JP3608580B2 - 照明光学装置、露光装置、露光方法、及びフライアイレンズ - Google Patents

照明光学装置、露光装置、露光方法、及びフライアイレンズ Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、被照明体を照明するための照明光学装置、及びこの装置に使用されるフライアイレンズに関し、特に例えば半導体素子又は液晶表示素子等を製造するための露光装置において、転写用のパターンが形成されたレチクルを照明する照明光学系に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体素子又は液晶表示素子等をフォトリソグラフィ工程で製造する際に、マスクとしてのレチクルに形成された転写用のパターンを所定の照明光のもとで、投影光学系を介して感光基板に転写する投影露光装置、又はレチクルのパターンをレチクルに近接して配置された感光基板に直接転写するプロキシミティ方式の露光装置等が使用されている。斯かる投影露光装置、又は露光装置等では、感光基板上での露光量のむらを少なくする必要があるため、オプティカル・インテグレータを用いてレチクル上の所定の照明領域をできるだけ均一な照度分布で照明する照明光学系が使用されている。
【0003】
図4は、従来の半導体露光装置に使用されている照明光学系を示し、この図4において、水銀ランプよりなる光源1が、回転楕円面からなる反射面を有する集光鏡2の第1焦点21に配置され、集光鏡2の第2焦点22に光源像(二次光源)が形成されている。この二次光源から発散する光束は、コリメータレンズ3によりほぼ平行な光束に変換された後、バンドパスフィルタ4に入射する。そして、バンドパスフィルタ4で選択された露光波長(水銀のg線(波長:436nm、i線(波長:365nm)等)の照明光が、多数のレンズ要素からなるフライアイレンズ5に入射し、フライアイレンズ5の射出側の面52に多数の光源像(三次光源)が形成される。その面52には開口絞り6が設置され、開口絞り6の開口内の多数の三次光源から発散する光束は、コンデンサーレンズ7により集光されて、投影露光用のパターンが描画されたレチクルのパターン形成面上の照明領域8を重畳的に均一な照度分布で照明する。図4において、照明光学系の光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直で図4の紙面に平行な方向にX軸を取り、図4の紙面に垂直な方向にY軸を取る。
【0004】
この場合、光源1と光学的に共役関係にあるのは、上述の如く、集光鏡2の第2焦点22とフライアイレンズ5の射出側の面52とであり、被照射面である照明領域8における照明光学系の開口数(NA)は、その射出側の面52に配置された開口絞り6の開口径により決定される。照明光学系の開口数(以下、「照明開口数」という)は、投影像の解像力、焦点深度、及び像質等に大きな影響を与えるため、投影光学系の開口数、パターン寸法等により最適な値に設定されなければならない。また、照明領域8が位置する被照射面(レチクルのパターン形成面)は、フライアイレンズ5の入射側の面51と共役であって、フライアイレンズ5を構成する各レンズ要素の入射面が各々視野絞りとなり、この視野絞りにより制限された光束がコンデンサーレンズ7を介して被照射面上で重畳される。
【0005】
従って、フライアイレンズ5を構成するレンズ要素の断面形状は照明領域8と相似な形状となる様に決定される。一般に半導体素子製造用の露光装置(半導体露光装置)では、レチクル上の矩形領域に転写用のパターンが形成されるため、照明領域8も矩形領域となる。そこで、フライアイレンズ5は、断面が矩形形状のレンズ要素を、稠密に、且つ開口絞り6の最大の開口径を含む広がりを有するように組み上げられている。
【0006】
図5(a)はそのように組み上げられたフライアイレンズ5をZ方向に見た図、図5(b)はフライアイレンズ5の側面図であり、図5(a)に示すように、フライアイレンズ5は、それぞれX方向の幅がmxでY方向の幅がmyの矩形の断面形状の多数のレンズ要素5aを、X方向及びY方向に密着して配列して構成されている。そして、開口絞り6の実線の円で示されている最大の開口が、フライアイレンズ5の断面の輪郭の内部に収まっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
最近の半導体素子等の集積度の向上に対応すべく、半導体露光装置では、投影光学系の露光フィールドの全面で極めて高い像均質性が要求されるようになっている。そのため、照明光学系では▲1▼照度、及び▲2▼開口数の照明領域内の位置による均一性が極めて高いレベルで要求されている。
【0008】
その照度の均一性と、開口数の均一性とが同時に満足されるための必要十分条件は、次の2つの条件である。
(a)照明系の開口絞り内に完全拡散面光源(所謂Lambert 面)が形成されること。
(b)コンデンサーレンズの焦点距離をF、コンデンサーレンズに対する照明光の入射角をθとしたとき、照明領域での像高yが次の射影関係を有すること。
【0009】
y=F・sinθ (1)
これに関して、本発明者によって、フライアイレンズが正弦条件を満足するとき、そのフライアイレンズの射出側の面に形成される上記の3次光源が、近似的に条件(a)の完全拡散面光源と見なし得ることが明らかにされている(森 孝司:”ステッパーの照明光学系”,光アライアンス,vol.5,No.3,32,(日本工業出版,1994))。
【0010】
ここで図6において、フライアイレンズ5を構成する各レンズ要素5aへの光線の入射高をh、レンズ要素5aの焦点距離f、光線の射出角をθとして、射出角θの所定の関数g(θ)を用いて、次の関係が成立するものとする。
h=f・g(θ) (2)
このとき、前掲の参考文献によれば、フライアイレンズ5の射出側の面での放射輝度分布L(θ)は、次のようになる。
【0011】
L(θ)=L(0)g(θ)g’(θ)/(sinθ cosθ) (3)
但し、関数g’(θ)は関数g(θ)のθに関する微分である。また、コンデンサーレンズの焦点距離をFとして、コンデンサーレンズに対する光線の入射角θとその光線の像高yとが、所定の関数G(θ)を用いて次の射影関係を有するものとする。
【0012】
y=F・G(θ) (4)
このとき、被照射面での放射照度E(y)は、次のようになる。
E(y)=E(0){L(θ)/L(0)}cosθ sinθ/{G(θ)G’(θ)}(5)
但し、関数G’(θ)は関数G(θ)のθに関する微分である。従って(5)式に(3)式を代入することにより、次のようになる。
【0013】
E(y)=E(0)g(θ)g’(θ)/{G(θ)G’(θ)} (6)
ここで次の関係が成立するものとする。
g(θ)=G(θ) (7)
即ち、フライアイレンズの入射側の面が歪曲収差なく被照射面に投影されるものとすると、(6)式よりE(y)=E(0)となって、均一放射照度が実現される。また、(7)式の条件は、(2)式及び(4)式より、y/h=F/fが成立するのと同じ条件である。
【0014】
次に、同様に前記参考文献によれば、照明光学系の像高yにおける開口数NA(y)は、次のように表される。
NA(y=F・G(θ))=NA(0)cosθ/G’(θ) (8)
この式に前記の均一照度を得るための(7)式の条件を代入すると、次のようになる。
【0015】
NA(y)=NA(0)cosθ/g’(θ) (9)
この(9)式で、次式が成立すると、NA(y)=NA(0)となる。
g(θ)=sin θ (10)
これより、フライアイレンズが正弦条件を満足するときのみ、被照射面で放射照度と開口数とが位置に関して均一となることが分かる。
【0016】
従来この種の露光装置に用いられているフライアイレンズは、図6に示すフライアイレンズ5のように、各レンズ要素5aの対向する屈折面が互いに他方の屈折面の焦点に一致するような厚さを有し、対向する屈折面が互いに他方のフィールドレンズの役割を果たしている。即ち、フライアイレンズの屈折力(逆数がフライアイレンズ5の焦点距離)は各レンズ要素の1つの屈折面によって担われており、比較的明るいフライアイレンズでは正弦条件の不満足量が無視し得ず、前述した照度、及び開口数の均一性は同時には満足されないため、最終的に得られる像の露光フィールド内での均一性に影響を与えていた。
【0017】
ここで、図6において、フライアイレンズ5の正弦条件不満足量OSCを、次のように定義する。
OSC=h/sinθ−h (11)
この式(11)より、像高hは次のようになる。
h=f(1+OSC/f)・sinθ (12)
従って、(2)式より関数g(θ)は次のようになる。
【0018】
g(θ)=(1+OSC/f)・sinθ (13)
そして、改めて、次式より正弦条件不満足量OSCを関数DS(θ)に換算する。
DS(θ)=OSC/f (14)
更に、照度を均一とするため、G(θ)=g(θ)の関係を有するコンデンサーレンズを使用するものとすると、(13)式、及び(14)式より次の関係が成立する。
【0019】
G(θ)=(1+DS(θ))・sinθ (15)
この式をθに関して微分することにより、次式が得られる。
G’(θ)=sin θ・{d(DS)/dθ}+(1+DS)・cosθ (16)
また、3次収差の範囲内で、次のように表せる場合を考える(Kは定数)。
DS(θ)=K・sinθ (17)
このとき、関数DS(θ)の微分は次のようになる。
【0020】
d(DS)/dθ=2Ksin θcos θ (18)
従って、(16)式は次のようになる。
Figure 0003608580
この(19)式を(8)式に代入することにより次式が得られる。
【0021】
NA(y)=NA(0)/(1+3・DS(θ)) (20)
この式は照明光学系の像高yでの開口数が、コンデンサーレンズへの入射角θに関する正弦条件不満足量OSCの(14)式で定義される関数DS(θ)に応じて定まることを意味する。従って、フライアイレンズの正弦条件不満足量OSCに応じて照度が均一となるコンデンサーレンズを使用するとき、例えばフライアイレンズの正弦条件不満足量OSCが焦点距離の1%の場合、照明開口数NA(y)は対応する像高で3%変化することになってしまう。結像の立場から照明開口数の照明領域内での均一性は3%以内に抑えることが望ましい。
【0022】
図7は、図6のように対向する屈折面が互いに他方の屈折面の焦点位置となる従来の構成によるフライアイレンズを使用した場合の、正弦条件不満足量OSCの関数DS(θ)(=OSC/f)の変化を示し、この図7において、関数DS(θ)は、2h/f(即ち、Fナンバーの逆数)の関数として、フライアイレンズのレンズ要素の屈折率nが1.4〜1.7の場合について表されている。この図7より分かるように、フライアイレンズのレンズ要素の屈折率を極力大きくし、また、像高hが小さい領域で使用すれば関数DS(θ)は小さくなり、結果として照明開口数の均一性は或る程度確保される。
【0023】
しかしながら、半導体露光装置で使用される露光波長は紫外線領域であり、斯かる紫外線領域では、透過率及び紫外線耐性に優れた高屈折率の硝材を得るのは容易ではなく、実際上レンズ要素の硝材としては、屈折率nが1.5近傍の材料に限られてしまう。更に、2h/fを小さくするために、像高hの最大値hmax に比べてフライアイレンズの焦点距離fを大きくとることも考えられるが、所定の大きさの照明領域を確保するためには、同時にコンデンサーレンズの焦点距離をも大きくとる必要があり、照明光学系の大型化を招くという不都合がある。
【0024】
本発明は斯かる点に鑑み、装置を大型化することなくフライアイレンズの正弦条件不満足量を小さくして、照度及び照明開口数の両方の均一性を高めることができる照明光学装置を提供することを目的とする。更に本発明は、そのような照明光学装置に使用できるフライアイレンズを提供することをも目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明による照明光学装置は、例えば図1及び図2に示す如く、照明光を発生する光源(1)と、この光源からの照明光を所定の面(91)に導く光束整形光学系(2,3)と、所定の面(91)に入射面が配置されその照明光より複数個の光源像を形成するフライアイレンズと、それら複数個の光源像からの照明光を重畳して被照射面(8)を照明するコンデンサーレンズ系(7)と、を有する照明光学装置において、そのフライアイレンズ(9)を構成する複数個のレンズ要素(9a)はそれぞれ、その照明光の入射面(91)から射出面(92)までの間に少なくとも3つの所定(0以外)の屈折力を有する屈折面(r,r,r)を有するものである。但し、フライアイレンズの各レンズ要素(9a)の射出側の屈折面(r)はフィールドレンズとして作用するため、その構成は各レンズ要素(9a)の屈折力を複数(2面以上)の屈折面で分担することを意味する。
【0026】
この場合、そのフライアイレンズ(9)を構成する複数個のレンズ要素(9a)は、それぞれそのフライアイレンズの焦点距離をf、各レンズ要素(9a)の光軸(AXa)に平行な照明光の最大入射高をhmax 、この最大入射高hmax で入射して射出される照明光が光軸(AXa)となす角度をθmax とするとき、更に次の条件が満足されている。
【0027】
|hmax/(f・sin θmax)|<0.01 (21)
また、そのフライアイレンズ(9)を構成する複数個のレンズ要素(9a)の一例は、それぞれ光軸(AXa)を共有する複数枚のレンズ(10a,11a)より構成されるものである。
また、そのフライアイレンズ(9)を構成する複数個のレンズ要素(9a)の他の例は、それぞれ光軸(AXa)を共有する2群2枚のレンズ(10a,11a)より構成され、光源側のレンズ(10a)は両凸レンズであり、この両凸レンズの光源側の面の曲率半径をr、他方の面の曲率半径をrとするとき、次の条件を満足するものである。
【0028】
|r1 |<|r2 | (22)
また、本発明による露光装置は、マスクに形成された転写用のパターンを感光基板に転写する露光装置において、そのマスク上の所定の照明領域を照明するために、本発明の何れかの照明光学装置を備えるものである。
また、本発明による露光方法は、マスクに形成された転写用のパターンを感光基板に転写する露光方法において、本発明の何れかの照明光学装置を用いてそのマスク上の所定の照明領域を照明するものである。
また、本発明によるフライアイレンズは、例えば図1及び図2に示すように、複数個のレンズ要素よりなるフライアイレンズにおいて、それら複数個のレンズ要素(9a)はそれぞれ、照明光の入射面(91)から射出面(92)までの間に少なくとも3つの所定の屈折力を有する屈折面(r1,r2,r4)を有し、そのフライアイレンズの焦点距離をf、各レンズ要素(9a)の光軸(AXa)に平行な照明光の最大入射高をhmax 、この最大入射高hmax で入射して射出される照明光が光軸(AXa)となす角度をθmax とするとき、(21)式の条件を満足するものである。
【0029】
【作用】
斯かる本発明の照明光学装置の原理につき説明する。既に述べたように、被照射面(8)における照度及び照明開口数の両方の均一性を高めるための必要十分条件は、上記の条件(a)及び条件(b)が満たされることである。また、その条件(a)(フライアイレンズの射出面に形成される光源像が完全拡散面光源であること)が満たされるのは、そのフライアイレンズが正弦条件を満足するときである。
【0030】
しかしながら、既に述べたように、図6に示すような2つの屈折面を有するレンズ要素5aからなる従来のフライアイレンズ5を使用する場合、射出側の屈折面はフィールドレンズとして作用するため、各レンズ要素5aの屈折力(焦点距離の逆数)は1つの屈折面でのみ担われる。従って、図7に示したように、従来のフライアイレンズを使用した場合には、装置全体を大型化することなく、正弦条件不満足量OSCの関数DS(θ)(=OSC/f)の値を1%より小さくすることは困難である。そのため、(20)式より照明開口数NA(y)の均一性を3%以内に抑えるのが困難となる。
【0031】
そこで、本発明では、図2に示すように、フライアイレンズ(9)のレンズ要素(9a)の屈折力(焦点距離の逆数)を1面の屈折面のみによるのではなく、複数の屈折面(r,r)により分担することで正弦条件の改善を計ることとした。正弦条件違反量は、残存コマ収差(3次)の大きさを示すことはよく知られている。単レンズのベンディングと残存コマ収差との関係は、例えば、F.A.JENKINS,H.E.WHITE:”Fundamental of Optics”,4th ed.,P165(McGRAW−Hill,1981)等に開示されており、単レンズ2面のベンディングでも大きく正弦条件を変化させることが可能である。従って、本発明によれば、装置の大型化を招くことなくフライアイレンズ(9)における正弦条件の不満足量を減少できるため、条件(a)がほぼ満たされて、照度及び照明開口数の両方の均一性が高められる。
【0032】
また、(21)式の条件が満たされるときには、(11)式よりフライアイレンズ(9)における正弦条件不満足量OSCが1%より小さくなる。従って、(20)式より照明開口数の被照射面での均一性を3%以内に抑えることができる。
また、そのフライアイレンズ(9)を構成する複数個のレンズ要素(9a)が、図2に示すようにそれぞれ光軸(AXa)を共有する2群2枚のレンズ(10a,11a)より構成され、光源側のレンズ(10a)が両凸レンズであり、且つ(22)式が成立するときには、そのレンズ(10a)の入射面の屈折力が射出面の屈折力より大きくなる。これにより、照明光が水銀ランプのi線のような紫外域の場合でも、屈折率が実用的な2以下の硝材を用いて正弦条件を満たすことができる。
【0033】
なお、図2において、被照射面側のレンズ(11b)の光源側の面が平面(1/r=0)であるときには、光源側のレンズ(10a)の被照射面側の曲率半径rの絶対値が光源側の曲率半径rの絶対値の6倍であることが望ましい。即ち、1/r=0であるときには、次の条件が満たされることが望ましい。
|r|=6・|r| (23)
この条件が成立すると、正弦条件が最も正確に満たされる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の一実施例につき図1〜図3を参照して説明する。本実施例は半導体露光装置の照明光学系に本発明を適用したものであり、図1において図4に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図1は、本例の照明光学系を示し、この図1において、水銀ランプよりなる光源1からの光束は、集光鏡2、及びコリメータレンズ3によりほぼ平行な光束に変換された後、バンドパスフィルタ4に入射する。そして、バンドパスフィルタ4で選択されたi線(波長:365nm)の照明光が、本例のフライアイレンズ9の入射側の面91に入射し、フライアイレンズ9の射出側の面92に多数の光源像(三次光源)が形成される。その面92には開口絞り6が設置され、開口絞り6の開口内の多数の三次光源から発散する光束は、コンデンサーレンズ7により集光されて、レチクルのパターン形成面上の照明領域8を重畳的に均一な照度分布で照明する。
【0035】
この場合、光源1と光学的に共役関係にあるのは、集光鏡2の第2焦点22とフライアイレンズ9の射出側の面92とであり、被照射面である照明領域8における照明光学系の開口数(NA)は、その射出側の面92に配置された開口絞り6の開口径により決定される。また、照明領域8が位置する被照射面(レチクルのパターン形成面)は、フライアイレンズ9の入射側の面91と共役であって、フライアイレンズ9を構成する各レンズ要素の入射面が各々視野絞りとなり、この視野絞りにより制限された光束がコンデンサーレンズ7を介して被照射面上で重畳される。
【0036】
本例のフライアイレンズ9は、照明光学系の光軸AXに沿って所定間隔で配置された2つのレンズ束10、及びレンズ束11より構成されている。
図2は、本例のフライアイレンズ9の拡大図であり、この図2において、光源側の第1のレンズ束10はそれぞれ断面形状が矩形の多数のレンズ10aを縦横に密着して束ねたものであり、被照射面側の第2のレンズ束11も同様にそれぞれ断面形状がレンズ10aと同じ矩形の多数のレンズ11aを縦横に密着して束ねたものである。また、レンズ束10を構成するレンズ10aとレンズ束11を構成するレンズ11aとはそれぞれ同軸に配置され、レンズ10aとレンズ11aとから、それぞれフライアイレンズ9のレンズ要素9aが構成されている。即ち、本例のフライアイレンズ9のレンズ要素9aは、それぞれ光軸AXaを共有する2群2枚のレンズ10a,11aより構成されている。このような2群2枚の構成により、本例のフライアイレンズ9の各レンズ要素9aはそれぞれ正弦条件の補正が行われている。
【0037】
また、本例のフライアイレンズ9を構成するレンズ要素9aにおいて、光源側のレンズ10aの入射面(即ち、フライアイレンズ9の入射側の面91)がレンズ要素9aの前側の焦点面となり、被照射面側のレンズ11aの射出面(即ち、フライアイレンズ9の射出側の面92)がレンズ要素9aの後側の焦点面となっている。従って、レンズ要素9aに光源側から入射した平行光束は、レンズ11aの射出面で集光され、逆にレンズ要素9aに被照射面側から入射した平行光束は、レンズ10aの入射面で集光されるようになっている。
【0038】
フライアイレンズ9を製造する場合には、一例として、レンズ束10は各レンズ10aの側面同士を接着することにより一体の光学部品として組み上げ、同様にレンズ束11についても各レンズ11aの側面同士を接着することにより一体の光学部品として組み上げる方法がある。この例では、レンズ束10及びレンズ束11の光軸の調整は機械的に行われる。
【0039】
また、フライアイレンズ9の製造方法の他の例として、図3に示すように、レンズ束10は各レンズ10aを接着によらずに2枚の光透過性の平行平面板12A,12Bで挟んで保持し、同様にレンズ束11も各レンズ11aを2枚の光透過性の平行平面板13A,13Bで挟んで保持する方法もある。この例でも、レンズ束10及びレンズ束11の光軸の調整は機械的に行われる。
【0040】
更に、レンズ束10及びレンズ束11を、それぞれガラス基板上にプレス加工によって所定の屈折面を有する多数のレンズを形成することによって製造してもよい。
次に、本例のフライアイレンズ9の具体的な実施例につき説明する。以下の実施例では、図2に示すように、光源側からの照明光がフライアイレンズ9中で通過する面を順次第i面(i=1〜4)として、第i面の曲率半径r の符号は、光源側からの光束に対して凸の場合を正にとり、フライアイレンズ9の焦点距離fを1に規格化してある。そして、第i面と第(i+1)面との面間隔をdとして、第i面と第(i+1)面との間の屈折率をnとする。また、照明光の波長(使用波長)、使用する硝材、及びこの硝材の使用波長に対する屈折率は次の通りである。
【0041】
使用波長:365nm(水銀ランプのi線)、
硝材:石英、
石英の屈折率:1.474552
【0042】
[第1実施例]
この第1実施例は、図2のフライアイレンズ9を構成する各レンズ要素9aの光源側のレンズ10aを両凸レンズ、被照射面側のレンズ11aを光源側が平面となった平凸レンズとして、正弦条件を満たすように補正を行ったものである。具体的なレンズデータは以下の通りである。
【0043】
【表1】
Figure 0003608580
【0044】
このレンズデータに基づいて、(11)式で定義される正弦条件不満足量OSCを焦点距離で規格化した値OSC/fを、種々の2h/f(即ち、Fナンバーの逆数)について計算すると、次のようになる。
【0045】
【表2】
Figure 0003608580
【0046】
この表2より、本例では2h/fの値が0.5(Fナンバー=2)の場合でも正弦条件不満足量は約0.1%程度であることが分かる。これに対して、図7に示すように、従来の単一レンズよりなるレンズ要素を束ねたフライアイレンズを使用した場合の正弦条件不満足量は、1%より大きい値であり、本例では正弦条件が極めて良好に補正されている。従って、本例のフライアイレンズ9を使用した照明光学系では、被照射面での照度及び開口数の均一性を共に極めて高いレベルに設定できる。
【0047】
[第2実施例]
この第2実施例は、図2のフライアイレンズ9を構成する各レンズ要素9aの光源側のレンズ10aと、被照射面側のレンズ11aとを対称な両凸レンズとして、正弦条件を満たすように補正を行ったものである。具体的なレンズデータは以下の通りである。
【0048】
【表3】
Figure 0003608580
【0049】
このレンズデータに基づいて、(11)式で定義される正弦条件不満足量OSCを焦点距離で規格化した値OSC/fを、種々の2h/f(即ち、Fナンバーの逆数)について計算すると、次のようになる。
【0050】
【表4】
Figure 0003608580
【0051】
この表より、第1実施例と同様に正弦条件は極めて良好に補正されていることが分かる。
更に、レンズ10,11の厚さ、屈折率等を変化させて各種構成例の検討を行ったが、フライアイレンズ9のレンズ要素9aを2群で構成する場合には、現実的な屈折率の範囲内で第1群の入射面の曲率半径r、及び射出面の曲率半径rについて、以下の条件が成立するときに、正弦条件を最適化できることが分かった。
【0052】
>0 (24)
<0 (25)
|r|<|r| (26)
これらの内で(24)式及び(25)式の条件はその第1群が両凸レンズであることを意味している。
【0053】
なお、上述実施例では、フライアイレンズ9のレンズ要素9aが2群2枚で構成されているが、2群で3枚以上からレンズ要素9aを構成してもよい。更に、各レンズ要素9aを3群以上で構成して、更に高度な補正を行うことも可能である。そのように3群以上の場合は、凹レンズ群を交えた構成も採用できる。しかしながら、各レンズ要素の光軸精度の維持を考えると現実的には困難である。
【0054】
このように、本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0055】
【発明の効果】
本発明の照明光学装置によれば、フライアイレンズを構成する複数のレンズ要素がそれぞれ少なくとも3つの所定の屈折力を持つ屈折面(その内の1面がフィールドレンズとして作用する)を有するため、即ちそれら各レンズ要素の屈折力が少なくとも2つの屈折面によって担われているため、正弦条件の補正が容易となっている。従って、装置を大型化することなくフライアイレンズの正弦条件不満足量を小さくして、照度及び照明開口数の両方の均一性を高めることができる利点がある。その結果として、本発明を投影露光装置の照明光学系として適用した場合に、得られる投影像の露光フィールド内での均一性が大幅に向上する。
【0056】
また、(21)式の条件を満たす場合には、フライアイレンズの正弦条件不満足量を1%より小さくできる。そのため、照明開口数の被照射面での均一性を3%より小さくでき、例えば投影露光装置に適用した場合に良好な結像特性が得られる。
また、フライアイレンズの構成するレンズ要素を、それぞれ光軸を共有する複数枚のレンズより構成した場合には、屈折面の曲率半径及び屈折率を組み合わせることにより、フライアイレンズの正弦条件を容易に補正できる利点がある。
【0057】
更に、フライアイレンズを構成する複数個のレンズ要素を、それぞれ光軸を共有する2群2枚のレンズより構成し、その光源側のレンズを両凸レンズとして、(22)式の条件を満たす場合には、2群2枚の簡単な構成にも拘らず、また、実用的な屈折率の範囲内で容易にフライアイレンズの正弦条件の補正を行うことができる。
【0058】
また、本発明のフライアイレンズによれば、簡単な構成で正弦条件不満足量を1%より小さくできる利点がある。従って、本発明のフライアイレンズは本発明の照明光学装置に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による照明光学装置の一実施例を示す構成図である。
【図2】実施例で使用されるフライアイレンズ9を示す概念図である。
【図3】実施例で使用されるフライアイレンズ9の製造方法の他の例を示す概念図である。
【図4】従来の照明光学装置を示す構成図である。
【図5】(a)は図4中のフライアイレンズ5を光軸方向に見た状態を示す図、(b)はフライアイレンズ5の側面図である。
【図6】従来のフライアイレンズ5を示す光路図である。
【図7】従来のフライアイレンズの正弦条件不満足量の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 集光鏡
3 コリメータレンズ
4 バンドパスフィルタ
6 開口絞り
7 コンデンサーレンズ
8 照明領域
9 フライアイレンズ
9a レンズ要素
10 第1のレンズ束
10a レンズ
11 第2のレンズ束
11a レンズ

Claims (7)

  1. 照明光を発生する光源と、該光源からの照明光を所定の面に導く光束整形光学系と、前記所定の面に入射面が配置され前記照明光より複数個の光源像を形成するフライアイレンズと、前記複数個の光源像からの照明光を重畳して被照射面を照明するコンデンサーレンズ系と、を有する照明光学装置において、
    前記フライアイレンズを構成する複数個のレンズ要素はそれぞれ、前記照明光の入射面から射出面までの間に少なくとも3つの所定の屈折力を有する屈折面を有するとともに、
    前記フライアイレンズを構成する複数個のレンズ要素はそれぞれ、前記フライアイレンズの焦点距離をf、前記各レンズ要素の光軸に平行な照明光の最大入射高をh max 、該最大入射高h max で入射して射出される照明光が前記光軸となす角度をθ max とするとき、
    |h max / (f・ sin θ max ) |<0.01
    の条件を満足することを特徴とする照明光学装置。
  2. 請求項記載の照明光学装置であって、
    前記フライアイレンズを構成する複数個のレンズ要素はそれぞれ、光軸を共有する複数枚のレンズより構成されることを特徴とする照明光学装置。
  3. 請求項1又は2記載の照明光学装置であって、
    前記フライアイレンズを構成する複数個のレンズ要素はそれぞれ、光軸を共有する2群2枚のレンズより構成され、前記光源側のレンズは両凸レンズであり、該両凸レンズの前記光源側の面の曲率半径をr1 、他方の面の曲率半径をr2 とするとき、
    |r1 |<|r2
    の条件を満足することを特徴とする照明光学装置。
  4. 前記コンデンサーレンズ系は、以下の条件を満足するコンデンサーレンズを備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の照明光学装置。
    y=F・sinθ
    但し、
    y:照明領域での像高、
    F:前記コンデンサーレンズの焦点距離、
    θ:前記コンデンサーレンズに対する照明光の入射角、
    である。
  5. マスクに形成された転写用のパターンを感光基板に転写する露光装置において、
    前記マスク上の所定の照明領域を照明するために、請求項1〜4の何れか一項記載の照明光学装置を備えることを特徴とする露光装置。
  6. マスクに形成された転写用のパターンを感光基板に転写する露光方法において、
    請求項1〜4の何れか一項記載の照明光学装置を用いて前記マスク上の所定の照明領域を照明することを特徴とする露光方法。
  7. 複数個のレンズ要素よりなるフライアイレンズにおいて、
    前記複数個のレンズ要素はそれぞれ、照明光の入射面から射出面までの間に少なくとも3つの所定の屈折力を有する屈折面を有し、
    前記フライアイレンズの焦点距離をf、前記各レンズ要素の光軸に平行な照明光の最大入射高をhmax 、該最大入射高hmax で入射して射出される照明光が前記光軸となす角度をθmax とするとき、
    |hmax/(f・sin θmax)|<0.01
    の条件を満足することを特徴とするフライアイレンズ。
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