JP3606646B2 - 引戸調整用鎌 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鎌を備えた引戸のチリ(ここでは、例えば引戸と戸枠との隙間、と定義する。)を調整することができる引戸調整用鎌に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一対の引戸同士、あるいは一枚の引戸と戸枠の間に於いて、いわゆる鎌錠を用いて引戸を係止固定している。例えば引戸側に鎌を設け、一方、枠側にストライクボックスを有する受け装置を設け、前記ストライクボックスに鎌を完全挿入し、これにより引戸が施錠される。この時色々な要因により「チリ」が発生する場合がある。
【0003】
そこで、従来、この「チリ」を解消するための一例が、例えば実開平7−21946号公報に開示されている。
【0004】
しかして、この実施例の受け金具は、前面に開口を有するストライクボックスに調整ねじを回動可能に設け、この調整ねじに螺合する逆U字型状のジョイントプレートを前記ストライクボックスに内装し、ジョイントプレートには完全挿入された鎌と係止するストライクの上端部を係合させると共に、該ストライクの下端部をストライクボックスに横設された支軸に枢支している。
【0005】
上記構成に於いては、例えばスクリュウドライバを用いて調整ねじを回動すると、ジョイントプレートが前後方向に移動する。その結果、ストライクが支軸を支点として回動し、鎌とストライクの係止面との距離が調整される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の「チリ」の調整の仕方は、もっぱら鎌に対する相手側の受け金具に設けた調整ねじを回動することにより行われていた。しかしながら、受け金具側の調整部材で「チリ」を調整する方法ないし構成は、次のような問題点がある。▲1▼ストライクボックス内に調整ねじ、ジョイントプレート、支軸など各部材を組み込まなければならない。しかして、各部材の組み合わせが面倒であると共に、ストライクボックスを小型化することができない。▲2▼調整装置を構成する各部材との関係で、鎌の形状や大きさが自ずから限定される。したがって、自由な形態の鎌を使用することができない。▲3▼「チリ」の調整範囲が決まっている。すなわち、受け装置側に完全挿入された引戸側の鎌の先端面と受け装置側の係止部材の係止面との間でしか調整できない。したがって、別の発想で戸枠と引戸の間を調整しようとする場合に、例えば風を通すために、引戸を多少開けたままの状態で、受け装置側の係止部材に鎌の先端部を係止しようと試みても、鎌を係止部材に係止することができない場合が多い。
【0007】
そこで、請求項1記載の発明は、組み合わせが容易であると共に、ストライクボックスを小型化することができ、また自由な形態の鎌を使用することができ、さらに、受け装置側の係止部材に鎌の先端部を係止した施錠状態を保ちながら引戸を多少開けたままの状態にすることができる引戸調整用鎌を提供することである。また他の請求項に記載の発明は、鎌先端部が鎌本体に対して容易に抜けないことや、鎌本体が調整ねじに対して前後方向にいわゆる「ガタガタ」しない引戸調整用鎌を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の引戸調整用鎌は、鎌本体と、この鎌本体に調整可能に取付けられる鎌先端部と、前記鎌本体に設けられメネジ部と螺合した状態で鎌先端部と鎌本体とを一体的に結合する調整ねじとから構成され、前記鎌本体には、鎌先端部の係合部がスラド係合するガイド切欠部が形成されている引戸調整用鎌。
【0009】
上記構成に於て、鎌先端部の係合部は、鎌本体のガイド切欠部の第1切欠部に嵌合する首状嵌合部と、この首状嵌合部に対し外方向に膨出し、かつ、ガイド切欠部の第2切欠部と係合する抜脱防止部とから成り、少なくとも前記首状嵌合部の前壁には調整ねじの係合頭部が嵌合する前壁凹所が形成されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す本発明の実施の形態を、鎌を有する引戸と、この引戸に対する枠の凹所に組み込んだ受け装置との関係で説明する。
【0011】
まず図1ないし図8に基づき本発明の使用状態の一例について説明する。1は引戸である。2は引戸1に設けられた錠ケースで、この錠ケース2の内部には錠フロント3から出没する鎌4が回動可能に設けられている。鎌4は、図3で示す引戸1の室外側に設けられたシリンダー錠6あるいは室内側の摘み7を施錠方向に操作すると、図1で示すように時計方向に回転し、その鎌先端部が引戸用受け具8の係止部材の機能を有するフロント板9等の内面と対向する。
【0012】
前記引戸用受け具8は、戸枠10に形成された凹所11内に組み込まれ、前壁に開口12を有するストライクボックス13と、このストライクボックス13に複数個の固着具14を介して固定されるフロント板9とから構成されている。もちろん引戸用受け具8には、「チリ」を調整するために、適当な調整装置を組み込んでも良い。引戸用受け具8は一対の引戸同士で使用される場合には、他方の引戸の凹所が形成された側面に埋設される。
【0013】
前記ストライクボックス13は直方体の空間部15を有し、前壁から上下に伸びるフランジ13a、13aには固着具14、14用の貫通孔15、15が形成されている。また前記フロント板9の形状は、丁度ストライクボックス13の前壁と一致し、フロント板9の中央部あるいは下端部寄りの部位には、ストライクボックス13の開口12よりも小さい矩形状のフロント開口16が形成されている。そして、フロント板9の上下端部には、フランジ13a、13aの貫通孔15、15と符合する固着具14、14用の支持孔17、17が形成されている。
【0014】
次に本発明の引戸調整用鎌4について説明する。鎌4は、図6で示すようにアーム状の鎌本体20と、この鎌本体20に調整可能に取付けられる爪状の鎌先端部30と、この鎌先端部30と鎌本体20とを一体的に結合する調整ねじ40とから構成されている。そこで、これらの3つの部材について順次説明をする。
【0015】
まず鎌本体20は、全体としてアーム状の形態を呈しているが、少なくとも受け具8内に入り込む先端部には、鎌先端部30を調整ねじ40の軸方向(水平方向)に案内するガイド切欠部23が形成されている。また調整ねじ40が螺合するメネジ部24がこのガイド切欠部23の後方に形成されいる。さらに、必ずしも必要ではないが、好ましくはメネジ部24から調整ねじ40が外れないような構成を採用するために、メネジ部24に続いて逃がし用切欠部25が形成されている。なお、5は鎌4の後端部に形成された軸孔である。
【0016】
しかして、前記ガイド切欠部23は、水平向に比較的長い小径の第1切欠部23aと、この第1切欠部23aの下方に連設する大径の第2切欠部23bとから成る。この第1実施例に於いては、第1切欠部23aは横方向の角柱状の空間部であり、一方、第2切欠部23bは横方向の円柱状の空間部の形態を呈している。
【0017】
次に鎌先端部30は、前記ガイド切欠部23と係合する係合部31と、この係合部31から上方に延びる掛合部32とから構成されている。しかして、前記係合部31は、鎌本体20のガイド切欠部23の形態に対応し、角柱状の第1切欠部23aに嵌合する首状嵌合部31aと、この首状嵌合部31aに対し外方向に膨出し、かつ、円柱状の第2切欠部23bと係合する抜脱防止部31bとから成る。そして、前記首状嵌合部31aの前壁及び後壁には凹所33、34がそれぞれ形成されていると共に、これら前壁凹所33及び後壁凹所34は軸方向に形成された調整ねじ用貫通孔35を介して連通している。
【0018】
ところで、この第1実施例に於いては、鎌先端部30は、図5で示すように縦方向に2分割されており、左右一対の鎌先端部片で構成されている。したがって、前記掛合部32には横方向に複数個のメネジ孔36が形成され、これらのメネジ孔36に固着具としてのボルト37を螺合することにより、左右一対の鎌先端部片は一体的に結合し、鎌先端部30を構成する。
【0019】
次に調整ねじ40は、鎌先端部30の前壁凹所33に遊嵌する係合頭部41と、前記首状嵌合部31aの貫通孔35内に位置する小径部42と、先端部が前記後壁凹所34に嵌合すると共に、鎌本体20のメネジ部24と螺合する大径の螺杆部43とから成り、後端部にはストッパー用C型リング45が装着可能な周溝44が形成されている。
【0020】
上記構成に於て、鎌4を構成する各部材20、30、40の組み合わせについて説明する。まず調整ねじ40を鎌本体20のメネジ部24に螺合させ、メネジ部24から突出した調整ねじ40の周溝44にC型リング45を装着する。次に調整ねじ40の先端部を挟むように2分割状態の鎌先端部片を合わせる。この時鎌先端部30側の首状嵌合部31aの凹所33、34を調整ねじ40側の係合頭部41、大径先端部43aにそれぞれ合わせる。そして、左右の鎌先端部片がぴったりと接合したならばボルト37をメネジ孔36に螺合させ、左右の鎌先端部片を結合する。
【0021】
次に今仮に、図1で示すように「チリ」、すなわち、受け具側8に完全挿入された引戸側1の鎌4と受け具8側のフロント板9等の係止面との隙間を微調整しようとする場合は、まず鎌4の係合を解除して引戸1を開き、次にスクリュウドライバで調整ねじ40を回転する。そうすると、調整ねじ40は鎌本体20のガイド切欠部23に案内されながら移動し、その結果、図7で示すように鎌先端部30とフロント板9等の係止面との距離が調整される。
【0022】
ところで、別の発想で戸枠10と引戸1の間を調整しようとする場合に、例えば風を通すために、引戸1を多少(7cm程度まで)開けたままの状態で、受け装置8側の係止部材9に鎌4の鎌先端部30を係止しようと試みる場合は、鎌先端部30を鎌本体20に対し、受け装置8側の係止部材9から可能な限り離れるように調整する。その結果、図8で示すように引戸1を多少開けた状態で使用することもできる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の鎌側に設けた調整ねじで戸枠と引戸の間を調整できる実施例を列挙する。なお、実施例の説明に於いては、図面に発明の実施の形態で説明した符号をそのまま付し、あるいは同様の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
まず図5ないし図8は、発明の実施の形態で説明した第1実施例である。この第1実施例は、アーム状の鎌本体20と、この鎌本体20に調整可能に取付けられる爪状の鎌先端部30と、前記鎌本体20に設けられメネジ部24と螺合した状態で鎌先端部30と鎌本体20とを一体的に結合する調整ねじ40とから構成されている。
【0025】
しかして、前記鎌本体20には、鎌先端部30の係合部31がスライド係合するガイド切欠部23が形成されている。一方、鎌先端部30の係合部31は、前記ガイド切欠部23の第1切欠部23aに嵌合する首状嵌合部31aと、この首状嵌合部31aに対し外方向に膨出し、かつ、ガイド切欠部23の第2切欠部23bと係合する抜脱防止部31bとから成り、前記首状嵌合部31aの前壁には調整ねじ40の係合頭部41が嵌合する前壁凹所33が形成されていると共に、その後壁には調整ねじ40の大径先端部43aが嵌合する凹所34が形成されている。そして、鎌本体20は縦方向に2分割されており、左右一対の鎌先端部片で構成されている。その他の細部の構成は、発明の実施の形態で詳細に説明したので省略する。
【0026】
次に図9及び図10は第2実施例である。この第2実施例の鎌4Aは、アーム状の鎌本体20Aと、この鎌本体20Aに調整可能に取付けられる爪状の鎌先端部30Aと、前記鎌本体20Aに設けられメネジ部24Aと螺合した状態で鎌先端部30Aと鎌本体20Aとを一体的に結合する調整ねじ40Aとから構成されている。そして、鎌先端部30Aの前壁には凹所33Aが形成されている。
【0027】
この第2実施例の鎌先端部30Aは、縦方向に2分割されていない点、また鎌先端部30Aの後壁に調整ねじ用40Aの嵌合凹所が形成されていない点が第1実施例と異なる。一方、調整ねじ40Aは大径部と小径部との区別がなく、また抜脱ではなく、鎌先端部30の「ガタ」防止用C型リング45Aが装着される周溝44Aも調整ねじ40Aの後端部ではなく、鎌先端部30Aの貫通孔35Aを丁度貫通した部位に形成されている点が異なる。
【0028】
この第2実施例に於いて、鎌本体20Aに鎌先端部30Aを取り付ける場合は、予め調整ねじ40Aを鎌先端部30Aの貫通孔35Aに貫通すると共に、調整ねじ40Aの係合頭部41Aを鎌先端部30Aの前壁凹所33Aに正確に嵌合して周溝44AにC型リング45Aを装着する。しかる後に調整ねじ40Aの螺杆部43Aを鎌本体20Aのメネジ部24Aに螺合する。このように構成すると、組み合わせの工程が省かれるという利点がある。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙するような効果がある。
(1)鎌用の受け具側に「チリ」調整手段を設けるのではなく、いわば逆の発想で鎌側に「チリ」調整手段を設けたので、各部材の組み合わせが容易であると共に、ストライクボックスを小型化することができる。
(2)また受け具側の「チリ」調整手段との関係を考慮する必要がないので、自由な形態の鎌を使用することができる。
(3)さらに、受け装置側の係止部材に鎌の先端部を係止した施錠状態を保ちながら引戸を多少(7cm程度まで)開けたままの状態にすることができる。
(4)鎌先端部が鎌本体に対して容易に抜けない。
(5)鎌先端部が鎌本体に対して前後方向にいわゆる「ガタガタ」しない。
(6)簡単な操作で「チリ」を微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
図1ないし図8は本発明の実施の形態を説明するための各説明図。特に図5ないし図8は本発明の第1実施例の各説明図。図9及び10図は本発明の第2実施例を示す概略説明図。
【図1】第1実施例を用いた実施の形態を説明するための説明図。
【図2】実施の形態を説明するための図1の主要部の拡大説明図。
【図3】実施の形態を説明するための正面図。
【図4】実施の形態を説明するための斜視図。
【図5】第1実施例の分解斜視図。
【図6】第1実施例の概略断面説明図。
【図7】調整ねじを調整した後の使用態様の一例を示す概略説明図。
【図8】調整ねじを調整した後の使用態様の他の例を示す概略説明図。
【図9】本発明の第2実施例の分解斜視図。
【図10】本発明の第2実施例の概略断面説明図。
【符号の説明】
1…引戸、2…錠ケース、3…錠フロント、
4…鎌、8…受け具、9…フロント板、
13…ストライクボックス、
20…鎌本体、30…鎌先端部、40…調整ねじ、
23…ガイド切欠部、24…メネジ部、25…逃がし用切欠部、
23a…第1切欠部、23b…第2切欠部、
30…鎌先端部、31…係合部、31a…首状嵌合部、
31b…抜脱防止部、32…掛合部、
33…前壁凹所、34…後壁凹所、35…貫通孔、
41…係合頭部、42…小径部、43…螺杆部、43a…大径先端部、
44…周溝、45…C型リング。

Claims (3)

  1. 鎌本体と、この鎌本体に調整可能に取付けられる鎌先端部と、前記鎌本体に設けられメネジ部と螺合した状態で鎌先端部と鎌本体とを一体的に結合する調整ねじとから構成され、前記鎌本体には、鎌先端部の係合部がスライド係合するガイド切欠部が形成されている引戸調整用鎌。
  2. 請求項1に於て、鎌先端部の係合部は、鎌本体のガイド切欠部の第1切欠部に嵌合する首状嵌合部と、この首状嵌合部に対し外方向に膨出し、かつ、ガイド切欠部の第2切欠部と係合する抜脱防止部とから成り、前記首状嵌合部の前壁には調整ねじの係合頭部が嵌合する前壁凹所が形成されていることを特徴とする引戸調整用鎌。
  3. 請求項1又は請求項2に於いて、首状嵌合部の後壁には調整ねじの大径先端部が嵌合する凹所が形成されていることを特徴とする引戸調整用鎌。
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