JP3608201B2 - 焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品及びその製造方法及びそれを使用した食品 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、焼き菓子の風味を有したままでチョコレートと同様、様々な形状に成形したり、パンや洋菓子等にコーティングしたりすることができるチョコレート様油脂性菓子食品及びその製造方法及びこのチョコレート様油脂性菓子食品を使用した菓子、パン等の食品に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビスケット、クラッカー、プレッツェル、米菓等はそのまま食べたり、他の食品と組み合わせたりして使用されていた。チョコレートに混合する際は細かく砕いて混入して使用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの焼き菓子を混入したチョコレートは、あくまで焼き菓子の風味を有するのみで様々な形に変形させたり、コーティング材として使用することは無かった。
【0004】
また、焼き菓子そのものを成形する場合でも、チョコレート程自由な形に成形することは出来なかった。
【0005】
そこで、本発明では焼き菓子の風味等を有しつつ、チョコレート同様に取り扱いができ、かつチョコレート同様の食感を持つ焼き菓子を原料とした全く新しいチョコレート様油脂性菓子食品及びその製造方法及びこのチョコレート様油脂性菓子食品を使用した菓子、パン等の食品を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、
常法により水分(含水率)が0%〜10%程度である焼き菓子を製造する焼き菓子製造工程と、前記焼き菓子製造工程により製造された焼き菓子を粉砕機により250μ程度以下の大きさに微粉砕する微粉砕工程と、前記微粉砕工程により250μ程度以下の大きさに微粉砕した焼き菓子、砂糖等の糖質及び油脂等とを、油脂が混合物全体の18%〜30% になるとともに40℃〜50℃である油脂を混合して生地を製造する第1混合工程と、前記第1混合工程によりできた生地を混合機により10μ〜50μの大きさのパウダーに微細化する微細化工程と、前記微細化工程により微細化されたパウダーと油脂とを、油脂が混合物全体の油脂含有量で28%〜75%位となるように混合する第2混合工程により製造することを特徴とする焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品及び常法により水分(含水率)が0%〜10%程度である焼き菓子を製造する焼き菓子製造工程と、前記焼き菓子製造工程により製造された焼き菓子を粉砕機により250μ程度以下の大きさに微粉砕する微粉砕工程と、前記微粉砕工程により250μ程度以下の大きさに微粉砕した焼き菓子、砂糖等の糖質及び油脂等とを、油脂が混合物全体の18%〜30% になるとともに40℃〜50℃である油脂を混合して生地を製造する第1混合工程と、前記第1混合工程によりできた生地を混合機により10μ〜50μの大きさのパウダーに微細化する微細化工程と、前記微細化工程により微細化されたパウダーと油脂とを、油脂が混合物全体の油脂含有量で28%〜75%位となるように混合する第2混合工程により製造することを特徴とする焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品の製造方法とした。
【0007】
【実施例】
以下に、添付図面に基づいて、本発明である焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品及びその製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明である焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品の製造工程を示した図、図2は、焼き菓子の範囲を示した図である。
【0008】
図1に示すように、本発明である焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品の製造工程は、
常法により焼き菓子を製造する「焼き菓子製造工程1」、
焼き菓子をミンチ機等により微粉砕する「微粉砕工程2」、
微粉砕した焼き菓子と砂糖等の糖質、油脂等をミキサーにて混合する「第1混合工程3」、
混合した生地をリファイナーロールにより微細化する「微細化工程4」、
リファイナーロールにより微粒化されたパウダーを油脂と混合する「第2混合工程5」からなる。
【0009】
「焼き菓子製造工程1」
焼き菓子製造工程1とは、常法により焼き菓子を製造する工程である。本発明である焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品に使用する焼き菓子は、澱粉を加熱処理してα化したものも含み、以下の焼き菓子等が考えられる。即ち、(1)乾パン、(2)ケーキ、(3)パン粉、(4)クラッカー、(5)プレッツェル、(6)ポテトチップス、(7)米菓、(8)コーンパフ、(9)ビスケット等である。
【0010】
図2に示すように、(1)乾パンは、甘味があり高水分であり発酵されている。
(2)焼き菓子であるケーキは、高水分であるとともに甘味があり無発酵である。(3)パン粉、(4)クラッカー及び(5)プレッツェル等の焼き菓子は、甘味 が少なく低水分で発酵されている。(9)焼き菓子であるビスケットは、甘味があり低水分、無発酵である。(6)ポテトチップス、(7)米菓及び(8)コーンパフの焼き菓子は、塩味がし低水分であり無発酵である。
【0011】
本発明で使用する焼き菓子は、全ての焼き菓子を使用できる。最も望ましいのは低水分のものである。焼き菓子が低水分であるのはチョコレート様油脂性菓子食品の原料とするためである。
【0012】
ここで、「甘味」とは甘い食べ物かしょっぱい食べ物かの違いだけをいい、
「低水分」とは含有されている水分(含水率)が0%〜10%程度であるものをいう。以下に記載のものは、低水分のものである。
【0013】
即ち、(8)コーンパフの含水率は約1%、(5)プレツェルの含水率は約1%、(6)ポテトチップスの含水率は約2%、(4)クラッカーの含水率は約3%、(9)ビスケットの含水率は約3%、(7)米菓(あられ)の含水率は約4%、(1)乾パンの含水率は約5.5%である。(3)パン粉は、乾燥品で含水率が5〜13%程度である。
【0014】
また、ここで高水分とは、含水率が30%〜40%程度のものが高水分と言える。高水分に該当するものとしては、スポンジケーキがあり、そのスポンジケーキの含水率は約30%、食パンの含水率は約38%等であり、高水分のものである。ただし、スポンジケーキや食パンを加熱や凍結乾燥等で水分を10%程度にすれば使用が可能である。
【0015】
「微粉砕工程2」
微粉砕工程2とは、(1)乾パン、(2)ケーキ、(3)パン粉、(4)クラッカー、(5)プレッツェル、(6)ポテトチップス、(7)米菓、(8)コーンパフ、(9)ビスケット等の焼き菓子をミンチ機等(粉砕機)により微粉砕する工程である。
【0016】
即ち、(1)乾パン、(2)ケーキ、(3)パン粉、(4)クラッカー、(5)プレッツェル、(6)ポテトチップス、(7)米菓、(8)コーンパフ、(9)ビスケット等の焼き菓子を微粉砕するとは、250μ程度以下の大きさに粉砕することである。
【0017】
「第1混合工程3」
第1混合工程3とは、微粉砕した焼き菓子と砂糖等の糖質、油脂等をミキサーに入れて混合する工程である。混合する際の油脂の温度は、40℃〜50℃であるのが良い。
【0018】
この際の添加する油脂は、混合する焼き菓子、砂糖等の糖質、油脂等の混合物全体の油分が18%〜30% になるように添加するのが望ましい。このようにして混合したものを生地という。
【0019】
第1混合工程3の混合物全体(生地である)について、焼き菓子の1つであるビスケットを使用した時の配合にもとづいて説明すると以下のようになる。
【0020】
【0021】
油分は、18.75+2.5+6.25の合計で内容物全体の27.5%になる。ここでいう生地とは、配合中の全ての固形分に一部の油脂を加えることで作るものなので、100%にならなくてよい。
【0022】
焼き菓子毎に、混合する砂糖、全粉乳、油脂等を混合する配合例は、以下のとおりである。混合時間については決まった混合時間は必要ではなく、原料が均一に混ざれば良い。
【0023】
【0024】
本混合工程3で混合される油脂は、如何なる種類、性質等を有する油脂を使用するかと言うと、例えば、ココアバター、パーム油、シア脂、サル脂、ヤシ油、パーム核油、菜種油、大豆油、ひまわり種子油、綿実油、落花生油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、米糖油、コーン油、サフラワー油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂を使用しても良い。また、上記油脂類の単独又は混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂を使用しても良い。
【0025】
「微細化工程4」
微細化工程4とは、焼き菓子と油脂とを混合してできた生地を、リファイナーロールの混合機により微細化する工程である。ここで使用するリファイナーロールは、チョコレート製造に一般的に使用されているものでよい。微粒化したものをパウダーといい、その大きさは10μ〜50μである。
【0026】
「第2混合工程5」
第2混合工程5とは、前記微細化工程4により粉砕機であるリファイナーロールにより10μ〜50μの大きさに微細化されたパウダーを、更に油脂と混合する工程である。
【0027】
この際に使用する混合機は、通常チョコレートに使用している物の他に均一な混合が可能なものであればどのようなものでも構わない。この際、添加する油脂は、混合する混合物全体の油脂含有量で28%〜75%位が望ましい。
【0028】
混合物全体とは、配合例にまとめて以下に記載する。
【0028】
本第2混合工程5で使用される油脂は、如何なる種類、性質等の油脂を使用するかと言うと、例えば、ココアバター、パーム油、シア脂、サル脂、ヤシ油、パーム核油、菜種油、大豆油、ひまわり種子油、綿実油、落花生油、オリーブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、米糖油、コーン油、サフラワー油等の植物性油脂並びに乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂を使用しても良い。また、上記油脂類の単独又は混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂を使用しても良い。
【0029】
チョコレート様油脂性菓子食品を製造するには、通常チョコレートを製造する方法に準じて実施すればよく、例えば、乾パン等の微粉砕物、油脂、固形物、粉糖、砂糖、全粉乳、油脂等の原料となる混合物をロール掛け、コンチング処理して製造すればよい。勿論、このような方法にこだわる必要はなく、その他の方法で極めて良い方法があればその方法を採用してもよい。
【0030】
本発明においては、以上の如くして製造したチョコレート様油脂性菓子食品をパンやケーキ等にコーティング・サンドしたりして焼き菓子の食感や風味を持たせたり、モールドを使用して焼き菓子にはない微細な彫刻を施した成形物を作ることができるので、そのように成形した成形物を以下に実施例として記載する。
【0031】
〈実施例1〉
ビスケット微粉砕物55%、砂糖12%、全粉乳8%、植物性油脂25%、大豆レシチン0.3%を混合物として使用し配合してビスケット風味のチョコレート様油脂性菓子食品を製造した。
【0032】
このビスケット風味のチョコレート様油脂性菓子食品を樹脂モールドにより山小屋の形に成形したところ、外観は山小屋の形状、風味がビスケットの成形物ができ、クリスマスケーキのデコレーションとして使用すると興味を誘う製品を製造することができた。
【0033】
実施例1のビスケット風味のチョコレート様油脂性菓子食品を使用してレボルビングパンにてローストしたアーモンドにコーティングしたところ、ビスケットの風味を持ったアーモンドチョコボールが出来た。
【0034】
〈実施例2〉
ビスケット粉砕物12%、砂糖18%、脱脂粉乳4%、植物性油脂66%、大豆レシチン0.5%、香料適量を混合物として配合し使用してビスケット風味のチョコレート様油脂性食品を製造した。
【0035】
このビスケット風味のチョコレート様油脂性菓子食品を溶解した状態でミルク風味のバータイプアイスにコーティングしたところビスケットの風味を持ったバータイプアイスが出来た。
【0036】
〈実施例3〉
クラッカー微粉砕物45%、砂糖14%、脱脂粉乳4%、植物性油脂37%、大豆レシチン0.5%を混合物として配合し使用してクラッカー風味のチョコレート様油脂性菓子食品を製造した。このものを菓子、パン等の上からコーティングし固化したところ、表面にクラッカーの風味を持つ菓子、パン等ができた。
【0037】
〈実施例4〉
ポテトチップス微粉砕物50%、乳糖10%、脱脂粉乳3%、食塩1%、植物性油脂36%、大豆レシチン0.5%を混合物として使用し配合してポテトチップス風味のチョコレート様油脂性菓子食品を製造した。
【0038】
このポテトチップス風味のチョコレート様油脂性菓子食品を塩味のプレッツェルにコーティングしたところ、ポテトチップス風味のプレッツェル菓子を製造することができ好評であった。
【0039】
〈実施例5〉
ビスケット微粉砕物55%、砂糖12%、全粉乳8%、ココアバター25%、大豆レシチン0.3%を混合物として使用し配合してビスケット風味のチョコレート様油脂性菓子食品を製造した。
【0040】
このビスケット風味のチョコレート様油脂性菓子食品を溶解した状態でミルクチョコ(カカオマス20%、砂糖32%、全粉乳24%、ココアバター24%、大豆レシチン0.3%)に1:1の割合で混合後樹脂モールドにより一口サイズに成形したところ、ビスケットの香ばしい風味を持つチョコレート様油脂性菓子食品ができた。
【0041】
〈実施例6〉
ビスケット粉砕物28%、カカオマス10%、砂糖22%、全粉乳16%、ココアバター24%、レシチン0.3%、を混合物として使用し配合してビスケット風味のチョコレート様油脂性菓子食品を製造した。
【0042】
このビスケット風味のチョコレート様油脂性菓子食品を樹脂モールドにより一口サイズに成形したところ、ビスケットの香ばしい香りを持つチョコレート様油脂性菓子食品ができた。
【0043】
【発明の効果】
本発明である焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品は、以上に述べた構成であるから、焼き菓子特有の風味を有したままチョコレート同様様々な形に成形したり、パンや洋菓子等にコーティングして使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明である焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品の製造工程を示した図である。
【図2】図2は、焼き菓子の範囲を示した図である。
【符号の説明】
A 焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品の製造工程
1 焼き菓子製造工程
2 微粉砕工程
3 第1混合工程
4 微細化工程
5 第2混合工程
Claims (10)
- 常法により水分(含水率)が0%〜10%程度である焼き菓子を製造する焼き菓子製造工程と、前記焼き菓子製造工程により製造された焼き菓子を粉砕機により250μ程度以下の大きさに微粉砕する微粉砕工程と、前記微粉砕工程により250μ程度以下の大きさに微粉砕した焼き菓子、砂糖等の糖質及び油脂等とを、油脂が混合物全体の18%〜30% になるとともに40℃〜50℃である油脂を混合して生地を製造する第1混合工程と、前記第1混合工程によりできた生地を混合機により10μ〜50μの大きさのパウダーに微細化する微細化工程と、前記微細化工程により微細化されたパウダーと油脂とを、油脂が混合物全体の油脂含有量で28%〜75%位となるように混合する第2混合工程により製造することを特徴とする焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品。
- 糖質をブドウ糖、乳糖、澱粉、デキストリンのいずれかとしたことを特徴とする請求項1に記載の焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品。
- 油脂を植物性油脂、動物性油脂、加工油脂のいずれかとしたことを特徴とする請求項1に記載の焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品。
- 焼き菓子をビスケットとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品。
- 焼き菓子をクラッカーとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品。
- 焼き菓子をプレッツェルとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品。
- 焼き菓子を米菓としたことを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の焼菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品。
- 請求項4乃至請求項7に記載の焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品をアーモンド、バータイプアイス、菓子、パン、プレッツエルのいすれかにコーティングしたことを特徴とする食品。
- 請求項4乃至請求項7に記載の焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品を微細な彫刻を施した成形物、山小屋の形、一口サイズの大きさのいずれかに成形したことを特徴とする食品。
- 常法により水分(含水率)が0%〜10%程度である焼き菓子を製造する焼き菓子製造工程と、前記焼き菓子製造工程により製造された焼き菓子を粉砕機により250μ程度以下の大きさに微粉砕する微粉砕工程と、前記微粉砕工程により250μ程度以下の大きさに微粉砕した焼き菓子、砂糖等の糖質及び油脂等とを、油脂が混合物全体の18%〜30% になるとともに40℃〜50℃である油脂を混合して生地を製造する第1混合工程と、前記第1混合工程によりできた生地を混合機により10μ〜50μの大きさのパウダーに微細化する微細化工程と、前記微細化工程により微細化されたパウダーと油脂とを、油脂が混合物全体の油脂含有量で28%〜75%位となるように混合する第2混合工程により製造することを特徴とする焼き菓子を原料としたチョコレート様油脂性菓子食品の製造方法。
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