JP3606783B2 - ポリアミドおよびポリアミド組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド、およびそれを含む組成物、ならびにこれらの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、射出成形の際に金型汚れが少なく、射出成形部品、特に精密部品を効率的に精度良く製造することができ、耐熱性、低吸水性、そして強度特性に優れるポリアミド、およびそれを含む組成物に関し、さらにこれらを効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来からポリアミド、およびその製造法に関しては、種々の提案がされており、例えば本出願人は、既に特開平4−50230号公報において、テレフタル酸単位50〜90モル%および4,4−ビフェニルジカルボン酸単位50〜10モル%からなるジカルボン酸単位と、炭素原子数4〜25の脂肪族ジアミン成分単位からなり、かつ濃硫酸中30℃で測定した極限粘度(η)が0.5〜3.0dl/gの範囲内にあるポリアミド樹脂、およびその製造方法について開示している。
【0003】
このようなポリアミドは耐熱性、耐薬品性などの化学的特性、および諸強度特性に関して優れている。これらの特性により、上記ポリアミドは射出成形等によって成形品として広く用いられており、特に電気・電子部品や自動車部品に多く用いられている。
【0004】
電子部品の多くは台湾、東南アジアなど高温多湿地帯で成形される事が多い。このような地方でポリアミドを使用する場合、ポリアミド樹脂の含水率が高くなり、成形時に含有水分の蒸発に伴う発泡を引き起こしやすくなる。
【0005】
また電子部品、特に表面実装用のプリント配線板に搭載する部品、例えばコネクター類では、そのリフロー工程時に樹脂成形品表面にふくれが生じるといったトラブルを起こす事がある。これは樹脂の含水率と大きな相関があり、含水率が低い場合ではこのような膨れは生じにくいことが分かっている。
【0006】
従って電気・電子部品用のポリアミドには、低吸水型樹脂が望まれる。このようなポリアミドとして、耐熱性、低吸水性に特に優れるものが知られている(特開平7−228689号公報参照)。
【0007】
また上記のような部品は、成形時に連続して安定した生産性が求められている。近年、電気・電子部品では、部品の小型化が進む傾向にあり、連続生産性とともに、より細やかな精度が求められている。しかしながら、本発明者らが上記のポリアミドを用いて、このような精密部品の射出成形を連続して行なった場合、金型内に微粉末が析出することが分かった。このような微粉末によって成形金型のベント穴が詰まることがあり、成形を停止して金型を清掃する必要があるため、連続生産性に支障をきたす場合がある。また、このような微粉末は電子部品、特にコネクターのような微細な部品を成形する場合、外観を損ねたり、寸法精度に支障をきたす等の点で問題になることがある。
【0008】
従って、成形時に金型汚れを起こし難く、かつ耐熱性、低吸水性をはじめ、耐薬品性などの化学的特性、および諸強度特性に関して優れているようなポリアミド樹脂ならびにその組成物の出現が望まれており、このような樹脂を効率的に製造する方法の出現も併せて望まれていた。
【0009】
【発明の目的】
本発明では耐熱性、低吸水性をはじめ、耐薬品性などの化学的特性、および諸強度特性などの諸物性を低下させずに、成形時に金型汚れを起こし難いポリアミドを提供し、かつこのようなポリアミドを効率的に製造する方法を開発することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】
上記の課題を解決するために、本発明者らが開発した製造方法によって製造されるポリアミドは、(a)テレフタル酸と、直鎖及び側鎖を含む炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて(b)イソフタル酸と炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて(c)炭素数4〜18の脂肪族ジカルボン酸と炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて(d)炭素数6〜20のラクタムまたはアミノカルボン酸から誘導される繰り返し単位を有するポリアミドであって、繰り返し単位(a)が91〜100モル%、繰り返し単位(b)が0〜9モル%、繰り返し単位(c)が0〜9モル%、繰り返し単位(d)が0〜9モル%の量で結合してなるポリアミド(A)であり、かつ、該ポリアミド(A)中に含有される、60℃のメタノール中に3時間浸漬することにより測定したメタノール可溶性成分(MO成分)の含量が0.5重量%以下であることを特徴としている。
【0011】
本発明におけるMO成分(メタノール可溶性成分)とは、下記のようにして測定されるものの総称である。
(MO成分の測定方法)
ISO599に概ね則った測定方法を用いて、MO成分の測定を行う。以下にその具体的方法を記す。
【0012】
20〜30gのポリアミドの粉末(粒径10〜50μm)と、200mlのメタノールを300mlの三角フラスコに入れ、3時間撹拌しながら還流し、抽出操作を行う。抽出液を冷却した後に濾過し、フラスコおよび抽出残渣をメタノールで十分洗浄する。濾液と洗浄液を合わせてナスフラスコに移し、減圧下に溶媒を留去し、乾固させてMO成分を得る。このMO成分の重量を精密天秤で秤量する。MO成分の含量(重量%)は次の式で求める。
【0013】
X=B/A×100
B:MO成分の重量
A:試験前のポリアミドの重量
X:MO成分の含量(重量%)
上記ポリアミド(A)を含む組成物についても、本発明によって上記課題を解決するに至り、以下にそれら組成物(B)〜(F)について記す。
【0014】
(B):ポリアミド(A)100重量部に対して、繊維状補強材が5〜250重量部からなるポリアミド組成物。
(C):ポリアミド(A)が99〜30重量%に対して、変性重合体および/またはアイオノマー樹脂が1〜70重量%からなるポリアミド組成物。
【0015】
(D):ポリアミド(A)が99〜30重量%に対し、脂肪族ポリアミドが1〜70重量%からなるポリアミド組成物。
(E):ポリアミド(A)、および難燃剤からなるポリアミド組成物。
【0016】
(F):上記(B)から(E)に記載の組成物について、いずれかの組成物の少なくとも2種類以上を含んでなるポリアミド組成物。
本発明者等がMO成分を分析した結果、直鎖状、あるいは環状のモノマー、および低次オリゴマーであることが判明した。本発明者らがこれらを効率よく除去する方法を検討した結果、上記(A)から(F)に記載のポリアミドおよびその組成物を製造するにあたって、その製造工程うち、ポリアミドの濃硫酸中30℃で測定した極限粘度(η)が0.1〜3.0dl/gにあるいずれかの段階で、ポリアミドと液体状極性化合物とを接触させる事により、MO成分の含量を0.5重量%以下、更には0.1重量%以下にすることができるということが分かった。
【0017】
ここでの液体状極性化合物は、作業環境で液体状態であり、特に常圧下23℃において液体状の化合物を指し、水やメタノール、エタノール等がこれに相当する。液体状極性化合物は水の単独使用、もしくはメタノールや、エタノールなど水可溶性の有機溶媒との混合使用でも良く、更にはこれらの有機溶媒の単独使用、もしくは複数の有機溶媒の混合溶液でも良い。これらはポリアミドの種類、MO成分の種類によって溶液の種類を選択できる。また、上記ポリアミドと接触する液体状極性化合物の温度が、50〜100℃の範囲内にあることが好ましく、ポリアミドと液体状極性化合物とを、数分から数時間接触させることが好ましい。また上記ポリアミドの容量に対して1〜10倍の液体状極性化合物と接触させることが好ましい。
【0018】
【発明の具体的説明】
本発明のポリアミド、このポリアミドを含む組成物、およびその製造する方法について、以下に具体的に説明する。
ポリアミド
本発明のポリアミドを形成するジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。ここで芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸およびこの誘導体(例;塩、ハライド、エステル等)、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸(例:イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸)およびこれらの誘導体を挙げることができる。また、本発明では、ジカルボン酸として、上記のような芳香族ジカルボン酸以外に脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸を使用することもできる。ここで脂肪族ジカルボン酸を使用する場合、脂肪族ジカルボン酸としては直鎖状の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、さらに炭素数4〜18、好ましくは4〜12のアルキレン基を有する直鎖状脂肪族ジカルボン酸が特に好ましい。このような直鎖状脂肪族ジカルボン酸の例としては、コハク酸(SA)、アジピン酸(AA)、アゼライン酸、セバシン酸およびこれらの誘導体を挙げることができる。これらの脂肪族ジカルボン酸の中ではアジピン酸およびセバシン酸が好ましい。また、脂環族ジカルボン酸としては、テトラシクロヘキサンジカルボン酸およびこの誘導体を挙げることができる。ここで、誘導体とは、ジアミンとの反応により繰り返し単位を形成し得る誘導体(例;塩、ハライド、エステル等)を含むものであり、さらに本発明では、ジカルボン酸およびジアミンは、得られるポリアミド樹脂の特性を損なわない範囲内でアルキル基等の置換基を有していてもよい。以下本発明で使用される各成分は上記と同様の意味である。
【0019】
上記のようなジカルボン酸と共に本発明の半芳香族ポリアミドを形成する繰り返し単位を構成するジアミンは、炭素数4〜25、好ましくは4〜12の脂肪族ジアミンあるいはその誘導体である。脂肪族ジアミンは、直鎖状のアルキレンジアミンであっても分岐を有する鎖状のアルキレンジアミンであってもよい。
【0020】
このようなアルキレンジアミンの具体例としては、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカンおよび1,12−ジアミノドデカンなどの直鎖状アルキレンジアミン、および
1,4−ジアミノ−1,1−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1−エチルブタン、1,4−ジアミノ−1,2−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1,3−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1,4−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−2,3−ジメチルブタン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンテン、1,2−ジアミノ−1−ブチルエタン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチル ヘキサン、1,6−ジアミノ−2,4−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−3,3−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,2−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,4,4−トリメチルヘキサン、1,7−ジアミノ−2,3−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−2,4−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−2,2−ジメチルヘプタン、1,8−ジアミノ−1,3−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−1,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−2,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−3,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−4,5−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−2,2−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−3,3−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−4,4−ジメチルオクタン、1,6−ジアミノ−2,4−ジエチルヘキサンおよび1,9−ジアミノ−5−メチルノナンなどの分岐を有する鎖状のアルキレンジアミンを挙げることができる。
【0021】
このような直鎖状あるいは分岐を有する鎖状のアルキレンジアミンのうちでは、直鎖状アルキレンジアミンが好ましく、特に1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン:HMDA)、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカンおよび1,12−ジアミノドデカンなどの直鎖状のアルキレンジアミンが好ましく、これらは単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。また、上記直鎖状のアルキレンジアミンを主成分とし、これに少量の分岐アルキレンジアミンを混合した、例えば1,6−ジアミノヘキサンと1,5−ジアミノ−2−メチルペンタンとの混合物も好ましく使用することができる。また、1,9−ジアミノノナンと1,8−ジアミノ−2−メチルオクタンとの混合物も好ましく使用することができる。なお、上記のようなジアミンは、上記ジカルボン酸と結合して繰り返し単位を形成することができればよく、塩等の誘導体であってもよい。
【0022】
本発明で用いるポリアミドでは、上記のようなテレフタル酸(TA)とジアミンとからは次式(I)で表される繰り返し単位が形成される。
【0023】
【化1】
【0024】
上記式(I)において、R1は、使用したジアミンに由来する二価の炭化水素基であって、炭素数4〜25、好ましくは4〜12のアルキレン基を表す。
また、本発明で、テレフタル酸(TA)と共にイソフタル酸(IA)を使用した場合には、このイソフタル酸とジアミンとからは、下記(II)で表される繰り返し単位が形成される。
【0025】
【化2】
【0026】
上記式(II)において、R1は、使用したジアミンに由来する二価の炭化 水素基であって、炭素数4〜25、好ましくは4〜12のアルキレン基を表す。
また、本発明で、テレフタル酸と共に脂肪族ジカルボン酸を使用した場合には、この脂肪族ジカルボン酸とジアミンとからは、下記(III)で表される繰り返し単位が形成される。
【0027】
【化3】
【0028】
上記式(III)において、R1は、使用したジアミンに由来する二価の炭化水素基であって、炭素数4〜25、好ましくは4〜12のアルキレン基を表す。また、nは通常は2〜18、好ましくは2〜16、さらに好ましくは4〜12、特に6〜10の正の整数を表す。
【0029】
また、本発明のポリアミドは、上記のようなジカルボン酸とジアミンとからなる繰り返し単位の他に、炭素数6〜20、好ましくは6〜12のラクタムまたはアミノカルボン酸から誘導される繰り返し単位を有していてもよい。このようなラクタムまたはアミノカルボン酸の具体的な例としては、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ζ−エナントラクタム、η−カプリルラクタム、ω−ラウロラクタム、ω−ウンデカラクタム、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸等を挙げることができる。上記のようなラクタムまたはアミノカルボン酸からは、次式(IV)で表される構造の繰り返し単位が形成される。
【0030】
【化4】
【0031】
上記式(IV)において、nは5〜20、好ましくは5〜19、特に5〜12の整数である。
本発明のポリアミドにおいて、上記式(I)〜(III)で表される繰り返し単位の量は、使用したジカルボン酸の量と対応しており、また式(IV)で表される繰り返し単位の量は、ラクタムまたはアミノカルボン酸の使用量に対応している。
【0032】
本発明においては、上記式(I)で表されるようなテレフタル酸と炭素数4〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位(a)が90〜100モル%、好ましくは91%〜100%の量で重縮合し、
式(II)で表されるようなイソフタル酸と炭素数4〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位(b)が0〜10モル%、好ましくは0〜9モル%の量で重縮合し、
式(III)で表されるような炭素数4〜18の脂肪族ジカルボン酸と炭素数4〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位(c)が0〜10モル%、好ましくは0〜9モル%の量で重縮合し、
そして式(IV)で表される炭素数6〜20のラクタムまたはアミノカルボン酸から誘導される繰り返し単位(d)が0〜10モル%、好ましくは0〜9モル%の量で重縮合して半芳香族ポリアミドを形成している。
【0033】
このようなポリアミドを製造するために用いられる各ジカルボン酸量は、この全ジカルボン酸量を100(モル%)としたとき、テレフタル酸は90〜100モル%、好ましくは91〜100%の範囲内で使用することができ、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸は0〜10モル%、好ましくは0〜9モル%の範囲内で使用することができ、またさらに炭素数4〜18の直鎖状脂肪族ジカルボン酸は0〜10モル%、好ましくは0〜9モル%の範囲内で使用することができる。ジアミンは上記ジカルボン酸とほぼ等モルになるように使用される。
【0034】
さらに本発明では炭素数4〜12の脂肪族ジアミン以外に、少量の脂環族ジアミンも使用することができる。この脂環族ジアミンとしては、通常は、炭素数が6〜25程度であり、かつ少なくとも1個の脂環族炭化水素環を有するジアミンが使用される。
【0035】
このような脂環族ジアミンの具体的な例として、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキ シルプロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジメチルジシクロヘキシルプロパン、α,α’−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−1,4−シクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−1,3−シクロヘキサンなどの脂環族ジアミンを挙げることができる。これらの脂環族ジアミンのうちでは、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよび4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタンが好ましく、さらに、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンおよび1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが特に好ましい。これらのジアミンは単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。
【0036】
本発明においては、上記式(I)で表されるようなテレフタル酸と炭素数4〜21、好ましくは4〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位(a)が90〜100モル%の量で重縮合する場合、炭素数の少ない脂肪族ジアミンでは融点がポリアミドの分解温度を超える場合もあるため、脂肪族ジアミンの炭素数は好ましくは6以上、特に好ましくは8〜10である。
【0037】
ポリアミド低次縮合物は、上記のようなジカルボン酸(あるいはその誘導体)とジアミン(あるいはその誘導体)とを加えて、さらに必要に応じてラクタムまたはアミノカルボン酸とを加えて、触媒の存在下に加熱することにより生成することができる。また、この反応において、ジアミンは、芳香族ジカルボン酸の総量(テレフタル酸と、必要により使用される他の芳香族ジカルボン酸あるいは直鎖状脂肪族ジカルボン酸との合計量)1モルに対して、ほぼ1モルの割合で使用される。この反応は、通常は不活性ガス雰囲気下で行われ、一般には反応容器内を窒素ガス等の不活性ガスで置換する。また、ポリアミドの重縮合反応を制御するために、水を予め封入しておく事が望ましく、水に可溶な有機溶媒、例えばメタノール、エタノール等のアルコール等が含有されていてもよい。
【0038】
本発明で低次縮合物を製造する際の触媒としては、リン酸、その塩およびリン酸エステル化合物;亜リン酸、その塩およびエステル化合物;並びに、次亜リン酸、その塩およびエステル化合物を使用することができる。
【0039】
具体的には、リン酸塩としては、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸マンガン、リン酸ニッケルおよびリン酸コバルトを挙げることができる。
【0040】
リン酸エステル化合物としては、具体的には、リン酸の、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステルおよびフェニルエステルを挙げることができる。
【0041】
また、亜リン酸塩としては、亜リン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸マンガン、亜リン酸ニッケルおよび亜リン酸コバルトを挙げることができる。
【0042】
亜リン酸エステル化合物としては、亜リン酸の、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステルおよびフェニルエステルを挙げることができる。
【0043】
また、次亜リン酸塩としては、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸バジウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸マンガン、次亜リン酸ニッケルおよび次亜リン酸コバルトを挙げることができる。
【0044】
次亜リン酸エステル化合物としては、次亜リン酸の、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステルおよびフェニルエステルを挙げることができる。
【0045】
これらのリン酸化合物は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。このようなリン系化合物は、上記のようなジカルボン酸に対して、通常は0.001〜5モル%、好ましくは0.002〜2モル%の割合で用いられる。
【0046】
また、この反応に際しては、末端封止剤を使用することが好ましい。この末端封止剤としては、安息香酸、安息香酸のアルカリ金属塩、酢酸等を使用することができる。このような末端封止剤は、ジカルボン酸1モルに対して、通常は0.001〜5モル、好ましくは0.01〜2モルの量で使用される。この末端封止剤の使用量を調整することにより、得られる低次縮合物の平均分子量、具体的には極限粘度(η)を制御することができる。
【0047】
このような低次縮合物を調製する際の反応条件は、具体的には、反応温度は通常は200〜290℃、好ましくは220〜280℃、反応時間は通常は0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。
【0048】
さらにこの反応は常圧から加圧のいずれの条件で行うことができるが、加圧条件で反応を行うことが好ましく、反応圧は、通常20〜60kg/cm2、好ましくは25〜50kg/cm2の範囲内に設定される。
【0049】
そして、このようにして重縮合反応を行うことにより、30℃の濃硫酸中で測定した極限粘度(η)が、通常は0.05〜0.6dl/g、好ましくは0. 08〜0.3dl/gの範囲内にある低次縮合物を得ることができる。
【0050】
このような極限粘度を有するポリアミドの数平均分子量は通常は700〜2000の範囲内にある。
こうして水性媒体中に生成したポリアミド低次縮合物は、反応液と分離される。この反応液とポリアミド低次縮合物との分離には、例えば濾過、遠心分離等の方法を採用することもできるが、生成した半芳香族ポリアミド低次縮合物を含有する反応液を、ノズルを介して大気中にフラッシュすることにより、固液分離する方法が効率的である。
【0051】
本発明のMO成分の少ないポリアミド(A)、およびその組成物(B)〜(F)は、例えば次の方法により製造することができる。
(1) 公知の方法でポリアミド低次縮合物を製造し、その低次縮合物を液体状極性化合物と接触させ、次いで低次縮合物を重合する方法。
(2) ポリアミドの高重合物を従来の方法で製造後、液体状極性化合物と接触させる方法。
(3) (1)または(2)によって得られたポリアミドに、(B)〜(F)記載の各添加剤を添加して、溶融混練する方法。
(4) ポリアミドを従来の方法で製造後、(B)〜(F)記載の各添加剤を添加して溶融混練した後に、液体状極性化合物と接触させる方法。
【0052】
本発明では、上記ポリアミドと液体状極性化合物とを接触するにあたって、ポリアミド製造工程うち、組成物の濃硫酸中30℃で測定した極限粘度(η)が0.1〜3.0 dl/gにあるいずれかの段階で、ポリアミドと液体状極性化合物を接触させる事により、MO成分の含量が0.5重量%以下、更には0.1%未満とすることを特徴としている。
【0053】
また本発明において、ポリアミド組成物からMO成分を除去する液体状極性化合物としては、水、
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール類、
アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類、
蟻酸、酢酸などのカルボン酸類、
エチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類等を用いることができる。
【0054】
これらの溶媒は、各々単独で使用しても良く、また組み合わせて混合溶媒として使用することも出来る。これらのうち、価格や溶剤除去工程などを考慮すると、メタノールおよびエタノールが好ましい。これらの溶媒を水と混合して用いる場合は、溶媒と水との混合比は、接触させるポリアミドの種類によって任意に選定することができるが、水に対して重量比で0〜100%、好ましくは10〜100%の量で使用できる。
【0055】
MO成分としては、未反応のジカルボン酸、未反応のジアミンおよび未反応のラクタム、またはアミノカルボン酸、ならびにジアミン1分子とジカルボン酸1分子とから形成される環状オリゴマー、特に環状メチレンアジパミド、あるいは他の低次オリゴマー成分の低次縮合物が含有される。なおポリアミド中におけるこのMO成分の含量は、1重量%にも達することがある。これに対して本発明のポリアミドは、上記MO成分の含量が低く、本発明ではこのMO成分の含量は、0.5重量%以下であり、さらに好ましくは0.3重量%以下、特に0.10重量%未満の範囲内にあることが好ましい。MO成分が0.10重量%未満の場合では、金型への付着物がほとんど観察される事なく、連続して寸法精度に優れた射出成形品、特に精密部品を成形することができる。
【0056】
本発明のポリアミドを製造する第1の方法では、上記のようにして得られたポリアミド低次縮合物を、液体状極性化合物と接触させ、乾燥させた後に後重合を行う。
【0057】
本発明において、このポリアミド低次縮合物と接触する液体状極性化合物の温度は高い方が好ましく、この処理に使用する液体状極性化合物の温度はポリアミド低次縮合物の種類や分子量により異なるが、30〜100℃、好ましくは50〜100℃である。
【0058】
また、このポリアミド低次縮合物と液体状極性化合物との接触時間は、ポリアミド低次縮合物の種類や分子量により異なるが、1分〜6時間、好ましくは1〜180分である。ポリアミド低次縮合物と液体状極性化合物との接触を、ドラム等の容器内で行う場合は攪拌しながら接触させることが望ましい。
【0059】
本発明において、ポリアミド低次縮合物と接触する液体状極性化合物の量は、ポリアミド低次縮合物から液体状極性化合物中に移行させようとする成分の量、液体状極性化合物温度、および接触方法などにより適宜設定することができるが、通常は、ポリアミド低次縮合物100重量部に対して、50〜10000重量部、好ましくは200〜1000重量部である。
【0060】
こうして液体状極性化合物と接触したポリアミド低次縮合物は、多量の液体状極性化合物を含んでいるため、本発明の方法では、この液体状極性化合物と接触したポリアミド低次縮合物を乾燥した後、続く工程で使用する。
【0061】
このポリアミド低次縮合物の乾燥は、真空下あるいは不活性気流(例:窒素気流)下で行うことが好ましく、乾燥温度は、一般にはポリアミド低次縮合物の溶融する温度よりも低い温度に設定され、通常は100〜180℃、好ましくは120〜140℃であり、こうした条件で乾燥ポリアミド低次縮合物中に含有される極性化合物濃度を、通常は5000ppm以下、好ましくは3000ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下になるように低減させる。この乾燥には、加熱手段として赤外線等を併用することができる。
【0062】
本発明では上記のようにして得られた乾燥ポリアミド低次縮合物を用いて後重合(重縮合反応)を行う。この後重合(後重縮合反応)は、乾燥ポリアミド低次縮合物を加熱して、溶融状態にし、この溶融物に剪断応力を付与しながら行なうことが好ましい。この反応に際しては、乾燥ポリアミド低次縮合物が少なくとも溶融する温度に加熱する。一般には、乾燥ポリアミド低次縮合物の融点以上の温度、好ましくはこの融点よりも10〜60℃高い温度に加熱される。
【0063】
剪断応力は、例えばベント付き二軸押出機、ニーダーあるいはブラベンダー等を用いることにより溶融物に付与することができる。こうして溶融物に剪断応力を付与することにより、溶融状態にある乾燥ポリアミド低次縮合物が相互に重縮合すると共に、縮合物の重縮合反応も進行するものと考えられる。
【0064】
本発明のMO成分の少ないポリアミドを製造するための第2の方法としては、極限粘度(η)が0.6dl/g以上の高分子量のポリアミドを製造し、次いで該高分子量のポリアミドを液体状極性化合物にて洗浄処理する方法が挙げられる。
【0065】
この高分子量のポリアミドを製造する方法としては、公知の各種の方法が採用できる。例えば、上述したような低次縮合物を製造した後、この低次縮合物を溶融混練することにより製造してもよく、また上述した各化合物を加熱下に反応させて直接高分子量のポリアミドを形成してもよい。
【0066】
MO成分の含量を0.5重量%、好ましくは0.1重量%未満にするために、得られたポリアミドを液体状極性化合物とを接触させて、ポリアミド中に含有される上記MO成分を液体状極性化合物中に移行させて除去する。ここで使用される液体状極性化合物は、前記で挙げた液体状極性化合物と同様に、水、有機化合物、もしくはこれらの混合物のことを指す。ポリアミドと液体状極性化合物とは、加温ないし加熱下に接触させることが好ましく、この際、液体状極性化合物の温度および量は前述の低次縮合物の場合と同様であり、このポリアミドと液体状極性化合物との接触時間は、通常は1分〜12時間、好ましくは3分〜6時間、特に好ましくは3〜180分である。
【0067】
上記のようにして、MO成分を多量に含むポリアミドを液体状極性化合物と接触することにより、ポリアミド中のMO成分の一部は液体状極性化合物に抽出される。こうしてMO成分が抽出された液体状極性化合物と、ポリアミドとを分離することにより、ポリアミド中のMO成分の量を上記のような量に低減することができる。
【0068】
液体状極性化合物とポリアミドとの分離には、例えば濾過法、遠心分離法等公知の方法を利用することができる。こうして液体状極性化合物から分離されたポリアミドは、通常はさらに含有される水分を除去するために乾燥される。
【0069】
このポリアミドの乾燥において、乾燥温度が100〜250℃、好ましくは120〜200℃であること以外は、条件および乾燥後のポリアミドが含有する水分濃度は、低次縮合物の場合と同様である。
【0070】
本発明のMO成分の少ないポリアミドを製造するための第3の方法としては、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度(η)が0.1〜3.0dl/gにあるポリアミドを製造し、次いで前述の(B)〜(F)に挙げられた各添加剤を添加して、溶融混練した後に、この混練物と液体状極性化合物と接触させる方法が挙げられる。そして上記要領で乾燥させることにより、MO成分を液体状極性化合物(極性媒体)中に抽出することができる。
【0071】
また、MO成分を低減させる他の方法として、上記ポリアミド低次縮合物を調製し、次いでこの低次縮合物を固相重合させて、極限粘度(η)が0.5〜1.5dl/gの範囲のポリアミド前駆体を調製し、さらに上記前駆体を溶融重合させて、極限粘度(η)が0.8〜3.0dl/gの範囲のポリアミドを得て、そしてこの工程の何れかの段階において、ポリアミドと液体状極性化合物とを接触させ、上記要領で乾燥させることにより、MO成分を液体状極性化合物中に抽出することができる。
【0072】
本発明のポリアミドを用いて成形体を製造する際には、必要により、安定剤、顔料および滑剤等のポリアミドを用いた成形の際に通常使用される成分を添加することができる。
【0073】
上記のようにして製造されるポリアミドは、上述のような繰り返し単位を有するとともに、そのガラス転移温度は、70〜150℃、好ましくは80〜125℃の範囲内にある。さらに本発明のポリアミドは、結晶性であるので融点を有しており、一般にこの融点は260〜360℃、多くの場合280〜330℃の範囲内にある。
【0074】
また、本発明のポリアミドは、このポリアミドの融点以上、分解温度未満に加熱して、通常の成形装置を使用して所望の形状に成形することができる。
このようにして得られるポリアミドは、MO成分の含量が低いので、MO成分に起因する金型汚れが生じにくく、安定した状態で成形体を効率よく製造することができる。さらに、このように処理することによってもポリアミドの特性は低下することはなく、このように処理したポリアミドを使用して形成した成形体は、ポリアミドが本質的に有している優れた特性である耐熱性、機械的強度、および低吸水性を保持する。
繊維状補強材
本発明で用いられる繊維状補強材としては、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、金属被覆ガラス繊維、セラミックス繊維、ウォラストナイト、炭素繊維、金属炭化物繊維、金属硬化物繊維等の無機繊維状補強材あるいは有機繊維状補強材が用いられる。またこのような繊維状補強材の表面をシラン系化合物、例えばビニルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等で処理しておいてもよい。これらの中では、耐熱性の点から無機繊維状補強材が好ましく、とくにガラス繊維が補強効果に最も優れるので好ましい。
【0075】
このような繊維状補強材は、上記族ポリアミド100重量部に対して、5〜250重量部、好ましくは10〜220重量部、さらに好ましくは15〜150重量部の量で配合される。
変性重合体
本発明で用いられる変性重合体としては、(i)変性α−オレフィン系重合体、または(ii)変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物が用いられる。
【0076】
変性α−オレフィン系重合体(i)は、α−オレフィンからなる単位を主成分として含有するα−オレフィン系重合体100重量部に対して不飽和カルボン酸またはその誘導体からなる単位を0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の範囲でグラフト共重合してなり、さらに190℃におけるメルトフローレート(MFR190℃)が0.01〜50g/10min、好ましくは0.05〜20g/10minの範囲にあるものが好ましい。
【0077】
さらに、該変性α−オレフィン系重合体(i)の他の物性は、分子量分布(Mw/Mn)が通常1.5〜50、好ましくは2〜30の範囲である。
該変性α−オレフィン系重合体(i)中の不飽和カルボン酸またはその誘導体からなる単位のグラフト割合が0.01重量部より小さくなると、半芳香族ポリアミドに対する相溶性が悪くなり、ポリアミド組成物の衝撃強度が低下し、10重量部より大きくなると、該グラフト変性物の架橋度が増大して、ポリアミドに配合しても組成物の耐衝撃性を改善する効果が低下するようになることがある。
【0078】
該変性α−オレフィン系重合体(i)のベースとなるα−オレフィン系重合体は、α−オレフィンからなる単位を主成分とする重合体であり、一成分であってもよく、または複数の成分、すなわち二以上のα−オレフィンからなる単位のみから構成されていてもよく、この場合α−オレフィンの他に少量のジエンからなる単位を含有していても差しつかえない。
【0079】
該α−オレフィン系重合体を構成するα−オレフィンの含有率は、特に制限されないが、通常65モル%以上、好ましくは70モル%以上の範囲であり、ジエンの含有率は通常0〜20モル%、好ましくは0〜15モル%の範囲である。
【0080】
このようなα−オレフィン系重合体を製造する際に用いられるα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1− デセン、1−ドデセンなどを例示することができ、ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン 2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエンなどの非共役ジエン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレンなどの共役ジエンなどを例示することができる。
【0081】
該α−オレフィン系重合体としては、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−デセン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル−1− ペンテン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−デセン共重合体、プロピレン・1−ドデセン共重合体などのα−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・2,5−ノルボルナジエン共重合体、エチレン・1−ブテン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・1−ブテン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・1−ブテン・5−エチリデン 2−ノルボルネン共重合体などのα−オレフィン・非共役ジエン共重合体などを例示することができる。該α−オレフィン系重合体と後記不飽和カルボン酸またはその誘導体とを後記方法によって反応させることにより、変性α−オレフィン系重合体が得られる。
【0082】
該α−オレフィン系重合体をグラフト変性する際に用いられるグラフトモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸TM)、メチル−エンドシ ス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(メチルナジック酸TM) などの不飽和ジカルボン酸、および塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどの上記不飽和ジカルボン酸の酸ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステルなどの不飽和ジカルボン酸の誘導体が挙げられる。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、とくにマレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物が好適である。
【0083】
該不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれるグラフトモノマーをα−オレフィン系重合体にグラフト共重合して前記変性α−オレフィン系重合体(i)を製造するには、従来公知の種々の方法を採用することができる。たとえば、該α−オレフィン系重合体を溶融させ、グラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる方法、あるいは溶媒に溶解させ、グラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる方法がある。いずれの場合にも前記グラフトモノマーを効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下に反応を実施することが好ましい。グラフト変性を行うための反応は通常60〜350℃の温度で行われる。ラジカル開始剤の使用割合は該α−オレフィン系重合体100重量部に対して通常0.01〜20重量部の範囲である。ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、有機ペルエステル、アゾ化合物などを使用することができる。
【0084】
また本発明で用いられる変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物(ii)は、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエン系化合物とのブロック共重合体のグラフト変性物であり、さらに本発明においてはこれらの共重合体の水素化物のグラフト変性物を使用することもできる。
【0085】
このような芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物の具体的な例としては、スチレン・ブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、水素添加スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、および水素添加スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム等を挙げることができる。
【0086】
これらの共重合体中において、芳香族ビニルから誘導される繰返し単位と共役ジエンから誘導される繰返し単位とのモル比(芳香族ビニル炭化水素/共役ジエン)は、通常は10/90〜70/30である。また、水素添加した共重合体ゴムとは、上記の共重合体ゴム中に残存する二重結合の一部または全部を水素化した共重合体である。この芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水添物について135℃の デカリン中で測定した極限粘度(η)は、通常は0.01〜10dl/g、好ましく は0.08〜7dl/gの範囲内にあり、ガラス転移温度(Tg)は、通常は0℃以下、好ましくは−10℃以下、特に好ましくは−20℃以下である。また、X線回折法により測定した結晶化度は0〜10%、好ましくは0〜7%、特に好ましくは0〜5%の範囲内にある。
【0087】
本発明で使用される変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体は、上記のような 未変性の芳香族ビニル・共役ジエン共重合体を、上記変性α−オレフィン共重合体の製造方法と同様に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物あるいは不飽和カルボン酸誘導体を用いてグラフト変性することにより製造される。
【0088】
ここで使用される不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物あるいは不飽和カルボン酸誘導体の例としては、上記グラフト変性α−オレフィン共重合体を製造する際に使用される化合物を挙げることができ、このようなグラフト変性剤は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。このようなグラフト変性剤のうちでは、不飽和カルボン酸無水物を使用することが好ましく、無水マレイン酸または無水ナジック酸が特に好ましい。上記のような未変性の共重合体またはその水素化物にこのようなグラフト変性剤をグラフト重合させるには、上記α−オレフィン共重合体の変性の際に説明した溶液法および溶融法等の方法を採用することができる。グラフト変性を行うための反応(グラフト反応)において、グラフト変性剤は、その反応性を考慮して使用量が設定されるが、一般には、未変性の芳香族ビニル・共役ジエン共重合体または水素化物100重量部に対して、1〜10重量部の割合で使用される。グラフト反応を行う際には、上記と同様に有機ペルオキシド、有機ペルエステルおよびアゾ化合物などのラジカル開始剤を使用することができる。こうしてグラフト反応を行うことにより、未反応の芳香族ビニル・共役ジエン 共重合体または水素化物100重量部あたり、グラフト変性剤が通常は0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の割合でグラフト重合したグラフト変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物(ii)を得ることができる。
【0089】
こうして得られたグラフト変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物(ii)は、低結晶性ないし非晶性の共重合体であることが好ましく、実質的に非晶性であることが好ましい。すなわち、X線回折法により測定した結晶化度が10%以下、好ましくは7%以下であり、特に好ましくは5%以下の変性共重合体が使用され、さらに結晶化度が実質的に0%である変性共重合体が好ましく使用される。従って、この変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物には、明確な融点を示さないものが多い。さらに、結晶化度が低いため、このグラフト変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物は軟質であり、引張りモジュラスは、通常は0.01MPa以上2,000MPa未満の範囲、好ましくは0.1MPa〜1,500MPaの範囲内にある。
【0090】
また、このグラフト変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物(ii)のメルトインデックス(190℃で測定測定した値)は、通常は0.1〜30g/10分、好ましくは1.0〜20g/10分、特に好ましくは2.0〜15g/10分の範囲内にある。
【0091】
さらに、このグラフト変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物(ii)のガラス転移温度(Tg)は、通常は−150〜+50℃、好ましくは−80〜−20℃の範囲内にあり、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.01〜10dl/g、好ましくは1〜5dl/gの範囲内にある。
【0092】
上記のようなグラフト変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物(ii)を使用することにより、靱性に優れた成形体を得ることができる。
本発明のポリアミド組成物において、前記ポリアミドは99〜30重量部、好ましくは99.0〜60重量部の範囲で用いられ、該変性α−オレフィン系重合体(i)、または変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物(ii)は、1〜70重量部、好ましくは1.0〜40重量部の範囲で用いられることが望ましい。
【0093】
該変性α−オレフィン系重合体(i)の配合割合が前記の範囲内にあると、該ポリアミド組成物の引張り強度、曲げ強度、弾性率、耐熱性が向上するようになる。
【0094】
変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物(ii)の配合割合が前記の範囲内にあると、該ポリアミド組成物の引張り強度、曲げ強度、弾性率、耐熱性が向上するようになる。
アイオノマー樹脂
本発明で用いられるアイオノマー樹脂は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を2価の金属イオンあるいは1価の金属イオンで部分的に中和したものである。アイオノマー樹脂を構成するエチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体であるが、この不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8の不飽和カルボン酸、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステルおよびマレイン酸モノエチルエステル等が用いられる。これらの不飽和カルボン酸のうちで、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましく用いられる。
【0095】
本発明で用いられるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと上記のような不飽和カルボン酸に加えて、第3成分を含んでいてもよく、このような第3成分としては、炭素数3〜12程度の極性ビニル化合物、たとえばアクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニルなどのビニルエステルが用いられる。
【0096】
本発明で用いられるエチレン不飽和カルボン酸共重合体では、エチレンは通常は50〜99重量%、好ましくは70〜98重量%の量で存在し、また不飽和カルボン酸は、通常は1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%の量で存在している。また、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体がエチレン成分および不飽和カルボン酸に加えて、第3成分を含む場合、第3成分は通常は40重量%以下の量、好ましくは30重量%以下の量で存在している。
【0097】
本発明で用いられるアイオノマー樹脂は、上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部が2価の金属イオンあるいは1価の金属イオン、好ましくは2価の遷移金属イオンで中和されている。このようなアイオノマー樹脂に用いられる金属イオンとしては、Na+、Li+、K+などのアルカリ金属イオン、Zn++、Co++、Ni++、Pb++、Cu++などの2価の遷移金属イオンあるいはCa++、Mg++などのアルカリ土類金属イオンが好ましく、Zn++を用いることが特に好ましい。
【0098】
上記のような2価の金属イオン、好ましくは2価の遷移金属イオンによるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の中和度は、3〜95%であることが好ましい。アイオノマー樹脂を形成する金属の種類は1種類に限定されるものではなく、本発明で使用されるアイオノマー樹脂は、2種類以上の金属イオンを有していてもよい。このようなアイオノマー樹脂は上記変性共重合体を使用する場合と同等の量で用いられる。またアイオノマー樹脂は、変性重合体と併用することができる。
【0099】
本発明のポリアミド組成物において、前記ポリアミドは99〜30重量部、好ましくは99〜50重量部、さらに好ましくは99〜70重量部の範囲で用いられ、上記変性重合体および/またはアイオノマー樹脂は、1〜70重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは1〜30重量部の範囲で用いられることが望ましい。
【0100】
本発明のポリアミドと変性重合体および/またはアイオノマー樹脂とからなる組成物は、耐衝撃性、特に低温での耐衝撃性が優れるのみならず、MO成分が少ないため、成形時に金型汚れが少なく、コネクター用途等に好適である。
脂肪族ポリアミド
本発明で用いられる脂肪族ポリアミドとしては、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合により形成されるポリアミド、ラクタム類の開環重合により形成されるポリアミド、および脂肪族アミノカルボン酸と脂肪族ジアミンとラクタム類とから形成されるポリアミドが挙げられる。
【0101】
脂肪族ポリアミドの具体例としては、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンスペラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンウンデカミド、ポリヘキサメチレンドデカミドのような脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから形成されるポリアミド;ならびに、ポリカプロラクタム、ポリウンデカミドおよびポリドデカミドのようなラクタム類またはアミノカルボン酸から形成されるポリアミドを挙げることができる。
【0102】
本発明においては、上記脂肪族ポリアミドのうちでは、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンスペラミド、ポリウンデカミド、ポリドデカミド、ポリヘキサメチレンウンデカミドおよびポリヘキサメチレンドデカミドのいずれかを使用すると組成物の成形流動性が向上するため好ましい。特にポリウンデカミド、ポリドデカミド、ポリヘキサメチレンウンデカミド、ポリヘキサメチレンドデカミドを用いると組成物の耐熱老化性が向上するため好ましい。このような脂肪族ポリアミドの極限粘度(η)(30℃の濃硫酸中で測定した値)は、通常は0.5〜3.0dl/g、好ましくは0.7〜1.5dl/gの範囲内にある。
【0103】
本発明のポリアミド系(樹脂)組成物において、本発明のポリアミドは99〜30重量%、好ましくは99〜70重量%、さらに好ましくは97〜80重量%の量で含有されており、上記のような脂肪族ポリアミドは、1〜70重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは3〜20重量%の量で含有されていることが望ましい。脂肪族ポリアミドをこのような含有率にすることで、靱性が向上し、耐熱性および低吸水性などの特性のバランスに優れた成形体を製造可能な組成物とすることができる。また、成形性も改善できる。
難燃剤
本発明で用いられる難燃剤としては、有機難燃剤と無機難燃助剤とが挙げられる。
【0104】
この難燃剤のうち有機難燃剤としては、特に(i)ハロゲン化ポリスチレンおよび/または(ii)ハロゲン化フェノールの縮合物が好ましい。以下にハロゲン化ポリスチレンおよびハロゲン化フェノールの縮合物について説明する。
【0105】
本発明で用いられるハロゲン化ポリスチレンとしては、下記一般式(1)で表される重合体が用いられる。
【0106】
【化5】
【0107】
上記式中、RはHまたはCH3であり、XはBrまたはClであり、mは1〜 5の整数であり、そしてnは2以上の整数である。一般式(1)で表されるハロゲン化ポリスチレンとしては、具体的には、ポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレン、ポリペンタブロモスチレン、ポリジクロロスチレン、ポリトリクロロスチレン、ポリペンタクロロスチレン、ポリトリブロモα−メチルスチレン等が用いられる。これらハロゲン化ポリスチレンの中では、ポリトリブロモスチレンが難燃性、耐熱性、耐熱老化性の改良効果が優れるので好ましい。ポリジブロモスチレンは、成形性が優れている点で好ましい。ハロゲン化ポリスチレンはハロゲン化スチレンないしハロゲン化α−メチルスチレンを重合するか、またはポリスチレン、ポリα−メチルスチレンをハロゲン化することによって製造される。
【0108】
本発明で用いるハロゲン化フェノールの縮合物は、下記一般式(2)で表される。
【0109】
【化6】
【0110】
上記式中、XはBrまたはClであり、pは1〜4の整数であり、そしてqは5以上の整数である。一般式(2)で表されるハロゲン化フェノールの縮合物としては、具体的には、ポリジブロモ−p−フェニレンオキシド、ポリトリブロモ−p−フェニレンオキシド、ポリジクロロ−p−フェニレンオキシド、ポリブロモ−p−フェニレンオキシド、ポリジブロモ−o−フェニレンオキシド等を挙げられる。これらハロゲン化フェノールの縮合物の中では、ポリジブロモ−p−フェニレンオキシドが耐熱性、難燃性の改良効果が優れるので好ましい。これらの難燃剤であるハロゲン化ポリスチレンおよびハロゲン化フェノールの縮合物の中では、ポリトリブロモスチレンが、組成物の成形加工時の熱安定性に優れ、難燃効果にも優れているので最も好ましい。
【0111】
また本発明のポリアミド組成物は、無機難燃助剤として、金属化合物を含有していることが好ましい。金属化合物としては、例えば酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウムなどの金属酸化物や、例えばホウ酸亜鉛などの金属ホウ酸塩などを挙げることができ、特にアンチモン酸ナトリウムを含有していることが好ましい。このアンチモン酸ナトリウムは、式 NaSbO3で表される化学組成を有するものであり、粒径30μm以下、特に10μm以下の微粒子の形態で用いることが好ましい。
【0112】
さらに本発明のポリアミド組成物は、熱安定剤としてさらに酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト類またはリン化合物を含有していることが好ましく、これらの酸化物はできるだけ微細であることが好ましく、粒径30μm以下、特に10μm以下であることが望ましい。
【0113】
上記のような有機難燃剤は、ポリアミド100重量部に対して、20〜100重量部、好ましくは30〜80重量部、さらに40〜65重量部の量で含まれていることが望ましい。また無機難燃助剤は、ポリアミド100重量部に対して、2〜20重量部、好ましくは4〜16重量部、さらに好ましくは6〜14重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0114】
本発明では、特に有機難燃剤と無機難燃剤とを併用することが好ましい。本発明のポリアミドと難燃剤とからなる組成物は、難燃性に優れているのみならず、成形時に金型汚れが少ないため、リフローハンダ部品等の用途に好適である。
その他の成分
本発明のポリアミド組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で前記成分に加えて、他の耐熱安定剤、耐候安定剤、可塑剤、増粘剤、帯電防止剤、離型剤、顔料、染料、無機あるいは有機充填剤、核剤、カーボンブラック、タルク、クレー、マイカ等の無機化合物等の種々公知の配合剤を含有していてもよい。
【0115】
さらにまた、他の各種重合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキシド、弗素樹脂、シリコーン樹脂、脂肪族ポリアミド等を含有してもよい。
【0116】
本発明のポリアミド組成物を調製するには、各成分を、種々公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用すればよい。
【0117】
本発明のポリアミド組成物に含まれるポリアミドは、MO成分の含量が低いので、MO成分に起因する金型汚れが生じにくく、金型のベントがつまりにくく安定した状態で成形体を製造することができる。さらに、MO成分の含量を低下させることによってもポリアミドの特性は低下することはなく、本発明のポリアミド組成物を使用して形成した成形体は、ポリアミドが本質的に有している優れた特性である耐熱性、機械的強度、低吸水性および低摩耗性を保持するとともに耐衝撃性、曲げ強度などに優れている。特に、ポリアミド組成物に難燃剤を導入すると、得られる成形体は上述した特性に優れるとともに難燃性にも優れる。
【0118】
また、本発明のポリアミド組成物は、このポリアミドの融点以上、分解温度未満に加熱して、通常の成形装置を使用して所望の形状に成形することができる。
【0119】
【発明の効果】
本発明により、ポリアミドのもつ優れた機械強度特性、耐熱特性を損なう事なく、金型汚れが少ない半芳香族ポリアミドならびにその組成物を効率よく製造する事ができ、射出成形部品、特に精密部品を効率的に精度良く製造することができる。
【0120】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定的に解釈されるものではない。なお、実施例中のMO成分、金型付着物、引張強度、および金型汚れ評価は以下の方法により測定した。
MO成分:ISO 599に概ね則った測定方法を用いて、MO成分の測定を行なった。以下にその具体的方法を記す。20〜30gのポリアミドの粉末(粒径10〜50μm)と、200mlのメタノールを300mlの三角フラスコに入れ、3時間撹拌しながら還流し、抽出操作を行なった。抽出液を冷却した後に濾過し、フラスコおよび抽出残渣をメタノールで十分洗浄した。濾液と洗浄液を合わせてナスフラスコに移し、減圧下に溶媒を留去し、乾固させてMO成分を得た。このMO成分の重量を精密天秤で秤量した。MO成分の含量(重量%)は次の式で求めた。
【0121】
X=B/A×100
B:MO成分の重量
A:試験前のポリアミドの重量
X:MO成分の含量(重量%)
金型付着物:射出成形金型にスパイラル状ガスベントを設け、シリンダ温度310℃、金型温度70℃で500ショット射出成形し、金型付着物を全量回収し、この重量を精密天秤で秤量した。
引張強度:試験はASTM−D638に従い、試験片は射出成形して得た。これを絶乾状態に乾燥した後に強度を測定した。
金型汚れ評価:薄層ガスベントのある成形金型を用い、連続射出成形を行なった。ガスベント周辺の樹脂に、ガス焼けが原因と思われる変色が目視にて確認できるまでのショット数を測定した。
【0122】
【実施例1】
テレフタル酸46.5kg(280.1モル)、ジアミン成分−1を45.0kg(284.3モル)、安息香酸0.4kg(3.5モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.06kg(0.6モル)および蒸留水27.5 kgをオートクレーブに入れ、反応釜内部を十分に窒素置換した。なお、ジアミン成分−1とは、1,9−ジアミノノナン(以下、NMDAと略記する)と、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン(以下、MODAと略記する)のモル比が、85:15の事を指す。撹拌しながら、内部温度を4時間かけて250℃に昇温した。そのまま1時間反応を続けた後、反応器内の反応生成物をノズルを会して大気中にフラッシュさせ、固液分離と冷却を同時に行ない、次いで乾燥して、(η)=0.1dl/gのポリアミド低次縮合物を得た。このポリアミド低次縮合物を二軸押出機にて溶融重合して、(η)=0.9dl/gのポリアミドを得た。これを100℃の水に6時間接触させ、ポリアミドを得た。このポリアミドについて、MO成分含有量、金型付着物および引張り強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0123】
【実施例2】
実施例1において、ジアミン成分−1を、NMDAとMODAとのモル比を81:19としたジアミン成分−2にした以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドを製造した。このポリアミドについてMO成分含有量、金型付着物、および引張り強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0124】
【実施例3】
実施例2において、100℃の水に6時間接触させるかわりに、60℃のメタノールに3時間接触させた以外は、実施例2に記載した方法でポリアミドを製造した。このポリアミドについてMO成分含有量、金型付着物、および引張り強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0125】
【比較例1】
実施例1において、水に接触しないこと以外は同じ方法でポリアミドを製造した。このポリアミドについてMO成分含有量、金型付着物、および引張り強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0126】
【比較例2】
実施例2において、水に接触しないこと以外は同じ方法でポリアミドを製造した。このポリアミドについてMO成分含有量、金型付着物、および引張り強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
【実施例4】
実施例2において、水に接触する前のポリアミド40重量部に対して、繊維補強材(ここではガラス繊維:旭ファイバーグラス(株)製 CS03JAFT2A)30重量部、変性重合体(ここではマレイン化SEBS:旭化成(株)製 タフテックM1913)2重量部、難燃剤(ここではポリジブロモポリスチレン:グレートレイクスケミカル製 PDBS−80)28重量部を加え、二軸押出機にて溶融混練して組成物を得た。この組成物を100℃の水に6時間接触させ、ポリアミドを得た。この組成物について、MO成分含有量、および金型汚れを測定した。その結果を表2に示す。
【0129】
【実施例5】
実施例2において、水に接触する前のポリアミド40重量部に対して、繊維補強材(ここではガラス繊維:旭ファイバーグラス(株)製 CS03JAFT2A)30重量部、変性重合体(ここではマレイン化SEBS:旭化成(株)製 タフテックM1913)2重量部、難燃剤(ここではポリジブロモポリスチレン:グレートレイクスケミカル製 PDBS−80)28重量部を加え、二軸押出機にて溶融混練して組成物を得た。この組成物を100℃の水に3時間接触させてポリアミドを得た。この組成物について、MO成分含有量、および金型汚れを測定した。その結果を表2に示す。
【0130】
【実施例6】
実施例3において、メタノールに接触する前のポリアミド40重量部に対して、繊維補強材(ここではガラス繊維:旭ファイバーグラス(株)製 CS03JAFT2A)30重量部、変性重合体(ここではマレイン化SEBS:旭化成(株)製 タフテックM1913)2重量部、難燃剤(ここではポリジブロモポリスチレン:グレートレイクスケミカル製 PDBS−80)28重量部を加え、二軸押出機にて溶融混練して組成物を得た。この組成物を60℃のメタノールに2時間接触させポリアミドを得た。この組成物について、MO成分含有量、および金型汚れを測定した。その結果を表2に示す。
【0131】
【比較例3】
実施例4において、水に接触しないこと以外は同じ方法で組成物を製造した。この組成物についてMO成分含有量、および金型汚れを測定した。その結果を表2に示す。
【0132】
【比較例4】
実施例5において、水に接触しないこと以外は同じ方法でポリアミドを製造した。この組成物についてMO成分含有量、および金型汚れを測定した。その結果を表2に示す。
【0133】
【表2】
Claims (4)
- ( a )テレフタル酸と、直鎖及び側鎖を含む炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて( b )イソフタル酸と炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて( c )炭素数4〜18の脂肪族ジカルボン酸と炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて( d )炭素数6〜20のラクタムまたはアミノカルボン酸から誘導される繰り返し単位を有し、
繰り返し単位( a )が91〜100モル%、繰り返し単位( b )が0〜9モル%、繰り返し単位( c )が0〜9モル%、繰り返し単位( d )が0〜9モル%の量で結合してなり、かつ、該ポリアミド中に含有される、60℃のメタノール中に3時間浸漬することにより測定したメタノール可溶性成分(MO成分)の含量が0.5重量%以下であるポリアミドの製造方法であって、
該ポリアミドを製造するに際に、その製造工程のうち、濃硫酸中30℃で測定したポリアミドの極限粘度(η)が0.1〜3.0dl/gにあるいずれかの段階で、ポリアミドと液体状極性化合物とを接触させる事により、60℃のメタノール中に3時間浸漬することにより測定したメタノール可溶性成分の含量が0.5重量%以下となるようにすることを特徴とするポリアミドの製造方法。 - ( a )テレフタル酸と、直鎖及び側鎖を含む炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて( b )イソフタル酸と炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて( c )炭素数4〜18の脂肪族ジカルボン酸と炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて( d )炭素数6〜20のラクタムまたはアミノカルボン酸から誘導される繰り返し単位を有し、
繰り返し単位( a )が91〜100モル%、繰り返し単位( b )が0〜9モル%、繰り返し単位( c )が0〜9モル%、繰り返し単位( d )が0〜9モル%の量で結合してなり、かつ、該ポリアミド中に含有される、60℃のメタノール中に3時間浸漬することにより測定したメタノール可溶性成分(MO成分)の含量が0.5重量%以下であるポリアミドに 繊維状補強材、変性重合体、アイオノマー樹脂、脂肪族ポリアミド、および難燃剤のうち少なくとも1種類以上を含んでなるポリアミド組成物の製造方法であって、
該ポリアミド組成物を製造するに際に、その製造工程のうち、濃硫酸中30℃で測定したポリアミドの極限粘度(η)が0.1〜3.0dl/gにあるいずれかの段階で、ポリアミドと液体状極性化合物とを接触させる事により、60℃のメタノール中に3時間浸漬することにより測定したメタノール可溶性成分の含量が0.5重量%以下となるようにすることを特徴とするポリアミド組成物の製造方法。 - ( a )テレフタル酸と、直鎖及び側鎖を含む炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて( b )イソフタル酸と炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて( c )炭素数4〜18の脂肪族ジカルボン酸と炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて( d )炭素数6〜20のラクタムまたはアミノカルボン酸から誘導される繰り返し単位を有し、
繰り返し単位( a )が91〜100モル%、繰り返し単位( b )が0〜9モル%、繰り返し単位( c )が0〜9モル%、繰り返し単位( d )が0〜9モル%の量で結合してなり、かつ、該ポリアミド中に含有される、60℃のメタノール中に3時間浸漬することにより測定したメタノール可溶性成分(MO成分)の含量が0.5重量%以下であるポリアミドを用いて、連続的に射出成形を行なうことを特徴とする射出成形品の製造方法。 - ( a )テレフタル酸と、直鎖及び側鎖を含む炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘 導される繰り返し単位と、必要に応じて( b )イソフタル酸と炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて( c )炭素数4〜18の脂肪族ジカルボン酸と炭素数8〜12の脂肪族ジアミンとから誘導される繰り返し単位と、必要に応じて( d )炭素数6〜20のラクタムまたはアミノカルボン酸から誘導される繰り返し単位を有し、
繰り返し単位( a )が91〜100モル%、繰り返し単位( b )が0〜9モル%、繰り返し単位( c )が0〜9モル%、繰り返し単位( d )が0〜9モル%の量で結合してなり、かつ、該ポリアミド中に含有される、60℃のメタノール中に3時間浸漬することにより測定したメタノール可溶性成分(MO成分)の含量が0.5重量%以下であるポリアミドを用いることを特徴とする精密部品の製造方法。
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