JP3608339B2 - 流動化処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土木現場や建設現場で掘削により発生した土に流動化処理して埋め戻すために用いられる流動化処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
都市ガス配管や下水管等を道路下に敷設するに当っては、まずアスファルト等の舗装の層を剥して、所定の深さまで掘削することにより配管の埋設スペースを確保し、このスペースに配管を設置する。そして、土砂を埋め戻した後に締め固めを行い、さらにその上に再度舗装を行うようにする。ここで、配管が敷設される地層等によっては、掘削により発生した土を埋め戻し用として用いることができないものもある。このように、掘削による発生土がそのまま埋め戻し用として使用できないものである場合には、その土砂を作業現場から搬出して廃棄し、これに代えて良質な埋め戻し用の土を新たに搬入して、掘削箇所の埋め戻しを行うようにしていた。しかしながら、近年においては、発生土を廃棄する場所が不足する傾向にあり、またたとえ廃棄や処理が可能な場所なり施設なりが存在するにしても、作業現場から著しく離れた遠隔地である場合が多く、従ってこのような遠隔地まで運搬しなければならないことから費用も手間もかかることから、その廃棄や処理が面倒になると共に、ダンプ公害等の問題があり、また良質な埋め戻し土の入手は必ずしも手近で困難なこともあり、やはり遠隔地からの搬入が必要となる等といった問題点がある。
【0003】
以上の点を考慮して、近年、掘削による発生土の土質の改良を行って、埋め戻しに適した土に変える、所謂流動化埋め戻し工法が開発され、実用化されるようになってきている。この流動化埋め戻し工法は、発生土に水及び固化剤を、適切な配合割合で混合して撹拌することにより流動化処理して均一に混合したスラリー状態の埋め戻し用の素材に変えるようになし、このように流動化処理された土を掘削箇所に埋め戻すようにするものである。この流動化埋め戻し工法は、掘削により発生した土が、例えば関東ローム層や汚泥等のように質の悪い土でも埋め戻し用として利用できるようになり、また埋め戻し材は流動状態にあり、埋設物の周囲への回り込みが円滑になることから、埋設物輻輳による埋め戻し不良の発生を防止でき、また締め固めの必要がなくなるので、作業の迅速化や騒音・振動の発生が抑制される等の利点がある。ここで、固化剤としては、セメント,セメント系固化剤,石灰,石灰系固化剤,セメント石灰複合系固化剤が主に用いられ、また流動性や固化時間等を調整するために、その他の添加剤や混合材が適宜添加される。水は、水道水や工業用水は当然用いることができるが、河川水や雨水等であっても良い。
【0004】
前述した流動化処理土を製造するには、発生土だけでなく、固化剤及び水が容易に入手できなければならない。また、発生土と水及び固化剤との混合割合を厳格に設定しなければ、埋め戻し材として良好な品質が得られない。さらに、発生土から異物や塊状物等を除去し、かつ混合物の撹拌も適切に行わなければならない。以上のことから、流動化処理装置としては、かなり大掛かりな設備が必要になり、このような設備は所定の場所に固定的に据え付けられることになる。従って、作業現場で発生した発生土をダンプトラック等でこの設備に搬入して、流動化処理を行うようになし、処理された埋め戻し材は、ミキサー車等により、再び作業現場に搬入するようにしなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば共同溝や、シールドトンネル等のように大規模現場はともかくとして、例えば道路に沿ってガス管を埋設する工事等というように、比較的小規模な工事現場においては、土砂の掘削量及び埋め戻し量が少ない。しかも、交通量の多い道路等では、埋め戻し作業の簡易性及び迅速性が要求され、ダンプトラックやミキサー車等が頻繁に出入りするのは好ましくはない。以上のことから、処理能力は限られたものであっても、小型の流動化処理装置を、例えばトラックやトレーラ等の車両に搭載して、作業現場の近くまで搬入して、発生土の流動化処理を行わせることができれば、前述したような小規模工事用として至便なものとなる。特に、走行手段として、履帯を備えたクローラ式走行体を用いれば、掘り返し等により凹凸のある地面でも走行が可能になるので、埋め戻しを行う場所に極めて近い位置で流動化処理を行える点でさらに有利である。
【0006】
ここで、流動化処理を行うには、発生土と水と固化剤との混合比率を厳格に調整しなければ、高品質の埋め戻し材が得られない。即ち、土砂とそれに混合される固化剤との比率において、土砂の比率が高すぎると、流動化処理土が十分に固化されず、固化剤の比率を高くしすぎると、埋め戻し土が固くなり、埋設管の補修等のために行われる再掘削が困難になってしまう等の不都合が生じる。また、水の比率が低過ぎると、土砂との混合が十分に行われず流動化が不十分になると共に、土砂と固化剤とのミキシングが均一に行えないことになる。水の量を多くすると、固化が十分に行われなくなる。従って、流動化処理土を製造するに当って、混合比率は極めて重要であるが、車載式の流動化処理装置では、発生土,水及び固化剤の投入量を制御することが困難であり、良質な埋め戻し材を製造できないという問題点がある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、車載式の流動化処理装置において、良質な流動化処理土を製造できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、土砂と水と固化剤との供給部、及び流動化処理した流動化処理土の供給部を備えた流動化処理タンクを重量検出手段を介して走行車両の車台に設置し、かつこの車台に支持部材を立設させて設けて、この支持部材に前記流動化処理タンク内を撹拌する撹拌手段を支持させて設ける構成としたことをその特徴とするものである。
【0009】
流動化処理タンクに投入される土砂は、予め塊状物や異物等を除去する必要がある。塊状物や異物等の除去は、流動化処理タンクに投入する前に完全に行われておれば良いが、作業の効率化及びそれらの分離・除去の確実性を図るには、流動化処理タンクの投入部に塊状物や異物等を分離する篩い分け手段を装着するのが好ましい。この場合において、篩い分け手段は流動化処理タンクではなく、支持部材に固定して設けるようにする。また、流動化処理タンクには給水管が装着されるが、この給水管も支持部材側に装着するのが好ましい。重量検出手段は、防振支持台を介して車台に連結するようになし、またこの防振支持台に装着される防振手段としては、内部に硬質材からなる球体を埋設した柱状の弾性部材と、この弾性部材の上下の両端に固着され、かつ球体と点接触する一対の硬質の連結部材とから構成し、これら両連結部材のうちの一方を前記防振支持台に、他方を前記車台に連結する構成としたものを用いることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の一形態について説明する。まず、図1に流動化処理装置の概略構成を示す。図中において、1は流動化処理タンク、2は撹拌装置である。まず、図1の(a)に示したように、予め水Wを流動化処理タンク1に供給しておき、この状態で、図1(b)に示したように、発生土Gを流動化処理タンク1に投入する。この発生土Gの投入前に、予め岩石等の塊状物や、金属等の異物を除去しておくのが好ましい。また、この発生土Gの投入作業を開始すると共に、撹拌装置2の作動を開始して、水Wと発生土Gとを撹拌・混合させる。このように、発生土Gの投入と撹拌装置2による撹拌とを同時に平行して行うことによって、円滑に水Wと発生土Gとを混合させることができる。このように、水Wに発生土Gを加えながら、撹拌装置2により流動化処理タンク1内を撹拌することによって、発生土Gと水Wとを均一に混合させてスラリー化させる。このように、発生土Gの水分調整が行われた上で、撹拌装置2による撹拌を継続しながら、図1の(c)に示したように、固化剤Cを定量だけ投入して、この固化剤CをスラリーSに均一に混合する。この結果、埋め戻しに適さない例えば関東ローム層等の土を有効な埋め戻し材に変換することができ、掘削による発生土をもって掘削箇所の埋め戻しを行うことができる。しかも、この埋め戻し材としては、流動化処理土であって、埋め戻した後に、1〜24時間程度で固化することから、埋設物の周囲への回り込みが良好になり、また締め固めも必要としない。また、固化剤の混合比率によ固化後の強度の調整を行えるから、埋め戻した場所を再度掘削することも可能になる。ここで、発生土Gと水W及び固化剤Cの混合比率は、発生土Gの性質や含水量等に応じて変化することから、実際の流動化処理を行う前に実験等により予め求めておくのが好ましい。
【0011】
以上のようにして発生土が流動化処理されるが、この流動化処理装置は、図2に示したように、走行車両に設置されて、自走式の流動化処理装置10として構成し、作業現場において、掘削による発生土を取り込んで、流動化処理した上で、直接掘削箇所に埋め戻すことができるようになる。ここで、車両としては、履帯を備えたクローラ式の走行車両を例示するが、走行手段は必ずしもクローラ式のものでなければならないのではなく、ホイール式等の走行手段を備える車両であっても良い。
【0012】
而して、図2は流動化処理装置の正面図であり、図3は流動化処理タンクの平面図、図4は図3のX−X断面図である。また、図5は図2の左側面図であり、さらに図6は図2のY−Y断面図である。さらに、図7は装置の駆動機構を示す回路図である。さらにまた、防振手段の構成を図8に示す。
【0013】
まず、図2において、11は走行手段としての左右一対の履帯を有するクローラ式走行体、12は車台を構成する車体フレームである。クローラ式走行体11は、左右一対からなる走行体フレーム13の両端に駆動スプロケット14とアイドラ15とを設けて、これら駆動スプロケット14とアイドラ15との間には、無限軌条を構成する履帯16が巻回して設けられている。従って、左右の駆動スプロケット14を駆動することによって、車両全体が自走することになる。
【0014】
車体フレーム12はクローラ式走行体11の上に旋回装置18を介して連結されており、この旋回装置18により車体フレーム12は旋回可能となっている。そして、車体フレーム12上には、旋回中心Rに対して、前方側の位置に動力装置19が、また後方側には流動化処理タンク20が設置されて、重量バランスを取るようにしている。動力装置19は、図7から明らかなように、エンジン21及び油圧ポンプ22a,22bを有し、エンジン21を作動させることにより、油圧ポンプ22a,22bを駆動して、作動油タンク23から供給された作動油を加圧して、各油圧アクチュエータに圧油を供給して、これら各油圧アクチュエータに接続した装置の各部を駆動することができるようになっている。また、動力装置19の上部には、運転席24が設けられており、この運転席24にオペレータが搭乗して、その近傍に設けた操作レバー(図示せず)を操作することによって、各部の駆動制御が行われる。
【0015】
流動化処理タンク20は、有底円筒状の部材から構成されており、車体フレーム12に直接設置されるのではなく、車体フレーム12に設けた後述する荷重センサ45上に載置されている。この流動化処理タンク20は、後方への張り出し部20aが設けられており、図3からも明らかなように、この張り出し部20aから処理タンク20の上部の所定の範囲をカバーするように、すのこ状の篩い分けユニット25が着脱可能に取り付けられており、この篩い分けユニット25の部位が土砂の投入部となる。篩い分けユニット25は、枠状の本体25aの上部に桟を掛け渡したり、格子を装着する等により形成される篩い25bを装着したものであって、掘削した土に岩石等の塊状物や金属その他の異物が混入している場合に、そのうちの大きなものが流動化処理タンク20内に入らないように取り除くためのものである。
【0016】
流動化処理タンク20には、図4から明らかなように、撹拌装置26が装着されている。この撹拌装置26は、回転軸27に撹拌翼28を連結して設けたものであって、この回転軸27には減速機29を介して油圧モータ30の出力軸に対してカップリング部材31で連結されている。減速機29のハウジング及び油圧モータ30は取付板32に取り付けられている。この取付板32は、門型に形成した一対の支持部材33,33間に掛け渡すように連結した上下一対の板体から構成されており、これら支持部材33,33は車体フレーム12に立設されている。従って、撹拌装置26を構成する全ての部材は車体フレーム12に支持されており、かつ撹拌翼28は流動化処理タンク20内の所定の位置に保持される。また、前述した篩い分けユニット25を構成する枠状の本体25aも流動化処理タンク20に取り付けられるのではなく、取付板32に連結・固定されている。従って、この篩い分けユニット25の荷重も流動化処理タンク20には作用しない。なお、この篩い分けユニット25の本体25aを支持部材33に水平方向に移動可能に連結して、油圧シリンダや油圧モータ等の往復動手段を用いて、この篩い分けユニット25を水平方向に往復移動させて、土砂の落下を促進するように構成することも可能である。
【0017】
流動化処理タンク20の上部には、前述した篩い分けユニット25が装着される部位と、取付板32により覆われた部位とを除いて、蓋体34が装着されており、この蓋体34には給水管35が貫通する状態に設けられている。この給水管35は、L字状に曲成したパイプからなり、下方に向けた端部は蓋体34を貫通して、流動化処理タンク20内に臨んでいる。また水平部分は、支持部材33に連結されると共に、開閉弁36が設けられている。そして、水平部分の端部には、給水ホースが接続されるようになっている。従って、流動化処理タンク20にはこの給水管35の荷重も作用しないことになる。
【0018】
蓋体34には開閉扉34aが設けられており、この開閉扉34aを開くことによって、固化剤の投入が可能となっている。固化剤は上部が開口した固化剤容器37内に収容されており、開閉扉34aを開いた状態で、この固化剤容器37を反転させることによって、流動化処理タンク20内に固化剤を投入できるようになっている。ここで、固化剤が入った固化剤容器37はかなりの重量があるために、その投入作業を自動化する構成となっている。
【0019】
このために、固化剤容器37はL字状の反転部材38に保持具38aによって保持されており、この反転部材38は、車体フレーム12に立設した支持ロッド39の水平部分に反転可能に連結されている。また、反転部材38の下面と車体フレーム12との間には、油圧シリンダ40が枢着されており、この油圧シリンダ40が縮小状態になっている時には、固化剤容器37の開口部は上向きとなり、油圧シリンダ40を伸長させると、図2に仮想線で示したように、反転部材38は支持ロッド39を中心として反転して、固化剤容器37を反転させて、固化剤が流動化処理タンク20内に供給される。而して、この固化剤容器37及びその反転手段からなる固化剤投入手段の全体も、やはり車体フレーム12に支持されて、流動化処理タンク20にはその荷重が作用しないようになっている。
【0020】
さらに、流動化処理タンク20の下部側には流動化処理土の供給用配管41が取り付けられている。この供給用配管41は開閉弁42を有する硬質パイプから構成されており、先端にはホース43が接続されるようになっている。また、流動化処理タンク20の下部位置には点検口44が設けられており、この点検口44は開閉可能な扉から構成されている。従って、流動化処理を行った後に、流動化処理タンク20内に残留する固形物を排除したり、また内部の洗浄を行ったりできるようになっている。
【0021】
流動化処理タンク20には、前述したように、土砂と、水及び固化剤が投入されるが、この流動化処理タンク20で処理されて得た流動化処理土の品質は、これらの各部の混合比率により大きく変化する。従って、土砂と水と固化剤との混合比率を厳格に制御しなければならない。このために、重量検出手段を構成する荷重センサ45により秤量機能を持たせている。即ち、図6に示したように、車体フレーム12に装着した防振支持台46の上には荷重センサ45が3箇所設けられており、流動化処理タンク20はこれら3箇所の荷重センサ45上に設置されている。これによって、土砂を流動化処理タンク20に投入し、また水を供給した時には、荷重センサ45の検出重量の増加によって、土砂及び水の供給量が検出される。また、土砂と水との混合量が定まれば、固化剤の添加量が決まるから、固化剤は定量添加することができる。ただし、固化剤も荷重センサ45で検出することにより添加量の制御を行うようにすることもできる。
【0022】
ここで、荷重センサ45により検出されるのは、流動化処理タンク20とその内部に供給された物との合計の重量であり、従って荷重センサ45による検出重量の変化に基づいて土砂や水の供給量が検出される。そこで、検出精度を向上させ、誤差が生じるのを極力抑制するには、荷重センサ45に余分な重量が作用しないようにする必要がある。前述したように、土砂の投入部としての篩い分けユニット25,給水するための給水管35及び固化剤の投入部を構成する固化剤容器37を含む固化剤投入手段は、いずれも流動化処理タンク20に取り付けられてはおらず、また撹拌装置26の重量も流動化処理タンク20には作用しないようになっている。従って、荷重センサ45に作用するのは、実質的に流動化処理タンク20の重量のみであるから、荷重センサ45による検出精度は極めて高くなる。しかも、篩い分けユニット25には岩石や金属等が捕捉されているから、この篩い分けユニット25を流動化処理タンク20側に固定されていると、荷重センサ45では、これら篩い分けられた物も流動化処理タンク20への投入物に算入され、また給水管35自体はそれほど重量物ではないが、給水時に給水ホースを接続した時には、その荷重及びその内部の水が流動化処理タンク20の重量として検出されてしまうのを防止するために、やはり給水管35も流動化処理タンク20には取り付けないようにしている。さらに、撹拌装置26が流動化処理タンク20側に装着されていると、その重量だけでなく、撹拌時における振動等が直接荷重センサ45に作用することになり、その検出重量が正確に計測できないだけでなく、荷重センサ45に振動等が伝達されて、故障等のおそれがあるから、撹拌装置26は流動化処理タンク20には固定しないようにしている。
【0023】
荷重センサ45を車体フレーム12に直接取り付けると、車体フレーム12に生じる振動等の影響を受けることになる。しかしながら、荷重を正確に検出するためには、荷重センサ45は剛体的に取り付ける必要がある。そこで、荷重センサ45が取り付けられている防振支持台46は車体フレーム12に対して防振的に支持されており、防振支持台46は荷重センサ45と同様、3箇所設けた防振手段47を介して車体フレーム12に支持されている。これによって、車両の振動や作業中に他の物体が流動化処理タンク20に衝突しても、防振手段47の防振機能による振動や衝撃を吸収して、荷重センサ45の保護が図られると共に、荷重センサ45に対する横荷重やねじれ等の防止を図り、荷重検出精度を向上させるようにしている。
【0024】
また、防振手段47の機能としては、検出方向である上下方向以外の荷重が作用するのを極力抑制する必要がある。このためには、防振手段47は水平方向に対して防振機能を発揮させ、垂直方向には剛体的に支持させる方が好ましい。このような条件を満たすために、防振手段47は、例えば図8に示した構成とすることができる。即ち、同図において、47aは台板46に連結した金属等の硬質部材からなる連結板、47bは車体フレーム12に連結した連結板であって、これら両連結板47a,47bは金属等の硬質部材で形成されている。そして、連結板47a,47bの間に、金属球47cを埋設したゴム等の弾性を吸収する円柱状の防振ゴム47dを連結・固着し、金属球47cは連結板47a,47bに略点接触状態になっている。この防振手段47は防振支持台46に3箇所設けられている関係から、防振支持台46は連結板47a,47b間に介在する金属球47aによる3点で車体フレーム12に保持された状態になり、この防振支持台46と車体フレーム12との間隔は変化することがないから、台板46は上下方向には剛体的に保持される。しかも、連結板47a,47bと金属球47cとは略点接触状態になっているから、水平方向の振動は防振ゴム47dで吸収できるようになっている。これによって、荷重センサ45の保護が図られる。
【0025】
以上のように、荷重センサ45により流動化処理タンク20の重量が検出されることから、土砂の投入量及び水の供給量の調整を行うことができ、また必要に応じて固化剤の投入量も検出できるようになる。そして、荷重センサ45による検出結果をオペレータに知らせるために、運転席24の前方には表示パネル48が設けられており、この表示パネル48に供給量が表示されることになる。これによって、オペレータは土砂と水と固化剤との混合比率を確認できる。
【0026】
以上のように構成される流動化処理装置10は、クローラ式走行体11を構成する左右の履帯16を駆動するための駆動スプロケット14、旋回装置18による車体フレーム12の旋回、撹拌装置26の回転軸27の回転、さらに固化剤容器37の反転といった駆動は油圧アクチュエータにより行われる。即ち、図7から明らかなように、エンジン21及びこのエンジン22により駆動される2個の油圧ポンプ22a,22bを有し、これら油圧ポンプ22a,22bは作動油タンク23から供給される作動油を加圧して、各油圧アクチュエータに供給できるようになっている。即ち、左右の駆動スプロケット14の駆動は油圧モータ50a,50bにより、また旋回装置18の旋回用としては油圧モータ51が、また撹拌装置26は油圧モータ30で、固化剤容器37の反転は油圧シリンダ40で行われる。そして、油圧ポンプ22a,22bとこれら油圧モータ50a,50b,51,30及び油圧シリンダ40との間には、それぞれ方向切換弁52a〜52eが設けられており、これら各方向切換弁52a〜52eは運転席24の部位に設けた操作レバーで切り換え操作がなされる。
【0027】
本実施の形態における流動化処理装置10は以上のように構成されるものであって、例えば道路に側溝を掘って、この側溝に下水管を配置した上で、この下水管を埋設する工事を行う場合には、図9に示したように、油圧ショベル60とダンプトラック70とを用いる。油圧ショベル60は、土砂の掘削を行うためのものであり、このためにバケット61を有するフロント作業機構62が設けられている。また、ダンプトラック70は、その荷台71に掘削した土砂の仮置きするためと、余剰の土砂を搬出するためのものであり、荷台71には水槽72が載置されている。
【0028】
まず、図9の(a)に示したように、油圧ショベル60で掘削を行い、掘削により発生した発生土はダンプトラック70の荷台71に載置される。ここで、ダンプトラック70による仮置きは必ずしも必要ではないが、土砂から岩石等の塊状物や金属等といった固形異物を予め排除するために、仮置きを行うのが好ましい。そして、掘削箇所には、例えばヒューム管80が配置される。
【0029】
ダンプトラック70に所要量の土砂が堆積されると、流動化処理装置10を走行させて、ダンプトラック70に接近した位置にまで走行させる。この状態で、図9の(b)に示したように、油圧ショベル60を作動させて、ダンプトラック70の荷台71から土砂を取り出して、流動化処理タンク20に投入する。この土砂の投入は油圧ショベル60のバケット61により篩い分けユニット25上に土砂を供給するようにして行われるが、この時にバケット61が油圧モータ30に衝突するのを防止するために、土砂が直接投入される投入部となる篩い分けユニット25に保護板49を連結しておくのが好ましい。
【0030】
篩い分けユニット25に供給された土砂は、篩い25bの隙間を介して流動化処理タンク20内に落下するが、この流動化処理タンク20への土砂の投入量は荷重センサ45で検出される。ここで、流動化処理タンク20には何等の部材も取り付けられておらず、空の状態では流動化処理タンク20のみの荷重となるから、著しく正確に計量でき、計量誤差の発生が抑制される。オペレータは、この流動化処理タンク20への土砂の投入量を表示パネル48で確認しながら、所定量の土砂が投入されるまで土砂の投入作業を継続する。ここで、篩い25b上には岩石や金属等のように、流動化処理の対象とはならない物が捕捉され、これらが荷重センサ45に計量されることはない。
【0031】
所定量の土砂が流動化処理タンク20に投入されると、ダンプトラック70の荷台71に設置されている水槽72からの給水ホースを給水管35に接続して開閉弁36を開くことによって、水の供給がなされる。ここで、開閉弁36の開閉操作は手動で行っても良いが、油圧パイロット式で開閉するように構成すれば、運転席24でオペレータが自動的に制御できるようになる。この給水量も荷重センサ45で検出されて、この検出結果が表示パネル48に表示されるので、所定量給水されると、その給水を停止する。そして、この給水が終了した後、または給水中に、撹拌装置26により撹拌を開始する。なお、この給水量は、当初から土砂との混合比率に相当する量まで行うのではなく、それより少ない量給水された時点で一旦給水を停止するのが好ましい。例えば、土砂の投入時にある程度小さな異物は篩い25bを通過することから、これらの異物の量だけ土砂の分量が少なくなり、また土砂の含水量によっては水の供給量を減らさなければならない等の点から、定量の水を供給すると、水の混合比率が設定したものより高くなるからである。そして、流動化処理タンク20内をある程度撹拌させて、スラリーができた時点で、最終的に所定の混合比率となるように水を調整的に添加するのが好ましい。
【0032】
土砂と水とを混合して、撹拌装置26により均一に撹拌することによって、流動化処理タンク20の内容物はスラリー状態になる。そして、土砂がほぼ完全な水に溶解した状態になると、蓋体34に設けた開閉扉34aを開くと共に、油圧シリンダ40を作動させて、反転部材38を反転させて、固化剤容器37から固化剤を流動化処理タンク20内に投入する。なお、この固化剤の投入時には、撹拌装置26の作動を停止するのが、固化剤の投入作業の円滑化等の点で好ましい。勿論、この固化剤の投入量も荷重センサ45で検出しながら調整することもできるが、固化剤容器37には、1回の流動化処理に必要な量の固化剤を収容させておくようにしておくことによって、前述したように、土砂及び水の量を厳格に制御すれば、土砂,水及び固化剤の混合比率を一定化させることができる。そして、固化剤が投入されると、撹拌装置26による撹拌を継続して、最後に投入された固化剤を均一に分散させた流動化処理土が得られる。
【0033】
ところで、流動化処理タンク20内には多量の土砂が投入されることになり、水を加えてスラリー液の状態にするが、均一に混合した状態でもかなり高い粘度を有するものであり、従って撹拌時にはかなりの反力が生じることになる。特に、撹拌開始時には、土砂と水とが分離状態から混合が開始することから、土砂の堆積量が多い部位と少ない部位とでは、撹拌に対する抵抗が著しく変化することになる。このために、撹拌装置26の撹拌翼28には回転むらが生じる。しかしながら、直接地面に接しているのは、幅が広く、しかも広い面積で地面に当接している履帯16であるから、車両全体の安定性が失われることはない。また、流動化処理タンク20は防振手段47を介して車体フレーム12に連結されているから、防振支持台46に振動が伝達されるのを抑制でき、流動化処理タンク20に揺れが生じるのを抑制でき、また荷重センサ45の保護も図られる。
【0034】
以上のように、流動化処理タンク20内において、質の悪い土を埋め戻し材として最適な流動化処理土が得られるが、この流動化処理土は掘削箇所に埋め戻されることになる。この埋め戻しは、図9の(c)に示したように、流動化処理タンク20に接続した供給用配管41にホース43を接続して、開閉弁43を開くことにより行うが、埋め戻しをより迅速かつ効率的に行うには、流動化処理装置10をできるだけ掘削箇所に近接させる。走行は履帯16により行われるから、地面に凹凸があっても、格別支障なく走行でき、しかも履帯16が段差から多少飛び出していても、車両全体のバランスが崩れるようなことがないので、掘削箇所の至近位置で流動化処理土の供給を行うことができる。
【0035】
以上のようにして、流動化処理土を埋め戻した後には、水や固化剤の混合割合や天候等の関係で時間のずれはあるものの、約1時間から1日程度で流動化処理土が固化することになる。従って、十分固化した後に、その上に舗装する等により、道路を修復できる。しかも、流動化処理して改良した土が埋め戻されているから、ヒューム管80の周囲に円滑に回り込んで、空隙等が生じるおそれがないことから、締め固めを行わなくても路面沈下等のおそれはない。勿論、固化剤の混合比率を適切に調整しておくことによって、再度掘削の必要があれば、油圧ショベル等で掘削が可能になる。
【0036】
流動化処理土を供給した後には、流動化処理タンク20の内部を清掃するが、このためには点検口44を開けて、この流動化処理タンク20内に入り込んだ岩石や金属等の固形異物を除去すると共に、内部を水洗するが、必ずしもこの水は完全に排除する必要はない。次回の流動化処理を行うに当って使用する水の一部とすることができる。
【0037】
以上のように、流動化処理装置10を自走式とすることによって、作業を行っている現場に搬入して、最も適切な位置で掘削により発生した発生土を流動化処理して、掘削箇所に埋め戻すことができるので、作業の迅速性が確保される。従って、特に交通量の多い道路での配管等の埋設工事を円滑かつ迅速に行うことができる。しかも、発生土と水及び固化剤の混合比率を正確に調整できるから、極めて高い品質の流動化処理土を製造することができる。特に、掘削による発生土の量が少ない場合には、流動化処理装置10の全体を小型化できるので、ダンプトラックやミキサー車等の大型車両を搬入できないような幅の狭い道路での配管埋設工事等を行うのに極めて有利である。なお、現場において流動化処理を行うに当って、流動化処理装置10に加えて、油圧ショベルとダンプトラックとを用いるようにしたが、土砂の掘削を行う油圧ショベル等の機械はともかく、例えば掘削されら土砂をそのまま篩い分けユニット25に供給したり、また掘削した発生土を野積みにして塊状物や金属等の異物を取り除くようにする場合には、ダンプトラックは必要としない。また、給水は水槽72から行わなければならないものではなく、水道水や貯水池等から得るようにすることもできる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、流動化処理タンクを重量検出手段を介して走行車両の車台に設置し、この流動化処理タンク内を撹拌するための撹拌手段を車台に設けた支持部材に支持させて設ける構成としたので、流動化処理を行うに当って、土砂と水と固化剤との混合比率を正確に制御できるようになり、車載式の流動化処理装置で良質な流動化処理土を製造できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】流動化処理工法の原理説明図である。
【図2】本発明の実施の一形態を示す自走式流動化処理装置の正面図である。
【図3】流動化処理タンクの平面図である。
【図4】図3のX−X断面図である。
【図5】図2の左側面図である。
【図6】図2のY−Y断面図である。
【図7】流動化処理装置の駆動機構を示す回路図である。
【図8】流動化処理タンクの防振支持手段の断面図である。
【図9】自走式流動化処理装置を用いて行われる配管の埋設作業の手順を示す作動説明図である。
【符号の説明】
10 自走式流動化処理装置 11 クローラ式走行体
12 車体フレーム 16 履帯
18 旋回装置 19 動力装置
20 流動化処理タンク 21 エンジン
22a,22b 油圧ポンプ 24 運転席
25 篩い分けユニット 26 撹拌装置
30,50a,50b,51 油圧モータ 32 取付板
33 支持部材 35 給水管
37 固化剤容器 38 反転部材
40 油圧シリンダ 41 供給配管
45 荷重センサ 47 防振手段
48 表示パネル 60 油圧ショベル
70 ダンプトラック 80 ヒューム管
【発明の属する技術分野】
本発明は、土木現場や建設現場で掘削により発生した土に流動化処理して埋め戻すために用いられる流動化処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
都市ガス配管や下水管等を道路下に敷設するに当っては、まずアスファルト等の舗装の層を剥して、所定の深さまで掘削することにより配管の埋設スペースを確保し、このスペースに配管を設置する。そして、土砂を埋め戻した後に締め固めを行い、さらにその上に再度舗装を行うようにする。ここで、配管が敷設される地層等によっては、掘削により発生した土を埋め戻し用として用いることができないものもある。このように、掘削による発生土がそのまま埋め戻し用として使用できないものである場合には、その土砂を作業現場から搬出して廃棄し、これに代えて良質な埋め戻し用の土を新たに搬入して、掘削箇所の埋め戻しを行うようにしていた。しかしながら、近年においては、発生土を廃棄する場所が不足する傾向にあり、またたとえ廃棄や処理が可能な場所なり施設なりが存在するにしても、作業現場から著しく離れた遠隔地である場合が多く、従ってこのような遠隔地まで運搬しなければならないことから費用も手間もかかることから、その廃棄や処理が面倒になると共に、ダンプ公害等の問題があり、また良質な埋め戻し土の入手は必ずしも手近で困難なこともあり、やはり遠隔地からの搬入が必要となる等といった問題点がある。
【0003】
以上の点を考慮して、近年、掘削による発生土の土質の改良を行って、埋め戻しに適した土に変える、所謂流動化埋め戻し工法が開発され、実用化されるようになってきている。この流動化埋め戻し工法は、発生土に水及び固化剤を、適切な配合割合で混合して撹拌することにより流動化処理して均一に混合したスラリー状態の埋め戻し用の素材に変えるようになし、このように流動化処理された土を掘削箇所に埋め戻すようにするものである。この流動化埋め戻し工法は、掘削により発生した土が、例えば関東ローム層や汚泥等のように質の悪い土でも埋め戻し用として利用できるようになり、また埋め戻し材は流動状態にあり、埋設物の周囲への回り込みが円滑になることから、埋設物輻輳による埋め戻し不良の発生を防止でき、また締め固めの必要がなくなるので、作業の迅速化や騒音・振動の発生が抑制される等の利点がある。ここで、固化剤としては、セメント,セメント系固化剤,石灰,石灰系固化剤,セメント石灰複合系固化剤が主に用いられ、また流動性や固化時間等を調整するために、その他の添加剤や混合材が適宜添加される。水は、水道水や工業用水は当然用いることができるが、河川水や雨水等であっても良い。
【0004】
前述した流動化処理土を製造するには、発生土だけでなく、固化剤及び水が容易に入手できなければならない。また、発生土と水及び固化剤との混合割合を厳格に設定しなければ、埋め戻し材として良好な品質が得られない。さらに、発生土から異物や塊状物等を除去し、かつ混合物の撹拌も適切に行わなければならない。以上のことから、流動化処理装置としては、かなり大掛かりな設備が必要になり、このような設備は所定の場所に固定的に据え付けられることになる。従って、作業現場で発生した発生土をダンプトラック等でこの設備に搬入して、流動化処理を行うようになし、処理された埋め戻し材は、ミキサー車等により、再び作業現場に搬入するようにしなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば共同溝や、シールドトンネル等のように大規模現場はともかくとして、例えば道路に沿ってガス管を埋設する工事等というように、比較的小規模な工事現場においては、土砂の掘削量及び埋め戻し量が少ない。しかも、交通量の多い道路等では、埋め戻し作業の簡易性及び迅速性が要求され、ダンプトラックやミキサー車等が頻繁に出入りするのは好ましくはない。以上のことから、処理能力は限られたものであっても、小型の流動化処理装置を、例えばトラックやトレーラ等の車両に搭載して、作業現場の近くまで搬入して、発生土の流動化処理を行わせることができれば、前述したような小規模工事用として至便なものとなる。特に、走行手段として、履帯を備えたクローラ式走行体を用いれば、掘り返し等により凹凸のある地面でも走行が可能になるので、埋め戻しを行う場所に極めて近い位置で流動化処理を行える点でさらに有利である。
【0006】
ここで、流動化処理を行うには、発生土と水と固化剤との混合比率を厳格に調整しなければ、高品質の埋め戻し材が得られない。即ち、土砂とそれに混合される固化剤との比率において、土砂の比率が高すぎると、流動化処理土が十分に固化されず、固化剤の比率を高くしすぎると、埋め戻し土が固くなり、埋設管の補修等のために行われる再掘削が困難になってしまう等の不都合が生じる。また、水の比率が低過ぎると、土砂との混合が十分に行われず流動化が不十分になると共に、土砂と固化剤とのミキシングが均一に行えないことになる。水の量を多くすると、固化が十分に行われなくなる。従って、流動化処理土を製造するに当って、混合比率は極めて重要であるが、車載式の流動化処理装置では、発生土,水及び固化剤の投入量を制御することが困難であり、良質な埋め戻し材を製造できないという問題点がある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、車載式の流動化処理装置において、良質な流動化処理土を製造できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、土砂と水と固化剤との供給部、及び流動化処理した流動化処理土の供給部を備えた流動化処理タンクを重量検出手段を介して走行車両の車台に設置し、かつこの車台に支持部材を立設させて設けて、この支持部材に前記流動化処理タンク内を撹拌する撹拌手段を支持させて設ける構成としたことをその特徴とするものである。
【0009】
流動化処理タンクに投入される土砂は、予め塊状物や異物等を除去する必要がある。塊状物や異物等の除去は、流動化処理タンクに投入する前に完全に行われておれば良いが、作業の効率化及びそれらの分離・除去の確実性を図るには、流動化処理タンクの投入部に塊状物や異物等を分離する篩い分け手段を装着するのが好ましい。この場合において、篩い分け手段は流動化処理タンクではなく、支持部材に固定して設けるようにする。また、流動化処理タンクには給水管が装着されるが、この給水管も支持部材側に装着するのが好ましい。重量検出手段は、防振支持台を介して車台に連結するようになし、またこの防振支持台に装着される防振手段としては、内部に硬質材からなる球体を埋設した柱状の弾性部材と、この弾性部材の上下の両端に固着され、かつ球体と点接触する一対の硬質の連結部材とから構成し、これら両連結部材のうちの一方を前記防振支持台に、他方を前記車台に連結する構成としたものを用いることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の一形態について説明する。まず、図1に流動化処理装置の概略構成を示す。図中において、1は流動化処理タンク、2は撹拌装置である。まず、図1の(a)に示したように、予め水Wを流動化処理タンク1に供給しておき、この状態で、図1(b)に示したように、発生土Gを流動化処理タンク1に投入する。この発生土Gの投入前に、予め岩石等の塊状物や、金属等の異物を除去しておくのが好ましい。また、この発生土Gの投入作業を開始すると共に、撹拌装置2の作動を開始して、水Wと発生土Gとを撹拌・混合させる。このように、発生土Gの投入と撹拌装置2による撹拌とを同時に平行して行うことによって、円滑に水Wと発生土Gとを混合させることができる。このように、水Wに発生土Gを加えながら、撹拌装置2により流動化処理タンク1内を撹拌することによって、発生土Gと水Wとを均一に混合させてスラリー化させる。このように、発生土Gの水分調整が行われた上で、撹拌装置2による撹拌を継続しながら、図1の(c)に示したように、固化剤Cを定量だけ投入して、この固化剤CをスラリーSに均一に混合する。この結果、埋め戻しに適さない例えば関東ローム層等の土を有効な埋め戻し材に変換することができ、掘削による発生土をもって掘削箇所の埋め戻しを行うことができる。しかも、この埋め戻し材としては、流動化処理土であって、埋め戻した後に、1〜24時間程度で固化することから、埋設物の周囲への回り込みが良好になり、また締め固めも必要としない。また、固化剤の混合比率によ固化後の強度の調整を行えるから、埋め戻した場所を再度掘削することも可能になる。ここで、発生土Gと水W及び固化剤Cの混合比率は、発生土Gの性質や含水量等に応じて変化することから、実際の流動化処理を行う前に実験等により予め求めておくのが好ましい。
【0011】
以上のようにして発生土が流動化処理されるが、この流動化処理装置は、図2に示したように、走行車両に設置されて、自走式の流動化処理装置10として構成し、作業現場において、掘削による発生土を取り込んで、流動化処理した上で、直接掘削箇所に埋め戻すことができるようになる。ここで、車両としては、履帯を備えたクローラ式の走行車両を例示するが、走行手段は必ずしもクローラ式のものでなければならないのではなく、ホイール式等の走行手段を備える車両であっても良い。
【0012】
而して、図2は流動化処理装置の正面図であり、図3は流動化処理タンクの平面図、図4は図3のX−X断面図である。また、図5は図2の左側面図であり、さらに図6は図2のY−Y断面図である。さらに、図7は装置の駆動機構を示す回路図である。さらにまた、防振手段の構成を図8に示す。
【0013】
まず、図2において、11は走行手段としての左右一対の履帯を有するクローラ式走行体、12は車台を構成する車体フレームである。クローラ式走行体11は、左右一対からなる走行体フレーム13の両端に駆動スプロケット14とアイドラ15とを設けて、これら駆動スプロケット14とアイドラ15との間には、無限軌条を構成する履帯16が巻回して設けられている。従って、左右の駆動スプロケット14を駆動することによって、車両全体が自走することになる。
【0014】
車体フレーム12はクローラ式走行体11の上に旋回装置18を介して連結されており、この旋回装置18により車体フレーム12は旋回可能となっている。そして、車体フレーム12上には、旋回中心Rに対して、前方側の位置に動力装置19が、また後方側には流動化処理タンク20が設置されて、重量バランスを取るようにしている。動力装置19は、図7から明らかなように、エンジン21及び油圧ポンプ22a,22bを有し、エンジン21を作動させることにより、油圧ポンプ22a,22bを駆動して、作動油タンク23から供給された作動油を加圧して、各油圧アクチュエータに圧油を供給して、これら各油圧アクチュエータに接続した装置の各部を駆動することができるようになっている。また、動力装置19の上部には、運転席24が設けられており、この運転席24にオペレータが搭乗して、その近傍に設けた操作レバー(図示せず)を操作することによって、各部の駆動制御が行われる。
【0015】
流動化処理タンク20は、有底円筒状の部材から構成されており、車体フレーム12に直接設置されるのではなく、車体フレーム12に設けた後述する荷重センサ45上に載置されている。この流動化処理タンク20は、後方への張り出し部20aが設けられており、図3からも明らかなように、この張り出し部20aから処理タンク20の上部の所定の範囲をカバーするように、すのこ状の篩い分けユニット25が着脱可能に取り付けられており、この篩い分けユニット25の部位が土砂の投入部となる。篩い分けユニット25は、枠状の本体25aの上部に桟を掛け渡したり、格子を装着する等により形成される篩い25bを装着したものであって、掘削した土に岩石等の塊状物や金属その他の異物が混入している場合に、そのうちの大きなものが流動化処理タンク20内に入らないように取り除くためのものである。
【0016】
流動化処理タンク20には、図4から明らかなように、撹拌装置26が装着されている。この撹拌装置26は、回転軸27に撹拌翼28を連結して設けたものであって、この回転軸27には減速機29を介して油圧モータ30の出力軸に対してカップリング部材31で連結されている。減速機29のハウジング及び油圧モータ30は取付板32に取り付けられている。この取付板32は、門型に形成した一対の支持部材33,33間に掛け渡すように連結した上下一対の板体から構成されており、これら支持部材33,33は車体フレーム12に立設されている。従って、撹拌装置26を構成する全ての部材は車体フレーム12に支持されており、かつ撹拌翼28は流動化処理タンク20内の所定の位置に保持される。また、前述した篩い分けユニット25を構成する枠状の本体25aも流動化処理タンク20に取り付けられるのではなく、取付板32に連結・固定されている。従って、この篩い分けユニット25の荷重も流動化処理タンク20には作用しない。なお、この篩い分けユニット25の本体25aを支持部材33に水平方向に移動可能に連結して、油圧シリンダや油圧モータ等の往復動手段を用いて、この篩い分けユニット25を水平方向に往復移動させて、土砂の落下を促進するように構成することも可能である。
【0017】
流動化処理タンク20の上部には、前述した篩い分けユニット25が装着される部位と、取付板32により覆われた部位とを除いて、蓋体34が装着されており、この蓋体34には給水管35が貫通する状態に設けられている。この給水管35は、L字状に曲成したパイプからなり、下方に向けた端部は蓋体34を貫通して、流動化処理タンク20内に臨んでいる。また水平部分は、支持部材33に連結されると共に、開閉弁36が設けられている。そして、水平部分の端部には、給水ホースが接続されるようになっている。従って、流動化処理タンク20にはこの給水管35の荷重も作用しないことになる。
【0018】
蓋体34には開閉扉34aが設けられており、この開閉扉34aを開くことによって、固化剤の投入が可能となっている。固化剤は上部が開口した固化剤容器37内に収容されており、開閉扉34aを開いた状態で、この固化剤容器37を反転させることによって、流動化処理タンク20内に固化剤を投入できるようになっている。ここで、固化剤が入った固化剤容器37はかなりの重量があるために、その投入作業を自動化する構成となっている。
【0019】
このために、固化剤容器37はL字状の反転部材38に保持具38aによって保持されており、この反転部材38は、車体フレーム12に立設した支持ロッド39の水平部分に反転可能に連結されている。また、反転部材38の下面と車体フレーム12との間には、油圧シリンダ40が枢着されており、この油圧シリンダ40が縮小状態になっている時には、固化剤容器37の開口部は上向きとなり、油圧シリンダ40を伸長させると、図2に仮想線で示したように、反転部材38は支持ロッド39を中心として反転して、固化剤容器37を反転させて、固化剤が流動化処理タンク20内に供給される。而して、この固化剤容器37及びその反転手段からなる固化剤投入手段の全体も、やはり車体フレーム12に支持されて、流動化処理タンク20にはその荷重が作用しないようになっている。
【0020】
さらに、流動化処理タンク20の下部側には流動化処理土の供給用配管41が取り付けられている。この供給用配管41は開閉弁42を有する硬質パイプから構成されており、先端にはホース43が接続されるようになっている。また、流動化処理タンク20の下部位置には点検口44が設けられており、この点検口44は開閉可能な扉から構成されている。従って、流動化処理を行った後に、流動化処理タンク20内に残留する固形物を排除したり、また内部の洗浄を行ったりできるようになっている。
【0021】
流動化処理タンク20には、前述したように、土砂と、水及び固化剤が投入されるが、この流動化処理タンク20で処理されて得た流動化処理土の品質は、これらの各部の混合比率により大きく変化する。従って、土砂と水と固化剤との混合比率を厳格に制御しなければならない。このために、重量検出手段を構成する荷重センサ45により秤量機能を持たせている。即ち、図6に示したように、車体フレーム12に装着した防振支持台46の上には荷重センサ45が3箇所設けられており、流動化処理タンク20はこれら3箇所の荷重センサ45上に設置されている。これによって、土砂を流動化処理タンク20に投入し、また水を供給した時には、荷重センサ45の検出重量の増加によって、土砂及び水の供給量が検出される。また、土砂と水との混合量が定まれば、固化剤の添加量が決まるから、固化剤は定量添加することができる。ただし、固化剤も荷重センサ45で検出することにより添加量の制御を行うようにすることもできる。
【0022】
ここで、荷重センサ45により検出されるのは、流動化処理タンク20とその内部に供給された物との合計の重量であり、従って荷重センサ45による検出重量の変化に基づいて土砂や水の供給量が検出される。そこで、検出精度を向上させ、誤差が生じるのを極力抑制するには、荷重センサ45に余分な重量が作用しないようにする必要がある。前述したように、土砂の投入部としての篩い分けユニット25,給水するための給水管35及び固化剤の投入部を構成する固化剤容器37を含む固化剤投入手段は、いずれも流動化処理タンク20に取り付けられてはおらず、また撹拌装置26の重量も流動化処理タンク20には作用しないようになっている。従って、荷重センサ45に作用するのは、実質的に流動化処理タンク20の重量のみであるから、荷重センサ45による検出精度は極めて高くなる。しかも、篩い分けユニット25には岩石や金属等が捕捉されているから、この篩い分けユニット25を流動化処理タンク20側に固定されていると、荷重センサ45では、これら篩い分けられた物も流動化処理タンク20への投入物に算入され、また給水管35自体はそれほど重量物ではないが、給水時に給水ホースを接続した時には、その荷重及びその内部の水が流動化処理タンク20の重量として検出されてしまうのを防止するために、やはり給水管35も流動化処理タンク20には取り付けないようにしている。さらに、撹拌装置26が流動化処理タンク20側に装着されていると、その重量だけでなく、撹拌時における振動等が直接荷重センサ45に作用することになり、その検出重量が正確に計測できないだけでなく、荷重センサ45に振動等が伝達されて、故障等のおそれがあるから、撹拌装置26は流動化処理タンク20には固定しないようにしている。
【0023】
荷重センサ45を車体フレーム12に直接取り付けると、車体フレーム12に生じる振動等の影響を受けることになる。しかしながら、荷重を正確に検出するためには、荷重センサ45は剛体的に取り付ける必要がある。そこで、荷重センサ45が取り付けられている防振支持台46は車体フレーム12に対して防振的に支持されており、防振支持台46は荷重センサ45と同様、3箇所設けた防振手段47を介して車体フレーム12に支持されている。これによって、車両の振動や作業中に他の物体が流動化処理タンク20に衝突しても、防振手段47の防振機能による振動や衝撃を吸収して、荷重センサ45の保護が図られると共に、荷重センサ45に対する横荷重やねじれ等の防止を図り、荷重検出精度を向上させるようにしている。
【0024】
また、防振手段47の機能としては、検出方向である上下方向以外の荷重が作用するのを極力抑制する必要がある。このためには、防振手段47は水平方向に対して防振機能を発揮させ、垂直方向には剛体的に支持させる方が好ましい。このような条件を満たすために、防振手段47は、例えば図8に示した構成とすることができる。即ち、同図において、47aは台板46に連結した金属等の硬質部材からなる連結板、47bは車体フレーム12に連結した連結板であって、これら両連結板47a,47bは金属等の硬質部材で形成されている。そして、連結板47a,47bの間に、金属球47cを埋設したゴム等の弾性を吸収する円柱状の防振ゴム47dを連結・固着し、金属球47cは連結板47a,47bに略点接触状態になっている。この防振手段47は防振支持台46に3箇所設けられている関係から、防振支持台46は連結板47a,47b間に介在する金属球47aによる3点で車体フレーム12に保持された状態になり、この防振支持台46と車体フレーム12との間隔は変化することがないから、台板46は上下方向には剛体的に保持される。しかも、連結板47a,47bと金属球47cとは略点接触状態になっているから、水平方向の振動は防振ゴム47dで吸収できるようになっている。これによって、荷重センサ45の保護が図られる。
【0025】
以上のように、荷重センサ45により流動化処理タンク20の重量が検出されることから、土砂の投入量及び水の供給量の調整を行うことができ、また必要に応じて固化剤の投入量も検出できるようになる。そして、荷重センサ45による検出結果をオペレータに知らせるために、運転席24の前方には表示パネル48が設けられており、この表示パネル48に供給量が表示されることになる。これによって、オペレータは土砂と水と固化剤との混合比率を確認できる。
【0026】
以上のように構成される流動化処理装置10は、クローラ式走行体11を構成する左右の履帯16を駆動するための駆動スプロケット14、旋回装置18による車体フレーム12の旋回、撹拌装置26の回転軸27の回転、さらに固化剤容器37の反転といった駆動は油圧アクチュエータにより行われる。即ち、図7から明らかなように、エンジン21及びこのエンジン22により駆動される2個の油圧ポンプ22a,22bを有し、これら油圧ポンプ22a,22bは作動油タンク23から供給される作動油を加圧して、各油圧アクチュエータに供給できるようになっている。即ち、左右の駆動スプロケット14の駆動は油圧モータ50a,50bにより、また旋回装置18の旋回用としては油圧モータ51が、また撹拌装置26は油圧モータ30で、固化剤容器37の反転は油圧シリンダ40で行われる。そして、油圧ポンプ22a,22bとこれら油圧モータ50a,50b,51,30及び油圧シリンダ40との間には、それぞれ方向切換弁52a〜52eが設けられており、これら各方向切換弁52a〜52eは運転席24の部位に設けた操作レバーで切り換え操作がなされる。
【0027】
本実施の形態における流動化処理装置10は以上のように構成されるものであって、例えば道路に側溝を掘って、この側溝に下水管を配置した上で、この下水管を埋設する工事を行う場合には、図9に示したように、油圧ショベル60とダンプトラック70とを用いる。油圧ショベル60は、土砂の掘削を行うためのものであり、このためにバケット61を有するフロント作業機構62が設けられている。また、ダンプトラック70は、その荷台71に掘削した土砂の仮置きするためと、余剰の土砂を搬出するためのものであり、荷台71には水槽72が載置されている。
【0028】
まず、図9の(a)に示したように、油圧ショベル60で掘削を行い、掘削により発生した発生土はダンプトラック70の荷台71に載置される。ここで、ダンプトラック70による仮置きは必ずしも必要ではないが、土砂から岩石等の塊状物や金属等といった固形異物を予め排除するために、仮置きを行うのが好ましい。そして、掘削箇所には、例えばヒューム管80が配置される。
【0029】
ダンプトラック70に所要量の土砂が堆積されると、流動化処理装置10を走行させて、ダンプトラック70に接近した位置にまで走行させる。この状態で、図9の(b)に示したように、油圧ショベル60を作動させて、ダンプトラック70の荷台71から土砂を取り出して、流動化処理タンク20に投入する。この土砂の投入は油圧ショベル60のバケット61により篩い分けユニット25上に土砂を供給するようにして行われるが、この時にバケット61が油圧モータ30に衝突するのを防止するために、土砂が直接投入される投入部となる篩い分けユニット25に保護板49を連結しておくのが好ましい。
【0030】
篩い分けユニット25に供給された土砂は、篩い25bの隙間を介して流動化処理タンク20内に落下するが、この流動化処理タンク20への土砂の投入量は荷重センサ45で検出される。ここで、流動化処理タンク20には何等の部材も取り付けられておらず、空の状態では流動化処理タンク20のみの荷重となるから、著しく正確に計量でき、計量誤差の発生が抑制される。オペレータは、この流動化処理タンク20への土砂の投入量を表示パネル48で確認しながら、所定量の土砂が投入されるまで土砂の投入作業を継続する。ここで、篩い25b上には岩石や金属等のように、流動化処理の対象とはならない物が捕捉され、これらが荷重センサ45に計量されることはない。
【0031】
所定量の土砂が流動化処理タンク20に投入されると、ダンプトラック70の荷台71に設置されている水槽72からの給水ホースを給水管35に接続して開閉弁36を開くことによって、水の供給がなされる。ここで、開閉弁36の開閉操作は手動で行っても良いが、油圧パイロット式で開閉するように構成すれば、運転席24でオペレータが自動的に制御できるようになる。この給水量も荷重センサ45で検出されて、この検出結果が表示パネル48に表示されるので、所定量給水されると、その給水を停止する。そして、この給水が終了した後、または給水中に、撹拌装置26により撹拌を開始する。なお、この給水量は、当初から土砂との混合比率に相当する量まで行うのではなく、それより少ない量給水された時点で一旦給水を停止するのが好ましい。例えば、土砂の投入時にある程度小さな異物は篩い25bを通過することから、これらの異物の量だけ土砂の分量が少なくなり、また土砂の含水量によっては水の供給量を減らさなければならない等の点から、定量の水を供給すると、水の混合比率が設定したものより高くなるからである。そして、流動化処理タンク20内をある程度撹拌させて、スラリーができた時点で、最終的に所定の混合比率となるように水を調整的に添加するのが好ましい。
【0032】
土砂と水とを混合して、撹拌装置26により均一に撹拌することによって、流動化処理タンク20の内容物はスラリー状態になる。そして、土砂がほぼ完全な水に溶解した状態になると、蓋体34に設けた開閉扉34aを開くと共に、油圧シリンダ40を作動させて、反転部材38を反転させて、固化剤容器37から固化剤を流動化処理タンク20内に投入する。なお、この固化剤の投入時には、撹拌装置26の作動を停止するのが、固化剤の投入作業の円滑化等の点で好ましい。勿論、この固化剤の投入量も荷重センサ45で検出しながら調整することもできるが、固化剤容器37には、1回の流動化処理に必要な量の固化剤を収容させておくようにしておくことによって、前述したように、土砂及び水の量を厳格に制御すれば、土砂,水及び固化剤の混合比率を一定化させることができる。そして、固化剤が投入されると、撹拌装置26による撹拌を継続して、最後に投入された固化剤を均一に分散させた流動化処理土が得られる。
【0033】
ところで、流動化処理タンク20内には多量の土砂が投入されることになり、水を加えてスラリー液の状態にするが、均一に混合した状態でもかなり高い粘度を有するものであり、従って撹拌時にはかなりの反力が生じることになる。特に、撹拌開始時には、土砂と水とが分離状態から混合が開始することから、土砂の堆積量が多い部位と少ない部位とでは、撹拌に対する抵抗が著しく変化することになる。このために、撹拌装置26の撹拌翼28には回転むらが生じる。しかしながら、直接地面に接しているのは、幅が広く、しかも広い面積で地面に当接している履帯16であるから、車両全体の安定性が失われることはない。また、流動化処理タンク20は防振手段47を介して車体フレーム12に連結されているから、防振支持台46に振動が伝達されるのを抑制でき、流動化処理タンク20に揺れが生じるのを抑制でき、また荷重センサ45の保護も図られる。
【0034】
以上のように、流動化処理タンク20内において、質の悪い土を埋め戻し材として最適な流動化処理土が得られるが、この流動化処理土は掘削箇所に埋め戻されることになる。この埋め戻しは、図9の(c)に示したように、流動化処理タンク20に接続した供給用配管41にホース43を接続して、開閉弁43を開くことにより行うが、埋め戻しをより迅速かつ効率的に行うには、流動化処理装置10をできるだけ掘削箇所に近接させる。走行は履帯16により行われるから、地面に凹凸があっても、格別支障なく走行でき、しかも履帯16が段差から多少飛び出していても、車両全体のバランスが崩れるようなことがないので、掘削箇所の至近位置で流動化処理土の供給を行うことができる。
【0035】
以上のようにして、流動化処理土を埋め戻した後には、水や固化剤の混合割合や天候等の関係で時間のずれはあるものの、約1時間から1日程度で流動化処理土が固化することになる。従って、十分固化した後に、その上に舗装する等により、道路を修復できる。しかも、流動化処理して改良した土が埋め戻されているから、ヒューム管80の周囲に円滑に回り込んで、空隙等が生じるおそれがないことから、締め固めを行わなくても路面沈下等のおそれはない。勿論、固化剤の混合比率を適切に調整しておくことによって、再度掘削の必要があれば、油圧ショベル等で掘削が可能になる。
【0036】
流動化処理土を供給した後には、流動化処理タンク20の内部を清掃するが、このためには点検口44を開けて、この流動化処理タンク20内に入り込んだ岩石や金属等の固形異物を除去すると共に、内部を水洗するが、必ずしもこの水は完全に排除する必要はない。次回の流動化処理を行うに当って使用する水の一部とすることができる。
【0037】
以上のように、流動化処理装置10を自走式とすることによって、作業を行っている現場に搬入して、最も適切な位置で掘削により発生した発生土を流動化処理して、掘削箇所に埋め戻すことができるので、作業の迅速性が確保される。従って、特に交通量の多い道路での配管等の埋設工事を円滑かつ迅速に行うことができる。しかも、発生土と水及び固化剤の混合比率を正確に調整できるから、極めて高い品質の流動化処理土を製造することができる。特に、掘削による発生土の量が少ない場合には、流動化処理装置10の全体を小型化できるので、ダンプトラックやミキサー車等の大型車両を搬入できないような幅の狭い道路での配管埋設工事等を行うのに極めて有利である。なお、現場において流動化処理を行うに当って、流動化処理装置10に加えて、油圧ショベルとダンプトラックとを用いるようにしたが、土砂の掘削を行う油圧ショベル等の機械はともかく、例えば掘削されら土砂をそのまま篩い分けユニット25に供給したり、また掘削した発生土を野積みにして塊状物や金属等の異物を取り除くようにする場合には、ダンプトラックは必要としない。また、給水は水槽72から行わなければならないものではなく、水道水や貯水池等から得るようにすることもできる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、流動化処理タンクを重量検出手段を介して走行車両の車台に設置し、この流動化処理タンク内を撹拌するための撹拌手段を車台に設けた支持部材に支持させて設ける構成としたので、流動化処理を行うに当って、土砂と水と固化剤との混合比率を正確に制御できるようになり、車載式の流動化処理装置で良質な流動化処理土を製造できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】流動化処理工法の原理説明図である。
【図2】本発明の実施の一形態を示す自走式流動化処理装置の正面図である。
【図3】流動化処理タンクの平面図である。
【図4】図3のX−X断面図である。
【図5】図2の左側面図である。
【図6】図2のY−Y断面図である。
【図7】流動化処理装置の駆動機構を示す回路図である。
【図8】流動化処理タンクの防振支持手段の断面図である。
【図9】自走式流動化処理装置を用いて行われる配管の埋設作業の手順を示す作動説明図である。
【符号の説明】
10 自走式流動化処理装置 11 クローラ式走行体
12 車体フレーム 16 履帯
18 旋回装置 19 動力装置
20 流動化処理タンク 21 エンジン
22a,22b 油圧ポンプ 24 運転席
25 篩い分けユニット 26 撹拌装置
30,50a,50b,51 油圧モータ 32 取付板
33 支持部材 35 給水管
37 固化剤容器 38 反転部材
40 油圧シリンダ 41 供給配管
45 荷重センサ 47 防振手段
48 表示パネル 60 油圧ショベル
70 ダンプトラック 80 ヒューム管
Claims (5)
- 土砂と水と固化剤との供給部、及び流動化処理した流動化処理土の供給部を備えた流動化処理タンクを重量検出手段を介して走行車両の車台に設置し、かつこの車台に支持部材を立設させて設けて、この支持部材に前記流動化処理タンク内を撹拌する撹拌手段を支持させて設ける構成としたことを特徴とする流動化処理装置。
- 前記流動化処理タンクに設けた土砂の投入部には異物や塊状物を分離する篩い分け手段を装着し、この篩い分け手段は前記支持部材に固定して設ける構成としたことを特徴とする請求項1記載の自走式流動化処理装置。
- 前記流動化処理タンクに水を供給する給水管を前記支持部材に装着する構成としたことを特徴とする請求項1記載の流動化処理装置。
- 前記重量検出手段は、防振支持台を介して前記車台に連結する構成としたことを特徴とする請求項1記載の流動化処理装置。
- 前記防振支持台に装着される防振手段は、内部に硬質材からなる球体を埋設した柱状の弾性部材と、この弾性部材の上下の両端に固着され、かつ球体と点接触する一対の硬質の連結部材とから構成し、これら両連結部材のうちの一方を前記防振支持台に、他方を前記車台に連結する構成としたことを特徴とする請求項4記載の流動化処理装置。
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