JP4458508B2 - 農作業機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農作業機におけるエンジンからの出力を無段階に変速するためのベルトプーリ式の無段変速装置を備えた農作業機の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、農作業機等に、エンジン(原動機)の動力を変速して駆動車輪あるいは各種の作業部(PTO軸)に伝達するためのベルトプーリ式の無段変速装置を備えたものが知られている。例えば、特開平7−315063号公報では、田植機における車体フレームを進行方向に延びる左右一対のメインフレームとその前端間を繋ぐ枠体等により構成し、車体フレームの前部の上面側に搭載したエンジンと、前記車体フレームの下面側に配置して前輪への出力軸を備えたミッションケースと、前記エンジン及びミッションケースの側面であって平面視で車体フレームの一方のメインフレームとの間に配置されたベルトプーリ式の無段変速装置とを配置した構成が開示されている。そして、田植機の側面視において、エンジンの側面に突出する駆動軸に配置する駆動側プーリは、前記メインフレームより上方に配置され、ミッションケースの側面に突出する従動軸に配置する従動側プーリは、その全体がメインフレームよりも下方に配置されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構成では、無段変速装置が側面からの障害物に対して強固な保護部材を別途設けていないと、損傷を受けて故障するおそれがあった。特にメインフレームより下方に配置された従動側プーリが走行中地面に近接した位置にあるため、圃場や路上の障害物に衝突して損傷し易いという問題があった。
【0004】
また、側面視においてメインフレームを挟んで上側に駆動側プーリを、下方側に従動側プーリを配置したものでは、メインテナンスの際に、メインフレームを挟んで上側と下側とで別々の箇所から作業しなければならず、メインテナンス性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、これらの従来の問題を解決すべくなされたものであって、無段変速装置に損傷を与えることが極めて少なくできるようにし、且つメインテナンス性の良い農作業機を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を解決するため、請求項1の発明の農作業機は、車体フレームに搭載したエンジンと、ミッションケースと、前記エンジンからその出力を前記ミッションケースに伝達するベルトプーリ式の無段変速装置とを搭載し、前記車体フレームのうち進行方向に沿って延びる左右一対のメインフレーム間に前記エンジン及びミッションケースを進行方向に沿って配置し、前記エンジン及びミッションケースの側面と前記一方のメインフレームとの間に、前記エンジンの側面から突出した駆動軸に設ける駆動側プーリと、前記ミッションケースの側面から突出した従動軸に設ける従動側プーリと、前記駆動側プーリ及び従動側プーリに巻掛けたベルトとからなる無段変速装置を配置した農作業機において、前記車体フレームの側面視において、前記従動側プーリの少なくとも下半部が前記メインフレームと重なり合うように配置された構造であって、前記車体フレームは、前後に長い前記メインフレームと、前記メインフレームから横に延びるフロント連結フレームと、前記フロント連結フレームに連結されたエンジン台とを有し、前記エンジン台の後端側の取付け部材に前記ミッションケースの前端部を取付け、前記ミッションケースの後端部にリアアクスルケースを一体的に設け、前記メインフレームの後端側にリアフレームを介して前記リアアクスルケースを連結する一方、前記駆動側プーリの前面及び側面を覆うカバー機能を有する支持体の外面に油圧ポンプを固定し、前記エンジンの出力駆動軸の先端部に継手手段を介して前記油圧ポンプの入力軸を直列的に連結し、前記エンジンの側面に基端をボルト等にて固定した前記支持体は、平面視において前記走行機体のメインフレームの内面側と前記エンジンの側面との間に配置され、前記支持体の後端部にボルト連結した連結ブラケットを介して前記メインフレームに前記支持体を固定しているものである。
【0007】
【0008】
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明を適用した農作業機としての田植機の側面図、図2は平面図、図3はエンジン、ミッションケース及び本発明に係るベルトプーリ式の無段変速装置の斜視図、図4は車体フレームの斜視図、図5は無段変速装置及びその操作部を示す平面図、図6は無段変速装置の側面図、図7は断面図、図8は駆動側プーリの平面図、図9は従動側プーリの平面図、図10は変速操作を説明するための側面図、図11は操作部の側面図、図12は操作部の斜視図である。
【0011】
本発明における田植機は4条植え式の乗用型田植機であり(図2参照)、当該田植機は、走行機体1とその後部に連結された苗植装置9とにより構成されている。走行機体1の車体フレーム2の前部及び後部には各々左右一対の前輪3,3、後輪4,4が懸架されている。車体フレーム2は図3〜図5に示すように、 走行機体1の進行方向に沿って前後に長い左右一対のメインフレーム80、81と、それらの前端をつなぐ平面視略U字状のフロントフレーム82と、該フロントフレーム82の左右中央に前端が接続され、前記左右一対のメインフレーム80、81から横に延びるフロント連結フレーム83に後寄り側部が連結されたエンジン台84と、前記左右一対のメインフレーム80、81の後端間に接続した下向きU字状のリアフレーム85とからなり、メインフレーム80、81の前後方向中途部はセンター連結フレーム86にて連結され、前記フロント連結フレーム83の外側両端とフロントフレーム82の左右後端とが連結されて強固な枠体が構成されている。
【0012】
車体フレーム2の前部におけるエンジン台84には原動機としてのエンジン5が搭載されており、当該エンジン5より後方の車体フレーム2の左右略中央部位には、前後(走行機体1の進行方向に沿う方向)に長いミッションケース6がエンジン5と直列状に配置されている。該ミッションケース6の前端はエンジン台84の後端の取付け部材87に取付けられ、ミッションケース6の前後中途部はセンター連結フレーム86の左右中央部に固定した取付け部材88の下部に連結され、さらに、ミッションケース6の後端部は一体的に設けられたリアアクスルケース6aを介して取付けプレート89によりリアフレーム85の下端に連結されている。
【0013】
エンジン5の動力は、後に詳述するベルトプーリ式の無段変速装置10を介してミッションケース6に伝達されたのち、ミッションケース6の前部に設けたフロントアクスルケース6bを介して左右両前輪3,3に伝達されるとともに、ミッションケース6の後部に設けたリヤアクスルケース6aを介して左右両後輪4,4にも伝達されるように構成されている。
【0014】
ミッションケース6等を覆う車体カバー11の上部には、運転座席7が設けられており、これに座る作業者は、エンジン5を覆うボンネットカバー12の後端に立設した操向丸ハンドル8を操作して、前輪3,3の操向を行う。なお、ボンネットカバー12の下部左右両側に配置されたサイドデッキパネル13、13の外側であって、前記前記フロント連結フレーム83の外側両端に設けた角パイプ状の取付け部材14、14には、予備苗載台15,15のための支柱状の支持部16(図1で一方のみ示す)が立設されている。
【0015】
なお、走行機体1の後端に配設した平行リンク機構17を介して苗植装置9が上下動可能に連結されている。当該苗植装置9は、昇降用油圧シリンダ18で昇降調節可能に構成されており、ミッションケース6に後向き突設した植付PTO軸(図示せず)から自在継手伝動軸(図示せず)等を介して動力伝達される伝動ケース50,50(実施形態では2つ)と、該各伝動ケース50、50から立設する支柱52に上レールと、左右両伝動ケース50,50の上面間に装架した下レールとに左右摺動可能に載置された苗載台51は、その上端が走行機体1の後部に接近するように前傾状に配置され、左右往復移動するように構成されている。
【0016】
各伝動ケース50、50の左右両側面には、上下回転するロータリ式の苗植付機構53が配設されている。これら各苗植付機構53の植付杆54は、苗載台51の下端と圃場面との間を上下昇降しながら、当該各植付杆22の先端の植付爪にて苗載台51から1株分の苗を取り出して、この苗を圃場に植え付けるように構成されている(図1及び図2参照)。
【0017】
また、苗植装置9の下部には、圃場の泥面を滑走するフロート55(実施形態では3つ)が配設されており、苗植装置9の左右のバランスを良好に保ち、苗の植付け姿勢を安定させるようになっている。
【0018】
なお、図1及び図2に示すように、施肥装置60は、運転座席7の後方で左右(走行機体1の横幅方向)に並べて配置した複数(実施形態では4つ)の肥料貯蔵用のホッパ61と、これら各ホッパ61の下部に設けた繰出し機構62と、当該各繰出し機構62と、フロート55の側方に配置した作溝器63とを接続する搬送管64等からなり、送風機65からの圧風(空気)は、横長のエアタンク66を介して各繰出し機構62の下部のホースジョイント(図示せず)に向かって吹き込む。これにより、各ホースジョイント内に放出された肥料は、前記圧風とともに各搬送管64を経て、対応する作溝器63から圃場における植付条の側部に放出される。
【0019】
なお、車体カバー11のうち運転席7の側方(実施形態では右側)には、副変速兼用の植付昇降レバー66が配置され、また運転部には主変速レバー67及び苗継ぎレバー68が設けられ、サイドデッキパネル13、13には主クラッチペタル69やブレーキペタル70等が配置されている。
【0020】
次に、図3、図5〜図10を参照しながら、ベルトプーリ式の無段変速装置10の配置及び構成について説明する。無段変速装置10は、エンジン5とミッションケース6との一側(実施形態では左側面)と一方(左側)のメインフレーム80との間に配置され、エンジン5の側面から突出する駆動軸20に設けられた駆動側プーリ21と、ミッションケース6の側面に突出する従動軸(入力軸)22に設けられた従動側プーリ23と、両プーリ21、23に巻掛けるベルト24等から構成されている。
【0021】
駆動側プーリ21における固定シーブ25及び可動シーブ26、従動側プーリ23における固定シーブ39、可動シーブ41は共に円錐面を対向させて配置するものである。
【0022】
駆動側プーリ21における固定シーブ25は、エンジン5の側面に近い側に配置されるものとし、そのボス部25aを前記駆動軸20に被嵌し、キー等により軸線方向に移動不能に固定して一体的に回転するように構成する。可動シーブ26のボス部内径に形成したキー溝を前記ボス部25aの外周に固定した滑りキー27に摺動自在に被嵌させたり、別の実施形態として固定シーブ25のボス部25aと可動シーブ26のボス部とにスプライン溝とスプライン軸とを形成する等して、可動シーブ26が固定シーブ25に対して接近・離間(接離)可能となるように構成する。この可動シーブ26は固定シーブ25よりも前記一方のメインフレーム80の内面側に近い側に配置されている。
【0023】
前記エンジン5の側面に基端をボルト110等にて固定したカバー兼用の支持体29は、平面視において前記一方のメインフレーム80の内面側と前記エンジン5の側面との間に配置され(図3、図5及び図7参照)、該支持体29には、作動機構におけるカム手段30の一方の要素としての固定カム31がボルト28にて固定されており、該固定カム31の内径部に対してベアリング軸受32を介して固定シーブ25のボス部25aが相対的に回転可能に軸支されている。他方、可動シーブ26の背面側にはベアリング軸受33を介してカム手段30の他方の要素としての可動カム34が相対的に回動可能に装着されている。実施形態においては、前記カム手段30は、可動カム34の背面に形成される傾斜カム面34aと、この傾斜カム面34aに当接するように固定カム31の円盤面に支持台36を介して回転可能に設けられたベアリング等の転動体35とからなる。実施形態では円周方向に三等分した3箇所の各傾斜カム面34aは、駆動軸20の中心軸線と直交する平面に対して所定の傾斜角度θ1に設定されている(図8参照)。図10に示すように、前記駆動軸20の中心軸線から半径r1だけ離れた箇所のアーム部34bに駆動側作動ロッド37の先端部が回動可能に装着されており、この駆動側作動ロッド37により可動シーブ26を固定シーブ25に対して接離移動するように作動させるものである。
【0024】
なお、前記駆動軸20に螺着したボルト38aと止め輪38bが固定シーブ25のボス部25aの内径部に配置され、このボルト38aの頭にて止め輪38bをボス部25aに押しつけて位置固定され、ボルト38aと止め輪38bとを外すことにより、固定シーブ25を駆動軸20の軸線方向に脱着可能としている(図7参照)。
【0025】
従動側プーリ23における固定シーブ39は、ミッションケース6の側面から離れた側(換言すると、一方のメインフレーム80の内面に近い側)に配置されるものとし、そのボス部39aを前記従動軸22に被嵌し、キー等により軸線方向に移動不能に固定して一体的に回転するように構成する。この従動軸22に螺着したボルト40aと止め輪40bが固定シーブ39のボス部39aの内径部に配置されている(図7参照)。このボルト40aの頭にて止め輪40bをボス部39aに押しつけて位置固定され、ボルト40aと止め輪40bとを外すことにより、固定シーブ39を従動軸22の軸線方向に脱着可能としている。従動側プーリ23における可動シーブ41はミッションケース6の側面に近い側に配置され、可動シーブ41のボス部内径に形成したキー溝を前記固定シーブ39のボス部39aの外周に固定した滑りキー42に摺動自在に被嵌させたり、別の実施形態として固定シーブ39のボス部39aと可動シーブ41のボス部とにスプライン溝とスプライン軸とを形成する等して、可動シーブ41が固定シーブ39に対して接近・離間可能となるように構成する。
【0026】
なお、図6に示すように、側面視において、駆動側プーリ21の全体がカバー兼用の支持体29と共に前記一方のメインフレーム80の上面よりも上方に配置されており、また、従動側プーリ23はその従動軸22より下方の部分のみがメインフレーム80と側面視で重なり合うように配置されているため、駆動側プーリ21のエンジン5の側面に対する取付け部(駆動軸20)及び従動側プーリ23のミッションケース6の側面に対する取付け部(従動軸23)が、メインフレーム80の上面より上方となることで、メインテナンス時にはメインフレーム80よりも上方向において、駆動側プーリ21及び従動側プーリ23を着脱する作業を実行でき、メインテナンス性が良い。
【0027】
また、図5及び図7に示すように、従動側プーリ23は、平面視において、一方のメインフレーム80の内面との間に、寸法L1の空間112が形成されており、従動側プーリ23を従動軸22から横方向に引き抜くときの部品着脱用空間とすることができる。
【0028】
さらに、図6に示すように、駆動側プーリ21、従動側プーリ23及びベルト24の上側を着脱可能なサイドデッキパネル13等の車体カバーにて上方から覆って保護しているから、メインテナンス時にはこのサイドデッキパネル13等の車体カバーを取り外すことで容易に作業ができるのである。
【0029】
そして、前記可動シーブ41の背面とミッションケース6の側面との間に作動機構のカム手段43を配置する。実施形態では、カム手段43の一方の要素としての固定カム44はミッションケース6の側面にボルト111等にて固定される一方(図7及び図9参照)、カム手段43の他方の要素としての可動カム45がベアリング軸受46を介して可動シーブ41の背面側に対して相対的に回動可能に装着されている。実施形態においては、図9に示すように、前記カム手段43は、可動カム45の背面に形成される傾斜カム面45aと、この傾斜カム面45aに当接するように固定カム44の円盤面に支持台36を介して回転可能に設けられたベアリング等の転動体47とからなる。実施形態では、駆動側プーリ21及び従動側プーリ23に配置するカム手段30、43は同じ寸法形状のものを共用する。従って、傾斜カム面45aの傾斜角度θ2はθ1と等しくなるように設計されている。但し、図10に示すように、前記従動軸22の中心軸線から半径r2(<r1)だけ離れた箇所のアーム部45bに従動側作動ロッド48の先端部が回動可能に装着されており、この従動側作動ロッド48により可動シーブ41を固定シーブ39に対して接離移動させるように作動させるものである。従って、駆動側プーリ21における可動シーブ26の移動方向と、従動側プーリ23における可動シーブ41の移動方向とが互いに逆作動させる配置関係となる。
【0030】
駆動側プーリ21と従動側プーリ23とに巻掛けたベルト24の張力を略一定に保持するためのテンションローラ49を回動可能に支持するアーム71の基端軸72は、前記エンジン台84の側面に固定されており、ベルト24の緩み側の外周にテンションローラ49を押圧するようにバネ73にて付勢されている(図6及び図7参照)。
【0031】
また、前記無段変速装置の操作部90は、図5、図10、図11及び図12に示すように、前記副変速兼用植付昇降レバー66にて行うものである。即ち、前記左右のメインフレーム80、81の間に横設した丸軸91に回転可能に被嵌したパイプ状の共通操作軸92には、前記駆動側作動ロッド37及び従動側作動ロッド48のそれぞれ基端が連結される出力ブラケット93a,93bが同位相にて固定されている(図5、図10参照)。また、共通操作軸92には、進行方向を向いて右側のメインフレーム81に近い部位にて入力ブラケット94を固定し、該入力ブラケット94と作動リンク96とをロッド95を介して連結する。作動リンク96は、支軸97の回りで前記副変速兼用植付昇降レバー66と一体的に回動するデデント体98の外周側にて支軸99の回りに回動可能であり、作動リンク96の中途部に設けたコロ101がデデント体98の外周縁に常時当接するようにバネ100にて付勢されている(図11参照)。なお、押圧リンク102の先端のコロ103が前記デデント体98の外周縁のデデント部98aに常時当接するように、押圧リンク102の基端が前記支軸99の回りに回動可能であって図示しない捩じりばねにより付勢されている。
【0032】
なお、図11において、前記副変速兼用植付昇降レバー66が最右位置UP(図2においては走行機体1の進行方向と逆位置に対応する)では、苗植装置9を圃場面より大きく上昇させる苗植上げ位置となり、その左隣のN位置では中立位置)さらに左隣のDW位置では苗植装置9のフロート55が圃場面に接する苗植下げ位置となる。そして、さらに左のLOの位置まで副変速兼用植付昇降レバー66を前傾させると、図示しない植付けクラッチがONとなり、且つ、図11において、デデント体98を時計回りに回動させ、デデント体98が二点鎖線状態になると、当該デデント体98の半径の小さい箇所にコロ101が当接する。このコロ101を介して作動リンク96の上端が下向きとなり、ロッド95を介して入力ブラケット94が時計回りに回動する。これにより、図10に示すように、共通操作軸92を介して出力ブラケット93a(93b)は時計回りに回動して実線状態となるので、駆動側作動ロッド37及び従動側作動ロッド48を図10の左方向に押し、前記無段変速装置10は低速状態(LO)となる。即ち、駆動側作動ロッド37を図10において左方向(矢印A)に移動させると、可動カム34は時計方向に回動し、図10の実線状態の位置の可動カム34により、可動シーブ26が固定シーブ25から離れ、駆動側プーリ21に対するベルト24の巻回有効径が小さくなる。他方、従動側作動ロッド48が図10において左方向(矢印A′)に移動させられると、可動カム45は同じく時計方向に回動し、図10の実線状態の位置の可動カム45により、可動シーブ41が固定シーブ39に接近し、従動側プーリ23に対するベルト24の巻回有効半径は大きくなり、これにより、従動軸22は駆動軸20よりも低速回転となる。
【0033】
副変速兼用植付昇降レバー66を、図11のHIの位置まで前傾させると、デデント体98は反時計回りに回動して、図11の実線状態となり、該出テント体98の半径の大きい箇所に前記コロ101が当接し、作動リンク96の先端(上端)を引き上げるから、ロッド95を上向きに引きこれにより、図10に示すように、共通操作軸92を介して出力ブラケット93a(93b)は反時計回りに回動して二点鎖線状態となるので、駆動側作動ロッド37及び従動側作動ロッド48を図10の右方向に引き、前記無段変速装置10は高速状態(HI)となる。
【0034】
即ち、低速状態から高速状態に変速するときには、駆動側作動ロッド37を図10において右方向(矢印B)に移動させると、図10の二点鎖線状態のごとく反時計方向に回動した可動カム34により、可動シーブ26が固定シーブ25に接近し、前記ベルト24の巻回有効半径が大となる一方、従動側作動ロッド48が図10において右方向(矢印B′)に移動させられると、可動カム45は同じく反時計方向に回動し、図10の二点鎖線状態の位置の可動カム45により、可動シーブ41が固定シーブ39から離れ、ベルト24の有効半径が小となり、従動軸22は高速回転するのである。
【0035】
また、図3、図5、図6、図7及び図8に示すように、駆動側プーリ21の前面及び側面を覆うカバー機能を有する支持体29の外面に、油圧ポンプ104を固定し、エンジン5の出力軸である駆動軸20の先端部に対して、オルダム継手等の継手手段105を介して油圧ポンプ104の入力軸に直列的に連結することにより、油圧ポンプ104への動力伝達手段をコンパクトにできる。また、前記支持体29の後端部にボルト連結した連結ブラケット106を介して前記一方のメインフレーム80に固定する(図6、図7参照)ことにより、駆動側プーリ21及び油圧ポンプ104の支持状態を強固にできる。
【0036】
固定カムと可動カムは両者とも傾斜カム面同士による接触でも良いが、傾斜カム面と転動体との接触によれば、固定カムは可動カムとの接触抵抗力を少なくでき、変速操作力を軽くできるという効果を奏する。また、前記実施形態において、可動カム34、45に傾斜カム面34a,45aを形成し、固定カム31、44に転動体35、47が設けられていたが、逆に固定カム31、44に傾斜カム面を形成し、可動カム34、45に転動体35、47を設けるようにしても良い。
【0037】
本発明は田植機以外に耕耘機、管理機等の農作業機にも適用できることはいうまでもない。その場合、操作レバーは前記共通操作軸92を回動させるものであれば良い。
【0038】
【発明の効果】
以上に詳述したように、請求項1の発明の農作業機は、車体フレーム2に搭載したエンジン5と、ミッションケース6と、エンジン5からその出力をミッションケース6に伝達するベルトプーリ式の無段変速装置10とを搭載し、車体フレーム2のうち進行方向に沿って延びる左右一対のメインフレーム80,81間にエンジン5及びミッションケース6を進行方向に沿って配置し、エンジン5及びミッションケース6の側面と一方のメインフレーム80,81との間に、エンジン5の側面から突出した駆動軸20に設ける駆動側プーリ21と、ミッションケース6の側面から突出した従動軸22に設ける従動側プーリ23と、駆動側プーリ21及び従動側プーリ23に巻掛けたベルト24とからなる無段変速装置10を配置した農作業機において、車体フレーム2の側面視において、従動側プーリ23の少なくとも下半部がメインフレーム80,81と重なり合うように配置された構造であって、車体フレーム2は、前後に長いメインフレーム80、81と、メインフレーム80、81から横に延びるフロント連結フレーム83と、フロント連結フレーム83に連結されたエンジン台84とを有し、エンジン台84の後端側の取付け部材87にミッションケース6の前端部を取付け、ミッションケース6の後端部にリアアクスルケース6aを一体的に設け、メインフレーム80、81の後端側にリアフレーム85を介してリアアクスルケース6aを連結する一方、駆動側プーリ21の前面及び側面を覆うカバー機能を有する支持体29の外面に油圧ポンプ104を固定し、エンジン5の出力駆動軸20の先端部に継手手段105を介して油圧ポンプ104の入力軸を直列的に連結し、エンジン5の側面に基端をボルト110等にて固定した支持体29は、平面視において走行機体1のメインフレーム80の内面側とエンジン5の側面との間に配置され、支持体29の後端部にボルト連結した連結ブラケット106を介してメインフレーム80に支持体29を固定しているから、メインフレーム80によって無段変速装置10が保護される。また、駆動側プーリ21及び油圧ポンプ104の支持状態を強固にできる。
【0039】
【0040】
また、メンテナンス作業を至極容易にできるとい効果を奏するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 田植機の側面図である。
【図2】 田植機の平面図である。
【図3】 車体フレーム、エンジン、ミッションケース及び無段変速装置の概略斜視図である。
【図4】 車体フレームの斜視図である。
【図5】 車体フレーム、エンジン、ミッションケース及び無段変速装置の概略平面図である。
【図6】 無段変速装置の側面図である。
【図7】 無段変速装置の断面図である。
【図8】 駆動側プーリ部の箇所の拡大平面図である。
【図9】 従動側プーリ部の箇所の拡大平面図である。
【図10】 作用説明図である。
【図11】 無段変速装置の操作部の側面図である。
【図12】 無段変速装置の操作部の斜視図である。
【符号の説明】
1 走行機体
5 エンジン
6 ミッションケース
10 無段変速装置
15 苗植装置
20 駆動軸
21 駆動側プーリ
22 従動軸
23 従動側プーリ
24 ベルト
25、39 固定シーブ
26、41 可動シーブ
29 カバー兼用の支持体
30、43 カム手段
31、44 固定カム
34、45 可動カム
34a,45a 傾斜カム面
35、47 転動体
37 駆動側作動ロッド
48 従動側作動ロッド
66 副変速兼用植付昇降レバー
80 メインフレーム
90 操作部
92 共通操作軸
93a,93b 出力ブラケット
98 デテント体
106 連結ブラケット
110 ボルト

Claims (1)

  1. 車体フレームに搭載したエンジンと、ミッションケースと、前記エンジンからその出力を前記ミッションケースに伝達するベルトプーリ式の無段変速装置とを搭載し、前記車体フレームのうち進行方向に沿って延びる左右一対のメインフレーム間に前記エンジン及びミッションケースを進行方向に沿って配置し、前記エンジン及びミッションケースの側面と前記一方のメインフレームとの間に、前記エンジンの側面から突出した駆動軸に設ける駆動側プーリと、前記ミッションケースの側面から突出した従動軸に設ける従動側プーリと、前記駆動側プーリ及び従動側プーリに巻掛けたベルトとからなる無段変速装置を配置した農作業機において、
    前記車体フレームの側面視において、前記従動側プーリの少なくとも下半部が前記メインフレームと重なり合うように配置された構造であって、
    前記車体フレームは、前後に長い前記メインフレームと、前記メインフレームから横に延びるフロント連結フレームと、前記フロント連結フレームに連結されたエンジン台とを有し、
    前記エンジン台の後端側の取付け部材に前記ミッションケースの前端部を取付け、前記ミッションケースの後端部にリアアクスルケースを一体的に設け、前記メインフレームの後端側にリアフレームを介して前記リアアクスルケースを連結する一方、
    前記駆動側プーリの前面及び側面を覆うカバー機能を有する支持体の外面に油圧ポンプを固定し、前記エンジンの出力駆動軸の先端部に継手手段を介して前記油圧ポンプの入力軸を直列的に連結し、
    前記エンジンの側面に基端をボルト等にて固定した前記支持体は、平面視において前記走行機体のメインフレームの内面側と前記エンジンの側面との間に配置され、前記支持体の後端部にボルト連結した連結ブラケットを介して前記メインフレームに前記支持体を固定していることを特徴とする農作業機。
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