JP3607935B2 - トレッド変更装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高床式のトラクタのトレッドを油圧シリンダーにより変更し、トレッドの幅をロックできる構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、トラクターのトレッドを変更することは行われており、車軸を油圧シリンダーによって伸縮させて車輪を左右平行移動して、畝幅や作業幅等に合わせてトレッドを変更するように構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高床式のトラクタ、つまり、リアアクスルハウジングより車軸ケースを側方に突出し、該左右の車軸ケースの両端に上下方向にファイナルケースを延出し、該ファイナルケースの下部に車軸を横架して、車軸をオフセット配置して車高を高くし、畝を跨いで車体の底面が走行時に作物を傷めないように構成したトラクタにおいて、トレッドを変更するように構成した場合、車軸を左右に摺動させる構成とすると、その摺動させるための部材が、車輪の内側の車軸延長上に大きくはみ出し、作物の植わった畝を跨いで管理作業を行うときには、作物に当たり、作物を傷めてしまうことがあった。また、車軸部分を油圧シリンダーで伸縮させる構成とすると、油圧がリークしてトレッドが変わるおそれがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
リアアクスルハウジング29より突出した車軸ケースCにファイナルケース30を付設し、該ファイナルケース30下部に車軸36をオフセットして配置し、該ファイナルケース30をトレッド変更用油圧シリンダー5L・5Rの伸縮によりトレッドを変更可能とした高床式のトラクタであって、前記車軸ケースCの上方に、前記トレッド変更用油圧シリンダー5L・5Rと、前記車軸ケースCの回動防止用の回り止めシャフト3と、車軸ケースCを平行に配置し、該回り止めシャフト3にトレッドロック機構Bを設け、該トレッドロック機構Bは、前記回り止めシャフト3の周囲に、一定間隔をあけて溝部3a・3bを形成し、前記車軸ケースCの上部の前後方向にロックシャフト2を挿入し、該ロックシャフト2の先端に、断面視半円状の切欠部2aを形成し、該切欠部2aが前記溝部3a・3bに位置するように配置し、ロックシャフト2の他端は車軸ケースCより外側へ突出し、 該突出部にロックレバー1を固定したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図1は高床式のトラクターの側面図、図2はミッションケースとリアアクスルハウジング部分の側面図、図3は同じくトレッド最大時の後面図、図4は同じくトレッド最小時の後面断面図、図5は同じく一部平面断面図、図6は同じく中間トレッド時の後面断面図、図7はロック解除時のロック装置を示す後面図と側面断面図、図8は同じくロック時の後面図と側面断面図である。
【0006】
まず、図1において高床式のトラクターTの全体構成から説明する。
トラクターTには、前輪31及び後輪32が配設されており、前部のボンネット33内にはエンジンEが配設されている。前記ボンネット33の後部にはステアリングハンドル34が配設されており、該ステアリングハンドル34の後方には運転座席35が、さらにその後方には安全フレーム39が配設されている。前記運転座席35の下方には、ミッションケースMが配置され、その後部にトップリンク40やロアリンク41や、油圧ケースより突出したリフトリンク42、該リフトリンク42に枢支したリフトロッド43等からなる作業機装着装置Aを配置して、作業機を装着できるようにしている。
【0007】
前記ミッションケースMの前下部には動力取出しケース37が固設され、該動力取出しケース37より前輪駆動用のドライブシャフト4が前方に突出され、該ドライブシャフト4の前端部は、フロントアクスルケースに入力され、該フロントアクスルケースの両側に駆動ケースを介して前輪車軸を軸支して前輪31を駆動する構成としている。
【0008】
図2、図3に示すように、前記ミッションケースMの後面にはトップリンクヒッチ28が固設され、後面からPTO軸27が突出されている。ミッションケースMの側部にはリアアクスルハウジング29が配設されており、該リアアクスルハウジング29に本発明のトレッド変更装置及びトレッドロック機構Bを介してファイナルケース30の上部が取り付けられ、該ファイナルケース30の下部に車軸36が横架され、該車軸36に後輪32が支持されている。
該車軸36への動力伝達構成は、図4、図6に示すように、エンジンEからの動力が主変速装置や副変速装置を介してデフギア装置Dのデフリングギア44に伝えられ、該デフリングギア44よりデフピニオン45、デフサイドギア46を介して両側のブレーキ軸47・47に伝える。該ブレーキ軸47外側の端部とリアアクスルハウジング29との間には摩擦板48・48・・・を介装し、該摩擦板48・48・・・はリアアクスルハウジング29外側に設けたブレーキアーム49を回動することによって圧接されてサイドブレーキをかけることができるようにしている。該ブレーキアーム49はリンクやアーム等を介して運転部のサイドブレーキペダルと連結している。
なお、前記一側のブレーキ軸47上にはデフリングギア44側部に形成した歯部と噛合するデフロック用の摺動体50を外嵌している。
【0009】
また、前記ブレーキ軸47上の中途部には歯車51を固設し、中間軸52上に固設した歯車53と噛合し、該中間軸52上に固設した歯車54より伝動軸56の一端に固設した歯車55に伝える。該伝動軸56はリアアクスルハウジング29に軸受58・59を介して回転自在に軸支され、該伝動軸56の他側にはスプラインボス14が固設され、伝動軸56の他端面の軸心より摺動穴56aが穿設され、該摺動穴56aに外周にスプラインを形成した摺動軸57が挿入され、伝動軸56から摺動軸57に相対回転は不能としながら伸縮自在として、動力を伝えられるようにしている。
但し、スプラインボス14をなくして摺動穴56aの内周にスプライン溝を形成することもできる。前記摺動軸57の他端はファイナルケース30の上部に軸受を介して回転自在に軸支され、該摺動軸57上のファイナルケース30内には小径歯車60が形成され、該小径歯車60は前記車軸36上に固設した大径歯車61と噛合して減速駆動される。
【0010】
そして、前記リアアクスルハウジング29より筒状に構成したアウタケース10が側方に突出され、該アウタケース10よりも小径で筒状に構成したインナーケース11がアウタケース10に摺動自在に挿入され、該アウタケース10とインナーケース11で車軸ケースCを構成している。この車軸ケースC内に前記伝動軸56と摺動軸57を収容し、前記インナーケース11の他端がファイナルケース30の上部より側方に突出されて、該ファイナルケース30下部に車軸36を軸支することで、車軸36と車軸ケースCを上下にオフセット配置して、車高が高くなるように構成している。
【0011】
更に、車軸ケースCの上方に回り止めシャフト3と油圧シリンダー5を平行に横架している。即ち、リアアクスルハウジング29と車軸36の間を、車軸ケースCだけで受けると、オフセット配置した車軸36から回動トルクを受けて回転してしまうので、回り止めシャフト3の一端はファイナルケース30の前上部に固設し、回り止めシャフト3の他方を内側へ突出してアウタケース10内に挿入して、回転することを防止している。
そして、該回り止めシャフト3の他端側の周囲には一定間隔をあけて溝部3a・3bが形成されている。但し、溝部の数は限定するものではない。一方、アウタケース10の上部に前後方向にロックシャフト2が挿入され、該ロックシャフト2の先端には図4、図7に示すように、断面視半円状の切欠部2aが形成され、この切欠部2aが前記溝部3a(または3b)に位置するように配置し、ロックシャフト2の他端はアウタケース10より外側へ突出してロックレバー1が固定されて、トレッドロック機構Bを構成している。
【0012】
また、回り止めシャフト3の後部には油圧シリンダー5が横架され、図5に示すように、油圧シリンダー5の基部端がファイナルケース30の上部に固設され、ピストンロッド5aの先端がアウタケース10内に挿入して固定されている。そして、ピストンロッド5aは二重構造に構成されて、筒耐と軸との間、軸心に開口した軸穴のそれぞれに油路を形成し、アウタケース10の外周に形成した油口12・13と連通され、該油口12・13は図示しない配管を介して油圧バルブと連通され、油圧シリンダー5を伸縮できるようにしている。
【0013】
以上のような構成において、最小トレッドの状態が図4に示す状態であり、この状態からトレッドを広げる場合には、図6に示すように、トレッドロック機構Bのロックレバー1を左回転して、ロックシャフト2の切欠部2aの面が下方を向くようにして、ロックシャフト2が溝部3aより外してロックを解除する。そして、油圧シリンダー5を伸長させると、インナーケース11が側方に摺動され、同時に摺動軸57もロックシャフト2も摺動される。このとき、摺動軸57とスプラインボス14はスプライン嵌合されているので、動力の伝達は可能となっている。
そして、油圧シリンダー5を最大に伸長して、図8に示すように、ロックレバー1を右回転すると、切欠部2aが上方を向く、この状態で油圧シリンダー5を縮小させると、ロックシャフト2の先端が溝部3bに当接して、図6に示す中間トレッドの状態とすることができる。また、前述のようにロックを解除して、油圧シリンダー5を縮小して、最小のトレッドとし、ロックレバー1を右回転すると、ロックシャフト2の先端が溝部3aに嵌合して、トレッドをロックすることができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
即ち、車軸ケースの上方に、油圧シリンダーと、前記車軸ケースの回動防止用の回り止めシャフトを平行に配置したので、車軸ケースの車高が下げられることがなく、トレッドの変更機構が車軸ケース上方に位置して車軸の延長上に突起物がなくなり、畝上を通過するときに邪魔にならず、上方の空間を有効に利用できる。
【0015】
また、油圧シリンダーと回り止めシャフトをオフセット配置したファイナルケースによる回動トルクに対して十分回動を防止できる。そして、回り止めシャフトにトレッドロック機構を設けたので、ロック機構をコンパクトに配置することができ、回り止めシャフトがロック機構と兼用できて、部品点数を最小限に抑えてコスト低減化を図れる。
また、該トレッドロック機構Bは、前記回り止めシャフト3の周囲に、一定間隔をあけて溝部3a・3bを形成し、前記車軸ケースCの上部の前後方向にロックシャフト2を挿入し、該ロックシャフト2の先端に、断面視半円状の切欠部2aを形成し、該切欠部2aが前記溝部3a・3bに位置するように配置し、ロックシャフト2の他端は車軸ケースCより外側へ突出し、該突出部にロックレバー1を固定したので、機械的にトレッド変更機構をロックするので、油圧機器部分のリーク等によって、トレッドが変化することを防止することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】高床式のトラクターの側面図である。
【図2】ミッションケースとリアアクスルハウジング部分の側面図である。
【図3】同じくトレッド最大時の後面図である。
【図4】同じくトレッド最小時の後面断面図である。
【図5】同じく一部平面断面図である。
【図6】同じく中間トレッド時の後面断面図である。
【図7】ロック解除時のロック装置を示す後面図と側面断面図である。
【図8】同じくロック時の後面図と側面断面図である。
【符号の説明】
B トレッドロック機構
C 車軸ケース
1 ロックレバー
2 ロックシャフト
3 回り止めシャフト
5 油圧シリンダー
10 アウタケース
11 インナーケース
29 リアアクスルハウジング
30 ファイナルケース
36 車軸
Claims (1)
- リアアクスルハウジング29より突出した車軸ケースCにファイナルケース30を付設し、該ファイナルケース30下部に車軸36をオフセットして配置し、該ファイナルケース30をトレッド変更用油圧シリンダー5L・5Rの伸縮によりトレッドを変更可能とした高床式のトラクタであって、前記車軸ケースCの上方に、前記トレッド変更用油圧シリンダー5L・5Rと、前記車軸ケースCの回動防止用の回り止めシャフト3と、車軸ケースCを平行に配置し、該回り止めシャフト3にトレッドロック機構Bを設け、
該トレッドロック機構Bは、前記回り止めシャフト3の周囲に一定間隔をあけて溝部3a・3bを形成し、前記車軸ケースCの上部の前後方向にロックシャフト2を挿入し、該ロックシャフト2の先端に、断面視半円状の切欠部2aを形成し、該切欠部2aが前記溝部3a・3bに位置するように配置し、ロックシャフト2の他端は車軸ケースCより外側へ突出し、該突出部にロックレバー1を固定したことを特徴とするトレッド変更装置。
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1996
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