JP3606992B2 - 薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置の再生ヘッドや記録ヘッド等として使用される薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハードディスク用の薄膜磁気へッド等においては、磁気記録媒体から浮上させて記録再生を行ってきたが、記録密度の向上に伴って浮上高を低下させ、より媒体に近いところを滑空させて情報を読み取るようになってきている。しかし、 1インチ平方あたり 10Gビットを超えるような情報量の記録密度になってくると、もはや磁気ヘッドの浮上によるスペーシングロスが大きくなりすぎることから、磁気へッドの十分なS/N比がとれなくなったり、また極低浮上による磁気へッドと記録媒体との接触による破損等の問題が無視できなくなる。そのため、磁気へッドと記録媒体とを逆に積極的に接触させて、記録再生を行うことが試みられいる。
【0003】
一方、ある種の磁性薄膜や磁性多層薄膜等の電気抵抗が外部磁界によって変化するという、磁気抵抗効果(以下、MRと記す)を利用した磁気ヘッド(MRヘッド)が、高記録密度システムにおける再生ヘッドとして注目されている。このようなMRヘッドを用いた再生ヘッドにおいても、上述したような接触方式が高記録密度対応の技術として期待されているが、MR素子を直接媒体対向面に配置した構造ではMR素子が磨耗するおそれが強く、奥行き(デプス)方向の幅が変動してヘッド出力が変動するだけでなく、MR膜自体が磨耗して消滅する可能性がある。
【0004】
そこで、ヘッド内部に配置されたMR素子に、磁気ギャップを介して対向配置した一対の磁気コアからなる磁気ヨークにより信号磁界を導く、いわゆるヨーク型のMRヘッドの使用が検討されている。従来のヨーク型MRヘッドとしては、例えば基板面に対して垂直方向に形成された磁気ギャップを介して一対の磁気コアを対向配置し、これらの下側(または上側)にMR膜をストライプ方向が磁気ギャップをまたぐように形成し、このMR膜のストライプ方向にセンス電流を流す構造が提案されている。
【0005】
上述したような従来のヨーク型MRヘッドを薄膜工程で作製する場合には、まずMR膜とこのMR膜にセンス電流を供給する一対のリードを形成する。次に、これらMR膜およびリード上に第1の磁気コアを形成し、これをパターニングした後に、その上に再生磁気ギャップ膜を形成する。続けて第2の磁気コアを形成し、これら磁気コアの上面全体を平坦化することによって得ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の薄膜工程を適用して作製したヨーク型MRヘッドにおいては、再生磁気ギャップの部分で磁気コアにずれが生じ、この磁気コアのずれが再生フリンジの発生原因となるという問題があった。
【0007】
すなわち、従来のヨーク型MRヘッドを媒体対向面から見た場合、図8に示すように、第1の磁気コア1と第2の磁気コア2の上面側は、基板面に対して垂直方向に形成された磁気ギャップ膜3を挟んで平坦化されているため、特に問題とはならないものの、下面側はその作製工程に起因して第2の磁気コア2の下側にのみ磁気ギャップ膜3が存在することになるため、磁気ギャップ膜3の厚さ分だけ第1の磁気コア1と第2の磁気コア2との位置がずれることになる。このずれが再生フリンジの発生原因となっている。
【0008】
上述したような問題はヨーク型MRヘッドに限らず、通常の磁気記録再生に用いられる薄膜磁気ヘッド、すなわち基板面に対して垂直方向に形成された磁気ギャップ膜を介して第1および第2の磁気コア対向配置した薄膜磁気ヘッドにおいても問題となっており、磁気ギャップ膜の膜厚分の磁気コアのずれが記録・再生フリンジの発生原因となっている。
【0009】
薄膜磁気ヘッドにおいては、磁気コアの厚さがトラック幅を決定することから、高記録密度化への対応を図るために狭トラック化した場合に、特に上記したような記録・再生フリンジが問題となる。
【0010】
このようなことから、トラック幅を決定する一対の磁気コアを有する薄膜磁気ヘッドにおいては、磁気ギャップ部分における磁気ギャップ膜の膜厚分に相当する磁気コアのずれを極力なくすことによって、記録・再生フリンジの発生を抑制することが課題とされている。
【0011】
本発明は、このような課題に対処するためになされたもので、磁気コアのずれを低減ないしは防止することによって、記録・再生フリンジの発生を抑制することを可能にした薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法は、基板面に対して略垂直方向に形成された所定のギャップ長を有する磁気ギャップを介して対向配置された第1および第2の磁気コアを有する薄膜磁気ヘッドを製造するにあたり、基板上に前記第1の磁気コアに対応する形状を有する第1のレジストを形成し、この第1のレジスト上を含めて前記基板上に、前記ギャップ長未満の膜厚を有する第1の非磁性膜と前記第1の磁気コアとなる第1の軟磁性膜とを順に積層形成する工程と、前記第1のレジストを除去した後、前記第2の磁気コアに対応する形状を有する第2のレジストを形成し、この第2のレジスト上を含めて前記基板上に、前記第1の非磁性膜との合計膜厚が前記所定のギャップ長となる膜厚を有する第2の非磁性膜と前記第2の磁気コアとなる第2の軟磁性膜とを順に積層形成する工程と、前記第2のレジストを除去した後、前記第1の軟磁性膜および第2の軟磁性膜の表面を平坦化する工程とを有することを特徴としている。
【0014】
本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法においては、いわゆるリフトオフプロセスを使用しているため、所定のギャップ長を 2つに分割した膜厚を有する第1および第2の磁気ギャップ膜となる非磁性膜によって、基板面に対して略垂直方向に形成された所定のギャップ長を有する磁気ギャップを形成することができる。そして、このような磁気ギャップ形成工程を経ることによって、第1および第2の磁気コアの下側に上記した膜厚を有する磁気ギャップ膜をそれぞれ存在させることができ、従って磁気ギャップ部分における磁気コアのずれを低減することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
図1および図2は、本発明の薄膜磁気ヘッドをヨーク型MRヘッドに適用した一実施形態を示す図であり、図1はこの実施形態のヨーク型MRヘッドの要部構成を示す斜視図、図2はそれを媒体対向面から見た断面図である。ただし、図2は磁気コアおよび磁気ギャップ膜のみを図示したものである。これらの図に示すヨーク型MRヘッド11において、Al2 O3 ・TiC混合基板(以下、アルチック基板と記す)等からなる基板12上には、厚さ10μm 程度のAl2 O3 膜等からなる絶縁層13が下地層として設けられている。
【0018】
絶縁層13上には、MR膜(磁気抵抗効果膜)14が媒体対向面Sから所定距離後退した位置で、そのストライプ方向が媒体対向面Sと略平行となるように形成されている。MR膜14の奥行き方向の配置位置は、記録媒体との接触によるショートや磨耗等を考慮した上で、媒体対向面Sに比較的近い位置とすることが好ましい。また、例えばCuからなる一対のリード15は、MR膜14のストライプ方向にセンス電流を供給するように、MR膜4のストライプ方向両端に電気的に接続されて形成されている。
【0019】
ただし、MR膜14およびリード15の形状はこれら限られるものではなく、例えばMR膜をストライプ方向が媒体対向面と略直交するように形成すると共に、このMR膜のストライプ方向にセンス電流を供給するようにリードを形成する等、種々の形状を適用することができる。また、MR膜14およびリード15は、後述する磁気コア17、19上に形成してもよい。
【0020】
MR膜14としては、例えば電流の方向と磁性層の磁化モーメントの成す角度に依存して電気抵抗が変化するNi80Fe20等からなる異方性磁気抵抗効果膜、磁性膜と非磁性膜との積層構造を有し、各磁性層の磁化の成す角度に依存して電気抵抗が変化する、いわゆるスピンバルブ効果を示すCo90Fe10/Cu/Co90Fe10積層膜等からなるスピンバルブ膜、あるいは巨大磁気抵抗効果を示す人工格子膜が例示される。
【0021】
上述したMR膜14およびリード15の表面は、図示を省略した厚さ50nm程度のAl2 O3 膜等からなる絶縁膜で覆われている。その上には、第1の磁気ギャップ膜16を介して形成されたL字状の第1の磁気コア17と、第2の磁気ギャップ膜18を介して形成された逆L字状の第2の磁気コア19とが形成されている。これら第1および第2の磁気コア17、19は、それらの上面が基板面と略平行な同一平面を構成するように形成されている。
【0022】
第1および第2の磁気コア17、19は磁気ヨークを構成するものであり、例えばNiFe合金、CoZrNbアモルファス合金、Fe−N合金等の軟磁性材料からなるものである。また、第1および第2の磁気コア17、19の厚さがトラック幅となるため、第1および第2の磁気コア17、19の厚さは所望のトラック幅に応じて設定される。第1および第2の磁気ギャップ膜16、18は再生磁気ギャップを構成するものであり、例えばAl2 O3 膜等の非磁性膜からなるものである。
【0023】
第1の磁気ギャップ膜16と第2の磁気ギャップ膜18は、それぞれ第1の磁気コア17と第2の磁気コア19の下面および側面に沿って形成されている。すなわち、第1および第2の磁気ギャップ膜16、18は、図2に拡大して示すように、それぞれ媒体対向面S側に基板面に対して略垂直方向に配置された部分(以下、基板垂直膜部と記す)16a、18aを有しており、これら基板垂直膜部16a、18aは当接配置されている。そして、これら第1および第2の磁気ギャップ膜16、18の基板垂直膜部16a、18aの合計膜厚によって、所定のギャップ長を有する再生磁気ギャップ20が設けられている。媒体対向面S側の第1および第2の磁気コア17、19は、上記した再生磁気ギャップ20を介して対向配置されている。
【0024】
すなわち、第1および第2の磁気ギャップ膜16、18の膜厚t1 、t2 は、それぞれ所定のギャップ長Lの略半分の厚さに設定されており、このような膜厚を有する第1および第2の磁気ギャップ膜16、18の基板垂直膜部16a、18aによって、再生磁気ギャップ20が形成されている。このため、第1の磁気コア17の下側には、ギャップ長Lの略半分の膜厚t1 を有する第1の磁気ギャップ膜16が、また同様に第2の磁気コア19の下側には、ギャップ長Lの略半分の膜厚t2 を有する第2の磁気ギャップ膜18がそれぞれ形成されている。
【0025】
再生磁気ギャップ20の後方部分、すなわちMR膜14の配置位置付近には、再生磁気ギャップ20より広いバックギャップ21が設けられており、このバックギャップ21を介して第1および第2の磁気コア17、19が対向配置されている。言い換えると、MR膜14はバックギャップ21をまたいで第1および第2の磁気コア17、19の双方と磁気的に結合するように形成されている。なお、バックギャップ21に相当する部分は、第1および第2の磁気コア17、19の作製工程で使用されたレジストで平坦化されている。
【0026】
次に、上述したヨーク型MRヘッド11の製造工程について、図3、図4および図5を参照して説明する。なお、図3はヨーク型MRヘッド11の要部製造工程を示す平面図、図4および図5はそれを媒体対向面から見た断面で示す要部工程図である。ただし、図4および図5は磁気コアおよび磁気ギャップ膜のみを図示したものであり、MR素子部は図示を省略している。これらの図に示すヨーク型MRヘッド11の製造工程は、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法をヨーク型MRヘッドの製造工程に適用した一実施形態を示すものである。
【0027】
まず、絶縁層13を有するアルチック基板12等の上に、MR膜14とこのMR膜14にセンス電流を供給する一対のリード15を形成する(図3−a)。次いで、MR膜14およびリード15の表面を、図示を省略したAl2 O3 膜等の絶縁膜で覆い、その上に第1の磁気コア17に対応させた形状を有する第1のレジスト22を形成する。ここでは、L字状の第1の磁気コア17の形成部位と、再生磁気ギャップ20の一部となる第1の磁気ギャップ膜16の基板垂直膜部分16aの形成部位とを少なくとも除いて、第1のレジスト22を形成する(図3−b)。第1のレジスト22のパターン形状は、通常のPEP工程等で形成すればよい。
【0028】
第1のレジスト22を形成した後、この第1のレジスト22上を含めて基板12上に、第1の磁気ギャップ膜16と、第1の磁気コア17となるNiFe合金膜やCoZrNbアモルファス合金膜等の第1の軟磁性膜17′とを順に積層形成する(図4−a)。このように、第1のレジスト22上を含めて第1の磁気ギャップ膜16と第1の軟磁性膜17′とを積層形成することによって、第1のレジスト22の側面に再生磁気ギャップ20の一部となる第1の磁気ギャップ膜16の基板垂直膜部分16aが得られると同時に、第1の磁気コア17の下側に第1の磁気ギャップ膜16が形成される。
【0029】
第1の磁気ギャップ膜16の膜厚は、後に形成する第2の磁気ギャップ膜18との合計膜厚が所定のギャップ長となるように設定されていればよい。すなわち、前述したように第1および第2の磁気ギャップ膜16、18の膜厚t1 、t2 をそれぞれ所定のギャップ長Lの略半分の厚さに設定することが望ましいが、合計膜厚が所定のギャップ長Lとなるように分割した膜厚t1 、t2 を第1および第2の磁気ギャップ膜16、18が有していれば、所定のギャップ長Lを有する再生磁気ギャップ20を実現した上で、第1および第2の磁気コア17、19のずれを抑制することができる。
【0030】
この後、第1のレジスト22を除去(リフトオフ)して、第1の磁気ギャップ膜16上に形成された第1の磁気コア形状を有する第1の軟磁性膜17′と、再生磁気ギャップ20の一部となる基板面に対して略垂直方向に配置された第1の磁気ギャップ膜16の基板垂直膜部分16aとを得る(図3−c、図4−b)。次に、第1の磁気コア17に対応する第1の軟磁性膜17′上を含めて、第2の磁気コア19に対応させた形状を有する第2のレジスト23を形成する。ここでは、逆L字状の第2の磁気コア19の形成部位と、再生磁気ギャップ20の一部となる第2の磁気ギャップ膜18の基板垂直膜部分18aの形成部位とを少なくとも除いて、第2のレジスト23を形成する(図3−d、図4−d)。第2のレジスト23のパターン形状は、第1のレジスト22と同様に、通常のPEP工程等で形成すればよい。
【0031】
第2のレジスト23を形成した後、この第2のレジスト23上を含めて基板12上に、第2の磁気ギャップ膜18と、第2の磁気コア19となる第2の軟磁性膜19′とを順に積層形成する(図4−d)。このように、第2のレジスト23上を含めて第2の磁気ギャップ膜18と第2の軟磁性膜19′とを積層形成することによって、基板面に対して略垂直方向に配置された第1の磁気ギャップ膜16の基板垂直膜部16aに沿って、再生磁気ギャップ20の一部となる第2の磁気ギャップ膜18の基板垂直膜部18aが得られ、同時に第2の磁気コア19の下側に第2の磁気ギャップ膜18が形成される。第2の磁気ギャップ膜18の膜厚t2 は、上述したように第1の磁気ギャップ膜16の膜厚t1 との合計膜厚が所定のギャップ長Lとなるように設定する。
【0032】
この後、第2のレジスト23を除去(リフトオフ)して、第2の磁気ギャップ膜18上に形成された第2の磁気コア形状を有する第2の軟磁性膜19′と、再生磁気ギャップ20の一部となる基板面に対して略垂直方向に配置された第2の磁気ギャップ膜18の基板垂直膜部分18aとを得る(図3−e、図5−a)。ここで、当接配置された第1および第2の磁気ギャップ膜16、18の基板垂直膜部16a、18aの合計膜厚によって、再生磁気ギャップ20の所定のギャップ長Lが得られる。
【0033】
ここまでの段階では、第1および第2の磁気コア17、19に対応する第1および第2の軟磁性膜17′、19′の上面には凹凸が存在しており、それを平坦化することによりヨーク型MRヘッド11を完成される。すなわち、第1および第2の軟磁性膜17′、19′上に、これらとほぼ同一のエッチング速度が得られるレジスト24を適当な厚さに塗布する(図5−b)。この後、イオンミリング等でエッチバックし、第1および第2の軟磁性膜17′、19′の上面を平坦化することによって、所望の形状および厚さを有する第1および第2の磁気コア17、19と再生磁気ギャップ20とを得る(図5−c)。このエッチバックは、第1および第2の磁気コア17、19の厚さが所定のトラック幅となるように行う。
【0034】
以上の工程により、図1および図2に示したヨーク型MRヘッド11が完成する。上述したヨーク型MRヘッド11の製造工程は、リフトオフ法を適用していると共に、第1および第2の磁気ギャップ膜16、18の合計膜厚をギャップ長Lに相当する厚さとしているため、所定のギャップ長Lを有する再生磁気ギャップ20を得た上で、第1および第2の磁気コア17、19の下側にそれぞれ所定のギャップ長Lを分割して設定した膜厚t1 、t2 を有する第1および第2の磁気ギャップ膜16、18を形成することができる。すなわち、図2に示した磁気コアおよび磁気ギャップ膜形状が得られる。
【0035】
そして、第1および第2の磁気コア17、19の下側に、それぞれ所定の膜厚t1 、t2 を有する第1および第2の磁気ギャップ膜16、18を形成することによって、再生磁気ギャップ20の部分における第1および第2の磁気コア17、19のずれを低減することができる。特に、第1および第2の磁気ギャップ膜16、18の膜厚t1 、t2 を、ギャップ長Lの略半分の厚さとすることによって、再生磁気ギャップ20の部分における第1および第2の磁気コア17、19のずれをほぼ解消することができる。このように、第1および第2の磁気コア17、19のずれを低減ないしは解消することによって、再生フリンジを大幅に低減することが可能となる。
【0036】
図6は、本発明の薄膜磁気ヘッドを磁気記録再生に使用される薄膜磁気ヘッドに適用した実施形態を示すものであり、図1に示したヨーク型MRヘッド11に記録コイルを加えたものである。同図に示す薄膜磁気ヘッド31においては、第1および第2の磁気コア17、19、第1および第2の磁気ギャップ膜16、18、磁気ギャップ20、バックギャップ21等については前述した実施形態のヨーク型MRヘッド11と同一構成とされており、第1および第2の磁気コア17、19の下側にはMR膜14とリード15が形成されている。そして、バックギャップ21側に設けられたバックコア32を介して、記録用コイル33が設けられている。
【0037】
このような薄膜磁気ヘッド31においても、第1および第2の磁気コア17、19のずれを低減ないしは解消することによって、記録・再生フリンジを大幅に低減することができる。
【0038】
上述したように、本発明の薄膜磁気ヘッドは各種の磁気ヘッドに対して適用可能であるが、MR膜を用いたヨーク型MRヘッドに対して特に効果的である。その理由は、再生時は磁束がヨークへ吸い込まれにくく、コイルまで磁束が届きにくいため、誘導型磁気ヘッドでの再生では感度不足となるためである。
【0039】
【実施例】
次に、本発明の薄膜磁気ヘッドの具体的な実施例について説明する。
【0040】
実施例1
まず、アルチック基板12上に厚さ約10μm のアルミナ絶縁層3を形成し、その上にMR膜14としてスピンバルブ膜を形成すると共に、スピンバルブ膜の長手方向の両端に厚さ 100nmのCuリード15をそれぞれ形成した。スピンバルブ膜の構成は、基板12側からTa 5nm、NiFeCr合金 4nm、CoFe合金 3nm、Cu 2.5nm、CoFe合金 3nm、IrMn合金 8nm、およびTi 5nmの順に積層した積層膜とした。
【0041】
上記したスピンバルブ膜14およびCuリード15の表面を厚さ約50nmのアルミナ絶縁膜で覆った後、第1のレジスト22を第1の磁気コア形状に対応させて形成およびパターニングした。次いで、この第1のレジスト22上を含めて、ギャップ長L(70nm)の半分の35nmの膜厚を有するアルミナ膜を第1の磁気ギャップ膜16として形成し、続いて磁気コア材料であるCoZrNb合金膜(膜厚= 0.5μm )を第1の軟磁性膜17′としてスパッタ法により成膜した。
【0042】
次に、第1のレジスト22をリフトオフした後、第2のレジスト23を第2の磁気コア形状に対応させて形成およびパターニングし、その上を含めて同様に35nmの膜厚を有するアルミナ膜を第2の磁気ギャップ膜18として形成し、続いてCoZrNb合金膜(膜厚=0.5μm )を第2の軟磁性膜19′としてスパッタ法により成膜した。
【0043】
第2のレジスト23をリフトオフした後、レジスト24を約 3μm の膜厚で塗布し、RIE(あるいはイオンミリング)でエッチバックして平坦化を行った。エッチバックは最終的にトラック幅が 0.4μm となるように実施した。
【0044】
さらに、磁気コアをレジストで平坦化し、図6に示すような記録コイル33およびバックコア32を形成した。
【0045】
このようにして、第1および第2の磁気コア17、19が上面および下面共に揃ったヨーク型MRヘッド11を得た。このヨーク型MRヘッド11を用いたディスクとの接触走行状態での自己録再による孤立再生波形は、フリンジが大幅に抑制できた。
【0046】
実施例2
まず、実施例1と同様にして、MR素子を形成してさらに絶縁膜で覆った。次に、図7(a)に示すように、レジスト41を形成した後、第1の磁気コアが形成される場所に、厚さ35nmのアルミナギャップ膜42、厚さ 200nmのFe−N合金膜43、厚さ 300nmのNiFe合金膜44を順に成膜した。次いで、リフトオフを行った(図7−b)。次に、第2の磁気コアが形成される場所に、厚さ35nmのアルミナギャップ膜45、厚さ 200nmのFe−N合金膜46、厚さ 300nmの NiFe合金膜47を順に成膜した(図7−c)。リフトオフを行い、さらに平坦化を行った。トラック幅は 0.4μm とした。この上に記録コイル48とバックコア49を形成して、記録再生ヘッドを完成させた(図7−d)。なお、図7(d)において、50はスピンバルブ膜、51はリードである。
【0047】
このようにMIG構造にすることで、Fe−N合金の高飽和磁束(Bs )による高保磁力媒体への良好な書き込みと、NiFe合金の軟磁性による良好な再生とを両立させることが可能となる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、磁気ギャップ部分における磁気コアのずれを低減ないしは防止することができることから、記録・再生フリンジの発生を大幅に抑制することが可能な薄膜磁気ヘッドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜磁気ヘッドをヨーク型MRヘッドに適用した一実施形態の要部構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すヨーク型MRヘッドの一部を媒体対向面から見た断面で示す図である。
【図3】図1に示すヨーク型MRヘッドの製造工程の一部を示す平面図である。
【図4】図1に示すヨーク型MRヘッドの要部製造工程を媒体対向面から見た断面で示す図である。
【図5】図4以降のヨーク型MRヘッドの要部製造工程を媒体対向面から見た断面で示す図である。
【図6】本発明の薄膜磁気ヘッドの他の実施形態の要部構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例2による薄膜磁気ヘッドの要部製造工程を示す図である。
【図8】従来のヨーク型MRヘッドの磁気コアおよび磁気ギャップ部分を媒体対向面から見た断面で示す図である。
【符号の説明】
11……ヨーク型MRヘッド
12……基板
14……MR膜
15……リード
16……第1の磁気ギャップ膜
17……第1の磁気コア
18……第2の磁気ギャップ膜
19……第2の磁気コア
20……再生磁気ギャップ
22……第1のレジスト
23……第2のレジスト
31……薄膜磁気ヘッド
Claims (1)
- 基板面に対して略垂直方向に形成された所定のギャップ長を有する磁気ギャップを介して対向配置された第1および第2の磁気コアを有する薄膜磁気ヘッドを製造するにあたり、
基板上に前記第1の磁気コアに対応する形状を有する第1のレジストを形成し、この第1のレジスト上を含めて前記基板上に、前記ギャップ長未満の膜厚を有する第1の非磁性膜と前記第1の磁気コアとなる第1の軟磁性膜とを順に積層形成する工程と、
前記第1のレジストを除去した後、前記第2の磁気コアに対応する形状を有する第2のレジストを形成し、この第2のレジスト上を含めて前記基板上に、前記第1の非磁性膜との合計膜厚が前記所定のギャップ長となる膜厚を有する第2の非磁性膜と前記第2の磁気コアとなる第2の軟磁性膜とを順に積層形成する工程と、
前記第2のレジストを除去した後、前記第1の軟磁性膜および第2の軟磁性膜の表面を平坦化する工程と
を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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1996
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