JP3606990B2 - 融雪剤 - Google Patents

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  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体状塩化カルシウムを使用した新規な融雪剤に関する。詳しくは、長期間にわたり優れた融雪効果を発揮する融雪剤である。
【0002】
【従来の技術】
塩化カルシウムは、融雪能力が高く、しかも、散布後直ちにその性能を発揮するため、古くから融雪剤として、固体状(一般には粒状)または水溶液の状態で凍結或いは積雪した路面等に散布されている。上記散布方法のうち、固体状の塩化カルシウムを散布する方が水溶液を散布するより融雪能力が大きい
【0003】
しかし、塩化カルシウムは、速効性を有する反面、効果の持続時間が短いという問題を抱えていた。つまり、散布後、短時間で融雪効果が無くなり、融雪水が再凍結してしまうため、道路等の処理面が鏡面となり、かえって交通に支障をきたすという問題が生じることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、融雪効果が大きく、加えて持続性を兼ね備えた融雪剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、固体状塩化カルシウムの融雪効果持続性を改良すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、固体状塩化カルシウムの表面に水に対して不溶性の粉末をまぶすことにより、該固体状塩化カルシウムと処理される凍結面或いは積雪面との接触面積が小さくなるので、持続性が改良されること、しかも、かかる接触面積を小さくしても融雪効果が実用上全く問題が無いことを見い出し、本発明を提案するにった。
【0006】
本発明は、固体状塩化カルシウムの表面に、水に対して不溶性の粉末をまぶしたことを特徴とする融雪剤である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において固体状塩化カルシウムは、固体状であれば無水塩、水和物塩の何れでも制限なく使用できるが、通常2水和物塩のものが使用される。また、固体状塩化カルシウムの形状は、粒状、粉状、フレーク状等何れの形状でも何等制限なく使用できる。
【0008】
また、本発明において、水に対して不溶性の粉末(以下、水不溶性粉末ともいう。)は、水に対して実質的に不溶の粉末であれば何等制限なく使用できる。かかる水不溶性粉末の代表的なものを挙げれば、例えば、焼却灰、火山灰、砂、砕石粉、ケイ酸カルシウム、二酸化珪素、炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、アルミナ、等の無機物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の高分子などが挙げらる
【0009】
上記焼却灰は、紙を中心とする可燃物ゴミを焼却して得られる、紙由来のシリカの微粉を主成分とするものであり、部分的に残存するカーボンにより灰色を呈するものである。該焼却灰は、一般家庭等からの可燃物ゴミを自治体、地方公共団体等が所有する焼却炉において燃焼した際に残った焼却灰が特に制限なく使用されるが、散布後の環境問題等を考慮すると、鉄を除く重金属の有害物質の含有率が1重量%以下の物が好ましい。このような焼却灰としては、主に一般家庭から出る可燃物ゴミを焼却する焼却炉より得られるものが適している。
【0011】
本発明において、固体状塩化カルシウムの表面に水不溶性粉末をまぶす方法は、固体状塩化カルシウムと雪との接触面積を小さくし、固体状塩化カルシウムの溶解速度を低減せしめ、融雪効果をより長く持続できる効果が特に優れるばかりでなく、融雪量も向上することができる
【0014】
上記固体状塩化カルシウム表面へ水不溶性粉末をまぶす態様の具体的な方法は、固体状塩化カルシウムの粒状物と水不溶性粉末とを回転式混合機、転動造粒機、皿型造粒機等を用いて接触させることにより行うことができる。この時の固体状塩化カルシウムと水不溶性粉末の配合比は、如何なる配合比でも良いが、融雪効果、及びその持続時間及び水不溶性粉末による固体状塩化カルシウムの被覆性を勘案すると、固体状塩化カルシウム100重量部に対して水不溶性粉末5〜100重量部が好ましく、更には10〜50重量部の範囲が好適である。また融雪効果の持続性の点から固体状塩化カルシウム表面の50%以上、更には70%以上が水不溶性粉末でまぶされていることが好ましい。
【0015】
また、使用される固体状塩化カルシウムは、水不溶性粉末による固体状塩化カルシウムの被覆性の点から、平均粒径1〜10mmの粒状のものが好ましく、更には平均粒径2〜6mmの粒状のものが好適である。また前述の点から使用される水不溶性粉末の平均粒径は、好ましくは0.1〜500μm、更に好ましくは1〜100μmの範囲である。
【0017】
体状塩化カルシウムの表面へ水不溶性粉末をまぶす際、付着性向上のため、水及び有機溶媒またはその混合物をバインダーとして使用することができる。この場合、コスト及び製造設備等を勘案すると水を用いるのが好適である。
【0018】
この時使用されるバインダーは、使用される水不溶性粉末と固体状塩化カルシウムの混合物100重量部に対して、0.5〜50重量部、更には1〜30重量部用いるのが好適である。バインダーの供給は液体を添加する他にも、雰囲気中の水蒸気により固体状塩化カルシウム表面を湿らせる方法で行うこともできる。また造粒性及び被覆性を向上させるために、バインダーに高分子系化合物や界面活性剤を添加しても良い。
【0019】
ここで用いられる高分子系化合物としては、例えばポリビニルアルコール等の水溶性高分子体、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、糖蜜、また疎水性化合物である石油樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。こうした高分子系化合物は、使用するバインダー100重量部に対し、0.1〜15重量部、更には1〜5重量部配合させるのが好ましい。
【0020】
また界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤の何れでも良い。具体的には、例えば陰イオン界面活性剤では、脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等が挙げられ、陽イオン界面活性剤では、第4級アンモニウム塩等が挙げられ、両性界面活性剤では、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン等が挙げられ、非イオン界面活性剤では、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリプロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリストール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキソエチレンソルビタン脂肪酸エステルを用いるのが好ましい。こうした界面活性剤は、使用するバインダー100重量部に対し、0.01〜25重量部、更には0.5〜5重量部配合させるのが好ましい。
【0021】
また、上記のようにバインダーを使用した場合には、必要に応じて該バインダーの乾燥が行われる。バインダーの乾燥は、一般に公知な乾燥方法を何等制限なく使用できる。乾燥温度は使用するバインダーの種類により異なるが、好ましくは、50〜200℃、更には100〜150℃である。
【0022】
本発明の融雪剤は、従来の固体状の融雪剤と同様に使用することができ、優れた融雪効果を発揮する。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明の融雪剤は、固体状塩化カルシウムの表面に、水に対して不溶性の粉末をまぶすことにより、固体状塩化カルシウムの水への溶解性が抑制され、融雪効果を長時間持続させることができると共に、優れた融雪効果をも発揮する。
【0024】
また、水に対して不溶性の粉末が路面に散布されるので、滑り摩擦抵抗が増大し、固体状塩化カルシウム溶解後、車のスリップ防止効果も発揮する。
【0025】
加えて、水に対して不溶性の粉末として焼却灰を用いる際には、これまで埋立等により処分されていた焼却灰の有効利用につながるという効果をも有する。
【0026】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0027】
比較例1
平均粒径0.2mmの粉状塩化カルシウム2水和物塩100重量部と平均粒径13μmの焼却灰50重量部をミキサーで混合することにより、焼却灰と固体状塩化カルシウムとを単に混合して、焼却灰を固体状塩化カルシウムの表面に付着せしめた融雪剤を得た。この融雪剤10gを、−10℃に設定した低温恒温器中で、直径10cmの氷盤200g上に散布し、氷盤の融解した量を10分間隔で測定した。氷盤の融解した量が増えなくなるまでの時間(t)を測定することによって、融雪効果の持続時間を評価した。
【0028】
その結果、tは90分であった。
【0029】
比較例2
水100重量部に対し、ポリビニルアルコール2重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの界面活性剤「アクチノールF−12」(商品名:松本油脂(株)製)1重量部を溶解させ、バインダー溶液を調製した。
【0030】
平均粒径0.2mmの粉状の塩化カルシウム2水和物塩100重量部と平均粒径13μmの焼却灰50重量部からなる混合物100重量部に対し、上記バインダー溶液20重量部を加え、転動造粒機で造粒した後、110℃で乾燥することにより、焼却灰と固体状塩化カルシウムの混合物が造粒された融雪剤を得た。この造粒体の平均粒径は約4mmであった。得られた融雪剤10gを使用し、比較例1と同様の方法で融雪効果の持続時間を評価した。
【0031】
その結果、tは110分であった。
【0032】
実施例
平均粒径約3mmの粒状の塩化カルシウム2水和物塩100重量部と、実施例2で調製したバインダー溶液5重量部を添加した平均粒径13μmの焼却灰30重量部とを混合した後、110℃で乾燥することにより、固体状塩化カルシウムの表面に焼却灰がまぶされた融雪剤を得た。得られた融雪剤10gを使用し、比較例1と同様の方法で融雪効果の持続時間を評価した。
【0033】
その結果、tは250分であった。
【0034】
実施例
平均粒径約3mmの粒状の塩化カルシウム2水和物塩100重量部と、実施例2で調製したバインダー溶液5重量部を添加したした平均粒径20μmのケイ砂30重量部とを混合した後、110℃で乾燥することにより、固体状塩化カルシウムの表面にケイ砂がまぶされた融雪剤を得た。得られた融雪剤10gを使用し、比較例1と同様の方法で融雪効果の持続時間を評価した。
【0035】
その結果、tは220分であった。
【0036】
比較例
平均粒径約3mmの粒状塩化カルシウム2水和物塩10gを融雪剤として使用し、比較例1と同様の方法で融雪効果の持続時間を評価した。
【0037】
その結果、tは60分であった。
【0038】
比較例
平均粒径13μmの焼却灰10gを融雪剤として使用し、比較例1と同様の方法で融雪効果の持続時間を評価した。しかしながら焼却灰による氷盤の融解は、融解する量が非常に少ないため、tを決定することはできなかった。
【0039】
以上の実施例及び比較例における融氷量の測定結果を表1にまとめて示す。尚、融氷量の測定は10分間隔で行ったが、表1には30分毎の結果のみを示した。
【0040】
【表1】
Figure 0003606990

Claims (2)

  1. 固体状塩化カルシウムの表面に、水に対して不溶性の粉末をまぶした融雪剤。
  2. 水に対して不溶性の粉末が焼却灰である請求項1記載の融雪剤。
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