JP3607078B2 - エンジンの過給圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ターボチャージャ等の過給機を具備するエンジンの過給圧を制御する過給圧制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ターボチャージャ付エンジンでは、ターボチャージャのタービン側に、排気の一部を逃がすウエストゲート弁を設け、ウエストゲート弁の開度を電子制御して過給圧を制御している。
【0003】
過給圧の制御方式としては、運転状態に応じて設定される目標過給圧と実過給圧との偏差から算定される目標制御量に基づく制御を行うフィードバック方式が一般的である。然し、フィードバック制御では、過給圧の上昇過渡期に当初過給圧の上昇が遅れて途中から急激に上昇した場合、過給圧の上昇遅れ期間で追いかけ制御し過ぎてしまい、過給圧が目標過給圧に対し大きくオーバーシュートしてノッキングを生じ易くなる。
【0004】
かかる不具合を解消するため、従来、特開平2−176117号公報により、過給圧の制御方式として、上記フィードバック制御と、エンジンの運転状態に応じて設定される基本制御量に基づくオープンループ制御とを併用し、エンジン負荷の増加等で過給圧の上昇が必要になったとき、過給圧の上昇過渡期はオープンループ制御を実行し、過給圧が目標過給圧に上昇したところでフィードバック制御を実行するようにしたものも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、実過給圧が目標過給圧に上昇するまでオープンループ制御が実行され、過給圧の上昇過渡期におけるフィードバック方式での追いかけ制御のし過ぎによるオーバーシュートが防止される。然し、オープンループ制御の実行中にエンジン負荷の急増等で基本制御量が急増すると、過給圧が急上昇して目標過給圧に対し大きくオーバーシュートしてしまう。
【0006】
この場合、基本制御量の上限値を定め、実際の制御量を上限値以下に制限することも考えられるが、上限値を低く設定すると過給圧の上昇が遅れて加速性が損われ、上限値を高く設定するとオーバーシュートを生じ易くなり、オーバーシュートの防止と加速性との両立が困難になる。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、加速性を損うことなくオーバーシュートを防止できるようにした過給圧制御装置を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、過給機付エンジンの過給圧を、エンジンの運転状態に応じて設定される基本制御量に基づくオープンループ制御と、エンジンの運転状態に応じて設定される目標過給圧と実過給圧との偏差から算定される目標制御量に基づくフィードバック制御とによって制御するエンジンの過給圧制御装置であって、実過給圧が目標過給圧に上昇するまでオープンループ制御を実行するものにおいて、オープンループ制御の実行時に前記基本制御量と前記目標制御量とを比較する第1比較手段と、該第1比較手段により基本制御量が目標制御量より大きいと判別されたときに、過給圧の制御に用いる制御量を基本制御量から目標制御量に置換する第1置換手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、オープンループ制御の実行中に基本制御量が急増して目標制御量より大きくなると、実際の制御量が基本制御量から目標制御量に置換され、制御方式が実質的にフィードバック制御に移行する。従って、基本制御量が急増したときは、実過給圧が目標過給圧に上昇する前にフィードバック制御が実行され、過不足のない過給圧が得られ、オーバーシュートが防止されると共に加速性も確保される。
【0010】
ところで、フィードバック制御の開始後は、フィードバック制御とオープンループ制御との切換ハンチングを防止するため、一般に、実過給圧が目標過給圧よりも所定のヒステリシス量分だけ低く設定した下限目標過給圧を下回るまでフィードバック制御を継続しているが、フィードバック制御中に、実過給圧の一時的な減少で実過給圧が下限目標過給圧を下回り、オープンループ制御に移行してしまうことがある。この場合、フィードバック制御の開始後、エンジン負荷を軽減する操作が行われない限りフィードバック制御を継続するフィードバック継続手段を備えておけば、実過給圧の一時的な減少によってもフィードバック制御が継続されて、安定した過給圧の制御が行われる。一方、これでは、フィードバック制御中に、エンジン負荷の急増等で目標過給圧が実過給圧をかなり上回ってもフィードバック制御が続行される。ここで、目標制御量は実過給圧が目標過給圧に段階的に近付くように設定されるから、目標過給圧が急増した場合、実過給圧が目標過給圧に到達するまでに時間がかかる。この場合、フィードバック制御の実行中に、目標過給圧が実過給圧よりも所定値以上大きくなった時、前記基本制御量と前記目標制御量とを比較する第2比較手段と、該第2比較手段により基本制御量が目標制御量よりも大きいと判定されたときに、過給圧の制御に用いる制御量を目標制御量から基本制御量に置換する第2置換手段と、を備えておけば、目標過給圧の急増時には、目標制御量と基本制御量のうち大きい方が実際の制御量として選択されることになり、実過給圧が目標過給圧に速やかに到達し、加速性能が向上する。ここで、前記所定値は、実過給圧を目標過給圧に上昇させるのにフィードバック制御だけでは加速性に悪影響を及ぼすような応答遅れを生ずる目標過給圧と実過給圧との偏差の下限値に合わせて設定される。
【0011】
尚、後記する実施形態において、上記第1比較手段に相当するのは図7のS12−19のステップであり、上記第1置換手段に相当するのはS12−19のステップからS12−17のステップに至る処理である。また、上記フィードバック継続手段に相当するのは図6のS11−14のステップからS11−10のステップに至る処理であり、上記第2比較手段に相当するのは図7のS12−18のステップであり、上記第2置換手段に相当するのはS12−18のステップからS12−21のステップに至る処理である。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は過給機たるターボチャージャ1付きのエンジンを示しており、エンジン本体2の吸気ポート2aに連なる吸気通路3にターボチャージャ1のコンプレッサ1aを介設すると共に、エンジン本体2の排気ポート2bに連なる排気通路4にターボチャージャ1のタービン1bを介設している。尚、吸気通路3のコンプレッサ1a上流側にはエアクリーナ5が設けられ、コンプレッサ1a下流側にはインタークーラ6とスロットルバルブ7と燃料噴射弁8とが設けられている。
【0013】
タービン1bには排気の一部を逃がすウエストゲート弁1cが設けられており、ウエストゲート弁1cの開度に応じてコンプレッサ1a下流側の吸気通路部分の過給圧が変化する。ウエストゲート弁1cは内部にダイヤフラム9aを有するアクチュエータ9に連結され、アクチュエータ9内のばね9bで閉じ側に付勢されている。そして、ウエストゲート弁1cを開き側に押圧するアクチュエータ9内の圧力室9cをオリフィス10a付きの連通路10を介してコンプレッサ1a下流側の吸気通路部分に連通させると共に、連通路10を電磁弁11を介設したリーク通路12を介してコンプレッサ1a上流側の吸気通路部分に連通させ、圧力室9cに入力される過給圧を電磁弁11を介してリークして圧力室9cの内圧を制御し、ウエストゲート弁1cの開度を制御し得るようにしている。
【0014】
電磁弁11は電子制御回路(以下ECUと記す)13によりデューティ制御されるようになっており、電磁弁11の駆動信号のデューティ比が大きくなる程電磁弁11の開度が増して圧力室9cの内圧が低下し、ウエストゲート弁1cの開度が減少して過給圧が高くなる。
【0015】
ECU13には、エンジンの回転数NEを検出するセンサ14と、コンプレッサ1a下流側の吸気通路部分の過給圧PBAを検出するセンサ15と、スロットル開度THを検出するセンサ16と、エンジン冷却水の水温TWを検出するセンサ17と、吸気温TAを検出するセンサ18と、ブレーキペダルの踏込みを検出するブレーキスイッチ19とからの信号が入力されており、これら信号に基づいて制御量たる駆動信号の出力デューティ比WCMDを演算する。尚、本実施形態ではPBAセンサ15をスロットルバルブ7の下流側に設けているが、上流側に設けても良い。
【0016】
ECU13で行う処理の詳細は図2に示す通りであり、先ず、S1のステップでエンジンが停止中か否かを判別し、エンジン停止中であればS2のステップに進んで出力デューティ比を0に設定し、即ち、駆動信号の出力を停止し、1回の演算処理を終了する。エンジン停止中でなければS3のステップでエンジンが始動中か否かを判別し、始動中でなければS4のステップで車載機器の故障によるフェールセーフ中か否かを判別する。始動中やフェールセーフ中であれば、S5のステップでフィードバック判定フラグFTBFBを0にリセットした後、S6のステップでWCMDを所定値WCMDOに設定し、1回の処理を終了する。尚、WCMDOは、電磁弁11が実質的に閉弁状態に維持されるデューティ比の上限値に設定されており、デューティ比がWCMDOより僅かでも大きくなると電磁弁11が開き始める。
【0017】
S4のステップでフェールセーフ中でないと判定されると、S7のステップで後記詳述する基本制御量たる基本デューティ比WCMDBSの算出処理を実行した後、S8のステップでアクセル・ブレーキ同時踏み判定フラグFATSAが1にセットされているか否かを判別する。FATSAは、スロットル開度THとブレーキスイッチ19とに基づいてアクセルペダルとブレーキペダルとが同時に踏み込まれていると判断したときに1にセットされるフラグであり、FATSA≠1であればS9のステップに進み、過回転によるフューエルカット時に1にセットされるフューエルカット判定フラグFNHFCTCが1にセットされているか否かを判別する。FATSA=1やFNHFCTC=1であれば、始動中やフェールセーフ中と同様にS5以下のステップに進み、WCMDはWCMDOに設定され、これらの状態での過給によるエンジンの無用の出力アップが防止される。
【0018】
S9のステップでFNHFCTC≠1と判定されると、S10のステップで後記詳述する目標過給圧POBJの算出処理を実行すると共に、S11のステップで後記詳述するフィードバック判定処理を実行し、次にS12のステップで後記詳述する出力デューティ比WCMDの算出処理を実行し、最後にS13のステップに進み、WCMDが所定の上限値以上や所定の下限値以下のときにWCMDをこれら上限値や下限値に置き換えるリミット処理を実行し、1回の処理を終了する。
【0019】
上記基本デューティ比WCMDBSは、エンジンの各回転域においてエンジン負荷の増減に応じて過給圧が増減されるように設定されるもので、エンジン回転数NEとスロットル開度THとに応じたWCMDBSの値がWCMDBSマップとしてECU13に格納されている。上記S7のステップにおけるWCMDBSの算出処理の詳細は図3に示す通りであり、先ず、S7−1のステップにおいて、後記する如く更新されるスロットル開度の値THWBSと今回検出されたスロットル開度THとの偏差の絶対値が所定値DTHWBS(例えば3゜)より大きいか否かを判別し、大きければS7−2のステップでTHWBSをTHに更新し、小さければTHWBSを更新せずにS7−3のステップに進み、今回検出されたエンジン回転数NEとTHWBSとに応じた基本デューティ比WCMDBSをWCMDBSマップから検索する。これによれば、スロットル開度の変化が僅かな場合にはWCMDBSが変化せず、安定走行が行なえ、スロットル開度が急に変化した場合にはその変化に応じてWCMDBSが変化し、加速性能及び減速性能が向上する。
【0020】
上記S10のステップにおけるPOBJの算出処理の詳細は図4に示す通りであり、先ず、S10−1のステップで後記詳述する基本目標過給圧POBJMの算出処理を実行し、次にS10−2のステップでフィードバック判定フラグFTBFBが1にセットされているか否かを判別し、FTBFB≠1であれば、S10−3のステップで目標過給圧POBJをPOBJMに更新し、1回の処理を終了する。FTBFB=1であれば、S10−4のステップに進んで前回算出されたPOBJが今回算出されたPOBJMと等しいか否かを判別し、POBJ≠POBJMであれば、S10−5のステップでPOBJとPOBJMとを比較し、POBJ<POBJMであれば、S10−6のステップでPOBJをPOBJMに更新すると共に、S10−7のステップでECU13に内蔵する第1の減算式タイマの残り時間tm1を所定時間tmA(例えば0.2秒)にセットし、1回の処理を終了する。一方、POBJ>POBJMであれば、S10−8のステップでtm1が0になったか否かを判別し、tm1≠0であればそのまま1回の処理を終了し、tm1=0になったときS10−6以下のステップに進み、POBJをPOBJMに更新すると共にtm1を所定時間tmAにセットする。また、S10−4のステップでPOBJ=POBJMと判定されたときは、POBJを更新せずにS10−7のステップに進み、tm1を所定時間tmAにセットする。かくて、POBJ>POBJMになっても所定時間tmAが経過するまではPOBJが更新されないためハンチングが防止され、また、POBJ<POBJMになったときはPOBJが直ちに更新されるためドライバビリティが向上する。
【0021】
上記S10−1のステップにおけるPOBJMの算出処理の詳細は図5(A)に示す通りである。POBJMは、エンジンの各回転域でターボチャージャの最適能力を引き出し得るようエンジン回転数NEに応じて図5(B)に示す如く設定される過給圧PNGRHと、吸気充填効率とノッキング回避とを最適に両立し得るようエンジン回転数NEと吸気温TAとに応じて設定される過給圧PLMTTAと、エンジンやターボチャージャの耐久性を良好に保持し得るよう冷却水温TWに応じて設定される過給圧PLMTTWとを用いて算出しており、先ず、S10−1のステップでPNGRH,PLMTTA、PLMTTWを検索し、次に、S10−1−2のステップでPOBJMをPNGRHに設定する。次に、S10−1−3のステップでPLMTTAとPLMTTWとを比較し、PLMTTA≧PLMTTWであればS10−1−4のステップで過給圧のリミット値PLMTをPLMTTWに設定し、PLMTTA<PLMTTWであればS10−1−5でPLMTをPLMTTAに設定する。次に、S10−1−6のステップでPOBJM、即ち、S10−1−2のステップでPOBJMとして設定されたPNGRHとPLMTとを比較し、POBJM>PLMTであれば、S10−1−7のステップでPOBJMをPLMTに設定し直し、POBJM≦PLMTであればPOBJMを設定し直さずに処理を終了する。かくて、POBJMはPNGRHとPLMTTAとPLMTTWとのうちの最小圧に設定され、このPOBJMが最終的に目標過給圧POBJに設定されるため、最適能力の引き出し、吸気充填効率とノッキング回避との両立、耐久性の確保という各課題を解決可能な必要最大の過給圧にPOBJを簡単、且つ、正確に設定できる。
【0022】
上記S11のステップにおけるフィードバック判定処理の詳細は図6に示す通りであり、先ず、S11−1のステップで目標過給圧POBJから所定のヒステリシス量DFBPBLを減算した値を下限目標過給圧POBJLとして設定する。次に、S11−2のステップに進み、エンジンの各回転域において過給圧がインターセプト(非過給状態から過給状態への移行点)を充分越え、且つ、過給圧の安定したフィードバック制御が可能か否かをスロットル開度THに基づいて判別するためのエンジン回転数NEに応じた判別基準値THTBFBを検索する。次に、S11−3のステップに進み、WCMDBSの算出処理で設定された上記THWBSとTHTBFBとを比較し、THWBS≧THTBFBであれば、S11−4のステップで今回のスロットル開度と前回のスロットル開度との偏差DTHが所定値DTHTBFB以下か否かを判別する。DTHTBFBは運転者の加速の意図をスロットル開度の変化に基づいて判断するための値であり、DTH≦DTHTBFBのとき、即ち、運転者が加速を意図していないときは、S11−5のステップでECU13に内蔵する第2の減算式タイマの残り時間tm2が0になったか否かを判別し、tm2=0になるまではそのまま処理を終了し、tm2=0になったときにS11−7のステップに進む。また、DTH>DTHTBFBのとき、即ち、運転者が加速を意図しているときは、S11−6のステップでtm2を0にリセットしてS11−7のステップに進む。
【0023】
S11−7のステップではフィードバック判定フラグFTBFBが1にセットされているか否かを判別し、FTBFB=0であれば、S11−8のステップで実過給圧PBAが目標過給圧POBJ以上であるか否をを判別し、PBA≧POBJLであれば、S11−9のステップでtm2を所定時間tmB(例えば1秒)にセットすると共に、S11−10のステップでFTBFBを1にセットし、1回の判別処理を終了する。PBA<POBJであれば、S11−11のステップで実過給圧PBAが下限目標過給圧POBJL以上であるか否かを判別し、PBA<POBJLであれば、S11−12のステップでECU13に内蔵する第3の減算式タイマの残り時間tm3を所定時間tmC(例えば0.5秒)にセットし、PBA≧POBJLであれば、S11−13のステップでtm3が0になったか否かを判別し、tm3=0になったときにS11−9以下のステップに進む。次回はS11−7のステップでFTBFB=1と判定され、この場合はS11−14のステップに進み、THWBSの今回の値THWBS(n)と前回の値THWBS(n−1)とを比較する。そして、THWBS(n)<THWBS(n−1)のとき、即ち、スロットル開度(エンジン負荷)を減少するアクセル戻し操作が行われているときにS11−15のステップに進み、PBAがPOBJL以上か否かを判別し、PBA≧POBJLであればS11−10のステップに進んでFTBFB=1に維持し、PBA<POBJLになったとき、S11−16のステップでtm2をtmBにセットすると共に、S11−17のステップでFTBFBを0にリセットする。また、S11−3のステップでTHWBS<THTBFBと判定されたときや、S11−11のステップでPBA<POBJLと判定されたときや、PBA≧POBJLであってもS11−13のステップでtm3≠0と判定されたときはS11−17のステップに進みFTBFBを0にリセットする。一方、S11−14のステップでTHWBS(n)≧THWBS(n−1)と判定されたときは、S11−10のステップに進んでFTBFB=1に維持する。
【0024】
かくて、THWBS≧THTBFBであって、且つ、PBA≧POBJのとき、または、PBAが所定時間tmC継続してPOBJL以上のときにFTBFBが1にセットされ、その後はTHWBS≧THTBFBである限り、アクセル戻し操作(エンジン負荷の軽減操作)が行われ、且つ、PBA<POBJLになるまでFTBFB=1に維持され、PBAの微小変化によるFTBFBの切換ハンチングが防止される。更に、アクセル戻し操作が行われない限り、実過給圧PBAの一時的な減少でPBA<POBJLになってもFTBFB=1に維持され、フィードバック制御が続行されて、安定した過給圧の制御が行われる。
【0025】
また、DTH≦DTHTBFBとなる非加速時は、PBA≧POBJ、または、所定時間tmC継続してPBA≧POBJLになってFTBFBが0から1に切換えられ、或いは、PBA<POBJLになってFTBFBが1から0に切換えられてから所定時間tmBが経過するまでFTBFBの切換えが阻止され、一方、DTH>DTHTBFBとなる加速時は直ちにFTBTBの切換えが可能となり、ハンチング防止と加速性向上との両立が図られる。
【0026】
上記S12のステップにおけるWCMDの算出処理の詳細は図7に示す通りであり、先ず、S12−1のステップで目標過給圧POBJと実過給圧PBAとの今回の偏差DPBTB(n)を演算し、次に、S12−2のステップでフィードバック判定フラグFTBFBが1にセットされているか否かを判別し、FTBFB=1であればS12−3のステップに進み、前回のFTBFBが0であったか否かを判別する。前回のFTBFBが0であった場合、即ち、FTBFBが今回0から1に切換えられた場合は、S12−4のステップで前回の偏差DPBTB(n−1)を今回の偏差DPBTB(n)に置き換えてS12−5のステップに進む。また、今回のFTBFBが0である場合や、今回及び前回のFTBFBが共に1である場合はそのままS12−5のステップに進む。
【0027】
S12−5のステップでは、エンジン回転数NEに応じて設定されるフィードバック補正係数KTBFBNEを検索し、次に、S12−6のステップでDPBTB(n)が0以下か否かを判別し、DPBTB(n)≦0、即ち、PBA≧POBJであればS12−7のステップに進み、DPBTB(n)>0、即ち、PBA<POBJであればS12−8のステップに進み、これらステップにおいて、PID式フィードバック制御のI項(積分項)、P項(比例項)、D項(微分項)の各項の係数KWI,KWP、KWDを基準係数に上記補正係数KTBFBNEを乗算して算出する。尚、PBA≧POBJの場合の各項の基準係数KWIM,KWPM,KWDMはPBA<POBJの場合の各項の基準係数KWIP,KWPP,KWDPより大きく設定されている。
【0028】
係数を算出すると、次に、S12−9のステップに進み、DPBTB(n)とKWIとの乗算値を前回のI項値WI(n−1)に加算して今回のI項値WI(n)を求めると共に、DPBTB(n)にKWPを乗算してP項値WPを求め、更に、DPBTB(n)とDPBTB(n−1)との偏差にKWDを乗算してD項値WDを求める。次に、S12−10乃至S12−13のステップにおいて、WI(n)を所定の上下限値WILMTH,WILMTLの間に収めるリミット処理を行なった後、S12−14のステップでWI(n),WP,WDを加算して目標制御量たる目標デューティ比WCMDFBを算出する。
【0029】
次に、S12−15のステップでフィードバック判定フラグFTBFBが1にセットされているか否かを判別し、FTBFB=1であれば、S12−16のステップでDPBTB(n)が所定値DPBTBFB以上であるか否かを判別し、DPBTB(n)<DPBTBFB、即ち、POBJ<PBA+DPBTBFBのときは、S12−17のステップで出力デューティ比WCMDを目標デューティ比WCMDFBとする。また、DPBTB(n)≧DPBTBFB、即ち、POBJ≧PBA+DPBTBFBのときは、S12−18のステップで基本デューティ比WCMDBSと目標デューティ比WCMDFBとを比較し、WCMDBS≦WCMDFBであれば、上記と同様にS12−17のステップに進む。かくて、FTBFB=1のときは、原則として、目標過給圧POBJと実過給圧PBAとの偏差から求められる目標デューティ比WCNDFBに基づくフィードバック制御が行われる。
【0030】
FTBFB=0であれば、S12−19のステップで基本デューティ比WCMDBSと目標デューティ比WCMDFBとを比較し、WCMDBS≦WCMDFBであれば、S12−20のステップでWI(n)をWCMDBSに置き換えた後、S12−21のステップで出力デューティ比WCMDをWCMDBSとする。かくて、FTBFB=0のときは、原則として、基本デューティ比WCMDBSに基づくオープンループ制御が行われる。
【0031】
また、FTBFB=0であってもWCMDBS>WCMDFBの場合はS12−17のステップに進む。そのため出力デューティ比WCMDが基本デューティ比WCMDBSから目標デューティ比WCMDFBに置換される。一方、FTBFB=1であっても、DPBTB(n)≧DPBTBFBで、且つ、WCMDBS>WCMDFBであれば、S12−20のステップを経てS12−21のステップに進み、出力デューティ比WCMDが目標デューティ比WCMDFBから基本デューティ比WCMDBSに置換される。そして、S12−17やS12−21のステップでWCMDをWCMDFBやWCMDBSに設定した後は、S12−9のステップにおける次回の演算に備えるため、S12−22のステップで今回の偏差DPBTB(n)を前回の偏差DPBTB(n−1)として記憶させると共に、S12−23のステップで今回のI項値WI(n)を前回のI項値WI(n−1)として記憶させ、1回の処理を終了する。
【0032】
以上の処理によれば、エンジン負荷の増加等で過給圧PBAの上昇が必要になったとき、過給圧の上昇過渡期は基本デューティ比WCMDBSに基づくオープンループ制御で過給圧PBAが上昇され、過給圧PBAが目標過給圧POBJに達したところで目標デューティ比WCMDFBに基づくフィードバック制御が行われ、過給圧PBAが目標過給圧POBJに安定する。ところで、出力デューティ比WCMDを基本デューティ比WCMDBSとするオープンループ制御の実行中にスロットル開度THの急増等で基本デューティ比WCMDBSが急増すると過給圧PBAが急上昇し、PBA≧POBJになったところでフィードバック制御に移行したのでは、過給圧PBAが目標過給圧POBJに対し大きくオーバーシュートしてしまう。然し、本実施形態では、基本デューティ比WCMDBSが急増すると、前回の急増前のWCMDBSを前回のI項値WI(n−1)としてPID方式で算出する目標デューティ比WCMDFBよりも基本デューティ比WCMDBSが大きくなり、出力デューティ比WCMDが目標デューティ比WCMDFBに置換される。この場合、次回にS12−9のステップの演算で用いるWI(n−1)は、今回S12−9のステップで急増前のWCMDBSをWI(n−1)として演算したWI(n)となるから、基本デューティ比WCMDBSが急増状態に維持されている限り次回もWCMDBS>WCMDFBになってWCMD=WCMDFBになり、実質的にフィードバック制御に移行する。このように、基本デューティ比が急増したときはPBA≧POBJになる前にフィードバック制御に移行することになり、過不足ない過給圧PBAが得られ、加速性を損うことなくオーバーシュートを防止できる。
【0033】
また、FTBFB=1となるフィードバック制御の実行中に、エンジン負荷の急増等による目標過給圧POBJの増加でこれが実過給圧PBAよりも所定値DPBTBFB以上大きくなると、目標デューティ比WCMDFBと基本デューティ比WCMDBSとのうち大きい方が出力デューティ比WCMDとして選択される。かくて、実過給圧PBAが目標過給圧POBJに速やかに上昇され、加速性が向上する。ここで、DPBTBFBは、実過給圧PBAを目標過給圧POBJに上昇させるのにフィードバック制御だけでは加速性に悪影響を及ぼすような応答遅れを生ずるPOBJとPBAの偏差の下限値に合わせて設定されており、例えば、100mmHg程度に設定される。
【0034】
尚、上記実施形態では、S12−14のステップで目標デューティ比WCMDFBを算出し、S12−17のステップで出力デューティ比WCMDをWCMDFBに設定しているが、S12−14のステップでWCMDをWI(n)とWPとWDとの合計値、即ち、目標デューティ比に設定し、S12−18やS12−19のステップでこのWCMDとWCMDBSとを比較し、S12−18のステップでWCMDBS≦WCMDと判定されたときやS12−19のステップでWCMDBS>WCMDと判定されたときにはWCMDをそのままにし、S12−18のステップでWCMDBS>WCMDと判定されたときやS12−19のステップでWCMDBS≦WCMDと判定されたときにS12−21のステップでWCMDをWCMDBSに設定し直すようにしても良い。この場合はS12−17のステップは不要となり、S12−19のステップがオープンループ制御中の基本デューティ比と目標デューティ比の比較と、基本デューティ比から目標デューティ比への置換とを行うステップとなる。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、オープンループ制御の実行中に基本制御量が急増すると、実過給圧が目標過給圧に上昇する前にフィードバック制御に移行して、基本制御量の急増によるオーバーシュートが防止されると共に、過給圧の上昇が過度に抑制されることもないため加速性が損われることも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一例の全体構成を示す図
【図2】過給圧の制御プロブラムを示すフローチャート
【図3】基本デューティ比の算出処理を示すフローチャート
【図4】目標過給圧の算出処理を示すフローチャート
【図5】(A)基準目標過給圧の算出処理を示すフローチャート、(B)PNGRHテーブルを示す図
【図6】フィードバック判定処理を示すフローチャート
【図7】出力デューティ比の算出処理を示すフローチャート
【符号の説明】
1 ターボチャージャ 1c ウエストゲート弁
11 過給圧制御用電磁弁 13 ECU
PBA 実過給圧 POBJ 目標過給圧
WCMD 出力デューティ比(制御量)
WCMDBS 基本デューティ比(基本制御量)
WCMDFB 目標デューティ比(目標制御量)
Claims (2)
- 過給機付エンジンの過給圧を、エンジンの運転状態に応じて設定される基本制御量に基づくオープンループ制御と、エンジンの運転状態に応じて設定される目標過給圧と実過給圧との偏差から算定される目標制御量に基づくフィードバック制御とによって制御するエンジンの過給圧制御装置であって、
実過給圧が目標過給圧に上昇するまでオープンループ制御を実行するものにおいて、
オープンループ制御の実行時に前記基本制御量と前記目標制御量とを比較する第1比較手段と、
該第1比較手段により基本制御量が目標制御量より大きいと判定されたときに、過給圧の制御に用いる制御量を基本制御量から目標制御量に置換する第1置換手段と、
を備えることを特徴とするエンジンの過給圧制御装置。 - フィードバック制御の開始後、エンジン負荷を軽減する操作が行われない限りフィードバック制御を継続するフィードバック継続手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの過給圧制御装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15477898A JP3607078B2 (ja) | 1998-01-07 | 1998-06-03 | エンジンの過給圧制御装置 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP10-1377 | 1998-01-07 | ||
| JP137798 | 1998-01-07 | ||
| JP15477898A JP3607078B2 (ja) | 1998-01-07 | 1998-06-03 | エンジンの過給圧制御装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH11257081A JPH11257081A (ja) | 1999-09-21 |
| JP3607078B2 true JP3607078B2 (ja) | 2005-01-05 |
Family
ID=26334586
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15477898A Expired - Lifetime JP3607078B2 (ja) | 1998-01-07 | 1998-06-03 | エンジンの過給圧制御装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3607078B2 (ja) |
-
1998
- 1998-06-03 JP JP15477898A patent/JP3607078B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH11257081A (ja) | 1999-09-21 |
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