JP4754077B2 - 電気・電子部品用成形材料 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、ポリアミド樹脂に関し、詳しくは、本発明は電気・電子部品などの用途に好適な、吸水性が低く、成形性、機械的強度および耐熱性に優れたポリアミド樹脂、該ポリアミド樹脂を用いたポリアミド樹脂組成物、ならびに該ポリアミド樹脂組成物からなる電気・電子部品に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
自動車部品や電気・電子部品などの材料として用いられる樹脂には、耐熱性、成形性、低吸水性などに優れることが要求される。このため、従来、比較的高い耐熱性と低い吸水性を有する芳香族ポリアミドが種々提案されている。
たとえば本願出願人は、特開平3−281532号公報において、(a)ジカルボン酸成分単位が、テレフタル酸成分単位52〜58モル%および脂肪族ジカルボン酸成分単位48〜42モル%からなり、(b)ジアミン成分単位が、脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/または脂環族アルキレンジアミン成分単位からなり、かつ、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が0.5〜3.0dl/gの範囲にある芳香族ポリアミドと、繊維状充填剤とを含有するポリアミド樹脂組成物を提案している。このポリアミド樹脂組成物は耐熱性、低吸水性、機械的強度、および耐衝撃性等に比較的優れている。
【0003】
また、たとえば特許2641788号公報には、ヘキサメチレンテレフタルアミド単位を有する、相対粘度(ηr)が1.5〜5.0である結晶性コポリアミドが記載されており、具体的には、ヘキサメチレンテレフタルアミド単位と、カプロアミド単位とのモル比(6T/6)が70/30のコポリアミドおよび、ヘキサメチレンテレフタルアミド単位と、ヘキサメチレンアジパミド単位とのモル比(6T/66)が55/45のコポリアミドが記載されている。
【0004】
さらに、特開平8−1826号公報には、(A)ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩(66塩)と、(B)ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等モル塩(6T塩)と、(C)ナイロン11またはナイロン12とからなる結晶性三元共重合体に、無機フィラー、難燃化剤を添加した自動車部品が記載されており、具体的には、6T/66/12のモル比が50/50/3および60/40/5である三元共重合体を用いた樹脂組成物の成形体が記載されている。
【0005】
またさらに、特公平3−56576号公報には、耐熱性が高くかつ吸水性が低いポリアミドが開示されている。しかしながら、本発明者が検討したところ、このポリアミドは成形時の流動性が低く、複雑な形状を成形する場合などに充分な成形性を有していなかった。
ところで近年、環境保護の観点から、電気製品用のはんだとして、鉛を使用しない「鉛フリーはんだ」が使用されつつある。鉛フリーはんだのリフロー温度は、従来広く使用されていた鉛と錫との共晶はんだと比較して高い傾向にある。このため、電気・電子部品上のプリント配線板の接続などに鉛フリーはんだを用いる場合には、電気・電子部品を形成する樹脂に、より高度な耐熱性、特にはんだのリフロー時における耐熱性が要求される。
【0006】
また、リフロー実装用の電気・電子部品では、吸水率が高いとリフロー時に部品表面に膨れが生じる場合があるため、さらに吸水率の低い樹脂が望まれている。
さらに近年、電気・電子部品は、より小型化、精密化が求められる傾向にある。このため電気・電子部品用途では、精密部品を射出成形しうる、成形時に優れた流動性を有する、より成形性に優れた樹脂組成物が求められている。
【0007】
このような状況において、特に電気・電子部品用途においては、上述した従来のポリアミド樹脂よりも、さらに高度な耐熱性、低吸水性、機械的強度および成形性を有するポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂組成物の出現が強く望まれていた。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであって、吸水性が低く、成形性に優れ、機械的強度および耐熱性などにも優れた、電気・電子部品用途に好適なポリアミド樹脂ならびにポリアミド樹脂組成物を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】
本発明は、はんだリフロー耐熱温度が250℃以上であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物である。
また、本発明は、ポリアミド樹脂、難燃剤、難燃助剤、繊維状補強材を含み、はんだリフロー耐熱温度が250℃以上であることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物である。
【0010】
また、本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、
(A)ジカルボン酸成分単位が
(A1)芳香族ジカルボン酸成分単位:60モル%以上70モル%未満
(A2)脂肪族ジカルボン酸成分単位および/または脂環族ジカルボン酸成分単位:30モル%より多く40モル%以下
であり、
(B)ジアミン成分単位が脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/または脂環族アルキレンジアミン成分単位
であり、濃硫酸を用いて25℃で測定した極限粘度が0.5dl/g以上、3.0dl/g以下であるポリアミド樹脂を含み、かつ、はんだリフロー耐熱温度が250℃以上であることを特徴としている。
【0011】
さらに、前記ポリアミド樹脂は、
(a)ジカルボン酸成分単位が、芳香族ジカルボン酸成分単位61〜64モル%および脂肪族ジカルボン酸成分単位39〜36モル%からなり、
(b)ジアミン成分単位が、脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/または脂環族アルキレンジアミン成分単位からなり、
かつ、濃硫酸中25℃で測定した極限粘度[η]が0.7dl/g以上、1.2dl/g以下の範囲にあることが好ましい。
【0012】
このような本発明のポリアミド樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分単位が、テレフタル酸成分単位および/またはイソフタル酸成分単位であることも好ましい。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、
上記ポリアミド樹脂と、
繊維状補強材、変性重合体、アイオノマー樹脂、脂肪族ポリアミドおよび難燃剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種と
を含有することを特徴としている。
【0013】
このような本発明のポリアミド樹脂組成物は、上記ポリアミド樹脂と、上記ポリアミド樹脂100重量部に対して5〜250重量部の繊維状補強材とを含有するポリアミド樹脂組成物であることも好ましく、また、上記ポリアミド樹脂100重量部に対し、変性重合体および/またはアイオノマー樹脂;1〜70重量部とからなるポリアミド樹脂組成物であることも好ましく、さらに、上記ポリアミド樹脂100重量部に対し、脂肪族ポリアミド;1〜70重量部とからなるポリアミド樹脂組成物であることも好ましい。また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、上記ポリアミド樹脂と、繊維状補強材、変性重合体、アイオノマー樹脂、脂肪族ポリアミド、上記ポリアミド樹脂100重量部に対して2〜100重量部の難燃剤および上記ポリアミド樹脂100重量部に対して2〜20重量部の難燃助剤よりなる群から選ばれる2種以上の成分とを含有することも好ましい。
【0014】
さらに、本発明の電気・電子部品は、上記ポリアミド樹脂組成物からなることを特徴としている。
【0015】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
ポリアミド樹脂組成物
本発明におけるポリアミド樹脂組成物は、はんだリフロー耐熱温度が250℃以上である。
【0016】
本発明において、はんだリフロー耐熱温度とは、リフロー工程後、試験片が溶解せず、かつ、表面に膨れを生じない最高温度(ピーク温度)をいう。以後、単に耐熱温度、あるいは耐熱性という場合がある。
リフロー工程後、試験片が溶解せず、かつ、表面に膨れを生じない最高温度が250℃以上であることが好ましく、この範囲にある場合、電気・電子部品、特に鉛フリーはんだを使用したプリント配線板に搭載する電気・電子部品において、優れたリフロー耐熱性をもつ。この範囲よりも低い場合は電気・電子部品がリフロー工程中に溶解もしくは膨れを生じる欠陥となる場合がある。
【0017】
リフロー時の耐熱性の評価は、射出成形した試験片もしくは電気・電子部品を、赤外線加熱装置、熱風加熱装置、飽和蒸気加熱装置など公知のリフロー装置を用いて加熱することで行うが、特に赤外線および熱風併用型リフローはんだ装置を用いることが好ましい。また電気・電子部品は高温多湿気候下で製造される場合があるため、より正確なリフロー時の耐熱性を評価するために、該試験片もしくは部品を予め吸湿させた後に該評価をすることが好ましい。
【0018】
本発明では、射出成形した試験片を温度40℃、相対湿度95%で96時間吸湿させ、次いで、赤外線および熱風併用型リフローはんだ装置を用いて、設定したピーク温度まで加熱する温度プロファイル(図1参照)のリフロー工程を行った。温度プロファイルは、試験片を厚さ1mmのガラスエポキシ基板上に載置するとともに、この基板上に温度センサーを設置して測定した。
【0019】
本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、成形性に優れる。成形性は、バーフロー法により得られる試験片の長さを目安とすることができる。東芝機械(株)製のIS−55EPNを用いて、シリンダー温度をポリアミド樹脂組成物の融点より10℃高い温度とし、金型温度120℃、射出圧力100MPaで射出成形し、幅10mm、厚さ0.5mmの試験片を作成したときの長さが、40mm以上、好ましくは50mm以上である。
【0020】
バーフロー法により得られる試験片の長さがこのような範囲にあると、複雑な形状を有するコネクタなどの電気・電子部品の成形時に要求される流れ性が満たされるため、ポリアミド樹脂組成物は電気・電子部品の成形に好適に用いることができるようになる。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、靭性に優れる。靭性は曲げ破壊エネルギーを目安とすることができる。本発明に係る組成物により作成された、長さ64mm、幅6mm、厚さ0.8mmの試験片の曲げ破壊エネルギーは、40mJ以上であることが好ましく、さらに45mJ以上であることが好ましい。
【0021】
曲げ破壊エネルギーがこのような範囲にある場合は、電気・電子部品、特にコネクタ類に要求される強度、靭性が満たされるため、例えばコネクタにピンを入れる時においてコネクタが破損することがない。
さらに、上記はんだリフロー耐熱温度、バーフローの長さ、曲げ破壊エネルギーは、組成物に用いるポリアミド樹脂の構造、極限粘度とそれぞれ密接な関係がある。
【0022】
<ポリアミド樹脂>
本発明のポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分単位(a)とジアミン成分単位(b)とからなる。
本発明のポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分単位(a)は、芳香族ジカルボン酸成分単位、および脂肪族ジカルボン酸成分単位および/または脂環族ジカルボン酸成分単位(以下「脂肪族/脂環族ジカルボン酸成分単位」という)からなる。
【0023】
このうち芳香族ジカルボン酸成分単位は、テレフタル酸成分単位および/またはイソフタル酸成分単位であるのが好ましい。本発明では、芳香族ジカルボン酸成分単位が、テレフタル酸成分単位であるのが特に好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸成分単位は、直鎖状であっても分岐を有する鎖状であってもよく、その炭素原子数を特に制限するものではないが、好ましくは炭素原子数4〜25、さらに好ましくは炭素原子数4〜12の脂肪族ジカルボン酸から誘導される成分単位であるのが望ましい。このような脂肪族ジカルボン酸成分単位を誘導するために用いられる脂肪族ジカルボン酸の例としては、たとえば、コハク酸、アジピン酸(AA)、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中では、アジピン酸(AA)が特に好ましい。
【0024】
脂環族ジカルボン酸成分単位は、通常、炭素原子数が6〜25程度であり、かつ少なくとも1個の脂環族炭化水素環を含むジカルボン酸から誘導される成分単位である。
脂環族ジカルボン酸成分単位としては、具体的には、たとえば、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−ビス(ジカルボキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(カルボキシメチル)シクロヘキサン、ビス(4−カルボキシシクロヘキシル)メタン、ビス(4−カルボキシシクロヘキシル)プロパン、4,4′−ジカルボキシ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルプロパン、4,4′−ジカルボキシ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジカルボキシ−3,3′−ジメチル−5,5′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジカルボキシ−3,3′−ジメチル−5,5′−ジメチルジシクロヘキシルプロパン、α,α′−ビス(4−カルボキシシクロヘキシル)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−カルボキシシクロヘキシル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−カルボキシシクロヘキシル)−1,4−シクロヘキサン、α,α′−ビス(4−カルボキシシクロヘキシル)−1,3−シクロヘキサン等の脂環族ジカルボン酸から誘導される成分単位を挙げることができる。
【0025】
本発明のポリアミド樹脂において、ジカルボン酸成分単位(a)は、芳香族ジカルボン酸成分単位が60モル%以上70モル%未満、好ましくは60モル%以上65モル%以下、さらに好ましくは61モル%以上64モル%以下の量で含有され、脂肪族/脂環族ジカルボン酸成分単位が30モル%より上で40モル%以下、好ましくは35モル%以上40モル%以下、さらに好ましくは36モル%以上39モル%以下の量で含有されている。ジカルボン酸成分単位(a)が、芳香族ジカルボン酸成分単位と脂肪族/脂環族ジカルボン酸成分単位とを、上記の量で含有することにより、このようなジカルボン酸成分単位(a)と後述するジアミン成分単位(b)とからなる本発明のポリアミド樹脂および該ポリアミド樹脂を含む組成物から得られる成形体は、はんだリフロー耐熱温度が高く、成形性ならびに靭性に特に優れる。
【0026】
また、本発明においては、ジカルボン酸成分単位(a)として、上記のような芳香族ジカルボン酸成分単位および脂肪族/脂環族ジカルボン酸成分単位と共に、多価カルボン酸成分単位またはテレフタル酸成分単位以外の芳香族ジカルボン酸成分単位が、少量、たとえば、10モル%以下程度の量で含まれていてもよい。このような多価カルボン酸成分単位として具体的には、トリメリット酸およびピロメリット酸等のような三塩基酸および多塩基酸から誘導される成分単位を挙げることができる。
【0027】
本発明のポリアミド樹脂を構成するジアミン成分単位(b)は、脂肪族系ジアミン成分単位のみからなっていてもよく、脂肪族系ジアミン成分単位と脂環族系ジアミン成分単位とからなっていてもよく、脂環族系ジアミン成分単位のみからなっていてもよい。
このような脂肪族系ジアミン成分単位は、直鎖状のアルキレンジアミン成分単位であってもよいし、分岐を有する鎖状のアルキレンジアミン成分単位であってもよい。このような脂肪族系ジアミン成分単位としては、炭素原子数が4〜25の直鎖状あるいは分岐を有する鎖状のアルキレンジアミン成分単位が好ましく、炭素原子数が6〜18の直鎖状あるいは分岐を有する鎖状のアルキレンジアミン成分単位がさらに好ましく、炭素原子数が6〜18の直鎖状のアルキレンジアミン成分単位が特に好ましい。
【0028】
このような脂肪族系ジアミン成分単位としては、具体的には、たとえば、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の直鎖状アルキレンジアミンから誘導される成分単位;および、1,4−ジアミノ−1,1−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1−エチルブタン、1,4−ジアミノ−1,2−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1,3−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−1,4−ジメチルブタン、1,4−ジアミノ−2,3−ジメチルブタン、1,2−ジアミノ−1−ブチルエタン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,4−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−3,3−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,2−ジメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジアミノ−2,4,4−トリメチルヘキサン、1,7−ジアミノ−2,3−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−2,4−ジメチルヘプタン、 1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,8−ジアミノ−2−メチルオクタン、1,8−ジアミノ−1,3−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−1,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−2,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−3,4−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−4,5−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−2,2−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−3,3−ジメチルオクタン、1,8−ジアミノ−4,4−ジメチルオクタン、1,6−ジアミノ−2,4−ジエチルヘキサン、1,9−ジアミノ−5−メチルノナン等の分岐を有する鎖状のアルキレンジアミンから誘導される成分単位を挙げることができる。
【0029】
このような直鎖状あるいは分岐を有する鎖状のアルキレンジアミン成分単位のうちでは、直鎖状のアルキレンジアミン成分単位が好ましく、特に1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン等の直鎖状アルキレンジアミンのうちの1種あるいは2種以上の化合物から誘導される成分単位が好ましい。
【0030】
脂環族ジアミン成分単位は、通常、炭素原子数が6〜25程度であり、かつ少なくとも1個の脂環族炭化水素環を含むジアミンから誘導される成分単位である。
このような脂環族ジアミン成分単位としては、具体的には、たとえば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルプロパン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチル−5,5′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチル−5,5′−ジメチルジシクロヘキシルプロパン、α,α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−1,4−シクロヘキサン、α,α′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)−1,3−シクロヘキサン等の脂環族ジアミンから誘導される成分単位を挙げることができる。
【0031】
これらの脂環族ジアミン成分単位のうちでは、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタンが好ましく、特にビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジアミンから誘導される成分単位が好ましい。
【0032】
なお、本発明のポリアミド樹脂を構成するジアミン成分単位は、上述のようなアルキレンジアミン成分の他に、芳香族系ジアミン成分単位を含んでいても良く、このような芳香族系ジアミン成分単位としては、具体的には、たとえば、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の芳香族系ジアミンから誘導される成分単位を挙げることができる。これらの芳香族系ジアミンは単独で、または2種以上組合わせて用いることができる。
【0033】
また、本発明のポリアミドは、上記のようなジカルボン酸成分単位(a)とジアミン成分単位(b)とからなる繰り返し単位の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、炭素原子数6〜20、好ましくは6〜12のラクタムまたはアミノカルボン酸から誘導される繰返し単位を有していてもよい。このようなラクタムまたはアミノカルボン酸の具体的な例としては、ε−カプロラクタム、6−アミノカプロン酸、ζ−エナントラクタム、η−カプリルラクタム、ω−ラウロラクタム、ω−ウンデカラクタム、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸等を挙げることができる。上記のようなラクタムまたはアミノカルボン酸からは、次式で表される構造の繰り返し単位が形成される。
【0034】
【化1】
【0035】
上記式において、nは5〜20、好ましくは5〜19、特に好ましくは5〜12の整数である。
このようなジカルボン酸成分単位(a)とジアミン成分単位(b)とからなる本発明のポリアミド樹脂は、従来公知の方法により製造することができる。
具体的には、前述したポリアミド樹脂の成分単位を誘導し得るジカルボン酸とジアミンとを重縮合させることによって製造することができる。
【0036】
また本発明のポリアミド樹脂は、前記ジカルボン酸成分単位(a)に対応するジカルボン酸とジアミン成分単位(b)に対応するジアミンとの塩を、水等の溶媒の存在下または不存在下に、溶液法にて重縮合させることによっても得ることができる。
さらにまた、上記の溶液法などを利用することによりオリゴマーを生成させた後、固相重合法を利用してさらに重縮合させることによっても本発明のポリアミド樹脂を得ることができる。
【0037】
本発明のポリアミド樹脂は、温度25℃の濃硫酸中で測定した極限粘度[η]が0.5dl/g以上、好ましくは0.6dl/g以上、さらに好ましくは0.7dl/g以上、特に好ましくは0.9dl/g以上であり、かつ3.0dl/g以下、好ましくは1.2dl/g以下、さらに好ましくは1.0dl/g以下であることが好ましく、特に0.5dl/g以上3.0dl/g以下であって、好ましくは0.6dl/g以上1.2dl/g以下、さらに好ましくは0.7dl/g以上1.2dl/g以下、特に好ましくは0.9dl/g以上1.0dl/g以下の範囲内にあるのが望ましい。なお、ポリアミドの極限粘度を測定する他の方法として、濃硫酸の代わりにフェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)を使用する方法がある。本発明のポリアミド樹脂の極限粘度を、この溶液を用いて30℃で測定した場合にも、通常、濃硫酸で測定した場合と同様の値が得られ、0.6dl/g以上、1.2dl/g未満である。
【0038】
また、ポリアミドの極限粘度[η]は、ポリアミド組成物のはんだリフロー耐熱温度、成形性、靭性と密接な関連性がある。
このような本発明のポリアミド樹脂は、吸水性が低く、成形性および耐熱性に優れており、電気・電子部品の素材として好適に用いることができる。また、本発明のポリアミド樹脂は、他の成分と混合したポリアミド樹脂組成物としても好適に用いることができる。
【0039】
難燃性ポリアミド樹脂組成物
本発明に係る難燃性ポリアミド樹脂組成物は、上述した本発明のポリアミド樹脂と、繊維状補強材、難燃剤、難燃助剤を含み、変性重合体、アイオノマー樹脂、脂肪族ポリアミドを含んでいてもよい。
このような本発明のポリアミド樹脂組成物は、上述のポリアミド樹脂と、該ポリアミド樹脂100重量部に対して5〜250重量部の繊維状補強材とを含有する組成物であってもよい。
【0040】
また本発明のポリアミド樹脂組成物は、上述のポリアミド樹脂100重量部に対し、変性重合体および/またはアイオノマー樹脂;1〜70重量部からなる組成物であってもよい。
さらに本発明のポリアミド樹脂組成物は、上述のポリアミド樹脂100重量部に対し、脂肪族ポリアミド;1〜70重量部からなる組成物であってもよい。
【0041】
またさらに本発明のポリアミド樹脂組成物は、上述のポリアミド樹脂と、繊維状補強材、変性重合体、アイオノマー樹脂、脂肪族ポリアミドおよび難燃剤よりなる群から選ばれる2種以上の成分とを含有する組成物であってもよい。
<繊維状補強材>
本発明に係るポリアミド樹脂組成物には、上述したポリアミド樹脂と共に繊維状補強材を含有させることができる。
【0042】
好ましい繊維状補強材としては、具体的には、たとえば、全芳香族系ポリアミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維およびホウ素繊維、アルミナ繊維、金属繊維の中から選ばれる少なくとも1種の無機および/または有機充填剤が挙げられる。
全芳香族系ポリアミド繊維としては、具体的には、ケブラー(商品名、デュポン社製)、トワロン(商品名、エンカ社製)、テクノーラ(商品名、帝人(株)製)などが挙げられる。
【0043】
これらの繊維状補強材の中でも、価格と性能とのバランスからガラス繊維、カーボン繊維が好ましく用いられる。このような充填剤を上記ポリアミド樹脂に配合すると、得られる組成物における熱変形温度等の耐熱性が一段と向上するのみならず、高温剛性も向上してくる傾向が強い。
上記のような繊維状補強材の平均長さは、0.1〜20mm、好ましくは1〜10mmの範囲にあることが望ましい。繊維状補強材の平均長さがこのような範囲にあると、得られるポリアミド樹脂組成物の成形性が向上し、かつこのポリアミド樹脂組成物から得られる成形体の熱変形温度などの耐熱特性、引張強度、曲げ強度などの機械的特性などが向上する傾向が見られる。
【0044】
このような繊維状補強材を用いる場合、繊維状補強材は、上述した本発明のポリアミド樹脂100重量部に対して、通常は5〜250重量部の量で、好ましくは10〜220重量部の量で、さらに好ましくは15〜150重量部の量で含有させるのが望ましい。繊維状補強材の含有量がこのような範囲にある場合、ポリアミド樹脂組成物の熱変形温度、高温剛性がより高くなるため好ましい。なお、ポリアミド樹脂100重量部に対する繊維状補強材の配合量が5重量部未満であると、ポリアミド樹脂組成物の熱変形温度、高温剛性を高くする効果が少なく、充分な熱変形温度および耐熱剛性が得られない場合がある。また、配合量を250重量部より多くしても熱変形温度等はほとんど向上しない。
【0045】
<変性重合体>
本発明で用いられる変性重合体としては、変性α−オレフィン系重合体および、変性芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体などが挙げられる。
変性α−オレフィン系重合体は、α−オレフィンからなる単位を主成分として含有するα−オレフィン系重合体に、不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト共重合して得られる。
【0046】
このような変性α−オレフィン系重合体としては、α−オレフィンからなる単位を主成分として含有するα−オレフィン系重合体100重量部に対して、不飽和カルボン酸またはその誘導体からなる単位を通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の範囲でグラフト共重合してなるものが望ましく、また、190℃におけるメルトフローレート(MFR190℃)が0.01〜50g/10分、好ましくは0.05〜20g/10分の範囲にあるものが望ましい。
【0047】
さらに、このような変性α−オレフィン系重合体は、分子量分布(Mw/Mn)が通常1.5〜50、好ましくは2〜30の範囲であるのが望ましい。
該変性α−オレフィン系重合体中の不飽和カルボン酸またはその誘導体からなる単位のグラフト割合が0.01重量部より小さくなると、上述のポリアミド樹脂に対する相溶性が悪くなり、ポリアミド組成物の衝撃強度が低下し、10重量部より大きくなると、該グラフト変性物の架橋度が増大して、ポリアミドに配合しても組成物の耐衝撃性を改善する効果が低下するようになることがある。
【0048】
該変性α−オレフィン系重合体のベースとなるα−オレフィン系重合体は、α−オレフィンからなる単位を主成分とする重合体であり、二以上のα−オレフィンからなる単位のみから構成されている場合もあるし、α−オレフィンの他に少量のジエンからなる単位を含有していても差しつかえない。
該α−オレフィン系重合体を製造する際に用いられるα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1- デセン、1-ドデセンなどを例示することができ、ジエンとしては、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン 2-ノルボルネン、2,5-ノルボルナジエンなどの非共役ジエン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレンなどの共役ジエンなどを例示することができる。
【0049】
該α−オレフィン系重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体、エチレン・1-オクテン共重合体、エチレン・1-デセン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、プロピレン・1-オクテン共重合体、プロピレン・1-デセン共重合体、プロピレン・1-ドデセン共重合体などのα−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・2,5-ノルボルナジエン共重合体、エチレン・1-ブテン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・1-ブテン・1,4-ヘキサジエン共重合体、エチレン・1-ブテン・5-エチリデン 2-ノルボルネン共重合体などのα−オレフィン・非共役ジエン共重合体などを例示することができる。
【0050】
該α−オレフィン系重合体と後記不飽和カルボン酸またはその誘導体とを後記方法によって反応させることにより、変性α−オレフィン系重合体が得られる。
該α−オレフィン系重合体をグラフト変性する際に用いられるグラフトモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(ナジック酸TM)、メチル−エンドシ ス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)などの不飽和ジカルボン酸、および塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどの上記不飽和ジカルボン酸の酸ハライド、アミド、イミド、酸無水物、エステルなどの不飽和ジカルボン酸の誘導体が挙げられる。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、とくにマレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物が好適である。
【0051】
該不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれるグラフトモノマーをα−オレフィン系重合体にグラフト共重合して前記変性α−オレフィン系重合体を製造するには、従来公知の種々の方法を採用することができる。たとえば、該α−オレフィン系重合体を溶融させ、グラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる方法、あるいは溶媒に溶解させ、グラフトモノマーを添加してグラフト共重合させる方法がある。いずれの場合にも前記グラフトモノマーを効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下に反応を実施することが好ましい。グラフト反応は通常60〜350℃の温度で行われる。ラジカル開始剤の使用割合は該α−オレフィン系重合体100重量部に対して通常0.01〜20重量部の範囲である。ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、有機ペルエステル、アゾ化合物などを使用することができる。
【0052】
また本発明で用いられる変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物は、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエン系化合物とのブロック共重合体のグラフト変性物であり、さらに本発明においてはこれらの共重合体の水素化物のグラフト変性物を使用することもできる。
このような芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物の具体的な例としては、スチレン・ブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合体ゴム、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム、水素添加スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、および水素添加スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体ゴム等を挙げることができる。
【0053】
これらの共重合体中において、芳香族ビニルから誘導される繰返し単位と共役ジエンから誘導される繰返し単位とのモル比(芳香族ビニル炭化水素/共役ジエン)は、通常は10/90〜70/30である。また、水素添加した共重合体ゴムとは、上記の共重合体ゴム中に残存する二重結合の一部または全部を水素化した共重合体である。この芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水添物について135℃の デカリン中で測定した極限粘度[η]は、通常は0.01〜10dl/g、好ましく は0.08〜7dl/gの範囲内ある。
【0054】
本発明で使用される変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体は、上記のような 未変性の芳香族ビニル・共役ジエン共重合体を、上記変性α−オレフィンランダム共重合体の製造方法と同様に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物あるいは不飽和カルボン酸誘導体を用いてグラフト変性することにより製造される。
【0055】
ここで使用される不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物あるいは不飽和カルボン酸誘導体の例としては、上記グラフト変性α−オレフィンランダム共重合体を製造する際に使用される化合物を挙げることができ、このようなグラフト変性剤は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。このようなグラフト変性剤のうちでは、不飽和カルボン酸無水物を使用することが好ましく、無水マレイン酸または無水ナジック酸が特に好ましい。
【0056】
上記のような未変性の共重合体またはその水素化物にこのようなグラフト変性剤をグラフト重合させるには、上記α−オレフィンランダム共重合体の変性の際に説明した溶液法および溶融法等の方法を採用することができる。
グラフト反応において、グラフト変性剤は、その反応性を考慮して使用量が設定されるが、一般には、未変性の芳香族ビニル・共役ジエン共重合体または水素化物100重量部に対して、1〜10重量部の割合で使用される。グラフト反応を行う際には、上記と同様に有機ペルオキシド、有機ペルエステルおよびアゾ化合物などのラジカル開始剤を使用することができる。こうしてグラフト反応を行うことにより、未反応の芳香族ビニル・共役ジエン 共重合体または水素化物100重量部あたり、グラフト変性剤が通常は0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の割合でグラフト重合したグラフト変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物を得ることができる。このようなグラフト変性芳香族ビニル・共役ジエン共重合体またはその水素化物を使用することにより、靱性に優れた成形体を得ることができる。
【0057】
本発明のポリアミド組成物において、該変性α−オレフィン系重合体または変性芳香族ビニル・共役ジエンブロック共重合体の配合割合は、該ポリアミド100重量部に対して1〜70重量部の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは2〜40重量部の範囲である。該変性α−オレフィン系重合体の配合割合が1〜70重量部の範囲にあると、該ポリアミド組成物の引張り強度、曲げ強度、弾性率、耐熱性が向上するようになるため好ましい。
【0058】
<アイオノマー樹脂>
本発明で用いられるアイオノマー樹脂としては、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体を2価の金属イオンあるいは1価の金属イオンで部分的に中和したものが挙げられる。アイオノマー樹脂を構成するエチレン-不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体であるが、この不飽和カルボン酸としては、炭素原子数3〜8の不飽和カルボン酸、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステルおよびマレイン酸モノエチルエステル等が用いられる。これらの不飽和カルボン酸のうちで、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましく用いられる。
【0059】
本発明で用いられるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと上記のような不飽和カルボン酸に加えて、第3成分を含んでいてもよく、このような第3成分としては、炭素原子数3〜12程度の極性ビニル化合物、たとえばアクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニルなどのビニルエステルが用いられる。本発明で用いられるエチレン不飽和カルボン酸共重合体では、エチレンは通常は50〜99重量%、好ましくは70〜98重量%の量で存在し、また不飽和カルボン酸は、通常は1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%の量で存在している。また、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体がエチレン成分および不飽和カルボン酸に加えて、第3成分を含む場合、第3成分は通常は40重量%以下の量、好ましくは30重量%以下の量で存在している。
【0060】
本発明で用いられるアイオノマー樹脂は、上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部が2価の金属イオンあるいは1価の金属イオン、好ましくは2価の遷移金属イオンで中和されている。このようなアイオノマー樹脂に用いられる金属イオンとしては、Na+、Li+、K+などのアルカリ金属イオン、Zn++、Co++、Ni++、Pb++、Cu++などの2価の遷移金属イオンあるいはCa++、Mg++などのアルカリ土類金属イオンが好ましく、Zn++を用いることが特に好ましい。
【0061】
上記のような2価の金属イオン、好ましくは2価の遷移金属イオンによるエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の中和度は、3〜95%であることが好ましい。アイオノマー樹脂を形成する金属の種類は1種類に限定されるものではなく、本発明で使用されるアイオノマー樹脂は、2種類以上の金属イオンを有していてもよい。このようなアイオノマー樹脂は上記変性共重合体を使用する場合と同等の量で用いられる。またアイオノマー樹脂は、変性重合体と併用することができる。
【0062】
<脂肪族ポリアミド>
本発明で用いられる脂肪族ポリアミドとしては、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンとの重縮合により形成されるポリアミド、ラクタム類の開環重合により形成されるポリアミド、および脂肪族アミノカルボン酸と脂肪族ジアミンとラクタム類とから形成されるポリアミドが挙げられる。
【0063】
このような脂肪族ポリアミドの具体例としては、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンスペラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンウンデカミド、ポリヘキサメチレンドデカミドのような脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから形成されるポリアミド;ならびに、ポリカプロラクタム、ポリウンデカミドおよびポリドデカミドのようなラクタム類またはアミノカルボン酸から形成されるポリアミドを挙げることができる。
【0064】
本発明においては、上記脂肪族ポリアミドのうちでは、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンスペラミド、ポリウンデカミド、ポリドデカミド、ポリヘキサメチレンウンデカミドおよびポリヘキサメチレンドデカミドのいずれかを使用するのが、組成物の成形流動性が向上するため好ましい。特にポリウンデカミド、ポリドデカミド、ポリヘキサメチレンウンデカミド、ポリヘキサメチレンドデカミドを用いると、組成物の耐熱老化性が向上するため好ましい。このような脂肪族ポリアミドの極限粘度[η](30℃の濃硫酸中で測定した値)は、通常は0.5〜3.0dl/g、好ましくは0.7〜1.5dl/gの範囲内にあるのが望ましい。
【0065】
上記のような脂肪族ポリアミドは、本発明のポリアミド樹脂組成物中のポリアミド樹脂100重量部に対し、1〜70重量部の範囲内の量で含有されていることが好ましい。本発明のポリアミド系樹脂組成物中における脂肪族ポリアミドの含量は、より好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部の範囲内にあるのが望ましい。本発明のポリアミド樹脂組成物は、このような範囲の量で脂肪族ポリアミドを含有することにより、靱性が向上し、耐熱性および低吸水性などの特性のバランスに優れた成形体を製造可能な組成物とすることができる。また、成形性も改善することができる。
【0066】
<難燃剤>
本発明で用いられる難燃剤としては、有機難燃剤と無機難燃助剤とが挙げられる。
このうち有機難燃剤としては、特にハロゲン化ポリスチレンおよび/またはハロゲン化フェノールの縮合物が好ましい。以下にハロゲン化ポリスチレンおよびハロゲン化フェノールの縮合物について説明する。
【0067】
本発明において、有機難燃剤として用いられるハロゲン化ポリスチレンとしては、下記一般式(1)で表される重合体が用いられる。
【0068】
【化2】
【0069】
上記一般式(1)中、Rは水素またはメチル基であり、XはBrまたはClであり、mは1〜 5の整数であり、そしてnは2以上の整数である。一般式(1)で表されるハロゲン化ポリスチレンとしては、具体的には、ポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレン、ポリペンタブロモスチレン、ポリジクロロスチレン、ポリトリクロロスチレン、ポリペンタクロロスチレン、ポリトリブロモα−メチルスチレン等が挙げられる。これらのハロゲン化ポリスチレンの中では、ポリトリブロモスチレンが難燃性、耐熱性、耐熱老化性の改良効果が優れるので好ましい。また、ポリジブロモスチレンは、成形性が優れている点で好ましい。
【0070】
ハロゲン化ポリスチレンはハロゲン化スチレンないしハロゲン化α−メチルスチレンを重合するか、またはポリスチレン、ポリα−メチルスチレンをハロゲン化することによって製造される。
本発明で用いるハロゲン化フェノールの縮合物は、下記一般式(2)で表される。
【0071】
【化3】
【0072】
上記一般式(2)中、XはBrまたはClであり、pは1〜4の整数であり、そしてqは5以上の整数である。一般式(2)で表されるハロゲン化フェノールの縮合物としては、具体的には、ポリジブロモ-p-フェニレンオキシド、ポリトリブロモ-p-フェニレンオキシド、ポリジクロロ-p-フェニレンオキシド、ポリブロモ-p-フェニレンオキシド、ポリジブロモ-o-フェニレンオキシド等を挙げられる。これらハロゲン化フェノールの縮合物の中では、ポリジブロモ-p-フェニレンオキシドが耐熱性、難燃性の改良効果が優れるので好ましい。これらの難燃剤であるハロゲン化ポリスチレンおよびハロゲン化フェノールの縮合物の中では、ポリトリブロモスチレンおよびポリジブロモスチレンが、組成物の成形加工時の熱安定性に優れ、難燃効果にも優れているので最も好ましい。
【0073】
また、無機難燃助剤としては、金属化合物が好ましく用いられる。金属化合物としては、例えば酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウムなどの金属酸化物や、例えばホウ酸亜鉛などの金属ホウ酸塩などを挙げることができ、特にアンチモン酸ナトリウムを含有していることが好ましい。このアンチモン酸ナトリウムは、式 NaSbO3 で表される化学組成を有するものであり、粒径30μm以下、特に10μm以下の微粒子の形態で用いることが好ましい。
【0074】
さらに本発明のポリアミド組成物は、熱安定剤としてさらに酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト類またはリン化合物を含有していることが好ましく、これらの酸化物はできるだけ微細であることが好ましく、粒径30μm以下、特に10μm以下であることが望ましい。
上記のような有機難燃剤は、ポリアミド100重量部に対して、20〜100重量部、好ましくは30〜80、さらに40〜65重量部の量で含まれていることが望ましい。また無機難燃助剤は、ポリアミド100重量部に対して、2〜20重量部、好ましくは4〜16重量部、さらに好ましくは6〜14重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0075】
本発明では、特に有機難燃剤と無機難燃剤とを併用することが好ましい。本発明のポリアミドと難燃剤とからなる組成物は、難燃性に優れているのみならず、成形時に金型汚れが少ないため、リフローハンダ部品等の用途に好適である。
<その他の成分>
本発明のポリアミド組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で前記成分に加えて、他の耐熱安定剤、耐候安定剤、可塑剤、増粘剤、帯電防止剤、離型剤、顔料、染料、無機あるいは有機充填剤、核剤、カーボンブラック、タルク、クレー、マイカ等の無機化合物等の種々公知の配合剤を含有していてもよい。
【0076】
さらにまた、他の各種重合体、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4 メチル-1-ペンテン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体等のオレフィン共重合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキシド、弗素樹脂、シリコーン樹脂、脂肪族ポリアミド等を含有してもよい。
【0077】
<ポリアミド樹脂組成物の調製>
本発明のポリアミド組成物は、各成分を所望の割合で、従来公知の方法で混合することにより得ることができ、たとえば、ヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用することにより適宜調製することができる。
【0078】
たとえば、本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、上述した本発明のポリアミド樹脂を溶融状態、例えば280〜360℃に加熱・維持しながら、必要により上記繊維状充填剤、変性重合体、アイオノマー樹脂、脂肪族ポリアミド、難燃剤および各種添加剤を配合して混練するなどの方法により調製することができ、この際、押出し機、ニーダー等の通常の混練装置を用いることができる。
【0079】
例えば上記のようにして調製された本発明のポリアミド樹脂組成物は、粉末、ペレット状その他の形状にして、圧縮成形法、射出成形法、押出し成形法などを利用することにより、各種成形品にすることができる。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、吸水率が小さく、成形性、機械的諸強度特性および耐熱性に優れており、また絶縁性にも優れている。このため本発明のポリアミド樹脂組成物は、これらの特性が要求される分野、あるいは精密成形分野の用途に好適に用いることができ、具体的には、自動車部品、コネクターなどの電気・電子部品、コイルボビン、ハウジング等の各種成形品の形成材料として種々の用途に好適に用いることができる。本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、これらの用途のうち、高度な耐熱性、絶縁性、形状安定性が求められる電気・電子部品用途に特に好適に用いることができる。
【0080】
【発明の効果】
本発明に係るポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂組成物は、吸水性が低く、成形性、耐熱性、形状安定性、機械的強度に優れ、自動車部品、電気・電子部品などの用途に好適に用いることができる。
また、本発明に係る電気・電子部品は、吸水性が低く、機械的強度、絶縁性および耐熱性に優れる。
【0081】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<測定・評価方法>
以下の実施例および比較例において、極限粘度(a)[η]aおよび(b) [η]b、成形性、曲げ強度、吸水率、加熱時の膨れは、以下の方法により測定および評価した。
【0082】
極限粘度 [ η ] a :ISO 307−1984(E)に準拠し、濃硫酸中、25℃で測定し、極限粘度[η]a(dl/g)を求めた。
極限粘度 [ η ] b :上記極限粘度[η]aの測定において、濃硫酸の代わりにフェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)を使用し、30℃で測定して極限粘度[η]b(dl/g)を求めた。
【0083】
成形性−1:東芝機械(株)製のIS−55EPNを用いて、シリンダー温度をポリアミド樹脂組成物の融点より10℃高い温度とし、金型温度120℃、射出圧力100MPaにて射出成形し、幅10mm、厚さ0.5mmの試験片を作成し、長さを測定した。
成形性−2:東芝機械(株)製のIS−55EPNを用いて、シリンダー温度をポリアミド樹脂組成物の融点より10℃高い温度とし、金型温度120℃で、0.5mmピッチコネクタを射出成形し、部品に樹脂が充填されているかどうかを目視にて判断した。射出圧力80MPaで樹脂が部品に充填された場合に成形性○、射出圧力100MPaで樹脂が部品に充填された場合に成形性△、未充填の場合に成形性×と評価した。
【0084】
曲げ強度:射出成形にて64mm×6.0mm×0.8mmの試験片を得た後、この試験片を絶乾状態に乾燥した後にスパン26mm、曲げ速度5mm/分の条件で強度を測定した。
曲げ破壊エネルギー:射出圧力100MPa、シリンダー温度をポリアミド樹脂組成物の融点より10℃高い温度とし、金型温度120℃にて射出成形し、長さ64mm、幅6mm、厚さ0.8mmの試験片を得た。この試験片について、曲げ破壊エネルギーを測定した。曲げ破壊エネルギーはインテスコ全自動5本掛け曲げ試験機を用いてスパン26mm、曲げ速度5mm/分の条件で測定し、たわみを横軸に、荷重を縦軸にとり、破断点までの面積を曲げ破壊エネルギー(mJ)とした。
【0085】
吸水率:射出成形により、64mm×6.0mm×0.8mmの試験片を作成した。これを40℃、相対湿度95%の恒温恒湿室に保管して吸水させた。96時間吸水させた後、試験片重量を精密天秤で測定した。吸水率(重量%)は、次の式で求めた。
M=(M2−M1)/M1×100
M:吸水率(重量%)
M1:試験片の絶乾重量
M2:吸水後の試験片重量
リフロー時の耐熱性:射出圧力100MPa、シリンダー温度をポリアミド樹脂組成物の融点より10℃高い温度とし、金型温度120℃にて射出成形し、長さ64mm、幅6mm、厚さ0.8mmの試験片を得た。この試験片について、温度40℃、相対湿度95%で96時間吸湿した。次いで、赤外線および熱風併用型リフローはんだ装置(日本アントム工業(株)製、SOLSYS−2001R)を用いて、設定したピーク温度まで加熱する温度プロファイル(図1参照)のリフロー工程を行った。温度プロファイルは、試験片を厚さ1mmのガラスエポキシ基板上に載置するとともに、この基板上に温度センサーを設置して測定した。
【0086】
【実施例1】
テレフタル酸48.4kg(292mol)、アジピン酸27.2kg(186mol)、1,6−ジアミノヘキサン56.0kg(482mol)、安息香酸0.7kg(6mol)、および次亜リン酸ナトリウム0.1kg(1mol)、さらに蒸留水13.2kgを反応釜に入れ、釜内部を十分に窒素置換した。撹拌しながら、内部温度を4時間かけて250℃に昇温した。そのまま1時間反応を続けた後、反応器内の反応生成物をノズルから大気中にフラッシュさせ、固液分離と冷却を同時に行い、次いで乾燥して、[η]a=0.1dl/gのポリアミド低次縮合物を得た。このポリアミド低次縮合物を240℃にて2時間固相重合した後、二軸押出機にて溶融重合して、[η]a=0.9dl/g、[η]b=0.9dl/gのポリアミドを得た。
【0087】
このポリアミド40重量部に対して、繊維補強材(ガラス繊維;旭ファイバーグラス(株)製 CS03JAFT2A、繊維径10μm、平均繊維長3mm)30重量部、変性重合体(マレイン化SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体);旭化成(株)製 タフテックM1913)1.5重量部、難燃剤(ポリジブロモスチレン;グレートレイクスケミカル製 PDBS−80)25重量部、難燃助剤(アンチモン酸ソーダ;日産化学(株)製 サンエポックNA−1070L)4.5重量部、および、ハロゲンキャッチャー(ハイドロタルサイト;協和化学工業(株)製 T−4C)0.3重量部を加え、二軸押出機にて溶融混練して組成物を得た。
【0088】
この組成物について、成形性、曲げ強度、吸水率、およびはんだリフロー時の耐熱性を評価した。その結果を表1に示す。
【0089】
【実施例2】
実施例1において、テレフタル酸を49.6kg(299mol)とし、アジピン酸を26.2kg(179mol)としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミドを調製し、[η]aおよび[η]bを測定した。結果を表1に示す。次いで、得られたポリアミドを用いて、実施例1と同様にしてポリアミド組成物を製造した。この組成物について、成形性、曲げ強度、吸水率、およびはんだリフロー時の耐熱性を評価した。その結果を表1に示す。
【0090】
【実施例3】
実施例1において、テレフタル酸を49.6kg(299mol)とし、アジピン酸を26.2kg(179mol)としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミドを調製し、[η]aおよび[η]bを測定した。結果を表1に示す。次いで、得られたポリアミドを用いて、実施例1と同様にしてポリアミド組成物を製造した。この組成物について、成形性、曲げ強度、吸水率、およびはんだリフロー時の耐熱性を評価した。その結果を表1に示す。
【0091】
【実施例4】
実施例1において、テレフタル酸を50.8kg(306mol)とし、アジピン酸を25.1kg(172mol)としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミドを調製し、[η]aおよび[η]bを測定した。結果を表1に示す。次いで、得られたポリアミドを用いて、実施例1と同様にしてポリアミド組成物を製造した。この組成物について、成形性、曲げ強度、吸水率、およびはんだリフロー時の耐熱性を評価した。その結果を表1に示す。
【0092】
〔参考例5〕
実施例1において、テレフタル酸を47.6kg(287mol)とし、アジピン酸を27.9kg(191mol)としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミドを調製し、[η]aおよび[η]bを測定した。結果を表1に示す。次いで、得られたポリアミドを用いて、実施例1と同様にしてポリアミド組成物を製造した。この組成物について、成形性、曲げ強度、吸水率、およびはんだリフロー時の耐熱性を評価した。その結果を表1に示す。
【0093】
【実施例6】
実施例1において、テレフタル酸を49.6kg(299mol)とし、アジピン酸を26.2kg(179mol)としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミドを調製し、[η]aおよび[η]bを測定した。結果を表1に示す。次いで、得られたポリアミドを用いて、実施例1と同様にしてポリアミド組成物を製造した。この組成物について、成形性、曲げ強度、吸水率、およびはんだリフロー時の耐熱性を評価した。その結果を表1に示す。
【0094】
〔参考例7〕
実施例1において、テレフタル酸を51.6kg(311mol)とし、アジピン酸を24.4kg(167mol)としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミドを調製し、[η]aおよび[η]bを測定した。結果を表1に示す。次いで、得られたポリアミドを用いて、実施例1と同様にしてポリアミド組成物を製造した。この組成物について、成形性、曲げ強度、吸水率、およびはんだリフロー時の耐熱性を評価した。その結果を表1に示す。
【0095】
【比較例1】
実施例1において、テレフタル酸を43.7kg(263mol)とし、アジピン酸を31.4kg(215mol)としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミドを調製し、[η]aおよび[η]bを測定した。結果を表1に示す。次いで、得られたポリアミドを用いて、実施例1と同様にしてポリアミド組成物を製造した。この組成物について、成形性、曲げ強度、吸水率、およびはんだリフロー時の耐熱性を評価した。その結果を表1に示す。
【0096】
【比較例2】
実施例1において、テレフタル酸を59.6kg(359mol)とし、アジピン酸を17.4kg(119mol)としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミドを調製し、[η]aおよび[η]bを測定した。結果を表1に示す。次いで、得られたポリアミドを用いて、実施例1と同様にしてポリアミド組成物を製造した。この組成物について、成形性、曲げ強度、吸水率、およびはんだリフロー時の耐熱性を評価した。その結果を表1に示す。
【0097】
なお、成形性およびはんだリフロー時の耐熱性については、ポリアミド樹脂のTmが345℃と高いため、成形時に発泡してしまい、ポリアミド樹脂が分解してしまったため、評価できなかった。
【0098】
【比較例3】
実施例1において、テレフタル酸を55.7kg(335mol)とし、アジピン酸を20.9kg(143mol)としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリアミドを調製し、[η]aおよび[η]bを測定した。結果を表1に示す。次いで、得られたポリアミドを用いて、実施例1と同様にしてポリアミド組成物を製造した。この組成物について、成形性、曲げ強度、吸水率、およびはんだリフロー時の耐熱性を評価した。その結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、加熱時の膨れを評価するリフロー工程の温度プロファイルを説明する図である。
Claims (9)
- (A)ジカルボン酸成分単位が(A1)芳香族ジカルボン酸単位:61モル%以上64モル%以下(A2)脂肪族ジカルボン酸成分単位および/または脂環族ジカルボン酸成分単位:36モル%以上39モル%以下であり、(B)ジアミン成分単位が脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/または脂環族アルキレンジアミン成分単位であるポリアミド樹脂を含み、かつ、はんだリフロー耐熱温度が250℃以上であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- 上記ポリアミド樹脂が、(A)ジカルボン酸成分単位および(B)ジアミン成分のみからなり、上記(A)ジカルボン酸成分単位が(A1)芳香族ジカルボン酸単位および(A2)脂肪族ジカルボン酸成分単位および/または脂環族ジカルボン酸成分単位のみからなり、上記(B)ジアミン成分単位が脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/または脂環族アルキレンジアミン成分単位のみからなるポリアミド樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- (A)ジカルボン酸成分単位が(A1)芳香族ジカルボン酸単位:61モル%以上64モル%以下(A2)脂肪族ジカルボン酸成分単位および/または脂環族ジカルボン酸成分単位:36モル%以上39モル%以下であり、(B)ジアミン成分単位が脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/または脂環族アルキレンジアミン成分単位であるポリアミド樹脂、難燃剤、難燃助剤、および繊維状補強材を含み、はんだリフロー耐熱温度が250℃以上であることを特徴とする難燃性ポリアミド樹脂組成物。
- 芳香族ジカルボン酸成分単位(A1)がテレフタル酸成分単位である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 脂肪族ジカルボン酸成分単位および/または脂環族ジカルボン酸成分単位(A2)がアジピン酸成分単位である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/または脂環族アルキレンジアミン成分単位が、1,6−ジアミノヘキサンから誘導される成分単位である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 上記ポリアミド樹脂の濃硫酸を用いて25℃で測定した極限粘度が0.5dl/g以上、3.0dl/g以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物を射出成形して得られる成形品。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物を成形して得られる電気・電子部品用精密部品。
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