JP3607517B2 - 光情報媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的に再生可能な情報が記録し得る光情報媒体とその製造方法に関し、特に2枚の基板を貼り合わせた形態を有し、2枚の基板の間に接着剤を均一に展開してこれら基板を貼り合わせた光情報媒体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の短波長レーザーの開発と実用化に伴い、より高密度な記録再生を可能とするDVD(Digital Versatile Disc)の規格の標準化に伴い、その実用化が進んでいる。このDVDでは、その少なくとも一方の主面にデータ記録領域が設定され、このデータ記録領域に情報記録手段であるピットが形成され、その上に金属膜からなる反射層が形成されている。
【0003】
前記DVDでは、現在最も一般的な光情報媒体の規格であるCD(Compact Disc)と比較して、高密度化のために異なる規格が定められている。例えば、光学ピックアップにおいては、波長630nm〜670nmという短波長赤色レーザを使用すること、開口率NAが0.6という高開口率対物レンズを使用すること等である。またこれに伴い、ディスクの反り等に対応するため、0.6mm厚というCDの約半分の厚さのディスクが採用されている。ただ、ディスク厚1.2mmのCDとの寸法上の互換性を確保するため、2枚のディスクの貼り合わせ構造となっている。DVD規格では、1枚のディスクに標準で最大記録容量約4.7GB、映像と音声が平均約133分収録することを規格化している。
【0004】
前記DVDの規格の標準化の中で、CD−ROMとCD−R或いはCD−RWとの関係と同様に、当初は再生専用の光情報媒体と記録可能な光情報媒体との双方が想定されていた。しかし、当初の規格化は、映像用のDVD−Videoとコンピュータデータ記録用のDVD−ROM等の再生専用のDVDのみであり、記録可能なDVDについては、規格化が先送りされている。そうした背景の中で、1枚のディスクに最大記録容量4.7GBという高密度な記録可能な光情報媒体とその記録技術の開発が望まれいる。
【0005】
前記のような高密度記録媒体であるDVDでは、前述の通り、ディスク厚1.2mmのCDとの寸法上の互換性を確保するため、2枚のディスクを貼り合わせた構造となっている。このディスクの貼り合わせのためには、接着剤が使用されている。接着剤としては、例えば紫外線硬化性樹脂系のものが使用され、その未硬化時の粘度は500cps程度である。
【0006】
2枚のディスクを貼り合わせるに当たっては、その貼り合わせ面の間に接着剤を均一に展開したうえで、その接着剤を硬化させる必要がある。ディスクの間の接着剤を展開する手段としては、例えば、少なくとも一方のディスクの内周側に接着剤を塗布し、その後2枚のディスクを重ね合わせ、さらに重ね合わせたディスクを高速回転し、その遠心力でディスクの間の接着剤を外周方向に展開する手段がとられる。
【発明が解決しようとしている課題】
【0007】
前述のように、接着剤として500cps前後の比較的粘度の高い接着剤が使用されるため、重ね合わせたディスクに十分な回転を与えても、接着剤が容易に展開しない。また、接着剤の粘性が大きいため、接着剤に混入した気泡が接着剤の中に閉じこめられ、気泡が容易に抜け出ないため、接着剤を硬化することにより形成される接着層の中に微細な気泡が残る。このため、接着層が粗密になって、接着力の低下を来したり、ピット形状に影響を及ぼすという課題がある。
【0008】
このような課題に対し、接着剤の展開を速くし、気泡の封じ込めを少なくするため、より粘度の低い接着剤を使用することも検討された。しかし、接着剤の粘度が500cps前後より低いと、遠心展開するときに、接着剤の流動性が高すぎるため、接着剤がディスクの間から振り切られ、最終的に接着剤を硬化したときに形成される接着層が薄くなり過ぎる。このため、必要な接着強度を確保できないという課題がある。
【0009】
本発明では、このような2枚のディスクを貼り合わせた構造を有する光情報媒体の接着手段の課題に鑑み、その第一の目的は、2枚のディスクを貼り合わせた構造を有する光情報媒体において、粘度の比較的低い接着剤を使用し、接着層への微細な気泡の混入等を抑え、緻密な接着層を得ることである。また、本発明の第二の目的は、ディスクの間に接着剤を展開する際に、接着剤の均一で速い展開を可能とし、しかも所定の膜厚の接着層を得て、必要なディスクの貼り合わせ強度を確保することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記の目的を達成するため、粘度の低い接着剤を使用することにより、接着層11への微細な気泡の閉じ込み等を無くすると共に、速く均一な接着剤の展開を可能にしたものである。しかも、必要な接着層11の接着強度を得るために、基板1、5の少なくとも一方の貼り合わせ面に、その径方向に凹と凸を繰り返す凹凸15、16を設け、接着層11の厚みを確保することができるようにする。
【0011】
すなわち、本発明による光情報媒体は、第一と第二の基板1、5を貼り合わせ、少なくとも一方の基板1に信号が記録され、または信号を記録し得る領域を有するものであって、互いに貼り合わせられる第一の基板1及び第二の基板5の少なくとも一方の基板1、5の貼り合わせ面に形成され、その径方向に凹凸を繰り返す凹凸15、16と、この凹凸15、16を有する貼り合わせ面において第一の基板1及び第二の基板5を互いに接着した接着層11とを有するものである。
【0012】
第一と第二の基板1、5の凹凸15、16は、径方向に等ピッチで凹と凸を繰り返す螺旋状の溝により形成されたものである。また、この第一と第二の基板1、5の凹凸15、16の溝幅は、0.37±0.2μmである。
接着層11は均一な膜厚を有し、その膜厚は10〜50μmとすることにより、所要の基板1、5の貼り合わせ強度を確保することができる。
【0013】
このような光情報媒体を製造する方法は、少なくとも一方の基板1、5の貼り合わせ面に、その径方向に凹凸を繰り返す凹凸15、16を有する第一の基板1と第二の基板5を用意する工程と、第一と第二の基板1、2の少なくとも一方の貼り合わせ面に接着剤を塗布する工程と、第一の基板1と第二の基板5の貼り合わせ面を重ね合わせる工程と、第一の基板1と第二の基板5の貼り合わせ面の間の接着剤をそれら貼り合わせ面に展開する工程と、展開した接着剤を硬化し、接着層11を形成する工程とを有する。
第一と第二の基板1、5の間の接着剤を展開する工程では、重ね合わせた第一と第二の基板1、5を回転することにより、遠心力で接着剤を展開する。このとき、接着剤は、未硬化時の粘性が80〜250cpsの比較的粘度の低いものを使用することができる。
【0014】
このような光情報媒体とその製造方法では、接着剤を第一と第二の基板1、5の間に挟んでそれらの径方向に展開する際に、基板1、5の貼り合わせ面に形成された凹凸15、16により、接着剤の流動抵抗が大きくなる。このため、粘性が比較的小さい接着剤を使用しても、接着剤の振切量が過多にならず、所要の接着力を得るのに必要な接着層11の厚さを確保するすることができる。すなわち、前記基板1、5の貼り合わせ面に形成された凹凸15、16は、基板1、5の径方向に凹凸を繰り返すため、展開時の未硬化の接着剤に流動抵抗を与え、その過度の流出を防止する。
【0015】
他方において、粘性が比較的小さい接着剤を使用することができることにより、接着剤内部の気泡の閉じ込めが少なくなり、容易に脱泡できるため、接着剤が硬化することで形成される接着層11が緻密となる。これにより、薄い接着層11でより高い接着強度を得ることができる。また、接着剤の粘性が小さいことから、遠心展開する際に振り切られた接着剤が再利用し易くなり、そのリサイクル化を容易に実現できる。さらに、光情報媒体が不要になったとき、基板1、5を分離し、基板1、5やその上に形成された反射層を資源として再利用する際に、接着剤の除去が容易となり、資源の再利用が容易となる。
【0016】
なお、接着剤として未硬化時の粘性が80〜250cpsのものを使用するのは、前記の基板1、5の貼り合わせ面の凹凸により、10〜50μmの最適な接着層11を得るためである。接着剤の粘度が低すぎると所要の接着層11の膜厚を確保することができず、基板1、5の貼り合わせ強度が低下する。逆に接着剤の粘度が高すぎると接着層11の膜厚が過大となる。10〜50μmの接着層11の膜厚は、貼り合わせた基板1、5の所要の接着強度を確保するためのもので、これ以上膜厚が増大しても、基板1、5の貼り合わせ強度の増加はない。むしろ、膜厚が過大になる結果、接着剤のリサイクル化を阻害し、光情報媒体の資源としての再生利用時に、接着剤を除去することが困難になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について具体的且つ詳細に説明する。
本発明による光情報媒体の一例として、両面貼り合わせによる片面記録・再生構造を有する追記形光情報媒体の例を図1〜図3に示す。
第一の基板1は、中央にセンターホール4を有する透明な円板状の基板である。この基板1は、一般にポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透明樹脂を射出成形して作られる。
【0018】
この透光性を有する基板1の片面の前記センターホール4の外側にクランピングエリアが設定されており、このクランピングエリアの外周側がデータ記録領域となる。基板1のデータ記録領域の部分には、スパイラル状のグルーブからなるトラッキングガイド3が形成されている。このトラッキングガイド3のピッチは、0.74μmを標準とする。
【0019】
さらに、図1〜図3に示すように、基板1の前記データ記録領域の部分の主面に記録層12が形成される。例えば、スピンコート法等の手段で有機色素等が塗布され、記録層12が形成される。この記録層12の上に、金、アルミニウム、銀、銅等の金属膜或いはこれらの合金膜からなる反射層13が形成される。さらに反射層13の上に、紫外線硬化性樹脂等の保護膜14が形成される。
【0020】
図1〜図3に示すように、この基板1の他にもう1枚の第二の基板5を用意する。
この第二の基板5は、前記基板1と同じ材質で出来た同じサイズのものであるが、その主面には、前記基板1のような記録層12、反射層13は設けられていない。もちろん、この他の基板5にも前記基板1と同様に、記録層12や反射層13等を設けることもできる。
【0021】
この基板5の貼り合わせ面には、図2及び図3に示すような凹凸15が形成されている。この凹凸の溝は、前記第一の基板1のトラッキングガイド3を形成するためのものと同じものであり、基板5の貼り合わせ面に螺旋状に形成されている。その溝のピッチは、0.74μmを標準とする。また、溝幅、具体的には溝の半分の深さ位置における半値幅は0.37±0.2μmである。
【0022】
次に、これらの2枚の基板1、5を貼り合わせる。図7は、2枚の基板1、5を貼り合わせる工程を示す図であり、この図に従って基板の貼合工程の例を説明する。
図7に示すように、ワークテーブル21上に基板1を載せるターンテーブル22が設けられている。ワークテーブル21は間欠的に回転し、複数の工程をそれぞれのターンテーブル22の停止位置に設定したワークステーションで順次行っていく。
【0023】
ターンテーブル22の上面の中心からセンターピン23が突設され、このセンターピン23を基板1、5のセンターホール4(図1、図2参照)に差し込んだ状態で基板1を位置決めする。ターンテーブル22のセンターピン23と基板1、5のセンターホール4との間に若干の寸法上の余裕、いわゆるガタがあり、これによって基板1、5のセンターホール4がセンターピン23が差し込みやすくなっている。
ターンテーブル22の下面からは、前記センターピン23と一体となって同心状に図示してないスピンドルが設けられ、このスピンドルを介して駆動モータによりターテーブル22が回転される。
【0024】
まず、ワークテーブル21が停止し、図7(a)に示すように、ターンテーブル22が最初のワークステーションに停止したとき、このターンテーブル22の上に一方の基板1が載せされる。例えば、真空吸着手段等を使用したマニプレータ27を使用し、基板1をターンテーブル22に載せる。このとき、ターテーブル22上のセンターピン23を基板1のセンターホール4(図1、図2参照)に差し込み、基板1を位置決めする。
【0025】
次に、ワークテーブル21が1ステップだけ間欠回転すると、ターンテーブル22が図7(b)に示す接着剤塗布工程を行うワークステーションに移動し、そこで停止する。ここでターンテーブル21が低速で回転されならが、ディスペンサ25を用いて、ターテーブル22上の基板1のセンターホール4の周囲に紫外線硬化性樹脂系等の接着剤aが塗布される。
【0026】
次に、ワークテーブル21が1ステップ間欠回転し、ターンテーブル22が図7(c)に示す次のワークステーションに移動し、停止する。この位置で、ターンテーブル22上の基板1上に別の基板5が載せられ、それら基板1、2の貼り合わせ面が重ね合わせられる。例えば、基板5は基板1と同様に真空吸着手段等を使用したマニプレータを使用して基板1の上に載せられる。
【0027】
基板1上に基板5が載せられると、基板1に塗布された接着剤が基板1、5の貼り合わせ面の間で押圧され、その間隙に展開する。さらに、ターンテーブル22が高速回転され、接着剤が遠心力で基板1、5の外周側に展開され、余剰の接着剤が基板1、5の間から振り切られる。これにより、基板1と基板5の間には、それらの接着に必要な必要最小限の厚さの接着剤が残される。なお、この状態では接着剤は硬化しておらず、基板1、5は固定されていない。
【0028】
次に、ワークテーブル21が1ステップ間欠回転し、ターンテーブル22が図7(d)に示す次のワークステーションに移動し、停止する。この位置で紫外線ランプ28により、基板5を通して基板1、5の間の接着剤に紫外線が照射される。これにより、接着剤が硬化され、基板1、5が互いに固定される。
なお、前述の例では、最初に基板1をターンテーブル22上に載せたが、その逆に記録層12や反射層14を有しない、いわゆるダミーの基板5を最初にターテーブル22上に載せ、その上に記録層12や反射層14を有する基板1を載せて貼り合わせることもできる。
【0029】
本発明では、前記のような基板1、5の接着工程において、粘度が80〜250cpsと低い接着剤を使用する。このような比較点粘度が小さい接着剤を第一と第二の基板1、5の間に挟んでそれらの径方向に展開する場合、基板5の貼り合わせ面に形成された前述の凹凸15により、接着剤の流動抵抗が大きくなり、基板1、5の間に必要な量の接着剤を留めておくことができる。このため、所要の接着力を得るのに必要な接着層11の膜厚10〜50μmを確保するすることができる。
【0030】
また前述のように、粘性が比較的小さい接着剤を使用することにより、接着剤内部の気泡の閉じ込めが少なくなり、接着剤からの脱泡も容易であるため、接着層11が緻密となる。これにより、薄い接着層11でも高い接着強度を得ることができる。さらに、使用済の光情報媒体の基板1、5を分離し、基板1、5の貼り合わせ面から接着剤を除去するときに、その除去が容易となる。
【0031】
図4は、本発明による光情報媒体の他の例において、基板1、5の貼り合わせ面が接着された状態を示す模式断面図である。
前述の例では、基板1側は反射層13上に紫外線硬化性樹脂製の保護層14が設けられ、この保護層14は概ね平坦であった。これに対し、図4に示す例では保護層14の貼り合わせ面にも凹凸16が設けられている。この凹凸16は、基板5の貼り合わせ面の凹凸15とピッチは同じであるが、溝の深さは若干浅い。
この図4に示す光情報媒体の例でも、基板1、5の接着方法は前述の例と同じであり、その詳細な説明は省略する。
【0032】
図5は、本発明による光情報媒体の更に他の例において、基板1、5の貼り合わせ面が接着された状態を示す模式断面図である。
前述の例では、基板1側は反射層13上に紫外線硬化性樹脂製の保護層14が設けられているが、これに対し、図5に示す例では、基板1には保護層14を形成せず、貼り合せ面に反射層13を臨ませるようにして接着剤を介して基板1と基板5とを貼り合せるようにしている。この場合、基板1側の反射層13の貼り合わせ面に凹凸16が設けられていても差し支えなく、この凹凸16は、基板5の貼り合せ面の凹凸15より溝の深さが若干浅い。
この図5に示す光情報媒体の例でも、基板1、5の接着方法は前述の例と同じであり、その詳細な説明は省略する。
【0033】
図6は、本発明による光情報媒体のさらに他の例を示すもので、基板1、5の貼り合わせ面が接着された状態を示す模式断面図である。
図6に示す例では、基板5の貼り合せ面に金、アルミニウム、銀、銅等の金属膜或いはこれらの合金膜からなる金属層17が形成され、この金属層17の貼り合せ面にも凹凸が設けられている。この金属層17は、膜厚にしておよそ20〜50μm、スパッタリング等の方法により基板5の貼り合せ面上に形成される。このようにして形成された基板5と基板1とを接着剤を介して貼り合わせても構わない。
【0034】
この図6に示す光情報媒体の例でも、基板1、5の接着方法は前述の例と同じであり、その詳細な説明は省略する。
このようにすると、粘性を低くしたことにより接着剤の塗布ムラ等が生じたとしても、前述した金属層17によって遮断されるため、視覚的に表面に現れることがなく、ディスク外観が良好なものとなる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明の実施例について、具体的な数値をあげて説明する。
(実施例1)
外径120mmφ、内径15mmφ、厚さ0.597mm、屈折率1.59のポリカーボネート基板であって、その一方の主面にトラッキングピッチp=0.74μmのトラッキング用のグルーブ3を有する透明な第一の基板1を用意した。
この透光性基板1の前記グルーブ3を有する面側に、シアニン色素(トリメチン色素)の溶液をスピンコート成膜し記録層12を形成した。
【0036】
さらに、前記記録層12の上にAuをスパッタリングし、反射層13を形成した。この上に紫外線硬化性樹脂(大日本インキ化学工業(株)社製SD211)をスピンコートし、これに紫外線を照射して硬化させ、保護層14を形成した。
別に前記と同じ外径120mmφ、内径15mmφ、厚さ0.597mmのポリカーボネート基板5を用意した。この基板5の片面には、ピッチ0.74μm、半値幅0.3μmの溝を有する凹凸15が形成されている。
【0037】
次に、第一の基板1をそのセンターホール4の中心の回りに低速で回転しながら、基板1の保護層14側のセンターホール4の周囲に粘度150cpsに調整した紫外線硬化性樹脂系接着剤を塗布した。
次に、基板1の上に第二の基板5の凹凸15を有する貼り合わせ面を載せ、基板1、5を上から加圧した。続いて、重ね合わせた基板1、5を2500rpmの速度で回転し、接着剤を遠心力で基板1、5の外周側に展開すると共に、余剰の接着剤を振り切った。
【0038】
次に、紫外線ランプにより、第二の基板5を通して基板1、5の間の接着剤に紫外線を照射し、接着剤を硬化することにより、基板1、5を互いに固定した。これにより光情報媒体を作った。
引張試験機を使用し、貼り合わせた基板1、5の接着強度を測定した結果、150Kgf/cmであった。基板1、5を剥がし、その間の接着層11の膜厚を測定した結果、25〜35μmであり、平均30μmであった。さらに、寸法測定機器を使用し、気泡の直径を測定してその占有面積率を求めることにより、この接着層11の空隙率を測定した結果、0%であった。
【0039】
(実施例2)
前記実施例1において、粘度100cpsに調整した紫外線硬化性樹脂系接着剤を使用したことと、この接着剤を基板1、5の間に遠心力で展開するときの基板1、5の回転速度を1500rpmとしたこと以外は、前記実施例1と同様にして光情報媒体を作った。
【0040】
引張試験機を使用し、貼り合わせた基板1、5の接着強度を測定した結果、200Kgf/cmであった。基板1、5を剥がし、その間の接着層11の膜厚を測定した結果、25〜35μmであり、平均30μmであった。さらに、寸法測定機器を使用し、気泡の直径を測定してその占有面積率を求めることにより、この接着層11の空隙率を測定した結果、0%であった。
【0041】
(実施例3)
前記実施例1において、粘度220cpsに調整した紫外線硬化性樹脂系接着剤を使用したことと、この接着剤を基板1、5の間に遠心力で展開するときの基板1、5の回転速度を3500rpmとしたこと以外は、前記実施例1と同様にして光情報媒体を作った。
【0042】
引張試験機を使用し、貼り合わせた基板1、5の接着強度を測定した結果、100Kgf/cmであった。基板1、5を剥がし、その間の接着層11の膜厚を測定した結果、20〜35μmであり、平均28μmであった。さらに、寸法測定機器を使用し、気泡の直径を測定してその占有面積率を求めることにより、この接着層11の空隙率を測定した結果、0%であった。
【0043】
(比較例1)
前記実施例1において、貼り合わせ面が平坦で凹凸15が無い基板5を使用したことと、粘度500cpsに調整した紫外線硬化性樹脂系接着剤を使用したこと以外は、前記実施例1と同様にして光情報媒体を作った。
引張試験機を使用し、貼り合わせた基板1、5の接着強度を測定した結果、10Kgf/cmであった。基板1、5を剥がし、その間の接着層11の膜厚を測定した結果、15〜25μmであり、平均20μmであった。さらに、寸法測定機器を使用し、気泡の直径を測定してその占有面積率を求めることにより、この接着層11の空隙率を測定した結果、0%であった。
【0044】
(比較例2)
前記実施例1において、貼り合わせ面が平坦で凹凸15が無い基板5を使用した以外は、前記実施例1と同様にして光情報媒体を作った。
引張試験機を使用し、貼り合わせた基板1、5の接着強度を測定した結果、15Kgf/cmであり、実施例に比べて10%の接着強度であった。基板1、5を剥がし、その間の接着層11の膜厚を測定した結果、5〜15μmであり、平均8μmであった。さらに、寸法測定機器を使用し、気泡の直径を測定してその占有面積率を求めることにより、この接着層11の空隙率を測定した結果、0%であった。
【0045】
(比較例3)
前記実施例1において、前記比較例1と同じ粘度500cpsに調整した紫外線硬化性樹脂系接着剤を使用したこと以外は、前記実施例1と同様にして光情報媒体を作った。
引張試験機を使用し、貼り合わせた基板1、5の接着強度を測定した結果、120Kgf/cmであった。基板1、5を剥がし、その間の接着層11の膜厚を測定した結果、40〜60μmであり、平均50μmであった。さらに、寸法測定機器を使用し、気泡の直径を測定してその占有面積率を求めることにより、この接着層11の空隙率を測定した結果、10%であった。
【0046】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、2枚の基板1、5を貼り合わせた構造を有する光情報媒体において、粘度の比較的低い接着剤を使用し、接着層11への微細な気泡の混入等を抑え、緻密な接着層を得ることができ、薄い接着層でより大きな基板1、5の貼り合わせ強度を確保することができる。しかも、ピット形成時、気泡の存在によるジッターの悪化を抑えることができるので、ピット形状のばらつきを無くし、トラッキングエラーあるいはフォーカスエラーを防ぐことができる。また、基板1、5の間に接着剤を展開するときに、粘度の比較的低い接着剤を使用することにより、接着剤の均一で速い展開が可能となる。しかも、所定の膜厚の接着層11を得て、必要な基板1、5の貼り合わせ強度を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光情報媒体の例を示す2枚の基板を貼り合わせる前の状態の半断面分解斜視図である。
【図2】同光情報媒体を示す一部縦断面斜視図である。
【図3】同光情報媒体の要部縦断拡大側面図である。
【図4】本発明による光情報媒体の他の例を示す要部縦断側面図である。
【図5】本発明による光情報媒体のさらに他の例を示す要部縦断側面図である。
【図6】本発明による光情報媒体のさらに他の例を示す要部縦断側面図である。
【図7】前記光情報媒体の製造工程を示す部分側面図である。
【符号の説明】
1 第一の基板
5 第二の基板
11 接着層
14 第一の基板の保護層
15 第二の基板の貼り合せ面に形成された凹凸
16 第一の基板の貼り合せ面に形成された凹凸

Claims (1)

  1. 第一と第二の基板(1)、(5)を貼り合わせ、少なくとも一方の基板(1)側に信号が記録され、または信号を記録し得る領域を有する光情報媒体を製造する方法において、少なくとも一方の基板(1)、(5)の貼り合わせ面に、その径方向に凹と凸を繰り返す螺旋状の溝により形成された凹凸(15)、(16)を有する第一の基板(1)及び第二の基板(5)を用意する工程と、第一と第二の基板(1)、(5)の少なくとも一方の貼り合わせ面に粘性が80〜250cpsの接着剤を塗布する工程と、第一の基板(1)と第二の基板(5)の貼り合わせ面を重ね合わせる工程と、重ね合わせた第一と第二の基板(1)、(5)を回転することにより、第一の基板(1)と第二の基板(5)の貼り合わせ面の間の接着剤をそれら貼り合わせ面に遠心力で展開する工程と、展開した接着剤を硬化し、膜厚が10〜50μmの接着層(11)を形成する工程とを有することを特徴とする光情報媒体の製造方法。
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