JP3606710B2 - 気流式ds分級装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気流式DS分級装置、より詳細には、トナー等の小粒径粒子を粉砕、分級するトナー分級装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法、静電写真法等の画像形成方法では、静電潜像を現像するためにトナーが使用される。最終製品が微細粒子であることが要求される静電潜像のトナー製造における原料固体粒子を、粉砕及び分級して最終製品を得るには、結着剤樹脂、着色剤(染料、顔料、磁性体等)などの所定材料を溶融混練し、冷却・固化させた後粉砕し分級する。
電子写真トナーなどの微粒子粉体を分級するためには、一般的に旋回気流を利用する気流式分級装置が使用され、例えば、図11に示されるような、ディスバージョンセパレータ(DS,日本ニューマチック社製、以下、DSとする)が使用される。
【0003】
以下に、図11を参照しながら、本発明の気流式DS分級方式ならびに装置の詳細について説明する。図11において、気流式DS分級装置は、上から分散室5、本体ケーシング1、分級室4、さらに下部ケーシング2、ホッパー3から構成されている。分散室5の上部外周面に1次空気流及び粉体材料供給のための分散室流入口6が、分散室5の周面に対して接線方向からの前記1次空気流及び粉体材料が流入されるように接続されている。分散室5内の下に中央が高い円錐状のセンターコア7が取り付けられており、このセンターコア7の下縁外周囲に環状の供給溝8が形成されている。分級室4の底部には中央部分に微粉排気口11への円筒状の流路を有する円錐状のセパレーターコア9が具備されており、このセパレーターコア9の下縁外周囲には環状の粗粉排出口10が形成されている。分級室4の下部周壁外周部には、二次空気流が流入するための流路が羽根形状をした二次空気流入口12(ルーバーとも呼ばれる)が具備されており、粉体材料を分散させると共に旋回速度を加速させるように構成されている。
【0004】
気流式DS分級方式の分配原理は、分配室内において流入する二次空気流が粉体材料を旋回状に半自動流動させる際、該粉体材料中の粗粒子と微粒子に対して働く遠心力及び向心力が異なることを利用するものである。従って、少なくとも分級室内に入る前の分散室内では、凝集粒子は分散され、また分散された粗粒子と微粒子は再凝集させることなく速やかに分級室へ送ることが望ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の気流式DS分級装置では、分散室内の凝集粒子は旋回流または分散室内壁面との衝突でも高精度な分散は期待できず、また、一旦分散されても旋回流または分級室内壁面との衝突による弱い衝撃により再凝集し、見かけ上、粗粒子となる場合がある。このような粗粒子が最終製品に混入されている場合、製品は高精度な粒径分布を持ち得ず、製品トナー中でそのような粗粒子が解離して極微粒子となった場合、電子写真で画像を形成する際の画像品質を低下させる。また、微粒子は分散室や分級室内に付着し易く、分級室の形状が変化して分級条件を変える可能性がある。さらには、分級装置の保守作業に支障も来たす。
【0006】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、分散室内壁に比較的簡単な手段で粒子衝突による衝撃を増加させ、これにより凝集粒子の分散性の向上、および分散粒子の再凝集性の低下を狙った新規な粒子分級装置を提案するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、粉体材料と一次空気流との混合流体を装置上部の円筒形状を有した分散室に該円筒形状の接線方向から導入し、その後、分散室下部に位置し、かつ、上側はセンターコア、下側はセパレーターコア、側面側は二次空気流が流入する二次空気流入口から構成された分級室に導入して、該粉体材料を気流により粗粒子及び微粒子に分離する気流式DS分級装置において、分散室内壁に一つあるいは複数の棒状部材を鉛直軸方向に設け、かつ、該棒状部材断面積を前記分散室に接線方向から導入する混合流体流路断面積よりも著しく小さくしたことを特徴とし、もって、分散室内壁面に凹凸を与えて旋回中の粒子に対して衝突による微振動を与えることができ、これにより凝集粒子の分散性を増加させ、さらに分散粒子の再凝集も抑えることが可能となり、分級の高効率化が図れるようにしたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の気流式DS分級装置において、棒状部材が分散室内壁と接する部分の縁が曲面形状であることを特徴とし、もって、請求項1の発明に加えて、微粒子が入り込む可能性のある隙間が無くなり、微粒子の付着の回避ならびに、分級性の向上が一層図れるようにしたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2の気流式DS分級装置において、分散室の中心軸を中心に回転する方向に対し、分散室の接線方向の流入口と分散室との接続位置から90度下流位置までに、少なくとも一つの棒状部材位置を有することを特徴とし、もって、請求項2の発明に加えて、分散室内壁面に与える凹凸の最適位置が示され、分散条件の最適化の設定が可能となるようにしたものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1または2または3の気流式DS分級装置において、棒状部材下端位置が、センターコア下部位置から混合流体が分散室から分級室へ入る通路幅長の1ないし2倍以内鉛直上方に配したことを特徴とし、もって、請求項1または2または3の発明に加えて、粒子の分散室から分級室への通路を確保することができ、粒子の搬送性が一層向上し、一層の分級の高効率化が図れるようにしたものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4の気流式DS分級装置において、分配室壁面に振動手段を付加したことを特徴とし、もって、請求項4の発明に加えて、分散室内壁面の振動により、凝集粒子に対する分散性の一層の向上、及び、分散粒子の再凝集性の一層の低下、及び、粒子搬送性の一層の向上が可能となり、一層の分級の高効率化が図れるようにしたものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5の気流式DS分級装置において、鉛直方向進行波生成手段を付加したことを特徴とし、もって、請求項5の発明に加えて、分散室の内壁面に鉛直下方の進行波振動を与えることにより、粒子の搬送性の一層の向上が可能となり、一層の分級の高効率化が図れるようにしたものである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6の気流式DS分級装置において、長時間の鉛直下向き進行波、および、短時間の鉛直上向き進行波の連続的な変化を付与したことを特徴とし、もって、請求項6の発明に加えて、分散室の内壁面に瞬間的な鉛直上向きの進行波振動を与えることにより、凝集粒子の分散性の一層の向上、及び、分散粒子の再凝集性の一層の低下、及び、粒子搬送性の一層の向上が可能となり、一層の分級の高効率化が図れるようにしたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
(請求項1の発明)
図1は、本発明による気流式DS分級装置を説明するための要部概略構成図で、図中、図11に示した気流式分級装置と同様の作用をする部分には、図11の場合と同様の参照番号が付してある。而して、図1(A)は平面図、図1(B)は側面図、図1(C)は図1(A)のC部拡大図で、本発明による分級装置は、図示のように、分散室5の内壁面上に1本あるいは複数本の棒状部材16を分散室5の中心軸15に平行に密着・付加させ、かつ、該棒状部材16の断面積を、分散室流入口6の流入断面積よりも著しく小さくさせたものである。
【0015】
図1において、粒子と気流の混合流体である流れ17は、分散室流入口6から分散室5に流入する際、分散室5の内壁面付近で、方向が直線方向から旋回方向に変化する。このとき、流れ17は分散室5の内壁面上の棒状部材16と分散室5の内壁面との間の狭所18に入射・衝突し、衝突面が分散室5の内壁面の場合以上に圧力が高くなり、かつ、衝撃力も高くなる。棒状部材16の断面積が大きいと大きな圧力損失につながり、流れ17の主流を塞き止めることになるが、例えば、圧力損失を1%以内にさせて流れ17を塞き止めないようにするには、分散室流入口6の流路幅32に対する棒状部材16の突き出し長33の比を、後述する式〔1〕に従って、0.091程度にすることで回避できる。
【0016】
このとき棒状部材16の断面積は、分散室流入口6の流路断面積より著しく小さいため、狭所18との衝突があっても流れ17の主流自体を妨げることは無い。流れ17の主流に影響無く、かつ、上記衝突から得られた高い衝撃力は、旋回気流14および流れ17内に含まれる凝集粒子の強い凝集力に打ち勝ち、高効率で凝集粒子を粗粒子と微粒子に分散させる。また、連続的に回転している旋回気流14内に含まれる粗粒子と微粒子の分散粒子に関して、高い衝撃力は、分散粒子同士の衝突を高い衝撃力で起こし、かつ、衝突後に発生する粒子間反発力が微粒子が持つ固有の凝集力よりも高くなるため、分散粒子同士の再凝集も回避させる。
以上、高効率な分散ならびに再凝集回避により、結果として全体の分級収率が向上する。
【0017】
次に、上記気流式DS分級装置において、棒状部材16の断面の大きさと、分散室5の内壁面上の取り付け位置に関し、条件の目安を以下に示す。
▲1▼ 棒状部材16の断面積の条件
分散室流入口6の流入断面積よりも著しく小さくする。この決め方としては、圧力損失ΔP及び分散室流入口6の流路幅32に対する棒状部材16の突き出し長33の比に関し、以下の比例関係式を用いる。
【0018】
ΔP∝{1−1/[1−(突き出し長33/流路幅32)]}2 〔1〕
【0019】
例えば、圧力損失ΔPを0.01(=1%)に押さえるためには、分散室流入口6の流路幅32に対する棒状部材16の突き出し長33の比を、1−1/[1+1/√(0.01)]=0.091程度に押さえればよい。
【0020】
▲2▼ 棒状部材16の分散室5の内壁面上の取り付け位置の条件
分散室流入口6に比較的近い分散室5の内壁面上とし、流れ17が比較的強い間に入射させる。
【0021】
図2は、請求項1の気流式DS分級装置の一実施例を説明するための要部構成図(平面図)で、この気流式DS分級装置は、棒状部材16として、4本の同材・同形状の角柱を、分散室5の中心軸15を中心に90度の間隔を開けて配し接着・取り付けている。取り付け位置の絶対位置は、分散室流入口6と分散室5の接続位置を90度絶対位置19とすることにより、この90度絶対位置19よりも分散室5を上から見たときの時計周りに90度回転した位置を0度絶対位置20、また0度絶対位置20より反時計周りで180度回転した位置を180度絶対位置21、さらに、180度絶対位置21より反時計周りで90度回転した位置を270度絶対位置22として決めた。
【0022】
上記の構成により、粒子と気流の混合流体である流れ17および連続的に回転している旋回気流14は、中心軸15を一回転する間に4本の棒状部材16が各々持つ狭所18に高圧かつ高衝撃力で衝突し、高効率な分散ならびに再凝集回避がなされ、結果として全体の分配収率が向上する。
【0023】
上記装置の分級実施例を以下に示す。
スチレン−アクリル共重合樹脂85重量%とカーボンブラック15重量%の混合物をロールミルにて溶融混練し、冷却固化させた後、ハンマーミルにて粗粉砕した。
次に、この粗粉砕物をジェットミルにて重量平均粒子径9.0[μm]に微粉砕して微粉砕物を得、この微粉砕物を、上記実施例の構成を持つ気流式DS分級装置で分級した結果、重量平均粒子径9.1[μm]、4[μm]以下の極微粒子の個数含有率9.0%の電子写真トナーを得た。
【0024】
(請求項2の発明)
図3は、請求項2の発明の概要を示す要部構成図で、この気流式DS分級装置は、請求項1の発明に加えて、分散室5の内壁面上の棒状部材16が分散室5の内壁面に接する縁を曲面形状23としたものである。この請求項2の発明によると、棒状部材16の側面と分散室5の内壁面は屈曲しないため、棒状部材16の側面と分散室5の内壁面との間に生ずる隙間が無くなり、隙間による流れの圧力損失が発生せず、定常的な淀み無しの流れ領域が保証される。この結果、流れ17や旋回気流14に含まれる粒子分散や凝集粒子の回避がなされた粗粒子及び微粒子は、棒状部材16の表面と分散室5の内壁面との間に生ずる隙間へ入り込むことによる目詰まりを回避させ、搬送される。従って、流れ17の主流に一層影響を与えず、高い衝撃力による旋回気流14および流れ17内に含まれる凝集粒子に対する高効率分散ならびに連続的に回転している旋回気流14内に含まれる粗粒子と微粒子からなる分散粒子に対する高い再凝集回避がなされ、結果として全体の分配収率が向上する。
【0025】
図4は、請求項2の気流式DS分級装置の一実施例を説明するための要部構成図(平面図)で、この気流式DS分級装置は、請求項1に示した気流式DS分級装置に加えて、分散室5の内壁面と棒状部材16との間に棒状部材16と同材な2本の三角柱部材23を、1本の棒状部材16に対しその傍に配している。三角柱23の付加の際には分散室5の形状により多少の鍵加工が必要で、接着剤等で接合できる。
上記の構成により、粒子と気流の混合流体である流れ17および連続的に回転している旋回気流14は、中心軸15を一回転する間に4本の棒状部材16が各々持つ狭所18に高圧かつ高衝撃力で衝突し、かつ粗粒子および微粒子が棒状部材16と分散室5の壁面との間に入る目詰まりも無く、高効率な分散ならびに再凝集回避がなされ、結果として全体の分配収率が一層向上する。
【0026】
上記装置の分級実施例を示下に示す。
スチレン−アクリル共重合樹脂85重量%とカーボンブラック15重量%の混合物をロールミルにて溶融混練し、冷却固化させた後、ハンマーミルにて粗粉砕した。
次に、この粗粉砕物をジェットミルにて重量平均粒子径9.0[μm]に微粉砕して微粉砕物を得、この微粉砕物を、上記実施例の構成を持つ分級装置で分級した結果、重量平均粒子径9.1[μm]、4[μm]以下の極微粒子の個数含有率8.9%の電子写真トナーを得た。
【0027】
(請求項3の発明)
図5は、請求項3の発明の概要を示す要部構成図で、この請求項3の気流式DS分級装置は、請求項2の発明に加えて、分散室入口および分散室5の接続位置24から、分散室5を上から見たときに分散室流入口6からの流れ17方向に90度の角度範囲内に少なくとも1本以上の棒状部材16を有するものである。
【0028】
請求項3の発明により、分散室流入口6の流れ17は分散室5の内壁面付近で高流速を維持できる範囲に棒状部材16が配され、これにより粒子と気流の混合流体である流れ17に対し、前記角度範囲である90度内にある棒状部材16が持つ狭所18に最も高圧、かつ高衝撃力で衝突することを保証する。また連続的に回転している旋回気流14は、分散室5の中心軸15を一回転する間に棒状部材16が各々持つ狭所18に高圧かつ高衝撃力で衝突するため、結果として、一層高効率な分散ならびに再凝集回避がなされ、全体の分級収率が一層向上する。
【0029】
図6は、請求項3の気流式DS分級装置の一実施例を説明するための要部構成図で、請求項3の気流式DS分級装置は、1本の棒状部材16が分散室5と分散室流入口6の接続位置24から半時計周りに0度から90度の範囲で取り付けられている。流れ17の方向パターン25は、分散室流入口6より上流の流路方向で変化するため、前記90度の範囲内で棒状部材16と同材の三角柱部材23を2本用いて配させる。
【0030】
上記請求項3の構成により、分散室流入口6の流れ17は分散室5の内壁面付近で高流速を維持できる範囲に棒状部材16が配され、これにより粒子と気流の混合流体である流れ17に対し、前記角度範囲である90度内にある棒状部材16が持つ狭所18に最も高圧、かつ高衝撃力で衝突し、また、連続的に回転している旋回気流14は、分散室5の中心軸15を一回転する間に棒状部材16が各々持つ狭所18に高圧かつ高衝撃力で衝突するため、結果として、一層高効率な分散ならびに再凝集回避がなされ、全体の分級収率が一層向上する。
【0031】
上記装置の分級実施例を示下に示す。
スチレン−アクリル共重合樹脂85重量%とカーボンブラック15重量%の混合物をロールミルにて溶融混練し、冷却固化させた後、ハンマーミルにて粗粉砕した。
次に、この粗粉砕物をジェットミルにて重量平均粒子径9.0[μm]に微粉砕して微粉砕物を得、この微粉砕物を、棒状部材16の位置を、接続位置24から半時計回りに60度の位置とした場合の分級装置にて分級した結果、重量平均粒子径9.1[μm]、4[μm]以下の極微粒子の個数含有率8.7%の電子写真トナーを得た。
【0032】
(請求項4の発明)
図7は、請求項4の発明の概要を示す要部構成図で、この請求項4の気流式DS分級装置は、請求項1または2または3の発明に加えて、棒状部材16の下部からの距離27を(分散室5内部のセンターコア7の下部位置から)、分散室5から分級室4に入る通路幅長26の1〜2倍上方に配するようにしたものである。
この請求項3の発明により、分散室5を経た分散粒子は通路幅長26を持つ通路幅を通って、分散室5から分級室4へ入射する。この際、本請求項4の発明により、分散粒子は通路幅で目詰まりを起こすこと無く分散室5から分級室4へ送られることが保証される。この結果、請求項1または2または3の凝集粒子の分散ならびに分散粒子の再凝集回避に加え、前記分散粒子の通路幅での目詰まりを回避させることにより、一層の分散粒子の再凝集回避がなされ、結果として全体の分級収率が一層向上する。
【0033】
上記請求項4の気流式DS分級装置の一実施例として、棒状部材16の下部からの距離27を(分散室5内部のセンターコア7の下部位置から)、分散室5から分級室4に入る通路幅長26の1.5倍上方に配した気流式DS分級装置を構成した。この構成により、分散室5における凝集粒子の分散ならびに、再凝集の回避がなされた粗粒子と微粒子は、センターコア7と分散室5の間に目詰まりを起こすこと無く、速やかに分散室5から分級室4へ搬送された。
【0034】
上記装置の分級実施例を以下に示す。
スチレン−アクリル共重合樹脂85重量%とカーボンブラック15重量%の混合物をロールミルにて溶融混練し、冷却固化させた後ハンマーミルにて粗粉砕した。
次に、この粗粉砕物をジェットミルにて重量平均粒子径9.0[μm]に微粉砕して微粉砕物を得、この微粉砕物を、本請求項4の気流式DS分級装置にて分級した結果、重量平均粒子径9.1[μm]、4[μm]以下の極微粒子の個数含有率8.5%の電子写真トナーを得た。
【0035】
(請求項5の発明)
図8は、請求項5の発明の概要を示す要部構成図で、この気流式DS分級装置は、請求項4の発明に加え、分散室5に振動手段28を付加したもので、この請求項5の発明により、分散室5内部で凝集粒子の分散ならびに再凝集の回避がなされるとき、振動手段28による分散室5の振動は、分散室5の内壁を振動させ、さらに分散室5の内壁面上の振動は、微粒子と分散室5の内壁間の凝集による結合を解き、かつ、分散室5の内壁面と接触中の凝集粒子間の結合も解く。また、凝集粒子が分散室5の内壁面と衝突する時の衝撃力を増加させ、この結果、高効率な分散ならびに微粒子付着による生産性の低下が回避でき、結果として全体の分級収率が一層向上する。
【0036】
請求項5の気流式DS分級装置は、図8に示したように、動手段として加振器を用いた構成を持つもので、この構成により、分散室5内部で凝集粒子の分散ならびに再凝集の回避がなされるとき、振動手段28による分散室5の内壁の振動は、微粒子と分散室5の内壁間の凝集による結合を解き、かつ、分散室5の内壁面と接触中の凝集粒子間の結合も解く。また、凝集粒子が分散室5の内壁面と衝突する時の衝撃力を増加させ、この結果、高効率な分散、ならびに、微粒子付着による生産性の低下を回避でき、結果として全体の分級収率が一層向上する。
【0037】
上記装置の分級実施例を以下に示す。
スチレン−アクリル共重合樹脂85重量%とカーボンブラック15重量%の混合物をロールミルにて溶融混練し、冷却固化させた後ハンマーミルにて粗粉砕した。
次に、この粗粉砕物をジェットミルにて重量平均粒子径9.0[μm]に微粉砕して微粉砕物を得、この微粉砕物を、本請求項5の気流式DS分級装置にて分級した結果、重量平均粒子径9.1[μm]、4[μm]以下の極微粒子の個数含有率8.4%の電子写真トナーを得た。
【0038】
(請求項6の発明)
図9は、請求項6の発明の概要を示す要部構成図で、この請求項6の気流式DS分級装置は、請求項5の発明に加え、振動手段28に進行波発生手段29を付加させ、分散室5の内壁面に対し鉛直下向きの進行波振動を生じさせるものである。分散室5の内壁面に対し鉛直下向きの進行波振動を生じさせる方法としては、振動手段28を分散室5の上方に設け、進行波発生手段29として、パルス波形を生成する等がある。
【0039】
請求項6の発明により、分散室5内部で凝集粒子の分散ならびに再凝集の回避がなされるとき、進行波発生手段29から発生した進行波信号は、振動手段28に伝達され、分散室5の内壁に鉛直下向きの傾行波振動を発生させる。分散室5の内壁面上の鉛直下向きの進行波振動は、微粒子と分散室5の内壁間の凝集による結合を解き、かつ、分散室5の内壁面と接触中の凝集粒子間の結合も解き、さらに、粗粒子および微粒子の分散粒子に対し、分散室5から分級室4への搬送も促す。この結果、全体の分配収率が一層向上する。
【0040】
請求項6の気流式DS分級装置は、振動手段28として加振器を分散室5の鉛直上部に配し、これに接続する進行波発生手段29としてパルスジェネレータを用いたもので、分散室5内部で凝集粒子の分散ならびに再凝集の回避がなされるとき、進行波発生手段29であるパルスジェネレータから発生した進行波信号は(たとえば、連続的にパルス信号を与えること等がある)、振動手段28である加振器に伝達され分散室5の内壁に鉛直下向きの進行波振動を発生させる。分散室5の内壁面上の鉛直下向きの進行波振動は、微粒子と分散室5の内壁間の凝集による結合を解き、かつ、分散室5の内壁面と接触中の凝集粒子間の結合も解き、さらに、粗粒子および微粒子の分散粒子に対し、分散室5から分級室4への搬送も促す。この結果、全体の分級収率が一層向上する。
【0041】
上記装置の分級実施例を以下に示す。
スチレン−アクリル共重合樹脂85重量%とカーボンブラック15重量%の混合物をロールミルにて溶融混練し、冷却固化させた後ハンマーミルにて粗粉砕した。
次に、この粗粉砕物をジェットミルにて重量平均粒子径9.0[μm]に微粉砕して微粉砕物を得、この微粉砕物を、本請求項6の気流式DS分級装置にて分級した結果、重量平均粒子径9.1[μm]、4[μm]以下の極微粒子の個数含有率8.3%の電子写真トナーを得た。
【0042】
(請求項7の発明)
図10は、請求項7の発明の概要を示す要部構成図で、この気流式DS分級装置は、請求項6の発明に加え、例えば、もう一組の振動手段30と進行波発生手段31を分散室5の鉛直下部に設け、かつ、鉛直上部にある一組の振動手段28と進行波発生手段29に長時間鉛直下向きの進行波を発生させた後、鉛直下部にあるもう一組の振動手段30と進行波発生手段31に短時間鉛直上向きの進行波を発生させるものである。
【0043】
請求項7の発明により、分散室5内部で凝集粒子の分散ならびに再凝集の回避がなされるとき、進行波発生手段29から発生した進行波信号は、振動手段28に伝達され分散室5の内壁に鉛直下向きの進行波振動を長時間発生させる。これにより、微粒子と分散室5の内壁間の凝集による結合を解き、かつ、分散室5の内壁面と接触中の凝集粒子間の結合も解き、さらに、粗粒子および微粒子の分散室5から分級室4への搬送も促す。さらに進行波発生手段31から発生した進行波信号は、振動手段30に伝達され分散室5の内壁に鉛直上向きの進行波振動を短時間発生させる。この短時間の鉛直上向きの進行波振動は、長時間の鉛直下向きの進行波振動に対し、突発的な逆向きの振動変化を与え、前記した微粒子と分散室5の内壁間の凝集による結合に瞬間的に逆向きの力を与えて一層解き易くさせ、かつ、分散室5の内壁面と接触中の凝集粒子間の結合にも瞬間的な逆向きの力を与えることで一層解き易くさせ、さらに、粗粒子および微粒子の分散室5から分級室4への搬送も一層促す。この結果、全体の分級収率が一層向上する。
【0044】
上記請求項7の気流式DS分級装置は、2組の振動手段28と進行波発生手段29、振動手段30と進行波発生手段31を持ち、振動手段28として加振器を分散室5の鉛直上部に配し、これに接続する進行波発生装置29としてパルスジェネレータを用い、さらに、振動手段30として別の加振器を分散室5の鉛直下部に配し、これに接続する進行波発生手段31として別のパルスジェネレータを用いたもので、この構成により、分散室5内部で凝集粒子の分散ならびに再凝集の回避がなされるとき、進行波発生手段29であるパルスジェネレータから発生した進行波信号は(たとえば、連続的にパルス信号を与えることなどがある)、振動手段28である加振器に伝達され分散室5の内壁に鉛直下向きの進行波振動を発生させる。分散室5の内壁面上の鉛直下向きの進行波振動は、微粒子と分散室5の内壁間の凝集による結合を解き、かつ、分散室5の内壁面と接触中の凝集粒子間の結合も解き、さらに、粗粒子および微粒子の分散室5から分級室4への搬送も促す。さらに、進行波発生手段31である別のパルスジェネレータから発生した進行波信号は(たとえば、連続的なパルス信号を付与することなどができる)、振動手段30である別の加振器に伝達され分散室5の内壁に鉛直上向きの進行波振動を前記鉛直下向きの進行波振動よりも短時間だけ発生させる。この短時間の鉛直上向きの進行波振動は、長時間の鉛直下向きの進行波振動に対し、突発的な逆向きの振動変化を与えるため、前記した微粒子と分散室5の内壁間の凝集による結合を一層解き易くさせ、かつ、分散室5の内壁面と接触中の凝集粒子間の結合も一層解き易くさせ、さらに、粗粒子および微粒子の分散室5から分級室4への搬送も一層促す。この結果、全体の分級収率が一層向上する。
【0045】
上記装置の分級実施例を以下に示す。
スチレン−アクリル共重合樹脂85重量%とカーボンブラック15重量%の混合物をロールミルにて溶融混練し、冷却固化させた後ハンマーミルにて粗粉砕した。
次に、この粗粉砕物をジェットミルにて重量平均粒子径9.0[μm]に微粉砕して微粉砕物を得、この微粉砕物を、本請求項7の気流式DS分級装置にて分級した結果、重量平均粒子径9.1[μm]、4[μm]以下の極微粒子の個数含有率8.1%の電子写真トナーを得た。
【0046】
【発明の効果】
分級室内に流入する二次空気流が粉体材料を旋回状に半自動流動させる際、該粉体材料中の粗粒子と微粒子に対して働く遠心力及び向心力が異なることを利用する分級原理を用いる気流式DS分級装置においては、分散室で凝集粒子の分散ならびに、分散粒子の再凝集回避を可能とさせ、次工程である分配室での分級工程へ分散粒子を速やかに送る必要がある。
請求項1の発明によると、分散室内壁面に凹凸を与えて旋回中の粒子に対して衝突による微振動を与えることができ、これにより凝集粒子の分散性を増加させ、さらに分散粒子の再凝集も抑えることが可能となり、分級の高効率化が図れる。
【0047】
請求項2の発明によると、請求項1の効果に加えて、微粒子が入り込む可能性のある隙間が無くなり、微粒子の付着の回避ならびに、分級性の向上が一層図れる。
【0048】
請求項3の発明によると、請求項2の効果に加えて、分散室内壁面に与える凹凸の最適位置が示され、分散条件の最適化の設定が可能となる。
【0049】
請求項4の発明によると、請求項1または請求項2または請求項3の効果に加えて、粒子の分散室から分級室への通路を確保することができ、粒子の搬送性が一層向上し、一層の分級の高効率化が図れる。
【0050】
請求項5の発明によると、請求項4の効果に加えて、分散室内壁面の振動により、凝集粒子に対する分散性の一層の向上、及び、分散粒子の再凝集性の一層の低下、及び、粒子搬送性の一層の向上が可能となり、一層の分級の高効率化が図れる。
【0051】
請求項6の発明によると、請求項5の効果に加えて、分散室の内壁面に鉛直下方の進行波振動を与えることにより、粒子の搬送性の一層の向上が可能となり、一層の分級の高効率化が図れる。
【0052】
請求項7の発明によると、請求項6の効果に加えて、分散室の内壁面に瞬間的な鉛直上向きの進行波振動を与えることにより、凝集粒子の分散性の一層の向上、及び、分散粒子の再凝集性の一層の低下、及び、粒子搬送性の一層の向上が可能となり、一層の分級の高効率化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による気流式DS分級装置を説明するための要部概略構成図である。
【図2】請求項1の気流式DS分級装置の一実施例を説明するための要部構成図(平面図)である。
【図3】請求項2の発明の概要を示す要部構成図である。
【図4】請求項2の気流式DS分級装置の一実施例を説明するための要部構成図(平面図)である。
【図5】請求項3の発明の概要を示す要部構成図である。
【図6】請求項3の気流式DS分級装置の一実施例を説明するための要部構成図である。
【図7】請求項4の発明の概要を示す要部構成図である。
【図8】請求項5の発明の概要を示す要部構成図である。
【図9】請求項6の発明の概要を示す要部構成図である。
【図10】請求項7の発明の概要を示す要部構成図である。
【図11】気流式DS分級装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
4…分級室、5…分散室、6…分散室流入口、7…センターコア、14…旋回気流、15…中心軸、16…棒状部材、17…流れ、18…狭所、19…90度絶対位置、21…180度絶対位置、22…270度絶対位置、23…曲面形状柱又は三角柱部材、24…接続位置、25…流れ17の方向パターン、26…通路幅長、27…棒状部材16の下部からの距離、28…振動手段、29…進行波発生手段、30…振動手段、31…進行波発生手段、32…流路幅、33…突き出し長。
Claims (7)
- 粉体材料と一次空気流との混合流体を装置上部の円筒形状を有した分散室に該円筒形状の接線方向から導入し、その後、分散室下部に位置し、かつ、上側はセンターコア、下側はセパレーターコア、側面側は二次空気流が流入する二次空気流入口から構成された分級室に導入して、該粉体材料を気流により粗粒子及び微粒子に分離する気流式DS分級装置において、分散室内壁に一つあるいは複数の棒状部材を鉛直軸方向に設け、かつ、該棒状部材断面積を前記分散室に接線方向から導入する混合流体流路断面積よりも著しく小さくしたことを特徴とする気流式DS分級装置。
- 請求項1の気流式DS分級装置において、棒状部材が分散室内壁と接する部分の縁が曲面形状であることを特徴とする気流式DS分級装置。
- 請求項1または2の気流式DS分級装置において、分散室の中心軸を中心に回転する方向に対し、分散室の接線方向の流入口と分散室との接続位置から90度下流位置までに、少なくとも一つの棒状部材位置を有することを特徴とする気流式DS分級装置。
- 請求項1または2または3の気流式DS分級装置において、棒状部材下端位置が、センターコア下部位置から混合流体が分散室から分級室へ入る通路幅長の1ないし2倍以内鉛直上方に配したことを特徴とする気流式DS分級装置。
- 請求項4の気流式DS分級装置において、分配室壁面に振動手段を付加したことを特徴とする気流式DS分級装置。
- 請求項5の気流式DS分級装置において、鉛直方向進行波生成手段を付加したことを特徴とする気流式DS分級装置。
- 請求項6の気流式DS分級装置において、長時間の鉛直下向き進行波、および、短時間の鉛直上向き進行波の連続的な変化を付与したことを特徴とする気流式DS分級装置。
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