JP3608170B2 - 液体dpd試薬 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体DPD(ジエチル−p−フェニレンジアミン)試薬に関し、更に詳しくは、保存性を向上した液体DPD試薬関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液体DPD試薬を用いた残留塩素濃度測定方法は、Standard Methods(20版、ページ4−63から4−64 発行者:American Public Health Association、American Water Works Association 及び Water Environmental Federation、1998年発行)に記載のものが知られている。
Standard Methods に記載の残留塩素濃度測定方法を次に示す。
【0003】
Standard Methods で使用するリン酸緩衝液は、無水リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)24gと無水リン酸二水素カリウム(KHPO)46gとを蒸留水に溶解し、キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水塩(EDTA2Na)800mgを100mlの蒸留水に溶解した液を加え、さらに蒸留水を加えて1Lとしたものである。
このリン酸緩衝液のリン酸塩のモル濃度は、リン酸水素二ナトリウムが0.17mol/L、リン酸二水素カリウムが0.34mol/Lで、合計0.51mol/Lとなっている。
リン酸緩衝液を添加するのは、リン酸緩衝液および液体DPD試薬を試料水に添加した直後の試料水をDPDの発色に好適なpH6.2〜6.5に調整するためである。リン酸緩衝液を試料水に添加した後のリン酸濃度が高いほど、緩衝性が高まる。
【0004】
Standard Methods で使用する液体DPD試薬は、1.1gのDPD硫酸塩または1gのDPDシュウ酸塩または1.5gのDPD硫酸塩五水塩を8mLの(1+3)硫酸と200mgのEDTA2Naを含む無塩素蒸留水に溶解し、全量を蒸留水で1Lとするものである。この液体DPD試薬の硫酸濃度は、0.072N(規定度)となる。
【0005】
Standard Methods では、リン酸緩衝液および液体DPD試薬を試料水の容量の20分の1ずつ添加する。液体DPD試薬を添加すると、試料水中の残留塩素がDPDと反応し、残留塩素濃度が高いほど濃い赤色を呈する。そこで、この赤色の濃さを比色または光度計によって測定し、残留塩素濃度を求める。
なお、リン酸緩衝液および液体DPD試薬を試料水に添加した直後の酸濃度は、0.0033Nとなっている。
【0006】
他方、上水試験方法(2001年版、ページ247から251、発行所:社団法人日本水道協会、平成13年8月23日発行)には、液体リン酸緩衝液と粉末DPD試薬を使用した残留塩素濃度の測定方法が記載されている。
【0007】
上水試験方法で使用するリン酸緩衝液は、0.2mol/Lのリン酸二水素カリウム溶液100mLと0.2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液35.4mLとを混合した後、キレート剤として1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸一水塩(CyDTA)を0.13g添加したものである。
このリン酸緩衝液のpHは6.5、リン酸塩のモル濃度は0.15mol/Lとなっている。
【0008】
上水試験方法で使用する粉末DPD試薬は、DPD硫酸塩1gと無水硫酸ナトリウム24gとをよく粉砕して混合したものである。
【0009】
上水試験方法では、リン酸緩衝液2.5mLを50mL容の比色管に取る。次に、粉末DPD試薬0.5gを加える。次に、試料水を加えて、全量を50mLとし、よく混和する。そして、呈色を、所定の残留塩素標準比色列と比較し、残留塩素濃度を求める。あるいは、吸光度を測定し、既知の塩素濃度の溶液を呈色させて吸光度との関係をあらかじめ求めて作成した検量線と比較して、残留塩素濃度を求める。
【0010】
なお、試料水中の添加試薬の最終濃度は、DPD硫酸塩が0.4mg/mL、リン酸二水素カリウムが1.005mg/mL、水酸化ナトリウムが0.105mg/mL、CyDTAが0.05mg/mLとなる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
液体DPD試薬は、粉末DPD試薬を溶解する不便さが無く、さらに定量的な試薬の採取および試料水との混合の点で便利である。
しかし、液体DPD試薬は、粉末DPD試薬に比べて酸化されやすく(酸化されると発色強度が低下する)、保存性が悪いという問題点がある。
そこで、本発明の目的は、保存性を向上した液体DPD試薬提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の観点では、本発明は、試料水にリン酸緩衝液と液体DPD試薬とを添加し、試料水が呈する赤色の濃さを比色または光度計により測定し、試料水中の残留塩素濃度を測定するための液体DPD試薬であって、酸濃度を0.65N以上に高くしたことを特徴とする液体DPD試薬を提供する。
本発明の発明者は、鋭意研究した結果、液体DPD試薬の酸濃度を高くすることで、保存性を向上できることを見いだした。
すなわち、上記第1の観点による液体DPD試薬では、酸濃度を0.65N以上に高くすることにより、従来よりも保存性を向上することが出来る。
【0013】
第2の観点では、本発明は、上記構成の液体DPD試薬において、酸濃度を0.65Nから3.7Nの範囲としたことを特徴とする液体DPD試薬を提供する。
液体DPD試薬の酸濃度を過度に高くすると、pHの調整に必要なリン酸緩衝液量が多くなり、操作性が悪くなる。
そこで、上記第2の観点による液体DPD試薬では、酸濃度を0.65Nから3.7Nの範囲とした。この範囲ならば、良好な操作性が得られるリン酸緩衝液量で、良好な測定結果が得られる範囲に、試料水のpHを調整できる。
なお、酸濃度を0.65Nからとする根拠は、実施例1および図1,図2である。また、酸濃度を3.7Nまでとする根拠は参考例3、特に[0041]の記載である。
【0014】
なお、上記構成の液体DPD試薬と共に用いるリン酸緩衝液のpHを6.6よりもアルカリ性側とすることが好ましい
保存性を高めるために酸濃度を0.65Nより高くした液体DPD試薬に対しては、従来のリン酸緩衝液ではpHの調整が十分にできなくなり、測定に支障を生じる。
そこで、上記構成の液体DPD試薬を用いる残留塩素濃度測定方法では、リン酸緩衝液をpH6.6よりもアルカリ性側に偏らせておく。これにより、リン酸緩衝液と液体DPD試薬(酸濃度が0.65Nより高い)とを混合した後の試料水のpHが6.5付近になるように調整可能となり、測定に支障を生じなくなる。
【0015】
また、試料水にリン酸緩衝液と液体DPD試薬とを添加し、試料水が呈する赤色の濃さを比色または光度計により測定し、試料水中の残留塩素濃度を測定するためのリン酸緩衝液であって、酸濃度を0.65N以上とした液体DPD試薬と共に用いてpHを調整するためのリン酸緩衝液としては、カリウムの濃度を1 . 56 mol /L以上とするのが好ましい
酸濃度を0.65N以上とした液体DPD試薬と共に用いうるリン酸緩衝液とするため、例えば蒸留水に溶解するリン酸水素二ナトリウムとリン酸水素二カリウムの濃度を高くすると、蒸留水に溶解しにくくなり、常温で溶解していても低温になると結晶の析出を生じたりする。
そこで、カリウム濃度を . 56mol/L以上とする。これにより、例えば溶解性の高いリン酸水素二カリウムを支配的に用い、溶解性の低いリン酸水素二ナトリウムの濃度を実質的に0にできるから、蒸留水に溶解しやすくなり、低温でも結晶の析出を生じなくなる。
【0016】
カリウム濃度を . 56mol/L以上とした根拠は次の通りである。
後述する参考例2で図5を参照して説明するように、酸濃度が0.2N以上の液体DPD試薬と同量を添加してpHを適正に調整しうるリン酸緩衝液のリン酸水素二カリウムの濃度は、0.2(濃度)×1.2(倍率)=0.24mol/Lである。このリン酸水素二カリウムの濃度0.24mol/Lをカリウム濃度に換算すれば、二倍の0.48mol/Lとなる。従って、酸濃度が0 . 65N以上の液体DPD試薬と同量を添加してpHを適正に調整しうるリン酸緩衝液のカリウム濃度は0 . 48 mol /L×0 . 65N/0 . 2N=1 . 56 mol /Lとなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0018】
−実施例1−
酸濃度が0.65Nから3.0Nの範囲の液体DPD試薬および比較例として酸濃度が0.0072Nから0 . 30Nの液体DPD試薬を次のようにして調製した。
(1)蒸留水に所定の濃度になるように硫酸を添加する。なお、酸は強酸であればよく、硫酸の代わりに塩酸や硝酸を使用しても良い。
(2)濃度が4.6mg/mLになるようにDPD硫酸塩を添加する。
【0019】
図1に、異なる硫酸濃度の液体DPD試薬のpH、試料水に添加する液体DPD試薬の割合、リン酸緩衝液のリン酸塩濃度、リン酸緩衝液のpH、試料水に添加するリン酸緩衝液の割合を例示する。
このような組成および添加割合とすることにより、残留塩素濃度0〜5mg/Lの範囲が測定可能であった。
【0020】
試料水に添加する液体DPD試薬の割合を試料水容量の1/40としたのは、試料水容量を2mLとした場合の操作性を考慮したためである。すなわち、試料水容量を2mLとすると、試料水に添加する液体DPD試薬容量は0.05mLとなるが、0.05mLは1滴を加えることにより実現でき、操作性が良くなる。
【0021】
液体DPD試薬の酸濃度が高いほどリン酸緩衝液のリン酸水素二ナトリウムの割合を多くしているのは、リン酸緩衝液のpHをアルカリ性側にしておき、酸濃度を高くした液体DPD試薬を加えたときに試料水のpH値が6.5付近になるようにするためである。
なお、リン酸緩衝液には、リン酸塩の他に、CyDTAを2.1mg/mLになるように添加した。
【0022】
試料水に添加するリン酸緩衝液の割合を試料水容量の1/40,3/40,5/40としたのは、試料水容量を2mLとした場合の操作性を考慮したためである。すなわち、試料水容量を2mLとすると、試料水に添加するリン酸緩衝液容量は0.05mL,0.15mL,0.25mLとなるが、これは1滴,3滴,5滴を加えることにより実現でき、操作性が良くなる。このようにリン酸緩衝液の添加量を多くしてpHを調整してもよい。
【0023】
また、液体DPD液の酸濃度を高めたことに対応するために、上記ではオルトリン酸塩の第一塩と第二塩の割合を変えてリン酸緩衝液のpHを高めたが、比較例の硫酸濃度に対して増加した分の硫酸の規定度と同じ規定度の水酸化ナトリウムなどの強アルカリを比較例のリン酸緩衝液の成分に加えてリン酸緩衝液のpHを高めてもよい。
例えば、硫酸濃度を1.072Nにした場合は、比較例のリン酸緩衝液に水酸化ナトリウムを1.0Nになるように追加して添加する。この液体DPD試薬とリン酸緩衝液を所定量ずつ試料水に加えると、液体DPD試薬の硫酸の増加分とリン酸緩衝液の水酸化ナトリウムの増加分が中和することにより、残留塩素の測定に適当なpHとなる。
【0024】
上記のように調製した液体DPD試薬を、劣化を加速するために、40℃で保存した。そして、定期的に、リン酸緩衝液および保存していた液体DPD試薬を試料水に添加し、530nm付近の吸光度を光度計で測定した。なお、試料水は、蒸留水に次亜塩素酸ナトリウムを添加して残留塩素が約1mg/Lになるように調整したものを用いた。
図2に、酸濃度の異なる液体DPD試薬の発色強度割合の経時変化を示す。
発色強度は、発色液の吸光度を試料水の残留塩素濃度で除した値とし、液体DPD試薬の調整直後の発色強度割合を100%とした相対値で表した。
酸濃度を . 65N以上にすると、保存性を向上できることが判る。
【0025】
また、上記のように調製した液体DPD試薬を異なる保存温度で保存した。そして、定期的に、リン酸緩衝液および保存していた液体DPD試薬を試料水に添加し、530nm付近の吸光度を光度計で測定した。なお、試料水は、蒸留水に次亜塩素酸ナトリウムを添加して残留塩素が約1mg/Lになるように調整したものを用いた。
図3に、保存温度の異なる液体DPD試薬の発光強度割合の経時変化を示す。なお、酸濃度は0.14Nとした。
発色強度は、発色液の吸光度を試料水の残留塩素濃度で除した値とし、液体DPD試薬の調整直後の発色強度割合を100%とした相対値で表した。
室温(25℃〜30℃)で保存した場合の保存性は、40℃で保存した場合よりも向上する。また、冷蔵保存した場合の保存性は、室温(25℃〜30℃)で保存した場合よりもさらに向上する。
従って、酸濃度の差に対する液体DPD試薬の保管可能期間の差は、室温保存または冷蔵保存した場合は、図2に示した結果よりも大きくなると推定される。すなわち、酸濃度を高めることによって液体DPD試薬の保管可能期間を延長できる効果は、室温保存または冷蔵保存する場合は、より大きくなると推定できる。
【0026】
参考例1
参考例1は、現在市販されているDPD法による残留塩素測定器を使用する場合の参考例である。
【0027】
現在市販されているDPD法による残留塩素測定器では、ガラスまたはプラスチックの透明容器に試料水10mLを入れ、粉末または錠剤のDPD試薬を加えるようになっている。そして、発色の程度を、光度計を内蔵した測定器を用いて測定するか、あらかじめ所定の濃度に相当する濃さの色を着色したプラスチックの比色板と比較して、残留塩素濃度を求めている。
【0028】
参考例1での液体DPD試薬は、0.37Nの硫酸溶液にDPD硫酸塩を11.2mg/mLになるように添加し、CyDTAを少量添加し、混合後に溶解しなかったCyDTAを沈殿させて除去し、調整した。この液体DPD試薬を試料水10mLに0.1mL添加すると、試料水中のDPD硫酸塩濃度は0.11mg/mLとなる。
【0029】
また、参考例1でのリン酸緩衝液は、上水試験方法のリン酸緩衝液を基に調整した。すなわち、試料水10mLに液体DPD試薬とリン酸緩衝液を0.1mLずつ添加する場合、試料水に添加した後の添加成分の濃度を上水試験方法に一致させると、リン酸緩衝液の成分は1000mLあたり、水酸化ナトリウム10.7g、リン酸二水素カリウム102.5g、CyDTA5.1gとなる。そこで、蒸留水約800mLに水酸化ナトリウム10.7g、リン酸二水素カリウム102.5g、CyDTA5.1gを溶解し、さらに、液体DPD試薬の硫酸濃度0.37Nと中和するように、水酸化ナトリウム0.37Nに相当する14.8gを添加し、十分攪拌して溶解し、蒸留水を加えて全量を1000mLとして、リン酸緩衝液を調整した。このリン酸緩衝液を蒸留水10mLに0.1mL添加すると、pHは7.5になった。さらに参考例1の液体DPD試薬を0.1mL加えると、残留塩素によるDPDの発色に適当なpH6.5となった。
【0030】
蒸留水に次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加し、残留塩素が1mg/L程度になるように調整した溶液の残留塩素濃度を、上記液体DPD試薬とリン酸緩衝液とを用いて且つ光度計内臓型の残留塩素測定器および比色板を使用した測定器を用いて測定したところ、電流滴定法による測定値と一致した。
【0031】
−実施例
実施例は、液体DPD試薬の調整に使用する酸の種類を硫酸と塩酸と硝酸の3種類で比較した実施例である。
本実施例では、液体DPD試薬を次のようにして調整した。
(1)蒸留水に硫酸を添加し、0.65Nの酸溶液をつくる。また、蒸留水に塩酸を添加し、0.65Nの酸溶液をつくる。また、蒸留水に硝酸を添加し、0.65Nの酸溶液をつくる。
(2)1000mLの酸溶液にDPD硫酸塩を46g添加して溶解する。
(3)キレート剤として1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸一水塩(CyDTA)を0.42g添加し、混合後に溶解しなかったCyDTAを沈殿させて除去する。
緩衝液は、図1の硫酸濃度0.65Nに対応するリン酸緩衝液を使用した。
【0032】
図4に、40℃で保存したときの保存試験の結果を示す。
約8週間保存後に酸の種類による発色強度割合の差が大きくなり、硝酸、塩酸、硫酸の順番で発色強度割合が高かった。この順番は、液体DPD試薬のpHの低い順番と一致していた。
なお、Standard Methods には「キレート剤のEDTAが液体DPD試薬の酸化による劣化を遅らせる」ことが記載されているが、本実施例ではCyDTAの添加により液体DPD試薬の保存期間が延びることはなかった。
【0033】
参考例2
図5は、「規定度(N)」欄の酸濃度の硫酸を「添加量」欄の量だけ蒸留水30mLに添加し、それに「濃度(mol/L)」欄の濃度のリン酸水素二カリウム溶液を加えてpHが6.4になったときのリン酸水素二カリウム溶液の添加量を示した図表である。
o.1は、試料水10mLに酸濃度0.2Nの液体DPD試薬を0.1mL添加する場合を想定して、試料水30mLに「0.2N」の硫酸を「0.3mL」添加している。No.2は、試料水10mLに酸濃度0.4Nの液体DPD試薬を0.1mL添加する場合を想定して、試料水30mLに「0.2N」の硫酸を「0.6mL」添加している。No.3は、試料水10mLに酸濃度2Nの液体DPD試薬を0.1mL添加する場合を想定して、試料水30mLに「2N」の硫酸を「0.3mL」添加している。No.4は、試料水10mLに酸濃度3Nの液体DPD試薬を0.1mL添加する場合を想定して、試料水30mLに「2N」の硫酸を「0.45mL」添加している。No.5は、試料水10mLに酸濃度4Nの液体DPD試薬を0.1mL添加する場合を想定して、試料水30mLに「2N」の硫酸を「0.6mL」添加している。No.6は、試料水2mLに酸濃度2Nの液体DPD試薬を0.05mL添加する場合を想定して、試料水30mLに「2N」の硫酸を「0.75mL」添加している。No.7は、試料水2mLに酸濃度3Nの液体DPD試薬を0.05mL添加する場合を想定して、試料水30mLに「2N」の硫酸を「1.13mL」添加している。No.8は、試料水2mLに酸濃度4Nの液体DPD試薬を0.05mL添加する場合を想定して、試料水30mLに「2N」の硫酸を「1.50mL」添加している。
【0034】
図5から、リン酸水素二カリウム溶液をリン酸緩衝液として使用可能であることが判る。
但し、液体DPD試薬には、硫酸の他に、試料水に添加した後のDPD硫酸塩濃度が0.055mg/mLから0.4mg/mLになるようにDPD硫酸塩も添加する。このDPD硫酸塩は、水に溶解すると酸性を示す。このため、pHを6.4に調整するためには、DPD硫酸塩1g(0.0038mol)当たりリン酸水素二カリウム約0.0045molを緩衝液に添加する必要がある。また、液体DPD試薬にCyDTAを添加する場合は、CyDTA1g(0.0027mol)当たりリン酸水素二カリウム約0.009molを緩衝液に添加する必要がある。また、リン酸緩衝液にもCyDTAを添加するので、同様の割合でリン酸水素二カリウムの添加量を増やす必要がある。なお、液体DPD試薬と所定の割合で混合したときに目的のpHになるように、pHメーターによる測定を行って、リン酸水素二カリウムの実際の濃度を決定することが望ましい。
【0035】
なお、液体DPD試薬と同量のリン酸緩衝液を添加してpHを6.4に調整する場合のリン酸水素二カリウムの濃度(mol/L)は、液体DPD試薬の硫酸濃度(N)に対応する図5の「倍率(B/A)」を、該硫酸濃度(N)に乗算すれば、およその値を求めることが出来る。この「倍率(B/A)」は、A(=「規定度(N)」×「添加量」)の値が大きくなるほど大きくなる傾向が見られる。
【0036】
−実施例
4種類の酸濃度0.2N、1.0N、1.8N、3.5Nの液体DPD試薬を次のようにして作成した。
(1)蒸留水に酸濃度が0.2N、1.0N、1.8N、3.5Nになるように硫酸を添加する。
(2)濃度が11mg/mLになるようにDPD硫酸塩を添加する。
(3)濃度が1.0mg/mLになるようにCyDTAをキレート剤として添加する。混合後に溶解しなかったCyDTAは沈殿させて除去する。
【0037】
4種類の酸濃度の液体DPD試薬に対応するリン酸緩衝液を次のようにして作製した。
(1)蒸留水に濃度が0.31mol/L、1.43mol/L、2.4mol/L、4.9mol/Lになるようにリン酸水素二カリウムを添加する。
(2)濃度が5.1mg/mLになるようにCyDTAをキレート剤として添加する。
なお、リン酸水素二カリウムの濃度は、蒸留水10mLに液体DPD試薬およびそれに対応するリン酸緩衝液を0.1mLずつ添加したときにpHが6.4になるように調整した濃度である。
但し、pHは6.4に限定されず、pH6.2〜6.5の範囲に調整できればよい。
【0038】
水道水および水道水に次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加して3種類の遊離残留塩素濃度の試料水を作成し、上記液体DPD試薬とリン酸緩衝液とを用いて且つ光度計内蔵型の残留塩素測定器を用いて遊離残留塩素濃度を測定した。また、株式会社磯村のAT−II型残留塩素電流滴定器を用いた電流滴定法により遊離残留塩素濃度を測定した。
図6に示すように測定値はよく一致した。図6からも、リン酸水素二カリウム溶液をリン酸緩衝液として使用することが可能であることが判る。
【0039】
参考例3
リン酸水素二カリウムの溶解度を調べるため、3mol/Lから0.5mol/Lずつ6mol/Lまで濃度を高めたリン酸水素二カリウム溶液の作製を試みた結果、5.5mol/L以上から溶解が難しくなることが判った。6mol/Lの溶液は、撹拌しながら溶解させたところ、2時間程度を要した。
このときの水温は、リン酸水素二カリウムの溶解により水温が上がるため、室温の25℃から40℃の間であった。
このようにして調整した3mol/Lから6mol/Lのリン酸水素二カリウム溶液を氷冷したところ、どの濃度でも結晶はできなかった。
【0040】
以上のことから、リン酸水素二ナトリウムを用いずに、リン酸水素二カリウムを用い、リン酸水素二カリウムの濃度が5.5mol/L以下となるようにしてリン酸緩衝液を作成すれば、低温でも結晶の析出なくリン酸緩衝液を保存できることが判る。すなわち、気温の低い場所や時期でも、このリン酸緩衝液を保存し、使用することが出来る。また、リン酸緩衝液自体を冷蔵する必要はないが、液体DPD試薬の保存性を高めるために冷蔵庫に保管する際、液体DPD試薬と一緒に冷蔵庫にリン酸緩衝液を保管することが出来る。
これに対して、実施例1で示したリン酸緩衝液は、冷蔵庫に保管したときに結晶の析出を生じることがあった。特に、液体DPD試薬と同量の添加量でpH調整できるように、実施例1で示したリン酸緩衝液のリン酸水素二ナトリウムの濃度を高めた場合、冷蔵庫に保管したときに結晶が生じやすかった。
【0041】
なお、リン酸水素二カリウムの濃度が5.5mol/Lのリン酸緩衝液を液体DPD試薬と同量添加してpHを適正に調整できるような液体DPD試薬の酸濃度は、リン酸水素二カリウムの濃度「5.5」を図5の「倍率(B/A)」の最高値「1.47」で除することにより、およそ「3.74N」であると推定される。
リン酸水素二カリウムの濃度が5.5mol/Lのリン酸緩衝液を液体DPD試薬の添加量より多量に添加するなら、酸濃度3.74Nより高い液体DPD試薬にも対応できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の液体DPD試薬によれば、酸濃度が高いことにより、従来の液体DPD試薬より長期間の保存が可能となる。
【0043】
本発明の液体PDP試薬を用いた残留塩素濃度測定方法では、リン酸緩衝液のpHをアルカリ性側に偏らせることが好ましい。これににより、酸濃度が高い液体DPD試薬を用いた場合でも、リン酸緩衝液と液体DPD試薬とを混合した後の試料水のpHを6.5付近に調整可能となり、支障なく残留塩素を測定できるようになる。
【0044】
リン酸緩衝液のpHをアルカリ性側に偏らせるのに、カリウム濃度を高めれば、低温下でも結晶の析出が生じない。また、液体DPD試薬と同量で適性pHに調整できるようにもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例および比較例の液体DPD試薬とリン酸緩衝液の特性および添加量を示す図表である。
【図2】酸濃度の異なる液体DPD試薬の発色強度割合の変化を示すグラフである。
【図3】保存温度の異なる液体DPD試薬の発色強度割合の変化を示すグラフである。
【図4】酸の種類の異なる液体DPD試薬の発色強度割合の変化を示すグラフである。
【図5】異なる酸濃度の硫酸を添加した蒸留水のpHを6.4に調整するためのリン酸水素二カリウム溶液の濃度と添加量を示す図表である。
【図6】カリウム濃度を高くしたリン酸緩衝液を用いた遊離残留塩素濃度の測定結果を示す図表である。

Claims (2)

  1. 試料水にリン酸緩衝液と液体DPD試薬とを添加し、試料水が呈する赤色の濃さを比色または光度計により測定し、試料水中の残留塩素濃度を測定するための液体DPD試薬であって、酸濃度を0.65N以上に高くしたことを特徴とする液体DPD試薬。
  2. 請求項1に記載の液体DPD試薬において、酸濃度を0.65Nから3.7Nの範囲としたことを特徴とする液体DPD試薬。
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