JP3608585B2 - 液晶表示素子基板識別文字読取り装置および液晶表示素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶表示素子の製造工程において前記液晶表示素子を構成する透明基板上に各種の薄膜パターンをパターニングする際に必要とされる当該基板の認識用として印刷されている識別文字を正確に認識するための液晶表示素子基板識別文字読取り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パソコンやワープロ、その他の情報機器のための表示デバイスとして、近年、液晶表示素子を用いた薄型,軽量かつ低消費電力の表示装置が多用されるようになった。
【0003】
液晶表示素子は、基本的には水平と垂直に配列された多数の電極で形成されるマトリクスと上記水平と垂直の電極の間に液晶層を有し、2つの電極の交差部分で画素を構成して2次元画像を表示するものである。
【0004】
この種の液晶表示素子には、水平と垂直の電極に印加するパルスのタイミングで所定の画素を選択する所謂単純マトリクス方式と、各画像にトランジスタ等の非線型素子を配置して所定の非線型素子を選択する所謂アクティブ・マトリクス方式とがある。
【0005】
例えば、アクティブ・マトリクス方式の液晶表示装置は、マトリクス状に配列された複数の画素電極のそれぞれに対応して非線形素子(スイッチング素子)を設けたものである。各画素における液晶は理論的には常時駆動(デューティ比 1.0)されているので、時分割駆動方式を採用している、いわゆる単純マトリクス方式と比べてアクティブ方式はコントラストが良く、特にカラー液晶表示装置では欠かせない技術となりつつある。スイッチング素子として代表的なものとしては薄膜トランジスタ(TFT)がある。
【0006】
なお、薄膜トランジスタを使用したアクティブ・マトリクス方式の液晶表示装置は、例えば特開昭63−309921号公報や、「冗長構成を採用した12.5型アクティブ・マトリクス方式カラー液晶ディスプレイ」( 日経エレクトロニクス、193〜210頁、1986年12月15日、日経マグロウヒル社発行)で知られている。
【0007】
図5は本発明が適用されるアクティブ・マトリクス方式カラー液晶表示装置の一画素とその周辺を示す平面図である。
【0008】
同図に示すように、各画素は隣接する2本の走査信号線(ゲート信号線または水平信号線)GL(ゲートライン)と、隣接する2本の映像信号線(ドレイン信号線または垂直信号線)DL(データライン)との交差領域内(4本の信号線で囲まれた領域内)に配置されている。
【0009】
各画素は薄膜トランジスタTFT(TFT1,TFT2)、透明な画素電極ITO1および保持容量素子Cadd (付加容量)を含む。走査信号線GLは図では左右方向に延在し、上下方向に複数本配置されている。また、映像信号線DLは上下方向に延在し、左右方向に複数本配置されている。
【0010】
なお、SD1はソース電極、SD2はドレイン電極、BMはブラックマトリクス、FILはカラーフィルタである。
【0011】
また、図6は図5のL1−L1線で切断した断面図であって、液晶層LCを基準にして下部透明ガラス基板SUB1側には薄膜トランジスタTFTおよび透明画素電極ITO1が形成され、上部透明ガラス基板SUB2側にはカラーフィルタFIL、遮光膜すなわちブラックマトリクスBMが形成されている。この上部透明ガラス基板を一般にカラーフィルタ基板と称する。
【0012】
透明ガラス基板SUB1、SUB2の両面にはディップ処理等によって形成された酸化シリコン膜SIOが設けられている。
【0013】
上部透明ガラス基板SUB2の内側(液晶層LC側)の表面には、ブラックマトリクスBM、カラーフィルタFIL、保護膜PSV2、共通透明画素電極ITO2(COM)および上部配向膜ORI2が順次積層して設けられている。
【0014】
上記した各種の電極を含む薄膜の成膜とパターニングは、主として紫外線を用いたマスク露光とエッチング処理等の湿式現像により行われる。
【0015】
特に、TFT型エッチング表示素子の製造においては、ゲート電極を形成した後にドレイン電極のパターニングを行うが、ゲート電極としてアルミニウム(Al)薄膜を用いてパターニングし、その際い当該基板に基板ナンバーを付与して後続の成膜処理における基板認識を行っている。
【0016】
上記ドレイン電極のパターニングにおいては、下層に形成済みのゲート電極を構成するアルミニウムがドレイン電極のエッチングの際に溶けるのを防止するために、ドレイン電極用薄膜の成膜前にゲート電極を覆ってエッチング保護膜が被覆される。
【0017】
従来のエッチング保護膜はSiNを用いており、付与されている識別文字の認識は白色光の照明で十分に読み取ることが出来ていた。
【0018】
図7は従来の液晶表示素子基板識別文字読取り装置の一例を説明する概略構成図であって、1は透明基板(ガラス基板)、2は識別文字、3はSiNを用いた保護膜、4は白色光照明装置、5はビデオカメラ、6は文字認識装置、7は文字認識出力である。
【0019】
同図において、SiNを用いた保護膜3は図示しないゲート電極と共にガラス基板1に付与されている識別文字を覆って塗布されており、この保護膜に対して白色光照明装置4から白色光の照明を行い、その反射光をビデオカメラ5で撮像して文字認識装置に与える。
【0020】
文字認識装置6は撮像信号を認識処理し、認識した文字認識データを製造装置の制御手段に与える。
【0021】
これにより、液晶表示素子を構成するガラス基板の管理が行われる。
【0022】
この方式では、照明光を特定波長にピークを持つ単色とした場合には、保護膜3による所謂薄膜干渉が起こって反射光がなまり、認識が困難であるという問題がある。そのため、従来は波長特性が平坦なハロゲンランプを使用している。
【0023】
これを解決するものとして次のように構成したものが知られている。
【0024】
図8は従来の液晶表示素子基板識別文字読取り装置の他例を説明する概略構成図であって、図7と同一符号は同一部分に対応する。
【0025】
この装置は、白色光照明装置4をガラス基板1の裏面に配置し、ビデオカメラ5はガラス基板1を透過した照明光を撮像するように構成した点を除いて図7と同様である。
【0026】
この方式によれば、照明光の薄膜干渉は無くなり、正確な文字認識が可能となる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、ゲート電極を被覆する保護膜を透明なSiNとしているため、反射光、あるいは透過光の読取による文字認識が正しく実行される。しかし、保護膜としてSiN膜に代えてアモルファスシリコン(α−Si)膜を使用した場合には、上記α−Siの持つ体色が赤色であることから、照明装置からの照明光がα−Si膜でで散乱されてしまい、撮像した画像のコントラストが低下し、識別文字の認識性能が低下するという問題がある。
【0028】
本発明の目的は、上記従来技術の問題を解消し、保護膜としてα−Si膜を用いた際の基板に付与された識別文字を正しく認識できるようにした液晶表示素子基板識別文字読取り装置を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液晶表示素子を構成する透明基板の表面に形成した第1の透明電極と、第1の透明電極上にα−Si薄膜を介して成膜した透明電極薄膜をエッチング処理して第2の透明電極を形成する際の前記透明基板に予め付与されている基板認識用の識別文字を読み取るための液晶表示素子基板識別文字読取り装置において、
前記透明基板の裏面に配置して前記α−Si薄膜の色相と同色相の照明光を照射する照明装置と、
前記透明基板の表面側上方に配置して前記照明装置からの前記識別文字を含んだ照明光の透過光を撮像するビデオカメラと、
前記ビデオカメラの撮像信号を処理して前記識別文字を認識し、認識した識別文字データを出力する文字認識装置とから構成したことを特徴とする。
【0030】
なお、上記照明装置は赤外線から赤色領域の光を基板の裏面に照射する特性を有するものであればどのような光源で構成してもよく、従来のハロゲンランプ等の高価な光源を使用する必要はない。
【0031】
また、ビデオカメラはCCD等の固体撮像素子を用いたものや、ビジコン等の撮像管を使用できるが、上記いずれも赤色領域にピーク感度を有するものを用いることが望ましい。
【0032】
【作用】
上記本発明の構成において、照明装置は透明基板(ガラス基板等)の裏面に配置されて第1の透明電極を覆って塗布されたα−Si薄膜の色相と同色相の照明光を照射する。
【0033】
ビデオカメラは透明基板の表面側上方に配置され、前記照明装置からの前記識別文字を含んだ照明光の透過光を撮像する。
【0034】
文字認識装置はビデオカメラの撮像信号を処理し、撮像信号中に含まれる識別文字を認識してこれを識別文字データとして製造装置の制御手段に与える。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例につき、図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
図1は本発明による液晶表示素子基板識別文字読取り装置の1実施例を説明する概略構成図であって、1は透明なガラス基板、2は識別文字(文字パターン)、3はα−Si保護膜、4は照明装置、5はビデオカメラ、6は文字認識装置(画像処理装置)、7は文字認識出力である。
【0037】
同図において、α−Siを用いた保護膜3は図示しないゲート電極と共にガラス基板1に付与されている文字パターン2を覆って塗布されており、この保護膜に対して照明装置4から白色光の照明を行い、その反射光をビデオカメラ5で撮像して文字認識装置7に与える。
【0038】
α−Si薄膜3は赤外線から赤色の波長領域を良く透過する赤色の体色を有しており、照明装置4は上記α−Si薄膜3の透過波長領域に対応した赤外線から赤色領域の波長光を出射する。この照明装置としては、例えば赤色LEDが用いられる。
【0039】
文字認識装置6はビデオカメラ5からの撮像信号を画像処理して当該撮像画像信号中に含まれる文字パターンを認識処理し、認識した文字認識データを製造装置の制御手段に与える。
【0040】
これにより、液晶表示素子を構成するガラス基板に付与されている当該基板の識別文字を正確に読み取ることができる。
【0041】
図2は液晶表示素子を製造するためのガラス基板の素材ガラスの平面図であって、11 〜14 は単位液晶表示素子のガラス基板、81 〜84 はガラス基板11 〜14 の薄膜形成領域(有効領域)、10は素材ガラスで、この例は所謂4枚とり用の素材ガラスを示すが、本発明は1枚とり、あるいは6枚以上の素材ガラスでも同様に適用される。
【0042】
同図において、ガラス基板11 〜14 のそれぞれには薄膜形成領域81 〜84 があり、また各ガラス基板11 〜14 の縁部にはそれぞれの基板を識別するための1または複数の識別文字2が付与されている。
【0043】
これらの識別文字2を含めて前記したようにα−Si薄膜が塗布されており、これに対して図1に示したような構成で当該識別文字の読取が行われる。
【0044】
図3は本発明による液晶表示素子を用いて組み立てたTFT型液晶表示モジュールの構造例を説明する展開斜視図である。
【0045】
この液晶表示モジュールMDLは、SHDは上フレームである金属製のシールドケース、WDは液晶表示モジュールの有効画面を画定する表示窓、PNLは液晶表示素子からなる液晶表示パネル、PCB1はドレイン側回路基板、PCB2はゲー側回路基板、PCB3はインターフェース回路基板、PRSはプリズムシート、SPSは拡散シート、GLBは導光板、RFSは反射シート、LPはバックライトBLのランプを構成する蛍光管、LSは反射シート、GCはゴムブッシュ、LPCはランプケーブル、MCAは導光板GLBを設置する開口MOを有する下側ケース、JN1,2,3は回路基板間を接続するジョイナ、TCP1,2はテープキャリアパッケージ、INS1,2,3は絶縁シート、GCはゴムクッション、BATは両面粘着テープ、ILSは遮光スペーサである。
【0046】
上記の各構成材は、金属製のシールドケースSHDと下側ケースMCAの間に積層されて挟持固定されて液晶表示モジュールMDLを構成する。
【0047】
液晶表示パネルPNLは本発明により処理されたガラス基板を用いて構成され、その周辺に各種の回路基板を取り付けて画像表示のための駆動がなされる。
【0048】
また、液晶表示パネルPNLの裏面には導光板GLBに各種の光学シートを積層してなる背面照明構造と蛍光管LPとで構成したバックライトBLが設置され、液晶表示パネルPNLに形成された画像を照明して表示窓WDに表示する。
【0049】
図4は本発明による液晶表示素子を用いた液晶表示モジュールを組み込んだ電子機器の一例を説明する携帯型パソコンの外観図であって、図3と同一符号は同一部分に対応する。
【0050】
この携帯型パソコンは、キーボードを搭載しホストCPUを内蔵した本体部と液晶表示モジュールMDLを実装しインバータ電源IVを内蔵した表示部とから構成され、両者はヒンジを連絡するケーブルにより結合されている。
【0051】
また、表示部には各種の調整ボタンCT、TCON、CR等が設けられており、キーボードとホストからの信号は矢印に示したように流れて表示部に表示される。
【0052】
本発明を適用して製造した液晶表示素子を用いることにより、高画質の画像表示を行うことができる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ドレイン電極のエッチングの際に形成されるα−Si薄膜の体色に影響されることなく透明基板に付与されている識別文字を正確に読み取ることができる。
【0054】
また、背面照明方式としたことによりα−Si薄膜の膜厚ムラによる読取精度への影響が防止され、薄膜干渉による読み取りエラーの発生もなく、高コントラストの画像読み取りが可能となる。
【0055】
このように、透明基板に付与された識別文字の読み取りエラーに起因する製造装置の一次的停止が回避され、製造工程のスループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液晶表示素子基板識別文字読取り装置の1実施例を説明する概略構成図である。
【図2】液晶表示素子を製造するためのガラス基板の素材ガラスの平面図である。
【図3】本発明による液晶表示素子を用いて組み立てたTFT型液晶表示モジュールの構造例を説明する展開斜視図である。
【図4】本発明による液晶表示素子を用いた液晶表示モジュールを組み込んだ電子機器の一例を説明する携帯型パソコンの外観図である。
【図5】本発明が適用されるアクティブ・マトリクス方式カラー液晶表示装置の一画素とその周辺を示す平面図である。
【図6】図5のL1−L1線で切断した断面図である。
【図7】従来の液晶表示素子基板識別文字読取り装置の一例を説明する概略構成図である。
【図8】従来の液晶表示素子基板識別文字読取り装置の他例を説明する概略構成図である。
【符号の説明】
1 透明なガラス基板
2 識別文字(文字パターン)
3 α−Si保護膜
4 照明装置
5 ビデオカメラ
6 文字認識装置(画像処理装置)
7は文字認識出力。
Claims (2)
- 液晶表示素子を構成する透明基板の表面に形成した第1の透明電極と、第1の透明電極上にアモルファスシリコン薄膜を介して成膜した透明電極薄膜をエッチング処理して第2の透明電極を形成する際の前記透明基板に予め付与され、アモルファスシリコン薄膜を用いた保護膜に覆われている基板認識用の識別文字を読み取るための液晶表示素子基板識別文字読取り装置において、
前記透明基板の裏面に配置して前記アモルファスシリコン薄膜の色相と同色相の照明光を照射する照明装置と、
前記透明基板の表面側上方に配置して前記照明装置からの前記識別文字を含んだ照明光の透過光を撮像するビデオカメラと、
前記ビデオカメラの撮像信号を処理して前記識別文字を認識し、認識した識別文字データを出力する文字認識装置とから構成したことを特徴とする液晶表示素子基板識別文字読取り装置。 - 液晶表示素子を構成する透明基板に基板ナンバを形成する工程と、
前記基板ナンバを覆ってアモルファスシリコン薄膜で保護膜を形成する工程と、
アモルファスシリコン薄膜で覆われた基板ナンバを、前記透明基板の裏面に配置した照明装置で、前記アモルファスシリコン薄膜の色相と同色相の照明光を照射し、
前記透明基板の表面側上方に配置したビデオカメラで、前記照明装置からの前記識別文字を含んだ照明光の透過光を撮像し、
文字認識装置で、前記ビデオカメラの撮像信号を処理して前記識別信号を認識し、認識した識別文字データを出力する工程を含んでなることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
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