JP3608425B2 - 複合ローラの製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、一般産業機器の回転駆動部に用いられる複合ローラの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は先に、車軸または回転軸に支持される芯金としてのハブ部材を有し、このハブ部材の外周に沿って、中間弾性吸収層、中間補強層および緩衝、防振および吸音する表面弾性層が順次形成されて一体化された複合ローラであって、中間補強層がリング状の金属環部材と樹脂環部材の2層の接合体である複合ローラを提案している(特開平8−232946号公報)。
【0003】
ここで提案された複合ローラは、運転と停止が頻繁に繰り返されて、停止中でも重量負荷が作用し続けるような使用条件下で、表面弾性層にハブ部材側の材質や物理的性質の相違によって永久歪が発生し易い複合ローラにおいても、表面弾性層に発生した永久歪はその下層に形成された中間弾性吸収層で吸収されて速やかに原形に回復し、また重量負荷は中間補強層が分担するので、表面弾性層には永久歪の回復と負荷軽減の両作用が付与され、ハブ部材側とのズレや段差発生による騒音や振動を防止するという効果が奏せられるものの、中間補強層がリング状の金属環部材と樹脂環部材との二層の接合体から形成されているため、荷重を受けながらローラが回転運動するときに、これらの環部材との間に離脱を発生させる余地がみられた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、車軸または回転軸に支持される芯金としてのハブ部材を有し、このハブ部材の外周に沿って、中間弾性吸収層、中間補強層および緩衝、防振および吸音する表面弾性層が順次形成されて一体化された複合ローラであって、中間補強層がリング状の環部材同志の接合体であって、荷重を受けながらローラが回転運動するときに、これらの環部材との間に離脱を発生し得ないものの製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、上記構成の複合ローラを製造するに際し、内側に中間弾性吸収層を予め形成させたリング状金属環部材と外側に鋳造ポリアミド樹脂製表面弾性層を予め形成させたリング状金属環部材とを接合させ、中間補強層を形成させることによって達成される。
【0006】
ここで、中間補強層を1つのリング状金属環部材ではなく、2つのリング状金属環部材同志の接合体として形成させるのは、中間補強層の内側に中間弾性吸収層(例えば防振ゴム)を、また外側に表面弾性層(鋳造ポリアミド樹脂)をそれぞれ焼付け成形しなければならないが、1つの金属環部材の両面にこれら両者を接合することは、順番に行っても焼付け条件などからいって不可能であり、従ってこれら両者を別々に接合した金属環部材が用いられなければならないことになるのである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る複合ローラ20の一部破断による斜視図を示している。複合ローラ20は回転シャフト30上にベアリング等の軸受11を介して機器に軸支される。軸受11の外周には鉄、鋳鉄、アルミニウム等の金属または樹脂材等による芯金のハブ部材12が嵌合されている。ハブ部材12の外周には永久歪が小さく歪回復性に優れたゴム、例えば天然ゴム、ニトリルゴムまたはエチレンプロピレンゴム等による中間弾性吸収層13が焼成などして形成されている。この中間弾性吸収層13の材質には永久歪の発生が少なく、また歪が発生した場合でも原形回復性に優れたものが選定される。更に、中間弾性吸収層13の外周には比較的薄層でハブ部材12と同質の金属による中間補強層(16,17)が焼き嵌めなどの手段でもって接合されている。更に、最外層として中間補強層16の外周には表面弾性層15が形成されていて、この表面弾性層15は鋳造ポリアミド樹脂で中間補強層16の上からこれを完全に被覆するような形で所定の厚さに形成されている。この表面弾性層15では中間弾性吸収層13と共に、ローラ駆動時に作用する機器からの負荷荷重を緩衝し、防振、吸音などの機能を満足させる部分となっている。
【0008】
本発明においては、複合ローラの中間層をいずれもリング状金属環部材である2層16,17の接合体として形成させている。金属環部材としては、鉄、鋳鉄、アルミニウム等の金属をリング状に成形したものが用いられており、これら金属環部材同志の強い接合は、金属同志の接合に用いられる一般的な接合手段、例えば嵌合等の方法によって行われる。なお、それ同志が接合される金属環部材の表面には、それぞれ中間弾性吸収層または表面弾性層が予め形成されている。
【0009】
従って、複合ローラ20では、回転シャフト30を介し機器に取り付けられて駆動する際、例えば駆動停止中でも相当の荷重がローラ全体に負荷され続けているような場合、最上層である表面弾性層15ではその負荷によって中間補強層(16,17)との熱膨張や材質上の違いによって永久歪が発生する。表面弾性層15にはもともと耐摩耗性や耐熱性に優れた材質が選定されてはいるが、エレベータ用ガイドローラのように上昇と下降による運転−停止が頻繁に繰り返され、停止時でも相当の負荷が作用し続けるような厳しい使用条件下では永久歪の発生を完全に抑えることはできない。
【0010】
表面弾性層15に発生した永久歪は中間弾性吸収層13で吸収される。中間弾性吸収層13は永久歪の発生が少なく、また歪が発生した場合でも原形回復性に優れているが、耐摩耗性や耐熱性などの物理的性質の面では表面弾性層15よりも劣る。それを両層間に介在させた金属等による剛性の高い中間補強層(16,17)で補足することができる。中間補強層(16,17)による負荷の負担によって運転停止中の重量負荷を軽減し、表面弾性層15に発生した永久歪を最小限に抑え、仮に永久歪が発生した場合でもそれを速やかに回復させる。
【0011】
前述の如く、表面弾性層はウレタンゴムやシリコーンゴム等のゴム状弾性材あるいは熱可塑性樹脂を溶融状態から射出成形したものなどから形成され、一般にはウレタンゴムが用いられるが、耐荷重性の点で満足されない。
【0012】
例えば、中間補強層上に接着剤を塗布した後高温でウレタンゴムを焼き付けて表面弾性層を形成させた複合ローラは、その軸に所定の荷重を加えながら300mm径の相手ホイールと接触させ、130m/分の回転速度で回転させたとき、荷重350Kgf、回転時間1000時間の条件下でも亀裂を生じなかったが、荷重450Kgfでは300時間で亀裂が生じた。
【0013】
ウレタンゴムに代えて熱硬化性樹脂である鋳造ポリアミド樹脂(代表的なものとしてはMC=モノキャスト=ナイロン等が挙げられる)を用い、それをリング状に成形した後中間補強層上に嵌合させた場合には、上記条件下での回転試験で、荷重350Kgfまたは450Kgfでそれぞれ1000時間でも亀裂がみられなかった。
【0014】
【発明の効果】
車軸または回転軸に支持される芯金としてのハブ部材を有し、このハブ部材の外周に沿って、中間弾性吸収層、中間補強層および緩衝、防振および吸音する表面弾性層が順次形成されて一体化された複合ローラを製造するに際し、内側に中間弾性吸収層を予め形成させたリング状金属環部材と外側に鋳造ポリアミド樹脂製表面弾性層を予め形成させたリング状金属環部材とを接合させ、中間補強層を形成させることにより、中間補強層がリング状の金属環部材同志の接合体として形成させているので、荷重を受けながらローラが回転運動するときに、これらの環部材との間に離脱が発生し難い。また、表面弾性層を熱硬化性樹脂である鋳造ポリアミド樹脂で形成させているので、耐久性のなお一層の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複合ローラを示す一部断面による斜視図である。
【符号の説明】
11 軸受
12 ハブ部材
13 中間弾性吸収層
15 表面弾性層
16,17 金属環部材
20 複合ローラ

Claims (3)

  1. 車軸または回転軸に支持される芯金としてのハブ部材を有し、このハブ部材の外周に沿って、中間弾性吸収層、中間補強層および緩衝、防振および吸音する表面弾性層が順次形成されて一体化された複合ローラを製造するに際し、内側に中間弾性吸収層を予め形成させたリング状金属環部材と外側に鋳造ポリアミド樹脂製表面弾性層を予め形成させたリング状金属環部材とを接合させ、中間補強層を形成させることを特徴とする複合ローラの製造法
  2. 請求項1記載の方法で製造された複合ローラ。
  3. エレベータ用ガイドローラとして用いられる請求項2記載の複合ローラ。
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