほぼ一定となる。そのため、両型枠部材200,250の結合に際し、両者間のスライドをスムーズに行わせることができる。また、第1の型枠部材側の補強用突条部202の先端209を平板部201の端縁よりも距離L3だけ突出させるため、両型枠部材200,250の結合開始に際し、両型枠部材の平板部同士201,251が干渉し合うことがなくなり、第1の型枠部材側の補強用突条部202の先端209を第2の型枠部材250側の補強用突条部252の先端へと確実にかつ容易に挿入させることができる。
このような構成よりなる第2実施形態の平坦面成形用型枠材2によれば、第1実施形態の型枠材1と同様にして、適宜離間された2本の梁の間隔に合わせて長さ調整した後、前端側載架代207及び後端側載架代256を介してそれらの梁間にほぼ水平に掛け渡され、かつ隣接するもの同士が相互に一部を重ね合わされることにより、スラブ成形用型枠を構築することができる。このとき、各平坦面成形用型枠材の先端が梁成形用型枠の成形材料充填空所にはみ出さないように長さ調整することにより、対象となる梁に断面欠損が生じないことは先に説明した通りである。
図17には、平坦面成形用型枠材(床用)の分離状態を示す底面斜視図(第3実施形態)が示されている。この第3実施形態の特徴は、第2実施形態の特徴に加えて、さらに補強用突条部の段付き構造を絞り加工により実現したこと、及び補強用突条部の断面をV字形状としたことにある。
図17に示されるように、この第3実施形態の平坦面成形用型枠材3は、成形面となる平坦な表面301s(図19参照)をその全長に亘り有する平板部301と、平板部301の裏面側に突出しかつ平板部301の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部302とを有する。補強用突条部302は、先の第2実施形態の場合と同様にして、小径部分302aと大径部分302bとを有する段付き構造となっている。小径部分302a及び大径部分302bの断面形状は何れもV字形状とされている。第2の型枠部材350は、成形面となる平坦な表面351s(図21参照)を有する平板部351と、平板部351の裏面側に突出しかつ平板部351の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部352とを有する。補強用突条部352はその全長にわたり太さないし径が一定とされている(図21参照)。
平板部301,351の材質としては、第1実施形態と同様に、薄肉鋼板が使用されている。後に詳細に説明するように、補強用突条部302,352の材質としても、同様な薄肉鋼板が使用されている。
図18には、第1の型枠部材の構成図(第3実施形態)が、図19には第1の型枠部材の破断端面図がそれぞれ示されている。図18(a)に示されるように、第1の型枠部材の補強用突条部302は、結合端側に位置する小径部分302aとその反対側に位置する大径部分302bとを有する段付き構造となっている。また、図19に示されるように、小径部分302a及び大径部分302bの断面は、何れもV字形状となっている。補強用突条部302は、大径部分302bの左右両側縁部に設けられた左右の取付用フランジ302c,302dを介して、平板部301の裏面にスポット溶接により固定される。図19に示されるように、小径部分302a及び大径部分302bの断面形状は何れもV字形状となっている。図18(b)に示されるように、小径部分302aと平板部301の裏面との間には、その全長にわたりほぼ同一の間隔dを有するスライド許容スリット305が形成されている。
図20には、大径部分及び小径部分の構造の説明図が示されている。同図に示されるように、段付き構造を構成する小径部分302aと大径部分302bとは、いわゆる絞り加工により実現されている。小径部分302aにおいては、本来のフランジ部をV字形状の内側に折り畳むことによって、左側内折り片302eと右側内折り片302fとが形成される。これにより、先に図18(b)に示されたように、平板部301と突条部の小径部分302aとの間にスライド許容スリット305が形成される。図18に示されるように、小径部分302aの先端303は、平板部301の結合側端縁304よりも距離L3だけ突出させており、これにより第1の型枠部材300と第2の型枠部材350との結合開始をスムーズに行えるようになっている。
図21には、第2の型枠部材の構成図(第3実施形態)が示されている。第2の型枠部材350において、補強用突条部352の太さないし径は、その全長にわたりほぼ一定とされている。より具体的には、この第2の型枠部材側の補強用突条部352の断面形状は、先に説明した第1の型枠部材の補強用突条部302の大径部分302bの断面形状と同一なV字形状とされている。この補強用突条部352は、その左右両側縁部に形成された取付用フランジ352a,352bを介して、平板部351の裏面側に溶接により固定される。尚、353は鋼板を裏当てする等により薄肉のままで補強された載架代である。
図22には、第1の型枠部材300と第2の型枠部材350との結合箇所の断面図(第3実施形態)が示されている。同図から明らかなように、第1の型枠部材300と第2の型枠部材350とを軸心を整合させて接近させると、第1の型枠部材側の小径部分302aが第2の型枠部材側の補強用突条部352の先端に挿入され、続いて、第2の型枠部材側の平板部351が第1の型枠部材側に形成されたスライド許容スリット305内へ挿入され、これにより両者のスライド結合がなされる。すなわち、スライド許容スリット305は、上側に位置する型枠部材の平板部301と補強用突条部小径部分302aとを、その前端側から後方へと上下に分離するようにして、所定長さ直線状に形成されており、このスライド許容スリット302aによって、下側に位置する型枠部材の平板部351が受け入れられる。その結果、図22に示されるように、第1の型枠部材側の補強用突条部の小径部分302aは、第2の型枠部材側の補強用突条部352内に挿入される。図から明らかなように、小径部分302aの断面形状と補強用突条部352の断面形状とは相似関係にあるから、両者はぴったりと整合してはまり合い、その状態でスムーズにスライドすることとなる。
次に、図23には、平坦面成形用型枠材(壁用)の背面図(第4実施形態)が示されている。この第4実施形態に示された型枠材4は、多層階建築物の壁体を成形するのに好適なものである。
図から明らかなように、この平坦面成形用型枠材4は、第1の型枠部材400と第2の型枠部材450とを有する。第1の型枠部材400は、成形面となる平坦な表面401s(図24参照)を有する平板部401と、平板部401の裏面側に突出しかつ平板部401の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部402とを有する。一方、第2の型枠部材450は、成形面となる平坦な表面451s(図24参照)を有する平板部451と、平板部451の裏面側に突出しかつ平板部451の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部452とを有する。第2の型枠部材側の補強用突条部452は、小径部分452aと大径部分452bとからなる段付き構造を有する。図25に示されるように、小径部分452aとしては小径鋼管456が用いられており、また大径部分452bとしては大径鋼管457が用いられている。同様にして、第1の型枠部材側における補強用突条部402としては、大径鋼管457と同一の鋼管406が用いられている。尚、第1の型枠部材側における鋼管406は、左右のL字金具407,408を介して、スポット溶接により平板部401の裏面側に固定される。同様にして、第2の型枠部材側の大径鋼管457も、左右のL字金具458,459を介して平板部451の裏面側にスポット溶接により固定される。その結果、図25に示されるように、第1の型枠部材400の後端側における補強用突条部402の所定長さ部分の断面形状と、第2の型枠部材450の前端側における補強用突条部452の所定長さ部分(すなわち、小径部分452a)の断面形状とは、両者のスライド嵌合を許容する相似関係(この例では、径の異なる同心円)となる。
図24に示されるように、第2の型枠部材450の前端側の所定長さ部分には、両型枠部材400,450を互いの平板部同士401,451が重なり合いかつ補強用突条部同士(鋼管406と小径鋼管456)が嵌合する状態でスライドさせた際に、第1の型枠部材側の平板部401を受け入れるスライド許容スリット470が形成される。図25に示されるように、第1の型枠部材400の平板部401の左側縁部には直角折曲片403が、また右側縁部には直角折曲片404が形成されている。同様にして、第2の型枠部材450の平板部451の左側縁部には直角折曲片453が、また右側縁部には直角折曲片454がそれぞれ形成されている。尚、403a及び404aも直角折曲片である。さらに、第1の型枠部材400の平板部401の前端部には左右方向へと延びる桟木405が裏当てされており、同様に第2の型枠部材450の平板部451の後端部にも左右方向へと延びる桟木455が裏当てされている。その結果、以上の構成よりなる平坦面成形用型枠材4は、前端部及び後端部を桟木405,455で補強されると共に、左右両側縁部を直角折曲片403,404,453,454によってしっかりと補強されている。図24に示されるように、第2の型枠部材450の小径鋼管456の先端456aは、同部材の平板部451の端縁451aよりも距離L3だけ突出した状態となっており、両型枠部材400,450を結合させる際に、突条部同士の嵌合を容易にできるように配慮されている。そのため、第1の型枠部材400と第2の型枠部材450とは、図25に示されるように、平板部同士401,451を互いに重ね合わせ、かつ補強用突条部同士406,456を嵌合させた状態でスライド自在に結合され、これにより前後方向へと所定範囲で長さ調整可能とされる。
次に、上述の型枠部材4を使用した壁体施工方法について説明する。図26には、以上の構成よりなる平板部成形用型枠材(壁用)4の組み上げ状態を示す斜視図(第4実施形態)が示されている。同図に示されるように、壁体の成形に用いる場合、型枠材4は目的とする壁体の厚み分だけの距離を隔てて、垂直姿勢で対向配置され、かつ2列横隊に整列配置される。対向配置された2列の型枠列の間に形成された空所490にコンクリートを流し込むことによって、壁体が成形される。
図から明らかなように、各型枠材4,4は成形面である平坦な表面401sを内側へ向けて対向配置されるから、型枠材を組み上げる作業員には、隣接する型枠材4,4の成形面同士が段差なく位置決めされているか、あるいは上下に位置ずれしていないかを視覚的に確認することができない。これは、作業員にとって極めて不便である。そこで、この発明にあっては、図中符号491が付された円内のように、第1の型枠部材400の左右の直角折曲片403,404、第2の型枠部材の左右の直角折曲片453,454には、隣接する型枠材4同士を整列配置するために、適当な間隔で位置決め穴460,461が開けられている。
すなわち、図27に示されるように、右側の直角折曲片454には位置決め穴460が、左側の直角折曲片453には位置決め穴461が開けられている。これらの位置決め穴は、隣接する型枠材4,4同士が前後左右及び上下にぴったりと整合している場合に限り、中心が一致するように仕組まれている。そこで、図27(b)に示されるように、両折曲片454,453の位置を調整しながら、位置決め穴460,461同士が一致するようにした状態で、図27(b)に示されるように、止め具462の挿入軸部462aを、位置決め穴460,461に差し込み、挟持部462bを重ね合わされた2枚の折曲片454,454を挟み付けるようにして取り付ければ、相隣接する2つの型枠材4,4を確実に整列しかつ簡単に固定することができる。尚、止め金具462は、挿入軸部462aと挟持部462bと、これらを繋ぐ連結部462cとを有する。そして、挿入軸部462aを位置決め穴460,461が整合する状態で差し込み、しかる後図27(b)に両矢印で示されるように、挿入軸部462aを支点として連結部462cを回動させれば、挟持部462bはひとりでに、2枚の直角折曲片を挟み込む状態となる。
次に、平坦面成形用型枠材(壁用)の工事現場への適用例の説明図が、また図29には型枠材(壁用)の組み上げ状態の背面図が、さらに図30には平坦面成形用型枠材(壁用)の対向配置状態がそれぞれ示されている。
図28において、a1,a2,a3,a4はそれぞれ1階,2階,3階,4階の天井梁、b1,b2,b3,b4は1階,2階,3階,4階の天井スラブである。図から明らかなように、各階の階高L12,L23,L34,L45は、階が増すごとに減少する。従って、このような多層建築物の階高L12,L23,L34,L45に合わせて壁用型枠を組むためには、高さ方向の長さ調整が必要である。そこで、この発明では、図23〜図27で説明した型枠材4,4を用いて、図29に示されるように壁用の型枠を構築する。
図29において、601,602は押さえ用鋼管、603は間隔規制具である。図から明らかなように、本発明の型枠材4,4を整列配置すると、上端及び下端は桟木405,455によってしっかりと補強され、かつ相隣接する各型枠材4,4の境界については、図26に示されるように、直角折曲片453と454とが背中合わせで接合されることにより、しっかりと補強される。そのため、図26における空所490にコンクリートを流し込んだ場合にも、コンクリートの液頭圧によって、下に向かうに従って型枠材を膨出させようとする力が働くが、内側から外側へと加わる力は、補強用突条部402,452によってしっかりと受け止められる。しかも、隣接する型枠4,4同士の境界は、図27(b)に示されるように、止め金具402によってしっかりと密着するから、階高に相当するコンクリートの重圧が加わったとしても、型枠材4の隙間からコンクリートが漏れ出すといった虞れを確実に防止することができる。
尚、図29に示される間隔規制具603は当業者者にとっては周知のものである。すなわち、図30に示されるように、間隔規制具603は、間隔調整ナット603aと、管材押さえ603bと、くさび棒603cとを有する。そして、間隔調整ナット603aを回転させて、壁体604の厚さに相当する適当な距離を確保したならば、管材押さえ603bを介してくさび棒603cを打ち込むことで、押さえ用鋼管601,602を型枠材4,4の背後から押し当てることにより、それら型枠材をしっかりと固定することができる。
以上説明した型枠材4によれば、高さ方向の長さ調整が可能であるから、図28に示されるように、階高L12,L23,L34,L45が異なる場合であっても、各階の階高に合わせて長さLxを調整した後、下層階の床と天井梁a1〜a4との間に垂直に立設すれば、共通の型枠材であっても、全ての階高L12,L23,L34,L45に適合させることができ、この種の多層階建築物の施工費用を著しく低減させることができる。
尚、図23〜図25の例では、補強用突条部402,452をそれぞれ鋼管で構成したが、これは図31及び図32に示されるように、段付き構造を有する断面U字形状や断面V字形状のものに変更することもできる。特に断面V字形状の突条部を使用すれば、強度を維持しつつ軽量化を達成することができ、しかも断面V字形状はプレス加工で容易に形成できるため、量産にも適し、しかも絞り加工を併用することによって、一層のコストダウン並びに強度向上を図ることができる。なお、図31及び図32において、図23〜図35と同一構成部分は同符号を付して説明は省略する。
尚、以上説明した第1実施形態〜第3実施形態の平坦面成形用型枠材の用途は、スラブや壁体に限られるものではなく、適宜建築物の各部分に任意に適用できることは勿論である。また、平板部の材質はアルミや鋼板等の金属が好ましいが、将来的には、必要とする強度と価格に合わせてプラスチック等に変更することもできるであろう。
平坦面成形用型枠材(床用)の表面を上に向けた状態の側面図(第1実施形態)である。 平坦面成形用型枠材(床用)のA−A線端面図及び平面図(第1実施形態)である。 第1の型枠部材の後端側斜視図(第1実施形態)である。 第2の型枠部材の前端側斜視図(第1実施形態)である。 型枠組み上げ状態の説明図である。 本発明と従来例とで端部支持方法を比較して示す説明図である。 型枠組み上げ後のコンクリート打設状態を示す説明図である。 本発明の作用説明図である。 嵌合構造の変形例(その1)である。 嵌合構造の変形例(その2)である。 平坦面成形用型枠材(床用)の分離状態を示す底面斜視図(第2実施形態)である。 第1の型枠部材の構成図(第2実施形態)である。 第1の型枠部材の破断端面図(第2実施形態)である。 第2の型枠部材の構成図(第2実施形態)である。 平坦面成形用型枠材(床用)の結合途中状態の底面図(第2実施形態)である。 平坦面成形用型枠材(床用)の結合状態の構成図(第2実施形態)である。 平坦面成形用型枠材(床用)の分離状態を示す底面斜視図(第3実施形態)である。 第1の型枠部材の構成図(第3実施形態)である。 第1の型枠部材の破断端面図である。 大径部分及び小径部分の構造説明図である。 第2の型枠部材の構成図(第3実施形態)である。 第1の型枠部材と第2の型枠部材との結合箇所の断面図(第3実施形態)である。 平坦面成形用型枠材(壁用)の背面図(第4実施形態)である。 平坦面成形用型枠材(壁用)のI−I線断面図(第4実施形態)である。 平坦面成形用型枠材(壁用)のJ−J線断面図(第4実施形態)である。 平坦面成形用型枠材(壁用)の組み上げ状態を示す斜視図(第4実施形態)である。 隣接型枠固定方法の説明図である。 平坦面成形用型枠材(壁用)の適用例の説明図である。 型枠材(壁用)の組み上げ状態の背面図である。 平坦面成形用型枠材(壁用)の対向配置状態を示す説明図である。 平坦面成形用型枠材(壁用)の変形例(その1)の断面図である。 平坦面成形用型枠材(壁用)の変形例(その2)の断面図である。 従来工法の説明図である。
符号の説明
1,2,3,4 平坦面成形用型枠材
100,200,300,400 第1の型枠部材
150,250,350,450 第2の型枠部材
101,201,301,401 第1の型枠部材の平板部
151,251,351,451 第2の型枠部材の平板部
102,202,302,402 第1の型枠部材の補強用突条部
152,252,352,452 第2の型枠部材の補強用突条部
101s,201s,301s,401s 第1の型枠部材の平板部の表面
151s,251s,351s,451s 第2の型枠部材の平板部の表面
103,207,305 第1の型枠部材の載架代
253,256,353 第2の型枠部材の載架代
157,208,305,470 スライド許容スリット
202a,302a,452a 小径部分
202b,302b,452b 大径部分
403,403a,404,404a 第1の型枠部材の直角折曲片
453,454 第2の型枠部材の直角折曲片
405 上部桟木
455 下部桟木
460,461 位置決め穴
462 止め金具

Claims (5)

  1. 成形面となる平坦な表面を有する平板部と、平板部の裏面側に突出しかつ平板部の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部と、を有する第1の型枠部材と、
    成形面となる平坦な表面を有する平板部と、平板部の裏面側に突出しかつ平板部の前後方向へと直線状に延びる補強用突条部と、を有する第2の型枠部材と、を含み、
    第1の型枠部材後端側における補強用突条部の所定長さ部分の断面形状と、第2の型枠部材前端側における補強用突条部の所定長さ部分の断面形状とは、両者のスライド嵌合を許容する相補関係をなしており、
    第1の型枠部材後端側の所定長さ部分又は第2の型枠部材前端側の所定長さ部分には、両型枠部材を互いの平板部同士が重なり合いかつ補強用突条部同士が嵌合する状態でスライドさせた際に、相手方型枠部材の一部を受け入れるスライド許容スリットが形成されており、
    第1の型枠部材前端側における平板部の所定長さ部分、及び第2の型枠部材後端部の所定長さ部分は載架代とされており、
    第1の型枠部材と第2の型枠部材とが、平板部同士を互いに重ね合わせ、かつ補強用突条部同士を嵌合させた状態でスライド自在に結合されることにより、前後方向へと所定範囲で長さ調整可能とされており、
    スライド許容スリットが、上側に位置する型枠部材の平板部と補強用突条部とを、その前端縁から後方へと上下に分割するようにして、所定長さ直線状に切り込み形成されており、このスライド許容スリットによって下側に位置する型枠部材の平板部が受け入れられ、
    第1の型枠部材の補強用突条部の断面形状と第2の型枠部材の補強用突条部の断面形状とは互いに相似の関係にあり、かつそれら2つの補強用突条部の一方は大径部分と小径部分とに長手方向へ分割された段付構造を有し、
    それにより、スライド許容スリットの間隔は、対象となる平板部をスムーズに受け入れることができるように、スライド許容スリットの奥部から入口部までほぼ一定間隔が保持されている、ことを特徴とする平坦面成型用型枠材。
  2. 第1の型枠部材後端側における補強用突条部の先端、及び/又は、第2の型枠部材前端側における補強用突条部の先端は、対応する平板部の先端よりも適宜距離だけ突出しており、それにより第1の型枠部材と第2の型枠部材との結合に際して、平板部先端同士の干渉を受けることなく、補強用突条部同士を突き合わせ嵌合可能とした、ことを特徴とする請求項1に記載の平坦面成形用型枠材。
  3. 段付構造を有する側の補強用突条部の小径部分は絞り加工により大径部分と一体的に形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の平坦面成形用型枠材。
  4. 補強用突条部の断面形状がV字状である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の平坦面成形用型枠材。
  5. 平板部並びに補強用突条部の素材としては金属製薄板材が使用されている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の平坦面成形用型枠材。
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